武器というものは当たらない事に越したことはない。

だがトリーティの場合は「避けられる事を前提で」投げなければならない。

たとえば僕が今中学校の校舎に投げたトリーティは壁に跳ね返り僕の後ろのゾンビに突き刺さる。

反射を利用した武器のため周囲の状況を見てある程度の予測を立てなければ使いこなすのは難しい訳である。

だけど慣れというのは恐ろしいもので僕はある程度の誤差はあれども正確に当てる事が出来る。

だが「避けてもらう」のが前提なため当たってしまうと反射されずに相手に刺さったままになり不利になる。

まあそのために7種類もの武器を使っているのだけど。

「僕もまだまだ未熟、って訳だね。」

アドルフ・ガーランド中将。

帝国空軍第8航空師団「オルトロス」隊長。

隊長と呼ばれるのはオルトロスに所属している人数が少ないためだろう。

「戦闘経験は豊富だろうけど、だからと言って自分の心臓めがけて飛んできたナイフを避けないなんて何か作戦でもあったのだろうか?」

能力や術式を無効化するというとは容易いことではない。

たとえば皇帝でも一度に1つしか術式を無力化出来ない。

あの時装備していたのは3つ、しかもそれぞれ別の術式を掛けていた。

彼が何かトリックを仕掛けたのかもしれないが、到底僕には理解できそうになかった。

「まあいいか、そのうち彼の方から種明かししてもらえるだろうしね。」

僕は後ろを向いた。

「さて、練習台ご苦労さん。」

僕はゾンビに向かってそう言うと校庭のゾンビの群れに向かって走り出した。

「デフテラ、キリアキ、行くよ。」

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最終更新:2011年04月26日 09:01