ハルヒと親父 @ wiki
オヤジ野球
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haruhioyaji
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- キョン
- 野球ですか?
- オヤジ
- そう。助人だ。
- キョン
- あの、もしかして経験は?
- オヤジ
- ない。球技全般、やったことがない。
- キョン
- ……ハルヒが小さい頃、野球を見に行ったっていう、欠くべからぬエピソードがあるんですが。
- オヤジ
- 人が大勢集まるところが好きなんだ。
- キョン
- ……。
- ハルヒ
- ルールくらい知ってるんでしょうね!?
- オヤジ
- まかせろ。昨日、漫画喫茶で野球マンガは残らず読んできた。
- キョン
- ……それで、その床に散らばってる硬球の残骸のようなものは?
- オヤジ
- 変形して投げると分身するらしいんでな。試してみた。
- ハルヒ
- なんで、魔球から入ろうとすんのよ!?
- キョン
- それで、おれたちに頼みってのは?
- オヤジ
- ああ、練習試合をしたい。どうもおれは実戦から多くを学ぶタイプのようだ。
- キョン
- 否定はしませんが。……あの、おれたちに集められるメンバーというと、いつかのあれになるんですが。
- オヤジ
- 安心しろ、妹ちゃんには魔球は投げん。未完成だからな。
- ハルヒ
- 完成しても投げんな、そんなもの!!
- オヤジ
- あと一本足で竹を切ってみたが、そっちは子供の頃からやってるからな。あまり意味がなかった。
- キョン
- 王貞治物語……。って、辞書の最初の意味で、真剣で、ですか?
- オヤジ
- 取りあえず、スケジュールを調整させてくれ。あと、今からバッティングセンターをはしごしよう。
- キョン
- いや、最近は数も減ってるし、あまりはしごするようなものでは。
- オヤジ
- ハルヒ、負けると分かっていても、逃げるよ。
- ハルヒ
- 誰が逃げるか!泣くまで打って打って打ちまくりよ!
- キョン
- ああ、扱いづらいんだか、扱いやすいんだか。
- オヤジ
- と言うわけだ。キョンも来るよな。
- キョン
- こんな状態のこいつから、目を離す訳には。
- オヤジ
- なんだかんだいっても、ハルキョンだな。
- キョン
- いや、親父さんもです。
- オヤジ
- ハルキョンオヤジ、ってなんかイヤだな。
- ハルヒ
- こっちも願い下げよ!!
- オヤジ
- おい、キョン、こんなもんなのか?
- キョン
- 時速160キロを投げるような投手は大リーグの歴史でも、そう何人もは……
- オヤジ
- バカ娘ですら、全部打ち返してるぞ。
- キョン
- いや、そもそも親父さんたち親子を基準にすると、クラインの壷も裏返るというか……
- ハルヒ
- 親父!こんな死んだ球、いくら打っても何にもならないわ!
- キョン
- ハルヒ、それを言ったら、あらゆるバッティング・センターが泣き咽ぶぞ。
- オヤジ
- よおし、おまえが投げろ。同時に3球までなら許可してやる。
- キョン
- 親父さん、それは野球と言うよりジャグリングです。
- ハルヒ
- あんたなんか、1球で十分よ! さあ、キョン、座りなさい!
- キョン
- いや、待て。ここは球場じゃない。場末のバッティングセンターだ。投球自体、不自然なんだから、少しは自重してくれ。
- オヤジ
- 心配するな、キョン。1球だっておまえの手元には届かせん。
- ハルヒ
- 親父の嫉妬はみっともないわよ!!
- オヤジ
- 愉快なことを言う! キョン、全球ピッチャー返ししてやる。許可を出せ。
- キョン
- おれに振らないでください!い、いや、バットじゃなくて!!
- オヤジ
- ぬるいぞ、ハルヒ。球が止まって見える上に、縫い目の間に般若心経が書き込めそうだ。
- キョン
- 親父さん、それは全く別のスキルです。
- ハルヒ
- うっさい!今度はあんたが魔球でも何でも投げなさい! 全部、打ち返してくれるわ!
- オヤジ
- 小賢しい! とどめは、この長椅子をくれてやる。
- キョン
- それはもう、球技でもなんでもありません。