◆
《ここでニュースをお伝えします。》
《東京都練馬区在住の女性の行方が分からなくなっています。》
◆
最近は女が行方不明になる事件が多い。
毎日そんなニュースばかりだ。若い奴が何人も失踪しているらしい。
捜索を続けてるって言ってたけど、どうせもう生きてないだろ。
他人事でしかない事件に対し、俺は内心毒づく。
夜の街。暗がりに電飾の光が輝く。
焼鳥。魚介。焼肉。ビルから生えた居酒屋の看板が主張を繰り返す。
がやがや、がやがや―――客引きだの、喧騒だの、喧嘩だの。何がなんだか分からない。カオスとしか言いようが無い。街は酷く混濁している。
目の前の大きな道路では、自動車が忙しなく行き交っている。高額バイト、ホストクラブ。訳のわからない宣伝を掲げたトラックが幾度と無く通り過ぎていく。
赤信号。蟻の群れのように夥しい数の人間達が、じっと待ち続けている。
大都会、新宿。歌舞伎町の横断歩道。
横断歩道の先、大通りの奥に見える映画館のてっぺんからは“怪獣の頭部模型”が顔を覗かせる。
そいつは俺達をじっと睨んでいる。この薄汚い街を彷徨う虫けら達を、傲岸に見下ろしている。
だから俺も、そいつを遠目から睨んでいた。
まるで神様みたいだ。天上から俺達を眺めて、大物ヅラしている。
誰のせいでこんな運命になったと思ってるんだ。なあ、おい。
聞いてんのかよ、神様。
信号が、青に変わった。
それと同時に、人々は歩き出す。
サラリーマン共が酔っ払って喋り散らかしている。
チャラチャラしたカップルが手を繋いでいる。
地味な風貌のおっさんがとぼとぼした足取りで進んでいる。
夜遅いってのに、女子高生がスマホ弄りながら前も見ずに歩いてやがる。
ゲーセン帰りの悪ガキ達は何やら大騒ぎしながらくっちゃべってる。
ガラの悪そうな輩は肩を怒らせて図々しく闊歩している。
有象無象に等しい奴らの隙間を縫うように、俺はひとり横断歩道を歩く。
誰も俺を気に掛けたりなんかしない。
俺が何処へ向かうのか、何を思っているのか。そんなのきっと、誰も興味を持たない。擦れ違う人々には僅か数秒だけ一瞥される。ほんの一瞬だけ、そいつらの世界に俺が現れる。そしてすぐに視界から排除される。
俺の存在なんて無かったかのように、やれ夕飯だの仕事だの家族だの遊びだの自分達の話へと戻っていく。
視線を前へと向けた。
人混みの中に紛れる、金髪に染めた若い女の背中を見つめた。
気取ったハイヒールを履いて、扇情的なミニスカートを揺らしながら歩いている。
俺はただ、そいつを舐め回すように見つめていた。
頭痛がする。
脳内が掻き回される。
何か分からない。
ただ、漠然と気持ちが悪い。
俺は一体、何をしているんだろう。
こんなところで燻ってる場合じゃないだろ。
やるべきことは、とっくに識っている筈なんだから。
俺の中で、誰かが囁き続けていた。
◆
《警察によりますと、女性は大手IT企業に勤めている28歳の会社員とのことです。》
《女性は午後7時過ぎに勤務先である代々木の会社を退勤したのを最後に連絡が途絶えています。》
◆
ガキの頃、親父のクレジットカードを勝手に使った。
なんの為に?激レアのプレミア消しゴムを手に入れる為だ。
当時小学校のクラスで消しゴム集めが流行っていた。皆こぞって珍しい代物を見せびらかしていたし、俺もそれに乗っかっていた。
顔も運動も学業も、何の特技も無ければ美点も無い。親しい友人は自宅で飼っていたオカメインコの『まる』だけ。
そんな俺が輝ける唯一のチャンスだったから、収集にしがみついていた。
だからレアな消しゴムを幾つも持っていたクラスメイトが妬ましかった。そいつは金持ちの家の子供だったから、経済力という基盤があった。
たかだか細やかな小遣いしか持っていない俺が敵う相手じゃない。でも、勝ちたかった。だってそれくらいしか俺が活躍できる舞台は無かったから。
だから俺は親父のカードをこっそり盗んで、超激レアの消しゴムをオークションで落札した。10万も費やして。
そいつは永遠に届かなかった。いつまで待っても送られてこなかった。
騙された。どうすればいいか分からなかったし、カードの明細を見た親父からは散々殴り倒された。
俺がそんな風に奔走して、失敗している最中に、いつの間にかクラスでの消しゴムのブームは去っていた。
無価値。無意味。無駄骨。そんな言葉が当時の俺の脳裏を過ぎった。
年月を経て、俺は平凡な社会人になった。
ゲーム制作会社に就職した。ゲームが好きだったから、何となく。その程度の理由だった。
他社のゲームを研究することを会社から指示され、俺は片っ端からアプリに手を付けた。
そんな中で、俺は動物収集のゲームにハマった。レアな動物をガチャで集めていく、人気のアプリだ。
些細なきっかけだった。子供の頃にドードーのレア消しゴムを持っていたから、そのアプリにもSSRのドードーがいたから。その程度の理由だったが、気がつけば没頭していた。
何気なく覗いたユーザーランキング。
そこで“オークション出品者”と再会した。
一字一句、全く同じ名前だった。
小学生の頃、あの激レア消しゴムを出品していた奴だった。
ランキング最上位にそいつは居た。
そいつが同一人物である確証なんて何処にもない。それでも俺の脳内には、電撃が迸っていた。
これは、因縁だ。こいつと決着を付けなくちゃならないんだ。俺はそんな根拠のない確信を掴んでしまった。
俺は課金を繰り返した。ランキング上位に登りつめ、過去の因縁にケリを付けるために。そしてSSレア絶滅動物“ドードー”を引き当てるために。
長い時間――4年も費やした。課金総額、500万以上。
既に自身の異常には気付いていた。それでも止められなかった。
仕事の内容なんて頭に入らない。
周囲の呼び声もどうだっていい。
周りが酷く煩わしい。
うるさい。やかましい。鬱陶しい。
イライラする。苛立ちが抑えられない。
俺の魂は、因縁に囚われていた。
そもそも、これが因縁と呼べるのかも怪しい。
だってこんなの、俺の妄執でしかないんだから。
俺が悪い。俺の自業自得。俺がおかしい。
全部分かっている。知っている。
それでも、後戻りできなかった。
俺はどうなっているんだろうか。
答えは分かっている。ただの病気だ。
頭がおかしいから、このザマになっているんだ。
ある日、俺はついにドードーを引き当てた。
涙が出るくらい嬉しかった。死んでもいいくらいに喜んでいた。
その直後。余所見をしていた俺は、猛スピードで走るタクシーに轢かれかけた。
スマホが吹き飛んだ。
スマホが破損した。
翌日、携帯屋に走った。
バックアップが取れた分は復旧できた。
ゲームのデータも残っていた。
ドードーは消えていた。
破損する直前の記録が、まるまる吹き飛んでいた。
時を同じくして、子供の頃から可愛がっていたペットの『まる』もこの世を去った。
この感じ、前にもあったな。
その時の俺はぼんやりとそう思っていた。
無価値。無意味。無駄骨。
お前って、本当につまらない人生だな。
どうせ何もやることなんか無いんだろ。
だからこんな下らないことに熱中して、何もかも失うんだよ。
俺の中で誰かが囁いてくる。
それはきっと、他でもない俺自身だ。
24年も生きていると、何となく分かってくることがある。
それは、俺という人間が所詮モブキャラに過ぎないということだ。
無料のガチャを回して出てくる、雑魚みたいなノーマル。
いてもいなくても変わらない。
何の価値も無い、カス同然の輩だ。
◆
《警察は女性が何らかの事件に巻き込まれた可能性もあると見て、捜査を続けています。》
《それでは、次のニュースです――――》
◆
走った。
走って、走って。
ただただ、走り続けて。
必死になって、追いかけていた。
歌舞伎町の更に向こう側。
薄暗いラブホテル街の景色は、視界から一瞬で通り過ぎていく。
人通りの少ない路地は、僅かな街灯にのみ照らされていて。
俺は、そんな風景の中を死物狂いで走っていた。
はぁ、はあ、はぁ、はぁ―――。
呼吸が乱れる。
息が荒れる。
身体が草臥れていく。
胃が、肺が、痛めつけられていく。
それでも俺は、走る。
なにかに取り憑かれたように。
走って、走って、走って。
追いかける。
追い続ける。
彼女を。
目の前で逃げる、あの女を。
気取った金髪の女は、必死に走っている。
先程まで履いていたハイヒールは脱げている。
裸足のまま、恐怖に突き動かされているようだった。
そんな女を、俺はぜぇぜぇと息を切らさんばかりの勢いで追いかける。
雑踏。
路地。
暗闇。
都会の片隅が、残像になっていく。
脳内物質が、バチバチと弾ける。
夜風が、身体を通り過ぎていく。
何でこんなことをしているんだ。
何がしたいんだ。
理由なんてよくわからなかった。
いや、理由なんか必要なかった。
走って、追いかける。
ただそれだけの運動。ゲームと同じ。
ゴールへと向かって走る。何も変わらない。
そう作られているから、そうする。
それ以外の意味なんて無い。
俺はただ、あの女を捕まえたかった。
今の俺なら、何でもできる気がしたから。
走馬灯のように、過去の記憶が蘇る。
今までの失敗。快楽。挫折。絶望。
何もかもが、あべこべになっていく。
鮮明に切り替わる視野の中で、俺は一つの悟りを得ていた。
あの時消しゴム集めに執着したのは必然じゃないし、あの時必死に課金していたのも因縁のためじゃない。
俺がちっぽけな見栄に狂っていた。子供の頃の失敗を延々と引きずっていた。
何の関係もない偶然を、あたかも宿命であるかのように結び付けていた。
ただ、それだけのことだった。
分かっているのに、もう歯止めが効かない。
だから、走った。
走った。走った。必死に走った。
走って。走って、走って。
走って―――――――。
女を、路地裏の袋小路に追い込んだ。
女が何かを叫ぼうとした。
俺は咄嗟に女を押し倒した。
飛び掛かるように、馬乗りになる。
じたばたと女が足掻く。
拳を振り下ろした。
女の顔面に拳骨がめり込む。
ぐしゃりと、鼻に直撃した。
容易くへし折れたのが分かった。
鼻血塗れになって女が喚く。
迷わず女の口を左手で押さえつけた。
もがくように声を漏らす女。
窒息しかねない勢いで、俺は女の口と鼻を覆い尽くす。
手のひらに血の暖かさが滲む。
身に付けていた鞄のポケットを、忙しなく開いた。
ナイフを取り出した。
右手で柄を握り締めた。
女の表情は、見なかった。
見たくもなかった。
手のひらの裏で悲鳴を上げてるのも、聞きたくなかった。
俺が追い詰めたのに。
俺がこんな目に遭わせてるのに。
何故だが、吐きそうな気分になっていた。
聖杯戦争。マスター。サーヴァント。令呪。界聖杯。奇跡の願望器。
頭の中で、様々な情報が渦巻く。
さっきまでの不快感が、落ち着いていく。
嫌悪と恐怖が、感じたことのない高揚と興奮によって塗り替えられる。
これから俺は戦う。
ここでやらずに、どうする。
ゲームのチュートリアルなんだ。
これから殺していくのだから。
そうだ。俺の革命は、ここから再び始まる。
かつて叶わなかった反抗。
俺の殻を破るための儀式。
つまり――――『田中革命』だ。
俺は、ナイフを振り下ろした。
女の額に、刃物が突き刺さる。
どくどくと赤い血が溢れていく。
脳髄を掻き回すような、肉の感触が伝わってくる。
一瞬、声を上げそうになった。叫び出しそうになった。
それでも、俺は声を押し殺した。
勢いよく、刃物を引き抜いた。
そして。再び、振り下ろす。
反復作業のように、何度も、何度も。
◆
《東京都千代田区においても、女性が失踪しているとの情報が入っています。》
《警察によりますと、女性は今月×日に――――》
◆
どれくらいの時間が経ったのかも分からない。
何回刺したのかも覚えていない。
俺はただ、無我夢中になっていたのだから。
女の亡骸を、呆然と見下ろす。
ミキサーで引き裂かれたように、顔面は原型を失っている。
徹底的に切り刻まれ、滅多刺しにされ、赤黒く染まっている。
壮絶な外傷によって、右目の眼球が飛び出しかけている。
もはや誰なのかも判別がつかない。
元々の美貌だって台無しで、何もかもぐちゃぐちゃだ。
そんな状況を前にして、俺は呑気にナイフの血をハンカチで拭う。
いそいそと拭き終えてから、赤く汚れたハンカチを鞄へと突っ込んだ。
ふう、と一息を吐いて。
返り血まみれになったパーカーを、俺は呆然と見下ろす。
汚してしまった。どうしようか。そんなことをぼんやりと考えていた。
初めて殺人を犯したというのに。
恐怖で雁字搦めになりかけていたのに。
それなのに、頭は冷めきっている。
脳内に刻まれた未知の情報に対する昂揚感が、俺の感覚を麻痺させていた。
俺はとっくに何かがぶっ壊れた。
再び、俺の脳裏に過去の記憶が蘇る。
消しゴム集め。
アプリのガチャ。
何もない人生を、常に一瞬の快楽で埋め合わせようとし続けた。
実像の無い、虚しい快楽だった。
何をしても満たされない。
だからずっと、目先の欲求にしか執着できなかった。
掴めばすぐに消えてしまう。そんなちっぽけな快感、勝利。
なんの意味もない。ほんの十数秒だけ得られる、麻薬のような快楽。
その一瞬だけ、必死に扱いて射精した時のような愉悦感に到れる。
そう、一瞬だけ。
それが終わった後は、虚脱感。
そして脳内でいつもの言葉が反復する。
―――――で?それが何?
虚しさだけが込み上げてくる。
努力とか、経験とか、そうして掴めたものなんて一つもない。
パチンコで散々金をスッた直後に得られた、なけなしの景品。それと同じだ。
何の得にもならない。結局は何の糧にもならない。無駄。無駄無駄。ただただ、無駄なだけ。
だから俺は、いつまでも満たされない。
だけど、もし。
神様がこの世にいるとして。
奇跡のような巡り合わせを、気まぐれに与えてくれたら?
そう思った、その矢先。
俺は迷わず、視線を上げた。
暗闇の宙に、そいつは漂っていた。
それは一枚の写真だった。
まるで風船みたいに浮かぶ写真の中から、白髪の老人が身を乗り出していた。
そう、写真から飛び出しているのだ。
まるで幽霊か何かのように。
「……誰だよ、あんた」
どう見ても異様な光景だったのに、俺は不思議と冷静だった。
「きさまがマスターじゃな……!」
老人は俺の言うことを無視して、一人で呟く。
俺は、右手の甲を見つめた。見覚えのない紋章がそこに刻まれている。
これが、参加者としての資格。そういうことらしい。
「よく聞け若造ッ!『聖杯』さえ掴めばあらゆる願いが叶う!富や名声だろうと心の平穏だろうと全て望みのままなのだッ!!」
そして―――老人は、畳み掛ける。
熱の籠もった口調で、何処か狂的に。
「わしは『わが息子』に必ず聖杯を掴ませると誓った……そのためには若造、マスターであるきさまの存在も不可欠!」
悲しみ。苦悩。怒り。誓い。
様々な感情を入り混じらせて、老人は喋り続ける。
「きさまのサーヴァント―――『わが息子』は人を殺さねばならないサガを背負っている!社会が息子を追い詰める限り!英霊の座という檻に閉じ込められる限りッ!息子に“真の平穏”は訪れない……」
この年寄りの事情なんか、何も知らない。
こいつが何を言いたいのかも、理解できない。
興味も無い。だけど、感じ取れることはある。
多分、こいつは―――俺の味方だということだ。
「『聖杯』を手に入れる為に戦え!!どこまでもハングリーになって自らの『欲望』を追い求めるのだッ!!」
老人は、俺に対してそう告げて。
そして直後に、夜の影に溶け込むように姿を消した。
再び、静寂がその場を支配した。
俺と死体だけが、そこに取り残される。
まるで案山子のように、その場に立ち尽くして。
暫くの間を置いてから、俺は鞄の中を覗き込んだ。
ナイフと共にしまいこんだ“それ”を、虚ろに見つめた。
ペットの『まる』を埋葬したあの日―――俺は偶然にも力を手にした。
拳銃。人の命を奪うための道具が、公園に埋められていた。
何でこんなところに。誰がやったのか。そんなのはどうだって良かった。
そして、この現状。聖杯戦争。勝ち残ればどんな願いでも叶う。
あの拳銃を手にした直後、俺はこの世界に迷い込んでいた。
ピンチの時こそ最大のチャンスが訪れる。追い詰められれば必ず救済措置がある。ゲームとはそういうものだ。そうプログラムされている。
神様。クソみてえな神様。
アンタに言ってんだよ。
これが、俺への救済措置ってわけか?
思う存分、今までの元を取り戻せって。
そういうことだよな?
おい、神様。これも運命か?
勝ち残れ。今度こそ価値のあることをしろ。
そういうお告げなんだよな?
神様よ。
ボンッ。
唐突に耳に響く、小さな爆発音。
視線を、ふいに下ろした。
いつの間にか、死体は跡形もなく消え去っていた。
俺はただ呆然と立ち尽くして。
そして路地の暗がりへと溶け込んでいく“人影”を見た。
その手に握り締められていたのは、“女性の右手”だった。
死体の手首を切り取り、持ち帰った。
残された肉体は木っ端微塵に吹き飛ばした。
そんな常軌を逸した状況を目の当たりにし、俺の脳裏で“あのニュース”がフラッシュバックした。
ああ、そういうことかよ―――。
俺は笑みが止まらなかった。
これから人を殺していくんだ。
だから俺のもとに、“殺人鬼”がやってきたんだ。
なあ、神様。
最高じゃねえか。
◆
《東京都在住、20代女性の行方が――――》
《先日未明、30代女性が消息を――――》
《銀行員の××さん(29)と連絡が取れず――――》
《大学生の××××さん(20)が現在――――》
《この女性を探しています ×月×日を最後に行方不明》
《#拡散希望 妹の行方がわからなくなっています》
《次のニュースです。会社員の女性が―――》
《朝のニュースをお伝えします》
《ただ今入ったニュースです》
《この人を探しています!》
《この人を探しています!》
《この人を探しています!》
《この人を探しています!》
《この人を探しています!》
《この人を探しています!》
◆
【クラス】アサシン
【真名】吉良吉影@ジョジョの奇妙な冒険
【属性】中立・悪
【パラメーター】
筋力:E 耐久:D 敏捷:E 魔力:C 幸運:A 宝具:C
【クラススキル】
街陰の殺人鬼:A
気配遮断の変容スキル。
他主従から魔力の気配を一切探知されず、またマスターによるステータスの視認をシャットアウトする。
例え町中を堂々と闊歩しようと、彼はサーヴァントとして認識されない。
戦闘態勢に入っている最中のみスキルの効果が完全解除される。逆を言えば『猟奇殺人』や『暗殺』としての行動ならば、例え宝具を発動しようともスキルの効果が持続する。
【保有スキル】
精神汚染:B+
吉良吉影は狂気を飼い慣らし、抑え難い欲望と共に日常へと溶け込んできた。
同ランク以下の精神干渉を無効化するが、時に“美しい手を持った女性”に対する殺人衝動に駆られる。
追跡者:B
「殺人の標的」「自身の正体を探ろうとする者」を直接認識した際、以後その対象の気配を探りやすくなる。また対象に危害を加える際には先手を取りやすくなる。
このスキルは宝具『血が絆を分かつとも』で召喚された“写真のおやじ”にも共有される。アサシンと“写真のおやじ”のどちらかが標的を直接認識さえすれば、もう片方も本スキルの恩恵を受けられる。
窮地の運命:A
ピンチに陥った際にチャンスが訪れるスキル。
戦闘突入時に自身の幸運値判定にプラス補正が掛かり、更にアサシンの真名を知った相手に対しては攻撃や逃走におけるクリティカル判定の成功率が倍増する。
【宝具】
『彼女は殺戮の女王(キラークイーン)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~4 最大補足:1
傍に立つ精神の化身『スタンド』。近距離パワー型に分類され、「筋力:B 耐久:D 敏捷:C」相当のステータスを持つ。
触れたものを爆弾に変える能力を持つ。爆弾に変えられるものに制限はないが、爆弾化出来るのは一度に一つまで。
起爆方法は「地雷のように何かが触れることで起爆する接触型の爆弾」か「スタンドの右手のスイッチで起爆する着火型の爆弾」のどちらかを指定可能。
また、爆弾に関しても「爆弾自体が爆発するタイプ」と「爆弾に触れた者が爆発するタイプ」のいずれかを指定できる。
一度爆弾の設定を決めたら爆破させるか一旦爆弾化を解除するまで変更出来ない。
爆弾化した物質に外見や構造面での変化は起きず、「爆弾」の判別は困難。
スタンドビジョンのダメージは本体にフィードバックされ、キラークイーンが破壊されればアサシンは消滅する。
『彼女を愛した猫草(ストレイ・キャット)』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大補足:5
キラークイーンの腹部に収納されている植物と猫の融合生物『猫草』。
周囲の空気を自在に操り、空気を固めて防御壁にしたり空気を砲弾のように発射することなどが出来る。
吉良吉影はこの特性を戦闘に利用し、“爆弾化した空気弾”を飛び道具として射出することで攻撃を行った。
生前とは異なり猫草はキラークイーンと完全に一体化している為、如何なる宝具やスキルを用いても奪取することは出来ない。
『血が絆を分かつとも(アトム・ハート・ファーザー)』
ランク:D+ 種別:召喚宝具 レンジ:- 最大補足:-
アサシンの現界と共に自動発動する宝具。
実父である吉良吉廣、通称“写真のおやじ”が使い魔として召喚され自律行動をする。
“写真のおやじ”は「気配遮断:B」「単独行動:A+」のスキルを保有し、偵察や隠密行動を得意とする。またアサシンやマスターと念話で交信することが可能。
『殺人鬼・吉良吉影の幇助をしていた逸話』を体現する姿であること、サーヴァントに満たない存在故に異能が完全に再現されなかったことから、写真の中に閉じ込められた状態で現界している。
そのため彼自身がスタンドを行使することは不可能。スタンド使いを生み出す『矢』も所持していない。
また単独行動スキルを備えているものの、アサシンが消滅すれば“写真のおやじ”も消滅する。
【weapon】
スタンド『キラークイーン』。一般人にはスタンドを認識できないが、サーヴァントとマスターにのみ視認される。
なお界聖杯における吉良吉影は“川尻浩作に成り代わった後”の側面が色濃く出ている為、第2の爆弾『シアーハートアタック』は使用不可能。
時空そのものに干渉する『バイツァ・ダスト』も再現されていない。
【人物背景】
吉良吉影は静かに暮らしたい―――。
彼は植物のような平穏を好み、面倒事や気苦労を嫌う。
表向きはこれといって特徴のない地味なサラリーマン。
しかしその正体は『美しい手』への執着心から48人もの女性を殺害してきた連続殺人鬼である。
物語中盤、町を守る“黄金の精神”に追い詰められた彼はある手段によって自らの顔を入れ替えることで逃亡を果たした。
界聖杯においてはバイツァ・ダスト発現後の姿で召喚されており、それ故に顔も“川尻浩作“のものとなっている。
【サーヴァントとしての願い】
英霊という大層な“枷“など要らない。
自らが望む“絶対的な平穏”を勝ち取る。
【マスター】
田中 一@オッドタクシー
【マスターとしての願い】
聖杯を手に入れる。その先のことは何も考えていない。
ほんの一瞬の快楽を凌駕する、究極の絶頂を確かめてみたい。
【Weapon】
拳銃(6発のみ装填、予備弾薬なし)。ナイフ。
【能力・技能】
特に何もない。ゲーム制作会社に所属していたが、際立った技能は持たない。
しかし彼は、ちっぽけな狂気の一線を越えている。
【人物背景】
ゲーム会社に勤務する24歳の男性。
作中では名字でのみ言及され、オフィシャルブックでフルネームが明かされている。
普段は大人しい性格だが、物事にハマるとのめり込んでしまう節がある。
小学生の頃はレア消しゴム集めに夢中だった。社会人になってからは動物収集アプリゲームに没頭した。
執着と病理で雁字搦めになった彼は、ある事故をきっかけに道を踏み外していく。
【方針】
皆殺し。ゲームに勝つ。
サーヴァントだろうと、マスターだろうと、殺す。
【備考】
アニメ4話『田中革命』の終盤、拳銃を手に入れた直後から参戦。
界聖杯でのロールは会社員だが、無断欠勤を続けている。
作中では擬人化されたピューマの姿で描写されているが、界聖杯においてはあくまで人間と見なされ「平凡な風貌をした24歳の成人男性」として他者から認識される。
最終更新:2021年07月26日 01:02