「ふう、酷い目に逢った。」

理科室に戻るとゲルトルートが出迎えてくれた。

「お帰り、本当に酷い目に逢ってた様ね。」

「見ていたのなら助けてくれても良かったんじゃないか?」

「でも貴方なら何とか出来るでしょう?」

「まあ、信頼されてるのはいい気分だけどこういうときには助言してくれてもいいだろう?」

「でも貴方は自力で解決したわ、でも本当にデータがあったの?」

「僕がブラフを掛けたと?」

「ま、そういう事になるわね。」

「データはあったよ、勿論システムのだ。」

「じゃあ何でこんな島にあるのよ。」

「簡単なことさ、「物質転送システム」は子供向け番組に出てくる設定の1つだったんだ。」

「・・・え?」

ゲルトルートがきょとんとする。

「主人公はそれで武装を転送して戦っていたんだよ、でも馬鹿げた話だ、そんな物のために人を殺そうっていうんだから。」

「え?あの男本当に撃つつもりだったの?」

「当り前さ、情報を手に入れたら僕は用済みだろ?」

「・・・アンタってホント頭いいわね。」

「褒めてくれてありがとう、でも今は別にするべきことがあるだろう?」

僕は椅子に座るとコーヒーを飲んだ、そして吹き出した。

完全に油断していた、まさかコーヒーを淹れたのがペンプティだとは思わなかったからだ。

「・・・。」

コーヒーの苦さというものはコーヒー豆を焙煎したときの「焦げ」の苦味である。

でもペンプティがコーヒーを入れると明らかにコーヒーのそれとは違った苦さがある、それになぜか強烈な酸味が襲うのだ。

「・・・テタルティ、僕が戻ってくるまでにアイスコーヒーを淹れておいてくれ。」

僕はそう言うとトイレに向かってゆっくりと歩き出した。

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最終更新:2011年06月01日 18:27