「むう・・・中々上手くいかんのう・・・。」
夜中
街が完全に眠り、暗闇が島全体を覆った時、パトリシアは誰もいない校庭でただ一人
望遠鏡を振り回していた。
彼女の周りには10丁ほどの猟銃が舞い、彼女が望遠鏡を振るとそれに合わせて銃も彼女の周りも飛び交った。
「何やってるんだ?」
ジョーカー、いや来夏がパトリシアの方へ歩いてゆく。
「ああ、来夏か、ちょっと練習をの・・・。」
「また変な戦い方を・・・まあ、俺も人の事は言えないが。」
「ちょっと上手くいかなくての・・・だからこうして一人練習をしておるのじゃ。」
「ふむ、いい心がけだな。」
俺もパトリシアの元へ向かった。
「ちょっと貸してみろ。」
「言って置くのじゃがこれは扱いが中々難しいぞ?」
パトリシアが望遠鏡を差し出した。
「そっちじゃない、銃の方だ。」
「銃じゃと・・・?」
「ああ、問題は銃の方にある、どうやって出している?」
「うむ、服の背中部分に術式を組み込んで出現させておる、最大20丁位が限度じゃ。」
「そうか、じゃあ背中を見せてくれるか?」
「何をするのじゃ?」
「銃が扱いにくいのは術式の方に問題があるかもしれない、ちょっと調整させてくれ。」
「分かったのじゃ、うちの命運、そちに預けるのじゃ。」
パトリシアが背中を向けた。
「よし、じゃあ早速。」
俺はまず構造を理解するために術式を起動させた。
パトリシアの背中から魔法陣と術式が現れる。
「ふむ、結構古い方だな、ショットガンと弾薬は・・・。」
俺は術式を書き変えて行く。
「猟銃だと装弾や方向制御の面で何かと不便だからな、銃身が短めのハンティングショットガンがいいだろう。」
「ずいぶん手馴れてるじゃないか、流石はアドルフ・ガーランド、自分のユニットもそうやって整備してるのか?」
「当然だ、自分の使うユニットも整備できなくてはフリーガーは務まらんからな。」
「お堅いねえ、まあ俺も似たようなもんか。」
「・・・よし、これでいいだろう。」
パトリシアが俺の方を向いた。
「銃弾は今までと同じのを使える、ちょっとやってみろ。」
「うむ、感謝なのじゃ、さっそくやってみるのじゃ。」
パトリシアがショットガンを出現させた。
「まずは・・・ガトリングモードなのじゃ!」
筒状にショットガンが収束する。
「次は・・・シールドモードなのじゃ!」
銃が盾に並んだ。
「最後は・・・ビットモードなのじゃ!」
パトリシアの後方にショットガンが並んだ。
「うむ!さっきとは全然違うのじゃ!ありがとうなのじゃ!!」
パトリシアがガルウィング式お辞儀をした。
「例には及ばん、眠れんから暇つぶしに来ただけだ。」
俺は顔が赤くなるのを悟られないようにすぐその場を立ち去った。
「アイツはいつもならこの時間にはもう寝てるんだけどな。」
来夏は少し笑うと自分の寝床に向かって歩き出した。
「じゃあまた明日だな、パトリシア・アウグスト・ベルタ・ツェーザー。」
「パティでいいのじゃ。」
「そうか、じゃあな、パティ、おやすみ。」
「おやすみなのじゃ、来夏。」
最終更新:2011年03月28日 18:00