迷犬ルパンの蒸発


1985年2月
カッパノベルス
1989年1月
光文社文庫
(現在、各社電子文庫で入手可)


東京近郊で発生した殺人を皮切りに、伊勢志摩から南紀一帯まで舞台を広げつつ起きる連続殺人事件を描くトラベルミステリ。
本作では、第一の殺人を捜査中に朝日刑事ルパンが喧嘩別れし、そのまま思わぬいきさつでルパンは南紀へ向かうことになり、珍しくコンビが別行動を取りながら事件を追うことになる。
ルパンとゲストヒロインが彷徨する南紀一帯の描写は詳細で、トラベルミステリの趣が強い。
次々に登場する登場人物が、一見偶然の糸に操られて巡り会っているように見えて、実は必然の出会いであったことが解き明かされていく展開は見事。
坂西弥太郎(未)とね子(未)夫妻が登場し、朝日やルパンと出会って辻ミステリ世界の連携をまた一つ繋いでいるのが嬉しい。
事件関係者の1人である歯科医・矢吹厚とその妻・澪子は、澪子が身体にハンディキャップを負っているために、身体の関係を持てていない。こうした性的ハンディを負っているカップルが、神保亜子永坂進吾を始めとして、辻ミステリに何組かいるのが興味深い。

東京近郊の廃病院から女性の他殺体で発見され、その身元は朝日がかかってい歯科医・矢吹厚の従姉妹である立花夕貴と断定された。その捜査中にささいなことで朝日と喧嘩したルパンは、自殺未遂の女性を助けたことから、あるロックバンドと同行して、伊良湖から鳥羽、白浜、南紀へと長い旅に出ることになる。
一方、ルパン抜きで苦しい捜査を強いられる朝日も、捜査の果てに南紀に向かう。
その間にも、殺人が繰り返され、もつれた運命の糸は朝日自身をも危機に陥れることになる。
やがて発生した連続殺人に、朝日とルパンが挑んでいく。
最終更新:2018年10月15日 22:53
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