700 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/02/11(月) 00:53:35.60 ID:QG/6l6SC0
ガサゴソ・・・
男「・・・」
ドスン・・・
男「・・・」
ドン・・・
男「ふう・・・」
家「・・・こんにちは」
男「む・・・こんばんは、だな。・・・君は誰だ。私の家で何をしている。」
家「はじめまして、わたしはこの家自身よ。あなたに少し用があったから、人の姿で出てきたの。」
男「・・・む?」
家「いきなり言われても分からないわよね・・まあちょっと私の腕を見てて・・・ほら、壁抜けしてるでしょう。」
男「む・・・」
家「・・・あんまり驚かないわね。」
男「いや・・・」
家「まあいいわ、引っ越してきて早々悪いのだけれど、大事なことだからよく聞いて。台所下の配管が傷んでるの。このままほうっておいたら、数日待たずに破裂するわ。」
男「・・・ほう、だが入居前のチェックでは何もなかったようだが。」
家「業者が見落としたんでしょう。ろくに仕事もしてなかったわ。とにかく、明日にでも配管工を呼んで頂戴。じゃあ」
男「ちょっと待ってくれ・・・君はいったいなんだ。物の怪の類か。」
家「だからこの家自身よ。じゃあ配管のこと、よろしく。伝えたいことはそれだけだから。」
男「・・・」
家「ではおやすみなさい」
男「む・・・おや、すみ・・」
713 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/02/11(月) 01:10:07.87 ID:QG/6l6SC0
ガタンガタン・・・
男「・・・」
ドスン・・・
男「・・・」
ドン・・・
男「ふう・・・」
家「こんばんわ、三日ぶりね。」
男「む・・・また、君か。」
家「ええ・・・配管のこと、ありがとう。助かったわ。」
男「む・・・どういたしまして、なのか?」
家「・・・まああなたが住む場所でもあるわね。で、今日また出てきたわけなんだけど。」
男「・・また何かあるのか」
家「・・・私だって遊びでふらふら出てきてるわけじゃないわ。そのでかい机のことよ。」
男「む・・・これがどうかしたか。」
家「気に入らないわ。重すぎるもの。床が痛むし、せめて下の階に移動しなさい。」
男「しかし・・・私の家だろう。君にとやかく言われる筋合いはないはずだが・・・」
家「言ったでしょう。私自身の話よ。」
男「しかし・・・」
家「今すぐ移動するか、さもなくば捨てて頂戴。言いたいことはそれだけだから。」
男「・・・・」
家「では、おやすみなさい」
男「・・・おやすみ」
733 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/02/11(月) 01:32:02.76 ID:QG/6l6SC0
すう・・・
家「いい加減にして頂戴。」
男「・・・また君か。」
家「好きで出てきてるわけじゃないわ。あなたに任せていたら、何もかも無茶苦茶になっちゃう。」
男「・・・今度は何の様だ。」
家「リヴィングに盆栽なんか置かないで頂戴。床にボロボロ土を落とすし、まったく、センスの欠片も感じられないわね。」
男「しかし・・・殺風景だろう。」
家「だからってあの盆栽はないわ。何もないほうがましなくらいよ。他にもあるわ、ごみの出し方からお風呂の使い方まで気に入らないったらない。」
男「・・・私に出て行けといっているのか。」
家「・・・別にそこまで言うつもりはないわよ。ただ、もう少し私のことを考えてほしいだけ。」
男「・・・しかし私は君の事を何も知らんぞ。」
家「・・・まったく、仕方ないわね。分かったわ。お互い知り合う機会を作りましょう。」
男「知り合う機会?」
家「そう・・・そうね、毎週日曜日の夜にお茶会をしましょう。」
男「・・・なんだそれは。」
家「少しは歩み寄りなさいよね、曲がりなりにもパートーナーなんだから。では、今日はそれだけよ。おやすみなさい。」
男「む・・・おやすみ」
男「・・・・」
家「あ、忘れていたわ。」
男「・・・まだあるのか。」
家「紅茶はしっかり拘りなさいよ。お茶菓子も用意してちょうだい。では。」
男「・・・・」
男「・・・大変な家に越してきてしまった・・・」
740 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/02/11(月) 02:13:53.71 ID:QG/6l6SC0
家「さて、記念すべき第一回親睦会ね。ふむ・・・ダージリンね、あなたにしちゃ、悪くないわ。」
男「・・・で、またなにかあるのか。」
家「んー・・・今週は特にないわね。あまりここに居なかったじゃない。」
男「極力ここには寝に帰るだけにしていたからな。」
家「そんなに気を使わなくていいわよ。私だって住人が居るに越したことはないわ。」
男「・・・今までの君の態度を鑑みても、とてもそうは思えんが。」
家「執念深い男は嫌われるわよ。で、あなたは?聞きたいことが山ほどあるんじゃない?」
男「・・・君はいったいなんだ。」
家「あなたもしつこい人ね、この家自身よ。」
男「突飛過ぎて分からん。座敷童子のようなものか?」
家「まあ、平たく言えばね、この家の化身よ。神様と考えてもいいわ。あら、これなかなか美味しいわね。」
男「・・・君のような存在はどの建造物にもいるのか?」
家「そうね、例外もあるけど大方は。でも普段はみんな建物のまま寝ているし、人の姿を取ってみても万人に見えるわけではない。あなたは運がいいわ。」
男「・・・・そうは思えんが・・・」
家「・・・いやな人ね、まあいいわ。そして建物は人に使われてこそ、よ。あなたはここに住めるし、私は役目を全うできる。そういう意味でのパートナーよ。納得した?」
男「む・・・」
家「お互い利害は一致しているし、これからいい関係を築いていきましょう。そのためのお茶会でもあるし。これから、よろしくね。」
男「・・・よろ、しく・・・」
家「ところで、ひとついいかしら。」
男「・・・?」
家「私、洋菓子のほうが好きなの。大体紅茶に和菓子って、ほんとにセンスないわね。」
男「しかし、さっき美味しい美味しい頬張っていたじゃないか。」
家「いちいち細かい男ね、見た目の問題よ。来週のお茶会は洋菓子にしてよね。」
男「・・・」
家「じゃ、これから協力していきましょうね。ごちそうさま、おやすみなさい。」
男「ん・・・おやすみ・・」
男「・・・うまく丸め込まれてしまったようなきがする・・・」
最終更新:2008年02月11日 02:17