~1月中旬 とある夜 一方通行邸~
差出人:ワースト
<
[email protected]>
件名:Re:Re:
日付:20yy/m/d 21:16
───────────────
そっか、じゃあ仕方ないね。
また別の機会にってことで。
一方通行 「……」
一方通行 (また、断っちまったンだなァ……)
一方通行 (これで何回目だよ)
一方通行 (カウントダウンイベントに水族館に……)
一方通行 「やれやれだぜ……」ズズ...
一方通行 (声掛けてもらえるのは悪くねェが)
一方通行 (人間が多い場所じゃ、杖付いてる俺は足手まといにしかならねェ)
一方通行 (もっと静かな場所ならな……アイツはどっちかつうと派手好きだからなァ)
打ち止め 「」ミョンミョン
一方通行 「」ハァ
打ち止め 「なに溜息ついてるのー、ってミサカはミサカはあなたの背後から携帯をぶんどってみる!」バッ
一方通行 「あっ、おいコラ!」
打ち止め 「またお断りしたの!? ワーストが可哀想、ってミサカはミサカは同情を隠せない」
一方通行 「オマエには関係ねェ」
打ち止め 「関係あるもん! 姉妹だもん! ってミサカはミサカは正当性を主張してみる!」プンスコ
一方通行 「はいはい、そォでしたねェ、お姉ちゃン」
打ち止め 「……ワーストのこと、嫌いなの? ってミサカはミサカは確認してみる」
一方通行 「ンでそォなるンだ!」
打ち止め 「だってワーストのお誘い断ってばっかり、ってミサカはミサカは理由を述べてみる」
一方通行 「……」
打ち止め 「どうなの?」
一方通行 「嫌いだったとしたら、オマエはどうすンだよ」
打ち止め 「え……それは……」
一方通行 「心配するな、嫌いなヤツを家に泊めるほど寛容でもねェよ」ガシガシ
打ち止め 「はわわ、ってミサカはミサカは髪がグシャグシャになっちゃうー」
一方通行 (とは言ったものの……向こうが凹ンでるかもしれねェのも確かか)
一方通行 (どォすりゃいいンだ……)
番外個体 「もうイヤぁ!」
結標 「?」
番外個体 「いつまでこんな微妙な距離を保ってるんだ!」
結標 「何の話よ」
番外個体 「ねえ、私の気持ちも一方通行なの?」ユサユサ
結標 「まずは落ち着きなさい」ピコッ
番外個体 「いたっ」
結標 「貴女が学園都市に来て10ヶ月ぐらい?」
番外個体 「そうだね……去年の3月半ばだったから」
結標 「で、ちょくちょく外泊してるけど、決定打に欠けるのよね」
番外個体 「決定打って?」
結標 「それは……ほら、そういうアレよ」
番外個体 「?」
結標 「まあ、あの漂白エノキだったら他の女に取られる心配はないんだろうけど」
番外個体 「なぐるぞ」
結標 「あら? やっぱり愛しの彼を貶されるのは我慢ならないのね?」クスクス
番外個体 「……」ジジジ
結標 「ほらほら、漏電してるわよ」
番外個体 「誰のせいだと」
結標 「そんなことより。貴女としては次のステップに進みたいのよね?」
番外個体 「どうなんだろ……最初は、傍に居られるだけでもいいと思ってたのに」
結標 「現状に満足できなくなってきてるんでしょ? そんなもんよ」
番外個体 「こうなったら、あの人のチョーカーに電気で干渉して」
結標 「見てる分には面白そうだけど、早まるのはやめておきなさい」
番外個体 「あーもー」ガシガシ
結標 「見てて焦れったいのよね。貴女達の関係ってさ」
番外個体 「それ言い出したら淡希だって海原さんと」
結標 「今は私の話はいいのよ」
番外個体 「な、なんでよ」
結標 「こっちの方が面白そうだもん」
番外個体 「」
番外個体 (あとでこっちのターンになったら弄りまわしてやる)
結標 「あれ? でも貴女がバイトしてる店にはちょくちょく来てるんじゃなかった?」
番外個体 「……店にはちょくちょく来てくれるけど、コーヒー目当てだろうね」
結標 「それはどうかしら?」
番外個体 「いや、コーヒー目当てだよ。ここのコーヒーは悪くねェ、って言ってたもん」
結標 「ふーん……つまり、貴女が淹れたコーヒーがお気に入りってことね」
番外個体 「」
結標 「だって飲み物は貴女の担当でしょ?」
番外個体 「そ、そうだけどさ、別に私が淹れたから特別って訳でも……ただのカフェイン中毒でしょ」
結標 「だったら缶コーヒーでもカフェイン錠剤でもいいじゃない」
番外個体 「むぐ……」
結標 「分かったでしょ? 少なくとも向こうは貴女を悪く思ってない。ならすべきことは一つよ」
番外個体 「なに」
結標 「思いの丈をぶつけなさい」
番外個体 「それってつまり、告白しろってこと?」
結標 「うん」
番外個体 「はあ……うすうす分かってたけど、そうしたほうがいいよね」
結標 「分かってるなら話は早いわね」
番外個体 「ええと、ま、え、か、ら……」カチカチカチカチ
結標 「はい、没収」フッ
番外個体 「あ、返せ!」
結標 「なにメールで済まそうとしてるのよ!」
番外個体 「……分かったよ。紙とペン貸して」
結標 「直接言いなさい!」
番外個体 「…………む、無理」
結標 「何を怖気付いてるの」
番外個体 「どういう風に言えばいいか分からないし……」
結標 「思ったまま言えばいいのよ」
番外個体 「そうかもしれないけど」
結標 「もー、貴女らしくないわね」
番外個体 「……淡希だったらなんて言うの?」
結標 「え?」
番外個体 「ほら、このウサギさんを海原さんか何かだと思って」
結標 「そ、そんな考えてないわよ」
番外個体 「考えるな、感じるんだ」
結標 「あ……」
番外個体 「思ったまま言えばいいんでしょ?」
結標 「え、えと……」
番外個体 「さあ!」
結標 「~っ」プルプル
【携帯電話】<トーキヲカーケー アナターノ スーガタサーガシ イーキテキター♪
結標個体 「「」」ビクッ
番外個体 「……」
結標 「ほ、ほら。電話なってるわよ?」
番外個体 「……逃げんなよ」ピッ
<もしもし……うん、どうしたの?
結標 (助かった……?)
結標 (それにしても、あの着メロ)
結標 (あの後に続く歌詞って確か……)
結標 「……ま、そこまで考えてないわよね」
番外個体 「はいはい、それじゃね」ピッ
結標 「終わった?」
番外個体 「うん、ゴメンゴメン」
番外個体 「ええと、それで。淡希の告白の予行練習だったね」
結標 「なんでよ!」
<コンコン
番外個体 「? はい?」
<お風呂あとお二人だけですので。お湯抜いておいてくださいな。
結標 「わざわざゴメンね」
番外個体 「……はー、仕切り直し? 風呂入ってくるかな」
結標 (今度こそ助かった……?)
~同日夜 きぬはた荘 バスルーム~
結標 「で、結局どうするの?」チャプ
番外個体 「その前に。何当たり前のように一緒に入ってんの」
結標 「貴女出るの待ってたら遅くなるじゃない」
番外個体 「……何かしようとしたら放電s「するかボケ!」
結標 「別に一緒に入るのだって初めてじゃないでしょ」
番外個体 「一人になりたいときだってあるんですゥ」
結標 「お邪魔してゴメンなさいねー」
番外個体 「…………さっきの、話だけど」
結標 「うん?」
番外個体 「告白するとか、それより前にやることがあるような気がして」
結標 「なに?」
番外個体 「いや、どっちを先にすべきなんだろうなあ。そこよく分からないけど」
結標 「私には貴女が何言ってるか分からない」
番外個体 「」ブクブクブクブク
結標 「沈むな」
番外個体 「プハ……要は、私だけじゃないってこと」
結標 「ライバルってこと?」
番外個体 「うん。最小にして最大のライバルがいる」
結標 「ほっといても……ってワケにはいかないか」
番外個体 「そっちをどうするべきかと思ってて」
結標 「それとなく向こうの出方を窺ってみたら? ライバルさんと交流があるなら、だけど」
番外個体 (交流があるどころの話じゃねーぞ)
結標 (でもそれって……考えてみたら私にも言えることよね)
番外個体 (告白したとして。どっちに転んでも、最終信号に会いづらくなるよね……)
結標 (大覇星祭以来、あの義妹さん?とは仲良くさせてもらってるけど……
一歩踏み込んだ時、これまで通りに接し合うことができるのかしら)
結標個体 「「はあ……どうしよ」」
~30分後 きぬはた荘 リビング~
番外個体 「うあー、のぼせた……」グッタリ
結標 「あぅー」グッタリ
番外個体 「淡希ー、部屋まで飛ばしてー」
結標 「無理ー、演算できる頭じゃない」
番外個体 「正直、このまま寝たい」
結標 「同感だけど、確実に風邪ひくわよー。髪も乾かしてないし……」
番外個体 「んなのいつもだし」
結標 「乾かせって言ってるでしょ」
番外個体 「ねー」
結標 「んー?」
番外個体 「私たち、どうなるのかなー」
結標 「どうなるのかしらね」
番外個体 「結局さー……フォローがどうとかって話してたけど」
結標 「けど?」
番外個体 「それってさ、ただの欲張りだよね」
結標 「……そうよね。でも、何も失いたくないって思うのは当然のことよ」
番外個体 「そうだけど……そうじゃなくて……」
結標 「言いたいことは分かるわよ。自分は傷つきたくない、他の人も傷つけたくない。
そんなのは都合がよすぎませんかってことでしょ」
番外個体 「そんな感じ」
結標 「別にいいじゃない。ちょっとぐらい欲張ったって」
番外個体 「……そうなのかな」
結標 「そうなのよ」
番外個体 「断言したね」
結標 「だって私、欲張りだもの」
番外個体 「はは、そりゃ結構なことで」
結標 「……ねえ、真琴。ツラくなったらいつでも言いなさい」
番外個体 「淡希もね」
~翌日 第7学区 とある病院 屋上~
結標 「」カシュッ
結標 「……ふう」
<キィ バタン...
結標 「おかえり。検査は終わったの?」
番外個体 「うん。いつも通り」
結標 「そ、よかったわね。ほら、奢りよ」ポイッ
番外個体 「(パシッ)糖分増量カフェオレ? 趣味悪ーい」
結標 「イヤなら返しなさい」
番外個体 「いただきまーす」カシュッ
結標 「それ、私でもどうかと思うぐらい甘いのよね」
番外個体 「…………うぇっ、激甘」
結標 「甘すぎないほうが丁度いいかしら? コーヒーも人間関係も」
番外個体 「微糖ぐらいがいいでしょ。ブラックみたいに苦い関係も微妙だし」
番外個体 「にしても、なんで寒空の下で待ってたの? 中にも待合室ぐらいあるのに」
結標 「こっちの方が人が少なくて落ち着くのよ……ちょっと寒いけど」
番外個体 「寒さには弱いんだね、露出狂なのに」
結標 「なんか言った?」
番外個体 「別に」
結標 「貴女、この後は?」
番外個体 「午後からバイト。だから、わざわざ病院まで付いてきてくれなくてもよかったのに」
結標 「別に貴女のためだけじゃないもの」
番外個体 「なに、なんか用があるの?」
結標 「んー、お見舞い?」
番外個体 「ふーん」
結標 「もう病院の食堂空いてるでしょ? お昼ぐらい付き合いなさい」
番外個体 「ま、それぐらいの時間はあるかね」
結標 「行きましょうよ。混む前にさ」
~とある病院 食堂~
結標 「にしても今朝は散々だったわ」
番外個体 「まさか二人してリビングで寝ちゃうとはね」
結標 「しかも暖房つけっぱなしよ。滝壺さんに怒られちゃった」
番外個体 「あの状態で寝るなっつうほうが無理」
結標 「まあね。でも、第一発見者が滝壺さんで良かったわ」
番外個体 「海原さんか浜面さんだったら確実に死んでた。恥ずかしさで」
結標 「あられもない姿だったものね。風邪ひかずに済んだのも幸運だわ」
番外個体 「ホントだよ……あ、やば! もう行かないと!」
結標 「飛ばしてあげよっか?」
番外個体 「いや、ここからなら近いから大丈夫」
結標 「頑張りなさい。色々とね」
番外個体 「そっちもね」
<ダダダダダ
<おい、そこのバカ!病院でパルクールしてんじゃねぇ!(ズガン)
<その病院でビーム撃つ人に言われたくないし!
結標 「……さて、私も行きますか」
結標 (と言っても、何話すかなんて考えてないけど)
結標 「ま、なんとかなるわよね」
【伝票】<ハーイ
結標 「……あれ?」
結標 「真琴、自分の分ぐらい払っていきなさいよ……」
:
:
:
結標 「着いた着いた」コンコン
<誰だ?
結標 (悪意がないのはもう知ってるけど……もうちょっと言い方ってものをね)
結標 「入るわね」ガラッ
ショチトル 「ああ、貴女だったのか」
結標 「ええ、調子はどう?」
ショチトル 「変わりはない。良くも悪くもな」
結標 「でもちょっとずつよくなってるんじゃない?」
ショチトル 「あぁ……今日は、一人なのか?」
結標 「あら、やっぱりお兄ちゃんがいないと寂しい?」
ショチトル 「そっ、そそ、そんなんじゃない! むしろいない方が静かでいい!」
結標 「そんなこと言ってると、私がもらっちゃうわよ?」
ショチトル 「え?」
結標 「あ」
ショチトル 「も、もら、え、もらうって、え?」
結標 (口が滑っちゃった)
ショチトル 「お、お兄ちゃんはダメー!」
結標 「ちょ、ちょっと落ち着いて!」
~5分後~
ショチトル 「取り乱して済まなかった」
結標 「いえ、気にしないで」
結標 (さっきのが紛れもない本音なのよね)
ショチトル (油断していたとはいえ、私はなんということを……)
結標 「やっぱりお兄ちゃんを取られるのは我慢ならないんだ」
ショチトル 「そ、そうではない! そうではなくて……あの」
結標 「あの?」
ショチトル 「そうだ! あのロクデナシに引っかかる犠牲者を増やしたくないんだ!」
結標 「それで"お兄ちゃんはダメ"?」
ショチトル 「そ、そういうことだ」
結標 「うん、貴女がお兄ちゃん大好きなのはよく分かったわ」クスクス
ショチトル 「」
結標 (……心苦しいわね、三角関係ってのも。でも……)
結標 「でも、私も好きなのよ?」
ショチトル 「……やっぱりな」
結標 「もっと驚いてくれると思ってたのに」
ショチトル 「貴女の前では隠し事もムダだからな。私は顔にすぐ出るんだろう?」
結標 「そんなことも話してたわね」
ショチトル 「なあ、分かっているんだろう? あの男は偽物だぞ?」
結標 「承知の上よ」
ショチトル 「だったらなぜ……」
結標 「子どもには分からないかしら?」
ショチトル 「なっ、はあぁ!? 大して違わないくせに!」
結標 「でもお姉さんのほうが年上よ?」ニヤニヤ
ショチトル 「ちょっとだけ! ちょっとだけじゃないか!」ムキー
結標 「ちょっとだけでも年上は年上だもん」
<ワギャー
<ビャース
冥土帰し 「……ふむ、賑やかだね?」
~第7学区 隠れ家的喫茶店~
<カランカラン♪
番外個体 「お大事にー」
マスター 「ミサワさん、間違っているのである」
番外個体 「……失礼しました。素で間違えました」
マスター 「少々疲れているようであるが」
番外個体 (昨日熟睡できてないからかな……)
マスター 「病院帰りということもあるし、あまりは無理はしない方が良い」
番外個体 「大丈夫ですよー、病院って言っても検査だけですから」
<カランカラン♪
番外個体 「いらっしゃいませー」
打ち止め 「いらっしゃいましたー、ってミサカはミサカはきちんと挨拶してみる」
番外個体 「あれ? 最終信号? 一人なの?」
打ち止め 「うん、黙って出てきちゃった! ってミサカはミサカはほくそ笑んでみる」
番外個体 「それって大丈夫なのかな……」
マスター 「注文は」
打ち止め 「グレープフルーツジュース! ってミサカはミサカは元気よく頼んでみる」
マスター 「了解した」
番外個体 「お金あるの?」
打ち止め 「あの人がくれたお小遣いがあるよ! ってミサカはミサカはゲコ太財布を見せつけてみる!」
番外個体 「ちょっと見せて……ねー、マスター」
マスター 「なんであるか」
打ち止め 「これぐらいの歳の子に、小遣いとしてクレカ一枚ってどう思います?」
マスター 「よろしくないであろう」
番外個体 「ですよねー」
打ち止め 「?」
マスター 「」カチャカチャ
打ち止め 「? ミサカ、ケーキは頼んでないよ? ってミサカはミサカは目の前に置かれたケーキを凝視してみる」
マスター 「試作品である。故に、代金は感想で頂くのである」
打ち止め 「マスターのおじさん、ありがとー! ってミサカはミサカは飛びついてみる!」ピョーン
マスター 「//」
番外個体 (マスター……)
打ち止め 「あ、それでねそれでね。今日はワーストに用事があるの! ってミサカはミサカはケーキに手をつけてみる」
番外個体 「?」
打ち止め 「ワーストもあのひふぉのほとってみはははみははは」
番外個体 「こら、飲み込んでから喋れ」ズビシッ
打ち止め 「……うー、ミサカにチョップはあの人専用なのに!」
番外個体 「で? 何?」
打ち止め 「ワーストもあの人のこと好きなんだよね? ってミサカはミサカは周知の事実を述べてみる」
番外個体 「は……な、なんで今その話をするのかな……」
打ち止め 「ふふーん」
~同日夜 きぬはた荘 バスルーム~
番外個体 「」ブクブクブクブク
結標 「」チャプ
番外個体 「だからなんでいるんだよぉ!」
結標 「さっさと入って、さっさと寝たいのよ」
番外個体 「好きにしろ、もう」
結標 「……今日ね、告白してきちゃった」
番外個体 「」ドボン
結標 「おい」
番外個体 「プハー……驚いてコケちゃったよ。海原さんに?」
結標 「ううん、妹さんに」
番外個体 「……淡希、闘わなきゃ現実と」
結標 「どう解釈してるのよ、貴女は」グイ バシャ
番外個体 「モボガボゴボガブボガブ」ジタバタ
番外個体 「ぇほっ……殺す気か!」
結標 「変なこと言うからでしょ」
番外個体 「はあ、それで? どういう意図でやらかしたの?」
結標 「正直……深く考えてなかった」
番外個体 「なんだそれ」
結標 「会話の流れの中で、つい言っちゃったというか」
番外個体 「……それ、後々ややこしくならない?」
結標 「なるようになるわよ。中々進展しないから、とにかく動きたかったの」
番外個体 「一石を投じる、ってヤツ? さあ、この先どう動くのかねぇ」
結標 「さてね……貴女はどうしてるのよ」
番外個体 「……何もなくはない」
結標 「あら、聞き捨てならないわね」
番外個体 「でもヒミツ」
結標 「ずるい! 私だって話したでしょ!」
番外個体 「聞いてないもん。そっちが勝手に話し始めたんでしょ」
結標 「ぐぬぬ……」
~30分後 きぬはた荘 リビング~
番外個体 「はー、風呂上がりに飲む冷えた缶コーヒーのうまいこと」
結標 「コーヒーばっか飲んでるとペッタンコになるわよ」
番外個体 「あれは都市伝説と解釈した」
結標 「信じる信じないは自由だけどねー」ズズ...
番外個体 「だったら、淡希こそコーヒーを飲みまくるべきじゃない?」
結標 「なんでよ」
番外個体 「邪魔でしょ? そんなにあったら」
結標 「…………なに、羨ましいの? 僻んでるの?」
番外個体 「は? そ、そんな訳……」
結標 「そーだもんねー、貴女は性格や顔つきと真逆で胸は慎ましやかだもんねー」
番外個体 「」ヒクッ
結標 「ゴメンねー、すぐ気付いてあげられなくってー」タユン
番外個体 「……もう許さん」
結標 「えっ? ちょ、目が笑ってないわよ? ねぇ、冗談……ひっ……!?」
結標 「」プスプス
番外個体 「……」
番外個体 (最終信号はどういう意図があって、あんな話をしたんだろ)
~遡ること半日~
番外個体 「は……な、なんで今その話をするのかな……」
打ち止め 「ふふーん」
番外個体 (え、何この勝ち誇った笑みは)
打ち止め 「ワーストって、いつもあの人誘っては断られてるよね? ってミサカはミサカは核心をついてみる」
番外個体 「!?」
マスター (気配が変わったであるな。痛いところをつかれたか)
番外個体 「……で? それがどうかした? あなたには関係ないでしょ?」
打ち止め (う、ちょっと恐いかも……)
マスター 「ミサワさん、少々大人気ないであるぞ」
番外個体 (あー、そうだよ。誘っては断られ、今年に入ってから3連敗、通算11連敗中だよ)
番外個体 (大覇星祭のときは向こうから誘ってくれたのにな……あれ? でも考えてみたらそれ以来……)
番外個体 「…………どうせ」ウルウル
打ち止め 「あっ、違う、違うの! ミサカの話聞いて! ってミサカはミサカはワーストのエプロンを引っ張ってみる」グイグイ
番外個体 「話って……?」
打ち止め 「んーと、どこから話そうかな……」
番外個体 「……いいんだよ、最終信号。私にも問題はあったんだろうし」ナデナデ
打ち止め 「え?」
番外個体 「やっぱり、あの人にとって私は」
打ち止め 「違うってばー!」ポカポカ
マスター 「ミサワさん、やはり今日は本調子ではないようであるな」
番外個体 「そんなことは……」
マスター 「無理はするものではない。今日は帰って休むのである」
番外個体 「ご、ゴメンなさい……」
マスター 「この子の飲食分は給料から天引きしておくであるから、安心するのである」
番外個体 「……ぎゃふん」
:
:
:
番外個体 (何やってるんだかなぁ……)
番外個体 「」ズーン
打ち止め 「ワースト、大丈夫? ってミサカはミサカはあまりの落ち込みっぷりに若干引いてみる」
番外個体 「」ポケー
打ち止め 「ね、ねえ、そのままでいいから聞いて、ってミサカはミサカは本題を切りだしてみる」
番外個体 「んー?」
打ち止め 「あの人はね、ワーストが嫌いだから断ってるんじゃないよ! ってミサカはミサカは真相を述べてみる!」
番外個体 「それってどういう……」
<あ、いやがったなクソガキ!
番外止め 「「!?」」
一方通行 「テメェ、フラフラと出歩きやがって! 何考えてやがる!」
打ち止め 「あっ、もしかして探しにきてくれたの!? ってミサカはミサカはBダッシュ!」
一方通行 「ったく……悪かったな、また世話かけちまって」
番外個体 「……ううん、いいよ」
一方通行 「何シケたツラして……」
一方通行 (やっぱ気にしてンのか?)
番外個体 「私もう帰るね」
一方通行 「あ、あァ」
打ち止め 「……」
~今に至る~
番外個体 「あぁぁぁ、なんであんな言い方しちゃったんだよぉぉぉ!」
結標 「あいたたた……」
番外個体 「でもあの人もさ……ちょっとぐらい引き止めてくれたっていいじゃん」
結標 「あ! 服コゲちゃってるじゃない!」
番外個体 「うーーー」ジジジジ
結標 「ちょっと漏電やめてよ。こっちは電気がトラウマになりかけてるんだから」
~数日後 とある病院~
ショチトル 「」ペラペラ
ショチトル 「この雑誌も読み飽きたな」ポイ
ショチトル 「……」
――でも、私も好きなのよ?
ショチトル 「冗談には聞こえなかった……」
ショチトル (お兄ちゃんを取られる?)
ショチトル 「……でも、あの人は私とも姉妹みたいに接してくれるし……」
ショチトル 「どうすれば……」
<コンコン
ショチトル 「? 誰?」
<ガラッ
海原 「やあ、調子はいかがですか」
ショチトル 「なんだ、エツァリか」
海原 「? 今日は機嫌が悪いようですね」
ショチトル 「そんなことはない」
海原 「まあまあ、お土産に鳩山サブレを持ってきたので、これで機嫌を直してください」
ショチトル 「食べる」
海原 「どうぞ、たくさんありますからね」
ショチトル (人がこんなに悩んでるというのにこいつは……)サクサクサクサク
海原 「今日はいい天気ですね。屋上にでも出ますか?」
ショチトル 「寒いからいい。なあ……それより」
海原 「はい、牛乳ですね」
ショチトル 「違う! 例えば、例えばだぞ? 例えばの話なんだが」
海原 「?」
ショチトル 「異性から好意を向けられている時、エツァリならどうする?」
海原 「ほう、難しい質問ですね」
ショチトル 「……」
海原 「分かりませんね。生まれてこの方、女性に好かれたことがないので」
ショチトル (本気で言ってるの!?)
海原 「どうも僕は、そういう星のもとに生まれたみたいですね」ニコニコ
ショチトル (なんだか、一人で悩んでるのがアホらしくなってきた)
ショチトル (……そっか。そもそも悩む必要なんてなかったんだ)
ショチトル (決めるのはお兄ちゃんなんだから)
海原 「しかし、なぜそんな質問を?」
ショチトル 「さあな。だが、これだけは言っておく」
海原 「はい?」
ショチトル 「身近にありすぎると、逆に気付きづらいものなんだ」
海原 「?? はあ、わかりました」
ショチトル (お兄ちゃんが選ぶのが、私かあの人か)
ショチトル (どんな結果でも、お兄ちゃんが決めたことなら受け入れる……)
~その頃 きぬはた荘 番外個体個室~
番外個体 「……」
――ワーストが嫌いだから断ってるんじゃないよ!
番外個体 「……じゃあ、なんで来てくれないの? もう、わからないよ」
番外個体 「悩んでてもどうにもならない、よね。こうなりゃ一世一代の大博打だ」カチカチ
件名:
日付:20yy/m/d 15:25
───────────────
話したいことがあるの。
明日の朝8時ぐらい、会えないかな。
コンコン ガチャ
番外個体 「送信、っと……」
番外個体 (……まさか、これも、ダメ……?)
番外個体 「あ、返事きた。返信はいつも早いんだよね」
番外個体 「ッ……!」
番外個体 (……泣いちゃダメ……今度ばかりは食い下がらないと)カチカチ
件名:Re:Re:
日付:20yy/m/d 15:31
───────────────
お願い。15分だけでもいいから。
番外個体 「……」ピッ
番外個体 (お願い……!)
差出人:いっつう
<
[email protected]>
件名:Re:Re:Re:
日付:20yy/m/d 15:32
───────────────
どこ行きゃいいですか
番外個体 「!」
番外個体 「あ、あの公園のベンチで……」カチカチ
番外個体 「送信……」ピッ
番外個体 「……ふはぁ」ヘナヘナ
結標 「終わった?」
番外個体 「ふぎゃぁぁ!?」ビックゥ
結標 「そんな驚くことないでしょ」
番外個体 「テレポで侵入しないでよ!」
結標 「ドアから入ったわよ。でも貴女、携帯いじるのに夢中で気付かなかったんじゃない」
番外個体 「……マジ?」
結標 「それよりどうしたの? なんか深刻な表情してたけど」
番外個体 「……明日の朝、アイツに会えることになった」
結標 「あら、やったわね」
番外個体 「もう全部、洗いざらいブチまけてこようと思う」
結標 「そう……じゃあ、気合入れていかないとね」
番外個体 「服とか?」
結標 「それもだけど、他にもあるでしょ?」
番外個体 「?」
結標 「明日の朝、私の部屋に来なさい」
番外個体 「なんかあんの?」
結標 「ふふっ、ぱふぱふしてあげる」
~翌朝 きぬはた荘 結標個室~
番外個体 「来たけれども」
結標 「じゃあ、そこに座って」
番外個体 「?」ストン
結標 「ちょっと前髪あげるわよ……で、髪留めで」バチン
番外個体 「いてて。なにするつもりなの?」
結標 「メイクアップ」スチャ
番外個体 「メイク……化粧なんてするの初めてだよ」
結標 「いい機会だから、最低限のメイクぐらい覚えなさい」
番外個体 「気が向いたらね」
結標 「いずれ必要になるわよ? ちょっと目閉じて」
番外個体 「生きてる内に、こんな着飾る日が来るなんて思ってなかったな」
結標 「大袈裟なのよ」
:
:
:
結標 「うん、こんな感じでどう?」つ【鏡】
番外個体 「……うっわ。ここまで印象変わるんだ」
結標 「時間あれば、眉毛もいじりたかったんだけどね」
番外個体 「そこまでしなくても……」
結標 「ほら、仕上げぐらいは自分でやりなさい」
番外個体 「? なにこれ? 印鑑?」
結標 「バカ、リップよ。それはあげるわ。ちなみに、新品だからね」
番外個体 「別に古いので良かったのに」ヌリヌリ
結標 「そしたら間接キスすることになるじゃない」
番外個体 「……新品ありがと」
結標 「できたわね。いい感じじゃない」
番外個体 「変じゃないかな」
結標 「ギャップ萌えって知ってる? 普段ラフで横着な貴女がこうすることによって」
番外個体 「うるさい、ほっといてよ」
結標 「……ほら、もう行きなさい」クスッ
番外個体 「……行ってくる」
結標 「結果を楽しみにしてるわね」
番外個体 「うん」
結標 「泣きたいんであれば、胸ぐらいは貸してあげるから」
番外個体 「そうならないといいんだけどね」
最終更新:2011年04月02日 04:14