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~同日 第7学区 とある公園 ベンチ~

番外個体 「……ちょっと早かったな」

番外個体 「ここ、学園都市に来てから初めてあの人と話した場所で」

番外個体 「ピアスをもらったのもここだったね」

番外個体 「」ポスン

番外個体 「ここまで来たんなら考えてもムダだよね」

番外個体 「思ったまま言え、って言ってたし」

番外個体 「……お、来たかな」

番外個体 「深呼吸深呼吸……」

 ザリッ

番外個体 「やっほう。お早い到着だね」

一方通行 「待たせちまったか?」

番外個体 「いんや、全然。さっき来たばっかだし」

一方通行 (なンだこいつ……いつもと感じが違くねぇか……?)

番外個体 (う、ダメだ……心臓がバクバクいって喉から飛び出そう……)

一方通行 「で? 人をこんな早朝に呼び出してなンの用だ?」

番外個体 「8時で早朝って……ま、いいや。んーと、まず」

一方通行 「なンだよ」

番外個体 「私が……ど、どっか誘っても来てくれなくなったのは、なんで?」

一方通行 「……」

番外個体 「あなたは数えてないだろうけど、11連敗だよ?
       私に問題があるなら、言ってくれたほうがまだマシなんだけど」

一方通行 「オマエの問題じゃねェよ……チッ、やっぱ気にしてンのか」

番外個体 「……なにそれ。どういう意味?」

一方通行 「あー、なンだ。見ての通り、俺は杖なしじゃマトモに歩けねェ。
       オマエが誘ってくるような人の多い場所に行くには向かねェ身体なンだよ」

番外個体 「もしかして……迷惑かかると思ってた?」

一方通行 「……オマエだって、介護したいワケじゃねェだろ」

番外個体 「………………ぷ」

一方通行 「あァ!? 今笑ったなァ!?」

番外個体 「だってだって! あなたそんなキャラだっけ? しおらしくなっちゃって。
       やめなよ、似合ってないからさ」

一方通行 「テッメェ……人が気を使ってやってンだろォがァ!」

番外個体 「だから似合ってないんだって。……私たちには」

一方通行 「……?」

番外個体 (ちょっと笑ったら力が抜けた。感謝しないとね)

番外個体 「気を使い合って、遠慮し合うような仲でもないでしょ?」

番外個体 「憎まれ口たたき合って、小馬鹿にしたみたいに笑ってあげるほうが私たちっぽくない?」

一方通行 「……」

番外個体 「だから、私が隣にいる時ぐらいはあなたは何も気にしなくていい。
       別にそれで迷惑だとか絶対に思ったりしないから」

一方通行 「オマエ……」

番外個体 「だって、私」

番外個体 (言え、言うんだミサカ!)

番外個体 「……あなたのことが大好きだから」

一方通行 「!?」

番外個体 「」プシュー

番外個体 (言ってやった言ってやった!)

一方通行 「オイ……頭のネジ外れちまったのか?」

番外個体 「……外れてるのは生まれつきだよ。本気で、言ってるんだから、ね?」

一方通行 「俺は……」

番外個体 「聞きたくない」

一方通行 「あァ?」

番外個体 「俺は悪党だとか、オマエの姉妹をどうとかいう話はいいよ」

番外個体 「それは百も承知。あなたが答えるべきは"イエス"か"ダー"のどっちか」

一方通行 「オマエそれどっちも肯定の返事じゃねェか……」

番外個体 「……今すぐじゃなくていいから、ちゃんと返事してね」

番外個体 「じゃ私、バイト行くから」ダッ

一方通行 「あ、オイ!」

一方通行 「なンなンだよ……」


~第7学区 とある路地~


番外個体 「はあはあ……う……」

番外個体 「……あれじゃ逃げてきたみたいじゃん」

番外個体 「でも、言えたよね」

番外個体 「思ってたことは全部……」

番外個体 「……よし、後は返事を待つだけ」

番外個体 「店に行かないと」



~その頃 一方通行邸~


一方通行 「」キィ バタン

打ち止め 「あ! どこ行ってたのー! ってミサカはミサカは出迎えてみる」

一方通行 「なンだ、起きてたのか」

打ち止め 「起きたらいないから心配したんだからね! ってミサカはミサカは!」ポカポカ

一方通行 「悪かった。コーヒーが切れてたからコンビニ行ってたンだよ」ナデナデ

打ち止め 「……でも、手ぶらだよね? ってミサカはミサカは訝しんでみる」

一方通行 「うるせェ。我慢できずに飲ンじまったンだよ」

打ち止め 「ふーん。それよりお腹すいたー! ってミサカはミサカは朝食を催促してみる」

一方通行 「はいはい、少々お待ちくださァい」

打ち止め (ホント、ウソはヘタなんだから)

 :
 :
 :

打ち止め 「ねーねー、今日はワーストのお店行かないの? ってミサカはミサカは今日の予定を確認してみる」

一方通行 「あー……どうすっかねェ」

一方通行 (バイト行くっつってたから、今日はいるンだよなァ)

打ち止め 「この間行ったらワーストお休みでガッカリしたよね、ってミサカはミサカは辛い思い出を噛み締めてみる」

一方通行 「ンなもン噛み締めンな」

一方通行 (ガッカリした……? してたのか? 俺は……)

打ち止め 「」ポイポイ

一方通行 「打ち止めさァん? なんで俺の皿にミニトマト投げ入れてるンですかねェ?」


~数時間後~


一方通行 「」ポケー


  ――ちゃんと返事してね。


一方通行 (何を……返事しろってンだよ)

一方通行 (アイツはああ言ってた。なら、俺はアイツをどォ思ってる?)

一方通行 (……俺はアイツを……だが……)

打ち止め 「ラストオーダープレーース!」ピョーン

一方通行 「ぐぼうェ!?」

打ち止め 「ってミサカはミサカはフィニッシュムーブを披露しt(ズビシ)ふぎゃ」

一方通行 「それヤメロって何度言ったらわかンだァ!」ズビシズビシズビシ

打ち止め 「痛い痛い! だってあなた、朝から上の空だから元気づけてあげようと思って!」

一方通行 「」ピタッ

打ち止め 「ワーストのこと? ってミサカはミサカはカマをかけてみる」

一方通行 「……オマエには関係ねェ」

打ち止め 「あなたはもっと自分に素直になるべき、ってミサカはミサカはアドバイスしてみる」

一方通行 「オマエは素直すぎンけどなァ」

打ち止め 「ねえ、聞いて。ミサカはね」

打ち止め 「あなたとずっと一緒にいたい。でもそれ以上に、あなたが普通の幸せを手に入れることを
       願ってるんだよ? ってミサカはミサカはこれまで口にしなかった本音を暴露してみる」

一方通行 「……」

打ち止め 「あなたがもう少しで、自分の手で幸せを掴めるなら、それを掴んできてほしいの、
       ってミサカはミサカは背中を蹴飛ばしてみる」ゲシッ

一方通行 「打ち止め」

打ち止め 「ひゃい!?」

一方通行 「ありがとな」ナデナデ

打ち止め 「ふにゃー」

一方通行 「ちょっと出てくる。夜までには戻るからな」

打ち止め 「いってらっしゃーい、ってミサカはミサカは元気よく見送ってみる!」


<バタン


打ち止め 「……頑張って、ってミサカはミサカは応援してみる」

打ち止め 「……」

打ち止め 「でもやっぱくーやーしーいー!!」バタバタ



~第7学区 隠れ家的喫茶店~


<最近平和で……
<いいことだ。
<それより聞いてよ。


マスター 「あのトリオ、最近ちょくちょく来るであるな」

番外個体 「三人のうち二人はよく知ってる顔なんですよね」


<カランカラン♪


番外個体 「いらっしゃいm……って」

一方通行 「よォ」

番外個体 「い、いつものでいい?」

一方通行 「あァ」

番外個体 (まさか来るとは……)カチャカチャ

番外個体 「はい、お待たせ」

一方通行 「……さっきの返事だ。聞いてくれるか」

番外個体 「は? 今? ここで?」

マスター (なんか始まったであるぞ)

一方通行 「正直言うとな……オマエが望むような関係になれる自信はねェ」

番外個体 「……」

一方通行 「だが、オマエのことは好きだし護りたいと思ってる。そこに嘘偽りはねェよ」

番外個体 「えっ……」

一方通行 「何があろうともオマエを護ってやる。だから……」

番外個体 「……だから?」

一方通行 「ずっと傍にいてくれねェか?」

番外個体 「」パチクリ

番外個体 「……う、ぁ……」ポロポロ

一方通行 (な、泣くほどイヤか!? クソ、どこで失敗した……!)

番外個体 「一方通行ぁぁぁ!」ダキッ

一方通行 「え、オイ!?」

番外個体 「私が……私なんかで、よければ……ずっと傍に、いて……」グスグス

一方通行 「あー、まず泣きやめ」

番外個体 「うん……でも……1ついいかな……」

一方通行 「なンだ?」

番外個体 「すごく嬉しいよ、嬉しいけどさ……」プルプル

一方通行 「ン?」

番外個体 「なんで今ここで言うかなぁ~~!!」

一方通行 「……なンかマズかったか?」

番外個体 「周り見ろ周り!」

一方通行 「?」

土御門 「お父さんは認めないにゃー!」

結標 「」ニヤニヤ

海原 「」●REC

マスター 「若さであるな」ウンウン

一方通行 「」

番外個体 「バイト先でこんな……もう嫁にいけない……」

結標 「そんな心配する必要ないじゃない。こいつがもらってくれるんだから」

一方通行 「あァ!? なンでそうなってるンだ!?」

海原 「なんでもなにも、さっきのはどう見てもプロポーズですよ」

土御門 「傍にいてくれねぇか」キリリッ

一方通行 「今死ね! すぐ死ね! 骨まで砕けろォ!!」カチッ


<総員撤退だにゃー!
<これ、披露宴で流します?
<テメェらァァァァ!!
<ケンカなら外でするのである。


結標 「……真琴、やったわね」

番外個体 「うん……ありがとね。次は淡希の番だよ」

結標 「分かってるわよ」クスッ

~同日夕方 第7学区 とある公園~


番外個体 「まーったく、人のバイト先で何してくれてるんだか」

一方通行 「アレは悪かった。今思い出すと、ねェわって思える」

番外個体 「しかも淡希とか海原さんが居る前でさ」

一方通行 「ンでアイツらがいるンだよ……」

番外個体 「もうなに? 第一位は空気の読めなさも第一位だったりするワケ?」プギャー

一方通行 「返す言葉もございませン……」

番外個体 「……でも、嬉しかった」

一方通行 「……」

番外個体 「ね、出会ったときのこと覚えてる?」

一方通行 「これ以上ない最悪の出会いだったしなァ、そうそう忘れられねェよ」

番外個体 「私はあなたを殺すために造られた"元"軍用クローン」

番外個体 「今となってはそんなつもりは毛頭ないけど、あなたを殺していいのは私だけ」

番外個体 「なので、私より先に死ぬことは絶対に許さないからね?」

一方通行 「……ハッ、俺を誰だと思ってやがる」

番外個体 「んー、どうかな。あなた、能力は最強だけど身体は貧弱そのものだし」

一方通行 「ほっといてくれ」

番外個体 「肉ばっか食べるのは、やっぱ虚弱体質を気にしてるから?」

一方通行 「……口は減らねェな」

番外個体 「そう思うなら……塞いでよ。口をさ」

一方通行 「……後から文句言うンじゃねェぞ」スッ

番外個体 「それはあなた次第だと思うけど」

番外個体 (淡希、リップもらっといて正解だったよ)

一方通行 「こォいう時、眼閉じるもンじゃねェの?」

番外個体 「このままがいい。あなたの目って近くでみると綺麗だから」

一方通行 「……ンなこと初めて言われたわ」

番外個体 「何度でも言ってあげるよ?」

一方通行 「よしてくれ、痒くなる」

番外個体 「だったらほら、口をふさg……っ、ん……」

番外個体 (……もう幸せすぎて、怖いぐらい……)



~数日後 きぬはた荘 番外個体個室~


番外個体 「それでね、一緒に寝よーって誘ったら部屋から追い出されちゃって」

結標 「……」

番外個体 「あんまりムカついたから、次の日の朝ごはんはあの人が大ッキライな
       ピーマンをふんだんに使ってあげて」

結標 「……」

番外個体 「それでも涙目になって食べようしてるところがまた……」

結標 「うん、その話を聞くのは今日6回目なんだけど」

番外個体 「え? そうだっけ?」

結標 「そうだっけじゃないわよ。それでなくとも幸せオーラ振りまいちゃって」

番外個体 「振りまいてるんじゃないよ、勝手に滲み出てくるんだよ」

結標 「同じよ!」

番外個体 「むー」

結標 「気持ちは分からなくもないけどね。ロシアから来て時間かけて、ようやく実ったんだし」

番外個体 「だよね」

結標 「でも程々にしておきなさい。白井さんとか血の涙を流してたわよ」

番外個体 「……善処する」

結標 「それより、いい加減あれ教えてよ」

番外個体 「あれって?」

結標 「決め手の一言」

番外個体 「」

結標 「ねー、なんて言ったの?」

番外個体 「あ、それは……」

結標 「後学のために、聞かせてほしいなー」

番外個体 「」ゴニョゴニョ

結標 「聞こえない」

番外個体 「……あなたの事が大好きだから」

結標 「あら、ストレートでいいじゃない」

番外個体 「……う」

結標 「? ちょっと?」

番外個体 「うああああ///」バタバタ

結標 (何これ可愛い)

番外個体 「……今にして思えば、よく言えたもんだよ」

結標 「そんなもんよ」

番外個体 「で、淡希はどうするつもりなの?」

結標 「それなんだけどね……」

番外個体 「?」

結標 「明日、食事に行く約束を取り付けてるの」

番外個体 「そこで、ってこと?」

結標 「どのタイミングか……どっちみち、その日のどっかで決着は付けてくるわよ」

番外個体 「……どう伝えるつもりなの?」

結標 「貴女に言ったとおり、思ったまま言ってくるわよ」

番外個体 「うん、それでいいと思う」

結標 「はあ……今日眠れるかしら」


~翌日夕方 第7学区 隠れ家的喫茶店~


番外個体 「まさか、ここで待ち合わせするとは……」

結標 「だってここ、縁結びのご利益がありそうじゃない」

マスター 「あんなことがあったであるからな」

番外個体 「……すいません」

マスター 「責めてるつもりはない。若さとは良い物である」

結標 「ね、今日の服装、変じゃないかな?」

番外個体 「いや……いいんじゃないかな。ていうか」

結標 「?」

番外個体 「いつもの露出狂趣味はどこに行ったやら」

結標 「露出狂じゃないって何度言えば分かるのよ!」

番外個体 「マスターはどう思います?」

マスター 「落ち着いていて良いのではないか」

結標 「さすが、マスターは分かってらっしゃるわ」

番外個体 「で、今日のプランは考えてあるの?」

結標 「それなりにはね」


<カランカラン♪


番外個体 「いらっしゃいませ……あ、海原さん」

海原 「おや、先を越されていましたか」

結標 「時間通りね」

海原 「すいません。もう少し早く来るつもりだったんですが」

番外個体 「何か頼む? それともそのまま行く?」

海原 「何も頼まないのも失礼ですしね。烏龍茶を1つ」

番外個体 「はいはーい」

結標 「今日はどういうお店に連れて行ってくれるの?」

海原 「色々考えたんですが、やはり結標さんのご意見も伺いたいかと」

結標 「私は別に……なんでもいいけど」

海原 「うーん、一番困る返答ですね」ニコニコ

結標 「あっ、じゃあ……魚」

海原 「心得ました。魚料理なら、評判のいいお店を知ってますよ」

番外個体 「お待ちどうさま」カチャ

海原 「あ、いただきます」

結標 「それ飲み終わったら行きましょうよ」

海原 「ええ、そうしましょうか」

 :
 :
 :

番外個体 「はい、まいどどうも」

海原 「ごちそうさまでした」

番外個体 (……淡希、頑張って)チラッ

結標 「」コクリ


<カランカラン♪


マスター 「……あの二人も、そういうアレであるか」

番外個体 「そういうアレです」


~同日 第5学区 とあるレストラン~


結標 「へー……貴方と来ると、いつも落ち着いて雰囲気のお店よね」

海原 「ええ、どうしてもそうなってしまいますね」

結標 「ガヤガヤしてるよりはずっといいわね」

海原 「結標さんは静かなところがお好きかと思いまして」

結標 「えっ……あ、よくわかってるじゃない」

海原 「さて、何にしましょうか?」

結標 「んー、どうしよっかなー」ペラペラ

海原 「……」

結標 「♪」

海原 「……」ジー

結標 「? ど、どうしたの?」

海原 「あぁ、いや、なんでもないですよ」

海原 (気のせいか、いつもと雰囲気が違いますね)

海原 「それにしても、先日の事件は驚かされたましたね」

結標 「事件?」

海原 「あの喫茶店での出来事ですよ」

結標 「ああ、あれね」

海原 「まさか、彼の口からあんな言葉が飛び出るとは」

結標 「んー、でもあそこまでキッパリと言われるとすごい嬉しいと思うわよ?」

海原 「結標さんでも言われれば嬉しいですか?」

結標 「そりゃね」

海原 「……」

結標 「……どうしたの、さっきから」

海原 「あ、すいません。ちょっと考え事を」

結標 「人と話してる最中に考え事って……失礼ね」

海原 「はは、これは失礼しました」

海原 (どうにも……先日、ショチトルが言っていたことを思い出してしまいますね)

海原 (ですが……)

結標 「そういえば、妹さんの調子はどうなの?」

海原 「えっ、ええ。経過は順調だそうですよ」

結標 「そう、よかったわね。……あれぐらいの歳だと、もっと色々したいでしょうに」

海原 「そうですね。結標さんと会えるのがいい刺激になってるみたいですよ」

結標 「私が?」

海原 「いつぞや、姉ができたようだと言っていましたよ」

結標 「そんな、大したことしてないのに」

海原 「ですが、いい方向に向かっているのは確かですよ。僕からもお礼を言わせてください」

結標 「だったら私と……」ゴニョゴニョ

海原 「?」

結標 「ご、ゴメンなさい。なんでもないの」

結標 (まだ言うには早いわね……)

海原 「? は、はあ」

結標 「ね、この後ってどうするつもりなの?」

海原 「この後ですか? 特に考えていませんが」

結標 「ちょっと……ちょっとだけでいいの。付き合ってくれない?」

海原 「構いませんよ」

結標 「そう、悪いわね」

海原 「いえいえ、お気になさらず。どちらに向かうんですか?」

結標 (どこか人が少ない場所……となると)

結標 「家の近くの公園は? 初日の出を見た場所」

海原 「はい? そんなところに?」

結標 「なんかおかしい?」

海原 「いえ、どこかのお店だと思っていたものですから」

結標 「残念だったわね」クスクス

海原 「しかし、そんなところに行って何を?」

結標 「……話があるの。すっごい大事な話」

海原 「?」

結標 (いよいよね)


~2時間後 第7学区 とある公園~


結標 「夜は冷えるわね……」

海原 「まだ1月ですから」

結標 「ねえ、手が冷たいんだけど。気がきいてないわね」

海原 「おっと、これは失礼しました」ギュッ

結標 (……緊張してきた)

海原 「ところで、お話というのは?」

結標 「……まず、これから言う事は嘘でも冗談でもないからね」

海原 「はい」

結標 「貴方にとっては耳を疑うような話かもしれないけど、真剣に聞いてほしいの」

海原 「心得ました」

結標 (……落ち着いて、思ったまま言うのよ)

結標 「私、前から貴方の事が好きだった」

海原 「……は、え?」

結標 「いつからかしらね……自分でもよく分からないけど。でも、ね」

海原 「……」

結標 「貴方が、私が作った料理を黙って食べてくれたとき、すごく嬉しかったのは覚えてる」

海原 「あの、結標さん」

結標 「どうしたの?」

海原 「僕の正体をご存知なのでは? この顔だって借り物」

結標 「貴方、私が顔だけでここまで決心すると思ってるの?」

海原 「そうではありませんが」

結標 「だったら!」ガシッ

海原 「」ビクッ

結標 「貴方の化けの皮、今この場で力ずくでひっぺがしてやってもいいのよ!?」

海原 「……」

結標 「その上で、何度だって言ってあげるわ! 貴方のことが好きだって!」

海原 「……」


  ――身近にありすぎると、逆に気付きづらいものなんだ。


海原 (まさか、ショチトルが言わんとしていたことは……)

結標 「……ねえ、なにか言ってよ」

海原 (僕は……)

結標 「どんな答えでも聞く覚悟はできてる。だから、返事を聞かせて」

海原 「……それより先に、やることがありますので」パキン

結標 「えっ」

海原 「一大決心に対して、偽装したまま返答するのは不誠実でしょう?」パキパキパキパキパキ

結標 「……」

海原 「……うん、この顔を人目にさらすのも久しぶりですね」ペタペタ

結標 「なんで……目が赤く光ってるの?」

海原 「すぐ戻ります。お返事はその後に」

結標 「……分かった」



~きぬはた荘 番外個体個室~


番外個体 「」ゴロゴロ

番外個体 (淡希はちゃんとやったんだろうか……)

番外個体 (考えてみたら、淡希の場合って事情が複雑だよね)

番外個体 (同じ家に住んでる以上、フラれた場合は気まずいってレベルじゃないワケで……)


 [[携帯電話]]<ユーガットメイル!


番外個体 「お?」ピッ

番外個体 (淡希から……?)


 差出人:あわきん
      <[email protected]>
 件名:
 日付:20yy/m/d 21:38
 ───────────────
 \(^o^)/


番外個体 「……」

番外個体 「?」


~時は少し遡り 第7学区 とある公園~


海原 「戻りましたかね」

結標 「ねえ、顔よく見せて」

海原 「なんだか照れますね」

結標 「……なによ、すごいイケメンじゃない」

海原 「がっかりさせてしまいましたか?」

結標 「自分の顔に自信がなくて、イケメンの顔借りてると思ってたから」

海原 「ご期待に沿えなかったようで」

結標 「でも、こっちの方が好みかな」

海原 「おやおや、光栄ですね」

結標 「で?」

海原 「?」

結標 「私は思いを伝えた。貴方の返事は?」

海原 「やはり逃がしてはもらえませんか」

結標 「当然よ。こっちがどれだけ悩んでここまで辿り着いたと思ってるの」

海原 「……結標さんがご満足頂けるような返答を出来るかはわかりません」

結標 「……」

海原 「なにぶん隠し事が多い身ですから。このまま結標さんのお気持ちを受けるのも気が引けます」

結標 「そう……」

結標 (ダメ、ってことかぁ)

結標 「じゃあ、この話はお終いね」

海原 「はい? あの、まだ」

結標 「ゴメン、先帰ってて」タッ

海原 「あ、ちょっと……」


 フッ


海原 「……」

海原 「……何かまずかったのでしょうか」

海原 「とにかく探しにいきませんと」

海原 (時間も遅いですし、スキルアウトに絡まれでもしたら……)

海原 (……まあ、結標さんなら問題ないでしょう)

海原 (ですが、放っておくわけにもいきませんか)

海原 「いえ、放っておけない、と言ったほうが正確ですね」

海原 (まだ、僕の返事は終わっていないのですし……)

海原 (これを機に、僕も前に進むとしましょう)

海原 「となると、なんとしてでも見つけないといけませんね」



~30分後 第7学区 某所~


結標 「……」コツコツ

結標 「あれじゃ逃げてきたみたいじゃない」

結標 「……いや、みたいじゃないわね。逃げてきたのか」

結標 (決定的な一言が聞きたくなかったから)

結標 「……」カチカチ ピッ

結標 「って、何してんの……こんな顔文字だけのメール送られても困るでしょうに」

結標 「ええと、どう送ればいいかしら」

結標 ("ダメだった。ちょっと気持ち落ち着けてから帰る"……)カチカチカチカチ

結標 (……やだ、メール打ってたら泣きそうになってきちゃった)

結標 「もう……バッカみたい」


<あっ、結標さん


結標 「?」

海原 「探しましたよ……座標移動で逃げられては適いませんね」

結標 「なっ……どうして?」

海原 「? どうしてと申されますと?」

結標 「何しに来たのよ……」

海原 「まだ僕の話は終わっておりませんので」

結標 「……」

海原 「先程の続きです。聞いて頂けますか」

結標 「……うん」

海原 「結標さんのお気持ちは正直に嬉しいのも確かです」

結標 「えっ」

海原 「結標さんさえよろしければ」

結標 「……?」

海原 「お互いをよく知り合うところから始めませんか?」

結標 「えっ、それって……」

海原 「これからも、末永くよろしくお願い致します」ペコリ

結標 「」

海原 「?」

結標 「」

海原 「? あの」

結標 「」スパーン

海原 「ごふっ」

結標 「何よ! なんなのよ! 嫌われたのかと! 本気で思ったじゃない!」

海原 「そ、それは最後まで聞いて頂けないから」

結標 「この……バカァ!」ポカポカ

海原 「……あの……泣いておられるんですか?」

結標 「泣いてない!」グスッ

海原 「泣いてますよね」

結標 「うー……女の子泣かせた責任ぐらいは取りなさいよ」

海原 「出来る限りは」ニコニコ

 :
 :
 :

結標 「はい、烏龍茶でいいの?」

海原 「いただきますね。いや、走りまわったお陰で喉がカラカラです」

結標 「ゴ、ゴメン……」

海原 「そういえば、前にもこんなことがありましたよね」

結標 「あぁ、水族館に行った帰りね」

海原 「あの時は突然飛ばされたものですから、驚きましたよ」

結標 「……ねえ、あの時と同じことやってもいい?」

海原 「また飛ばされるんですか?」

結標 「そっちじゃなくて!」

海原 「?」

結標 「いいから、少しの間目閉じて」

海原 「ええ」パチリ

結標 「いいって言うまで開けないでよ」

結標 (よっと……あれ? なんか……)グッ

結標 「身長縮んだ?」

海原 「真似ていたのは顔だけではないということです」

結標 「へえ……やっぱこっちのほうがいいわね」

海原 「そんなもんですかね?」

結標 「そんなもんなの」

結標 (あの時はほっぺただっだけど……今日は、いいわよね)

結標 「……っ……」

結標 (しちゃった、唇に)


  ガシッ


結標 (え、なっ、なんで!? 抱きしめ……)

結標 「う、なばら……」

海原 「この顔でも海原と呼ばれるのは不思議な気分ですね」

結標 「だって……他の名前知らないもの」

海原 「本当の名前はエツァリといいます」

結標 「……言いにくいわね」

海原 「そう言わないでくださいよ」

結標 「とりあえず、離してよ……顔の距離が数cmは会話するには近いわ」

海原 「おっと、これは失礼しました」

結標 「もう……それで、名前だっけ?」

海原 「名前というか顔、ですね。こちらの方が好みと褒められましたし」

結標 「海原として過ごせばいいんじゃない? みんなだってびっくりするでしょ」

海原 「そうですね……悩ましいところです」

結標 「それに、さ」

海原 「?」

結標 「今の家で貴方の本当の顔を知ってるのは私だけ。それってなんか気分がいいし」

海原 「なるほど、そういう見方もありますか」

結標 「でも、そうね」

結標 「私と二人きりの時と、妹さんの前でぐらいは素顔でいてほしいかな」

海原 「仰せのままに。そんなに手間がかかる話でもありませんしね」

結標 「じゃ、ほら。帰りましょ」ギュ

海原 「そうですね、もうこんな時間ですし」

結標 「せめて、家の近くまでは今のままでいてよ」

海原 「ええ、そうさせて頂きます」

結標 「……これからも、よろしくね」スリスリ


~数日後 きぬはた荘 バスルーム~


結標 「」ブクブクブクブク

番外個体 「もう突っ込む気も起きない」

結標 「でも、よかったわね」

番外個体 「何が?」

結標 「私たち、片方だけフラれてたらどうなってたかしら……」

番外個体 「きまずいね、そりゃ」

結標 「でしょうね。そう考えれば最上の結果に辿りつけたわよ」

番外個体 「でも、私はフラれたら淡希でもいいかなーって思ってた」

結標 「は? やめてよ! 私にそっちの趣味はないんだから!」

番外個体 「え? テレポ屋さんってみんな百合属性持ちじゃないの?」

結標 「……」

番外個体 「冗談だよ」ケラケラ

結標 「貴女の理論を借りるなら、発電能力者は全員ツンデレかヤンデレってことになるわよ」

番外個体 「……うん、なんか私が悪かった」

結標 「分かればいいのよ」

番外個体 「それよりさ、あの人に会うたびに"髪伸びたな"って言われるんだけど」

結標 「実際伸びたじゃない。伸ばしてるんでしょ?」

番外個体 「いや、どう受け取ればいいのかな」

結標 「どういうこと?」

番外個体 「短いほうがいいって言ってるの? 長くなってきてよかったって言ってるの?」

結標 「……どっちかしらね。でも、好みが分かったとしてそれに合わせるつもりはあるの?」

番外個体 「ない」

結標 「だったら気にする必要ないじゃない」

番外個体 「そうなんだけどね……」

結標 「そういえば貴女、滝壺さんから話聞いた?」

番外個体 「? なんの?」

結標 「私たちにも付き合う相手が出来たって、もうみんな知ってるでしょ?」

番外個体 「うん、隠すつもりもなかったしね」


結標 「それで滝壺さんがね」


 ***

滝壺 「トリプルデートしよう」wktk

 ***


結標 「って言ってたのよ」

番外個体 「いいんじゃない? 別に」

結標 「貴女の彼ってそういうの来たがる? コミュ障でしょ?」

番外個体 「コミュ障!? そこまで酷くないよ!」

結標 「じゃ行くって言っておくから、誘っておいてね」

番外個体 「う……分かった」

結標 「大丈夫でしょ、貴女が頼めば来るわよ」

番外個体 「そうだとは思うけど……」

結標 「ふふ、当日が楽しみね。どんな騒ぎになるかしら」


~更に数日後 第7学区某所~


番外個体 「ほら、少しは急ぎなよ! 確実に遅刻だよ!」

一方通行 「無茶言うンじゃねェ! こっちゃ杖ついてンだぞ!」

番外個体 「もーー! 8時には起きろって言ったじゃん!」

一方通行 「早すぎンだボケェ!」

番外個体 「早くねーし! 私はバイト朝番だったら働いてる時間だぞ!」

一歩通行 「知るかっつの!……あ? おい、あそこで手振ってる連中がそうか?」

番外個体 「……あー、やっぱり私たちが最後だよ。あなたのせいだ」

結標 「10分の遅刻ね」

海原 「やあ、一方通行さん。お久しぶりですね」ニコニコ

一方通行 「え、オイ……なに、付き合ってるってオマエ達だったの?」

海原 「ええ、そういうことになりました」

一方通行 「」

浜面 「あ、え、え? ミサワの姐さんの相手って……一方通行か!?」

一方通行 「あァ!? 三下2号か!? 生きてやがったのか!」

浜面 「おい色々ひどいぞ!」

滝壺 「久しぶりだね、あくせられーた」

一方通行 「あ、オマエは確かあの時の……そうか、助かったのか。良かったじゃねェか」

浜面 「扱い違いすぎね!?」

一方通行 「おい、このチンピラとはどういう関係だ? なンもされてねェか?」

番外個体 「友達だよ。……あ、もしかして妬いてる?」ニヤニヤ

海原 「大切な人が他の男と親しいのは見過ごせないのですよ」ニコニコ

浜面 「赤いぞ、超能力者」

一方通行 「テメェらうるせェぞォォォ!!」ウガー

滝壺 「大丈夫だよ、そんな嫉妬深い第一位も私は応援する」

結標 「さすがの第一位も、これじゃ形無しね」クスクス

一方通行 「だからイヤだって言ったンだよォォ!」


<まあまあ、今日は楽しもうぜ。
<そうですよ、せっかく集まったんですし。
<こうなりゃとことン付き合ってやらァ!


番外個体 「……初っ端から騒がしいなぁ」

滝壺 「でも楽しくなりそうだよね」

結標 「たまにはいいわね、こういうのも」
最終更新:2011年04月02日 04:22