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Predestination - (2013/03/15 (金) 00:29:23) の1つ前との変更点

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*Predestination ◆gry038wOvE  結城と零が冴島邸の直線的な廊下を歩いている。零の横顔は、その中にある全てを憎しみの目で見つめていた。  ……この豪勢な家の中には、色々と思うところがあるのだろう。地図上の「冴島邸」の名前から、結城は様々な想像をしてきたが、更にその上を行くような豪奢な家である。  見た感じでは、非常に綺麗な洋風の建物だ。魔戒騎士というのは、やはり随分と儲かるのだろうか? ましてや、その最高位という冴島鋼牙という男ならば、尚更だろう。仮面ライダーという慈善事業とは違い、魔戒騎士は職業としての側面も持っていると思われる(無論、その活動は秘密裏のようだが)。  しかし、そんな一方で、傍目の零は自分で縫いつくろった痕のあるコートを着ている。これも高そうだが、それは元値だけだろう。何度も買い換えた様子には見られない。いや、無数の縫い痕は、むしろ買い換えることへの過剰なまでの抵抗さえ感じられる。  何か思い入れのある品なのだろうか。結城はそこまで考えたが、あくまで黙っておいた。  いちいち、細かいことまで聞いて、反感を買っても困る。彼のコートが何であれ、この場で関係のあることではないだろう。 「……結城さん。一ついいかな?」  結城は、突然零に呼ばれて、疑問顔のままそちらを見る。まだ頭の切り替えをするには、少しばかり早い。この邸宅から考えうる、冴島鋼牙という男への考察はまだ済んでいないのだ。  零の表情は、強張ったまま、しかし、数秒前の憎しみの目とは異なる、何かに対する警戒に染まった目で結城に言葉を投げかけていた。  結城の目を見ようともしていないことから察するに、彼の視点の先に何かあるのだろう。目線を反らすことで、彼は結城に合図を送っているようだった。  何かいる、らしい。  ……確かに結城も、この家の中で何かを感じてはいたのだが、それをはっきりと掴めてはいない。  零は、あの先でもっと精密に何かを感じて睨んでいるのだろうか。 「二階から、誰か降りてくる」  視点の先に何かがあるというのは正解である。そこは柱で区切られていてうまく見えないが、階段の三段目までが、何とか視界に入った。  すると、二人は互いを向き合い、頷くと同時に階段へと駆け出した。結城と零は階段までの間合いを俊敏な動きで詰める。  それぞれの武器を────双剣を、ヘルメットをそれぞれの利き手に握り、数歩だけ歩けば、彼らの視界に、一瞬で階段の八段目まで映る。  零の動きの速さに、コートがふわりと風に浮いた。  彼が、目の前にある異変を感じたことで立ち止まると、靡いたコートは彼の背中にパサッと音を立ててくっついた。  この零のコートの背中に縫い付けられたマークは、かつて婚約者・静香により贈られたドリームキャッチャーを模している。  ──彼が背負い続けるものが、ピッタリと背中について彼を追ってくるようになっているのだ。  あの瞬間に知った怒りを、悲しみを、己の無力を、敵の名を忘れぬ為に、彼が自分自身に科した重い宿命の証である。皮肉にも、悪い夢を吸い取るはずのこのドリームキャッチャーこそが、彼にあの悪夢を何度となく思い出させていた。 「ナケワメェーケェー!!」  零の察したとおり、階段の方から不気味な怪物が降りてくるが、二人の戦士は驚くこともなく、それを見据えている。  これまでの経験上、怪物など珍しくも何ともないのである。むしろ、単体で襲ってくることや、容姿にグロテスクさがなく可愛気さえ感じることから、生易しい相手と思うほどだ。  結城丈二はライダーマン。涼邑零は魔戒騎士。……化け物を見ても反応を示さない理由など、それだけで充分だろう。  人の気配を感じた時点で構えていた剣を、あるいはマスクを、彼らは戦いの構えにもどす。 「ヤァッ!」  鋼の右腕を持つ男・ライダーマンが一瞬で変身する。結城がヘルメットを被ると、全身は強化スーツに包まれ、仮面ライダーの姿へと変身するのだ。  むしろ、この変身には怪物の方がギョッとしたようである。  何だか、調子の狂う相手だ。零は構えたまま動かない。鎧を召喚するにも、今はそのタイミングではないだろうことが明白だった。それほど強い相手ではなさそうだ。 「ロープアーム!」  彼の右腕が太いロープの束へと変形する。彼の意のままに発射されるロープの腕である。  彼はそれを使って、一瞬で目の前の怪物の体の四肢を包んだ。  的確に、敵の動きを止める妙技であった。数年来、このロープアームを腕としてきたライダーマンは、もはやこの技において、右に出る者なしの達人といえよう。 「……零、こいつは参加者ではないだろう。だが、これを操ってる参加者がここにいるかもしれない」 「鋼牙か……。捜してみる価値はあるかもな」  結城としては、それが冴島鋼牙であるかどうかは微妙に思ったが、ともかく操っている者がいる可能性を少なからず考えている。  参加者ではないにせよ、まだ主催者側がこの施設に送り込んだ措置という可能性も否めない。  ……が、どうにも、主催者が送り込んだ物とは思えないのだ。どうして、この施設に限りこんな怪物を寄越してくるのかが疑問である。警察署には、怪物などいなかったし、他の場所でも参加者外の怪物は見ていない。  また、この怪物が参加者により変身した戦士という可能性もあるが、形状が人間的でないことや、首輪が装着されてないことが不自然に感じられた。  零は二階へ登っていく。  それを見届けたうえで、目の前でロープを絡ませた相手を見つめた。 「ナケワメーケェ!」  怪物はあまりにも機械的に、この言葉だけを繰り返す。その性質はデストロン怪人にも似ている。  彼の鳴き声は、即ち、「泣け喚け」ということだろうか? しかし、状況と台詞が明らかに合致していない。異国の言葉を「泣けわめけ」と聞き取ったわけでもないだろう。  ……やはり、変身者とは思えない。  怪人たちとも、違う。 「意思疎通ができる相手でもないからな……どうすればいいか」  そのうえ、ライダーマンが今行っている動作は、戦闘ではなく、ただの棒立ちになっている。  ライダーマンは、もがけばもがくほどロープに絡まっていくこの生物をどうすればいいのか悩み、棒立ちしているのだ。  放っておいても良い相手であるような、そんな戦い甲斐のない敵。  果たして、これは倒すべき相手だろうか? 倒していい相手なのだろうか?  よくよく考えていれば、こちらに目立った被害があったわけでもない。 「……やれやれ」  しゅるしゅると、ナケワメーケがもがくたびに自分の腕から伸びていくロープを見つめて、ライダーマンは苦笑いした。  これは、どうしようもない敵だ。何せ、倒させてくれない。  こいつがいたところで、誰も困らないのではないだろうか。階段から、何かを守るように襲ってくるこの奇怪な生物を、とりあえずライダーマンは縛り付ける。 「二階を見てみるか」  結城は変身を解き、階段を踏み出す。その際、ナケワメーケの巨体は邪魔なのだが、何とか切り抜けて歩き出した。  しかし、結城はこの場所が気にかかって仕方がない。  この家は、深く進めば進むほどに「何もない」。いや、確かに一般的な家には絶対にないようなものがいくらでもあるのに、殺人鬼が持っていそうな悪趣味な代物が、何もないのだ。  人を殺すような人間の邸宅にしては、あまりにも上品すぎる。  ……まあ、強いていえば、椅子の化け物がやや下品だろうか。 ★ ★ ★ ★ ★ 「あんたは……」  零は二階の一室に座する男の外見に心当たりがあった。  その男は、冴島鋼牙ではない。……だが、彼がその手の剣を彼に向けることに、躊躇を持つことはなかった。  彼はこの一室に置かれた全てを憎む。ベッド、花瓶、棚、机、埃の一片……そして、そこにポツンと佇む人間さえ。  この一室が冴島鋼牙の部屋であることは、「魔戒騎士らしい道具のある部屋」であることから明白であったから、零の眉は半ば強制的に顰められたのだ。  零の記憶に残る、血で汚れたあの部屋と、この綺麗に整えられた部屋──一体、どちらが殺人鬼の部屋であるべきか。神という者に良心があれば、二つの部屋の居住者は逆であるべきなのではないだろうか。そんな怒りが、零の中に湧き起こる。  しかし、彼は無機質な「部屋」よりも、まずはそこにいる「人間」に語りかけた。 「相羽タカヤ、か……?」  この男は、警察署にいた相羽タカヤという男と全く同じ外見だったのだ。しかし、雰囲気は似ても似つかない。どちらも底知れぬ闇を感じさせる表情である。  柔和な表情をしているのはどちらかといえば、今零の目の前にいるタカヤの方だろう。彼は、警察署で会ったタカヤよりも温厚そうな雰囲気であった。……しかし、その実、あのタカヤよりも感情の見えない不気味さを感じさせた。  あちらのタカヤを見た時、零は少なくとも、あの憎しみや怒りなどの激情を露にした彼に、どことない共感を覚えたような気がする。  このタカヤには、そういうものが一切ない。 「へえ、兄さんに会ったのか……」 「兄さん……? あんたは、タカヤじゃないっていうのか」  相羽シンヤ、相羽ミユキの二つの名が名簿にはあった。どちらも、男性に在り得る名前であるが、ミユキの名は既に死者として呼ばれているため、自動的に彼はシンヤということになる。  二人の外見が相似しているのは、双子であるからという可能性が高い。……となると、やはり親族が似たような名前をつけられる不思議な風習が由縁だろう。  たとえるなら、────冴島大河と、冴島鋼牙のように。 「そうか。相羽シンヤか」 「ご明察の通り、僕は相羽シンヤだ」  そう言って、男は微笑む。やはり、タカヤの数百倍、彼は不気味だった。  口調がタカヤとは別物で、無邪気なように聞こえることが、何処かの誰か───零にとっては、鏡の向こうからしか見られない誰かに似ている。  だから、零には余計に不気味なのだ。 「……それより、兄さんのことを知っているようだったけど、実際のところどうなんだい? はっきり話したというなら、どこで会ったかを訊きたいな」  一方、シンヤの興味は一点、そこにあるようだった。  危害を加えようという様子は全く見られないが、実のところ、この笑顔の裏になにが隠れてるのかはわからない。だから、零は剣を垂らしたままだった。  しかし、垂らしているだけで、構えることを忘れさせている。シンヤの不気味さが、零の理解を超えているから、剣を持って警戒することさえ、この時ばかりは忘れていた。  そして、何の切欠もなしに、はっと我に返る。  俺は屈強な魔戒騎士だろう、と。 「……ああ、知っているよ。だが、その前に俺からも一ついいかな?」  この男はここにいたのだ。  タカヤのことを話す前に、自分の捜し人のことも訊かなければならない。  何より、それが零の最優先事項なのだから。 「冴島鋼牙っていう男が、ここに来なかったか?」 「それに答えれば、兄さんと会った場所を教えてくれる……そういうことでいいのかな?」 「ああ」  それぞれ、駆け引きの材料としては良い条件だったかもしれない。  何せ、シンヤは鋼牙に会っている。零はタカヤに会っている。それゆえ、これはフェアな駆け引きになる。  結果的に、互いが必要とする情報を得られるのだ。ここで、シンヤが鋼牙の情報を一切持っていなければ、零には手掛かりらしいものも入って来ず、焦燥するに違いない。 「……確かに冴島鋼牙はここに来た。……白いコートの男だろう? 朝が明けたくらいだったな……どこに行ったのかは、知らないし、興味もないよ」  シンヤはそう述べる。  直後に、ダンッ、と壁を叩く音が部屋に鳴り響いた。シンヤは一切動揺しない。目の前の男が発した音なのは、見ればわかるのだから。 「……クソォッ! もっと早くここに来ていれば!」  ……あらゆる行動が零を遅らせなければ、彼は鋼牙に遭遇していた可能性が極めて高い。  壁に裏拳を発する彼は、そんなすれ違いに対する怒りを露にするが、当のシンヤは淡々としている。零には一切無関心だ。  激情している零には、そんな態度が腹立たしく思えたが、約束は反故にはしない。 「で、タカヤ兄さんはどこにいた?」 「……警察署だ。少なくとも、黎明ごろまではそこにいた!」  八つ当たりじみた言い方だが、シンヤは情報を得られたことを素直に感謝する。  タカヤに会えるのなら、問題などない。彼にとって一番の問題は「タカヤに会えないこと」であり、その問題を回避する手段の手掛かりを得られたのなら、どんな態度をとられようが構わないのだ。  本来ならば、この場で零を消すのも良い。  しかし、体力は使いたくない。これから、移動することになるのである。 「不思議だな。俺とあんたの立場が逆だったら、互いが会いたい人間と会うことが出来たっていうのが」 「ああ……。厭な偶然だな。あんたと入れ替わりたかったよ」  そういえば、シンヤは眼前の男の名前を聞いていなかったことに気づく。 「そうだ、名前を訊いてなかったね」 「……それを聞いて何になる」 「さあ、きっと何の足しにもならないさ。……でも、俺だけが名前を名乗るなんて、フェアじゃない」  シンヤの言い分はもっともだ。興味のない相手にしろ、情報提供者の名前を聞かないと後々面倒だ。  ガセネタだったのなら、責める場所もないし、真実だったのなら、感謝する相手もない。  ゆえに、彼はとにかく、名前を聞きたがった。 「俺は銀牙騎士ゼロ……涼邑零だ」  その名前を聞いて、何を感じることもなく、シンヤは歩き出す。  案外、聞く前の興味に対して、聞いた後の感想とは味気ないものだ。変わった名前だろうが、それがシンヤにとって何になることもない。 「俺にはもう、あんたへの用はないよ。あんたもそうだろう?」 「ああ」  シンヤは、ドアノブに手をかけ、部屋を後にする。  零は、もうシンヤに興味はなかった。あるのは、ただ自分の行動が早ければ鋼牙と会えたのだろうという後悔のみだ。  そのもどかしさが零を苛立たす。どこへ行ったのか、零は少し考えた。  ここはマップの中央。向かう場所は360度、あらゆる可能性があったのだから。 ★ ★ ★ ★ ★ 「……どうやら、積極的に殺し合う気はないようだな……相羽シンヤ」  シンヤがドアを潜ると、そこには腕を組んだ青年が、壁にもたれて盗み聞きするように立っていた。  結城丈二である。彼の今、この瞬間のスタンスは「様子見」である。  シンヤと零に、それぞれ交戦する様子がなかったことから、判断を遅らせたのだ。  シンヤは、警戒した目つきで結城を睨んだ。知らない相手なのだから当然である。 「私も彼と同じように、相羽タカヤに会っている。そして、君との因縁も把握している」 「だったら何だい? 止めるっていうなら……」 「君はおそらく、ラダムに支配されながらも、兄に執着する弟の心は失っていない。人間らしい心を盛ったままのタカヤもまた同じだ。それなら、まず君たちは互いにコンタクトする必要がある。  私は今、この場で君たちの再会の邪魔をすることはしないさ。……第一、君には他の参加者を襲う様子も見られないしな」  結城はそう告げる。 「……誰だか知らないけど、邪魔をしないのなら俺は何だろうが一向に構わない」 「そうか。……本来なら君の邪魔をしたいところだったが、零で手一杯だからな……」  シンヤの危険行為を止める道。それは、仮面ライダーとして当然の行為だろう。  だが、この場には復讐に燃える零もいる。彼の私情は、かつての自分のような男・零に同行する道を選んだ。  それに、殺し合いの場において、シンヤは積極的に殺す気はないという。あるとすれば、ここから逃れた後の日常だろう。その後のシンヤを止めるというのなら、それはやはりタカヤ──いや、テッカマンブレードの役割りだ。 「ナケワメーケ、バットショット、スタッグフォン、行くよ」  階段の下のナケワメーケのロープを外して、シンヤはすぐこの家を出る。  ナケワメーケを移動手段として、警察署や街の方に向かう予定だ。 「……零」  結城は、ドアの向こうの部屋で後悔している零を呼びかける。  部屋を荒らさないだけ利口だ。仮にそんなことをしても何にもならないのだから。 「近くをあたった方がいいぞ、零。鋼牙がまだ近くにいるかもしれないのなら、早いうちに捜すの得策だ」  そんな結城の一言で、零ははっと我に返る。  この考えが浮かばなかったわけではないが、「急がば回れ」の言葉通り、少し鋼牙の行方を考察した。  ……だが、それを考えたところで、結局は同じことだった。それなりの考えの下、ここへ来ても鋼牙はいない。それならば、いっそ直感に頼るか。 「そうだな、俺は────」  零は、脳内で地図をシミュレーションし、ある施設を指差していた。  次は、その施設に向かおう。結城がついて来るなら、それはそれで構わない。  気づけばもう、放送から二時間以上経っているが、彼らは戦闘らしい戦闘に遭っていない。  向かう先に戦いはあるだろうか?  零の決断は、正しく鋼牙のもとへと導くのだろうか? ★ ★ ★ ★ ★ 【1日目/昼前 E-5 森/冴島邸】 【結城丈二@仮面ライダーSPIRITS】 [状態]:健康 [装備]:ライダーマンヘルメット、カセットアーム [道具]:支給品一式、カセットアーム用アタッチメント六本(パワーアーム、マシンガンアーム、ロープアーム、オペレーションアーム、ドリルアーム、ネットアーム) 、パンスト太郎の首輪 [思考] 基本:この殺し合いを止め、加頭を倒す。 1:殺し合いに乗っていない者を保護する 2:零と共に冴島邸へ向かう。 3:一文字、沖、村雨と合流する 4:加頭についての情報を集める 5:首輪を解除する手掛かりを探す。   その為に、異世界の技術を持つ技術者と時間操作の術を持つ人物に接触したい。 6:タカヤたちとはまた合流したい。 7:また、特殊能力を持たない民間人がソウルメタルを持てるか確認したい。 [備考] ※参戦時期は12巻~13巻の間、風見の救援に高地へ向かっている最中になります。 ※この殺し合いには、バダンが絡んでいる可能性もあると見ています。 ※加頭の発言から、この会場には「時間を止める能力者」をはじめとする、人知を超えた能力の持ち主が複数人いると考えています。 ※NEVER、砂漠の使徒、テッカマン、外道衆は、何らかの称号・部隊名だと推測しています。 ※ソウルジェムは、ライダーでいうベルトの様なものではないかと推測しています。 ※首輪を解除するには、オペレーションアームだけでは不十分と判断しています。  何か他の道具か、または条件かを揃える事で、解体が可能になると考えています。 ※NEVERやテッカマンの情報を得ました。また、それによって時間軸、世界観の違いに気づいています。 ※零の狙う仇が冴島鋼牙である事を知りました。  彼が復讐心に捉われる様ならばそれを力ずくでも止めるつもりです。  ただし、鋼牙を討つ事そのものに関しては全否定をしておらず、もし彼が倒すべき悪であったならば倒すべきだと考えています。 ※首輪には確実に良世界の技術が使われている・首輪からは盗聴が行われていると判断しています。 ※零から魔戒騎士についての説明を詳しく受けました。 ※首輪を解除した場合、ソウルメタルが操れないなどのデメリットが生じると思っています。 ※彼にとっての現在のソウルメタルの重さは、「普通の剣よりやや重い」です。感情の一時的な高ぶりなどでは、もっと軽く扱えるかもしれません。 【涼邑零@牙狼─GARO─】 [状態]:健康 [装備]:魔戒剣、魔導火のライター [道具]:支給品一式、スーパーヒーローセット(ヒーローマニュアル、30話での暁の服装セット)@超光戦士シャンゼリオン、薄皮太夫の三味線@侍戦隊シンケンジャー [思考] 基本:加頭を倒して殺し合いを止める。 0:××××に向かう(後続の書き手に任せます。どこかの施設です) 1:牙狼を見つけ出し、この手で仇をとる。 2:鋼牙が向かう可能性があるため、冴島邸に向かう 3:殺し合いに乗っている者は倒し、そうじゃない者は保護する。 4:会場内にあるだろう、ホラーに関係する何かを見つけ出す。 5:結城に対する更なる信頼感。 6:また、特殊能力を持たない民間人がソウルメタルを持てるか確認したい。 [備考] ※参戦時期は一期十八話、三神官より鋼牙が仇であると教えられた直後になります。  その為、鋼牙が恋人と師の仇であると誤認しています。 ※魔導輪シルヴァは没収されています。  他の参加者の支給品になっているか、加頭が所持していると思われます。 ※シルヴァが没収されたことから、ホラーに関係する何かが会場内にはあり、加頭はそれを隠したいのではないかと推察しています。  実際にそうなのかどうかは、現時点では不明です。 ※NEVER、仮面ライダーの情報を得ました。また、それによって時間軸、世界観の違いに気づいています。  仮面ライダーに関しては、結城からさらに詳しく説明を受けました。 ※もしも結城が自分の復讐を邪魔するつもりならば、容赦はしないつもりでいます。 ※首輪には確実に異世界の技術が使われている・首輪からは盗聴が行われていると判断しています。 ※首輪を解除した場合、(常人が)ソウルメタルが操れないなどのデメリットが生じると思っています。  また、結城がソウルメタルを操れた理由はもしかすれば彼自身の精神力が強いからとも考えています。 ※実際は、ソウルメタルは誰でも持つことができるように制限されています。  ただし、重量自体は通常の剣より重く、魔戒騎士や強靭な精神の持主でなければ、扱い辛いものになります。 ★ ★ ★ ★ ★  ナケワメーケの背中に揺られながら、シンヤは森を走っている。  向う先は街エリアだ。街にまだタカヤがいるのか否かはわからないが、少なくとも街を出る理由は考えられないだろう。  第一、テッカマン同士では、同じ街エリアにいれば充分な相互認識可能範囲だし、気配を感じられる能力を使用すればいい話。ともかく、零とは違い、向かうことに意味があるのだ。  11時のボーナスについても、向かう先は施設が多数点在する場所である。相手の居場所もほぼわかっているくらいなので、あそこに留まる必要もなければ、ボーナスとやらを待つにも街エリアのほうが都合が良いだろう。 (タカヤ兄さん……どうやら、このまま戦えそうだよ)  ナケワメーケの速度はそれなりに速い。人間を超越した存在なのは確かなのだ。  彼が、シンヤを冴島邸から離していく。  しばらく居座った場所とはオサラバだ。 (ただ、きっと、それが最後だ……僕がタカヤ兄さんと一緒にいられる最後の機会だよ)  おそらく、この先でタカヤと戦えば、シンヤは死ぬ。結果的に勝っても、負けても、彼のその後は保証されない。勝敗を決する前に果てる可能性さえありえる体だ。  負ければもちろん死ぬ。勝てば全てをやりつくした安心感が、彼というものを保ってきた一本の細い糸を切ってしまうだろう。  彼の行き先は、このまま定まっていった────。 【1日目/昼前 F-6 森】 【相羽シンヤ@宇宙の騎士テッカマンブレード】 [状態]:ブラスター化の副作用による肉体崩壊、ナケワメーケで移動中 [装備]:テッククリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード [道具]:支給品一式×3、バットショット&バットメモリ@仮面ライダーW、スタッグフォン&スタッグメモリ@仮面ライダーW、椅子型のナケワメーケ@フレッシュプリキュア!、     T2メタルメモリ@仮面ライダーW、水とお湯の入ったポット1つずつ(変身3回分消費)、力の源@らんま1/2、不明支給品(パンスト)0~1 [思考] 基本:タカヤ(ブレード)と決着を着ける。 1:街エリア(主に警察署付近)に向かい、タカヤを捜す。 2:タカヤと戦う時以外は出来るだけ戦いを避ける。 3:11時ごろ、街エリアの施設を気にしてみるのも良いだろう。 [備考] ※参戦時期はブラスター化完了後~ブレードとの決戦前(第47話)です。 ※ブラスター化の副作用により肉体限界が近いです。戦い続ければ命に関わります。 ※参加者の時間軸が異なる可能性に気付きました。 *時系列順で読む Back:[[ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(後編)]]Next:[[悲しき道]] *投下順で読む Back:[[ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(後編)]]Next:[[悲しき道]] |Back:[[赤い戦慄]]|[[相羽シンヤ]]|Next:[[勝利のテッカマン(前編)]]| |Back:[[~SILVER REQUIEM~]]|[[結城丈二]]|Next:[[あざ笑う闇]]| |Back:[[~SILVER REQUIEM~]]|[[涼邑零]]|Next:[[あざ笑う闇]]| ----
*Predestination ◆gry038wOvE  結城と零が冴島邸の直線的な廊下を歩いている。零の横顔は、その中にある全てを憎しみの目で見つめていた。  ……この豪勢な家の中には、色々と思うところがあるのだろう。地図上の「冴島邸」の名前から、結城は様々な想像をしてきたが、更にその上を行くような豪奢な家である。  見た感じでは、非常に綺麗な洋風の建物だ。魔戒騎士というのは、やはり随分と儲かるのだろうか? ましてや、その最高位という[[冴島鋼牙]]という男ならば、尚更だろう。仮面ライダーという慈善事業とは違い、魔戒騎士は職業としての側面も持っていると思われる(無論、その活動は秘密裏のようだが)。  しかし、そんな一方で、傍目の零は自分で縫いつくろった痕のあるコートを着ている。これも高そうだが、それは元値だけだろう。何度も買い換えた様子には見られない。いや、無数の縫い痕は、むしろ買い換えることへの過剰なまでの抵抗さえ感じられる。  何か思い入れのある品なのだろうか。結城はそこまで考えたが、あくまで黙っておいた。  いちいち、細かいことまで聞いて、反感を買っても困る。彼のコートが何であれ、この場で関係のあることではないだろう。 「……結城さん。一ついいかな?」  結城は、突然零に呼ばれて、疑問顔のままそちらを見る。まだ頭の切り替えをするには、少しばかり早い。この邸宅から考えうる、冴島鋼牙という男への考察はまだ済んでいないのだ。  零の表情は、強張ったまま、しかし、数秒前の憎しみの目とは異なる、何かに対する警戒に染まった目で結城に言葉を投げかけていた。  結城の目を見ようともしていないことから察するに、彼の視点の先に何かあるのだろう。目線を反らすことで、彼は結城に合図を送っているようだった。  何かいる、らしい。  ……確かに結城も、この家の中で何かを感じてはいたのだが、それをはっきりと掴めてはいない。  零は、あの先でもっと精密に何かを感じて睨んでいるのだろうか。 「二階から、誰か降りてくる」  視点の先に何かがあるというのは正解である。そこは柱で区切られていてうまく見えないが、階段の三段目までが、何とか視界に入った。  すると、二人は互いを向き合い、頷くと同時に階段へと駆け出した。結城と零は階段までの間合いを俊敏な動きで詰める。  それぞれの武器を────双剣を、ヘルメットをそれぞれの利き手に握り、数歩だけ歩けば、彼らの視界に、一瞬で階段の八段目まで映る。  零の動きの速さに、コートがふわりと風に浮いた。  彼が、目の前にある異変を感じたことで立ち止まると、靡いたコートは彼の背中にパサッと音を立ててくっついた。  この零のコートの背中に縫い付けられたマークは、かつて婚約者・静香により贈られたドリームキャッチャーを模している。  ──彼が背負い続けるものが、ピッタリと背中について彼を追ってくるようになっているのだ。  あの瞬間に知った怒りを、悲しみを、己の無力を、敵の名を忘れぬ為に、彼が自分自身に科した重い宿命の証である。皮肉にも、悪い夢を吸い取るはずのこのドリームキャッチャーこそが、彼にあの悪夢を何度となく思い出させていた。 「ナケワメェーケェー!!」  零の察したとおり、階段の方から不気味な怪物が降りてくるが、二人の戦士は驚くこともなく、それを見据えている。  これまでの経験上、怪物など珍しくも何ともないのである。むしろ、単体で襲ってくることや、容姿にグロテスクさがなく可愛気さえ感じることから、生易しい相手と思うほどだ。  [[結城丈二]]はライダーマン。[[涼邑零]]は魔戒騎士。……化け物を見ても反応を示さない理由など、それだけで充分だろう。  人の気配を感じた時点で構えていた剣を、あるいはマスクを、彼らは戦いの構えにもどす。 「ヤァッ!」  鋼の右腕を持つ男・ライダーマンが一瞬で変身する。結城がヘルメットを被ると、全身は強化スーツに包まれ、仮面ライダーの姿へと変身するのだ。  むしろ、この変身には怪物の方がギョッとしたようである。  何だか、調子の狂う相手だ。零は構えたまま動かない。鎧を召喚するにも、今はそのタイミングではないだろうことが明白だった。それほど強い相手ではなさそうだ。 「ロープアーム!」  彼の右腕が太いロープの束へと変形する。彼の意のままに発射されるロープの腕である。  彼はそれを使って、一瞬で目の前の怪物の体の四肢を包んだ。  的確に、敵の動きを止める妙技であった。数年来、このロープアームを腕としてきたライダーマンは、もはやこの技において、右に出る者なしの達人といえよう。 「……零、こいつは参加者ではないだろう。だが、これを操ってる参加者がここにいるかもしれない」 「鋼牙か……。捜してみる価値はあるかもな」  結城としては、それが冴島鋼牙であるかどうかは微妙に思ったが、ともかく操っている者がいる可能性を少なからず考えている。  参加者ではないにせよ、まだ主催者側がこの施設に送り込んだ措置という可能性も否めない。  ……が、どうにも、主催者が送り込んだ物とは思えないのだ。どうして、この施設に限りこんな怪物を寄越してくるのかが疑問である。警察署には、怪物などいなかったし、他の場所でも参加者外の怪物は見ていない。  また、この怪物が参加者により変身した戦士という可能性もあるが、形状が人間的でないことや、首輪が装着されてないことが不自然に感じられた。  零は二階へ登っていく。  それを見届けたうえで、目の前でロープを絡ませた相手を見つめた。 「ナケワメーケェ!」  怪物はあまりにも機械的に、この言葉だけを繰り返す。その性質はデストロン怪人にも似ている。  彼の鳴き声は、即ち、「泣け喚け」ということだろうか? しかし、状況と台詞が明らかに合致していない。異国の言葉を「泣けわめけ」と聞き取ったわけでもないだろう。  ……やはり、変身者とは思えない。  怪人たちとも、違う。 「意思疎通ができる相手でもないからな……どうすればいいか」  そのうえ、ライダーマンが今行っている動作は、戦闘ではなく、ただの棒立ちになっている。  ライダーマンは、もがけばもがくほどロープに絡まっていくこの生物をどうすればいいのか悩み、棒立ちしているのだ。  放っておいても良い相手であるような、そんな戦い甲斐のない敵。  果たして、これは倒すべき相手だろうか? 倒していい相手なのだろうか?  よくよく考えていれば、こちらに目立った被害があったわけでもない。 「……やれやれ」  しゅるしゅると、ナケワメーケがもがくたびに自分の腕から伸びていくロープを見つめて、ライダーマンは苦笑いした。  これは、どうしようもない敵だ。何せ、倒させてくれない。  こいつがいたところで、誰も困らないのではないだろうか。階段から、何かを守るように襲ってくるこの奇怪な生物を、とりあえずライダーマンは縛り付ける。 「二階を見てみるか」  結城は変身を解き、階段を踏み出す。その際、ナケワメーケの巨体は邪魔なのだが、何とか切り抜けて歩き出した。  しかし、結城はこの場所が気にかかって仕方がない。  この家は、深く進めば進むほどに「何もない」。いや、確かに一般的な家には絶対にないようなものがいくらでもあるのに、殺人鬼が持っていそうな悪趣味な代物が、何もないのだ。  人を殺すような人間の邸宅にしては、あまりにも上品すぎる。  ……まあ、強いていえば、椅子の化け物がやや下品だろうか。 ★ ★ ★ ★ ★ 「あんたは……」  零は二階の一室に座する男の外見に心当たりがあった。  その男は、冴島鋼牙ではない。……だが、彼がその手の剣を彼に向けることに、躊躇を持つことはなかった。  彼はこの一室に置かれた全てを憎む。ベッド、花瓶、棚、机、埃の一片……そして、そこにポツンと佇む人間さえ。  この一室が冴島鋼牙の部屋であることは、「魔戒騎士らしい道具のある部屋」であることから明白であったから、零の眉は半ば強制的に顰められたのだ。  零の記憶に残る、血で汚れたあの部屋と、この綺麗に整えられた部屋──一体、どちらが殺人鬼の部屋であるべきか。神という者に良心があれば、二つの部屋の居住者は逆であるべきなのではないだろうか。そんな怒りが、零の中に湧き起こる。  しかし、彼は無機質な「部屋」よりも、まずはそこにいる「人間」に語りかけた。 「[[相羽タカヤ]]、か……?」  この男は、警察署にいた相羽タカヤという男と全く同じ外見だったのだ。しかし、雰囲気は似ても似つかない。どちらも底知れぬ闇を感じさせる表情である。  柔和な表情をしているのはどちらかといえば、今零の目の前にいるタカヤの方だろう。彼は、警察署で会ったタカヤよりも温厚そうな雰囲気であった。……しかし、その実、あのタカヤよりも感情の見えない不気味さを感じさせた。  あちらのタカヤを見た時、零は少なくとも、あの憎しみや怒りなどの激情を露にした彼に、どことない共感を覚えたような気がする。  このタカヤには、そういうものが一切ない。 「へえ、兄さんに会ったのか……」 「兄さん……? あんたは、タカヤじゃないっていうのか」  [[相羽シンヤ]]、[[相羽ミユキ]]の二つの名が名簿にはあった。どちらも、男性に在り得る名前であるが、ミユキの名は既に死者として呼ばれているため、自動的に彼はシンヤということになる。  二人の外見が相似しているのは、双子であるからという可能性が高い。……となると、やはり親族が似たような名前をつけられる不思議な風習が由縁だろう。  たとえるなら、────冴島大河と、冴島鋼牙のように。 「そうか。相羽シンヤか」 「ご明察の通り、僕は相羽シンヤだ」  そう言って、男は微笑む。やはり、タカヤの数百倍、彼は不気味だった。  口調がタカヤとは別物で、無邪気なように聞こえることが、何処かの誰か───零にとっては、鏡の向こうからしか見られない誰かに似ている。  だから、零には余計に不気味なのだ。 「……それより、兄さんのことを知っているようだったけど、実際のところどうなんだい? はっきり話したというなら、どこで会ったかを訊きたいな」  一方、シンヤの興味は一点、そこにあるようだった。  危害を加えようという様子は全く見られないが、実のところ、この笑顔の裏になにが隠れてるのかはわからない。だから、零は剣を垂らしたままだった。  しかし、垂らしているだけで、構えることを忘れさせている。シンヤの不気味さが、零の理解を超えているから、剣を持って警戒することさえ、この時ばかりは忘れていた。  そして、何の切欠もなしに、はっと我に返る。  俺は屈強な魔戒騎士だろう、と。 「……ああ、知っているよ。だが、その前に俺からも一ついいかな?」  この男はここにいたのだ。  タカヤのことを話す前に、自分の捜し人のことも訊かなければならない。  何より、それが零の最優先事項なのだから。 「冴島鋼牙っていう男が、ここに来なかったか?」 「それに答えれば、兄さんと会った場所を教えてくれる……そういうことでいいのかな?」 「ああ」  それぞれ、駆け引きの材料としては良い条件だったかもしれない。  何せ、シンヤは鋼牙に会っている。零はタカヤに会っている。それゆえ、これはフェアな駆け引きになる。  結果的に、互いが必要とする情報を得られるのだ。ここで、シンヤが鋼牙の情報を一切持っていなければ、零には手掛かりらしいものも入って来ず、焦燥するに違いない。 「……確かに冴島鋼牙はここに来た。……白いコートの男だろう? 朝が明けたくらいだったな……どこに行ったのかは、知らないし、興味もないよ」  シンヤはそう述べる。  直後に、ダンッ、と壁を叩く音が部屋に鳴り響いた。シンヤは一切動揺しない。目の前の男が発した音なのは、見ればわかるのだから。 「……クソォッ! もっと早くここに来ていれば!」  ……あらゆる行動が零を遅らせなければ、彼は鋼牙に遭遇していた可能性が極めて高い。  壁に裏拳を発する彼は、そんなすれ違いに対する怒りを露にするが、当のシンヤは淡々としている。零には一切無関心だ。  激情している零には、そんな態度が腹立たしく思えたが、約束は反故にはしない。 「で、タカヤ兄さんはどこにいた?」 「……警察署だ。少なくとも、黎明ごろまではそこにいた!」  八つ当たりじみた言い方だが、シンヤは情報を得られたことを素直に感謝する。  タカヤに会えるのなら、問題などない。彼にとって一番の問題は「タカヤに会えないこと」であり、その問題を回避する手段の手掛かりを得られたのなら、どんな態度をとられようが構わないのだ。  本来ならば、この場で零を消すのも良い。  しかし、体力は使いたくない。これから、移動することになるのである。 「不思議だな。俺とあんたの立場が逆だったら、互いが会いたい人間と会うことが出来たっていうのが」 「ああ……。厭な偶然だな。あんたと入れ替わりたかったよ」  そういえば、シンヤは眼前の男の名前を聞いていなかったことに気づく。 「そうだ、名前を訊いてなかったね」 「……それを聞いて何になる」 「さあ、きっと何の足しにもならないさ。……でも、俺だけが名前を名乗るなんて、フェアじゃない」  シンヤの言い分はもっともだ。興味のない相手にしろ、情報提供者の名前を聞かないと後々面倒だ。  ガセネタだったのなら、責める場所もないし、真実だったのなら、感謝する相手もない。  ゆえに、彼はとにかく、名前を聞きたがった。 「俺は銀牙騎士ゼロ……涼邑零だ」  その名前を聞いて、何を感じることもなく、シンヤは歩き出す。  案外、聞く前の興味に対して、聞いた後の感想とは味気ないものだ。変わった名前だろうが、それがシンヤにとって何になることもない。 「俺にはもう、あんたへの用はないよ。あんたもそうだろう?」 「ああ」  シンヤは、ドアノブに手をかけ、部屋を後にする。  零は、もうシンヤに興味はなかった。あるのは、ただ自分の行動が早ければ鋼牙と会えたのだろうという後悔のみだ。  そのもどかしさが零を苛立たす。どこへ行ったのか、零は少し考えた。  ここはマップの中央。向かう場所は360度、あらゆる可能性があったのだから。 ★ ★ ★ ★ ★ 「……どうやら、積極的に殺し合う気はないようだな……相羽シンヤ」  シンヤがドアを潜ると、そこには腕を組んだ青年が、壁にもたれて盗み聞きするように立っていた。  結城丈二である。彼の今、この瞬間のスタンスは「様子見」である。  シンヤと零に、それぞれ交戦する様子がなかったことから、判断を遅らせたのだ。  シンヤは、警戒した目つきで結城を睨んだ。知らない相手なのだから当然である。 「私も彼と同じように、相羽タカヤに会っている。そして、君との因縁も把握している」 「だったら何だい? 止めるっていうなら……」 「君はおそらく、ラダムに支配されながらも、兄に執着する弟の心は失っていない。人間らしい心を盛ったままのタカヤもまた同じだ。それなら、まず君たちは互いにコンタクトする必要がある。  私は今、この場で君たちの再会の邪魔をすることはしないさ。……第一、君には他の参加者を襲う様子も見られないしな」  結城はそう告げる。 「……誰だか知らないけど、邪魔をしないのなら俺は何だろうが一向に構わない」 「そうか。……本来なら君の邪魔をしたいところだったが、零で手一杯だからな……」  シンヤの危険行為を止める道。それは、仮面ライダーとして当然の行為だろう。  だが、この場には復讐に燃える零もいる。彼の私情は、かつての自分のような男・零に同行する道を選んだ。  それに、殺し合いの場において、シンヤは積極的に殺す気はないという。あるとすれば、ここから逃れた後の日常だろう。その後のシンヤを止めるというのなら、それはやはりタカヤ──いや、テッカマンブレードの役割りだ。 「ナケワメーケ、バットショット、スタッグフォン、行くよ」  階段の下のナケワメーケのロープを外して、シンヤはすぐこの家を出る。  ナケワメーケを移動手段として、警察署や街の方に向かう予定だ。 「……零」  結城は、ドアの向こうの部屋で後悔している零を呼びかける。  部屋を荒らさないだけ利口だ。仮にそんなことをしても何にもならないのだから。 「近くをあたった方がいいぞ、零。鋼牙がまだ近くにいるかもしれないのなら、早いうちに捜すの得策だ」  そんな結城の一言で、零ははっと我に返る。  この考えが浮かばなかったわけではないが、「急がば回れ」の言葉通り、少し鋼牙の行方を考察した。  ……だが、それを考えたところで、結局は同じことだった。それなりの考えの下、ここへ来ても鋼牙はいない。それならば、いっそ直感に頼るか。 「そうだな、俺は────」  零は、脳内で地図をシミュレーションし、ある施設を指差していた。  次は、その施設に向かおう。結城がついて来るなら、それはそれで構わない。  気づけばもう、放送から二時間以上経っているが、彼らは戦闘らしい戦闘に遭っていない。  向かう先に戦いはあるだろうか?  零の決断は、正しく鋼牙のもとへと導くのだろうか? ★ ★ ★ ★ ★ 【1日目/昼前 E-5 森/冴島邸】 【結城丈二@仮面ライダーSPIRITS】 [状態]:健康 [装備]:ライダーマンヘルメット、カセットアーム [道具]:支給品一式、カセットアーム用アタッチメント六本(パワーアーム、マシンガンアーム、ロープアーム、オペレーションアーム、ドリルアーム、ネットアーム) 、[[パンスト太郎]]の首輪 [思考] 基本:この殺し合いを止め、加頭を倒す。 1:殺し合いに乗っていない者を保護する 2:零と共に冴島邸へ向かう。 3:一文字、沖、村雨と合流する 4:加頭についての情報を集める 5:首輪を解除する手掛かりを探す。   その為に、異世界の技術を持つ技術者と時間操作の術を持つ人物に接触したい。 6:タカヤたちとはまた合流したい。 7:また、特殊能力を持たない民間人がソウルメタルを持てるか確認したい。 [備考] ※参戦時期は12巻~13巻の間、風見の救援に高地へ向かっている最中になります。 ※この殺し合いには、バダンが絡んでいる可能性もあると見ています。 ※加頭の発言から、この会場には「時間を止める能力者」をはじめとする、人知を超えた能力の持ち主が複数人いると考えています。 ※NEVER、砂漠の使徒、テッカマン、外道衆は、何らかの称号・部隊名だと推測しています。 ※ソウルジェムは、ライダーでいうベルトの様なものではないかと推測しています。 ※首輪を解除するには、オペレーションアームだけでは不十分と判断しています。  何か他の道具か、または条件かを揃える事で、解体が可能になると考えています。 ※NEVERやテッカマンの情報を得ました。また、それによって時間軸、世界観の違いに気づいています。 ※零の狙う仇が冴島鋼牙である事を知りました。  彼が復讐心に捉われる様ならばそれを力ずくでも止めるつもりです。  ただし、鋼牙を討つ事そのものに関しては全否定をしておらず、もし彼が倒すべき悪であったならば倒すべきだと考えています。 ※首輪には確実に良世界の技術が使われている・首輪からは盗聴が行われていると判断しています。 ※零から魔戒騎士についての説明を詳しく受けました。 ※首輪を解除した場合、ソウルメタルが操れないなどのデメリットが生じると思っています。 ※彼にとっての現在のソウルメタルの重さは、「普通の剣よりやや重い」です。感情の一時的な高ぶりなどでは、もっと軽く扱えるかもしれません。 【涼邑零@牙狼─GARO─】 [状態]:健康 [装備]:魔戒剣、魔導火のライター [道具]:支給品一式、スーパーヒーローセット(ヒーローマニュアル、30話での暁の服装セット)@超光戦士シャンゼリオン、薄皮太夫の三味線@侍戦隊シンケンジャー [思考] 基本:加頭を倒して殺し合いを止める。 0:××××に向かう(後続の書き手に任せます。どこかの施設です) 1:牙狼を見つけ出し、この手で仇をとる。 2:鋼牙が向かう可能性があるため、冴島邸に向かう 3:殺し合いに乗っている者は倒し、そうじゃない者は保護する。 4:会場内にあるだろう、ホラーに関係する何かを見つけ出す。 5:結城に対する更なる信頼感。 6:また、特殊能力を持たない民間人がソウルメタルを持てるか確認したい。 [備考] ※参戦時期は一期十八話、三神官より鋼牙が仇であると教えられた直後になります。  その為、鋼牙が恋人と師の仇であると誤認しています。 ※魔導輪シルヴァは没収されています。  他の参加者の支給品になっているか、加頭が所持していると思われます。 ※シルヴァが没収されたことから、ホラーに関係する何かが会場内にはあり、加頭はそれを隠したいのではないかと推察しています。  実際にそうなのかどうかは、現時点では不明です。 ※NEVER、仮面ライダーの情報を得ました。また、それによって時間軸、世界観の違いに気づいています。  仮面ライダーに関しては、結城からさらに詳しく説明を受けました。 ※もしも結城が自分の復讐を邪魔するつもりならば、容赦はしないつもりでいます。 ※首輪には確実に異世界の技術が使われている・首輪からは盗聴が行われていると判断しています。 ※首輪を解除した場合、(常人が)ソウルメタルが操れないなどのデメリットが生じると思っています。  また、結城がソウルメタルを操れた理由はもしかすれば彼自身の精神力が強いからとも考えています。 ※実際は、ソウルメタルは誰でも持つことができるように制限されています。  ただし、重量自体は通常の剣より重く、魔戒騎士や強靭な精神の持主でなければ、扱い辛いものになります。 ★ ★ ★ ★ ★  ナケワメーケの背中に揺られながら、シンヤは森を走っている。  向う先は街エリアだ。街にまだタカヤがいるのか否かはわからないが、少なくとも街を出る理由は考えられないだろう。  第一、テッカマン同士では、同じ街エリアにいれば充分な相互認識可能範囲だし、気配を感じられる能力を使用すればいい話。ともかく、零とは違い、向かうことに意味があるのだ。  11時のボーナスについても、向かう先は施設が多数点在する場所である。相手の居場所もほぼわかっているくらいなので、あそこに留まる必要もなければ、ボーナスとやらを待つにも街エリアのほうが都合が良いだろう。 (タカヤ兄さん……どうやら、このまま戦えそうだよ)  ナケワメーケの速度はそれなりに速い。人間を超越した存在なのは確かなのだ。  彼が、シンヤを冴島邸から離していく。  しばらく居座った場所とはオサラバだ。 (ただ、きっと、それが最後だ……僕がタカヤ兄さんと一緒にいられる最後の機会だよ)  おそらく、この先でタカヤと戦えば、シンヤは死ぬ。結果的に勝っても、負けても、彼のその後は保証されない。勝敗を決する前に果てる可能性さえありえる体だ。  負ければもちろん死ぬ。勝てば全てをやりつくした安心感が、彼というものを保ってきた一本の細い糸を切ってしまうだろう。  彼の行き先は、このまま定まっていった────。 【1日目/昼前 F-6 森】 【相羽シンヤ@宇宙の騎士テッカマンブレード】 [状態]:ブラスター化の副作用による肉体崩壊、ナケワメーケで移動中 [装備]:テッククリスタル@宇宙の騎士テッカマンブレード [道具]:支給品一式×3、バットショット&バットメモリ@仮面ライダーW、スタッグフォン&スタッグメモリ@仮面ライダーW、椅子型のナケワメーケ@フレッシュプリキュア!、     T2メタルメモリ@仮面ライダーW、水とお湯の入ったポット1つずつ(変身3回分消費)、力の源@らんま1/2、不明支給品(パンスト)0~1 [思考] 基本:タカヤ(ブレード)と決着を着ける。 1:街エリア(主に警察署付近)に向かい、タカヤを捜す。 2:タカヤと戦う時以外は出来るだけ戦いを避ける。 3:11時ごろ、街エリアの施設を気にしてみるのも良いだろう。 [備考] ※参戦時期はブラスター化完了後~ブレードとの決戦前(第47話)です。 ※ブラスター化の副作用により肉体限界が近いです。戦い続ければ命に関わります。 ※参加者の時間軸が異なる可能性に気付きました。 *時系列順で読む Back:[[ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(後編)]]Next:[[悲しき道]] *投下順で読む Back:[[ピーチと二号! 生まれる救世の光!!(後編)]]Next:[[悲しき道]] |Back:[[赤い戦慄]]|[[相羽シンヤ]]|Next:[[勝利のテッカマン(前編)]]| |Back:[[~SILVER REQUIEM~]]|[[結城丈二]]|Next:[[あざ笑う闇]]| |Back:[[~SILVER REQUIEM~]]|[[涼邑零]]|Next:[[あざ笑う闇]]| ----

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