「アミロペクチン第一章-4話~華麗なる妄想~」


 米粉パンは実に美味かった。
これまでパンというものは固くて不味そうだというイメージがあったが
本当はこんなに美味かったのか。
いや、これは米の力である。米で作ったからこそこんなにも美味いのである。
このモチモチ、シットリとした食感、米のようなほのかな甘み。
この世にこれ以上の食べ物があるだろうか。
rice万歳、これからは米の時代である。

 その後再びカピカトル様の召集があった。
「皆、米粉パンは作ったか。実に美味かっただろう。
よし、早速明日から米粉パンを世界中へ広めに行こうではないか。
行きたい者はこの後、中央広場へ集まれ。」

 やっとこの機会が訪れた。あの米粉パンは世界中に広めなければ意味がない。
世界の人々が米粉パンを食べればその味に魅了され、米を見直してくれることだろう。
そして私は稲作を世界中に広め、世界中の水田を所有し、
その米を売り米粉パンの専門店を作る。その店は大繁盛。
さらに米粉パン工場を造り、米粉パンが世界中に広まる。
米粉パンを広めることに精進した私は様々な賞を貰う。
それらによって手に入れた金を使い、米粉パン工場をさらに増設。
世界の米粉パン工場を管理する会社を設立。
その会社では米を使った様々な食べ物を開発し、世界の米産業の最前線に立つ。
社長の私は世界一の大富豪。世界中の女性が憧れる存在となる。
その後、世界一の美女と結婚、子供も生まれ人生の最高潮を迎える。
会社も安定し、子供も大人になった頃、会社は子供に任せて
私は妻と共に悠々自適。老後も米の力で元気溌剌。
しかし私は寿命を迎えてしまう。ああ、幸せな人生だった。不満はない。
葬儀は水田の真ん中で盛大に開かれる。世界中の人々は嘆き悲しむであろう。
しかし私は歴史の中で生きているのだ。様々な歴史書に載り、
いずれは教科書にも載るだろう。

 これからの人生が走馬燈のように脳裏を流れた。
決めた。薔薇色の人生を歩むため、私は旅立つ。
私はゆっくり中央広場へ向かった。





用語集

  • 元気溌剌・・・“げんきはつらつ”と読む。米、またはオロナミンCを飲むことによってこのような状態になることが出来る。



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最終更新:2011年02月03日 18:14