アイドル妖精ルルーシュ 第一話 アイドル
タラップに降り立つと、ムシムシとしたアジアの夏の空気がそこにあった。
「ぐっ…」
チャーター機で、早朝の到着とはいえ、暑いものは暑い。覚悟していたとはいえ、時差ぼけもあって余計に厳しいものだった。
「へばるな。すぐ記者会見と、移動して番組収録があるんだぞ」
「わかっている」
マネージャーのC.C.に毒つかれ、苛立ち紛れに返答をする。
そうはいっても、体が悲鳴を上げそうだった。
「大丈夫でしょうか?最初の取材会見だけでも、キャンセルの手配をいたしますか?」
背後で荷物を持ってきた咲世子が、恭しく伺いを立ててくる。
しかし、
「冗談じゃない、私を誰だと思っている!」
怒りをこめて睨みつけ、なけなしの気力を振り絞って立ち上がる。
「私は、ルルーシュ…ルルーシュ・ランペルージだ!!」
ルルーシュ・ランペルージ。
アイドルひしめくブリタニアで、最新シングルが16週トップ3入りを続けている、今をときめくNo.1歌手だ。
ハスキーヴォイスと清楚な容姿、そして皇族もかくやという女王然とした性格が持て囃され、デビュー以来発表する曲は全て、初登場1位確実という状態。
先月から各国を飛び回り、世界ツアーを開始しているが、中でもこのエリア11では、公演と共に数々の取材や収録が目白押しの予定で、長逗留になることが予定されている。
しかしながら、そんな彼女が皇族であり、ちゃっかり彼氏まで居るのは、内緒の話。
「うっわー、本当なの?リヴァル」
「勿論ですよ、会長♪ 苦労したんですよ?ルルーシュのウェルカムライブのチケット」
男リヴァルは、今、まさに正念場であった。
今をときめくアイドル、ルルーシュといえば、ライブチケットが30秒で売り切れる超難易度。
それくらいの努力をしなければ、元貴族の年上の女性など口説けない!と意気込み、やっとの思いでチケットをゲットしたのだ。
それには聞くも涙、語るも涙の努力があるわけだが…
「あ、これボックス席じゃん。なになに、4人まで?」
「丁度いいじゃない、シャーリー。カレン、ニーナ!リヴァルがルルーシュのライブチケットくれるって!」
「嘘…」
「いや、会長。それは俺が会長と…」
「ありがとう、リヴァル!皆で楽しんでくるわねv」
「…あの、もしもし?」
その努力は、実ることはなかった。
「ではルルーシュ様。いつも通り、笑顔でお願いしますね」
「…あぁ」
「しっかりやれ、ルルーシュ」
咲世子の無表情な念押しと、やる気のないC.C.の声。
舞台に立つ前だというのに、普段以上に無表情だった。
原因はアレだ。
不本意ながら恋人を続けている、枢木スザクが、どこでどう入り込んだのか、ライブ会場にいるというのだ。
『何が“俺がついてるから安心して歌え”だ…っ!!』
私が、本当は歌など歌っていないことを、知っているくせに。
笑顔を振りまくだけだというのに、どうしてこうもライブに来ようとするのか。
イライラする。
ステージ下からのせり出しを待つ間、ふつふつとした怒りがそこにあった。
だからだろう。
「咲世子、出だしの曲は変更だ!」
「は?」
「…悠長にSOSから歌ってられるか!射手座からかけるぞ」
「わかりました」
会場で待つ人がたくさんいる。
だから中止にするわけにはいかない。
それに何より…中止にすれば、スザクが何をしてくるかわかったものではない。
だから…
「私の歌を、きけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
スポットライトの閃光の中、マイクに向かって叫んだ。
うわぁ、書いちゃった。しかもちょっとしかルルーシュいない(*/∇\*)
何がなんだかわかりませんが、とりあえず、言いだしっぺとして手は付ける。
うん…ルルーシュ、、、がんばれ…
最終更新:2009年05月17日 23:02