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覚醒(後編) - (2014/04/01 (火) 19:11:34) の1つ前との変更点

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*覚醒(後編) ◆LuuKRM2PEg ◆ 「一条……なんて強さだ。あいつは……いや、クウガはあんなこともできるのかよ!?」  時間が少しだけ遡る。  アメイジングマイティフォームに変身した仮面ライダークウガが血祭ドウコクと互角に戦っているのを見て、響良牙はそう口にする。  三対一で戦ったにも関わらず、ドウコクは圧倒的有利に立って戦いを進めていた。しかし今のクウガはそれを引っ繰り返す程の強さを発揮している。黒と金の姿になった瞬間、パワーアップをしたのだろう。  しかし、どうしてそれをもっと早く出さなかったのかという疑問が芽生えたが……良牙はすぐに察する。自分が子豚になることを隠していたように、あの姿になることを一条は躊躇っていたのかもしれない。理由はわからないが、触れない方がいいだろう。  クウガが自分達の為に戦ってくれている。それだけさえあれば充分だった。 「でも、良牙さん……このままでは、クウガだって危ないです! だって、あれだけ傷付いているのですから!」 「わかっている! あいつが俺達の為に戦ってくれているのだから、俺達だって何かしないといけないだろう!」  キュアブロッサムにそう答えるが、その為の手段が思いつかない。  先程まで、どれだけ攻撃をしてもドウコクは一向に倒れる気配を見せない。それどころか、逆にこちらが追い込まれている状況だ。ここで戦っているクウガですら、この戦いで負ったダメージが甚大なのに、身体に鞭を打っている。  これ以上、クウガに無理をさせたくない。だが、ここで無暗に突っ込んだとしても戦いに巻き込まれて死ぬだけだ。そんなのは嫌だし、何よりもクウガを悲しませることになってしまう。  横から獅子咆哮弾を放っても、その隙がない。クウガに当たってしまったら意味がないし、もしもドウコクが標的をこちらに変えてしまったら今度こそ殺されるかもしれなかった。  だけど、悩んでいる暇はない。例え生身であろうとも、それが何もやらないことへの理由にはならないからだ。 (……生身?)  そこまで考えて、良牙は不意に考える。  ドウコクと言う化け物に立ち向かっているクウガは、人間の体ではない。キュアブロッサムだって、元は花咲つぼみという女子中学生だ。  ドウコクを相手に生身で戦うのは本当なら危険極まりなかった。いくら格闘が強くても、この身体は剣を弾くことなどできない。無残に斬られるのがオチだ。  だけど、変身する為の手段ならある。この島で何度も見てきたはずだった。  良牙は数秒ほど辺りを見渡した後、すぐに見つける。それは、かつて大道克己が使っていたT-2エターナルメモリとロストドライバーだった。ドウコクの攻撃によっていつの間にかデイバッグから零れ落ちていたのだ。  あまりにも幸運な偶然だが、それを喜んでいる暇などない。良牙はすぐにそれらを手に取った。 「おい、エターナル! 聞こえるか!?」 「あの、良牙さん……? あなたは何を……?」  キュアブロッサムは呆気に取られているが、それに構わず良牙はエターナルメモリに向かって語り続ける。 「テメエが俺達のことをどう思っているかは知らない! 恨んでいようが、怒っていようが、許せなかったとしても……俺はそれを受け止める! だが、今だけは俺達に力を貸してくれ!」  エターナルメモリに意思があるかどうかはわからない。  これはただの道具で、もしも克己に従って殺戮だけを繰り返していたのだとするのなら、今の自分は滑稽以外の何物でもない。だけど、マッハキャリバーのように自分の意思を持つ宝石がいるのだから、ガイアメモリだって意思を持っているかもしれなかった。  もしも、本当に持っているのだとしたら、相棒である克己の敵であった自分達に力を貸したりはしないだろう。それを承知の上で、良牙は頼んでいるのだ。 「俺達の仲間を助ける為にも! そして、良や大道や京水が望んでいたように、お前を本当の意味での仮面ライダーにする為にも……俺はお前を使う! だから、エターナルも頼む!」  五代雄介は、人々の笑顔を守る為に戦う仮面ライダークウガだった。  一条薫は、そんな五代雄介の遺志を継いで仮面ライダークウガになった。  村雨良は、最後の戦いで自分から仮面ライダーゼクロスの名前を背負った。  大道克己は、本当なら仮面ライダーエターナルという正義の戦士になれたはずだった。  泉京水は、大道克己が仮面ライダーとして人々の為に戦ってくれると信じていた。  仮面ライダーは、人々の希望の為に戦う戦士なのだ。悪になってしまった克己とエターナルだって、もしも運命が変わっていたらこの殺し合いを打ち破ってくれる仲間になってくれるはずだった。  エターナルが変わることを望んでいるかはわからないが、例えそうでなかったとしても良牙の選択は変わらない。ロストドライバーを腰に添えて、エターナルメモリのスイッチを力強く押した。 『Eternal』  これまで何度か聞いた音声が、数時間ぶりに響き渡る。  しかし感慨に耽ることなどしない。これまで出会ってきた仮面ライダー達の姿を真似るように、良牙もその言葉を口にした。 「変身ッ!」 『Etarnal』  エターナルメモリをロストドライバーに装填させた瞬間、永遠を意味する音声が再び鳴り響く。まるで、良牙の意志にメモリが答えているかのようだった。  その刹那、無数の白いエネルギーが良牙の身体に集中して、変身が始まった。その身体は白亜に染まり、瞳は黄色に輝く。そして、全身に蒼い炎の紋章が刻まれて、次の瞬間には黒いローブが生成された。  全ての過程が果たされた直後、全身から蒼いオーラが放たれていき、身体の奥底から力が溢れ出てくるのを感じる。  不意に、近くにいるキュアブロッサムに振り向くと、ぽかんと口を開けているのが見える。 「りょ、良牙さん……!」 「つ、つぼみ……どうだ? ちゃんと、大道みたいに変身ができているか?」 「はい! 良牙さんはチェンジできました! 克己さんのように……仮面ライダーエターナルに変身しています!」 「そうか! エターナルに……変身したのか!」  キュアブロッサムは歓喜するが、良牙自身にはいまいち実感が湧かない。  全身や背中を見てみると、確かにエターナルと同じ姿であることがわかる。だから、キュアブロッサムの言葉は真実だろう。  良牙は知らないが、克己と戦ったダークプリキュアも一度だけエターナルに変身して、ブルーフレアの形態になった。克己のようにただ未来だけを見つめて戦ってきたダークプリキュアのように、良牙も前を真っ直ぐに進んでいたからエターナルに認められたのか……それは誰にもわからない。  ただ、確かなことが一つだけある。響良牙は、仮面ライダーエターナル・ブルーフレアへの変身を果たすことができたということだ。 「よし! そうと決まれば、話は早い! つぼみも頼むぞ!」 「はい! 集まれ、花のパワー! ブロッサム・タクト!」  エターナルが気のコントロールを始めるのに合わせて、キュアブロッサムはブロッサムタクトを取り出す。  クウガとドウコクは戦いに集中しているせいで、幸いにもこちらに気付いていない。今が絶好のチャンスだった。  ブロッサムタクトが輝く一方で、良牙はひたすら思考をマイナスの方面に働かせていた。 (良……すまない、お前の近くでこんな騒ぎになっちまって。でも、お前のことは絶対に傷付けさせないから、安心して眠っていてくれ!)  ここから見えない場所で眠っている村雨良のことを、エターナルは考える。  もしも、この戦いに巻き込まれて良の身体が滅茶苦茶にされてしまったら……そう考えただけでも、気がどんよりと重くなってしまう。そうさせない為にも、一刻も早くドウコクを倒さなければならなかった。 (一条。俺達はあんただけに無理をさせない! その為に、俺もあんたみたいに変身したからな!)  そして、自分達の前で傷付いているクウガの姿も見たことで、エターナルは気が重くなっていた。  本当は満身創痍であるはずなのに、彼はそれをおくびにも出さずに戦っている。そんなクウガの強さと優しさは嬉しいが、同時に気が重くなってしまう。  もしかしたら、五代雄介も同じ痛みと悲しみを背負いながら戦っていたのではないか。考えても意味はないが、やはり気になってしまう。  やがて、クウガの蹴りによってドウコクは後退して、両者の距離が開くのを見た。 「つぼみ、今だ!」 「わかりました!」 「行くぜ……獅子咆哮弾!」 「プリキュア! ピンクフォルテ・ウェイブ!」  二人はタイミングを見計らった後、正と負のエネルギーを同時に放出する。  それは瞬時にドウコクの身体を飲み込むと、凄まじい轟音が鳴り響いた。エターナルの放った獅子咆哮弾によって、地面ごとドウコクを吹き飛ばしたのだ。  大量の煙が舞い上がる中、キュアブロッサムの放ったエネルギーは花の形となって、ドウコクの巨体を拘束した。 「な、なんだ……こいつは……!?」 「はあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」  ドウコクの疑問に対する答えは、キュアブロッサムの叫びだけ。  彼女がフラワータクトの中央部にあるクリスタルを勢いよく回転させる度に、エネルギーは輝きを増す。だが、ドウコクもそれを打ち破ろうと足掻いていた。  ドウコクの傷も深いが、キュアブロッサムの必殺技を打ち破るだけの力は残っているかもしれない。それを考えると、時間はあまり残されていなかった。  それを察したエターナルはロストドライバーからメモリを引き抜いて、エターナルエッジに差し込んだ。 『Eternal Maximum Drive』  克己との戦いで何度も聞いた音声が、また鼓膜を刺激する。あまりいい思い出がない言葉だったが、今回ばかりは心強いと思えた。  全身の至る所に力が流れてくるのを感じながら、エターナルはクウガに振り向いた。 「おい、一条! いや、クウガ! 俺は今からとびっきりの一発をあの野郎にお見舞いする! あんたはどうだ!?」 「ああ! だが、君達を巻き込んでしまう技は出せないが……それでもいいか?」 「大丈夫だ! ドウコクの奴だってそろそろ限界なはずだ!」 「そうか……なら、行こう!」 「おう!」  エターナルはクウガと共にもがき続けるドウコクを睨んで、そして同時に疾走した。 「ぐっ……テメエら……ふざけるなあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」  一方のドウコクは拘束を振り切る為に、咆哮しながら衝撃波を放つ。ピンクフォルテ・ウェイブの力に阻害されているせいで威力は落ちているが、エターナルとクウガに突き刺さった。  されど、彼らの歩みはその程度で止まることなどない。どんな衝撃が傷を抉ろうとしても、二人の仮面ライダーは駆け抜けていた。  やがて彼らは勢いよく跳躍をする。空中で一回転をした後、それぞれ右足をドウコクに向ける。まるで、五代雄介が未確認生命体を倒す為に何度もマイティキックを放ったように。 「ウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォリャアアアアアアアアアアアアアッ!」 「ウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォリャアアアアアアアアアアアアアッ!」  アメイジングマイティフォームの蹴りと、エターナルが放つエターナル・レクイエムは同時に叩き込まれる。二人の仮面ライダーによる二つの蹴り……それは、ダブルライダーキックと呼ぶに相応しかった。  その一撃を前にドウコクは何もできず、ただ受けるしかできない。その身を縛りつける花の力もろとも、吹き飛ぶしかなかった。 「ぐああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」  断末魔の叫びが戦場に響き渡るが、その直後に起きた大爆発によって掻き消されてしまう。プリキュアの力と仮面ライダーの力が、同時に叩き込まれた結果だ。  地面に着地したエターナルとクウガはそれを無言で見つめている。ドウコクを蹴った足が微妙に痺れているが、構わない。  これだけの連携攻撃を叩き込んだが、まだ油断はできなかった。もしかしたら、ドウコクはまだ生きているかもしれない。粉塵が舞い上がる中、エターナルは警戒を未だに緩めなかった。  時間の経過と共に風は流れ、視界が晴れていく。だが、そこにドウコクの姿はなかった。 「……やった、のか?」  エターナルは問いかけるが、それに答える者は誰もいない。  当たりを見渡しても、ドウコクの姿はない。跡形もなく吹き飛んだのか、逃げたのか、それともすぐ近くの川に落下して流されたのか。いくら考えても、答えは見つからない。  とにかく、ドウコクはいなくなった。それがわかっただけでも、緊張の糸が解れてしまい、エターナルの変身を解いてしまう。 「そのようだな……」  ようやく返事をしたのは、クウガの変身を解除した一条薫だった。  振り向くと、いつの間にかキュアブロッサムも元の姿に戻っている。花咲つぼみという少女の姿だ。 「二人とも……お疲れ様です」 「ああ。良の記憶を取り戻せたと思ったのに、まさかあんな野郎に出会うなんて……あんまりだぞ」 「はい……この場所では、村雨さんや克己さんが眠っているのに」 「でも、良のことは守れた……それだけが、せめてもの救いか」 「そうですね……」  弱々しく頷いたつぼみは、深く溜息を吐きながらその場にへたり込んでしまう。  きっと、彼女はドウコクとの戦いで疲れたのだろう。それは良牙も同じだし、薫だってそうかもしれない。  街に向かわなければならないが、今は少しでもいいから休みたかった。あれだけの強敵を倒したから、少しくらい休憩をしても罰は当たらないだろう……そんなことを考えながら、良牙はその場に座り込んだ。 ◆  広大なる森には三つの川が存在する。その中の一つにある怪人が流されていた。  血祭ドウコクである。  キュアブロッサムのピンクフォルテウェイブと、エターナルとクウガのダブルライダーキックを受けて、そこから川に突き落とされても尚……ドウコクは生きていた。  激しく流れる川の中にいるせいで、ドウコクの視界はぼやけている。意識も薄れていくが、それでも生きていた。外道衆を率いる御大将としてのプライドと、その強靭な肉体が彼の生存を可能としていた。  もしも、クウガが周囲への被害を危惧せずに全力の封印エネルギーを叩き込んだら、流石のドウコクと言えども一の目を失っていたかもしれない。クウガに仲間がいたことと、村雨良の遺体が残っていたこともドウコクを生かす要因となっただろう。  だが、凄まじい痛みが全身に駆け巡っている。そのせいで、川の中から這い上がるまで時間がかかってしまった。 「ぐっ……が……あっ……!」  息も絶え絶えながら、力を振り絞って川岸に辿り着く。どこまで流されたのかはわからないが、首輪が爆発しないので禁止エリアでないことは確かだ。  数歩ほど歩いた後、ドスン! と音をたてながらドウコクの巨体は倒れていく。 「俺が……この俺が、また負けただと……!」  ギリギリと歯を鳴らすが、胸の中の鬱憤が晴れることはない。むしろ、積み重なっていくだけだ。  屈辱だ。御大将である自分がただの人間に、こうも立て続けに負けていることが許せなかった。人間どもが持っていた昇竜抜山刀を取り戻して、ようやく本領を発揮できるはずだったのに、無様に敗北を期してしまった。  人間どもも許せないが、それ以上に不甲斐無い自分自身が許せない。蔑んでいた十臓やアクマロと何が違うと言うのか。  こんなはずではない。本当なら今頃、この島に集まった連中など一捻りのはずだった。なのに今は、姫矢准という人間しか殺せていない。それがドウコクのプライドを傷付けるのに充分な威力だった。 「殺してやる……」  森の中を歩むドウコクは、呪詛の言葉を口にする。  全身の血を凍らせることができるほどの威圧感が孕んでいるが、聞く者は誰もいない。 「全員、殺してやる……絶対に殺してやる……!」  ドウコクはこの地で戦った者達の姿を思い返していた。  仮面ライダーW。  シンケンゴールド。  アインハルト・ストラトス。  佐倉杏子。  ウルトラマンネクサス。  キュアサンシャイン。  キュアベリー。  キュアブロッサム。  仮面ライダークウガ。  響良牙。  仮面ライダーエターナル。  誰一人として殺せないどころか逆に嘗められてしまい、この手で殺せないまま勝手に死んだ者すらもいるが、必ず殺してみせる。  この御大将に牙を向けた者は、例え女子供だろうと地獄に突き落とさなければならなかった。どれだけ許しを乞おうとしても、生きていたことを後悔するほどに傷付けなければならない。  そして最後には、こんな屈辱を味わわせた主催者も皆殺しだ。 「許さねえ……殺してやる……殺してやる……殺してやる!」  その名の通り、ドウコクは叫び続ける。  誰でもいいからさっさと殺してしまいたかった。二本の刀も手元にあるので、機会はいくらでもある。これさえあれば、街で好き勝手にやったウルトラマンと仮面ライダーを殺すことができる。  だが、今は休まなければならない。悔しいが、身体が思うように動くのを待つしかなかった。三途の池があれば傷は癒えるかもしれないが、近くに見当たらないので諦めるしかない。   「チッ、酒がねぇ……あの訳のわからねえ箱はどうだっていいが、酒がないのは許せねえなぁ……」  デイバッグが見当たらない。恐らく、戦いの最中に無くしてしまったのかもしれないが、それなら仕方がない。  昇竜抜山刀を取り戻せただけでも良しとしよう。首輪だって他の参加者を殺してでも奪えばいいだけだ。  休んだ後、どうするのかは気分次第だ。先程戦ったあの三人を見つけて殺すか、再び志葉屋敷を目指すか、あるいは街に戻って人間どもを皆殺しにするか……それは、これから考えればいい。 【1日目 夜】 【F-7/森】 【血祭ドウコク@侍戦隊シンケンジャー】 [状態]:ダメージ(極大)、疲労(大)、苛立ち、凄まじい殺意、胴体に刺し傷 [装備]:昇竜抜山刀@侍戦隊シンケンジャー、降竜蓋世刀@侍戦隊シンケンジャー [道具]:なし [思考] 基本:その時の気分で皆殺し 0:今は休みながらこれからのことを考える。 1:首輪を解除できる人間を捜す 2:加頭を殺す 3:杏子や翔太郎なども後で殺す [備考] ※第四十八幕以降からの参戦です。よって、水切れを起こしません。  血祭ドウコクの言っていた奇妙な箱。それは彼にとっては外れ支給品に分類されるが、ある参加者にとっては当たりの部類だった。  左翔太郎と佐倉杏子は一度だけドウコクの荷物を持っていたが、その支給品には触れていない。何故なら、彼らにとっても縁のない箱だからだ。  しばらくして、その箱と縁のある明堂院いつきと出会ったが、その直後にドウコクの襲撃によって話す機会は得られずに再び奪われてしまった。なので、いつきはその箱に気付いていない。  その箱は今、先の戦いによってドウコクが吹き飛ばされたことによって、その手から離れてしまった。そのおかげで、箱は縁の深い参加者と再会している。  その箱の名前は………… ◆ 「まさか、こんな所にハートキャッチミラージュがあったなんて……」  再びキュアブロッサムに変身した花咲つぼみの手には、ドレッサーのような小さな箱が握られている。それは以前、プリキュアの試練を乗り越えたことで手に入れることができた伝説のアイテム・ハートキャッチミラージュだった。  血祭ドウコクがいなくなってからしばらくした後、地面に落ちていたデイバッグを開けたら見つけたのだ。  きっと、ドウコクにとって縁がないから放置されたのだろう。もしも癇癪を起したドウコクに破壊されたらと思うと、ゾッとしてしまう。  ちなみに、お酒もたくさん入っていたけれど、これはあんまり重要ではなかった。一条が酒を飲むとは思えないし、自分も良牙も未成年なので気にしないことにする。  割れないように気を付けなければならなかった。 「つぼみ、それはお前の物なのか?」 「はい。これはハートキャッチミラージュと言って、人のこころの花を覗くことができたり、プリキュアが4人揃ったことで奇跡を起こせるアイテムなんです。でも……」 「……つぼみ、やっぱり今はその話はよそうぜ。悪かったよ」  そして、仮面ライダーエターナルに変身した響良牙は、どこか申し訳なさそうに声を沈める。  ハートキャッチミラージュはプリキュア4人が揃ったことで凄まじい力を発揮するが、それはもう叶わない。何故なら、来海えりかと月影ゆりはもうこの世にいないのだから。  そしてもう一つ。ドウコクのデイバッグの中からは、一つの首輪も出てきた。それが意味するのは、ドウコクが誰かを殺したということだ。どのタイミングで殺されてしまったのかは知らないけれど、守れなかったことに罪悪感が芽生えてしまう。  だけど、それを表に出したら空気が悪くなってしまう。殺されてしまった人には申し訳ないと思うが、あれだけの戦いを乗り越えた後で悲しい雰囲気は引き摺りたくなかった。 「い、いえ……私の方こそ、すみません。こんな時に、湿っぽくしてしまって」 「もうよそうって言っただろ。それに、俺達が落ち込んでいたら、向こうで五代や良達が悲しむ……それに、エターナルだって愛想を尽かすかもしれないからな」  エターナルの言葉にキュアブロッサムは頷いた。  あれから、良牙は何の問題なく変身ができると言うことは、どうやらエターナルに認められたのかもしれない。克己と敵対していた自分達に力を貸してくれるか不安だったが、杞憂だったようだ。  だけど、エターナルが言うように、少しでもメモリを裏切るようなことをしたらすぐに見限るだろう。克己の遺志を継いで新しい希望となる仮面ライダーになるのなら、少しでも躊躇うことなど許されない。  涙を流すにしても、それは全てが終わってからだ。 「良と大道は言っていた……仮面ライダーは人を救う使命があり、そして殺し合いの希望になるって。俺にそんな大層なことができるかはわからないし、使命感だってない。だけど、みんなやあかねさんを守る。これだけは、果たすつもりだ」 「はい。良牙さんなら……いいえ、エターナルなら絶対にできますよ!」 「そっか。なら、頑張らないといけないな」  純白の仮面で覆われているので見えないが、良牙は絶対に笑っているはずだった。  今のエターナルを見たら、きっとみんなは喜んでくれるかもしれない。五代雄介も、村雨良も、大道克己も、泉京水も、そして殺し合いを打ち破ろうとしてくれていたみんなも……  ここに、新しい希望が生まれた。ようやく、迷子だった仮面ライダーが正義の味方になれることができたのだ。その事が、キュアブロッサムの心に光を灯していた。 「君達。私の方はもう準備ができた! そろそろ出発をしても、大丈夫か?」  そんな問いかけをしてくるのは、ビートチェイサー2000に乗った仮面ライダークウガ マイティフォームに変身した一条薫だった。  その声からは先程までの疲弊は感じられない。無論、完全に治っている訳でもないだろうが、回復をしたことだけは確かだった。  それにビートチェイサー2000だって戦いの衝撃によって倒れていたが、どこも壊れていない。攻撃に巻き込まれなかったのが、不幸中の幸いだった。 「俺なら大丈夫だ」 「私も大丈夫ですよ」 「そうか。なら、先程のように私が君達を先導する。どうか、遅れないように気を付けてくれ」  クウガはそう告げながら、バイクのエンジンを鳴らす。  その音を耳にした瞬間、キュアブロッサムの身体はエターナルによって抱えられてしまった。突然のことに驚く暇もなく、彼女はぽかんと口を開けてしまう。 「えっ……良牙さん……?」 「お前はまださっきの戦いで疲れているだろ。だから、今度は俺がお前を運ぶ」 「え、ええええっ!? 大丈夫ですよ! 私なら、まだ……」 「無理をするな。それと、お前には悪いけど……俺も恥ずかしいんだよ! いつまでもお前に抱えられているってことが! そういうことだから、行くぞ!」 「ちょ、ちょっと~!」  キュアブロッサムは必死に反論しようとするが、エターナルは返答をせずに走り出す。  既にビートチェイサー2000も走り出しているのだから、それに置いていかれないようにしているのだろう。  エターナルは心配してくれているのは嬉しい。だけど、年上の男の人に抱えられているということが、キュアブロッサムにはとても恥ずかしかった。さっきまでの良牙はこんな気持ちだったのかと考えると、少しだけ申し訳なく思えてしまう。  それでも、今はデイバッグとハートキャッチミラージュを落とさないようにしっかりと握り締める。これはみんなとの思い出が詰まった大切な物だから。 (プリキュアが四人……えりかとゆりさんはもういないのですよね)  ハートキャッチミラージュを見ていたら、四人で仲良くしていた日々の出来事が脳裏に過ってしまう。  色々な事があったけど、楽しかったのは確かだった。でも、えりかとゆりがもういないのだから、愛しい日常はもう戻ってこない。えりかの姉であり、ゆりの親友でもある来海ももかだって、悲しむだろう。  それがとても悲しくなってしまう。どれだけ嘆いてもどうにもならないのはわかるが、簡単に割り切れなかった。 「……つぼみ、大丈夫か?」 「大丈夫です……心配してくれて、ありがとうございます」  だけど、涙は流さない。  そんなこと、ここにいる誰もが望んでいないはずだから……そう思いながら、キュアブロッサムは振動を全身で感じていたのだった。 【1日目/夜】 【E―7/荒れ地】 【響良牙@らんま1/2】 [状態]:全身にダメージ(大)、負傷(顔と腹に強い打撲、喉に手の痣)、疲労(大)、腹部に軽い斬傷、五代・乱馬・村雨の死に対する悲しみと後悔と決意、男溺泉によって体質改善、デストロン戦闘員スーツ着用、仮面ライダーエターナル ブルーフレアに変身中、キュアブロッサムをお姫様だっこ中。 [装備]:ロストドライバー+エターナルメモリ@仮面ライダーW、マッハキャリバー(待機状態・破損有(使用可能な程度))@魔法少女リリカルなのはシリーズ、リボルバーナックル(両手・収納中)@魔法少女リリカルなのはシリーズ、 [道具]:支給品一式×2(食料一食分消費、(良牙、克己))、水とお湯の入ったポット1つずつ、志葉家のモヂカラディスク@侍戦隊シンケンジャー、ガイアメモリ(ゾーン)@仮面ライダーW、ムースの眼鏡@らんま1/2 、細胞維持酵素×2@仮面ライダーW、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、歳の数茸×2(7cm、7cm)@らんま1/2、デストロン戦闘員マスク@仮面ライダーSPIRITS、プラカード+サインペン&クリーナー@らんま1/2、呪泉郷の水(娘溺泉、男溺泉、数は不明)@らんま1/2、呪泉郷顧客名簿、呪泉郷地図、特殊i-pod [思考] 基本:天道あかねを守る 1:クウガの後についていきながら、警察署に向かう。 2:天道あかねとの合流、だがもし殺し合いに乗っていたら……? 3:いざというときは仮面ライダーとして戦う 4:マッハキャリバーについてはとりあえずヴィヴィオを探してみる……だから欲情はしてねぇ! [備考] ※参戦時期は原作36巻PART.2『カミング・スーン』(高原での雲竜あかりとのデート)以降です。 ※夢で遭遇したシャンプーの要望は「シャンプーが死にかけた良牙を救った、乱馬を助けるよう良牙に頼んだと乱馬に言う」 「乱馬が優勝したら『シャンプーを生き返らせて欲しい』という願いにしてもらうよう乱馬に頼む」です。 尚、乱馬が死亡したため、これについてどうするかは不明です。 ※ゾーンメモリとの適合率は非常に悪いです。 ※エターナルでゾーンのマキシマムドライブを発動しても、本人が知覚していない位置からメモリを集めるのは不可能になっています。 (マップ中から集めたり、エターナルが知らない隠されているメモリを集めたりは不可能です) ※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。 ※つぼみ、一条、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。 ※男溺泉に浸かったので、体質は改善され、普通の男の子に戻りました。 ※エターナル・ブルーフレアに変身できるようになりました。 【花咲つぼみ@ハートキャッチプリキュア!】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、加頭に怒りと恐怖、強い悲しみと決意、デストロン戦闘員スーツ着用(変身前)、キュアブロッサム変身、エターナルにお姫様だっこされている。 [装備]:プリキュアの種&ココロパフューム [道具]:支給品一式×5(食料一食分消費、(つぼみ、えりか、三影、さやか、ドウコク))、鯖(@超光戦士シャンゼリオン?)、スティンガー×6@魔法少女リリカルなのは、プリキュアの種&ココロパフューム(えりか)@ハートキャッチプリキュア!、プリキュアの種&ココロポット(ゆり)@ハートキャッチプリキュア!、こころの種(赤、青、マゼンダ)@ハートキャッチプリキュア!、破邪の剣@牙浪―GARO―、ガイアメモリ(T2ウェザー)@仮面ライダーW、まどかのノート@魔法小少女まどか☆マギカ、大貝形手盾@侍戦隊シンケンジャー、反ディスク@侍戦隊シンケンジャー、デストロン戦闘員スーツ(スーツ+マスク)@仮面ライダーSPIRITS、デストロン戦闘員マスク(現在着ているものの、着替え、『ハートキャッチプリキュア!』の漫画@ハートキャッチプリキュア!、ハートキャッチミラージュ@ハートキャッチプリキュア!、姫矢の首輪、大量のコンビニの酒 [思考] 基本:殺し合いはさせない! 0:良牙さんに抱えられているのがちょっとだけ恥ずかしいです…… 1:警察署に向かう。 2:この殺し合いに巻き込まれた人間を守り、悪人であろうと救える限り心を救う 3:南東へ進む、18時までに沖たちと市街地で合流する(できる限り急ぐ) 4:ダークプリキュア… 5:……そんなにフェイトさんと声が似ていますか? [備考] ※参戦時期は本編後半(ゆりが仲間になった後)。少なくとも43話後。DX2および劇場版『花の都でファッションショー…ですか!? 』経験済み  そのためフレプリ勢と面識があります ※溝呂木眞也の名前を聞きましたが、悪人であることは聞いていません。鋼牙達との情報交換で悪人だと知りました。 ※良牙が発した気柱を目撃しています。 ※プリキュアとしての正体を明かすことに迷いは無くなりました。 ※サラマンダー男爵が主催側にいるのはオリヴィエが人質に取られているからだと考えています。 ※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました。 ※この殺し合いにおいて『変身』あるいは『変わる事』が重要な意味を持っているのではないのかと考えています。 ※放送が嘘である可能性も少なからず考えていますが、殺し合いそのものは着実に進んでいると理解しています。 ※ゆりが死んだこと、ゆりとダークプリキュアが姉妹であることを知りました。 ※大道克己により、「ゆりはゲームに乗った」、「えりかはゆりが殺した」などの情報を得ましたが、半信半疑です。 ※ダークプリキュアにより、「えりかはダークプリキュアが殺した」という情報を得ましたが、上記の情報と矛盾するため混乱しています。 ※所持しているランダム支給品とデイパックがえりかのものであることは知りません。 ※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。 ※良牙、一条、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。 【一条薫@仮面ライダークウガ】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(大、特に背部)、アマダム吸収、クウガマイティフォームに変身中、ビートチェイサー2000に騎乗 [装備]:ミカヤ・シェベルの居合刀@魔法少女リリカルなのはシリーズ、レミントンM870(8/8)@現実、ビートチェイサー2000@仮面ライダークウガ [道具]:支給品一式×8(食料一食分消費、(一条、五代、十臓、京水、タカヤ、シンヤ、丈瑠、パンスト、冴子、シャンプー、ノーザ、ゴオマ、速水、バラゴ))、警察手帳、プロトタイプアークル@小説 仮面ライダークウガ、ガイアメモリ(T2ルナ)@仮面ライダーW、細胞維持酵素×4@仮面ライダーW、克己のハーモニカ@仮面ライダーW、バッドショット+バットメモリ@仮面ライダーW、スタッグフォン+スタッグメモリ@仮面ライダーW、テッククリスタル(シンヤ)@宇宙の騎士テッカマンブレード、T2メタルメモリ@仮面ライダーW、水とお湯の入ったポット1つずつ、力の源@らんま1/2、スパイダーショック+スパイダーメモリ@仮面ライダーW、まねきねこ@侍戦隊シンケンジャー、滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、黒子の装束@侍戦隊シンケンジャー、『戦争と平和』@仮面ライダークウガ、『長いお別れ』@仮面ライダーW、インロウマル&スーパーディスク@侍戦隊シンケンジャー、紀州特産の梅干し@超光戦士シャンゼリオン、ムカデのキーホルダー@超光戦士シャンゼリオン、双眼鏡@現実、ランダム支給品1~7(シャンプー0~1、ゴオマ0~1、バラゴ0~2、冴子1~3)、水とお湯の入ったポット1つずつ、バグンダダ@仮面ライダークウガ [思考] 基本:民間人の保護 1:警察として、また仮面ライダーとして人々を守る。 2:警察署に向かう為にも二人を先導する。 3:他に保護するべき人間を捜す 4:未確認生命体に警戒。どこかにいるゴ・ガドル・バもいつか倒す。 5:可能ならばデバイスを回収する。 6:凄まじき戦士の力をどうするか…… ※参戦時期は少なくともゴ・ガドル・バの死亡後です ※殺し合いの参加者は異世界から集められていると考えています。 ※この殺し合いは、何らかの目的がある『儀式』の様なものだと推測しています。 ※アマダムを吸収したため、仮面ライダークウガに変身できます。アマダム自体が強化されているため、ライジングフォームへの無制限の変身やアメイジングマイティフォームへの変身も可能です。 ※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。 ※つぼみ、良牙、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。 ※泉京水の支給品を回収しました 【共通備考】 ※メモリーキューブは村雨良の遺体にセットされました。 ※戦いの影響によって【E-7】エリアが荒れ地となりましたが、村雨良の遺体には何の影響もありません。 【支給品解説】 【ハートキャッチミラージュ@ハートキャッチプリキュア!】 血祭ドウコクに支給。 プリキュアパレスに封印されている伝説のアイテムで、先代のプリキュアと戦う試練を乗り越えることで入手できる。 強大な力を秘めており、こころの大樹や人のこころの花を見れる他、こころの大樹にワープすることができます。(ただし、制限がかけられているかもしれません) また、ポプリの持つ金色の種・スーパープリキュアの種をセットして、プリキュア四人が祈りを捧げればスーパーシルエットに変身することができます。 *時系列順で読む Back:[[覚醒(前編)]]Next:[[空虚]] *投下順で読む Back:[[覚醒(前編)]]Next:[[空虚]] |Back:[[覚醒(前編)]]|[[花咲つぼみ]]|Next:[[冒険者の物語]]| |Back:[[覚醒(前編)]]|[[一条薫]]|Next:[[冒険者の物語]]| |Back:[[覚醒(前編)]]|[[響良牙]]|Next:[[冒険者の物語]]| |Back:[[覚醒(前編)]]|[[血祭ドウコク]]|Next:[[双大将再会]]| ----
*覚醒(後編) ◆LuuKRM2PEg ◆ 「一条……なんて強さだ。あいつは……いや、クウガはあんなこともできるのかよ!?」  時間が少しだけ遡る。  アメイジングマイティフォームに変身した仮面ライダークウガが[[血祭ドウコク]]と互角に戦っているのを見て、[[響良牙]]はそう口にする。  三対一で戦ったにも関わらず、ドウコクは圧倒的有利に立って戦いを進めていた。しかし今のクウガはそれを引っ繰り返す程の強さを発揮している。黒と金の姿になった瞬間、パワーアップをしたのだろう。  しかし、どうしてそれをもっと早く出さなかったのかという疑問が芽生えたが……良牙はすぐに察する。自分が子豚になることを隠していたように、あの姿になることを一条は躊躇っていたのかもしれない。理由はわからないが、触れない方がいいだろう。  クウガが自分達の為に戦ってくれている。それだけさえあれば充分だった。 「でも、良牙さん……このままでは、クウガだって危ないです! だって、あれだけ傷付いているのですから!」 「わかっている! あいつが俺達の為に戦ってくれているのだから、俺達だって何かしないといけないだろう!」  キュアブロッサムにそう答えるが、その為の手段が思いつかない。  先程まで、どれだけ攻撃をしてもドウコクは一向に倒れる気配を見せない。それどころか、逆にこちらが追い込まれている状況だ。ここで戦っているクウガですら、この戦いで負ったダメージが甚大なのに、身体に鞭を打っている。  これ以上、クウガに無理をさせたくない。だが、ここで無暗に突っ込んだとしても戦いに巻き込まれて死ぬだけだ。そんなのは嫌だし、何よりもクウガを悲しませることになってしまう。  横から獅子咆哮弾を放っても、その隙がない。クウガに当たってしまったら意味がないし、もしもドウコクが標的をこちらに変えてしまったら今度こそ殺されるかもしれなかった。  だけど、悩んでいる暇はない。例え生身であろうとも、それが何もやらないことへの理由にはならないからだ。 (……生身?)  そこまで考えて、良牙は不意に考える。  ドウコクと言う化け物に立ち向かっているクウガは、人間の体ではない。キュアブロッサムだって、元は[[花咲つぼみ]]という女子中学生だ。  ドウコクを相手に生身で戦うのは本当なら危険極まりなかった。いくら格闘が強くても、この身体は剣を弾くことなどできない。無残に斬られるのがオチだ。  だけど、変身する為の手段ならある。この島で何度も見てきたはずだった。  良牙は数秒ほど辺りを見渡した後、すぐに見つける。それは、かつて[[大道克己]]が使っていたT-2エターナルメモリとロストドライバーだった。ドウコクの攻撃によっていつの間にかデイバッグから零れ落ちていたのだ。  あまりにも幸運な偶然だが、それを喜んでいる暇などない。良牙はすぐにそれらを手に取った。 「おい、エターナル! 聞こえるか!?」 「あの、良牙さん……? あなたは何を……?」  キュアブロッサムは呆気に取られているが、それに構わず良牙はエターナルメモリに向かって語り続ける。 「テメエが俺達のことをどう思っているかは知らない! 恨んでいようが、怒っていようが、許せなかったとしても……俺はそれを受け止める! だが、今だけは俺達に力を貸してくれ!」  エターナルメモリに意思があるかどうかはわからない。  これはただの道具で、もしも克己に従って殺戮だけを繰り返していたのだとするのなら、今の自分は滑稽以外の何物でもない。だけど、マッハキャリバーのように自分の意思を持つ宝石がいるのだから、ガイアメモリだって意思を持っているかもしれなかった。  もしも、本当に持っているのだとしたら、相棒である克己の敵であった自分達に力を貸したりはしないだろう。それを承知の上で、良牙は頼んでいるのだ。 「俺達の仲間を助ける為にも! そして、良や大道や京水が望んでいたように、お前を本当の意味での仮面ライダーにする為にも……俺はお前を使う! だから、エターナルも頼む!」  [[五代雄介]]は、人々の笑顔を守る為に戦う仮面ライダークウガだった。  [[一条薫]]は、そんな五代雄介の遺志を継いで仮面ライダークウガになった。  [[村雨良]]は、最後の戦いで自分から仮面ライダーゼクロスの名前を背負った。  大道克己は、本当なら仮面ライダーエターナルという正義の戦士になれたはずだった。  [[泉京水]]は、大道克己が仮面ライダーとして人々の為に戦ってくれると信じていた。  仮面ライダーは、人々の希望の為に戦う戦士なのだ。悪になってしまった克己とエターナルだって、もしも運命が変わっていたらこの殺し合いを打ち破ってくれる仲間になってくれるはずだった。  エターナルが変わることを望んでいるかはわからないが、例えそうでなかったとしても良牙の選択は変わらない。ロストドライバーを腰に添えて、エターナルメモリのスイッチを力強く押した。 『Eternal』  これまで何度か聞いた音声が、数時間ぶりに響き渡る。  しかし感慨に耽ることなどしない。これまで出会ってきた仮面ライダー達の姿を真似るように、良牙もその言葉を口にした。 「変身ッ!」 『Etarnal』  エターナルメモリをロストドライバーに装填させた瞬間、永遠を意味する音声が再び鳴り響く。まるで、良牙の意志にメモリが答えているかのようだった。  その刹那、無数の白いエネルギーが良牙の身体に集中して、変身が始まった。その身体は白亜に染まり、瞳は黄色に輝く。そして、全身に蒼い炎の紋章が刻まれて、次の瞬間には黒いローブが生成された。  全ての過程が果たされた直後、全身から蒼いオーラが放たれていき、身体の奥底から力が溢れ出てくるのを感じる。  不意に、近くにいるキュアブロッサムに振り向くと、ぽかんと口を開けているのが見える。 「りょ、良牙さん……!」 「つ、つぼみ……どうだ? ちゃんと、大道みたいに変身ができているか?」 「はい! 良牙さんはチェンジできました! 克己さんのように……仮面ライダーエターナルに変身しています!」 「そうか! エターナルに……変身したのか!」  キュアブロッサムは歓喜するが、良牙自身にはいまいち実感が湧かない。  全身や背中を見てみると、確かにエターナルと同じ姿であることがわかる。だから、キュアブロッサムの言葉は真実だろう。  良牙は知らないが、克己と戦った[[ダークプリキュア]]も一度だけエターナルに変身して、ブルーフレアの形態になった。克己のようにただ未来だけを見つめて戦ってきたダークプリキュアのように、良牙も前を真っ直ぐに進んでいたからエターナルに認められたのか……それは誰にもわからない。  ただ、確かなことが一つだけある。響良牙は、仮面ライダーエターナル・ブルーフレアへの変身を果たすことができたということだ。 「よし! そうと決まれば、話は早い! つぼみも頼むぞ!」 「はい! 集まれ、花のパワー! ブロッサム・タクト!」  エターナルが気のコントロールを始めるのに合わせて、キュアブロッサムはブロッサムタクトを取り出す。  クウガとドウコクは戦いに集中しているせいで、幸いにもこちらに気付いていない。今が絶好のチャンスだった。  ブロッサムタクトが輝く一方で、良牙はひたすら思考をマイナスの方面に働かせていた。 (良……すまない、お前の近くでこんな騒ぎになっちまって。でも、お前のことは絶対に傷付けさせないから、安心して眠っていてくれ!)  ここから見えない場所で眠っている村雨良のことを、エターナルは考える。  もしも、この戦いに巻き込まれて良の身体が滅茶苦茶にされてしまったら……そう考えただけでも、気がどんよりと重くなってしまう。そうさせない為にも、一刻も早くドウコクを倒さなければならなかった。 (一条。俺達はあんただけに無理をさせない! その為に、俺もあんたみたいに変身したからな!)  そして、自分達の前で傷付いているクウガの姿も見たことで、エターナルは気が重くなっていた。  本当は満身創痍であるはずなのに、彼はそれをおくびにも出さずに戦っている。そんなクウガの強さと優しさは嬉しいが、同時に気が重くなってしまう。  もしかしたら、五代雄介も同じ痛みと悲しみを背負いながら戦っていたのではないか。考えても意味はないが、やはり気になってしまう。  やがて、クウガの蹴りによってドウコクは後退して、両者の距離が開くのを見た。 「つぼみ、今だ!」 「わかりました!」 「行くぜ……獅子咆哮弾!」 「プリキュア! ピンクフォルテ・ウェイブ!」  二人はタイミングを見計らった後、正と負のエネルギーを同時に放出する。  それは瞬時にドウコクの身体を飲み込むと、凄まじい轟音が鳴り響いた。エターナルの放った獅子咆哮弾によって、地面ごとドウコクを吹き飛ばしたのだ。  大量の煙が舞い上がる中、キュアブロッサムの放ったエネルギーは花の形となって、ドウコクの巨体を拘束した。 「な、なんだ……こいつは……!?」 「はあああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」  ドウコクの疑問に対する答えは、キュアブロッサムの叫びだけ。  彼女がフラワータクトの中央部にあるクリスタルを勢いよく回転させる度に、エネルギーは輝きを増す。だが、ドウコクもそれを打ち破ろうと足掻いていた。  ドウコクの傷も深いが、キュアブロッサムの必殺技を打ち破るだけの力は残っているかもしれない。それを考えると、時間はあまり残されていなかった。  それを察したエターナルはロストドライバーからメモリを引き抜いて、エターナルエッジに差し込んだ。 『Eternal Maximum Drive』  克己との戦いで何度も聞いた音声が、また鼓膜を刺激する。あまりいい思い出がない言葉だったが、今回ばかりは心強いと思えた。  全身の至る所に力が流れてくるのを感じながら、エターナルはクウガに振り向いた。 「おい、一条! いや、クウガ! 俺は今からとびっきりの一発をあの野郎にお見舞いする! あんたはどうだ!?」 「ああ! だが、君達を巻き込んでしまう技は出せないが……それでもいいか?」 「大丈夫だ! ドウコクの奴だってそろそろ限界なはずだ!」 「そうか……なら、行こう!」 「おう!」  エターナルはクウガと共にもがき続けるドウコクを睨んで、そして同時に疾走した。 「ぐっ……テメエら……ふざけるなあああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!」  一方のドウコクは拘束を振り切る為に、咆哮しながら衝撃波を放つ。ピンクフォルテ・ウェイブの力に阻害されているせいで威力は落ちているが、エターナルとクウガに突き刺さった。  されど、彼らの歩みはその程度で止まることなどない。どんな衝撃が傷を抉ろうとしても、二人の仮面ライダーは駆け抜けていた。  やがて彼らは勢いよく跳躍をする。空中で一回転をした後、それぞれ右足をドウコクに向ける。まるで、五代雄介が未確認生命体を倒す為に何度もマイティキックを放ったように。 「ウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォリャアアアアアアアアアアアアアッ!」 「ウオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォリャアアアアアアアアアアアアアッ!」  アメイジングマイティフォームの蹴りと、エターナルが放つエターナル・レクイエムは同時に叩き込まれる。二人の仮面ライダーによる二つの蹴り……それは、ダブルライダーキックと呼ぶに相応しかった。  その一撃を前にドウコクは何もできず、ただ受けるしかできない。その身を縛りつける花の力もろとも、吹き飛ぶしかなかった。 「ぐああああああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」  断末魔の叫びが戦場に響き渡るが、その直後に起きた大爆発によって掻き消されてしまう。プリキュアの力と仮面ライダーの力が、同時に叩き込まれた結果だ。  地面に着地したエターナルとクウガはそれを無言で見つめている。ドウコクを蹴った足が微妙に痺れているが、構わない。  これだけの連携攻撃を叩き込んだが、まだ油断はできなかった。もしかしたら、ドウコクはまだ生きているかもしれない。粉塵が舞い上がる中、エターナルは警戒を未だに緩めなかった。  時間の経過と共に風は流れ、視界が晴れていく。だが、そこにドウコクの姿はなかった。 「……やった、のか?」  エターナルは問いかけるが、それに答える者は誰もいない。  当たりを見渡しても、ドウコクの姿はない。跡形もなく吹き飛んだのか、逃げたのか、それともすぐ近くの川に落下して流されたのか。いくら考えても、答えは見つからない。  とにかく、ドウコクはいなくなった。それがわかっただけでも、緊張の糸が解れてしまい、エターナルの変身を解いてしまう。 「そのようだな……」  ようやく返事をしたのは、クウガの変身を解除した一条薫だった。  振り向くと、いつの間にかキュアブロッサムも元の姿に戻っている。花咲つぼみという少女の姿だ。 「二人とも……お疲れ様です」 「ああ。良の記憶を取り戻せたと思ったのに、まさかあんな野郎に出会うなんて……あんまりだぞ」 「はい……この場所では、村雨さんや克己さんが眠っているのに」 「でも、良のことは守れた……それだけが、せめてもの救いか」 「そうですね……」  弱々しく頷いたつぼみは、深く溜息を吐きながらその場にへたり込んでしまう。  きっと、彼女はドウコクとの戦いで疲れたのだろう。それは良牙も同じだし、薫だってそうかもしれない。  街に向かわなければならないが、今は少しでもいいから休みたかった。あれだけの強敵を倒したから、少しくらい休憩をしても罰は当たらないだろう……そんなことを考えながら、良牙はその場に座り込んだ。 ◆  広大なる森には三つの川が存在する。その中の一つにある怪人が流されていた。  血祭ドウコクである。  キュアブロッサムのピンクフォルテウェイブと、エターナルとクウガのダブルライダーキックを受けて、そこから川に突き落とされても尚……ドウコクは生きていた。  激しく流れる川の中にいるせいで、ドウコクの視界はぼやけている。意識も薄れていくが、それでも生きていた。外道衆を率いる御大将としてのプライドと、その強靭な肉体が彼の生存を可能としていた。  もしも、クウガが周囲への被害を危惧せずに全力の封印エネルギーを叩き込んだら、流石のドウコクと言えども一の目を失っていたかもしれない。クウガに仲間がいたことと、村雨良の遺体が残っていたこともドウコクを生かす要因となっただろう。  だが、凄まじい痛みが全身に駆け巡っている。そのせいで、川の中から這い上がるまで時間がかかってしまった。 「ぐっ……が……あっ……!」  息も絶え絶えながら、力を振り絞って川岸に辿り着く。どこまで流されたのかはわからないが、首輪が爆発しないので禁止エリアでないことは確かだ。  数歩ほど歩いた後、ドスン! と音をたてながらドウコクの巨体は倒れていく。 「俺が……この俺が、また負けただと……!」  ギリギリと歯を鳴らすが、胸の中の鬱憤が晴れることはない。むしろ、積み重なっていくだけだ。  屈辱だ。御大将である自分がただの人間に、こうも立て続けに負けていることが許せなかった。人間どもが持っていた昇竜抜山刀を取り戻して、ようやく本領を発揮できるはずだったのに、無様に敗北を期してしまった。  人間どもも許せないが、それ以上に不甲斐無い自分自身が許せない。蔑んでいた十臓やアクマロと何が違うと言うのか。  こんなはずではない。本当なら今頃、この島に集まった連中など一捻りのはずだった。なのに今は、[[姫矢准]]という人間しか殺せていない。それがドウコクのプライドを傷付けるのに充分な威力だった。 「殺してやる……」  森の中を歩むドウコクは、呪詛の言葉を口にする。  全身の血を凍らせることができるほどの威圧感が孕んでいるが、聞く者は誰もいない。 「全員、殺してやる……絶対に殺してやる……!」  ドウコクはこの地で戦った者達の姿を思い返していた。  仮面ライダーW。  シンケンゴールド。  [[アインハルト・ストラトス]]。  [[佐倉杏子]]。  ウルトラマンネクサス。  キュアサンシャイン。  キュアベリー。  キュアブロッサム。  仮面ライダークウガ。  響良牙。  仮面ライダーエターナル。  誰一人として殺せないどころか逆に嘗められてしまい、この手で殺せないまま勝手に死んだ者すらもいるが、必ず殺してみせる。  この御大将に牙を向けた者は、例え女子供だろうと地獄に突き落とさなければならなかった。どれだけ許しを乞おうとしても、生きていたことを後悔するほどに傷付けなければならない。  そして最後には、こんな屈辱を味わわせた主催者も皆殺しだ。 「許さねえ……殺してやる……殺してやる……殺してやる!」  その名の通り、ドウコクは叫び続ける。  誰でもいいからさっさと殺してしまいたかった。二本の刀も手元にあるので、機会はいくらでもある。これさえあれば、街で好き勝手にやったウルトラマンと仮面ライダーを殺すことができる。  だが、今は休まなければならない。悔しいが、身体が思うように動くのを待つしかなかった。三途の池があれば傷は癒えるかもしれないが、近くに見当たらないので諦めるしかない。   「チッ、酒がねぇ……あの訳のわからねえ箱はどうだっていいが、酒がないのは許せねえなぁ……」  デイバッグが見当たらない。恐らく、戦いの最中に無くしてしまったのかもしれないが、それなら仕方がない。  昇竜抜山刀を取り戻せただけでも良しとしよう。首輪だって他の参加者を殺してでも奪えばいいだけだ。  休んだ後、どうするのかは気分次第だ。先程戦ったあの三人を見つけて殺すか、再び志葉屋敷を目指すか、あるいは街に戻って人間どもを皆殺しにするか……それは、これから考えればいい。 【1日目 夜】 【F-7/森】 【血祭ドウコク@侍戦隊シンケンジャー】 [状態]:ダメージ(極大)、疲労(大)、苛立ち、凄まじい殺意、胴体に刺し傷 [装備]:昇竜抜山刀@侍戦隊シンケンジャー、降竜蓋世刀@侍戦隊シンケンジャー [道具]:なし [思考] 基本:その時の気分で皆殺し 0:今は休みながらこれからのことを考える。 1:首輪を解除できる人間を捜す 2:加頭を殺す 3:杏子や翔太郎なども後で殺す [備考] ※第四十八幕以降からの参戦です。よって、水切れを起こしません。  血祭ドウコクの言っていた奇妙な箱。それは彼にとっては外れ支給品に分類されるが、ある参加者にとっては当たりの部類だった。  [[左翔太郎]]と佐倉杏子は一度だけドウコクの荷物を持っていたが、その支給品には触れていない。何故なら、彼らにとっても縁のない箱だからだ。  しばらくして、その箱と縁のある[[明堂院いつき]]と出会ったが、その直後にドウコクの襲撃によって話す機会は得られずに再び奪われてしまった。なので、いつきはその箱に気付いていない。  その箱は今、先の戦いによってドウコクが吹き飛ばされたことによって、その手から離れてしまった。そのおかげで、箱は縁の深い参加者と再会している。  その箱の名前は………… ◆ 「まさか、こんな所にハートキャッチミラージュがあったなんて……」  再びキュアブロッサムに変身した花咲つぼみの手には、ドレッサーのような小さな箱が握られている。それは以前、プリキュアの試練を乗り越えたことで手に入れることができた伝説のアイテム・ハートキャッチミラージュだった。  血祭ドウコクがいなくなってからしばらくした後、地面に落ちていたデイバッグを開けたら見つけたのだ。  きっと、ドウコクにとって縁がないから放置されたのだろう。もしも癇癪を起したドウコクに破壊されたらと思うと、ゾッとしてしまう。  ちなみに、お酒もたくさん入っていたけれど、これはあんまり重要ではなかった。一条が酒を飲むとは思えないし、自分も良牙も未成年なので気にしないことにする。  割れないように気を付けなければならなかった。 「つぼみ、それはお前の物なのか?」 「はい。これはハートキャッチミラージュと言って、人のこころの花を覗くことができたり、プリキュアが4人揃ったことで奇跡を起こせるアイテムなんです。でも……」 「……つぼみ、やっぱり今はその話はよそうぜ。悪かったよ」  そして、仮面ライダーエターナルに変身した響良牙は、どこか申し訳なさそうに声を沈める。  ハートキャッチミラージュはプリキュア4人が揃ったことで凄まじい力を発揮するが、それはもう叶わない。何故なら、[[来海えりか]]と[[月影ゆり]]はもうこの世にいないのだから。  そしてもう一つ。ドウコクのデイバッグの中からは、一つの首輪も出てきた。それが意味するのは、ドウコクが誰かを殺したということだ。どのタイミングで殺されてしまったのかは知らないけれど、守れなかったことに罪悪感が芽生えてしまう。  だけど、それを表に出したら空気が悪くなってしまう。殺されてしまった人には申し訳ないと思うが、あれだけの戦いを乗り越えた後で悲しい雰囲気は引き摺りたくなかった。 「い、いえ……私の方こそ、すみません。こんな時に、湿っぽくしてしまって」 「もうよそうって言っただろ。それに、俺達が落ち込んでいたら、向こうで五代や良達が悲しむ……それに、エターナルだって愛想を尽かすかもしれないからな」  エターナルの言葉にキュアブロッサムは頷いた。  あれから、良牙は何の問題なく変身ができると言うことは、どうやらエターナルに認められたのかもしれない。克己と敵対していた自分達に力を貸してくれるか不安だったが、杞憂だったようだ。  だけど、エターナルが言うように、少しでもメモリを裏切るようなことをしたらすぐに見限るだろう。克己の遺志を継いで新しい希望となる仮面ライダーになるのなら、少しでも躊躇うことなど許されない。  涙を流すにしても、それは全てが終わってからだ。 「良と大道は言っていた……仮面ライダーは人を救う使命があり、そして殺し合いの希望になるって。俺にそんな大層なことができるかはわからないし、使命感だってない。だけど、みんなやあかねさんを守る。これだけは、果たすつもりだ」 「はい。良牙さんなら……いいえ、エターナルなら絶対にできますよ!」 「そっか。なら、頑張らないといけないな」  純白の仮面で覆われているので見えないが、良牙は絶対に笑っているはずだった。  今のエターナルを見たら、きっとみんなは喜んでくれるかもしれない。五代雄介も、村雨良も、大道克己も、泉京水も、そして殺し合いを打ち破ろうとしてくれていたみんなも……  ここに、新しい希望が生まれた。ようやく、迷子だった仮面ライダーが正義の味方になれることができたのだ。その事が、キュアブロッサムの心に光を灯していた。 「君達。私の方はもう準備ができた! そろそろ出発をしても、大丈夫か?」  そんな問いかけをしてくるのは、ビートチェイサー2000に乗った仮面ライダークウガ マイティフォームに変身した一条薫だった。  その声からは先程までの疲弊は感じられない。無論、完全に治っている訳でもないだろうが、回復をしたことだけは確かだった。  それにビートチェイサー2000だって戦いの衝撃によって倒れていたが、どこも壊れていない。攻撃に巻き込まれなかったのが、不幸中の幸いだった。 「俺なら大丈夫だ」 「私も大丈夫ですよ」 「そうか。なら、先程のように私が君達を先導する。どうか、遅れないように気を付けてくれ」  クウガはそう告げながら、バイクのエンジンを鳴らす。  その音を耳にした瞬間、キュアブロッサムの身体はエターナルによって抱えられてしまった。突然のことに驚く暇もなく、彼女はぽかんと口を開けてしまう。 「えっ……良牙さん……?」 「お前はまださっきの戦いで疲れているだろ。だから、今度は俺がお前を運ぶ」 「え、ええええっ!? 大丈夫ですよ! 私なら、まだ……」 「無理をするな。それと、お前には悪いけど……俺も恥ずかしいんだよ! いつまでもお前に抱えられているってことが! そういうことだから、行くぞ!」 「ちょ、ちょっと~!」  キュアブロッサムは必死に反論しようとするが、エターナルは返答をせずに走り出す。  既にビートチェイサー2000も走り出しているのだから、それに置いていかれないようにしているのだろう。  エターナルは心配してくれているのは嬉しい。だけど、年上の男の人に抱えられているということが、キュアブロッサムにはとても恥ずかしかった。さっきまでの良牙はこんな気持ちだったのかと考えると、少しだけ申し訳なく思えてしまう。  それでも、今はデイバッグとハートキャッチミラージュを落とさないようにしっかりと握り締める。これはみんなとの思い出が詰まった大切な物だから。 (プリキュアが四人……えりかとゆりさんはもういないのですよね)  ハートキャッチミラージュを見ていたら、四人で仲良くしていた日々の出来事が脳裏に過ってしまう。  色々な事があったけど、楽しかったのは確かだった。でも、えりかとゆりがもういないのだから、愛しい日常はもう戻ってこない。えりかの姉であり、ゆりの親友でもある来海ももかだって、悲しむだろう。  それがとても悲しくなってしまう。どれだけ嘆いてもどうにもならないのはわかるが、簡単に割り切れなかった。 「……つぼみ、大丈夫か?」 「大丈夫です……心配してくれて、ありがとうございます」  だけど、涙は流さない。  そんなこと、ここにいる誰もが望んでいないはずだから……そう思いながら、キュアブロッサムは振動を全身で感じていたのだった。 【1日目/夜】 【E―7/荒れ地】 【響良牙@らんま1/2】 [状態]:全身にダメージ(大)、負傷(顔と腹に強い打撲、喉に手の痣)、疲労(大)、腹部に軽い斬傷、五代・乱馬・村雨の死に対する悲しみと後悔と決意、男溺泉によって体質改善、デストロン戦闘員スーツ着用、仮面ライダーエターナル ブルーフレアに変身中、キュアブロッサムをお姫様だっこ中。 [装備]:ロストドライバー+エターナルメモリ@仮面ライダーW、マッハキャリバー(待機状態・破損有(使用可能な程度))@魔法少女リリカルなのはシリーズ、リボルバーナックル(両手・収納中)@魔法少女リリカルなのはシリーズ、 [道具]:支給品一式×2(食料一食分消費、(良牙、克己))、水とお湯の入ったポット1つずつ、志葉家のモヂカラディスク@侍戦隊シンケンジャー、ガイアメモリ(ゾーン)@仮面ライダーW、ムースの眼鏡@らんま1/2 、細胞維持酵素×2@仮面ライダーW、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ、歳の数茸×2(7cm、7cm)@らんま1/2、デストロン戦闘員マスク@仮面ライダーSPIRITS、プラカード+サインペン&クリーナー@らんま1/2、呪泉郷の水(娘溺泉、男溺泉、数は不明)@らんま1/2、呪泉郷顧客名簿、呪泉郷地図、特殊i-pod [思考] 基本:[[天道あかね]]を守る 1:クウガの後についていきながら、警察署に向かう。 2:天道あかねとの合流、だがもし殺し合いに乗っていたら……? 3:いざというときは仮面ライダーとして戦う 4:マッハキャリバーについてはとりあえずヴィヴィオを探してみる……だから欲情はしてねぇ! [備考] ※参戦時期は原作36巻PART.2『カミング・スーン』(高原での雲竜あかりとのデート)以降です。 ※夢で遭遇した[[シャンプー]]の要望は「シャンプーが死にかけた良牙を救った、乱馬を助けるよう良牙に頼んだと乱馬に言う」 「乱馬が優勝したら『シャンプーを生き返らせて欲しい』という願いにしてもらうよう乱馬に頼む」です。 尚、乱馬が死亡したため、これについてどうするかは不明です。 ※ゾーンメモリとの適合率は非常に悪いです。 ※エターナルでゾーンのマキシマムドライブを発動しても、本人が知覚していない位置からメモリを集めるのは不可能になっています。 (マップ中から集めたり、エターナルが知らない隠されているメモリを集めたりは不可能です) ※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。 ※[[第二回放送]]のなぞなぞの答えを全て知りました。 ※つぼみ、一条、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。 ※男溺泉に浸かったので、体質は改善され、普通の男の子に戻りました。 ※エターナル・ブルーフレアに変身できるようになりました。 【花咲つぼみ@ハートキャッチプリキュア!】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、加頭に怒りと恐怖、強い悲しみと決意、デストロン戦闘員スーツ着用(変身前)、キュアブロッサム変身、エターナルにお姫様だっこされている。 [装備]:プリキュアの種&ココロパフューム [道具]:支給品一式×5(食料一食分消費、(つぼみ、えりか、三影、さやか、ドウコク))、鯖(@超光戦士シャンゼリオン?)、スティンガー×6@魔法少女リリカルなのは、プリキュアの種&ココロパフューム(えりか)@ハートキャッチプリキュア!、プリキュアの種&ココロポット(ゆり)@ハートキャッチプリキュア!、こころの種(赤、青、マゼンダ)@ハートキャッチプリキュア!、破邪の剣@牙浪―GARO―、ガイアメモリ(T2ウェザー)@仮面ライダーW、まどかのノート@魔法小少女まどか☆マギカ、大貝形手盾@侍戦隊シンケンジャー、反ディスク@侍戦隊シンケンジャー、デストロン戦闘員スーツ(スーツ+マスク)@仮面ライダーSPIRITS、デストロン戦闘員マスク(現在着ているものの、着替え、『ハートキャッチプリキュア!』の漫画@ハートキャッチプリキュア!、ハートキャッチミラージュ@ハートキャッチプリキュア!、姫矢の首輪、大量のコンビニの酒 [思考] 基本:殺し合いはさせない! 0:良牙さんに抱えられているのがちょっとだけ恥ずかしいです…… 1:警察署に向かう。 2:この殺し合いに巻き込まれた人間を守り、悪人であろうと救える限り心を救う 3:南東へ進む、18時までに沖たちと市街地で合流する(できる限り急ぐ) 4:ダークプリキュア… 5:……そんなにフェイトさんと声が似ていますか? [備考] ※参戦時期は本編後半(ゆりが仲間になった後)。少なくとも43話後。DX2および劇場版『花の都でファッションショー…ですか!? 』経験済み  そのためフレプリ勢と面識があります ※[[溝呂木眞也]]の名前を聞きましたが、悪人であることは聞いていません。鋼牙達との情報交換で悪人だと知りました。 ※良牙が発した気柱を目撃しています。 ※プリキュアとしての正体を明かすことに迷いは無くなりました。 ※[[サラマンダー男爵]]が主催側にいるのはオリヴィエが人質に取られているからだと考えています。 ※参加者の時間軸が異なる可能性があることに気付きました。 ※この殺し合いにおいて『変身』あるいは『変わる事』が重要な意味を持っているのではないのかと考えています。 ※放送が嘘である可能性も少なからず考えていますが、殺し合いそのものは着実に進んでいると理解しています。 ※ゆりが死んだこと、ゆりとダークプリキュアが姉妹であることを知りました。 ※大道克己により、「ゆりはゲームに乗った」、「えりかはゆりが殺した」などの情報を得ましたが、半信半疑です。 ※ダークプリキュアにより、「えりかはダークプリキュアが殺した」という情報を得ましたが、上記の情報と矛盾するため混乱しています。 ※所持しているランダム支給品とデイパックがえりかのものであることは知りません。 ※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。 ※良牙、一条、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。 【一条薫@仮面ライダークウガ】 [状態]:疲労(大)、ダメージ(大、特に背部)、アマダム吸収、クウガマイティフォームに変身中、ビートチェイサー2000に騎乗 [装備]:ミカヤ・シェベルの居合刀@魔法少女リリカルなのはシリーズ、レミントンM870(8/8)@現実、ビートチェイサー2000@仮面ライダークウガ [道具]:支給品一式×8(食料一食分消費、(一条、五代、十臓、京水、タカヤ、シンヤ、丈瑠、パンスト、冴子、シャンプー、[[ノーザ]]、ゴオマ、速水、[[バラゴ]]))、警察手帳、プロトタイプアークル@小説 仮面ライダークウガ、ガイアメモリ(T2ルナ)@仮面ライダーW、細胞維持酵素×4@仮面ライダーW、克己のハーモニカ@仮面ライダーW、バッドショット+バットメモリ@仮面ライダーW、スタッグフォン+スタッグメモリ@仮面ライダーW、テッククリスタル(シンヤ)@宇宙の騎士テッカマンブレード、T2メタルメモリ@仮面ライダーW、水とお湯の入ったポット1つずつ、力の源@らんま1/2、スパイダーショック+スパイダーメモリ@仮面ライダーW、まねきねこ@侍戦隊シンケンジャー、滝和也のライダースーツ@仮面ライダーSPIRITS、黒子の装束@侍戦隊シンケンジャー、『戦争と平和』@仮面ライダークウガ、『長いお別れ』@仮面ライダーW、インロウマル&スーパーディスク@侍戦隊シンケンジャー、紀州特産の梅干し@超光戦士シャンゼリオン、ムカデのキーホルダー@超光戦士シャンゼリオン、双眼鏡@現実、ランダム支給品1~7(シャンプー0~1、ゴオマ0~1、バラゴ0~2、冴子1~3)、水とお湯の入ったポット1つずつ、バグンダダ@仮面ライダークウガ [思考] 基本:民間人の保護 1:警察として、また仮面ライダーとして人々を守る。 2:警察署に向かう為にも二人を先導する。 3:他に保護するべき人間を捜す 4:未確認生命体に警戒。どこかにいる[[ゴ・ガドル・バ]]もいつか倒す。 5:可能ならばデバイスを回収する。 6:凄まじき戦士の力をどうするか…… ※参戦時期は少なくともゴ・ガドル・バの死亡後です ※殺し合いの参加者は異世界から集められていると考えています。 ※この殺し合いは、何らかの目的がある『儀式』の様なものだと推測しています。 ※アマダムを吸収したため、仮面ライダークウガに変身できます。アマダム自体が強化されているため、ライジングフォームへの無制限の変身やアメイジングマイティフォームへの変身も可能です。 ※主催陣営人物の所属組織が財団XとBADAN、砂漠の使徒であることを知りました。 ※第二回放送のなぞなぞの答えを全て知りました。 ※つぼみ、良牙、鋼牙と125話までの情報を交換し合いました。 ※泉京水の支給品を回収しました 【共通備考】 ※メモリーキューブは村雨良の遺体にセットされました。 ※戦いの影響によって【E-7】エリアが荒れ地となりましたが、村雨良の遺体には何の影響もありません。 【支給品解説】 【ハートキャッチミラージュ@ハートキャッチプリキュア!】 血祭ドウコクに支給。 プリキュアパレスに封印されている伝説のアイテムで、先代のプリキュアと戦う試練を乗り越えることで入手できる。 強大な力を秘めており、こころの大樹や人のこころの花を見れる他、こころの大樹にワープすることができます。(ただし、制限がかけられているかもしれません) また、ポプリの持つ金色の種・スーパープリキュアの種をセットして、プリキュア四人が祈りを捧げればスーパーシルエットに変身することができます。 *時系列順で読む Back:[[覚醒(前編)]]Next:[[空虚]] *投下順で読む Back:[[覚醒(前編)]]Next:[[空虚]] |Back:[[覚醒(前編)]]|[[花咲つぼみ]]|Next:[[冒険者の物語]]| |Back:[[覚醒(前編)]]|[[一条薫]]|Next:[[冒険者の物語]]| |Back:[[覚醒(前編)]]|[[響良牙]]|Next:[[冒険者の物語]]| |Back:[[覚醒(前編)]]|[[血祭ドウコク]]|Next:[[双大将再会]]| ----

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