152通常の名無しさんの3倍2021/05/13(木) 20:24:01.55ID:f/kkLiIg0
 今日のアムロはレビルの家を訪ねていた。家の外は大雨、どしゃ降りだ。
道路に水たまりがたくさんできる中、わざわざ時間をやりくりしてここにやってきたのだ。
アムロはお世話になった人を忘れたりはしない。
時間があればレビルに限らず様子を見に行ったり、世間話をしに行くこともある。
やたらと顔が広いのがアムロの特徴だが、
それは大家族で兄弟の知り合いがとても多いからだけではない。

 要するにアムロの交友関係が広いのはそれなりの理由があるのだ。
レビルは彼の訪問をとても歓迎した。お互いに紅茶を飲みながら最近の生活について語る。

アムロ「ドラマ、ですか?」
レビル「ああ。時間ができるとTVドラマをよく見ている。
    もともとDVD等で昔の作品を観るのが趣味だったが、近頃はそれ以上にハマってしまった。
    アムロ、古畑任ジャブローという作品を知っているか?」

アムロ「……古畑任三郎は見たことありますが、任ジャブローはないですね」
レビル「そうか、残念だ。古畑任ジャブローは南米ジャブローを舞台にしたコメディドラマだ。
    犯人を追い詰める古畑任三郎も楽しいがこちらもいい。
    他に面白い作品ならショムニはどうかな?」

アムロ「ああ、あれなら見たことあります」

 こうしてレビルが健在なことを知ったアムロは安心して家族の住む家に帰ってきた。
夕飯時にロランの作った料理を食べながらその話をする。

153通常の名無しさんの3倍2021/05/13(木) 20:26:12.32ID:f/kkLiIg0
アムロ「……とにかく元気そうでほっとしたよ」
ヒイロ「それにしてもドラマ、か。
    俺ならテロリストが活躍するアクションドラマを推せんする。ああいう系統のは好きだ」
刹那「悪くないが藤子作品の実写ドラマはどうだ? 個人的にはA作品よりF作品だ」
マイ「オフィスラブはどう? ラブコメドラマ」

 マイ以外の家族はその言葉を聞いてとっさにモニクを想像した。
自分に視線が集中したことに気づかないマイは
そのまま好きなオフィスラブのシチュエーションをいくつも語っている。
それもひたすら甘い場面だ。
『職場で似たようなことをしているのかな? しているのだろうな』とアセムは半分あきれながら、
しかしそれを表情に出さずに口を開いた。

アセム「話を戻して他に好きなドラマのジャンルだと……、学園もの?」

 何人もの兄弟がアセムの意見にうなずく。

ロラン「料理ドラマはどうでしょう。出てくる料理がおいしそうなドラマです」
アル「なるほど。それならザクが活躍するドラマがいいよ」
セレーネ「人工知能が活躍するドラマ。技術者としてとても気になる」

アムロ「収拾がつかなくなってきたな。話題をドラマから変えるぞ」
セレーネ「変えるって?」
アムロ「名付けて『赤い洗面器の男』の話だ。昨日は晴天で雨降ってなかっただろう?
    それなのに昼間、シャアは水がたっぷり入った赤い洗面器を頭にのせて街を歩いていたんだ。
    俺がなぜそんなことをしていたか聞いてみると……」

 みんながアムロのその後話したオチに感心したりうなずいたり、あるいはびっくりしたりしている中、
ただ一人キラだけはドラマのあるジャンルのことを頭の中で考えていた。

154通常の名無しさんの3倍2021/05/13(木) 20:28:31.62ID:f/kkLiIg0
 次の日、キラは弟のシンや他の兄弟には内緒でデュランダルの家に足を運んでいた。
彼ならTV局のドラマ部門に顔がきくと考えてのことだ。さっそく昨日の晩のことを話す。

キラ「大家族ドラマというジャンルの放送はどうでしょうか。
   たくさんの人間が一つの家に住む中、笑いあり涙あり、そんなドラマの企画をぜひ」
デュランダル「それは君達の家庭の話なのでは……」

キラ「えっ? あっ!」
デュランダル「自分で考えていて気がつかなかったのかな? よほど家族のことが好きなのだね」


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最終更新:2023年05月11日 13:04