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青き地獄の姉妹 - (2012/07/22 (日) 14:16:20) の1つ前との変更点

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*青き地獄の姉妹 ◆LuuKRM2PEg  天より降り注いでくる木漏れ日の輝きは時間と共に強くなり、深い闇に覆われた筈の森林を徐々に照らしていった。  光とは、この世界に生きるほとんどの生き物にとってなくてはならないもの。そして人間に至っては、それを希望の象徴と捉えるような者が多いだろう。光があるからこそ人は生きていける。  しかしごく稀に光を忌み嫌う者もいた。闇の申し子であるその男こそが、代表例だろう。 「光か……下らないな」  空から降り注ぐ太陽の光を見上げながら、軽く舌を打った。  ナイトレイダーAユニットの元副隊長であり、アンノウンハンドから生まれ出た黒い悪魔・ダークメフィストに選ばれた男、溝呂木眞也は徐々に表情を顰めていく。  斎田リコの代わりとなる新たなる操り人形、美樹さやかを手に入れられたのは実に愉快だったが、この世界に差し込む光はそれを塗り潰してしまうほど不愉快だった。  ダークフィールドを生み出して辺りを闇で塗り潰してやりたかったが、あの加頭順やサラマンダーという男が用意した首輪に特別な仕掛けが施されているのか、それはできない。本当ならこの場で引き千切ってやりたかったが、その結果がどうなるかは目に見えているのでやるつもりはなかった。  どうやら、いずれはこの首輪を解体することのできる奴も操り人形にする必要もあるかもしれないと眞也は考える。これのせいで、本来できるはずの巨大化もできないし、ダークファウストの力も著しく弱体化していた。ダークメフィストに比べれば弱々しい存在だが、本来ならあんな小物どもなど一分もかからず皆殺しにできるはず。  しかしそれにさえ目を瞑りさえすれば、この孤島で起こっている戦いは至高の愉悦と呼ぶに相応しかった。弱き人間どもが醜い本性を曝け出して互いに殺し合い、あの孤門一輝や姫矢准を始めとした正義の味方を気取っている連中の願いを簡単に打ち砕く。そうしてたくさんの絶望が生まれるのが、眞也は何よりも愉快だった。  このたった六時間の間で既に一八人も死んでいる。恐らく姫矢なんかは、この現実を前に責任感と自身に対する強い無力感を抱いているに違いない。聖人を気取ってビーストから人間などを守り続けている愚か者には、丁度いい報いだ。  奴が生きているのは実に都合がいい。愚かな人間に殺されるのもそれはそれで面白いかもしれないが、やはりこの手で絶望のどん底にまで落として殺したかった。同じようにあの孤門も、いずれは殺し合いを前に心が折れて再び闇に飲み込まれるかもしれないから、その時に人形にするのも面白いかもしれない。 「孤門に姫矢、お前らの守りたかった人間など所詮こんなちっぽけで醜い存在だ。よくわかっただろう?」  この島の何処かにいるであろう宿敵達に向けて、眞也は静かに呟く。  もしも今、自分がこのさやかという哀れな少女を人形にしていることを知ったら、奴らはどう思うか? きっと、怒り狂ってさやかを取り戻す為に戦おうとするに違いない。  だがその前に、この人形を使えるだけ使って無様に捨てるつもりだ。そして、ただの屍となったこいつを二人の前に放り投げる。そうすればきっと、素晴らしい絶望を見せてくれるはずだ。  とはいえ何処にいるのかもわからない奴らと出会うまで、取っておくつもりはない。今はあの五代雄介、村雨良、響良牙という男達を前にこの人形をどう扱うかを考える必要があった。恐らく奴らは皆、さやかを取り戻す為に動くだろうから、再び遭遇する前に上手い扱い方を考えなければならない。  単純にファウストにさせても先程の戦いがあるから意味はないだろう。如何にファウストだろうと弱体化させられている今、策も無しに突っ込ませては殺されるだけだ。別に人形一つが壊れたところで惜しむことなどないが、こんな奴でも一応は戦力なので扱いどころは考えなければならない。 「お前の仲間が、もう一人増えればいいがな……ファウスト」 「そうですよねマミさん! あたし達の仲間がもっと増えれば、こんなふざけた殺し合いもすぐに止められますよね! まどかだってそう思うでしょ?」  そんな微かな願望を口にすると、さやかは壊れた瞳で満面の笑顔を向けてきた。  彼女は幻覚の力で自分のことを鹿目まどかや巴マミという、既に死んだ参加者だと思い込んでいる。できるならその二人の死体も確保して人形に代えてやりたいが、いちいち捜す余裕などない。  ただ、人形にできそうな弱い人間をもう一人欲しいとは思う。闇の力を使って、自分のことを鹿目まどかか巴マミだと思い込ませて、さやかと傷の舐め合いをさせるのも実に面白そうだからだ。  こうやって幻の世界に閉じ込めた哀れな少女を見守るのも愉快だが、それでは些か芸に欠けてしまう。斎田リコをファウストにした時と同じことをするのでは、新たなファウストを見つけた意味が薄い。  木々の間から差し込んでくる太陽の光をスポットライトにしながら、独り言を呟き続けるさやかの演劇はそれなりに面白いが、時間が経てば飽きるかもしれなかった。これでは役者と舞台を変えただけだと思った瞬間、辺りに吹き付ける風が急に荒々しくなる。  そして、アンノウンハンドの影響によって常人を遥かに超えた眞也の聴力は、遥か彼方から凄まじい轟音を鳴らしながら突風のような何かが接近してくるのを捉えた。 「……この音は、竜巻か?」  吹き付ける風に伴って、多くの木々がバキバキと砕け散っていくのも聞こえる。ナイトレイダーにいた頃の自分なら気付かなかっただろうが、今ならば聞き取るのは造作もないこと。  振り向いて木々の間を凝視すると、数十メートルほど離れた先から小規模の竜巻が周囲を破壊しながら接近してくるのを見る。何故、積乱雲どころかまともな積雲もない空の下であんなのが発生するのかと思ったが、別にそれほどおかしなことではないとすぐに気付いた。  この世界にはウルトラマンや仮面ライダー、それにドーパントのような超常現象に等しい力を発揮する存在が数え切れないほどいる。加頭順がオープニングの際に見せつけたガイアメモリの力さえあれば、自然現象の一つや二つなど簡単に起こせても不思議ではない。  つまりあそこにいるのは竜巻を自由自在に操れる、ドーパントということになる。突然の来訪者を前に一瞬だけ目を見開いたが、すぐにその表情は笑みへと変わった。 「どこの誰かは知らないが丁度いい所に来てくれたな、歓迎するぞ」  徐々に激しくなっていく風の音に掻き消されそうな声で、眞也は静かに呟いた。 ◆ 「十臓様が……死んだ?」  放送で現れたサラマンダーという男の告げた事実は、サイクロン・ドーパントとなったスバル・ナカジマにショックを与えるのは十分な威力を誇っていた。  高町なのは達のようにこの手で殺した参加者達も少なからず動揺を与えたが、腑破十臓の名前を聞いた途端にそれを呆気なく塗り潰されてしまう。  愛する主人の筋殻アクマロから彼を守るように言われたのに、それを全く果たせなかった。あのお方は自分の全てであるにも関わらずして、裏切ってしまった。  生きる意味であるアクマロ様の願いを、果たせなかった……? 「嫌……嫌、嫌、嫌、嫌……アクマロ様に、嫌われる!」  感情の高ぶりと共に風となるスバルは喚きながら必死に飛ぶ。  十臓様が失った今、アクマロ様の為にできることがあるのか?   一体どうすれば、アクマロ様は喜んでくれるのか?  アクマロ様が求めているのはこの世に地獄を齎すこと。その為に、十臓様と裏正が必要だった。  でも十臓様が死んだのに、どうやってこの世界を地獄に変えるのか? 彼の変わりなんて、この世界のどこにもいないのに。 「……十臓様の、変わり?」  そんな中、不意に芽生えた思考からサイクロン・ドーパントの顔の下で、スバルは怪訝な表情を浮かべてしまう。  十臓は死んでいるからもういない。でも、十臓になることができればアクマロの願いが叶う可能性があるかもしれなかった。  何処かにある十臓の死体を見つけて食べさえすれば、十臓の姿にコピーすることができる。そうして裏正も見つけさえすれば、アクマロに地獄を味わわせることが充分にできる。  自分が十臓にさえなりさえすれば、裏見がんどう返しの術を使うことは充分にできた。 (何だ……そうすれば、良かったんだ! 十臓様を見つければいいんだ!)  たったそれだけで、アクマロ様は喜んでくれる。どこにあるのかわからないけど、十臓の死体さえ見つけられれば何の問題もなかった。  そんな希望に胸を躍らせるが、スバルは知らない。ソレワターセで他の参加者を吸収したとしても姿と情報は得られるが、制限によって力を得られないことを。つまり十臓を見つけてその身体を取り込んで姿をコピーしたとしても、裏見がんどう返しの術を行えなかった。  また、例え力がコピーできたとしても術の発動に必要なもう一つの鍵、妖刀裏正は相羽シンヤによって破壊されている。つまり、どう足掻こうがアクマロの悲願は果たせないが、皮肉にも彼女はそれを知らない。  ただ期待を胸に、風となって進むしかできなかった。  やがてサイクロン・ドーパントは十臓を探す為にも、島に広く生い茂った森を目掛けて急降下する。風の力で辺りの植物を無差別に破壊しながら突入して辺りを見渡すと、ドーパントになったことで発達した視覚と聴覚が、他の参加者の存在を捉えた。  生み出される暴風の音で断片的にしか声が届かなかったが、それを聞いた瞬間に彼女の心が疼いていく。  彼女がその身に取り込んだ、鹿目まどかの記憶がサイクロン・ドーパントの脳裏を刺激していた。 「さやか……ちゃん」  生前、まどかがまた会いたいと願っていた親友の美樹さやかが、少し離れた場所にいる。  やはり、亡くなってしまったはずの彼女は生きていた。放送で名前が呼ばれてしまった巴マミのように、こうして目の前にいる。やはりキュウべぇがその力で彼女を蘇らせたのではないか――一瞬だけ、その思考が頭に過るもすぐに振り払った。  例えまどかの親友だとしても、彼女の性格から考えてアクマロ様の計画にとって邪魔にしかならない。魔女になったのならともかく、魔法少女となったさやかの力はアクマロには及ばないものの、芽は一つでも潰さなければならなかった。  幸いにもさやかはまだこちらに気づいていない。故にサイクロン・ドーパントの変身を解いたスバルはガイアメモリを懐にしまって、ソレワターセの力で鹿目まどかの姿に化ける。  きっとさやかは放送でまどかやマミ、それにほむらが呼ばれたことで絶望を覚えているに違いない。そこでまどかの姿となって彼女に迫って、偽りの希望を植え付けた後に殺害する。そうすれば、アクマロ様の望む嘆きと悲しみはもっと広がるはずだった。  アクマロへの忠義と愛を原動力とした彼女は、まどかの姿で微笑みながらゆっくりと歩を進める。数メートルほど進んだ瞬間、さやかがこちらに振り向いてきた。 「……あれ、まどか?」 「さやかちゃん、無事だったんだね!」  本物のまどかのように瞳から涙を滲ませながら、さやかの前に立ってその身体を抱き締める。  数時間前に得た情報によると、まどかとさやかの絆は余程強いらしい。まどかはさやかを救う為に魔法少女になろうとしたこともあったし、さやかは子どもの頃から何度もまどかを助けたようだ。  だからこうしていれば、放送を聞いてショックを受けているはずのさやかはきっと喜ぶ姿を見せてくれるだろう。自分が偽者のまどかだとは微塵も思わないで。 「よかった……さやかちゃんが生きていてくれて、本当によかった! わたし、さやかちゃんにずっと会いたかったんだよ!」 「何を言っているのまどか? あたし達はずっとそばにいたでしょ? ちょっと離れただけで、大げさだなぁ……」 「……えっ?」  しかしさやかから帰ってきた返事は、まどかとなったスバルにとってあまりにも予想から外れていた。 「怖いのはわかるけど、まどかはあたしが守ってあげるから大丈夫だって! それにまどかがそうして落ち込んでたら、あたし達だって悲しむよ!」 「さ、さやかちゃん……?」 「あの杏子やほむらって奴らもきっと何処かで頑張ってるはずだから、あたし達も頑張らないと!」  既に十八人もの参加者が死んでいるというのに、それにしてはさやかの声は異様なまでに明るい。親友を失った直後とはまるで思えなかった。  不審に思ったスバルはさやかから手を離して、顔を覗き込む。目前にいるさやかはやはり笑っていた。  その笑顔はまどかの見慣れたさやかがよく見せるように明るかったが、壊れている。まるで無理矢理作らされている偽者の笑みに見えて、流石のスバルも違和感を抱かざるを得なかった。 「一体どうしたのさやかちゃん……何で、そんなに笑ってるの?」 「どうしたのって……そりゃあ確かにたくさんの人が殺されたのは悲しいに決まってるけど、いつまでも塞ぎこんでちゃいられないでしょ? ウジウジと悩んでたら、残された人達に言わなきゃいけないことも言えないし」 「そうじゃないよ! さやかちゃん、変だよ……いつものさやかちゃんじゃないよ!」 「まどかこそ、何を言っているの? こんな状況だから仕方ないかもしれないけど、もうちょっと落ち着こうよ」 「落ち着こうよって……」  ショックのあまりに現実逃避を起こしているのかと思ったが、それも違うように見える。  しかし考えてみればこの方が都合はいいかもしれない。一体何がさやかをここまで壊したのかは知らないが、自分を本当のまどかだと思い込んでいる。だから、消すには丁度いいかもしれなかった。  気を取り直してまどかの姿で再び微笑んだスバルはそのまま腕を伸ばそうとする。だがその数秒後、極寒の地にいきなり放り込まれたかのような悪寒が全身を駆け巡った。  おぞましい何かがこの近くにいると瞬時に察したスバルは振り向こうとするが、その直前に首根っこが締め付けられてしまう。  唐突な出来事に驚く暇も無く、スバルは目前に漆黒の衣服を纏った一人の男が笑みを浮かべているのを見た。反射的に首を圧迫するその手を振り解こうとするが、まるでビクともしない。  一方で男はそんなスバルに構いもせずに、さやかの方に振り向いた。 「ファウスト、少しそこで待っていろ……俺はこいつに話があるからな」 「わかりました! 誰か来ないかしっかり見張ってますから、あたしに任せてください!」  その言葉に満足げな笑みを浮かべる男は、そのままスバルの首を掴んだままさやかの元から離れる。  一体ファウストとは何のことなのか、それにこの男は何者なのか。スバルは取り込んだ参加者達の情報を引き出して正体を探るが、全くわからない。鹿目まどかも、本郷猛も、高町なのはも、池波流ノ介も、ズ・ゴオマ・グも、シャンプーも、ノーザも、そしてスバル・ナカジマ自身も誰一人として知らなかった。  お前は誰だと問おうとしたが、そうしようとした瞬間に手から伝わってくる圧力は更に増していく。 「なるほど、鹿目まどかというのはお前のことか」  呼吸が遮られてスバルは呻き声を漏らす中、男の冷たい声が鼓膜に響いた。  それはノーザやアクマロのように狡猾な者達が慈愛に溢れていると錯覚してしまうほど、冷たくて殺意に満ちている。  目の前の男は人の外見をしているだけで、その下には人ではない別のおぞましい存在が潜んでいるとスバルは思ってしまった。 「だがそいつはもう死んでいる……どういうカラクリかは知らないが、お前がまどかとやらを殺してから化けて、それからファウストに取り入ろうとしたみたいだな」  恐ろしい雰囲気を放ち続けながら、男は饒舌に語り続ける。  目が合っただけでも、自分より遥かに上の存在であると本能が警鐘を鳴らしていた。  振動破砕を使おうとしても、それが通る数秒の間に殺される。もしもマッハキャリバー達やレイジングハートが万全の状態で手元にあったとしても、刹那の時間もかからずに肉片残らず消されてもおかしくなかった。  ソレワターセで吸収しようとしてもその為には元の姿に戻る必要があるし、この男がそんな暇を許すとも思えない。例え戻れたとしても通用するわけがなかった。 (このままじゃ……殺される。アクマロ様の願いが叶えられない……アクマロ様、アクマロ様、助けて!)  絶体絶命と呼ぶに相応しい状況に追い詰められたスバルは、恐怖のあまりに震える。  ソレワターセに植えつけられてから経た悲劇によってあらゆる感情を失ったはずだったが、今の彼女には筋殻アクマロに対する強い愛情が惚れ薬によって存在していた。  アクマロの愛を得られないのが何よりも恐ろしい。そして、この男を野放しにしていては何れアクマロすらも殺されてしまうかもしれないのが、もっと恐ろしかった。 「そう震えるな……俺はお前に頼みがあるだけだ」  だが、次に男の口から出てきたのはそんな思ってもみなかった言葉。  耳に入った途端、圧迫感が少しだけ緩くなったがそれでも男から感じられる殺意は消えない。  最早、男の言葉は恫喝にしか聞こえなかった。 「どうやらファウストはお前を友達だと信じているみたいだ。なら、友達になってやろうぜ?」 「と、とも……だち?」 「そうだ。お前もまどかなら、友達を独りぼっちにするような薄情な奴じゃないだろ? あいつはお前を信じているみたいだから、仲良くしてやれよ」  息も絶え絶えになりながらも必死に言葉を紡ぐスバルは、酷薄な笑みと共に告げられる言葉の意味が飲み込めていない。  確かにまどかはさやかの為にインキュベーターと契約して魔法少女になろうとしたことがある。この事実から考えるに、まどかは余程さやかに入れ込んでいたことがわかった。  だがそれはあくまでも生前のまどかの話であって、まどかの姿を利用しているに過ぎないスバルには関係ない。だが、そんなことなど言えるわけがなかった。物理的にも言葉を紡げるような状況じゃないし、何よりも言っては今度こそ殺される恐れがある。  一体どうすればいいかと考えた頃、スバルの首を締め付けていた手は唐突に離されてしまい、その華奢な身体は地面に叩き付けられた。  軽い痛みが走る中、咳き込みながらも必死に呼吸する。 軽い痛みが走る中、咳き込みながらも必死に呼吸する。喉から全身に酸素が駆け巡っていく度に、これまで忘れていたはずの生きている実感を思い出していた。  しかしだからといって助かったわけではないと思った彼女は、男の方を見上げる。だがそこにいたはずの男はどこにもおらず、代わりにいたのは忠誠を誓う外道だった。 「アクマロ……様?」 「スバルはん、どうかお願い申し上げます……まどかはんの姿になって、さやかはんの友達になって頂けないでしょうか?」 「嘘……アクマロ様が、何で……!?」  その声もその姿も、スバルの知るアクマロと寸分の違いもない。  おかしいと思って目を擦ってみたが、それでもアクマロは前に立っていた。 「あんたさんは悪い夢でも見ていたのでしょう。我はずっと、スバルはんと一緒にいたではありませぬか」 「だって……アクマロ様は、あたしに十臓様の……」 「十臓はんも大事ですが、スバルはんの方がもっと大事に決まっておるでしょう。何故なら、こんなにも我に尽くしてくれているのですから……十臓はんのことは残念ですが、スバルはんが気にすることではございませぬ。これからは、ずっとスバルはんと一緒におりますゆえ安心してくだされ」  その言葉は一瞬でスバルの全身を駆け巡り、これまで抱いていた疑問と恐怖を瞬時に拭い払った。  アクマロは自分を大事にしてくれているだけでなく、ずっと見守ってくれている。その事実がスバルにとって何よりも嬉しかったのだ。 「スバルはん、お願いを申しあげます。どうかまどかのまま、ずっとさやかはんのお友達になっては頂けぬでしょうか? 嫌なら、無理にとは言いませぬが……」 「わかりました……愛するアクマロ様の頼みなら、何だって聞きますよ!」 「ほっほっほ。やはり、スバルはんは素晴らしいお方ですなぁ……」  一語一句が耳に響く度にスバルの全身が疼いていき、脳髄が熱くなっていく。  度数の高いアルコール飲料を一気飲みしたかのように、スバルは快楽の渦に酔っていた。これほどの感覚を味わえたのは生まれて初めてだろうが、今の彼女にそれを判断できる力などない。  止め処なく湧き上がる愛情が、スバルから思考力を容赦なく奪っていたのだった。 「では、さやかはんと一緒に頑張ってくだされ……我らの邪魔者を一人でも消すためにも」 「はい……全ては愛するアクマロ様のために。あたしは、鹿目まどかになりきります……!」  アクマロの願いを叶えるならば、スバル・ナカジマという名前なんていくらでも捨ててやる。今の自分はスバルなんかではなく、美樹さやかの親友である鹿目まどかになればいい。  本当なら敵であるはずのさやかを大切にすることも、アクマロが望むなら全く苦にはならなかった。まどかの知識さえ利用すれば、さやかの信頼を得ることなんて造作もない。  今はただ、アクマロが言うようにさやかの友達になって一緒に頑張ることだけを考えるだけ。  そんな考えなど露知らず、当のさやかはヘラヘラと笑い続けている。 「お待たせ、心配かけてごめんね」 「おっ、だいぶ落ち着いたみたいだね! 元気になってくれてよかったよ」 「ありがとう……さやかちゃん、一緒に頑張ろうね!」 「うん、まどかとなら何だってできるよ!」  まどかの姿で微笑みながら、スバルはゆっくりとさやかの手を握った。  愛するアクマロへの忠誠と愛を胸に抱き続ける彼女は知らない。そうやってさやかと偽りの友情を培っている光景を、嘲笑っている男がすぐ近くにいることを。  そして、彼女がアクマロだと信じている存在は、アクマロとは全くの別人であることも。 ◆ 「もう一体、ファウストを作れるかと思ったが無理だったか……やれやれ、ここまで力が抑えられているなんてな。やってくれるぜ」  不満に満ちた呟きとは裏腹に、眞也の表情は笑みで染まっていた。  鹿目まどかを演じていた何者かは今、自分のことをアクマロという参加者と勘違いしている。名簿には筋殻アクマロという変わった名前が確かにあったような気がしたが、今はそんなことどうでもいい。  怯えきった彼女を恐怖で脅して、闇の力で幻覚を見せたらこうも簡単に操り人形となった。その瞳の奥底にはさやかと同じ闇が感じられたのでファウストをもう一体作ろうとしたが、それは叶わない。ダークフィールドの発生が無理なようにファウストの生成も恐らく一度に一体だけに限られているのだろうが、別に構わなかった。  何故なら、ファウストと同じ哀れな手駒がもう一つ増えるのだから。 (恐らくあの女も操り人形にされている……やはりこの島には面白い連中が数え切れないほどいるみたいだな)  言動から察するに、あのまどかはアクマロと言う参加者に酷く心酔している。元々惚れていたのか、それとも何らかの方法で洗脳されているのかは知らないがどちらにせよ面白かった。  アクマロへの忠誠を自分に向けさせられたのなら便利なことこの上ないし、上手くいけば奴が愛するアクマロと殺し合う光景が見られるかもしれない。アクマロという奴が善人だろうが悪人だろうが、面白い結果になるのは火を見るより明らかだ。  愛する存在を自分の手で殺した時、まどかはどんな絶望を見せてくれるのか? そして、そんなまどかを本物だと信じているさやかが、まどか本人から裏切られたらどうなるのか?  様々なシチュエーションが脳裏に浮かび上がっては、眞也の気分がどんどん高揚していく。 (奴ら二人で潰し合わせるのも面白そうだが、それは先の楽しみとして取っておくか)  親友同士のまどかとさやかを試しに殺し合わせたい衝動に駆られるが、始末するべき敵が多い現状はそんなことなどできない。  どちらも質が低い分、戦いの際は数でカバーをしなければならなかった。クウガやゼクロスのように、それなりの戦闘力を持つ存在を前にするならそれくらいはしなければならない。 (楽しいゲームには楽しい出し物が付き物だ……加頭順もサラマンダーもいい道具を用意してくれたな。感謝してやるぜ)  見たところ、まどかの支給品には一台のバイクの他にガイアメモリが含まれている。  それを使わせれば、五代雄介達とあの二人を殺し合わせて絶望を味わわせられる他にも上手く集団の中に潜ませて、崩壊のきっかけを作ることも可能だった。  どちらにせよ、こういう時にガイアメモリは役に立つ。精神が汚染する代償はあるものの、その代償を背負うのはあの小娘どもだから関係ない。 「本当のお前が誰だろうとどうでもいい……俺を楽しませるために頑張ってくれよ。ファウストと一緒に面白いイベントを起こしてくれるのを、楽しみにしてるからな」  さやかと共に歩いていくまどかの背中を、眞也は冷酷無情な笑みで見送っている。  かつての孤門一輝のように幻覚を見せたが、彼女の闇もさやかと同じように出来上がりすぎていた。だから一輝や凪のように積み上げていく楽しみが微塵も感じられなかったが、それならば無残に死んでも惜しいとは思えないのでむしろよかったかもしれない。  如何にデスゲームを盛り上げて、どんな無残な死に様を見せてくれるのか。地獄に堕ちた少女達に眞也が期待しているのは、ただそれだけだった。 【一日目・朝】 【D-3/森】 【溝呂木眞也@ウルトラマンネクサス】 [状態]:健康 [装備]:ダークエボルバー@ウルトラマンネクサス、T2バイオレンスメモリ@仮面ライダーW [道具]:支給品一式、ランダム支給品1~2個(確認済)、サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS [思考] 基本:より高きもの、より強きもの、より完璧なるものに至り、世界を思うままに操る。 0:ファウスト(さやか)と鹿目まどか(スバル)の様子を見て、どう扱うかを考える。 1:姫矢准からウルトラマンの力を奪う。 2:その他にも利用できる力があれば何でも手に入れる。 3:弱い人間を操り人形にして正義の味方と戦わせる。 4:西条凪を仲間にする。 5:今は凪は放置。 [備考] ※参戦時期は姫矢編後半、Episode.23以前。 ※さやかをファウストにできたのはあくまで、彼女が「魔法少女」であったためです。本来、死者の蘇生に該当するため、ロワ内で死亡した参加者をファウスト化させることはできません。 ※また、複数の参加者にファウスト化を施すことはできません。少なくともさやかが生存している間は、別の参加者に対して闇化能力を発動することは不可能です。 ※ファウストとなった人間をファウスト化及び洗脳状態にできるのは推定1~2エリア以内に対象がいる場合のみです。 ※ダークファウストが一度に一体しか生み出せないことを、何となく把握しました。 ※目の前にいる鹿目まどかがまどかを殺した何者かが化けた偽者だと推測しています。 【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、妄想状態、裏にファウストの人格があります [装備]:ソウルジェム [道具]:支給品一式、ランダム支給品0~2 [思考] 基本:殺し合いを打破する 1:まどかやマミと一緒に行動する! 2:仲間がいると心強い [備考]  ※参戦時期は8話、ホスト二人組の会話を聞く前です。  ※『癒し』の魔法の効果で回復力が高まっており、ある程度ならば傷の自然回復が可能です。  ※正義の味方として戦う事が本当に正しいのかと絶望を覚えていますが、少しだけ和らいでいます。  ※溝呂木によってダークファウストの意思を植えつけえられました。但し、本人にその記憶はありません。  ※溝呂木が一定の距離にいない場合、彼女がファウストとしての姿や意思に目覚めることはありません(推定1~2エリア程度?)。ただし、斎田リコのような妄想状態になる可能性はあります。  ※妄想状態の影響が強くなり、今はまどかやマミと一緒に行動していると思い込んでいます。また、あらゆることを自分に都合よく解釈します(何かの拍子で自我を取り戻すこともあります)。 【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのは】 [状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)、全身に生命活動に致命的なダメージ、     ソレワターセによる精神支配、シャンプー、ゴオマ、まどか、なのは、流ノ介、本郷、ノーザの肉体を吸収、惚れ薬によりアクマロに惚れている、鹿目まどかの姿に変身中、幻覚を見せられている。 [装備]:T2ガイアメモリ(サイクロン)@仮面ライダーW [道具]:支給品一式、スモークグレネード@現実×2 [思考] 基本:愛するアクマロ様のしもべとして働く。 0:アクマロ様が傍にいてくれている……! 1:アクマロ様に従い、他の参加者(シンケンジャー、仮面ライダー、プリキュアを主に)を仕留める。そして、鹿目まどかになりきって美樹さやかの友達になる。 2:ティア…… [備考] ※参戦時期はstrikers18話から20話の作戦開始前までのどこかです。 ※『高町ヴィヴィオ』は一応ヴィヴィオ本人だと認識しています。  また、彼女がいることからこの殺し合いにジェイル・スカリエッティが関わっているのではないかと考えています。 ※ソレワターセに憑依された事で大幅にパワーアップしています。 ※シャンプー、ゴオマ、まどか、なのは、流ノ介、本郷、ノーザの肉体を吸収したことで、彼らの情報を得ると共にその姿にコピーすることができます。但し、その力までは得られません。 ※一日玉の効果でアクマロに惚れています、最低でも12時以降までは解除はされません。同時にソレワターセを浄化してもこちらは解除されません。 ※生命活動に致命的なダメージを受けており、その命をソレワターセで繋いでいます。つまりソレワターセを浄化しただけではスバルはそのまま死にます。 ※溝呂木眞也によって幻覚を見せられました。その結果、溝呂木眞也の事を筋殻アクマロだと思い込んでいます(今後、違う種類の幻覚を見る可能性があります)。 *時系列順で読む Back:[[~SILVER REQUIEM~]]Next:[[二人の黒騎士]] *投下順で読む Back:[[~SILVER REQUIEM~]]Next:[[二人の黒騎士]] |Back:[[夢見ていよう(後編)]]|溝呂木眞也|Next:[[「親友」(1)]]| |Back:[[夢見ていよう(後編)]]|美樹さやか|Next:[[「親友」(1)]]| |Back:[[Lの季節/手ごたえのない愛]]|スバル・ナカジマ|Next:[[「親友」(1)]]| ----
*青き地獄の姉妹 ◆LuuKRM2PEg  天より降り注いでくる木漏れ日の輝きは時間と共に強くなり、深い闇に覆われた筈の森林を徐々に照らしていった。  光とは、この世界に生きるほとんどの生き物にとってなくてはならないもの。そして人間に至っては、それを希望の象徴と捉えるような者が多いだろう。光があるからこそ人は生きていける。  しかしごく稀に光を忌み嫌う者もいた。闇の申し子であるその男こそが、代表例だろう。 「光か……下らないな」  空から降り注ぐ太陽の光を見上げながら、軽く舌を打った。  ナイトレイダーAユニットの元副隊長であり、アンノウンハンドから生まれ出た黒い悪魔・ダークメフィストに選ばれた男、[[溝呂木眞也]]は徐々に表情を顰めていく。  斎田リコの代わりとなる新たなる操り人形、[[美樹さやか]]を手に入れられたのは実に愉快だったが、この世界に差し込む光はそれを塗り潰してしまうほど不愉快だった。  ダークフィールドを生み出して辺りを闇で塗り潰してやりたかったが、あの[[加頭順]]やサラマンダーという男が用意した首輪に特別な仕掛けが施されているのか、それはできない。本当ならこの場で引き千切ってやりたかったが、その結果がどうなるかは目に見えているのでやるつもりはなかった。  どうやら、いずれはこの首輪を解体することのできる奴も操り人形にする必要もあるかもしれないと眞也は考える。これのせいで、本来できるはずの巨大化もできないし、ダークファウストの力も著しく弱体化していた。ダークメフィストに比べれば弱々しい存在だが、本来ならあんな小物どもなど一分もかからず皆殺しにできるはず。  しかしそれにさえ目を瞑りさえすれば、この孤島で起こっている戦いは至高の愉悦と呼ぶに相応しかった。弱き人間どもが醜い本性を曝け出して互いに殺し合い、あの[[孤門一輝]]や[[姫矢准]]を始めとした正義の味方を気取っている連中の願いを簡単に打ち砕く。そうしてたくさんの絶望が生まれるのが、眞也は何よりも愉快だった。  このたった六時間の間で既に一八人も死んでいる。恐らく姫矢なんかは、この現実を前に責任感と自身に対する強い無力感を抱いているに違いない。聖人を気取ってビーストから人間などを守り続けている愚か者には、丁度いい報いだ。  奴が生きているのは実に都合がいい。愚かな人間に殺されるのもそれはそれで面白いかもしれないが、やはりこの手で絶望のどん底にまで落として殺したかった。同じようにあの孤門も、いずれは殺し合いを前に心が折れて再び闇に飲み込まれるかもしれないから、その時に人形にするのも面白いかもしれない。 「孤門に姫矢、お前らの守りたかった人間など所詮こんなちっぽけで醜い存在だ。よくわかっただろう?」  この島の何処かにいるであろう宿敵達に向けて、眞也は静かに呟く。  もしも今、自分がこのさやかという哀れな少女を人形にしていることを知ったら、奴らはどう思うか? きっと、怒り狂ってさやかを取り戻す為に戦おうとするに違いない。  だがその前に、この人形を使えるだけ使って無様に捨てるつもりだ。そして、ただの屍となったこいつを二人の前に放り投げる。そうすればきっと、素晴らしい絶望を見せてくれるはずだ。  とはいえ何処にいるのかもわからない奴らと出会うまで、取っておくつもりはない。今はあの[[五代雄介]]、[[村雨良]]、[[響良牙]]という男達を前にこの人形をどう扱うかを考える必要があった。恐らく奴らは皆、さやかを取り戻す為に動くだろうから、再び遭遇する前に上手い扱い方を考えなければならない。  単純にファウストにさせても先程の戦いがあるから意味はないだろう。如何にファウストだろうと弱体化させられている今、策も無しに突っ込ませては殺されるだけだ。別に人形一つが壊れたところで惜しむことなどないが、こんな奴でも一応は戦力なので扱いどころは考えなければならない。 「お前の仲間が、もう一人増えればいいがな……ファウスト」 「そうですよねマミさん! あたし達の仲間がもっと増えれば、こんなふざけた殺し合いもすぐに止められますよね! まどかだってそう思うでしょ?」  そんな微かな願望を口にすると、さやかは壊れた瞳で満面の笑顔を向けてきた。  彼女は幻覚の力で自分のことを[[鹿目まどか]]や[[巴マミ]]という、既に死んだ参加者だと思い込んでいる。できるならその二人の死体も確保して人形に代えてやりたいが、いちいち捜す余裕などない。  ただ、人形にできそうな弱い人間をもう一人欲しいとは思う。闇の力を使って、自分のことを鹿目まどかか巴マミだと思い込ませて、さやかと傷の舐め合いをさせるのも実に面白そうだからだ。  こうやって幻の世界に閉じ込めた哀れな少女を見守るのも愉快だが、それでは些か芸に欠けてしまう。斎田リコをファウストにした時と同じことをするのでは、新たなファウストを見つけた意味が薄い。  木々の間から差し込んでくる太陽の光をスポットライトにしながら、独り言を呟き続けるさやかの演劇はそれなりに面白いが、時間が経てば飽きるかもしれなかった。これでは役者と舞台を変えただけだと思った瞬間、辺りに吹き付ける風が急に荒々しくなる。  そして、アンノウンハンドの影響によって常人を遥かに超えた眞也の聴力は、遥か彼方から凄まじい轟音を鳴らしながら突風のような何かが接近してくるのを捉えた。 「……この音は、竜巻か?」  吹き付ける風に伴って、多くの木々がバキバキと砕け散っていくのも聞こえる。ナイトレイダーにいた頃の自分なら気付かなかっただろうが、今ならば聞き取るのは造作もないこと。  振り向いて木々の間を凝視すると、数十メートルほど離れた先から小規模の竜巻が周囲を破壊しながら接近してくるのを見る。何故、積乱雲どころかまともな積雲もない空の下であんなのが発生するのかと思ったが、別にそれほどおかしなことではないとすぐに気付いた。  この世界にはウルトラマンや仮面ライダー、それにドーパントのような超常現象に等しい力を発揮する存在が数え切れないほどいる。加頭順が[[オープニング]]の際に見せつけたガイアメモリの力さえあれば、自然現象の一つや二つなど簡単に起こせても不思議ではない。  つまりあそこにいるのは竜巻を自由自在に操れる、ドーパントということになる。突然の来訪者を前に一瞬だけ目を見開いたが、すぐにその表情は笑みへと変わった。 「どこの誰かは知らないが丁度いい所に来てくれたな、歓迎するぞ」  徐々に激しくなっていく風の音に掻き消されそうな声で、眞也は静かに呟いた。 ◆ 「十臓様が……死んだ?」  放送で現れたサラマンダーという男の告げた事実は、サイクロン・ドーパントとなった[[スバル・ナカジマ]]にショックを与えるのは十分な威力を誇っていた。  [[高町なのは]]達のようにこの手で殺した参加者達も少なからず動揺を与えたが、[[腑破十臓]]の名前を聞いた途端にそれを呆気なく塗り潰されてしまう。  愛する主人の[[筋殻アクマロ]]から彼を守るように言われたのに、それを全く果たせなかった。あのお方は自分の全てであるにも関わらずして、裏切ってしまった。  生きる意味であるアクマロ様の願いを、果たせなかった……? 「嫌……嫌、嫌、嫌、嫌……アクマロ様に、嫌われる!」  感情の高ぶりと共に風となるスバルは喚きながら必死に飛ぶ。  十臓様が失った今、アクマロ様の為にできることがあるのか?   一体どうすれば、アクマロ様は喜んでくれるのか?  アクマロ様が求めているのはこの世に地獄を齎すこと。その為に、十臓様と裏正が必要だった。  でも十臓様が死んだのに、どうやってこの世界を地獄に変えるのか? 彼の変わりなんて、この世界のどこにもいないのに。 「……十臓様の、変わり?」  そんな中、不意に芽生えた思考からサイクロン・ドーパントの顔の下で、スバルは怪訝な表情を浮かべてしまう。  十臓は死んでいるからもういない。でも、十臓になることができればアクマロの願いが叶う可能性があるかもしれなかった。  何処かにある十臓の死体を見つけて食べさえすれば、十臓の姿にコピーすることができる。そうして裏正も見つけさえすれば、アクマロに地獄を味わわせることが充分にできる。  自分が十臓にさえなりさえすれば、裏見がんどう返しの術を使うことは充分にできた。 (何だ……そうすれば、良かったんだ! 十臓様を見つければいいんだ!)  たったそれだけで、アクマロ様は喜んでくれる。どこにあるのかわからないけど、十臓の死体さえ見つけられれば何の問題もなかった。  そんな希望に胸を躍らせるが、スバルは知らない。ソレワターセで他の参加者を吸収したとしても姿と情報は得られるが、制限によって力を得られないことを。つまり十臓を見つけてその身体を取り込んで姿をコピーしたとしても、裏見がんどう返しの術を行えなかった。  また、例え力がコピーできたとしても術の発動に必要なもう一つの鍵、妖刀裏正は[[相羽シンヤ]]によって破壊されている。つまり、どう足掻こうがアクマロの悲願は果たせないが、皮肉にも彼女はそれを知らない。  ただ期待を胸に、風となって進むしかできなかった。  やがてサイクロン・ドーパントは十臓を探す為にも、島に広く生い茂った森を目掛けて急降下する。風の力で辺りの植物を無差別に破壊しながら突入して辺りを見渡すと、ドーパントになったことで発達した視覚と聴覚が、他の参加者の存在を捉えた。  生み出される暴風の音で断片的にしか声が届かなかったが、それを聞いた瞬間に彼女の心が疼いていく。  彼女がその身に取り込んだ、鹿目まどかの記憶がサイクロン・ドーパントの脳裏を刺激していた。 「さやか……ちゃん」  生前、まどかがまた会いたいと願っていた親友の美樹さやかが、少し離れた場所にいる。  やはり、亡くなってしまったはずの彼女は生きていた。放送で名前が呼ばれてしまった巴マミのように、こうして目の前にいる。やはりキュウべぇがその力で彼女を蘇らせたのではないか――一瞬だけ、その思考が頭に過るもすぐに振り払った。  例えまどかの親友だとしても、彼女の性格から考えてアクマロ様の計画にとって邪魔にしかならない。魔女になったのならともかく、魔法少女となったさやかの力はアクマロには及ばないものの、芽は一つでも潰さなければならなかった。  幸いにもさやかはまだこちらに気づいていない。故にサイクロン・ドーパントの変身を解いたスバルはガイアメモリを懐にしまって、ソレワターセの力で鹿目まどかの姿に化ける。  きっとさやかは放送でまどかやマミ、それにほむらが呼ばれたことで絶望を覚えているに違いない。そこでまどかの姿となって彼女に迫って、偽りの希望を植え付けた後に殺害する。そうすれば、アクマロ様の望む嘆きと悲しみはもっと広がるはずだった。  アクマロへの忠義と愛を原動力とした彼女は、まどかの姿で微笑みながらゆっくりと歩を進める。数メートルほど進んだ瞬間、さやかがこちらに振り向いてきた。 「……あれ、まどか?」 「さやかちゃん、無事だったんだね!」  本物のまどかのように瞳から涙を滲ませながら、さやかの前に立ってその身体を抱き締める。  数時間前に得た情報によると、まどかとさやかの絆は余程強いらしい。まどかはさやかを救う為に魔法少女になろうとしたこともあったし、さやかは子どもの頃から何度もまどかを助けたようだ。  だからこうしていれば、放送を聞いてショックを受けているはずのさやかはきっと喜ぶ姿を見せてくれるだろう。自分が偽者のまどかだとは微塵も思わないで。 「よかった……さやかちゃんが生きていてくれて、本当によかった! わたし、さやかちゃんにずっと会いたかったんだよ!」 「何を言っているのまどか? あたし達はずっとそばにいたでしょ? ちょっと離れただけで、大げさだなぁ……」 「……えっ?」  しかしさやかから帰ってきた返事は、まどかとなったスバルにとってあまりにも予想から外れていた。 「怖いのはわかるけど、まどかはあたしが守ってあげるから大丈夫だって! それにまどかがそうして落ち込んでたら、あたし達だって悲しむよ!」 「さ、さやかちゃん……?」 「あの杏子やほむらって奴らもきっと何処かで頑張ってるはずだから、あたし達も頑張らないと!」  既に十八人もの参加者が死んでいるというのに、それにしてはさやかの声は異様なまでに明るい。親友を失った直後とはまるで思えなかった。  不審に思ったスバルはさやかから手を離して、顔を覗き込む。目前にいるさやかはやはり笑っていた。  その笑顔はまどかの見慣れたさやかがよく見せるように明るかったが、壊れている。まるで無理矢理作らされている偽者の笑みに見えて、流石のスバルも違和感を抱かざるを得なかった。 「一体どうしたのさやかちゃん……何で、そんなに笑ってるの?」 「どうしたのって……そりゃあ確かにたくさんの人が殺されたのは悲しいに決まってるけど、いつまでも塞ぎこんでちゃいられないでしょ? ウジウジと悩んでたら、残された人達に言わなきゃいけないことも言えないし」 「そうじゃないよ! さやかちゃん、変だよ……いつものさやかちゃんじゃないよ!」 「まどかこそ、何を言っているの? こんな状況だから仕方ないかもしれないけど、もうちょっと落ち着こうよ」 「落ち着こうよって……」  ショックのあまりに現実逃避を起こしているのかと思ったが、それも違うように見える。  しかし考えてみればこの方が都合はいいかもしれない。一体何がさやかをここまで壊したのかは知らないが、自分を本当のまどかだと思い込んでいる。だから、消すには丁度いいかもしれなかった。  気を取り直してまどかの姿で再び微笑んだスバルはそのまま腕を伸ばそうとする。だがその数秒後、極寒の地にいきなり放り込まれたかのような悪寒が全身を駆け巡った。  おぞましい何かがこの近くにいると瞬時に察したスバルは振り向こうとするが、その直前に首根っこが締め付けられてしまう。  唐突な出来事に驚く暇も無く、スバルは目前に漆黒の衣服を纏った一人の男が笑みを浮かべているのを見た。反射的に首を圧迫するその手を振り解こうとするが、まるでビクともしない。  一方で男はそんなスバルに構いもせずに、さやかの方に振り向いた。 「ファウスト、少しそこで待っていろ……俺はこいつに話があるからな」 「わかりました! 誰か来ないかしっかり見張ってますから、あたしに任せてください!」  その言葉に満足げな笑みを浮かべる男は、そのままスバルの首を掴んだままさやかの元から離れる。  一体ファウストとは何のことなのか、それにこの男は何者なのか。スバルは取り込んだ参加者達の情報を引き出して正体を探るが、全くわからない。鹿目まどかも、[[本郷猛]]も、高町なのはも、[[池波流ノ介]]も、[[ズ・ゴオマ・グ]]も、[[シャンプー]]も、[[ノーザ]]も、そしてスバル・ナカジマ自身も誰一人として知らなかった。  お前は誰だと問おうとしたが、そうしようとした瞬間に手から伝わってくる圧力は更に増していく。 「なるほど、鹿目まどかというのはお前のことか」  呼吸が遮られてスバルは呻き声を漏らす中、男の冷たい声が鼓膜に響いた。  それはノーザやアクマロのように狡猾な者達が慈愛に溢れていると錯覚してしまうほど、冷たくて殺意に満ちている。  目の前の男は人の外見をしているだけで、その下には人ではない別のおぞましい存在が潜んでいるとスバルは思ってしまった。 「だがそいつはもう死んでいる……どういうカラクリかは知らないが、お前がまどかとやらを殺してから化けて、それからファウストに取り入ろうとしたみたいだな」  恐ろしい雰囲気を放ち続けながら、男は饒舌に語り続ける。  目が合っただけでも、自分より遥かに上の存在であると本能が警鐘を鳴らしていた。  振動破砕を使おうとしても、それが通る数秒の間に殺される。もしもマッハキャリバー達やレイジングハートが万全の状態で手元にあったとしても、刹那の時間もかからずに肉片残らず消されてもおかしくなかった。  ソレワターセで吸収しようとしてもその為には元の姿に戻る必要があるし、この男がそんな暇を許すとも思えない。例え戻れたとしても通用するわけがなかった。 (このままじゃ……殺される。アクマロ様の願いが叶えられない……アクマロ様、アクマロ様、助けて!)  絶体絶命と呼ぶに相応しい状況に追い詰められたスバルは、恐怖のあまりに震える。  ソレワターセに植えつけられてから経た悲劇によってあらゆる感情を失ったはずだったが、今の彼女には筋殻アクマロに対する強い愛情が惚れ薬によって存在していた。  アクマロの愛を得られないのが何よりも恐ろしい。そして、この男を野放しにしていては何れアクマロすらも殺されてしまうかもしれないのが、もっと恐ろしかった。 「そう震えるな……俺はお前に頼みがあるだけだ」  だが、次に男の口から出てきたのはそんな思ってもみなかった言葉。  耳に入った途端、圧迫感が少しだけ緩くなったがそれでも男から感じられる殺意は消えない。  最早、男の言葉は恫喝にしか聞こえなかった。 「どうやらファウストはお前を友達だと信じているみたいだ。なら、友達になってやろうぜ?」 「と、とも……だち?」 「そうだ。お前もまどかなら、友達を独りぼっちにするような薄情な奴じゃないだろ? あいつはお前を信じているみたいだから、仲良くしてやれよ」  息も絶え絶えになりながらも必死に言葉を紡ぐスバルは、酷薄な笑みと共に告げられる言葉の意味が飲み込めていない。  確かにまどかはさやかの為にインキュベーターと契約して魔法少女になろうとしたことがある。この事実から考えるに、まどかは余程さやかに入れ込んでいたことがわかった。  だがそれはあくまでも生前のまどかの話であって、まどかの姿を利用しているに過ぎないスバルには関係ない。だが、そんなことなど言えるわけがなかった。物理的にも言葉を紡げるような状況じゃないし、何よりも言っては今度こそ殺される恐れがある。  一体どうすればいいかと考えた頃、スバルの首を締め付けていた手は唐突に離されてしまい、その華奢な身体は地面に叩き付けられた。  軽い痛みが走る中、咳き込みながらも必死に呼吸する。 軽い痛みが走る中、咳き込みながらも必死に呼吸する。喉から全身に酸素が駆け巡っていく度に、これまで忘れていたはずの生きている実感を思い出していた。  しかしだからといって助かったわけではないと思った彼女は、男の方を見上げる。だがそこにいたはずの男はどこにもおらず、代わりにいたのは忠誠を誓う外道だった。 「アクマロ……様?」 「スバルはん、どうかお願い申し上げます……まどかはんの姿になって、さやかはんの友達になって頂けないでしょうか?」 「嘘……アクマロ様が、何で……!?」  その声もその姿も、スバルの知るアクマロと寸分の違いもない。  おかしいと思って目を擦ってみたが、それでもアクマロは前に立っていた。 「あんたさんは悪い夢でも見ていたのでしょう。我はずっと、スバルはんと一緒にいたではありませぬか」 「だって……アクマロ様は、あたしに十臓様の……」 「十臓はんも大事ですが、スバルはんの方がもっと大事に決まっておるでしょう。何故なら、こんなにも我に尽くしてくれているのですから……十臓はんのことは残念ですが、スバルはんが気にすることではございませぬ。これからは、ずっとスバルはんと一緒におりますゆえ安心してくだされ」  その言葉は一瞬でスバルの全身を駆け巡り、これまで抱いていた疑問と恐怖を瞬時に拭い払った。  アクマロは自分を大事にしてくれているだけでなく、ずっと見守ってくれている。その事実がスバルにとって何よりも嬉しかったのだ。 「スバルはん、お願いを申しあげます。どうかまどかのまま、ずっとさやかはんのお友達になっては頂けぬでしょうか? 嫌なら、無理にとは言いませぬが……」 「わかりました……愛するアクマロ様の頼みなら、何だって聞きますよ!」 「ほっほっほ。やはり、スバルはんは素晴らしいお方ですなぁ……」  一語一句が耳に響く度にスバルの全身が疼いていき、脳髄が熱くなっていく。  度数の高いアルコール飲料を一気飲みしたかのように、スバルは快楽の渦に酔っていた。これほどの感覚を味わえたのは生まれて初めてだろうが、今の彼女にそれを判断できる力などない。  止め処なく湧き上がる愛情が、スバルから思考力を容赦なく奪っていたのだった。 「では、さやかはんと一緒に頑張ってくだされ……我らの邪魔者を一人でも消すためにも」 「はい……全ては愛するアクマロ様のために。あたしは、鹿目まどかになりきります……!」  アクマロの願いを叶えるならば、スバル・ナカジマという名前なんていくらでも捨ててやる。今の自分はスバルなんかではなく、美樹さやかの親友である鹿目まどかになればいい。  本当なら敵であるはずのさやかを大切にすることも、アクマロが望むなら全く苦にはならなかった。まどかの知識さえ利用すれば、さやかの信頼を得ることなんて造作もない。  今はただ、アクマロが言うようにさやかの友達になって一緒に頑張ることだけを考えるだけ。  そんな考えなど露知らず、当のさやかはヘラヘラと笑い続けている。 「お待たせ、心配かけてごめんね」 「おっ、だいぶ落ち着いたみたいだね! 元気になってくれてよかったよ」 「ありがとう……さやかちゃん、一緒に頑張ろうね!」 「うん、まどかとなら何だってできるよ!」  まどかの姿で微笑みながら、スバルはゆっくりとさやかの手を握った。  愛するアクマロへの忠誠と愛を胸に抱き続ける彼女は知らない。そうやってさやかと偽りの友情を培っている光景を、嘲笑っている男がすぐ近くにいることを。  そして、彼女がアクマロだと信じている存在は、アクマロとは全くの別人であることも。 ◆ 「もう一体、ファウストを作れるかと思ったが無理だったか……やれやれ、ここまで力が抑えられているなんてな。やってくれるぜ」  不満に満ちた呟きとは裏腹に、眞也の表情は笑みで染まっていた。  鹿目まどかを演じていた何者かは今、自分のことをアクマロという参加者と勘違いしている。名簿には筋殻アクマロという変わった名前が確かにあったような気がしたが、今はそんなことどうでもいい。  怯えきった彼女を恐怖で脅して、闇の力で幻覚を見せたらこうも簡単に操り人形となった。その瞳の奥底にはさやかと同じ闇が感じられたのでファウストをもう一体作ろうとしたが、それは叶わない。ダークフィールドの発生が無理なようにファウストの生成も恐らく一度に一体だけに限られているのだろうが、別に構わなかった。  何故なら、ファウストと同じ哀れな手駒がもう一つ増えるのだから。 (恐らくあの女も操り人形にされている……やはりこの島には面白い連中が数え切れないほどいるみたいだな)  言動から察するに、あのまどかはアクマロと言う参加者に酷く心酔している。元々惚れていたのか、それとも何らかの方法で洗脳されているのかは知らないがどちらにせよ面白かった。  アクマロへの忠誠を自分に向けさせられたのなら便利なことこの上ないし、上手くいけば奴が愛するアクマロと殺し合う光景が見られるかもしれない。アクマロという奴が善人だろうが悪人だろうが、面白い結果になるのは火を見るより明らかだ。  愛する存在を自分の手で殺した時、まどかはどんな絶望を見せてくれるのか? そして、そんなまどかを本物だと信じているさやかが、まどか本人から裏切られたらどうなるのか?  様々なシチュエーションが脳裏に浮かび上がっては、眞也の気分がどんどん高揚していく。 (奴ら二人で潰し合わせるのも面白そうだが、それは先の楽しみとして取っておくか)  親友同士のまどかとさやかを試しに殺し合わせたい衝動に駆られるが、始末するべき敵が多い現状はそんなことなどできない。  どちらも質が低い分、戦いの際は数でカバーをしなければならなかった。クウガやゼクロスのように、それなりの戦闘力を持つ存在を前にするならそれくらいはしなければならない。 (楽しいゲームには楽しい出し物が付き物だ……加頭順もサラマンダーもいい道具を用意してくれたな。感謝してやるぜ)  見たところ、まどかの支給品には一台のバイクの他にガイアメモリが含まれている。  それを使わせれば、五代雄介達とあの二人を殺し合わせて絶望を味わわせられる他にも上手く集団の中に潜ませて、崩壊のきっかけを作ることも可能だった。  どちらにせよ、こういう時にガイアメモリは役に立つ。精神が汚染する代償はあるものの、その代償を背負うのはあの小娘どもだから関係ない。 「本当のお前が誰だろうとどうでもいい……俺を楽しませるために頑張ってくれよ。ファウストと一緒に面白い[[イベント]]を起こしてくれるのを、楽しみにしてるからな」  さやかと共に歩いていくまどかの背中を、眞也は冷酷無情な笑みで見送っている。  かつての孤門一輝のように幻覚を見せたが、彼女の闇もさやかと同じように出来上がりすぎていた。だから一輝や凪のように積み上げていく楽しみが微塵も感じられなかったが、それならば無残に死んでも惜しいとは思えないのでむしろよかったかもしれない。  如何にデスゲームを盛り上げて、どんな無残な死に様を見せてくれるのか。地獄に堕ちた少女達に眞也が期待しているのは、ただそれだけだった。 【一日目・朝】 【D-3/森】 【溝呂木眞也@ウルトラマンネクサス】 [状態]:健康 [装備]:ダークエボルバー@ウルトラマンネクサス、T2バイオレンスメモリ@仮面ライダーW [道具]:支給品一式、ランダム支給品1~2個(確認済)、サイクロン号@仮面ライダーSPIRITS [思考] 基本:より高きもの、より強きもの、より完璧なるものに至り、世界を思うままに操る。 0:ファウスト(さやか)と鹿目まどか(スバル)の様子を見て、どう扱うかを考える。 1:姫矢准からウルトラマンの力を奪う。 2:その他にも利用できる力があれば何でも手に入れる。 3:弱い人間を操り人形にして正義の味方と戦わせる。 4:[[西条凪]]を仲間にする。 5:今は凪は放置。 [備考] ※参戦時期は姫矢編後半、Episode.23以前。 ※さやかをファウストにできたのはあくまで、彼女が「魔法少女」であったためです。本来、死者の蘇生に該当するため、ロワ内で死亡した参加者をファウスト化させることはできません。 ※また、複数の参加者にファウスト化を施すことはできません。少なくともさやかが生存している間は、別の参加者に対して闇化能力を発動することは不可能です。 ※ファウストとなった人間をファウスト化及び洗脳状態にできるのは推定1~2エリア以内に対象がいる場合のみです。 ※ダークファウストが一度に一体しか生み出せないことを、何となく把握しました。 ※目の前にいる鹿目まどかがまどかを殺した何者かが化けた偽者だと推測しています。 【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】 [状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、妄想状態、裏にファウストの人格があります [装備]:ソウルジェム [道具]:支給品一式、ランダム支給品0~2 [思考] 基本:殺し合いを打破する 1:まどかやマミと一緒に行動する! 2:仲間がいると心強い [備考]  ※参戦時期は8話、ホスト二人組の会話を聞く前です。  ※『癒し』の魔法の効果で回復力が高まっており、ある程度ならば傷の自然回復が可能です。  ※正義の味方として戦う事が本当に正しいのかと絶望を覚えていますが、少しだけ和らいでいます。  ※溝呂木によってダークファウストの意思を植えつけえられました。但し、本人にその記憶はありません。  ※溝呂木が一定の距離にいない場合、彼女がファウストとしての姿や意思に目覚めることはありません(推定1~2エリア程度?)。ただし、斎田リコのような妄想状態になる可能性はあります。  ※妄想状態の影響が強くなり、今はまどかやマミと一緒に行動していると思い込んでいます。また、あらゆることを自分に都合よく解釈します(何かの拍子で自我を取り戻すこともあります)。 【スバル・ナカジマ@魔法少女リリカルなのは】 [状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)、全身に生命活動に致命的なダメージ、     ソレワターセによる精神支配、シャンプー、ゴオマ、まどか、なのは、流ノ介、本郷、ノーザの肉体を吸収、惚れ薬によりアクマロに惚れている、鹿目まどかの姿に変身中、幻覚を見せられている。 [装備]:T2ガイアメモリ(サイクロン)@仮面ライダーW [道具]:支給品一式、スモークグレネード@現実×2 [思考] 基本:愛するアクマロ様のしもべとして働く。 0:アクマロ様が傍にいてくれている……! 1:アクマロ様に従い、他の参加者(シンケンジャー、仮面ライダー、プリキュアを主に)を仕留める。そして、鹿目まどかになりきって美樹さやかの友達になる。 2:ティア…… [備考] ※参戦時期はstrikers18話から20話の作戦開始前までのどこかです。 ※『[[高町ヴィヴィオ]]』は一応ヴィヴィオ本人だと認識しています。  また、彼女がいることからこの殺し合いにジェイル・スカリエッティが関わっているのではないかと考えています。 ※ソレワターセに憑依された事で大幅にパワーアップしています。 ※シャンプー、ゴオマ、まどか、なのは、流ノ介、本郷、ノーザの肉体を吸収したことで、彼らの情報を得ると共にその姿にコピーすることができます。但し、その力までは得られません。 ※一日玉の効果でアクマロに惚れています、最低でも12時以降までは解除はされません。同時にソレワターセを浄化してもこちらは解除されません。 ※生命活動に致命的なダメージを受けており、その命をソレワターセで繋いでいます。つまりソレワターセを浄化しただけではスバルはそのまま死にます。 ※溝呂木眞也によって幻覚を見せられました。その結果、溝呂木眞也の事を筋殻アクマロだと思い込んでいます(今後、違う種類の幻覚を見る可能性があります)。 *時系列順で読む Back:[[~SILVER REQUIEM~]]Next:[[二人の黒騎士]] *投下順で読む Back:[[~SILVER REQUIEM~]]Next:[[二人の黒騎士]] |Back:[[夢見ていよう(後編)]]|溝呂木眞也|Next:[[「親友」(1)]]| |Back:[[夢見ていよう(後編)]]|美樹さやか|Next:[[「親友」(1)]]| |Back:[[Lの季節/手ごたえのない愛]]|スバル・ナカジマ|Next:[[「親友」(1)]]| ----

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