アットウィキロゴ
………
……

「せんせーっ!! また……ちゃんがーっ!!」

ガラスが割れる音と、生徒達の慌ただしい声が響き渡る

「またなの!? ……ちゃん! 今度はどうしたの!?」
「うるさいっ!!」

授業のチャイムが鳴る前に教室を出ることは許されない
しかし、その少女はその小さな縛りを難なく破り、教室を飛び出た
そして、そのまま校門を抜け、学び舎の外へと走り抜けて行った…

商店街を抜け…
秘密の路地裏を抜け…
赤信号を横断し…

少女はいつもの公園にたどり着いた

「はぁ… はぁ… はぅー……」
息を整えて少女は公園のブランコに座った

「…どうせ誰も私なんてどうでもいいんだ」

小さくぼやきながら少女はブランコを漕ぐ
設置されて何年も経ったブランコはキィキィと錆びた音を出しながら揺れる


「…あーあ、もう死んじゃいたいなぁ」


少女のぼやきは続く

「誰も私の話聞いてくれないしー! 何かあれば直ぐ『……ちゃんが!!』だもん!」
「お母さんも帰って来ないし… 橡も全然連絡してくれないし…」
「小学校も面白くないし、本当に何の為に生きてるんだろ」

ブランコは静かに揺れ続ける

「学校いきたくなーい!!」

誰も見てない事を良い事に少女は大声で叫んだ


「フフ…」

隣から声が聞こえた

「えっ!?」

少女が驚いて隣を見ると少し初老がかかった女性が此方を見ていた

「(や、やば…!聞かれてた!!)」
「え、えと・・・えとえと!」

少女が赤面しながら誤魔化しの言葉を選んでいると

「あはは ごめんなさいね お邪魔しちゃったかしら? あまりに可愛らしいのでつい」

女性は笑い始めた

「な、なに笑ってるんだよーっ!」

「あらあら ごめんなさい でも・・・く・・・くぷぷ・・・」

「わ、笑うなーっ! こっちは必死に人生について考えてるんだぞーっ!!」

「あははは!」

「も、もう!」


少女は御餅みたいに顔を真っ赤にして必死に言い訳をし続けた


「ええ、ええ」

「もーっ! また笑うー!」

少女はもう怒ってはいなかった
それから2人で並んでブランコを漕ぎながら談笑を始めた

「それでねー! 先生も夢ちゃんも酷いんだよ! 私は悪い事なんてしてないのにさ!」
「そうね、……ちゃんはいい子だもんね」
「うんうん! おばさんは良く分かってる!」

そんな会話をし続けているといつのまにか陽は沈み夕方になっていた


「あ、もう こんな時間!? 私帰るねー!」
「ええ、そうね またいつでもいらっしゃい」

寂しそうな顔を見せる女性に少し違和感を感じたが少女はそのまま帰路へついた

最終更新:2013年07月23日 06:56