東京、浜松町駅。昼の歩道橋の上で、ふたりの男が隣り合ってタバコを吸っている。
一方は長身痩躯の優男、もう一方は見上げるような偉丈夫だ。

 優男の目元と口元にはホクロ。憂いを帯びた切れ長の目には長い睫毛。
癖のある黒髪、上等なスーツと靴、豹柄のネクタイ。
女のようだとは言えないが、なんともいえずセクシーで、色気のある男だ。

 偉丈夫の頭髪は後ろに撫でつけられ、額の上に大きく盛り上がっている。
両腕には剣呑なデザインの手甲、筋骨隆々たる上半身に纏うのは、金糸を織り込んだシャツ。
口元は金属製のマスクで覆われているが、タバコはその隙間から差し込まれ、唇に届いている。
ズボンの腰に黒帯、靴はワニ革。どちらも、どう見ても、カタギではない。

「嗚呼……聴こえらあ……」

 優男が、駅から吐き出される群衆を見下ろし、つぶやいた。

「聴こえる―――とは、何がだ」

「"大人(オトナ)"になり切れねー、大人達の断末魔……。
 耳をすませば――……ホラ。
 『大人はつれえ』……『大人は退屈だ』……! ってさ」

 偉丈夫は一息でタバコを吸い尽くし、灰にして、地面に落とす。

「ンなものァ、どこ行ってもそうだ。知らねえのはガキだけさ。
 バカで、幸福で、この世の王様みてえに思い上がった、世間知らずのな」

「違いねェな。アンタは……大人だ。割り切ってる」
「テメエはガキか? いいトシしてるがよ」

 優男は黙って笑う。偉丈夫は灰を踏みにじり、歩道橋の柵にすがる。

「ケッ。こんなとこまで来て、ヤクザの手先になるたァな。
 しょうがねえ、俺はどこ行ってもヤクザだからな」
「あんたがガキの頃は、他にも夢はあったのかい」
「忘れたぜ。とっくの昔だ。思い出せやしねえ」

「オレにはあった。つっても、暴走族(ゾク)やってただけだがな。
 暴走(はし)ってる間だけは、いろんなことを忘れられた……。
 あれが、オレたちの黄金時代(オウゴン)だった」
「くだらねえ。大人になったんなら、ンなもん卒業しろや」

 優男は、偉丈夫へ二本目のタバコを差し出す。火がついている。
 偉丈夫は受け取り、吸い始める。

「それが、聖杯にかける願いか?」
「まさか。その気になりゃあ、いつだってやれるさ。
 やって、死んで、地獄に落ちて、昔のダチもいねえ。十分だ。オレは自由だ」
「それなら、どうする。願いはありませェん、もう殺したくないんですゥ、とかぬかすか?
 まあ俺も今さら大した願いはねえし、テメエの指図に従ってやるがよ」

 優男は、ふっと遠くを見つめる。青い空、白い雲の上。
偉丈夫のいた街では滅多に見られなかった、ニルヴァーナめいた光景。
右手首のブレスレットが、チャリと音を立てた。

「娘がさ……いたんだ。花奈(はな)って。不幸な子だった。
 あいつの母親ごと、組長(オヤジ)に取られてよ。
 忍者のカチコミに遭って、三人とも死んじまった。まだこんなに小さくてよ」

「…………そうか」

「オレが心から愛するのは、あいつだけだ。育児は大変だが、幸せだった。
 あいつのためなら何でもできた。あいつが幸せなら、何も不要(いら)ねえ。
 今は……あっちに、居るんだろうな。幸せに―――」

 優男はタバコを揉み消す。

「何でもひとつ、望みがかなうなら。オレが望むのはそれしかねえ。
 あいつをこの世に呼び戻す。今度こそ、幸せにしてみせる。命を賭けて」

 偉丈夫は、二本目のタバコを吸い尽くし、灰にした。


【クラス】
アーチャー

【真名】
ソニックブーム@ニンジャスレイヤー

【パラメーター】
筋力B 耐久B 敏捷B 魔力C 幸運D 宝具B

【属性】
秩序・悪

【クラス別スキル】
対魔力:D+
 一工程(シングルアクション)による魔術行使を無効化する。魔力避けのアミュレット程度。

単独行動:C
 マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。マスターを失っても1日は現界可能。

【保有スキル】
ニンジャ:B
 ニンジャであること。常人の三倍以上の脚力、超人的な筋力や機敏さ、第六感、カラテ(戦闘力・魔力)などを併せ持つ。
カゼ・ニンジャクランのグレーターニンジャソウル憑依者で、大気中のカラテやエテル(魔力)の流れを操って様々な現象を起こす。
スリケン生成はできないが、代わりにソニックカラテ衝撃波を射出する。
「風除けの加護」「魔力放出(風)」、低位の「気配遮断」「気配感知」も含む。
スシを食べると体力が急速に回復する。

極道育成:B
 ヤクザ・バウンサーあがりのニンジャとして、数多くのソウカイ・ニンジャを育成した逸話から。
「カリスマ(Cランク、ソンケイ)」と「英雄作成(Dランク)」の複合スキル。
ヤクザの素質を持つ者を見出し、思い上がった心を折って服従させ、
ダーティな世界で生き抜くためのインストラクションを与える。
それを受けた者が英雄になるかチンケなヤクザで終わるかはその者次第である。
いかなる異世界に転移しようと、彼はヤクザネスを貫く。

心眼(真):C
 修行・鍛錬により培った洞察力。
窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す"戦闘論理"。
逆転の可能性が数%でもあるなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。
いわば状況判断……真の男が持つべきスキルだ。

【宝具】
『衝撃空手(ソニックカラテ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:2-20 最大捕捉:10
 彼のニンジャソウルが与えた異能を鍛錬したもの。
正拳突きや膝蹴り、手刀や裏拳などを超音速で繰り出し、間合いの離れた相手に強烈な衝撃波を飛ばしてダメージを与える。
ジャブを放つことで連射も可能。その威力はニンジャをも数発でズタボロにし、屋台などを粉砕する。
単なる物理攻撃ではなく、風のエテル(魔力)を近接攻撃に纏わせた魔術的な攻撃とも思われる。
超至近距離で放つと衝撃波のダメージが自分にも来るという弱点を持つが、
彼は至近距離に適応したカラテのワザマエを磨いて克服している。ノー・カラテ、ノー・ニンジャだ。

【Weapon】
 鍛え上げられた己の肉体とカラテ。棘付きのブレーサー(手甲)を装備。

【人物背景】
 小説『ニンジャスレイヤー』第一部「ネオサイタマ炎上」に登場するニンジャ。CV:黒田崇矢。
ネオサイタマを牛耳る悪のニンジャ組織「ソウカイ・シンジケート(ソウカイヤ)」に所属し、
威力部門シックスゲイツ、及び野良の新人ニンジャを捕獲・育成するスカウト部門に所属する。

 身長192cm。金糸を織り込んだニンジャ装束とシャープなメンポ(面頬)、戦闘用ブレーサー(籠手)を装備する。
頭髪は威圧的なポンパドール&リーゼントヘアー。サラリマンめいた姿に変装もする。
元ヤクザ・バウンサー。ソニックカラテやジェットカラテの訓練を積み、格闘能力は高い。
ヤクザスラングを多用し、短気で凶暴なサディストであるが、冷静な判断力をあわせ持つ。
油断ならぬ敵には雑魚戦闘員をぶつけて戦闘力を推し量り、弾切れを起こさせるなど、組織力を活用した慎重さも見せる。

【サーヴァントとしての願い】
 特になし。

【方針】
 マスターに従う。

【把握手段】
 原作小説「ラスト・ガール・スタンディング」。コミカライズやアニメイシヨン版もある。


【マスター】
殺島飛露鬼(やじま・ひろき)@忍者と極道

【Weapon】
 ピンク色の大型回転式拳銃(リボルバー)。銃弾は高熱に強いタングステン合金製。
二挺拳銃を操り、戦闘時は複数の予備の拳銃を服の裏に仕込む。

【能力・技能】
 跳弾芸を極めし極道技巧「狂弾舞踏会(ピストルディスコ)」の使い手。
自在に銃弾の軌道を操り、予想外の方向からの銃撃で敵を倒す。
複数の銃弾を走行する自動車の燃料タンクにブチ込んでカチ合わせ、
火花を起こして引火爆発させるなどは初歩のうちである。

【人物背景】
 漫画『忍者と極道』に登場するヤクザ集団「破壊の八極道」のひとり。
講男會傘下長澤組の若頭。39歳。身長183cm、体重78kg。セブンスターが好きな愛煙家。
男女ともに好かれる絶世の美貌と、「神」と崇められる高いカリスマの持ち主。
期待以上のものを与え、要領よく立ち回り愛される男。

 生花店を営む母子家庭に育つが、中学時代に母は病死。
その保険金を元手に友人を誘って暴走族「聖華天」を結成し、
たちまち10万人の兵隊を従える巨大暴走集団の総長となり「暴走族神(ゾクガミ)」と崇められた。
彼らにとって暴走は日々の辛さや退屈をブッ飛ばす夢の世界であり、
邪魔する者は殺戮し破壊し、周囲の家々に放火して警察を撹乱することまで行っていた。
のち聖華天は忍者に「半殺し(半分を殺害)」されて解散。
殺島は生き延びて暴力団に就職、トントン拍子に出世し結婚。
娘も生まれ、忙しい日々を送っていたのだが……。

【ロール】
 極道。独身。

【マスターとしての願い】
 娘・花奈を蘇らせる。

【方針】
 聖杯狙い。邪魔する者は殺す。
目的は隠して仲間を増やし、うまく戦い合わせて数を減らす。最後まで生き残れば勝ち。

【把握手段】
 原作。4巻で死亡。

【参戦時期】
 死亡後。

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最終更新:2021年07月05日 12:30