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ID:AGAJHBYS0

224 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 15:59:06.14 [昼] ID:AGAJHBYS0 (PC)
父 「がっははははははは!!!やはり酒はうまい!」
男 「親父はいっつも酒、酒、酒だな・・・・・・」
父 「せっかく一人息子が久しぶりに帰省してきたんだ!これが呑まずにいられるかー!」
男 「うわっ!酒くっせぇ・・・・・・」
父 「がっははははは!!・・・・・・男よ!俺には人生において3つの宝物がある!」
男 「またその話かよ・・・・・・」
父 「一つ目は『酒』!酒は最高だ!」
男 「はいはい」
父 「二つ目は『家族』!まぁ今はお前しかいないけどな!がはは!お前は俺の宝物だぞぉ~!?(ぎゅ~)」
男 「くっつくな!気持ちわりー!」
父 「そして三つ目は・・・・・・」
男 「『家』、だろ?知ってるよ」
父 「お!良く分かったな!さすが俺の息子だ!えらいぞ!」
男 「もう何千回と聞いてきたからな・・・・・・」
父 「この『家』が俺の三つ目の宝物だ!・・・・・・そんなに照れるなよ家~♪」
男 「また独り言か・・・・・・その『家』っていうのは本当にいるのかよ・・・・・・」
父 「俺にしか見えないんだよなーこれが!でもお前の生まれる前からいるんだぜ?」
男 「はいはい、そーですか。小さい頃本当にそれ信じてていじめられたことあるんだぞ俺・・・・・・」
父 「信じるも何も本当にいるもんなー!な~、家~?」
男 「親父、呑みすぎだ・・・・・・」

225 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 16:11:45.38 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
父 「ほら!お前の横に今いるんだぜ!?ははは!おいそんな呆れ顔すんなよ家!」
男 「はいはい、女の子だろ?知ってるよ。ずっと成長してないんでしょ」
父 「そうそう!何だお前、見えてるんじゃないのか~?」
男 「いっつも親父が言ってたからだよ!俺は幻覚なんかみねーよ」
父 「がははは!おい家!言われてるぞ!がははは!おいおい、家、俺に怒るなよ俺に!」
男 「まったく、付き合ってらんねー・・・・・・」

父 「くっくっく・・・・・・そりゃな?俺だって最初はびびったぞ?知らない女の子が家にいるんだからな」
男 「しかも周りの人間には見えてないときた」
父 「そう!母ちゃんにも見えてなかったからな!新築なのに呪われた館なのかと思ったよ!」
男 「たまったもんじゃないな」
父 「でもよ!やっぱ幸せだったぜ!この家に住めてな!がははは!家!大好きだぞ!」
男 「そーかいそーかい。今日は呑みすぎたな親父」
父 「がはははは!・・・・・・今にお前も分かるさ。ずっと一緒にいる存在がな。家はお前の姉ちゃんだよ」
男 「姿の見えない幻の姉ちゃんかよ」
父 「がははは!俺が死んだら男をよろしく頼むぞ家!」

226 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 16:20:18.10 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
父 「ふぅ・・・・・・いいか男?家はやっぱり持つもんだよ」
男 「いきなりなんだよ」
父 「家は・・・・・・嫁とはまた違う、人生のパートナーだ」
男 「ふぅん・・・・・・」
父 「俺は家がいてくれたから、・・・・・・あらゆる苦境も乗り越えてこれたと思う」
男 「・・・・・・」
父 「照れるなよ、家w」
男 「おい、せっかくいい話だったのに、そこでまた独り言かよ」
父 「だって家が照れてるんだもんよw あっ・・・・・・家どっかいっちまったw」
男 「はいはい幻覚幻覚・・・・・・ふーん、自分の家ねぇ・・・・・・」
父 「そうだ。ま、どうも『家』が見えるのは結構レアみたいだから、俺は特別幸せなのかもなぁw」
男 「幻覚を見る人間のどこが幸せなんだか」
父 「言ってくれるな息子よ!お前にも見せてやりたいよ、『家』のあの可愛らしい姿を・・・・・・!」
男 「ほんと昔っから親父は変人だな」

228 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 16:29:23.04 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)

男 「おとーさん!おとーさん!いかないでよぉ!」
父 「ちょっとだけお留守番しててくれよな?な?」
男 「ひとりはやだよぉ!こわいよぉ!」
父 「ひとりじゃない。ほら!『家』もいるから」
男 「・・・・・・でもぼくには家ちゃん見えないもん!」
父 「大丈夫大丈夫。見えなくてもちゃ~んと一緒にいてくれてるから」
男 「・・・・・・ほんと?」
父 「ああ。ほんとだ」
男 「・・・・・・じゃあ、だいじょうぶ!家ちゃん!一緒におるすばんがんばろう!」
父 「よし。・・・・・・それじゃあ頼んだぞ、家。男~、頑張るんだぞ~」
男 「うん!」

―――――――


父 「なんてこともあったよな~」
男 「純真無垢な子どもを騙しやがって・・・・・・」
父 「騙してないって!ほんとにいるんだからよ!」
男 「・・・・・・どーだか」
父 「信じろよ!おい!家も笑ってないでなんとか言ってやれ!」
男 「親父の幻覚が何言っても聞こえねーよ俺には・・・・・・」

230 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 16:39:40.52 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
父 「結局『家』は家主にしか見えないんだ」
男 「ふーん」
父 「もしお前がこの家の家主になったら、『家』が見えるようになるかもな・・・・・・」
男 「ふーん・・・・・・」
父 「・・・・・・俺が死んだら、この家はお前にやる」
男 「は?おいおい、ちょっと待てよ」
父 「俺に財産と呼べるものは家しかない」
男 「でも俺今東京の方だし、こっちに住むことは出来ねーよ」
父 「お前は東京で暮らせばいいさ。ただ、この家はお前にくれてやるよ」
男 「いやくれてやるよって言っても・・・・・・」
父 「売り家にしても、貸家にしても、・・・・・・潰して土地を売っても構わん」
男 「・・・・・・どうせ親父が死ぬのはまだまだ先だよ」
父 「・・・・・・かもなw がっははははは!酒が足りん足りん!もっと呑もう!」
男 「・・・・・・はぁ、もう若くないんだから」
父 「おらー!家も呑めー!(だばだばだば)」
男 「おっ、おい!床に撒いていいのか!?」
父 「おうおう!いいんだよ家も呑むから!どんどんぶちまけ・・・・・・あ、ごめんなさい・・・・・・」
男 「・・・・・・幻覚に怒られるなよ」

234 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 16:50:21.59 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
男 「それじゃあ東京戻るわ」
父 「おう」
男 「結構忙しいからさ、そんな頻繁には帰ってこれないかも・・・・・・」
父 「俺は暇人だからいつでも帰ってきていいぞw」
男 「そーですかw」
父 「ん・・・・・・」
男 「ん?どうした親父?」
父 「・・・・・・家がさ、『頑張って』だってよ」
男 「・・・・・・そーかいw はいはい、頑張りますよ、『家』姉さん」
父 「はは、それじゃあ・・・・・・いつでも俺達が迎えてやるからな」
男 「親父と・・・・・・『家』ね。・・・・・・そんじゃあ、またいつか帰ってくるわ」
父 「おう。またな!頑張れよ!」
男 「うぃ。家と仲良くな!」

235 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 17:05:26.91 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)

半年後

(プルルルルル)
男 「ん・・・・・・実家か。珍しいな。(ピッ)もしもし?」
 『・・・・・・』
男 「・・・・・・ん?もしもし親父?どうかしたか?」
 『・・・・・・』
男 「・・・・・・酔ってんのか?用事ないなら切るぞ?」
 『・・・・・・』
男 「・・・・・・切るぞー。(プッ)・・・・・・なんだったんだ。仕事帰りで疲れてるってのに・・・・・・」
(プルルルルル)
男 「・・・・・・切って速攻かよ。・・・・・・(ピッ)だから何の用だよ」
 『・・・・・・』
男 「・・・・・・無言ならかけてくんなっつーの!(プッ)・・・・・・はぁ」
(プルルルルル)
男 「・・・・・・ああもう!(ピッ)用事あるなら話せよ親父!!こっちは疲れてんだよ!イタズラならやめろ!」
 『・・・・・・』
男 「(プッ)酔ってやがる!次かかってきたら・・・・・・」
(プルルルルル)
男 「だああああああああ!!!(ピッ)もしもし!?今からそっち行くからな!覚悟しとけよ親父!(プッ)」
男 「無言電話の連発とかなんちゅー胸糞悪いイタズラだ・・・・・・!叱りに叱ってやる!」

237 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 17:18:27.81 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
(キキーーー!バタン)
男 「あーくそ!親父に高速道路料金請求してやる!・・・・・・おい、家の明かりついてんじゃねーか!」
男 「親父め・・・・・・(ピンポーン、ガララ)親父入るぞ!まったく、今日という今日は怒ったぞ俺は!」
男 「おい親父!さっきの無言電話は一体どういう・・・・・・って親父?」
父 「・・・・・・」
男 「・・・・・・おい、親父?寝てるのか?」
父 「・・・・・・・・・・・・おぉ・・・・・・」
男 「・・・・・・お、おい!何だこれ!血じゃねーか!おい!親父!」
父 「・・・・・・お、ぉ?ああ。男か・・・・・・おかえり・・・・・・」
男 「こ、これ吐血か!?きゅ、救急車呼ぶぞ!?(ピッピッピッ)」
父 「あ?・・・・・・ああ・・・・・・いや、いいんだ」
男 「はぁ!?」
父 「俺ぁ・・・・・・ここで死にたい」
男 「馬鹿言ってんなよ!あ、もしもし!救急車お願いします!住所は○○です!はい!血を吐いてます!すぐに!はい!」
父 「・・・・・・あぁ・・・・・・なんでお前いるんだ・・・・・・?」
男 「親父から無言電話が何回もきて・・・・・・!それで来たら親父が倒れてたんだよ!」
父 「・・・・・・あ?・・・・・・あぁ、そうか・・・・・・家、か・・・・・・」
男 「もうしゃべるな!今救急車来るから!」
父 「・・・・・・もうだめだわ。死ぬ場所はここにしたいんだ・・・・・・」

239 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 17:29:12.80 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
男 「はぁ!?」
父 「酒と・・・・・・家と・・・・・・お前がいる場所で死にたい・・・・・・」
男 「馬鹿いうな!俺はまだ親の死に目を見るには早ぇよ!」
父 「はぁ・・・・・・お前がきてくれたことは本当にありがたい・・・・・・ありがとな、家・・・・・・」
男 「おい・・・・・・!?」
父 「ああ~・・・・・・いい気分だ・・・・・・俺ぁ幸せだ~・・・・・・」
男 「待て!待て待て!もう少しで救急車来るから!」
父 「・・・・・・俺が死んだら・・・・・・家はお前のものだ・・・・・・かわいがってやってくれ・・・・・・」
男 「おい・・・・・・!おい・・・・・・!」
父 「・・・・・・家よぉ!俺ぁ幸せだったぞぉ!ゲホッ!最期の最期まで幸せだぁー!」
男 「しゃべるなって!」
父 「・・・・・・へへ、感謝の言葉ぐらい言わせろよ息子・・・・・・すまんなぁ?こんな父親でよ・・・・・・」
男 「・・・・・・!」
父 「・・・・・・わりぃ、終わりだ・・・・・・・・・・・・ありがとな・・・・・・」
男 「親父っ!なあ親父!?」
父 「・・・・・・」
男 「おい!・・・・・・おいおいおい!たまんねーよ!何でこんな急なんだよ!おい!起きろよ!」
父 「・・・・・・」

家 「――――――」

(キシッ・・・・・・)

241 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 17:42:58.07 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
坊さん 「それでは私はこれで・・・・・・」
男 「はい。どうもありがとうございました」

男 「・・・・・・はぁ。やっと全部終わったか・・・・・・」
男 「・・・・・・まったく、急に死ぬなよなオイ。俺忙しいんだからよ」
男 「本当は喪主なんかやれるほど暇じゃねーんだよ・・・・・・」
男 「・・・・・・ふぅ~、どうだよ。俺の葬式で安らかに成仏できたか?」
男 「・・・・・・何やってんだ俺は。はぁ、荷物まとめるか・・・・・・」

 『・・・・・・』

男 「!」
家 「・・・・・・」
男 「・・・・・・き、君は・・・・・・?」
家 「・・・・・・私、見えるの?」
男 「あ、ああ・・・・・・」
家 「・・・・・・」
男 「・・・・・・君・・・・・・もしかして・・・・・・『家』、か・・・・・・!?」
家 「・・・・・・そう」
男 「ほ、本当だったのか・・・・・・!親父が死んで・・・・・・俺が家主になったのか・・・・・・!」
家 「・・・・・・そういう、ことだね」
男 「は、はは・・・・・・親父の言ってたことは・・・・・・本当だったのか!は、ははは!」

242 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 17:54:04.49 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
男 「はっ!はははは!親父!分かった!親父の言うことは正しかった!」
家 「・・・・・・」
男 「はは・・・・・・そうか、本当だったのか・・・・・・」
家 「・・・・・・?」
男 「食卓囲んでた時も・・・・・・!テレビを見てたときも・・・・・・!」
男 「お袋に叱られていたときも、親父と遊んでいたときも、庭で花火をしたときも!」
家 「・・・・・・」
男 「ずっと・・・・・・!一緒にいたんだ・・・・・・!」
家 「・・・・・・」
男 「あの日一人で留守番した時も・・・・・・!本当に一緒にいてくれたんだ!」
家 「・・・・・・」
男 「うぅっ・・・・・・!うおぉ・・・・・・親父っ・・・・・・!俺にも見えた・・・・・・!うぅっ!見えたよ・・・・・・!」
家 「・・・・・・泣いてる?悲しいの?」
男 「うれしいんだよ!俺にもやっと・・・・・・君を見ることが出来た!ずっと・・・・・・見たかった!」
家 「・・・・・・」

245 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 18:06:58.06 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
男 「つまり、この家が半分くらい出来上がったときからいるわけ?」
家 「そう。父には私が出来上がっていく途中で既に会ってたの」
男 「なるほど・・・・・・じゃあ俺が生まれるずっと前からだな」
家 「そうなるね」
男 「・・・・・・なんだかずっと一緒にいたのに、今、初対面って言うのは不思議な感じがする」
家 「私はずっと男を見てたよ。男が赤ちゃんのときからずっと・・・・・・」

家 「あのときも―――」








――――――

父 「(ギィィ)ほら!今の男の身長はこれ!」
男 「わあ!ちょっと伸びた!やったぁ!」
家 「ちょっと!柱を傷つけないでよ!まったくもう・・・・・・!」
父 「堅いこというなってw ほら、家もやってみ?」
家 「私はいいよ・・・・・・!」
男 「なになに?おとーさん、家ちゃんもやるって言ってるの?」
父 「ああ、らしいぞ!もう男のほうが高いかなぁ~?」
家 「むかっ!まだ私のほうが高いよ!計ってみてよ!」
父 「ははっ!どれどれ・・・・・・」

247 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 18:16:08.00 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
――――――

男 「・・・・・・ぐすっ」
父 「どうした男?」
男 「あのね、ひっく!友くんにね、ひっく!家ちゃんのこと話したらばかにされたぁー・・・・・・」
父 「む・・・・・・それはいかんな。『ちゃんと家ちゃんはいるんだぞ!』と言い返してやりなさい」
家 「あのね・・・・・・子どもに無理言っちゃだめだよ・・・・・・」
父 「でも家はいるじゃないか!間違ってない!な、男!」
男 「うん!ぼくには見えないけど、家ちゃんはいるよ!だからちゃんと言い返してやったよ!」
父 「おお、えらいぞ!それでこそ我が息子だ!」
家 「はぁ・・・・・・不器用な人間だなぁ」
父 「男!俺たち家に褒められてるぞ!」
男 「やったぁ!」
家 「だめだこりゃ・・・・・・でも・・・・・・ま、ありがとね。父、男・・・・・・」
父 「おう!まかせろ!」
男 「おう?まかせろ?」

251 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 18:51:50.50 [夕方] ID:AGAJHBYS0 (PC)
――――――

男 「親父、俺東京行くから。東京の大学に入る」
父 「なっ!?なんでだよ!その辺の大学でいいだろう!」
男 「いや、東京に行く」
父 「地元の大学出たほうが地元の就職には有利なんだぞ!?」
男 「就職も東京でする」
父 「はっ、はぁあああああああ!?この家はどうするんだよ!継ぐやつがいなくなるじゃねーか!」
家 「・・・・・・」
男 「・・・・・・そんなのしらないよ。俺は東京に行きたいんだ」
父 「だめだ!お前は俺の一人息子なんだ!絶対この家を継がせる!!!」
家 「父!ちょっと待って!」
男 「継ぐも継がないも俺の勝手だろ!俺は継がない!」
父 「この馬鹿野郎っ!!殴られないと解からんか!!!」
家 「やめて!」
父 「止めるな家!こいつはお前なんかどうでもいいと言ってるんだぞ!!」
男 「また『家』かよ!!親父の妄言はもう聞き飽きたんだよ!!!」
父 「なんだと・・・・・・!?男ぉ!お前!」
家 「だめ!だめだよ父!」
男 「とにかく俺は曲げないから!(バタン!)」

家 「男はずっと前から『東京に行きたい』って考えてたんだよ」
父 「・・・・・・」
家 「東京で出版社に就職したいみたい。うちに来た友達と話してた」
父 「でも・・・・・お前はどうなる?俺が死んだら・・・・・・」
家 「私は家だよ?住民が幸せになることが一番大切」
父 「・・・・・・」
家 「住民が幸せになってくれれば、私はどうなったって幸せなんだよ?」
父 「・・・・・・」

253 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 19:07:52.18 [夜] ID:AGAJHBYS0 (PC)
――――――

父 「そうか!そうかそうか!いやあよかった!はいはい、それじゃ!」
家 「どうしたの?」
父 「男のやつ、○○社受かったってよ!」
家 「ほんとっ!?やったぁ!」
父 「ああ!これで息子も独り立ち、親としては一安心だ・・・・・・」
家 「父親業お疲れさま」
父 「おっと、お疲れ様にはまだ早いぞ?」
家 「?」
父 「まだお前がいるからなw」
家 「ひどーい!私は父の『パートナー』なんだからねっ!?」
父 「はははっ!悪い悪い!」
家 「もうっ・・・・・・いい加減子ども扱いはやめてよ!」
父 「でも見た目がそれじゃあw ・・・・・・まぁ、とにかくこれで完全に俺とお前だけだ」
家 「そだね」
父 「・・・・・・なぁ、俺が死んだら、お前はどうなる?」
家 「・・・・・・さあね。売り家、借家なら新しい家主のパートナーだし、潰されたら死んじゃうかな?」
父 「うへぇ、浮気されるか死亡かよ。死にづらいわ~」
家 「頑張って生きてよ」
父 「はぁ・・・・・・でもまあ死んだ後のことは俺には関係ないかなw」
家 「ひっどい。最低」
父 「がはははは!」

256 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 19:19:03.24 [夜] ID:AGAJHBYS0 (PC)
253
――――――

父 「ふっふ~ん♪」
家 「ご機嫌だね。男が帰ってくるのがそんなにうれしい?」
父 「そりゃあ俺の一人息子だからな!あ、男に嫉妬するなよ?」
家 「しないわよ馬鹿」

男 「ただいまー」
父 「おう!お帰り!久しぶりだな!」
家 「おかえり」

父 「・・・・・・―――この『家』が俺の三つ目の宝物だ!」
家 「・・・・・・ば、ばか。毎度毎度恥ずかしいのよその文句は・・・・・・」
父 「そんなに照れるなよ家~♪」
男 「また独り言か・・・・・・その『家』っていうのは本当にいるのかよ―――・・・・・・」

父 「・・・・・・―――ほら!お前の横に今いるんだぜ!?ははは!おいそんな呆れ顔すんなよ家!」
家 「久しぶりに息子に会ったからってはしゃぎすぎだよ・・・・・・」
男 「はいはい、女の子だろ?知ってるよ。ずっと成長してないんでしょ」
父 「そうそう!何だお前、見えてるんじゃないのか~?」
男 「いっつも親父が言ってたからだよ!俺は幻覚なんかみねーよ」
家 「げ、幻覚・・・・・・」
父 「がははは!おい家!言われてるぞ!がははは!」
家 「うっさい!そもそも父がそんなに呑んだくれだから信用してくれないのよ!ばかっ!」
父 「おいおい、家、俺に怒るなよ俺に!」
男 「まったく、付き合ってらんねー―――・・・・・・」

257 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 19:26:13.78 [夜] ID:AGAJHBYS0 (PC)
――――――

父 「・・・・・・―――でもよ!やっぱ幸せだったぜ!この家に住めてな!がははは!家!大好きだぞ!」
家 「ぶっ!な、なにいってんの唐突に!」
男 「そーかいそーかい。今日は呑みすぎたな親父」
家 「ほんと呑みすぎ・・・・・・男からも言ってあげてよ・・・・・・」
父 「がはははは!・・・・・・今にお前も分かるさ。ずっと一緒にいる存在がな。家はお前の姉ちゃんだよ」
家 「・・・・・・男が小さい頃はお姉ちゃんとして頼ってくれたのになぁ・・・・・・」
男 「姿の見えない幻の姉ちゃんかよ」
家 「今じゃこれだ・・・・・・」
父 「がははは!俺が死んだら男をよろしく頼むぞ家!―――・・・・・・」

父 「・・・・・・―――家は・・・・・・嫁とはまた違う、人生のパートナーだ」
男 「ふぅん・・・・・・」
家 「(今日はえらく饒舌ね・・・・・・息子が帰ってきてそんなにうれしいのかしら)」
父 「俺は家がいてくれたから、・・・・・・あらゆる苦境も乗り越えてこれたと思う」
男 「・・・・・・」
家 「・・・・・・///」
父 「照れるなよ、家w」
家 「う、ううううるさいうるさい!何恥ずかしいこと言っちゃってるのよ!ばかっ!ばかばかばかっ!」
男 「おい、せっかくいい話だったのに、そこでまた独り言かよ」
父 「だって家が照れてるんだもんよw」
家 「父!あんた私をおちょくってるでしょ!もう知らないっ!」
父 「あっ・・・・・・家どっかいっちまったw―――・・・・・・」

258 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 19:32:37.46 [夜] ID:AGAJHBYS0 (PC)
――――――

父 「・・・・・・―――おう。またな!頑張れよ!」
男 「うぃ。家と仲良くな!」

父 「・・・・・・ふぅ、いっちまったか」
家 「さびしそう。露骨に」
父 「ん、そうか?はは・・・・・・いや、さびしいよ」
家 「・・・・・・」
父 「ちょっと期待したんだけどな・・・・・・」
家 「私のこと?」
父 「ん・・・・・・まぁな。もしかしたら継いでくれるかも・・・・・・って」
家 「父もなかなか往生際が悪いね」
父 「うっせぇw」
家 「・・・・・・いいんだよ。男は、自分の道を歩んでる」
父 「そうだな・・・・・・さて、後は俺がどこまで生きれるか、だな!」
家 「せいぜい頑張って」

260 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 19:46:55.84 [夜] ID:AGAJHBYS0 (PC)
――――――

父 「ゲフッ・・・・・・ああ、だめだわ・・・・・・家、」
家 「父!だ、大丈夫!?」
父 「いや、これはいよいよだめだわ・・・・・・うっ・・・・・・思った異常に早かったな・・・・・・」
家 「ね、ねぇ!?いやだよ!もっと・・・・・・・もっと一緒に生きようよ・・・・・・!ねぇ!」
父 「はぁ・・・・・・男に・・・・・・会いたい」
家 「!」

男 『もしもし?』
家 「男!父が大変なの!今すぐ・・・・・・!今すぐきて!」
男 『酔ってんのか?用事ないなら切るぞ?』
家 「男!お願い・・・・・・!今だけでも私の声届いて・・・・・・!!」
(プツッ、ツーツーツー)
家 「うぅっ!(ピッ)」
男 『(ガチャ)無言ならかけてくんなっつーの!』
家 「違うの!父が大変なの!!死んじゃう!!助けてよ男!!」
(プツッ、ツーツーツー)
家 「お願い・・・・・・!お願い・・・・・・!(ピッ)」
男 『(ガチャ)用事あるなら話せよ親父!!こっちは疲れてんだよ!イタズラならやめろ!』
家 「あ・・・・・・ああ・・・・・・!!男・・・・・・お願い!・・・・・・父が・・・・・・父が・・・・・・!!」
(プツッ、ツーツーツー)
家 「あああああ・・・・・・!お願い・・・・・・!(ピッ)」
男 『(ガチャ)もしもし!?今からそっち行くからな!覚悟しとけよ親父!(プツッ)』

家 「あっ・・・・・・!あっ、あっ!ああ!父!来るよ男が来るから!」
父 「・・・・・・あぁ・・・・・・」
家 「ねぇ!?父!?おきててよ!!もうすぐ男が来るよ!?」
父 「・・・・・・」

263 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 19:54:15.25 [夜] ID:AGAJHBYS0 (PC)

男 「・・・・・・」
家 「・・・・・・私はいつでも・・・・・・男の家族のそばにいたんだよ」
男 「・・・・・・」
家 「父が最期に幸せだって言ってくれたとき、私すごくうれしかった」
男 「・・・・・・」
家 「住人の幸せこそが、私の幸福だから」
男 「・・・・・・」
家 「男は・・・・・・どうするの?」
男 「え?」
家 「私のこと。私には住めないんでしょ?」
男 「う、うん・・・・・・」
家 「・・・・・・私のわがままを言うとね。私はもっと住人を幸せにしたい」
男 「・・・・・・そうか」
家 「あなたたち家族の家じゃなくなってしまうけど・・・・・・」
男 「でも、多分親父もそれを望んでいると思うよ。親父は『家』に幸せになって欲しいと思っていたから」
家 「・・・・・・」

265 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2008/08/24(日) 20:09:52.59 [夜] ID:AGAJHBYS0 (PC)
263

男 「どうぞどうぞ、こちらで靴をお脱ぎください・・・・・・」
客女 「結構和風な玄関なのねー」
客男 「ふーん・・・・・・いい雰囲気」
男 「どうぞゆっくりご覧になってください」
客男 「部屋はいくつあるの?」
男 「2階もあわせて5LDKです」
客女 「素晴らしいじゃない!ここに決めちゃおうかしらー?」
客男 「いや、まだ早いだろw でもいい物件だなー、これはキープかな?」
男 「ははは」
客女 「どれどれリビングは~・・・・・・っと、おお!窓大きい!」
客男 「おー!すげー!縁側もある!こういうのほしかったんだよね!」
客女 「縁側で花火とか?いいねー!」
男 「縁側で花火は最高ですよ。いい思い出になります」
客男 「んー・・・・・・でもリビングはちょっと狭いかなあー・・・・・・」
客女 「えー?まぁこんなもんじゃない?」
客男 「でも最終的には5人家族くらいを狙ってるからー」
客女 「5人・・・・・・あ、ぴったりじゃない!?ほら、いち、にー、さん、しー・・・・・・」
男 「あ・・・・・・人数は・・・・・・」
客女 「ん?」

男 「人数は一人分余分に見たほうがいいかもしれません・・・・・・」
客男女 「?」

終わり
最終更新:2008年08月24日 20:12