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――彼女は、誰にも捕まらない紫
「こっちは私文書の偽造に……ここで、移籍先の
プロデューサーを脅迫……これ、実質軟禁だって訴えられませんかねー?」
どこからともなく出現した質の良い古紙に横書きされ、黒塗りの卓上に並べられた『計画書』の紙切れ。
自室のソファーに腰掛けながら一枚、また一枚と読み比べると、そんな感想をつけざるをえなかった。
「訴えられたり外部に露呈することだけはないでしょう。手段が物騒になりがちであることは否定できません」
私はそういうサーヴァントですから、と卓上の対面で起立する青年はよどみのない声で自虐した。
己が出現させた紙片の一枚を親指と人差し指で持ち上げ、「あくまで、そういう道もあるという事にすぎませんよ」と柔らかく言葉を足す。
その室内は色彩に乏しく、室内にあった二人ぶんの人影は差し色として浮いていた。
白と黒で塗分けられた、モノトーンの部屋。
壁紙も、カーテンも、テーブルも、絨毯も、写真盾や飾り絵、鏡の額縁も、ネックレス掛けも……部屋の主が座るソファだけを紫にして、広い室内を全て白か黒かで塗分けたコーディネイトは、すべて部屋の主が選んだものだ。
カーテンから差し込む光は、くれなずむ空と、夜の闇のすき間ぐらいの黄昏の淡いもの。
対して、青年の立ち姿は、自称する『職業(クラス)』には似合つかわしくないまでに相反する色彩だった。
白皙の容貌に、流れるような金色の髪。何より、吸い込まれそうに怜悧な赤い色の瞳が眩しい。
瞳と同色のネクタイに、1ミリの歪みもしわもないブラウンのレザースーツ。
黒塗りに銀の持ち手が装飾された携行の杖は、この部屋に杖掛けというものがないため青年の後ろ手に握られている。
洋画の主演に出てきそう、というのが初見でのごくプレーンな印象だった。
十代の少女が初めて自室に連れ込む異性としては、人と場合によってはたいそう気後れしたことだろう。
数々のアイドルとしての活動のおかげで、『容姿のいい人間』に接することには慣れていたけれども。
「まぁ…………聞いたのは私だし、『アサシン』さんのやり方を見たがったのも私だから、『用意してくれてありがとー』って言うところですよねぇ」
ため息をひとつ。
かわるがわるめくっていた『逃亡計画書』を、全て卓上に放流した。
そのまま頬杖をつくと、左右でアップにされていたまとめ髪が揺れて、髪の『紫色』が視界の端に踊る。
田中摩美々。
パンキッシュなファッションに定評のある、ダウナー系小悪魔アイドル。
くるくるとカールをつけたメッシュのある紫の髪にしたのは、中学生の頃から。
ただの紫髪が、『アイドル・
田中摩美々の色』として初めて色彩を持ったのは、283プロダクションという変わり者たちに巻き込まれたから。
いたずら好きアイドルとして事務所でも世間でも知られている摩美々。
だけれど、当然にアイドルとして本当の犯罪に手を染めるなんてもってのほかで。
元の世界に手っ取り早く帰るためには、同じように招かれた人々に危害を加えなければならない……という大前提は、極めて憂鬱なものだった。
そして、憂鬱な問題はもう一つあった。
それは、『聖杯戦争でどのように動くのか』と同じぐらいに、摩美々にとっては重要な問題だった。
それは、彼女だけで動くか、巻き込むかの二択について。
すなわち、この危機を家族や事務所の人々を巻き込む環境で受け止めるのか、一人だけで受け止めるのか。
いつものアンティーカならば、巻き込めと暑苦しく言い寄ってくるのかもしれない。
しかし、『摩美々にそう言ってくれたアンティーカ』はこの世界ではなく、帰りたい世界にいる少女たちだ。
加えて、『聖杯戦争は一般人が関わっていいイベントではない』とまで言明されてしまったからには、これまで何度も巻き込むことを躊躇ったように、今回も躊躇われた。
だから、ものの試しに『例えばー、事務所を移籍したり、引退したり、親と別居したりって……短期間で計画できるんですか?』と聞いてみた。
即興だとこの程度ですね、と幾つかの試案が計画書になって出現し、人目のない自室でそれらに眼を通して今に至る。
「私も、今日一日そばで見学させていただいたに過ぎません。そして、避難計画を積極的に推奨することもできません」
「それはー……アイドルとしての人脈とか知名度とかが聖杯戦争で有利になる……とか、ですか?」
「良い着眼点です。そういった利用価値も有り得ます。しかし、打算を抜きに、とても素晴らしいお仕事に見えましたから」
マスターの心情としては、孤独を望まれないのではないかと思いまして。
アサシンはそのように踏み込んできた。
まだ大してよく知らない男性から孤独を指摘されて、ぎくりとしたことは確かだが。
ただ、それと同じぐらい、『アサシン』というぶっそうな名乗りをした男が、アイドルという仕事を手放しで褒めたことが意外だった。
「アイドルの仕事に、アサシンさんも興味があるんですかぁ?」
「いえ、お仕事も鮮やかなものでしたが、それも含めてこの街が……マスターも一助となってきた世界が、美しいと思いました。皆が笑顔でしたから」
緋色の瞳を細めて、はっきりと相好を崩していた。
うわ……という感嘆詞は、声に出さずに内心にとどめた。
なんて事のない市井の人々に対してそんな感想を素面で口にするのは、ユニットメンバーの一人、咲耶ぐらいのものだと思っていた。
「これは保留にしますケドー、別に、孤独とかじゃないですよぉ」
紙片を卓上の端に追いやり、下手に距離感を縮めたくないと摩美々は否定した。
いくら誠実そうに見えるとはいえ、いきなり二人一組で戦争しろと言われた男性を……それもクラスが『アサシン』で、真名が『有名な悪党』の名前だった男を、無条件で信用できるほどには、彼女は素直でもお人好しでもない。
もっと言えば、霊体化をといたアサシンから、ふわりと喫煙者特有のけむたい匂いがするのも現代っ子の彼女にとってはマイナスポイントの一つでもあった。
ただ、『喫煙を咎める』という常識そのものがここ一世紀の間に生まれたものだけに、昔を生きた人間をそれで嫌うのは理不尽だとも分かっている。
「私は面倒くさがりですからぁ。がらっと住む所とか所属を変えるのは、だるいだけなんですよね」
「そうでしょうか? 私にはマスターはとてもマメで、面倒見のよろしいお人柄だとお見受けしましたが」
「なんで、そんなことが分かるんですかぁ?」
それなりに相互理解のある
プロデューサーやユニットメンバーからの賞賛ならまだしも。
たいした根拠もなく無条件で『良い人』『すごい人』とちやほやされるのは、摩美々にとってかなり愉快でないことの一つだ。
「初歩です(エレメンタリー)。…………失礼。友人の小説から口癖が写りました」
こちらがむっとしたので相手も上から目線のように聞こえたかと慌てたのだろう。
とはいえ、と一呼吸おいて種明かしを述べ始めた。
「とはいえ、明白(オブビアス)だと考えています。
例えば、こちらの飼育槽にいらっしゃるトカゲ……この子たちは変温動物であり、なおかつこの国を原産とする種でもない。
いくら冷暖房器具の発達したこの時代とはいえ、四季と昼夜の寒暖差が激しい極東で飼育するには、相当にこまめな体調管理が必要となるはずだ。
それを一つの部屋で複数の品種、手慣れたように世話していらっしゃる。面倒見の悪い令嬢にできることではありません」
「そんな、おおげさな……」
飽き飽きとしていた、異口同音にちやほやする類の誉め言葉ではない。
鋭い観察、整然とした論理(アヴダクション)に基づいた逃げ場のない評価。
つい両の手の甲を持ち上げ、横髪をかきあげるようにふぁさふぁさと撫でた。
返す言葉につまった時の癖だった。
「私は、親に世話を任せっきりにしてる悪い子かもしれませんよー?」
「それは無いことも明白です。帰宅されてから今まで、不意の入室を警戒する素振りが少しもありませんでしたし」
たしかに摩美々の両親は、娘の自室をチェックするような関心を持っていないし、今さらそのぐらいの指摘も地雷になりはしない。
けれど、『少しぐらい言い返そう』というあまのじゃくもわいてきた。
「そりゃあ勝手に誰かが入ってくることはありませんケド……でも、気を付ける所は気を付けてくださいねー。
たとえば『吸い殻も見つからないだろうし、タバコ吸いたい』って言われたりしても却下ですから」
「いえ、その心配は要りませんよ。タバコは元から嫌いですから」
「えー」
嘘つきー、匂いで分かりますよ、と言おうとしたが、言えなかった。
『嘘ではない』と直感したから。
なんでかな、とソファに置いていたカバンをあさり、仕事場から持ち帰ったコーヒーのペットボトルを開ける。
わざと袖が余るような着方をしたブルゾンの端から、紫色のネイルがはみ出す。
パープルミラージュ。紫の蜃気楼。見えないもの。
ネイルの色と名前にインスピレーションを受けて、コーヒーの甘苦さが刺激になって、直感したことを言語化できた。
さっきのように頭が回る人が、『自分に煙草の匂いがついている』ことを自覚できないはずはない。
つまり『嘘をついてもすぐばれる』ことは、彼にとっても自明だ。だから、『本当の事を言ってる』が正解なのだろう。
だとすれば…………大嫌いな煙草にさえ依存しなければやってられないような生き方をしていた、ことになり。
その憶測は、あまりにも重すぎるように思えたので、『見て見ぬふり』をすることにした。
つまり、話題を変えた。
「アサシンさんの方はぁ……どうしたいんですかぁ?」
「どう、とは?」
「聖杯への願い事は何なんですかぁ?」
自称する名前は悪党。
マスターと呼ぶ少女への言動は誠実で、しかも他人が笑顔になると喜ぶ。
相反する側面を抱えたサーヴァントが、何をするつもりなのか確かめるのは当然で、おそらく『お節介』には当たらない。
アサシンは、やや虚を突かれたように目を見開き。
そして、口を開くとともに瞳の色を変えた。
「もし聖杯を手にしようとする者が、それを悪用して弱者を害するようであれば」
ただの赤色から、ぎらぎらとした光を持つ緋色に。
憤怒。嫌悪感。敵対心。
それらのないまぜになった、鋭い刃のような空気。
「それを阻止したい。それが私の願望です」
言葉を言い終えると同時に光は消え去り、刃が鞘に収まるように『怖い人』の面影は去っていた。
その光は、うだるような熱さを想起させる赤色ではなかった。
冷めて沈んだ血潮の、緋色だった。
それは生まれて初めて目にする『殺意』で、怖いものだったことは確かだ。
けれど、人間の『イメージカラー』を重要視する彼女にとって、それは目を惹きつけられる変化だったことも違いなかった。
「……どうにも、昔から悪徳が栄えるのは我慢できないタチでして」
視線の刃を鞘におさめ男はそういうふうに己を評した。
あなたも、小説だと『悪徳』だったんじゃないですか、とは聞き返せなかった。
「もちろん、ただ巻き込まれた側であるマスターに協力を請うのは筋が違いますから、それにお付き合いを願うわけではありません」
あくまでもマスターの生存を優先すると、彼は方針を立てていた。
「でもそれって……召喚されてからアサシンさんが思った願い事であってー、アサシンさんがここに来ることになった願い事じゃないですよねぇ?」
「これは鋭い」
サーヴァントはサーヴァントなりに願いを叶える為に聖杯に招かれている、というのが覚えたばかりの
ルールだったはずだ。
つまり、『悪党が聖杯を悪用することを避けたい』という願いは聖杯戦争に呼ばれたことを踏まえて願うことだから、この自称暗殺者(アサシン)が聖杯に呼ばれた理由ではない事になる。
彼は『とても悪い人』だから、別の目的を隠している可能性ぐらいはあるかもしれない。
小説の挿絵にもあった『ネズミのような禿頭の老人』とはまったく違う姿をしているから、小説なんて当てにならないと切って捨てない限りは。
「確かに願いはあります。だがそれは、今の所『できれば』以上の意味は持たないし、大義より優先したら相手にどやされる、そういうものです」
「人に叱られるような、お願いなんですかぁ?」
「いえ、私的にもほどがあるからこそ、優先できないのです」
悪いヒトなのに私的なわがままを優先できない、それはおかしな話のように聞こえたが。
「いくらでも話し足りない生前の『友達』とは、どうなっても再会したいとは思ってしまう」
眉尻をさげたまま笑うのは、寂しい人の笑顔だということを摩美々は知っている。
「…………友達」
「たったそれだけの、ささやかな事ですよ」
「それは……本当に、ささやか、ですねぇ」
それを聞いて、少しだけ、よく分からない紳士然とした青年に共感が生まれたと思った。
摩美々も、やすやすと別離を許容するような『いつか大人になって変わったら~』などという未来の話をするのは、大嫌いなタチであるので。
そして同時に、摩美々もつられて今までの『アンティーカ』を思い出して寂しくならずにはいられない言葉でもあって。
――ま、摩美々ぃ~~っ!!
そういう、面白い悲鳴が聞きたい。
あそこは心地いい場所だった、なんて思い出を語るように振り返りたくない。もう手放したくは無い。
けど、手放さずに帰るために差し出された選択肢は、いつもの『いたずら』じゃない、本物の殺し合い――殺人だ。
――わたし、アンティーカのことが、とっても大事……
「マスターの方針は、決まりましたか?」
再三の、問いかけ。
魂の重さは21グラム。
自分のそれも他人のそれも21グラム。
けれどそれは、本当はまったく、21グラムの重みなんかじゃないはず。
人と殺し合いをして現状を解決するというのは、絶対に21グラムの複数個分で済むはずがないはず。
その21グラムの贄がそれなりにあれば、帰った先の色々と大変な283プロをどうにかできるかもしれず。
そしておそらく、帰還したところで、『何てことをしてきたんだ』と知られて責められることはない。
この土地で行われることはすべて別世界の出来事で、摩美々の求める世界の人々に知られることはないのだから。
――自己満足!って唱えながらやっちゃう……相手のためにもなったらいいなっていう、自分のための行動として……
いや、それどころかこの土地でさえも、咎められる事は無いのかもしれない。
摩美々のために召喚されたサーヴァントは『完全犯罪』の専門家で、『誰にも知られずに悪事をする』プロだというのだから。
「アサシンさん。私はとっても『悪い子』なのでぇ」
「はい」
誰も摩美々を責めない。叱らない。
――摩美々はとてもイタズラ好きで、そしてとても……優しい子だ
そんなのは嫌だ。
「……悪い事をしたら悪いって叱られないと、落ち着かないんですよねぇ」
そういうことが、したいわけじゃない。
欲しいのは、そういうのじゃない。
本当に欲しいのは、叱ってくれる人。捕まえようとしてくれる人。
――摩美々を捕まえられるような、
プロデューサーでありたいもんだよなぁと……
悪いことは、人から咎められる為にするからやり甲斐がある。
「アサシンさん、堂々といたずらできる世界にいさせてくださいーって命令したら、きいてくれますかぁ?」
精一杯の強がりでくすりと笑うと、まるで飾り気のない笑顔が帰ってきた。
「なるほど、それはとっても『悪い』お願いごとですね」
「あれー? もしかして、『子どもっぽい』って思いましたぁ?」
「思いません思いません、むしろ共感しています」
悪い事をしたら、『間違っている』と叱られたくなる……その気持ちは僕にもよくわかりますよ、と青年は続けた。
青年の母国語でしゃべっていれば一人称はどうやっても『I』だから、その言葉の違いは誤差だったのかもしれないが。
それまで『私』だったのが『僕』に変わったからには、それだけ青年の『素』の部分に近い本音なのかもしれないと、摩美々は青年ほどではないにせよ耳ざとく分析した。
天邪鬼(わるいこ)な少女の従者を名乗る緋色の瞳をした犯罪者(悪魔)は、胸に手をあて折り目正しい契約の礼をした。
【クラス】アサシン
【属性】混沌・悪
【人物背景】
少年は演じた。
――もし困っている人がいて僕なんかがお役に立てるのなら、何でもしたいなって思うんです
ウソ偽りのない善意と自己犠牲心から成り立っていたその原初の願いを、ただの孤児だった少年は初手から欺瞞によって達成した。
少年には犯罪の才能があった。
生活の為に金銭を必要とする人達がいれば、知恵をしぼって悪徳貴族から財を盗み出す大泥棒の指南をした。
世の中を変えるためには財力と権力がどうしても要ると理解すれば、伯爵家を燃やして子息と兄弟ぐるみで入れ替わり、家を乗っ取った。
困っている人の頼みごとは全て引き受けて、引き受け続けて、少年は『犯罪相談役』になった。
これが最適解だとして、悪行に殉じる仲間たちの前では悪い笑顔の仮面をかぶった。
兄弟や同士の前では、悪党を罰するためならば悪党を喜んで殺害する悪党の顔になった。
公に出るときは、若き天才数学者であり清廉な伯爵家の次男を演じた。
成長した男は、舞台を整えた。
ひとつ舞台の幕が上がるたびに、舞台上では悪徳を栄えさせた貴族の血が流れ、観客は悲鳴を上げた。
悲鳴があがるたびに本来なら暴露されなかった不正義が世間に報道され、不正は正されていった。
浄化すべき祖国である大英帝国が美しくなっていく裏側で、男はどんどん悪魔に身を落として行った。
悪魔の仮面には、『犯罪卿』『犯罪界のナポレオン』という異称がついていた。
男は見出した。
その人物は、自分こそが犯罪卿を捕まえるのだと標榜する探偵だった。
探偵は男と同じように人を観察して推理する頭脳を持っていたため、二人はすぐに気が合った。
探偵は男と違って『手段として罪を犯さない』という正しさを持っていたため、男はすぐに輝きを見出した。
己には持ち得なかった探偵の善性を、男は愛した。
いつしか探偵と共に過ごす限られた時間だけ、男は演じることをやめていた。
併せて、男はプロデュースを始めた。
探偵に社会の歪みが露わとなるような事件に次々と立ち会わせ、それらを解かせては成長させた。
探偵の活躍が世に広まるよう裏方からひそやかに宣伝工作を仕掛け、市民が探偵を頼るように仕向け、時には探偵のことを書籍化しうる相棒との仲を取り持った。
男は正体を明かさないまま探偵と語り合い、英国の腐敗を何とかせねばならないと言う使命感を共有した。
いつしか探偵は『名探偵』になり、大英帝国にその名を知らぬもの無いほどの『偶像(ヒーロー)』になっていた。
男はとうとう舞台裏を暴かれた。
探偵に正体を知られて、『最後の事件』の舞台を整えた。
演目とは探偵が主演となって男と対決し、男だけが国中の悪と腐敗を抱え持った上で悪の末路として落ちるものだった。
公に知られるようにした上で探偵を高所に呼びつけ、襲い掛かって敗北した芝居をしながら舞台から飛び降りた。
男の舞台は初めて挫かれた。
探偵は『一人死なせてたまるか』と叫び、落下する男を追いかけ、共に落下しながら男を抱きしめた。
どうして、と男は考えた。
『やっと捕まえた』と探偵は、たった一人だけいた友達は、答えた。
『犯罪卿』としてのモリアーティは、その時に死んだ。
そして、異なる時代、異なる都市の、聖杯戦争の舞台に『犯罪卿(アサシン)』のモリアーティはいた。
【パラメーター】
筋力:D 耐久:E 敏捷:D 魔力:E 幸運:C 宝具:B
【クラススキル】
気配遮断(C+++):モリアーティの場合、後述の宝具によって大きく変動しうる。
陣地作成(EX):本来はキャスターのクラススキル。通常のキャスターのように魔術工房としての陣地を作成することはできないが記憶の大図書館を頭脳の裡に常時展開させることで、あらゆる知識系の判定にボーナスを得る。
【保有スキル】
天賦の見識(A++):物事の本質を捉える能力。鋭い観察眼はあらゆる情報を見逃すことがない。
人間観察(A):人々を観察し、理解する技術。ただ観察するだけでなく、名前も知らない人々の生活や好み、人生までを想定し、これを忘れない記憶力が重要とされる。初見の相手だろうと趣味や職業、薬物服用の有無程度なら見抜けることも。
邪智のカリスマ(B):国家を運営するのではなく、悪の組織の頂点としてのみ絶大なカリスマを有する。モリアーティ自身は悪の頂点を望まないためこのランクに留まる。
対邪悪(B):『地上の悪魔は全て消し去らねばならない』。
『犯罪を働いた事がある』存在と対峙した場合、パラメーターを1ランク低下させる。
【宝具】
『全て私が企てたことなのです(クライム・コンサルタント)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大補足:-
『犯罪相談役』として引き受けた依頼は全て叶えきり、犯罪遂行率100%を成し遂げたことに由来する。
召喚された土地で行われる全ての違法行為、脱法行為に対して、成功率100%の『犯罪計画』を提供することができる。
ただし、モリアーティ自身はあくまで『相談役』であり実行犯ではないため、実行犯の能力限界を超えた計画は立てられない。
たとえば現代ならではのサイバー犯罪を計画するとした場合、実行人にも相応のPCスキルやハッキング能力が求められる。
また、『犯罪計画の作成』はまだしも『計画の実行』そのものに神秘は宿らないため、サーヴァントの条理を捻じ曲げるような干渉も不可となる。
『全ての悪魔は地上にいる(ロード・オブ・クライム)』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:悪 最大補足:-
対象が『混沌』『悪』『民を傷つけた逸話を持つ』という条件を満たしているごとに、自身の持つ気配遮断のランクが1つずつ上昇する。
また、上記の保持している条件が多い対象ほど、先手を取れる確率も上昇する。
また、モリアーティが定義する『消し去らねばならない悪魔』にはモリアーティ自身も含まれる。
その為、モリアーティは『善』『市民を救った逸話を持つ』存在と対峙した場合に、逆に気配遮断のランクに1ランクずつダウンがかかり、無防備に近づいていく。
【Weapon】
ステッキ(刃を内蔵した仕込み杖)
【サーヴァントとしての願い】
会いたい友達はいる。だが、己で聖杯を手にするよりは、悪用を考える者の手に聖杯が渡らないことを重視する
【マスター】
田中摩美々@アイドルマスター シャイニーカラーズ
【マスターとしての願い】
いつつでひとつ。
うどんのようにこの先も末永く。
ずっと、ずっと。
【能力・技能】
ボーカルやダンスなど、アイドルとして一定の技術を積んでいる。
得意分野は音感とファッション。
音感は幼い頃からピアノなど数々の習い事をさせられていた事により、ピアノの調律のわずかな狂いを聞き分けるほど。
ユニットメンバーの衣装監修やファッション雑誌でのコーディネイトに一家言持つなど、ファッションセンスは一般にも評価されている。
また、数々のシナリオでメンバー間の不調にすぐ気づくような察しの良さを見せる。
【人物背景】
283プロダクションに所属するダウナー系アイドル。『L'Antica(アンティーカ)』に所属。
界聖杯でもアイドル活動を続けてはいますが、アサシンの『犯罪計画』によって、世間には不自然に思われない程度の社会的ロール変更(事務所の引退や移籍、一人暮らし)がなされている前提にすることも可能です
【方針】
悪いことをしたら叱ってもらえる世界に帰る
【備考】
当選した場合の283プロに何が起こったか、あるいは含みを持たせただけで起こらなかったのかの扱いはお任せします
最終更新:2021年07月24日 19:39