・独自設定多数。楽しんでいただければうれしいです。
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「れいむがゆっくりできないよ!じゃましないでね!」
「はやくあっちにいくんだぜ!」
「ユッグヂジュ……ゆピィ!」
買い物の帰り道、どこからかゆっくりの声が聞こえてくる。
声のする方へ向かっていくと、数匹のゆっくりとすれ違った。
「あんなやつはいらないのぜ!」
「これでゆっくりできるね!」
ゆっくり達の出てきた方向を見ると、1匹だけ取り残されたゆっくりがいた。
ケンカでもしたのだろうかと考えつつ、よく見てみると…
「…!ゆびゃあ!!ユビビ、びぶー……ゆピィ!」
焦点の合ってない目、自然と傾いた体、乱雑に生えた髪の毛……
そこにいたのは奇形のゆっくりだった。
まともに歩けず斜めに転がりながら移動している。
お飾りからして恐らくまりさ種だろう。
仲間か家族かに捨てられたようだ。
『お前、捨てられたみたいだな。これからどうするんだ?』
「ぴぅ~!ピピピピ!ゆピィ!」
『どうせこのままじゃすぐ死ぬんだ。それならウチに来ないか?』
「ゆピィ!!」
どうしてゆっくりを、それも奇形を家へ持って帰ろうとしたのか。
ハッキリとした答えはない。
ただ、なんとなくこの奇形まりさが気になっただけだった。
「まりささまのおかげでみんなゆっくりできるんだぜ!かんしゃするんだぜ!」《ブゥーン…》
「さすがまりさね!あんなくずなんて《ドゴォ》ゆでびゅっ!」
「ん?れい……どおしてれいむがつぶれてるのぉーーーー!!!」
先ほどのゆっくりが何やら騒いでいる。
せっかくだからあいつも持って帰るか。
『なぁおまえ、飼いゆっくりになりたくないか?』
「ゆ?……なる!なるんだぜ!!まりさのみりょくにきづくなんてなかなかみるめがあるのぜ!」
ちなみにこっちの元気なまりさは完全に観察用。
なんだかウザいのでビニール袋に放り込んで口封じ。
俺は駆け足で家へ向かった。
帰宅後、まずはゆっくり用のハウスを2つ作った。
ハウスといっても、大きいダンボールの中にトイレ、寝床、エサ皿とティッシュを一箱入れただけのものだ。
無駄とは思ったが、一応生活のルールを説明した。
初めは奇形と一緒に暮らすのが嫌だとまりさがゴネていたが、野良の話を出すとすぐにおとなしくなった。
「ゆっくりりかいしたのぜ!」
「ゆピィ!!」
色々しているうちに夜になってしまった。今日はもう寝よう。
翌日、ゆっくりのハウスを見て俺は驚いた。
トイレ等の場所がキッチリと整頓されているのだ。
さらに、寝床にティッシュを詰めてふかふかにして寝ているではないか。
いや、それも確かにスゴイが俺が驚いたのはそこじゃない。
キレイに整頓されているハウスは1つだけで、もう片方は昨日と同じ状態のままだ。
ふかふかの寝床で寝ていたゆっくりが目を覚まして
「ゆっピピィ!」
と元気にあいさつをした。
『ごちそうさま。』
朝食を食べ終え、ゆっくりにエサをやる。
「ゆっくりいただきますなのぜ!」
「びッちゅられぁ~おぶ!」
二匹ともよく食べる。
だが2匹を見比べると、食べ方にも違いがあった。
普通のまりさは一口食べるごとに
「む~しゃむ~しゃ…しあわせぇ~~!!」
と言いながら食べている。おかげで周囲はカスだらけだ。
一方奇形まりさはエサをキレイに食べている。
普通のまりさが半分ほど食べた辺りで、奇形は完食してしまった。
最後の1粒を食べ終わるとこちらを見て
「ごじょろ~ば!」
と一言。どうやら私のごちそうさまをマネしているようだ。
しばらくして、普通まりさも食べ終わった。
「む~しゃむ~しゃしたら、なんだかうんうんがでそうなのぜ。」
慌ててトイレに向かう普通まりさ。
ほぼ同時に、奇形まりさもうんうんをしたくなったのだろうか、動き始める。
だが、何故かティッシュを加えてからトイレへと向かっていく。
そしてトイレにティッシュを広げてからその上でうんうんを始めたのだ。
「すっきり~~~!!」
「ジュぴぃ!!」
ほぼ同時にうんうんを出す2匹。
俺はうんうんの回収中に奇形まりさがティッシュの上にうんうんをした理由に気づいた。
普通まりさのうんうんはトイレに少しこびりついている。(洗えばキレイになるのだが)
一方、奇形まりさのトイレはティッシュのおかげて少しも汚れていない。
俺は思った。
もしかして、この奇形まりさはかなり頭がいいんじゃないか?
数日後、奇形まりさを水槽に移した。その方が観察しやすいからだ。
それからは俺がテレビを見ていると奇形まりさもテレビの方を見るようになった。
理解しているかどうかはわからない。
一方、普通まりさは最近番が欲しいと言い始めた。
どうせただスッキリしたいだけだろうから、ダメだと言い聞かせた。
少し不満そうな顔をしている。
さらに数日後、この奇形まりさをゆっくりに詳しい友人を呼んで見せてみた。
『ああ、これはよくいる天才型だよ。』
友人曰く、ゆっくりの中でも特別に知能が高い天才型というのがいるらしい。
だが、たいていの天才型は奇形児として生まれるので、親に捨てられたりしてしまうようだ。
たとえ成長したとしても、言葉をまともに話せないせいでそれが天才型だと周囲が気づく事はほとんどないとか。
『この奇形まりさ、拾ったんだって?
どうして見た目の悪い奇形なんて拾おうと思ったんだ?』
『んー。何となく拾っただけなんだ。』
『ま、そういう出会いもアリだな。
ところで、もう1匹まりさいるだろ?アイツはまだ飼う気ある?』
『いや、お前が帰ったら捨てようと思ってた。』
昨日、普通まりさがゲスになった。
番を許さない俺にストレスを感じていたのか、俺が帰ってくるなり
「おいじじい!さっさとびゆっくりをもってきてすっきりさせるんだぜ!!
なにみてるんだぜ!ゆっくりしないではやくしろだぜ!!」
それからしばらくゲス発言連発。
その場で潰そうとしたが、せっかく明日友人が来るのに勿体無いと思って生かしておいた。
ラムネをありったけ飲ませたので、今も寝ている。
『そうか、それは良かった。
そいつは見た目がきれいな状態だから丁度いいかなーって思ってさ。』
『???どういう事だ?』
『奇形まりさの餡をこいつの体に移植するんだよ。
お前がやりたいなら、だけどな。』
『そんな事ができるのか!?』
『ああ。ゆっくりの中枢餡が人間の脳みそと同じようなモノってのは知ってるだろ?
この中枢餡には記憶も保存されてて、他のゆっくりに移植する事ができるんだ。
後遺症とかも全くない。これは俺のぱちゅりーで証明済みだ。』
『お前って本当に色んな事知ってるな…。』
『で、どうするんだ?』
『是非頼む、昼飯奢るから。』
『おっけー。』
奇形まりさにラムネを飲ませて眠らせ、ゆっくりの移植手術が始まった。
友人は包丁を器用に使って普通まりさの頭部を切開し、餡子を取り出していく。
しばらくすると、光沢のある餡子の塊が見えてきた。これが中枢餡らしい。
普通まりさの中枢餡を外に出し、残りの餡子も取り出してから奇形まりさの作業に入る。
奇形まりさの餡子を普通まりさに詰めていく。
半分ほど入れた所で中枢餡を慎重に移植する。
その様子はなんだか本物の外科医みたいでちょっとかっこいい。
更に残りの餡子を素早く、丁寧に詰める。
そして切り取った頭を小麦粉で接合していく。
作業が終わる頃には傷跡はほとんど見えなくなっていた。
『天才ちゃんの移植は終わったよ。こっちのゲスちゃんはどうする?』
『そっちもお願い。せっかくゲスになったから…。』
『オーケー。』
ゲスの方も中枢餡を移植してもらう。
こちらもキレイに接合してくれた。(といっても奇形に変わりはないが)
『はい、作業終わり。夕方頃には目が覚めるだろう。』
『ありがとうな。ただ見に来ただけなのにこんな事やってもらって……。』
『いいって事よ。それより、作業してたら腹減ってきちゃった。
寿司を食べたいって俺の腹が泣いている~~~。』
『わかったよ。スーパーのヤツでガマンしてくれ、今買ってくる。』
『悪いね~。』
昼食後、少し雑談をして友人は帰った。
ゆっくり達はまだ眠っていて、部屋の中は静かだ。
そういえばゆっくり達を飼い始めてから賑やかになってたんだな……。
(…………ゅ…ゆ、いつのまにかねてたんだぜ)
(…ゆ?いつものおうちじゃないところだぜ…)
(…ゆ!どれいがあんなところにいるんだぜ!)
(おいどれい!ゆっくりねてないであまあまをよこすんだぜ!)
(やっとおきたのかだぜ!どれいのくせにゆっくりしてないではやく……おそらをとんでるみたい!)
「ブランジュ~~!ビョルドギャル~~!!」
『こっちが先に起きたか。おい、今から番の所に連れてってやるぞ。』
(ほんとうなのぜ!どれいにしてはきがきくぜ!はやくいくんだぜ!!)
「ジュベイン!!チュロヴァギア!!ヴィギリヂュ~~~!!」
『ああ…うるさい。』
奇形ゲスをビニール袋に放り込んで黙らせる。
俺は駆け足でコイツらと出会った場所へ向かった。
『ほら、ついたぞ。』
(やっとすっきりできる……だれもいないんだぜ?)
(なにしてるんだぜ!どれいはとっととまりささまをすっきりさせるんだぜ!)
「ベネジュエラ!ギャナダ!ヂャイナ゙~~!!」
『これからは自分で番を見つけて楽しく生きるんだな。』
(ゆ?なにをいってるんだぜ!どれいはとっとと…ゆべぇ!)
「ヤベリガ!ジャバ~~………ン゙ッ!!」
俺はゲスまりさを放り投げた。
着地の衝撃で少し餡をもらしたが、どうでもよい事だ。
(いだいよおおぉぉぉぉ~~~~~!!!)
「ゴリア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!!」
転がり暴れる奇形ゲス。その表情はとにかくありえない気持ち悪さだった。
体の動きも奇形効果で倍キモイ。
『最後に一ついいものを見せてやろう。ほれ、こっちを見ろ。』
俺は鏡を奇形ゲスに向けた。
(ゆ?……ぎもぢわるいゆっぐりがいりゅよ~~~~~!!!)
「ヂュニジャ~~~ゾヴィエド~~~~~!!」
『これが今のお前だ、まぁせいぜいゆっくりするんだな。』
(どぼじで~~~~~~!!)
「ヴェドナムゥ~~~~~~~~!!!」
晴れて自由の身となった奇形ゲスまりさ。
これから楽しいゆん生を送れる事だろう。
この糞饅頭の新たなる生活を呪福しつつ、俺は家へ帰った。
(…………………ゅ?)
(……ゅ…………おひるねしちゃってたのかな……)
(………ゆ、げんかんからおとがきこえる…)
(だれかな………あ、おにいさんだ!)
「おにいさん、おかえりなさい。」
『お、もう起きてたのか。体の調子はどうだ?』
「なんだかいつもよりいいみたい。とってもゆっくりできるよ!」
『そうか、それは良かったな。』
「………おにいさん、まりさのことばがわかるの?」
『わかるもなにも、普通におはなししてるじゃないか。』
「でも、いつもはおはなしできないのに……?」
『そういえば、まだ自分の姿を見てないんだっけ。』
俺は鏡に生まれ変わったまりさの姿を映した。
「…………ゆゆっ!まりさ、とってもきれいなゆっくりになってるよ!!」
パッチリとした目、真っ直ぐ立つ体、つややかな髪の毛にふんわりとした帽子。
中枢餡が変わったせいか、元々のまりさよりもかなりかわいらしくなっている。
『ちょっと歩いてみな?』
少しずつ、まっすぐ前へと歩くまりさ。
「ゆゆっ!まりさ、まっすぐあるけるよ!!」
『ほら、こっちにおいで。』
「ゆゆっ……………おにいさぁ~~~~~ん!」
ポヨンポヨンと跳ねながらまりさが俺に飛びついてきた。
勢いで倒れそうになりつつ、まりさを抱く。
『俺の知り合いが手術してくれたんだよ。良かったな、まりさ。』
「おにいさんありがとう!とってもうれしいよ!!」
奇形まりさは野良ゆっくりの家族として生まれた。
でいぶ化した母に度々追い出されそうになるも、そのたびに優しい父まりさがかばってくれた。
ところがある日、親が狩りに出かけている間に姉達によって知らない場所に置き去りにされた。
その時俺に拾われたのだと、まりさは過去を語ってくれた。
昔は優しかった姉達も母の影響で少しずついじわるになっていったらしい。
だから姉がいなくなってもそれほど悲しくなく、それよりも新しい体になれた事の方がうれしいとまりさは言う。
今では登録も済ませ、立派な飼いゆっくりとして一緒に暮らしている。
頭には銀色のバッヂ。つい先日届いたばかりの新品だ。
「おにいさん!まりさのばっち、にあってる?」
『ああ、とっても似合っててかわいいよ。』
「ゆゆ、なんだかてれるよ~…♪」
バッヂ試験の際も友人が協力してくれたおかげで、俺は苦労する事なく申請する事ができた。
今日はまりさの銀バッヂ合格祝いだ。奮発して出前寿司を注文している。(まりさには高級フード)
『おーい、生きてるか~~。』
友人が来たようだ
「ゆっ、おともだちのおにいさんがきたよ!」
『そうみたいだな。』
俺とまりさは玄関へ行き、扉を開ける。
「おにいさん、いらっしゃい!
ゆっくりしていってね!」
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・anko1874 永久機関?
・anko1885 ドスとなった人間
・anko1908 ゆん月殺法
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・最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
・こんなに長くなったの初めて。
・「天才は周囲から理解されない」って話をつくろうとしたらこんな事に。
・本文に合ったタイトルが思い浮かばない…
・表現豊かな文章を書けるようになりたいな。
・読んでくれた人がゆっくりしてると作者もゆっくりできるよ!!
最終更新:2010年10月09日 21:04