目が覚めると、夜だった。
部屋の中が暗かったからそれが分かっただとか、起きた時にデジタル時計が19より先の数字を指し示していたとか、そういう訳じゃない。
純粋に、目を覚ましたら、頭上に夜空が広がっていたのだ。そういう意匠の天井だとか言うのではなく、本当に夜空だ。どうやら、外で寝っ転がっていたらしい。
寝覚めとしては最悪だった。
背中もズキズキするし、肩も凝っている。おまけに腰の辺りも鈍く痛む。
何せ寝ている場所が場所である。土手とか原っぱの上とか、そんな青春の一ページを飾るような気持ちの良い場所ではない。
ゴミ処理場のゴミ溜めの上で、今の今までその女は寝ていたのである。寝心地も寝覚めも語るに及ばず。
寝ていた場所はどうやら未処理の粗大ごみの設置スペースの上だったらしい。タンスやらイスやら机やら。諸々の家具や生活雑貨の上で、今まで彼女は寝ていたようである。
おまけに身体が臭い。ゴミ処理場特有の、独特の臭いが身体に染みついてしまっている。試しに腕と、着ているシャツの臭いを嗅いでみるも……。すぐにやめた。風呂に入りたいと言う気持ちの強まりを感じるだけだったから。
「地獄は東京にあったらしい」
自嘲気味に女は言い捨てた。
人の魂は死ねば何処に逝くのか。悪魔の間でもそれは定かではないが、悪魔が死ねば還る場所は、彼らの間では常識である。
地獄、その地はそう呼ばれている。悪行を成したから地獄に堕ちるのか、或いは現世で最早行動出来ないから元居た場所に撤退するのか。意味合いとしては、後者の方が正しい。
『支配の悪魔』、彼女の素性を知る者からはそう呼ばれていたこの女性は、遂に地獄からも追放されたかと冗談めかして考えていた。
悪魔の間でも友誼と言う物はある。上下関係もある。反りの合う合わないも、当然の如く存在する。
だが彼女が司り、象徴するものは支配である。抽象的な概念だ。しかし、抽象的だから孤立しているのではない。寧ろ、具体例を挙げればキリがない。
支配の本質は上下と抑圧、強制である。これらを体制や組織、人間(悪魔)との関係に生じさせるのだ。
支配に対等の概念は適用されない。よって、友誼は築き得ない。
支配は確かに上下関係を生じせしめるが、支配の悪魔が『支配』を司る以上、彼女の立場は常に上。よって、支配される側、換言すれば『下』の階層の者の意識など理解出来ない。
悪魔は個人主義的な物が非常に多い。仲の合う合わないも、フィーリングによるものも大きい。支配と言う抽象的かつ観念的、そして一方的な物を司る彼女には、その反りの合う者ですらも致命的に少ない。
能力の特質の故に対等な関係は築く事は出来ず、そのやり口も悪魔の間ではよく知られ、極めつけに同情されたり取り入られたりする程、弱くもない。
要は孤高だった。孤立していた。嫌われ者であった。支配の悪魔とは、言うなればそんな悪魔であったし、そういう自覚は彼女にもあった。
故にこそ、とうとう地獄すら出禁になったかと彼女は思った。現世で死んだ悪魔は地獄に戻る、その
ルールにすら拒否される程極まったかと初めは思った。
と同時に、はて?、とも思う。今の自分は何者なのかと。自分は生きながらにしてタッパーやジップロックに入る程身体を切り刻まれ、種々様々な調理法を施されて喰われた筈だと。
食人嗜好(カニバリズム)に酔った変態に喰らわれたのとは訳が違う。彼女は、チェンソーマンに喰らわれたのである。
喰らわれてしまえば、世界に存在していたと言う痕跡も事実も、記憶も、全て消滅してしまうと言うチェンソーの悪魔を宿す少年に、確かに、喰らわれたのである。
ここは果たして、何処なのか。
地獄ではないと言うのだけは断言出来る。こんな秩序だった世界ではないからだ。
東京都であると言うのは解る。遠くに立てかけられた看板の、中央防波堤処分場の文字が見えた。23区の大田区の施設。彼女も利用していた。死体を処分しろと命令していたのだ。
となれば此処は、チェンソーマンの腹の中か? 彼に喰らわれた悪魔はこの宇宙に存在していた事実すら消滅すると言うが、全ては腹の中に溜め置かれるからか? だとしても、彼女は覚えている。自分は喰らわれた後、大便となって排泄され、下水道に流されたと言う事実を。
本当に、地獄に戻る事すら拒否されたのかも知れない。もしかしたら、チェンソーの悪魔に喰らわれた悪魔のみが逝き着く最終処分場であるのかもしれない。
となれば、この世界には彼らが跋扈しているのだろうか? 嘗ての昔、地獄に於いてその名を轟かせ、向こう百年以上は強壮な力を誇ると見通されていた、あの悪魔達が。
ナチス、エイズ、核兵器、第二次大戦、アーノロン症候群……。何れも、人間の恐怖を集める事に長け、実力に於いても比類ない悪魔達であった。
もういない。そんな出来事が嘗て世界で生じ、そんな発明がこの世界で生み出され、そんな病魔が人類を蝕んでいた。そんな大切な事実すら、人々は忘れてしまったのだ。
全て、この世界にいるからか? あの悪魔達は、この世界で処分されるその時を、待っているのか?
――彼らもまた、支配の悪魔の脳裏に刻まれた、聖杯戦争なる知識をもといにしてこの世界で蠢いているのか?
てんで解らないが、確かな事は一つ。自分は今、支配の悪魔が司っていた支配の権能、及びその権能によって会得したあらゆる悪魔の能力をロストしていると言う事実だった。
身体能力は、成程。人間の社会に於いて『マキマ』と名乗っていた時のそれと大差はない。能力だ。彼女を彼女たらしめていた能力だけが失われている。これでは出がらしだ。支配の悪魔とは最早呼べまい。
「このカードで勝負するしかないね」
現状だとワンペアすら揃ってない役なしの手札に等しいが、元より自分の死にすら、恐れは勿論何の情感も抱いてない女である。
この戦いはどのみち、負けた所で齎される結果は良い所、死でしかなかろう。手札が如何に酷いブタだとて、彼女の心に恐れはなかった。
寝っ転がった状態から立ち上がり、ゴミの堆積から退散しようと支配の悪魔は歩き続ける。
地面に落ちていた鏡台が、自分の姿を映す。蛍光色に近い赤い髪、子供がペンで描いたようなグルグルの渦巻きを内在させるその瞳、白いシャツにネクタイ、パンツスーツ。
如何やら、姿そのものはマキマ時代のそれで再現されているらしい。直近の姿しか再現出来ないのだろうか。真実は解らない。
歩きながらマキマは、ふと、身体を半身に捻った。足元にガラス片があったからだ。
その動作は、破片を踏まないようにする事と――自らの後頭部を狙って放たれた、音速の2倍の速度で飛来する金属製の菱片を回避する事の両方を兼ねていた。
「オイ避けたぞこの女」
声には、驚愕の色が隠せてなかった。若い男の声。
右足を軸にしてくるりと振り返ると、其処に二人の男がいた。
フードを目深に被った褐色肌の男に、背が高く痩せぎすの眼鏡の男。眼鏡の男は髪をパリッと七三に分けていて、着用している折り目一つないスーツから受け取られる印象は、出来るビジネスマンだ。大手の広告会社に勤めている、と言われても誰もが納得するだろう。だが、実態はそんなものじゃない事を、マキマは知っている。
「俺の事を覚えているか?」
七三分けの男が言った。神経質そうな、ザラついた声。鋭い目線がマキマに注がれる。
「覚えているよ。『税金の悪魔』、だろう?」
公安の上級幹部として働いていた時、彼女は無駄飯を喰らっていた訳じゃない。
きちんと、御国の為にデビルハンターとして働いていたのである。その一環として、
デンジ達が加入するよりも以前に倒してきた悪魔と言うのも、枚挙に暇がない。
取るに足らないザコは一々覚えていないが、目の前にいる、税金の悪魔と呼ばれる存在は印象に残っている。単純だ。強かったからである。
人類が貨幣制度と支配体制を合一化させたその瞬間から産まれたこの悪魔は、歴史も古い上に何よりも恐怖を集める力にも長けている、現代までその名を轟かせる古豪だ。
マキマが目指す世界の姿を知り、『その世界では己の力が弱体化するかもしれない』と言う危惧を抱いたこの悪魔は、彼女に襲撃を仕掛けるも、返り討ち。
マキマは彼を殺そうとしなかった。税と支配は上述のように親睦性が高い。この為マキマは税金の悪魔を支配して利用しようとしたのだが、相手は彼女のやり口も能力も理解していた。
だからこそ、自害と言う方法でその時は逃げられてしまったのである。彼女に殺されてしまえば全ての権利を支配されるからだった。
その悪魔が、目の前にいる。
まさか自分の知る世界観の悪魔を見る事になるとは、本当に地獄とは東京都の事なんじゃないのかとマキマは考える。
ただ、間違いなく言える事があるとすれば、此処はチェンソーの悪魔に纏わる空間ではないと言う事だ。
簡単だ。税金の悪魔をマキマが返り討ちにしたのは、チェンソーの悪魔が現世に転生するよりも前の話だ。もしもあの偉大なる悪魔が地獄でその名を恐れを以て轟かせている時に、
税金の悪魔が彼と戦い喰らわれていれば、あの世界から税金と言う概念や観念そのものが消滅してなければ筋が通らないからだ。
尤も……そちらの世界の方が良かったのかもしれないが。何れにしても、そんな事実はマキマも確認出来なかった。よって目の前の悪魔は、チェンソーの悪魔に殺されたのではなく、何らかの手段で以て此処に呼ばれた事になる。
「驚いたぜ、支配の悪魔さんよ。アンタが此処にいる事もそうだが……、なんだ、今のそのザマは?」
「弱くなった風に見えるかな? もっとよく見てごらんよ」
「あっ、強がったね。誤魔化せないよ。悪いが、駆け引きは俺の勝ちだ。アンタが本当に力を失ってないなら、俺のアサシンの攻撃は避けずにそのまま喰らった筈さ」
流石は強豪だ。痛い所を突いてくる。
マキマが能力を失っていなければ、急所を狙っての音速の攻撃など、避けるまでもなく、素で受け止めても死ぬ事はない。
だが避けたと言うのはそう言う事だ。喰らえば不都合な事態が起こり得る。マキマの僅かな動作から、彼女に起こっている変化を、税金の悪魔は見逃さなかった。
「さすがに解るか。まぁ色々あったからね。と言うより、なんでお前は悪魔としての力を失ってないのかな。ズルはダメだよ」
「こっちのセリフだ。俺の知るアンタなら関わり合いたくもなかったし、俺の知るアンタなら絶対にロクでもねぇ相方……サーヴァントって言うのか。それを連れてるのなんて目に見えてたからな。だから、見かけた時には直ぐに退散しようとしたよ。えげつねぇ特権を持ってそうだったからな……なのに、よぉ。ッハハ!! なんだそのザマ、サーヴァントもいねぇし力もねぇ!! 挨拶しねぇ訳にもいかないだろ!!」
「丁寧な事だね。嫌いじゃないよ。それで、用件はそれだけ?」
「そんな訳ねぇだろ。俺はなぁ支配の悪魔、テメェについては早々に消えて貰いたいんだよ。死、戦争、飢餓に悪疫、大災害。これらと結びついてる税もあるんでな、こいつらに消えて貰っちゃあ困るんだよ。俺の力が弱くなる。要は今の人間の世界が続いていてくれた方が良い。だからアンタの存在も掲げる理想も邪魔だった」
酷薄な笑みが、一転して、剃刀の様に鋭い目つきを携えた威圧の真顔に変じて行く。殺意が、漲る。
「えらく俺を痛めつけやがって。地獄に戻る際に誓ったんだよ。テメェだけは、目んたまから子宮まで100回づつ腹パンしてやんねぇと気が済まんよなぁ!?」
その大喝と同時に、税金の悪魔の横で油断なく構えていたアサシンが魔力を体内に循環させる。
ステータス、高い。ハイ・スタンダードに全部の能力値が纏まっていた。暗殺は勿論、直接の戦闘でも活躍が見込めるだろう。
「マスター、あの女は強いぞ」
「解ってる。油断するなよ。身体を細かく切り刻んで、ミキサーにぶち込んでも安心出来ねぇ女だ。気を抜かずにやろうや」
どうやら、主従間の仲も宜しいらしい。
参ったな、とマキマは思う。税金の悪魔は身体能力の面でも強いし、しかも向こうは悪魔としての能力も有していると言うじゃないか。
これに加えて、サーヴァントと言う未知の兵器も加勢してくると言うのだから、マキマとしては堪らない。死ぬ事は怖くないが、何も見極められずにこのまま消えてしまうのは避けたい事柄だった。
「この後――」
涼しい顔をしてそう告げるマキマには確信があった。
税金の悪魔の口にした言葉に賛同するのは癪だが、同意出来る点が一つある。自分が呼び出したサーヴァントが――もしも自分がサーヴァントを招く事が出来るとして。
それはきっと、途方もなく、強い/ヤバい/ロクでもない存在である、と言う事であった。
「あん?」
「一つ宣誓をします。もしも、この言葉を口にして、何も起こらなければ貴方達の勝ちです。起こった事柄に対処出来ても、勿論勝ちです。用意は、良いですか」
「アサシン聞く耳持――」
マキマ、もとい支配の悪魔が舌戦も上手い事を理解していた税金の悪魔は、直ぐに行動に移ろうとするが、マキマの方が早かった。
「――『助けてチェンソーマン』」
その言葉と同時に、アサシンの頭頂部から股間まで、光の筋が通り抜けた。黄金色。黄金を煮溶かし、刷毛で塗ったような黄金色のラインが、アサシンの頭頂から垂直に走っていた。
光の筋から、アサシンの身体は縦に真っ二つに両断され、泣き別れになったその身体は半秒後に、炭酸の泡が弾けて消えるようにして消滅して行き、更に半秒経過する頃にはこの世界から完全に消え失せていた。
「な、なんだぁっ」
そう告げると同時に、税金の悪魔がバックステップで距離を取る。その簡単な動作だけで、時速300㎞は優に出ていて――
それすら遅いと言わんばかりに、彼が地面に足着けるよりも早く、縦横無尽に黄金色の光の筋が刻まれて行き、着地する頃には筋から身体が崩れて行き、そのまま悪魔は息絶えた。
「素晴らしい」
マキマの声には情感が籠っていた。熱を帯びていた。憧憬の念が、秘められていた。
マキマの世界には消滅して久しい、ナチスのSS(親衛隊)をベースにしたと思しき、黒い軍服を纏った男だった。
良く磨かれた純金の如き金髪の美男子で、顔に走る大きい傷の分を差し引いても、なお、美形の格を落とさない人物だ。
烈しい気性の持ち主である事が、発散されるオーラから、険しい表情からも、ありありと受け取れる。
戦士の側に属する人物であろう事が、世界中どの異文化に属する人間でも解ってしまう、そんな説得力が身体つきからも理解出来る。
厚手の軍服の上からでも、研鑽と切磋琢磨を怠らなかった者のみが持ち得る彫像のような身体つきである事が一目で伺えるからだ。
古代ローマの彫刻家なら、軍神マルスのモデルを彼に選ぼう。
それぞれの手に、激しく金色に光り輝く剣を握っていた。
これを、目にもとまらぬ速度で振りぬいて、アサシンと税金の悪魔を瞬時に抹殺せしめた事が解る。
剣の光輝を、男は止めない。それどころか、マキマの姿を見た瞬間、両名を斬り殺した時以上に輝きが増して行った。眩し過ぎる。地上に、太陽の破片でも落ちて来たような眩さだった。
「――これは命令です。『7秒動くな』」
マキマが黒軍服の男に指差しそう告げた時、軍服の男が握っていた光り輝く剣は、彼女の首筋まであと10㎝と言う所まで来ていた。
止まっている。軍服の男は明らかに、マキマの首を刎ねようとしていた。もしもマキマの判断が後ゼロカンマ一秒遅れていたら、彼女の首は中空を舞っていた事だろう。
マキマの右手に刻まれていた、樹木と王冠を模していたようなモティーフの令呪、その一画が確かに色をなくしていた。令呪を、彼女は切っていた。
「貴様……」
苦々しく軍服の男が言った。低く渋みのある声。
「重ねて命令します。『私に今後攻撃を仕掛けない事』」
言葉と同時に、令呪のモティーフの樹木部分が消えて行く。
「なお命令します。『今後私が排除した方が良いと認識した存在は排除しなさい』。以上」
躊躇なく、マキマは最後の令呪を切った。王冠部分が消えた。
「狂ったわけではありません。この令呪と呼ばれる道具が支配と隷属、命令に該当するものである事は理解していました。使い切りの道具と言う性質が強い以上、抱えたまま落ちるのは愚かしい。此処で使おうと思いました、此処で全部切るしか道はありませんでした。この選択は間違っていません。支配の為の道具の使い方には長けていますから」
令呪と言うものついての知識が脳裏に刻まれた時、マキマはその本質が、彼女が言ったように支配の為の手綱である事を直ぐに理解した。
そして三回こっきりの使い捨ての道具であると言う事は、使わないまま脱落するのは勿体ない、何処かで使い切る必要がある代物だとも。
この代物を、界聖杯によって招かれて間もないこの瞬間にマキマは全部使い切った。そして、彼女自身その使い方を間違ったなど微塵も思っていない。何せ、そうしなければ殺されていたのは彼女であるのだから。
「あの税金の悪魔ですら、召喚したサーヴァントと良好な関係を築けていたと言うのに、私にはそれすら出来ないか。アルターエゴ、貴方は何の理由があって私を?」
「胸に手を当てよく思い出せ」
言われて素直に、マキマは胸に手を当て考えた。
「国に……世界の為に尽くした思い出が、走馬灯のように」
沈黙の時間。マキマの言葉を最後に、鉛でも含有されているかのように重苦しい空気が二人の間に流れた。
薄い笑みを浮かべてマキマはアルターエゴと言うクラスのサーヴァントを眺めているが、当の男の方は、目線だけで人は殺せるを地で行くような鋭い目つきで、彼女の事を睨み付けていた。
たっぷり、一分の沈黙の後。余人からすれば、一時間とか十時間分に相当するような重圧重苦の時間の後に、男は口を開いた。
「俺はお前を殺す為にこの地に呼ばれた。界聖杯(ユグドラシル)と呼ばれるものの意思によって」
「あれ、運営にすら嫌われてるのか。困ったな、何かしたかな」
「強制的に呼ばれ、その姿を見て、確信した。貴様は、俺と同じ塵屑。それと決めたら止まらない、その意思の力で世界を滅ぼしかねない女だと」
アルターエゴにそう言われ、フッと笑みを零すマキマ。出来の悪い部下か生徒が間違った事をして、やれやれ、とでも思っているような。
そんな風な表情と態度で、彼女はアルターエゴに背を向け、夜空を見上げた。都会の空は星が少ない。だから、その寂しい夜天の中に在って、月の輝きだけが、空に空いた黄土色の穴の様によく目立つのだ。
「似た風な事を口にした男が居ました。私の目的は、世界を滅ぼすだとか、糞まみれにするだとか……。細かいニュアンスはどうあれ、世界を滅茶苦茶にする事が目的だったのだろうと」
「――ですが」
「それは違います。支配とは秩序であり、法であり、義務であり命令であり強制であり抑圧です。誓って言えますが、既存の社会を滅茶苦茶にするような意思は、嘗て抱いた事はありません」
マキマの司る支配とは、腕力に優れた者が腕っぷしだけで人間を支配する……と言うような、ガキ大将が考えるようなそれではない。
法整備が整い、公共の福祉が機能し、それを享受する為に必要な対価を徴収する仕組みが目の細かい網の様に張り巡らされ、そしてそれを義務として認識させる教育機関が存在し……。
要は、国家としての要件を満たした所に、彼女の支配は意味を受けるのである。命令や強制、秩序や法の意味を解そうともしない狂人しかいない世界では、意味がないのである。
彼女の言った通りである。別にマキマには、不純で淀んだ、邪悪な黒い意志の下世界の秩序をかき乱すとかそういう展望はない。
「この世界には、明らかに存在しない方が良いとされていながら、それがこの世から払拭出来ない、摂理だとか真理、公理同然の扱いを受けている事象や営みが幾つも存在します」
淀みなくマキマは語る。噛まない。確固たる彼女の持論であり、滑らかに話す事が出来る己の軸であるからだ。
「例えば死、例えば疫病、例えば戦争、例えば飢餓、例えば地震。上げればキリがありませんね」
「それをも支配するか? 貴様は、全知全能の神でも目指していたとでも?」
「神の存在を我々は証明出来ていません。人間も、また。いるいないで議論される存在を目指すよりは、より現実的なプランを私は実行します」
一呼吸おいてから、マキマは言った。
「私は、人の世界に於いて、霊長足る彼ら人間の世界に於いて支配者然として君臨するこう言った事象からの重力を、振り切る方法を知っていました。彼らの存在を初めからなかった事にすれば良い」
「……。……狂っている、と言う言葉を使う事すら烏滸がましい理想論者だな」
「不可能に思えますか? 現実的ではないでしょう、術を知らぬ者が聞けば」
アルターエゴの方に、マキマは向き直った。
「ですがその方法は確かにありました。まぁ、失敗してしまったので今更偉そうに説明出来るプランではありませんが……」
アルターエゴの、物質的な磁力すら内包してると錯覚してしまう、強烈な眼力を真っ向から見据え、更にマキマは続ける。
「私の夢は一つ。より良い世界を築く事。世界に巣くう病理のような現象を消滅させた世界は、幸せな世界だと思いませんか?」
「貴様は、俺をそんなディストピアを築く為に利用しようと言うのか?」
「貴方のような英雄を利用してしまう、と言う事については否定のしようもないですね。ですが、ディストピアではありません」
スッと、人差し指を上に向けた状態で、腕を上に伸ばした。指の指し示す方角には、星があった。月があった。
「私にとって支配とは、星と我との距離の認識を、操る術の事。アルターエゴ、貴方と私はこの地球にいる限り、シリウスやアルタイルの距離は等しく凄く遠い筈です。貴方がサーヴァントだからだとか、私が悪魔だからだとか、そう言った理由や身分や生い立ちで、星の距離が遠くなったり近くなったりする事はあり得ない。私達からすれば星の距離は遠いのです。支配とは、そう言った当たり前の距離感の認識を操作する事だと思います。身分によって星の距離など変わりようがないのに、自分はああだからこうだから、星に近い。だから偉い。貴方達は星から遠い、だから従え。そうと説明出来ましょうか」
腕を下ろすマキマ。
「人と人とは元来平等、対等。その通りだと思いますし、そうであった方が幸せでしょう。ですが現実はそうではない。支配は人と人との距離をも操る術ですから。人の文明が始まってまだ一万年と経過してませんが、その間、距離と格差はどんどん広がり続けました。身分、財産、土地、国家。人の平等は、人の社会特有の価値観や考え方によってどんどん離れて行く」
「――だからこそ」
「人の不幸の源泉である事象を消滅させる術なのです。死や病気、戦争に飢え、自然災害による恐怖。そう言ったもののない世界はきっと幸福でしょう。そう言った物を前提とした支配の仕組みや法整備は一切変革され、幸福の追求に特化した仕組みが生み出されるでしょう。そんな世界の実現が――」
「対等な者が欲しいと素直に言ったらどうだ?」
もういい、と言わんばかりにアルターエゴが切り捨てた。マキマの演説が、止まった。表情が、途端に無表情のそれに転じる。感情が、窺えない。
「お前が筋金入りなのは良く解った。言って解る手合いでもない事も。そして、やはり俺が殺すべき女だと言う事も」
引き抜いていた二振りの刀を、鞘に戻しながらアルターエゴは言った。
七本もの刀を、男は腰に差していた。よく見ると長さに違いがあるらしく、それを状況に応じて彼は使い分けるらしい。
「数秒で説明出来る事を長々と説明する者は、支配者として落第だという事を覚えておけ。尤も、貴様はその知識を次には持ち越せないが」
――対等。
それは、マキマ、いや、支配の悪魔にとって最も遠い概念だった。
根源的恐怖を司る絶対者達には劣るとはいえ、マキマもまた、人類の多くが恐怖する概念を司る強豪である。
支配を司るという事は支配そのものであると言う事。支配する側の具象たる彼女にとって、目に映る者語らう者は、全て潜在的に下の存在なのだ。
だから、対等の概念が解らない。自分と並び立つ者とは、どんな者なのか? 想像だに、彼女は出来なかった。
マキマにとって地獄を含めたこの世界は、幽霊が舞い踊るステージでしかなかった。
着ているシャツの形も色もサイズも記憶してるし、締めているネクタイのブランドも買った日時も覚えている。
普段使っているペンのメーカーも、仕事で使うパソコンが何処で作られたものなのかも知っているし、ソファベッドを何処のネットショップで購入したのかだって解る。
これが……、人間や悪魔となると、全然わからない。
強烈な存在感や実力を持った悪魔は五感の殆どを封じられたとて誰だか解るし、見るところのある人間であれば雰囲気で理解出来る。
それ以外は全然駄目だった。興味が全然ないのであるのなら人間同士であっても印象に残らない、顔も覚えてない声も解らないという事があるらしいが、マキマは違う。
顔も体格も、輪郭までもが、おぼろ。深いミストかスチームに包まれているかのような
シルエットとしてしか認識出来ない。まるでゴーストだ。
自分以外全て程度の低い存在だから。興味を抱きようもないから。そう言う風に見えてしまうのだろうか。マキマは、支配の悪魔はそう思った。
そんな中で、チェンソーマンは……チェンソーの悪魔は、血の様に赤黒い色があった。腹にズンと響くチェンソーの唸りがあった。支配の悪魔をして無視出来ぬ、強烈な何かがあった。
破天荒かつ荒唐無稽、後先を一切考えない破滅的な活躍を聞いて、彼女は、まるでヒーローのようだと思った。バカげたコミックスに出てくるバカげた主人公のようだと思った。
鮮明な世界の中を、対照的なぼんやりとした影のような何かが歩いている。マキマにとって世界とはそんなものであり、その世界の中に在ってチェンソーマンだけはクッキリとしていた。対等とは、こういう事なのだろうか。答えはまだ解らない。
「私はヒーローが好きです。既存の枠組みに囚われない、型破りで、突拍子もなく、そして最後には、その破天荒さが何処かの誰かの為になる。そんなヒーローが気に入ってます」
チェンソーの悪魔が嘗て喰らった悪魔達とは、人間の社会に於いて極めて深刻な根を伸ばしていた、病巣そのもののような存在だった。
チェンソーマンの活躍を聞いて、彼女は確信した。あの悪魔は無秩序かつ無軌道に悪魔を喰らっているのではない。現在進行形で人間社会に影響を与えているものを司る悪魔のみを絞って喰らっていたのだ、と。
「アルターエゴ、貴方は言葉を喋りますか?」
「それすらも解らんのか?」
「アルターエゴ、貴方はやる事成す事滅茶苦茶ですか?」
「……」
「アルターエゴ、貴方は服を着ていますか?」
「見て分からんのか?」
「着ないで下さい。ヒーローは滅茶苦茶であればある程良いので」
「貴様は頭がおかしいのか?」
「かも知れませんね。私の目には――貴方は黄金色の激しい光に見えます。そんな風な見え方をするのは、貴方が初めてです。貴方は、英雄なのでしょう?」
マキマの目には、自身が引き当てたアルターエゴすらも、正しく認識出来ていなかった。それこそ、服を着ているのかも解らない程に。
光だ。太陽よりも眩く、激しく光る黄金色の爆光。それが、辛うじて人の形を取っている姿。それが、マキマから見たアルターエゴであった。
「……英雄か。そうと呼ばれていた事もある。そして、その資格もないし、今後英雄と名乗る事も最早ない」
「では貴方を、何と呼べば良いのですか? アルターエゴと呼ぶように努めはしますが、本当の名前があるのでしょう?」
「……こうと、呼んでおけ」
アルターエゴは、一拍の間を置いてから、こう言った。
「『“悪の敵”』とでも、『ケラウノス』とでも」
「悪の敵はなしにしましょう。私は悪ではないので、ケラウノス……。そうと認識しましょう」
そう言ってマキマは、ケラウノスの横を通り過ぎ、スタスタと歩いて行く。
「何処へ行くつもりだ」
「何時までもゴミ処理場で話しているのも、おかしな話でしょう」
此方にクルリと振り返ってから、マキマは言った。
「お風呂に入ってから、今後の事を語りましょうか。ケラウノスマン」
「……」
無言を保ったまま、ケラウノスと呼ばれた偉丈夫は霊体化をする。
星と月だけが、そのやり取りを見ていた。この世界にもまた、子供の精神を壊すとされたある星の光がなかった事に、マキマは気づかないままこの場を去ったのであった。
【クラス】
アルターエゴ
【真名】
“悪の敵”、或いはケラウノス。或いは、クリストファー・ヴァルゼライド@シルヴァリオ トリニティ
【ステータス】
筋力B 耐久B+++ 敏捷B 魔力B 幸運B 宝具EX
【属性】
秩序・悪
【クラススキル】
凶化:EX
狂化ではなく、凶化。本来アルターエゴはバーサーカークラスにも適性があるが、アルターエゴでの召喚に際し、このスキルに変更となった。
極限まで純化された奮い立つ勇気、悪に対する尽きせぬ怒り、必ず成すと誓った決意。アルターエゴは善や光以外の感情を解さない。
あらゆる輝きに敬意を表し、さりとて自論以外は理屈の上で理解する事ができても共感することは決してない。
そしてひとたび己の障害となれば心より悼みながらしかし躊躇なく斬り捨てる。アルターエゴは会話も意思疎通も問題なくこなせるが、本質的に他者を理解するつもりがない。
その為、狂化や凶化の様にパラメーターの上昇の恩恵は受けないが、超高ランクの信仰の加護としてこのスキルは機能している。このスキルのランクEXは、超越性と特異性の双方を示す。
【保有スキル】
光の英雄:EX
極めて高ランクの心眼(真)・無窮の武練・勇猛・精神異常を兼ね備える特殊スキル。
また初期値として自身より霊格の高い、あるいは宝具を除く平均ステータスが自分の初期値より高い相手と相対した場合に全ステータスに+の補正をかけ、瀕死時には更に全ステータス+の補正をかけ、霊核が破壊され戦闘続行スキルが発動した場合には更に++の補正を加える。
戦闘中は時間経過と共に徐々にステータスが上昇し、その上昇率はダメージを負うごとに加速する。この上昇効果は戦闘終了と同時に全解除される。
また、相手がステータス上昇効果を得た場合には自身もそれと同等の上昇補正を獲得し、自身のステータスを低下させられた場合にはその低下量の倍に相当する上昇効果を得る。
意志一つであらゆる不条理を捻じ伏せ、人類の枠組みすら超えかねない勇気こそが彼最大の武器である。あらゆる手段においてアルターエゴの精神を揺るがすことはできず、このスキルを取り外すこともできない。馬鹿の馬鹿による馬鹿の為のスキル。
カリスマ(光):EX
それは、万斛の勇気を宿す者が内在させる、眩い煌めき。潜在的な属性が光と陽とに傾いている者が発散させる、強烈な人間的魅力、カリスマ。
同ランクのカリスマの効果を発揮するスキルであり、また率いている軍団や軍勢の中に、勇気や希望、光に愛と言った陽的な属性の持ち主や、その存在を信じる者に、
ステータスのボーナスを付与させる効果を持つ。ランクEXは規格外中の規格外、カリスマのスキルランクはA+に相当し、付与されるステータスボーナスも破格の値となる。
またこのランクになると、アルターエゴの雄姿は強烈な印象を見る者に与え、今後の人生や個々人の人格、生き方すらも大幅な修正を加えてしまう可能性がある。
修正を加えてしまった物は、光や陽に価値観の重きを置くようになる。但しこれは、性格が決して善に傾くと言う事を意味しない。人によっては、致命的なまでの人格異常を来たしてしまう。このスキルはアルターエゴの手によって制御出来ない。
戦闘続行:A++
たとえ致命的な損傷を受けようと、『まだ終われない』という常軌を逸した精神力のみで戦闘続行が可能。
暴走した意志力、呪縛じみた勝利への渇望。因果律を無視しているとしか形容の仕様がないその有り様は、最早人類種の範疇を逸脱している。
悪の敵:A
アルターエゴが燃やす、強烈な悪に対する怒り。
属性が悪のサーヴァント、或いはアルターエゴの一存で悪と認識した存在と対峙した時、常時ステータス上昇ボーナスを得る。このスキルの上方修正と光の英雄スキルによる上方修正は重複する。
魔星:B+++
正式名称、人造惑星。星の異能者・星辰奏者(エスペラント)の完全上位種。
星辰奏者とは隔絶した性能差、実力差を誇り、このスキルを持つサーヴァントは総じて高い水準のステータスを持つ。
出力の自在な操作が可能という特性から反則的な燃費の良さを誇るが、この存在の欠点として、本領を発揮していく毎に本来の精神状態に近付いていく。
有体に言えば本気を出せば出すほど地金が透け、精神的な脆さが露わになるという事だが、アルターエゴはその脆さと矛盾を受け入れ、克服している。
また魔星は人間の死体を素体に創造されたいわばリビングデッドとでも呼ぶべき存在であり、死者殺しの能力や宝具の影響をモロに受ける。アルターエゴであってもこれだけは克服していない。
単独顕現(カウンター):E---
単独で現世に現れるスキル。単独行動のウルトラ上位版。……なのだがアルターエゴの場合は、ビーストが持つ本家本元のそれとは全く勝手が異なる。
アルターエゴは本来現世に召喚されないし出来ないサーヴァントであり、彼が活動する為には、特異点ないし人類が踏み込むべきではない高位次元に、
悪意を持った存在が介入したのが確認されて始めて、世界に干渉出来る存在である。ざっくり言えば極めて限定的な条件でないと活動が出来ないアラヤの抑止力である。
アルターエゴは今回、マスターである支配の悪魔ないしマキマの存在に対するカウンターとして召喚されており、彼女が死ねば無条件でアルターエゴも消滅する。
界聖杯くん「やれ」
ケラウノス「はい」
【宝具】
『天霆の轟く地平に、闇はなく。閃奏之型(Gamma-ray Keraunos)』
ランク:EX 種別:対人・対軍・対城・対因果宝具 レンジ:- 最大補足:-
アルターエゴが保有する星辰光。星辰光とは自身を最小単位の天体と定義することで異星法則を地上に具現する能力であり、すなわち等身大の超新星そのもの。
能力の本質は放射光極限収束・因果律崩壊能力。膨大な光熱を刀身に纏わせた斬撃とその光熱の放出により敵を討つ、と言う極めてシンプルなそれ。
放たれた光の奔流は亜光速にまで達し、見てからの回避はほぼ不可能。光を刀に纏わせての接近戦も凄まじく強力で、光に掠めただけであっても、細胞の一つ一つを破壊する。
またその光には極めて高濃度の放射線が内在されており、細胞を破壊するものの正体とはまさにこの放射線の事である。
上述の効果はこの宝具の通常発動時である。
此処から更に宝具の真名を開放する事で、この宝具の真の能力、因果を崩壊させる力が発動する。
この因果破壊の力は、アルターエゴの放つ光の攻撃は全て光速を突破しており、それによる特殊相対性理論の超越と言う形で整理している。
この能力を発動している間、アルターエゴの放つ光の攻撃には激甚な因果・概念破壊の効果が付与される。
具体的にはほとんどの防御効果、それこそ粛清防御から、本来的には相性上絶対に無効化されるような防御方法や魔術・魔法ですら一方的に砕いて攻撃を押し通らせる。
単純な攻撃力も更に爆発的に増大しており、与えられるダメージは正しく『臨海不能』。また、本来の使い方ではないが、自らの身体に突き刺す事で、
それまで受けていたダメージを『身体に負ったダメージごと砕いてしまい戦闘前の状態に戻す』と言う超絶の荒業を披露する事も出来る。
攻撃面ではまさに最強に等しい力であるが、弱点がある。
この宝具もまたスキル・光の英雄や悪の敵によって、際限なく出力が上昇するが、そうなればなるほど、膨大なエネルギーに肉体が耐え切れず、
自己崩壊を始めると言う状態に陥っている。戦う度に末端が罅割れ、装飾が黄金色に輝くのは爆発寸前の兆候に他ならず、サーヴァントとしての活動限界を示すラインである。
……ただし、この肉体崩壊によっても、アルターエゴはステータスが上昇してしまう為、欠点と言えるかは微妙な所である。
『悪を殺す』という方向性に魂を全振りしている人類最強の勇者にして怪物。より破滅的、壊滅的な能力。
轟き渡るのは鋼の稲妻、悪を滅ぼす断罪の剣。人類の思い描く最も普遍的な英雄像の体現者。その名は、星の裁断者(スフィアパニッシャー)。
星辰閃奏者。英雄譚という概念の究極にして、集束性の到達点であるアルターエゴの星辰光である。
【weapon】
星辰光の発動媒体となる七本の日本刀。
【人物背景】
軍事帝国アドラー第三十七代総統。生ける伝説。閃剣。絶滅光。彼を現すは一言“英雄”。帝国最強にして始まりの星辰奏者として最大最強の伝説を打ち立てる。
彼は天賦の才というものを持たず、しかし常軌を逸した修練の果てに人類種最強とまで呼称される強さを手にした。それは最早輝きを超越し、一種の狂気にまで至っている。
……そんな人物が死後、まだだ、まだだを繰り返し、ある種の概念として復活した姿。それが彼、アルターエゴのサーヴァント、ケラウノスである。
【サーヴァントとしての願い】
ない。マスターを殺す為に現れている
【マスター】
支配の悪魔(マキマ)@チェンソーマン
【マスターとしての願い】
元居た世界で出来なかった、よりよい世界の実現。……或いは、対等な……
【weapon】
【能力・技能】
支配の悪魔として所有していた能力の全て:
チェンソーマンに喰らわれ、発動不能となっている。現在マキマが発揮出来る能力は、支配の悪魔由来の純粋な身体能力と魔力のみ。それですら、下手なサーヴァントを一蹴する実力である。
【人物背景】
憧れのチェンソーマン様に唾を吐かれた女。チェンソーマンに食べられると言う光栄な末路を辿り、何の因果か此処にいる。
この世界でのロールは警察庁勤務の公安幹部。
【方針】
界聖杯「死ねよ」
ケラウノス「死ねよ」
マキマ「応援ありがとう」
最終更新:2021年07月05日 22:07