モンゴル料理概説


ここではモンゴル人の伝統的な食生活について解説する。ここでいうモンゴル人とは雄大な草原で遊牧生活を送る、イメージ通りのモンゴル人を指している。しかし現代でも、また地域によってかなり違いがあるとはいえ、この伝統的な食生活のあり方は活きている。



伝統的なモンゴル料理は、「赤い料理」と「白い料理」に大別される。

遊牧を生業とするモンゴル人にとってメインとなる食材は、家畜の肉と乳製品であった。この肉のことを「赤い料理」と呼び、乳製品のことを「白い料理」と呼ぶ。以下ではこの赤・白に分けて各種料理を紹介する。

赤い料理

肉料理のこと。モンゴル5大家畜と言えば、羊、ヤギ、牛、馬、駱駝であるが、とくに羊と牛はよく食用に用いられる。その他については地域によって食す場合と食さない場合がある。ここに含まれない鶏肉や豚肉、魚肉なども典型的なモンゴル料理としてはあげられにくいが、地域・家庭によって食用にされることもある。

チャナスンマハ(lit. 茹でた肉)

日本語では「塩茹で肉」「骨付き肉」ということになろう。主として羊肉、牛肉を塩茹でにしたもの。豪快に手でとって食べることから、我々の「骨付き肉」のイメージに近い。一人一本づつナイフがあり、これで肉を切り取り、また骨からはがして口に運ぶ。中国地域では味噌をつけて食されることもあるが、基本的には我々の「白ご飯」にあたる主食であり、あまり調味料を使わないのが基本である。レストランなどでは食べやすいように切り分けられて振舞われることもある。ゆで汁はお粥や麺にも使われるが、それは「その他」の項で述べよう。

歓迎として羊一頭屠って解体する場合は、その内臓も一緒に振舞われる。その各部位にそれぞれ料理名がついているわけではないので、基本的にはチャナスン・マハに含めて考えて良いだろう。

ゲデス(腸詰)

チャナスン・マハと同時に振舞われる臓物系のものの一つに、ゲデス(腹、腸)がある。解体の際に中に肉または血をつめて腸詰(ソーセージ)にする。やはり一般には腸のままの姿で長いソーセージが出てくるので、各自ナイフで切って食べる。しかしレストランではこれを5mm~1cm程度に切り、さらに炒めたりして出てくるものもある。ソーセージという名称で他の臓物と比して我々に大変馴染み深いものであるが、とくに血をつめたものは是非味わっておきたい。

ホルホグ(石焼羊)

羊の肉内部に焼け石を入れ、内側から蒸し焼いたもの。歓迎の際などに振舞われる豪華なものに位置づけられる。地域的にはモンゴル国の習慣であるらしい。肉を食べるときに実際に使った焼け石を手にして暖を取ったりもする。

焼き肉

「焼き肉」という日本名では誤解を生じやすいが、羊の丸焼きや脚を焼いたものを指す。丸焼きはやはり歓迎に振舞われるものであり、地域的には内モンゴルの習慣であるようだ。薄切り肉を鉄板の上で焼いたものではなく、火であぶったものである。

ボーズ

モンゴル餃子、モンゴル蒸し餃子などと訳されうる。小麦粉の皮を用いているという点で、近隣の漢民族から齎されたものである可能性は高い。ボーズという名称も、漢語「包子」から来ている。丸く真ん中で包みあげている形状や、旧正月など祝いのときに食されること、皮が厚く主食として口にされることなど、日本でイメージする餃子よりは漢民族のそれに近い。

各地域、各家庭、レストランごとに味が異なるいわゆる家庭の味である。地域により醤油や酢をつけて食べることもある。皮に包まれた肉汁が美味であり、これをこぼさない様にうまく食べたい。これをお茶に入れたり、麺とともにスープに入ったりなどいろいろなバリエーションがある。

ホーショール

揚げ餃子と訳されることがある。一般的に形状は日本の餃子に似るが大きめであり、また包み口がねじれのようになっている。これも地域により形や味が異なるが、学生食堂などではより薄めのボリューム感の少ないものもよく売られている。内モンゴル地域ではあまり見られないが、「太陽餅」「月亮餅」などの名前で供されるものに近い。日本人にとっての人気メニューの一つ。

干し肉

伝統的に茹で肉などは特別な日に食すものであった。冬を越えるための方法として、秋口に屠った羊の肉を干し肉として保存するということが行われた。現在でも土産モノとして日本人の口に合うものであるが、国境を越えられないので注意したい。酒のつまみ、おやつとしてそのまま食べてもいいが、あらゆる料理のダシとしても使われる。

白い料理

牛乳による乳製品のこと。その精製過程でさまざまな乳製品が作り出されるが、そのほとんどは日本語に訳すと「モンゴルのチーズ(のようなもの)」と訳すしかないものばかりである。またそれぞれ地域によって呼称が大きく異なる場合もある。初めて口にすると口に合わないことも多く、お土産としてはあまりお勧めできない。ただ、食べているうちにハマってくるものでもある。

スーテーツァイ/スーテーチェー

モンゴルミルクティーなどと訳されうる。乳製品というよりはミルクティなのだが、乳製品を含む最も馴染みやすいものであるので、ここに挙げた。詳しくは飲むも参照されたい。

アーロール

ホロート

ズーヘー/ジューヘー


その他

もちろん実際には上に上げたものの他にも、現代ではさまざまな食文化がある。ここではあくまで典型的なものに的を絞ってこれを概観する。とくに内モンゴル地域のものについては、「内モンゴル料理」を参照のこと。

主食

  • 羊肉麺
  • 羊肉粥
  • ツォイワン
  • 炒米
  • その他

野菜系

  • ニースレルサラダ

関連

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2012年11月16日 02:12
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。