ITIL Foundation V3 ~Keywords~
サービスストラテジ
どういった顧客に、どのようなITサービスを、どのように提供するかといったITサービスの戦略を立てる。
財務管理プロセス
ITサービスの供給に必要な資金を確保し、コストパフォーマンスの良いITサービスを供給できるように支援する。
需要管理プロセス
事業活動パターン(※)を把握し、ユーザの需要に対して適切にITサービスを供給できるように調整する。
サービスデリバリの品質が低下する恐れのあるキャパシティ不足を予防する。
※事業活動パターン(PBA:Pattern of Business Activity)
事業活動の作業負荷の様子。
事業の静的構造ではなく動的構造を定義するもので、顧客、サプライヤ、パートナー、他の利害関係者との相互作用を含みます。
事業活動パターンは、ITサービス・プロバイダが事業活動を理解し、ITサービスの計画立案に使用される。
人材、プロセス、アプリケーション等の顧客資産はPBAを生む。
サービス・ポートフォリオ管理プロセス
ITサービスが事業に提供する価値を、サービス・ポートフォリオ(※)として明確化する。
これを使用することによって、他者が提供するITサービスと比較したときの強み、弱み等を明確化できる。
サービス・ポートフォリオ管理の目的は、サービスの定義、需要と供給の分析、サービスの実現の承認、サービスの公表をすることと、
サービスマネジメントへの投資を統制し、提供する価値を管理することである。
※サービス・ポートフォリオ
サービス・プロバイダによって管理されている全てのサービス。
ITサービスのライフサイクルの管理に使用される。
全てのサービスのライフサイクル全体の管理に使用されており、下記3つのカテゴリに分類される。
・サービス・パイプライン(提案または開発中)
・サービス・カタログ(稼働中または展開可能)
・廃止済みサービス
プロセス・オーナー
プロセスが目的に適しているようにする事を責務とする。
プロセスとその測定基準に対する後援・設計・変更管理および継続的改善がプロセス・オーナーの責任に含まれる。
プロセス・マネージャと兼任する事が多いが、大規模な組織の場合はプロセス・オーナーとプロセスマネージャの役割は分離される事がある。
プロセス・マネージャ
プロセスの運用管理を責務とする。
プロセスの実行・モニタリングおよび報告に必要とされる全ての活動の計画立案と調整がプロセス・マネージャの責任に含まれる。
サービス・オーナー
※Continual Service Improvement
基本となる技術コンポーネント、プロセス、または専門的な能力がどこに存在するのかにかかわらず、特定のITサービスの提供に対する説明責任を持つ。
財務マネージャ
※Service Strategy
ITサービス・プロバイダの予算業務・会計業務および課金に対する要件の管理を責務とする。
サービスカタログ
※Service Strategy
稼働中で顧客やユーザに提供済みのITサービスと、事業部門への提供が承認され導入準備中のITサービスについての情報(展開に使用可能な情報も含む)をまとめた文書。
サービス・カタログ・マネージャ
※Service Design
稼働中の全てのITサービスに関する情報を格納する
データベースまたは構造化された文書(=サービス・カタログ)を管理し、サービス・ポートフォリオ内の情報と整合するようにする。
★サービス・ポートフォリオとサービス・カタログの違いに注意すること。
ビジネス・ケース
※Service Strategy
主要な支出項目の正当性を説明するもの。
コスト・利点・代案・課題・リスク・起こりうる問題などに関する情報を含む。
サービスレベル・パッケージ
※Service Strategy
特定のサービス・パッケージに対して定義されたレベルの有用性および保証。
各SLPは、特定の事業活動パターンのニーズを満たすように設計されている。
サービス・パッケージ
※Service Strategy
顧客への提供が可能な一つのITサービスについての詳細な説明。
サービス・パッケージには、サービスレベル・パッケージおよび一つ以上のコアサービスと補助サービスが含まれる。
有用性
※Service Strategy
特定のニーズを満たすために、製品またはサービスによって提供される機能性。
「何を行うか」と言い換えられることが多い。
確定版メディア・ライブラリ(DML:Definitive Media Library)
※Service Transition
全ての
ソフトウェア構成アイテムの、承認済み確定版バージョンを安全に保存する一つまたは複数の場所。
ライセンスや文書などの関連するCIが保存される場合もある。
DML内の全てのソフトウェアは、変更管理とリリース管理によってコントロールされ,構成管理システムに記録される。
リリース用に許可できるのは、DMLからのソフトウェアだけである。
CSI活動の測定基準の種類
・技術測定基準
可用性やパフォーマンスなどといった、ITサービスを構成するコンポーネントとアプリケーションの測定基準のこと。
CPU使用率やメモリ使用量などを測定する。
・プロセス測定基準
サービスマネジメントのプロセスの有効性や効率性を測る測定基準のこと。
重要成功要因(CSF:Critical Success Factor)や重要業績評価指標(KPI:Key Performance Indicator)を測定する。
CSF:プロセス・プロジェクト・計画・ITサービスを成功させるために不可欠な要因のこと。
KPI:プロセス・ITサービス・活動を評価するときに使用する指標のこと。
・サービス測定基準
エンドツーエンドのサービスの結果のこと。コンポーネントの測定基準を使用し、サービス測定基準を算出する。
ITサービスを利用する事業部門に直接影響を与える、ITサービスのエンドツーエンドのパフォーマンス・品質を測定する。
サービスデザインの記載内容
サービスストラテジで明確にしたITサービスの戦略やビジネスの要件をもとに、ITサービスを設計する。
戦略的目標をサービスとサービス資産のポートフォリオに変換する設計の原則と方法を記載し、サービスおよびプロセスの設計と開発の手引を提供する。
サービストランシジョンの記載内容
サービスデザインからサービスデザイン・パッケージを受け取り、事業のニーズを満たすかどうかテストし、本番環境に展開し、実際任用で利用できる状態に移行させる能力の開発と改善に関する手引を提供する。
サービスオペレーションの記載内容
サービス運用管理のプラクティスを具体化し、合意済みのレベルで顧客やユーザにITサービスを提供できるようにする。
顧客およびサービスプロバイダに価値を提供できるよう、サービスの提供とサポートにおける有効性と効率性を達成するための手引を提供する。
継続的サービス改善の記載内容
ITサービスやITサービスを支えるプロセスや機能の改善を行う。
サービスのより良い設計、導入、及び運用によって、顧客にとっての価値を創出・維持するための手引を提供する。
継続的サービス改善モデル
※Continual Service Improvement
継続的サービス改善で使用するデミング(PDCA)・サイクルのモデル。
以下のサイクルを使用し繰り返し改善し続けることで、品質を向上させることを目標とする。
①ビジョンは何か?
②我々はどこにいるのか?
③我々はどこを目指すのか?
④どのように目標を達成するか?
⑤我々は達成したのか?
⑥どのようにして推進力を維持するか? (→①へ戻る)
フォロー・ザ・サン
※Service Operation
サービスデスクの組織の構造の一つ。
24時間365日サービスを提供するために、世界中のサービスデスク、サポートグループを活用する構造のこと。
可用性(Availability)
サービス、コンポーネント及び構成アイテムが、必要とされたときに、合意された機能を実行する能力のこと。
有効性(Effictiveness)
プロセスの精度と正確さ、及び「正しい結果」をもたらす能力のこと。
効率性(Efficiency)
プロセスの生産性、その速度、スループット、及びリソース利用率のこと。
有用性(Utility)
特定のニーズを満たすために、製品またはITサービスによって提供される機能性のこと。
「何を行うか」と言い換えられることが多い。
SLA(Service Level Agreement)
※Service Design
ITサービス・プロバイダと顧客との間で文書化された合意書であり、重要なサービス目標値と両当事者の責任を定義したもの。
マルチレベルSLA
SLAの頻繁な更新を避けるため、企業レベル・顧客レベル・サービスレベルの3つに体系を分けることにより、SLAを使いやすいサイズに維持することを可能にしたSLA。
企業レベル:殆ど更新されることのない基本コンセプトとしてSLAを定義。
顧客レベル:特定の顧客に対するサービスの内容について定義。
サービスレベル:特定の顧客に対する特定のサービスの内容について定義。
OLA(Operational Level Agreement)
SLAを実現させるために、ITサービス・プロバイダと同じ組織内でサービスの提供を支援する他部署と結ぶ合意。
SDP(Service Design Package)
ITサービスとその要件のすべての側面について、ライフサイクルの各段階を通じて定義する文書のこと。
新しいITサービス、重大な変更、またはITサービスの廃止のそれぞれに対して作成される。
インソーシング
ITサービスの提供に必要なリソースを社内組織から調達する。
コソーシング
インソーシングとアウトソーシングを組み合わせた形態。
複数の外部組織と社内のリソースの両方を使用し、ITサービスを提供する。
アウトソーシング
ITサービスの提供に必要なリソースを外部組織から調達する。
パートナーシップ/マルチソーシング
複数の組織が戦略的に連携し、専門能力や市場機会を相互に活用する。
アプリケーション・サービス供給
ネットワーク経由で利用可能なアプリケーションを、アプリケーション・サービス・プロバイダ(ASP)と正式に協定を結んで提供する。
ビジネス・プロセス・アウトソーシング
コストの安い地域にビジネス・プロセスや機能をソーシングする。
ナリッジ・プロセス・アウトソーシング
BPOから一歩進めて、特殊で高い専門能力が必要なビジネス・プロセスや機能をソーシングする。
ナレッジ管理の構造(DIKW)
Data(データ):個別の事実であり、整理されていない単なる事実のこと。生データ。
Information(情報):データを整理したもの。
Knowledge(知識):情報を分析して分かる傾向のこと。
Wisdom(知恵):いくつかの知識をもとに意思決定する際の「人間の知恵」のこと。
変更の種類
通常の変更
変更管理の一般的な原則が適用される変更のこと。
変更の登録、フィルタリング、アセスメント、認可、スケジュール化、レビュー、クローズの段階を経て処理される。
標準的な変更
ビジネスへの影響度、リスク、コストが少なく、変更管理によって手順が確立された(承認済みの)変更のこと。
事前承認済みの手順や作業指示書に従って作業し、決められた手順以外の変更は行わない。
緊急の変更
ビジネスに大きな影響を与えており、早急に変更しなければならない変更のこと。
通常、ITサービスの障害を復旧する場合にだけ使用する。
RACIモデル
役割と責任を定義するために使用されるモデル。
Responsible(実行責任者):業務の遂行に責任を持つ人物(一人または複数)
Accountable(説明責任者):個々の活動の説明責任者(一人のみ)
Consulted(協議先):相談を受け、意見を求められる人物(複数)
Informed(報告先):進捗状況についての最新情報を常に受け取る人物(複数)
運用コントロール
ITインフラストラクチャの日常的な運用活動を実施したり、イベントを監視したりする。
- コンソール管理
- ジョブ・スケジューリング
- バックアップ、リストア
- 印刷の出力の管理
- 保守活動の実施
サービス・レビュー
先期のサービスの達成度、翌期の課題を前もって確認するために、顧客と定期的に開催するミーティングのこと。
SLR(Service Level Requirement)、サプライヤとの契約や合意、SLA違反と弱点などをレビューする。
事業に対する価値を評価するために用いられるもの
- 改善
- 利点
- 投資収益率(ROI:Return On Investment)
投資に対して予測される利益の測定方法の一つ。投資の正味利益を、投資した資産の正味資産で割ったもの。
- 投資価値(VOI:Value On Investment)
投資に対して予測される利益の測定方法の一つ。財務上の利益と無形の利益の両方を考慮する。
ガバナンス
「方式と戦略が実際に遂行されること」、「必要なプロセスに正しくしたがって処理されること」を確実にする事。ガバナンスには、役割と責任の定義、測定と報告、特定された課題を解決するための実施が含まれる。
サプライや契約データベース(SCD:Supplier Contracts Database)
サプライや契約のライフサイクル(契約の確立、契約の更新、終了、契約の評価など)を通して、サプライヤの管理に使用するデータベースまたは構造化された文書のこと。
サプライヤとの全ての契約の主要な属性が格納されている。
サービス知識管理システムに含まれているべきである。。
測定する理由
① 依然行った意思決定が戦略とビジョンどおりになっているかという妥当性を確認するため。
② 設定した目標値を満たすための指示といった、活動の方向性を定めるため。
③ 一連の行動方針、措置が必要であることの正当性を、実際の証拠や証明を伴って示すため。
④ 後続の変更や是正措置など、介入が必要なポイントを特定するため。
情報セキュリティ方針
情報セキュリティ管理に対する組織のアプローチを統制する方針のこと。
情報セキュリティの全領域を網羅し、事業とITのトップマネジメントにより認可される。
含まれるもの
文書分類方針・アクセスコントロール方針、パスワードコントロール方針
ウィルス対策方針・リモートアクセス方針・電子メール方針
IT資産の使用および誤用に関する方針
ITサービス、情報、コンポーネントへのサプライヤのアクセスに関する方針
機能とは
特定の業務に専念し、決められた成果に対して責任を負う専門組織のこと。
パフォーマンスや成果の達成に必要な能力やリソースを持つ。
プロセスとは
外部の顧客または利害関係者にとっての価値を直接的または間接的に作り出す成果を生むためにリソースと能力を組み合わせて実施する調整された活動の集まりのこと。
構成管理システム(CMS:Configuration Management System)
ITサービス・プロバイダの構成データの管理に使用される一連のツール、データベースのこと。
構成アイテムの情報だけでなく、インシデント、問題、既知のエラー、変更、リリースの情報を含める。
また、従業員、サプライヤ、場所、事業部門、顧客、ユーザに関するデータも含まれる場合がある。
サービス性
サードパーティ・サプライヤが持つ契約条件を満たす能力のこと。
サードパーティ・サプライヤとの契約には、構成アイテムに対して合意したレベルの信頼性、保守性、可用性が記載される。
最終更新:2012年09月11日 10:36