「アミロペクチン第一章-17話~ガチャナ再び~」
ノルニアに入った。
晩秋。南の空に輝く太陽の下、我々は馬と共にワーレッド橋を渡った。
「いや~、とうとうノルニアですね!出発してからどのくらい経ちましたっけ」
「そんなのも忘れたのか、フレシュ。出発してからは5日じゃ」
「先生、違いますよ。7日です」
「あれ、そうじゃったかな」
「そういえばノルニアの地図は買いましたっけ」
「買っておらん」
「え・・・。ではガチャナの市に戻りましょうよ」
「そうじゃな」
我々は再びワーレッド橋を渡った。
地図を売っている店を探していると二人とはぐれてしまった。
私が迷子になったのか、彼らが迷子になったのか。
この場合は私が迷子になったと考えるのが妥当であろう。
馬をつないであるワーレッド橋へ向かう途中、人にぶつかってしまった。
「あ、すみません」
彼女は言った。
「いや、大丈夫です。私こそすみません」
ぶつかった彼女の黒い髪が艶々と輝いている。美しい。
その時、彼女と目があった。
――どこかで見たことがある。
そうだ。フルス王都の神学校で出逢った彼女だ。
というような妄想をしていた。
上記の出来事は私の妄想である。すまない。
あらぬ妄想をしていると本当に二人とはぐれてしまった。
私が迷子になったのか、彼らが迷子になったのか。
この場合は私が迷子になったと考えるのが妥当であろう。
私は運命の再会を求めてワーレッド橋の東詰めへ向かった。
しかし運命の再会はなく、待っていたのはフレシュと先生であった。
「お、やっと来た。また妄想でもしてたんだろ」
鋭い。さすが7年以上も付き合っているフレシュである。
しかし私はフレシュと付き合いたいのではない。女性と付き合いたいのである。
それにしても17話にもなっているのに女性との出会いがないのは何故だ。
こういう物語なのであれば必ず“恋”があるはずである。
フレシュと先生という熱苦しい男に挟まれながら私はワーレッド橋を渡った。
そして我々は関所を越え、ノルニアへ再び入国した。
用語集
- 彼女・・・“私”の神学校時代に思いを馳せていたサークルの後輩。
- 運命の再開吹いたww -- 辛子マヨ改 (2011-02-20 18:43:42)
最終更新:2011年02月21日 20:40