「アミロペクチン第二章-30話 ~ダンツィ恋慕~」
我々がパンを作っていると、リーダーのダンツィさんが店へ来た。
私は一旦、作業をやめてそちらへ向かった。
「どうも、ダンツィさん」
「よお、ちゃんとやってるか」
「はい!ここは街道沿いなので客もたくさん来るのです」
「・・・」
「ダンツィさん?どうしました?」
「すまん、すまん。何でもない」
先ほどからダンツィさんはリリーさんの方を見て難しい顔をしている。
「どうだ、材料は足りてるか」
「材料なら充分ありますけど」
「うむ、それならよかろう」
いつものダンツィさんらしくない。どうしたのだろうか。
「それにしても・・・一目惚れというのは本当にあるのだな・・・」
なるほど。理解した。
「じゃぁな、米粉パン作り頑張るんだぞ」
そう言ってダンツィさんは行ってしまった。
私は工房へ戻った。
「ぉ、ダンツィさんなんか言ってたか」
「リリーさんに惚れたらしい」
「へ?」
◆
仕事が終わり、私とシュルツはミーツカゼルネ・コメタリアに戻った。
夕餉が終わったあたりにダンツィさんから呼び出しを受けた。
シュルツも同じだったようで、ダンツィさんの部屋に先に来ていた。
「おお、来たか。ちょっとお前たちに頼みたいことがあってな。
俺は・・・実は・・・ベルツベーカリーの娘さんに一目惚れをしてしまったんだ。」
「それなら私たちも承知です」
「なぬっ。まあ、いい。で、お前たちにあの娘さんの情報を探ってほしいのだが」
「好きなら“好き”って言っちゃえばいいじゃないっすか」
「おい、シュルツ」
「うん。そうしたいんだけどさ。やっぱり・・・うん。うん」
「分りました。何を訊けばいいのですか」
「え~と、ミッション1は・・・」
用語
最終更新:2011年03月19日 23:00