ちょっとした誤字が非常に気になってしまう作品。
「全然褒めてねぇよ」といわれるかもしれないが、他の作品な
ら普通にスルーできる瑕疵が目立ってしまう、それくらい素晴
らしい作品だということ。
前編の暗く張り詰めた空気、作品を読むにしたがって逆転され
る「視点」、明かされていく「真実」、そして後編のたたみか
けるような展開と結末。大部な作品であるにもかかわらず、だ
れることなく読み進むことができる作品構成は見事としかいい
ようがない。
作品を彩るキャラクターの魅力は最早言うべきにあらず。主人公
のまりさ。幾千のゆ虐小説を読み、様々なゆっくりと出会いと別
れを繰り返した今でも、彼女の想い出は色褪せることがない。
強面なゲスっぽさなど欠片もなく、甘ったるい物腰でただ純粋
に己のゆっくりを求め続けるこのまりさこそ、まさにゆっくり
の中のゆっくり。
ゆっくりとは何かという命題を突きつける存在だと思える。
この作品は制裁系の、とりわけヘイト作品の中で最高峰に位置
づけられるものだろう。この作品に描かれるゆっくり像はあま
りにも酷すぎる。現実にゆっくりがいれば、多くの人が血走っ
た目でゆっくりを探し始めるに違いない。
「少女とまりさ」―この作品はゆっくりんぴーすに対抗して
加工所が解き放った、プロパガンダの核弾頭なのだ。
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