今まで晴れていたはずの空が曇り、雨が降り始めたのは4分ほど前の頃だった。
エーリヒとルーデルから合わせて2発ほど殴られたが特に気にしていない。
「何だ、そう言う事なら早く言えってんだよ。」
腕を組んだまま鼻息を荒くしているルーデルを跡目にエーリヒがテントに梁を取りつけている。
「だが今まで俺達に内緒にしていたのは頂けんな。」
事情を説明することで3発目は免れたが、少し場の空気が悪い。
「だから悪かったって言ってるだろ。」
「今度はこういう事は勘弁してほしいな、全く。」
エーリヒは掌に雨を受けている、どうやら雨粒の大きさを確かめているらしい。
だが俺にとってはどういう意味があるのかさっぱり分からない、まあそこは専門知識というものであろう。
「そういえばハインツさんは?」
恐らく夕飯に使うであろう玉ねぎをフライパンで炒めながらヴォルフが言った。
「そう言えば見かけないな、どこに言ったんだ?」
「散歩に行ったまま帰ってきてないな、モールにいるみたいだが・・・。」
「大丈夫でしょうか?雨も降ってますし・・・。」
ウルスラが傘を取り出した。
「迎えに行ってきます。」
「いや、そのうち帰ってくるだろう、どっかから適当に傘かっぱらって来るだろうな。」
「そうですか・・・。」
「まあ私達は私達のやるべき事をしましょう。」
ガーデルマンは大きい鍋に肉を入れて炒めている、俺の予想が正しければ今日はカレーだ。
「ルーデル、エーリヒ、お前らにこれを渡しておく。」
俺は将軍から貰ったカードを手渡した。
「将軍からだ、もしもの時のために持っておけだとさ。」
「了解、じゃあ俺は飯まで寝る事にするよ。」
ルーデルが自分のテントに戻る。
「俺も読書に戻るよ、地下は人が多くて疲れる。」
何かが起こりそうな予感がする。
いや、確実に誰かの手によって起こるだろう。
ならその時、俺は何をするべきか・・・。
最終更新:2011年05月02日 20:49