日向:(こうして2人でこの景色を見るのも
今日で最後か…)
(色々と無茶苦茶なサバイバル生活だったけど
改めて振り返ってみると…楽しかったな。)
(なんだかんだ言っても、
人が死ぬような事態にはならなかったし。)
西園寺:うーん、ようやくこの変な島から
出られるんだねー。
南の島ってのも悪くなかったけど
今は早く帰って畳でごろごろしたいよ。
あとは和服と和菓子と温泉!
広いお風呂にゆっくりつかりたーい!
ねぇ、日向おにぃは?
帰ったらまず何がしたい?
日向:そうだなぁ、色々あるけど…
西園寺が踊るところを一度くらいは
ちゃんと見てみたいかな。
西園寺:え…?
そ、そうなんだ。
けど、おにぃみたいな凡夫に
わたしのすごさが分かるか怪しいもんだよね。
まぁ、どうしてもって言うなら
考えてあげない事もないけどさ。
日向:そうか。
じゃあ楽しみにしてるな。
西園寺:………………
…おにぃは優しいね。
やっぱり…ちょっと似てるな…
日向:(似てるって…誰の事だろう?)
日向:ええと、まさか…おばあちゃんとか?
西園寺:あはは!
もしそうだったら最悪だよね!
あ、でもそれならそれで
代わりにいびり倒すのも楽しかったかもね!
日向:(…違ったみたいだ。)
日向:実はお母さん…とか?
西園寺:もしそうだったら完全無視だね。
才能もないのにプライドばっか高いとか
存在してるだけ酸素の無駄遣いだよ。
日向:(違ったみたいだな…)
日向:もしかして、お父さんか?
西園寺:…あの人だけはずっとわたしの味方だったから。
って言っても、しょせん婿養子だから
なんの発言権もないんだけどね。
でも隣にいるだけですごく安心できて…
そんなとこも似てるかも…
日向:そうか…
俺だって何があろうと西園寺の味方だぞ。
いつだってそばにいてやるから。
西園寺:日向おにぃ…
あ…当たり前…でしょおおおお!
おにぃは…えくっ…
わたしの…ひっく、奴隷なんだから…
日向:わかったから…もう泣くなって。
西園寺:はぁ?
こんなの…えっく…嘘泣きだし。
おにぃは相変わらず…
ちょろいんだから…
日向:はいはい。
まぁ俺の前でいくら泣いたって
別にかまわないけどな。
西園寺:…泣かないもん。
日向:え?
西園寺:わたし…もう、泣かない。
泣いてたって誰も守れないから…
日向おにぃもお父さんも…
日向:守るって…お前が俺を?
西園寺:そーだよ?
そんなの決まってんじゃーん。
だって、奴隷を守るのは主人の役目だからね。
だから、約束…
破ったら、ただじゃおかないから…
日向:ああ…わかってるよ。
どうせ俺はお前の奴隷だからな。
西園寺:そーだよ?
一生わたしから離れちゃダメなんだからねっ!
えへへ…おにぃ、大好きだよ!
日向:(…はしゃぐ西園寺の頭をなでる。)
(家柄や伝統、西園寺が背負っているものを
俺はまだちゃんと理解できていない)
(それでも、俺の存在が少しでも
その支えになれたらいいと思う。)
(お互いがお互いの”希望”になれたらいいと…
その想いは俺の心をあたたかく満たしていった…)
最終更新:2012年08月06日 16:17