anko2298 どうする?

どうする? 36KB
制裁 自業自得 お家宣言 群れ 現代 12作目ましておはようございます。キャンセルあきです。


■序 ぱちゅりーの群れはゆっくりしてるよ!

 ここは人気の少ない公園。
 例に漏れず、野良ゆっくり達がぱちゅりー種を長とする、小さな群れを形成していた。

「ゆん、おさ! まりさのおちびちゃんはみつかった!?」
「むきゅ……今、ちぇんとありすにさがさせているけれど、まだ見つからないわ」

 "にんげんにはちかづかないこと"を掟の一条として、密かに静かに暮らしてきた彼らだが、
今はちょっとした問題を抱えているようだ。

「ゆうう。まりさのおちびちゃんがしんぱいだよう。おひさまがまうえにきたら、
ゆっくりとした"かり"のしかたをおしえてあげるはずだったのに……」
「まりさのいちばんうえのおちびちゃんは、おてんばなおねえちゃんだったものね……」

 まりさ種のおちびちゃんが一匹、行方知れずになっているのである。

 日々、少しずつ過ごしやすくなる夏の終わり。
 梅雨明け後に生まれた子ゆっくりが、大きくなった体をもてあまし始める時期だ。
 特にまりさ種のおちびちゃんは、旺盛な好奇心から一人で遊びに行ってしまうことがよくあった。

 幸い、今までは大きな問題もなく、十匹居たまりさのおちびちゃんは三匹に減っただけだった。
今回、子まりさの外出がばれたのは、子供が"2"しか居ないことに親まりさが気付いたためである。

「これは、人間さんのところにいってしまったのかもしれないわ」
「ゆん!? おさ、めったなことをいったら、ゆっくりできないよ!」
「むきゅ……そうね、まりさ。しつげんをゆっくりあやまるわ」

 と、その時だ。ゆっくりぷれいすを騒然とさせる"人間の足音"が、長ぱちゅりーの耳に入った。

「に……にんげんさんだああああっ!」
「わからないよーー! おさ、おさはどこおおおっ!?」
「むきゅ! ぱちゅはここにいるわ! 人間さん、そこまでよ!」

 がさがさと草むらを鳴らして近づいてきた人間さんの足下に、ぱちゅりーは身を乗り出して制止した。
人間の邪魔をするなど自殺行為ではあるのだが、どうせ殲滅するつもりなら抵抗は無意味との認識がある。

「おねえさんはゆっくりできるおねえさん? だったらゆっくりしていってね!」
「はいはい、ゆっくり出来るかどうかは、このお饅頭次第だと思うわ」

 ゆっくりぷれいすにふみこんできたのは、ジャージにスニーカーという格好の、中学生程度の少女だった。
 ぽとん。少女が親まりさの足下に子ゆっくりを放る。

「それ、アンタ達、そのゆっくりのおかざりに見覚えある?」
「お、おちびちゃあああん!? ゆっくり、ゆっくりしてね!」

 手のひらサイズの子ゆっくりは、お帽子を何処からどう見てもまりさの可愛いおちびちゃんだった。
 出餡こそしていないものの、傷だらけの体が痙攣をしていた。

「……? ――!!!」
「ぺーろぺーろ。……どぼじでおちびちゃんがしゃべれないのおおおぉぉ!?」
「あ。このおうちの白黒饅頭で合ってたんだ。ゆっくりぷれいす三つくらい遠回りしちゃったな」

 話せないのも仕方ない。子ゆっくりの口は、たこ糸で堅く縫い合わされている。
 少女は「よっこらせ」と、子ゆっくりを入れていたらしい透明な箱に腰掛けた。

「ぺーろぺーろ……おとうさんがゆっくりなおしてあげるから、おちびちゃんはゆっくりしてね!」
「むきゅ! 人間さん、まりさのおちびちゃんをとてもゆっくりできなくさせて、
これはどういうことなの!?」
「手当てしなくても死にはしないわ、"コレ"であんよを叩いただけだもん」

 少女は、良くしなるハエ叩きをひゅんひゅんと素振りして見せた。

「あ、口も塞いだか、そういえば。"話の通じないゲスは永久に黙ってね!"って言ってたから、
ちゃんとそうしてあげただけなんだけど……」

 素早く左右に振られるハエ叩きがきめぇまるを彷彿させて、親まりさ達をゆっくりとさせない。

「どぼじで! にんげんざんはどぼじでこんなことするのおおっ!?」
「ゆ……ゆう……。とてもゆっくりしていないけれど、ぱちゅにはどうにもできないわ。
人間さん、ぱちゅのむれのおちびちゃんが、人間さんにめいわくをかけたのかしら?」
「私の家に入り込んで、おうち宣言したの」

 ひゅん! ハエ叩きの先端が、子ゆっくりを指した。

「……ゆ? 人間さんのおうちに近づいちゃ駄目って、お父さんいったでしょおおおぉぉぉぉっ!」
「しかも、私のおやつにするはずだったシュークリームを、勝手に食べちゃったの」

 子ゆっくりの縫い付けられた口には、あまあまなクリームが付着している。

「ぺーろ……! これはあまあま! おちびちゃん、ひとりじめっ! はだめでしょおお!?」
「あまつさえ、私の飼ってるれいむとすっきりーして、おちびちゃんまで作っちゃったんだ」
「むきゅ……ほんとうだわ!」

 子ゆっくりの下腹部は、ぽっこりとふくれている。
 どうやら、動物型でにんっしんっ! してしまったようである。

「おちびちゃん! かってにすっきりーするなんてうらやま……けしからんでしょおおぉぉ!」
「ごめんなさい、にんげんのおねえさん! ぱちゅがあやまりますから! しっかりはんせいさせますから!」
「はいはい、ゆっくりゆっくり」

 ゆっくりのごめんなさいは鳴き声、聖闘士に同じ技は通用しない、これらは基本的な常識だ。
 なので、野良ゆっくりは見敵必殺、見かけるなり踏みつぶすのが常識的な対応というものだ。
 しかるに、この少女はそんな常識にとらわれるタイプのお姉さんでは無かった。

「心配しなくても、私はこれ以上アンタのおちびちゃんを痛めつけるつもりは無いよ。
私が聞きたいのはただ一つ。アンタ達、このお饅頭を……」



 どうする?
キャンセルあき



■一、 おうち宣言はゆっくりしてるよ?

「……ゆ?」
「……むきゅ?」
「ゆ? とかむきゅ? じゃなくってさ、アンタ達、この饅頭を、どうする?」
 少女は子ゆっくりをハエ叩きでぺちぺちと叩きつつ、親まりさをねめつけていた。

「どうするって、ゆっくりするにきまってるでしょ? ばかなの? し――『パァンッ!』――
ゆっぎゃああああっ! いてえ、これめっちゃいてえ、マジぱねえええぇ!」
「むきゅあああっ! にんげんさんに"死ぬ"なんていったらだめでしょおおおっ!?」

 定型句(テンプレート)に合わせて一撃。饅頭皮の表面に感覚が集中しているゆっくりに対しては、
殴るよりもはたく方が有効だ――殺さずに痛めつけるならば。

「今のは"死ね"とか言った分に対するケジメだから。叩くだけで済ますなんて、優しくってゴメンね?」

 みるみる晴れ上がる親まりさのケツを、少女はぞっとする程冷たい目で見下ろしていた。

「――で、このお饅頭どうするの?」
「ゆゆゆゆゆ……まりさはまりさのおちびちゃんを、ゆっくりさせたいんだよおおお」
「親として、子供のケジメはどうするわけ? 責任取らせて"せいっさいっ!"しないの?」
「かわいいおちびちゃんをせいっさいするわけないでしょ?」
「――まりさ、だめよ!」

 親まりさは、『何言ってるんだコイツ』という顔で返した。長ぱちゅりーは、まりさの発言の
危険性に気付いたが、それを抑えるのは一歩遅かったようだ。

「おねえさんのおうちをおちびちゃんがおうちせんげんしたなら、そこはおちびちゃんの
ゆっくりぷれいすなんだよ! にんげんのおねえさんはゆっくりりかいしてね! 」
「まりさ、それは人間さんにいっちゃ、だめなことなのよおおお!」

 "きりっ"とした親まりさ。絶望的な表情のぱちゅりー。
「分かった」少女のため息が長く、長く続いた。

「アンタ達がそうやってケジメをつけるなら、今からアンタの家を私のゆっくりぷれいすにするから。
そして全部ぶちこわしにしてあげるね」
「ゆ……どぼじでぞうなるの? おねえさんゆっくりしてないよ。ゆっくりしていないおねえさんは、
まりさがせいっさいっするよ。ゆっくりしないでしんで――『パァンッ!』――ゆっがあああああっ!?」
「まりさ、それいじょういけないわ」

 ハエ叩きを力一杯振り抜いて、少女は、親まりさを踏みつけた。

「アンタのガキがさ、私を奴隷扱いして色々させようとしたのよ」
「おうちせんげんをしたなら、おねえさんのおうちはおちびちゃんのおうちでしょお!?」
「私だって、ゆっくりの間にはおうち宣言しておうちを奪い取るルールが有るのは知ってるわよ。
人間の家にもおうち宣言しようとするんなら、自分の家がおうち宣言されてもおかしくないわよね?
一応言っておくけれど、アンタのガキ、私が部屋に居るのに無視しておうち宣言したからね」

 至極当然の理屈である。

「む、むきゅう……」

 "その瞬間にお姉さんが居なかったのなら、子まりさはお姉さんのおうちだと知らなかったのだ"
 "今、ゆっくりが居るこの場をおうち宣言で奪うのはゆっくりできない"
 そう言ってお目こぼしを貰おうとした長ぱちゅりーは、機先を制された形で言葉を無くした。

「勿論、私のおうち宣言が気にくわなければ、力尽くで排除してもいいから。
私だってそうしたから別にかまわない……で、アンタはその饅頭をどうするの?」
「ゆ……」
「アンタに取って、他の種族の家をおうち宣言で乗っ取る事は正しいことなの? 当然なの?
だったら私も同じことするつもりなんだけど、そうじゃなければケジメが必要よね?」
「ゆぐぐぐぐぐ」

 親まりさは、口を縫い付けられた、とてもゆっくり出来ていないおちびちゃんを見て歯がみした。
 子まりさのしでかした事に対して、お姉さんの所業は(ゆっくり基準で)やりすぎである。
 だが、人間側に『力ずく』という選択肢がある以上、不興を買わないようにするしかない。
 親まりさは、交渉を長ぱちゅりーに委ねて、人間のお姉さんを奴隷にして(まだ勘違いがある)
もらい、子ゆっくりを治して貰うことにした。

「ゆ……おさ!」
「そこの長ぱちゅりー、アンタはこの饅頭をどうするの?」
「むきゅうううっ! ぱちゅは……ぱちゅは……」

 親まりさよりも早く、少女が長パチュリーに話を振って来た。
 
「アンタが長で、人間相手のおうち宣言が"有り"って判断するんなら、私はこのゆっくりぷれいす
全体をおうち宣言するかな。でも、公園全部をメチャメチャにするなんて面倒だし…………
そうだなあ、"加工所"か"一斉駆除"の出番かな?」
「むきゅ!!」

 加工所。
 一斉駆除。
 その二単語が出た瞬間、少女とまりさ達のやりとりを遠巻きに眺めていた群れゆっくり達の
空気が一変した。

「"かこうじょ"はとかいはじゃないわ」
「"いっせいくじょ"はゆっくりできないよ!」
「そこのゲスなおちびちゃんをせいっさいっ! するべきなんだよー。おさはそれをわかってねー!」
「げすなおちびをせいっさいっ! するみょん、きょせいだみょん!」
「あたいさいきょう」

 具体的には、それまで人間の家に侵入した子まりさへ同情的な論調だったささやき声が、
一気に子まりさを排除する声へと変わってしまったのだ。

「あ、すっごい涼しい」「そんなことよりおうどんたべたい」「……皿うどんで良い?」
 なお、ゆっくりちるのは即座に少女に捕らえられて、厳しい残暑を和らげた。

「みんな、そういうゆっくりできないことをいうのはやめてね! せいっさいっはゆっくりできないよ!
ゆっくりりかいしてね!」

 つい先程までは、群れの同情的な空気に背中を押されて、少女に制裁発言を行ったまりさだが、
舌の根も乾かないうちに発言を翻して、群れに温情を訴えかけた。

「「「「「せいっさい! せいっさいっ! せいっさい!」」」」
「どぼじでぞんなごどをいうのおおおおっ!?」

 人間とゆっくりの関係が、いい加減に長い町である。加工所と駆除の恐ろしさは、群れ全ての
ゆっくりにしみこんでいた。
 群れ全体の危機に際して、役にも立たずに厄を呼び込む子ゆっくり一匹、制裁して事が済むなら
そうしてしまえ、という空気が、すでに蔓延してしまったのである。

「まりさ、しかたがないわ。おちびちゃんをせいっさいするしか……もう……」
「ぱちゅりーはおさでしょうっ! まりさのおちびちゃんをゆっくりさせてあげてよね、いますぐでいいよ!」
「一応言っておくとさ、群れのルールで制裁して良いって、結構優しい事だからね?」

 本来なら、子ゆっくり一匹のおうち宣言で、群れ一個が消滅してもおかしくはない。

「それで、ぱちゅりーはどうするの?」
「むきゅ……人間のおねえさんは、このおちびちゃんをどのくらいせいっさいっ! すれば、
ぱちゅたちをゆるしてくれるのかしら?」
「おさああああっ! おちびちゃんをゆっくりさせろおおおっ!」
「許すも何も、群れのルールでやっていいって言ってるのよ。私はしっかり見て置くからさ。
命までは取らなくてもいいわよ?」

 それはつまり、少女の気が済むまでぱちゅりーが子まりさを制裁しなければならないという意味だ。

「むきゅ……わかったわ。おちびちゃんを……せいっさいっ! するわ……」

 ぱちゅりーは吐き気を抑えつつ、がっくりとうなだれた。



■二、 おちびちゃんのあんよさんはゆっくりしてるね!

「むきゅ……にんげんさんは、どうすればゆっくりできるのかしら?」
「私としては、またおうち宣言に来られたり、報復に来られるのが怖いわ。
怖くて怖くて、朝六時に目が覚めてラジオ体操に行っちゃうくらいよ」
「わかったわ……」

 長ぱちゅりーは、みょんに鋭利な枝を持ってこさせた。

「おちびちゃんがにどと人間さんのおうちにいけないように、あんよをぷーすぷーすしましょう」
「みょんのごんぶとな"ろーかんけん"を、げすちびのあんよにそうにゅうするちーんぽ!」
「ゆっがああああっ! おちびちゃんをきずつけるなあああっ! やめろおおお、おさあああっ!」

 親まりさは、既に別の俊敏なちぇんに捕まえられ、屈強なみょんによって取り押さえられている。

「これいじょうあばれるなら、うしろからとかいはにぶっすりいくわよ、まりわ」
「このれいぱーめええっ! まりさをはなせええ! おちびちゃんをゆっくりさせるんだあああっ!」
「んまっ! ありすをれいぱーよばわりなんて、つんでれさんね」
 後に控えたれいぱー予備軍ありすのぺにぺにが、いつでも制止餡を放出できるようにぎんぎんだ。

「――●×! ――●×!」
 "やめろ"か"ゆっくり"か、大柄なれいむ二体によってあんよを露わにされた子ゆっくりは、
縫い付けられた口で何かを叫んでいる。

「みょん、ゆっくりかくごするみょん」

 ぞぶり。
 小枝の尖った先端が、脈打つあんよにゆっくり、あくまでもゆっくりと突込まれて行く。
 寒天の両目が限界まで見開かれた。
 餡子脳が処理できる範囲を越えた激痛に、動きが一瞬だけ停止して。

「××□●▼♪‡――!!!!!!」
「おじびじゃああああああああああああああ!!!」

 声にならない悲鳴を爆発させる子ゆっくりと、我が子を呼ぶ親まりさ。
 開かれすぎて転げ落ちそうな目玉からは、途切れなく砂糖水の涙が流れて滝を作り、
びくんびくんと波打つ体を、左右かられいむ二体が必死で抑えた。

「おじびじゃ……! ゆっくりゆっくりゆっくりゆっくりいいいっ!」

 あんよを駄目にされてゆく我が子を見て、親まりさはゆっくりを連呼するだけの饅頭と化して行く。

「……おねえさん?」
「あれ、一回刺しただけで終わるの? ひょっとしたら、歩けるようになりそうで不安ね」
「みょん! たくさんぷーすぷーすしなさいっ! いそいですませてあげるのよ!」

 あんよに致命的なダメージを与えないようにと、みょんの突き刺す小枝が手加減されていることを、
少女は見抜いていた。長ぱちゅりーは、あんよを潰さなければならないなら、せめて痛みを感じる
時間が短くなるようにと、みょんにしれいを飛ばす。

「みょんっ! そーろーはかずでしょうぶだちーんぽ!」
「↑↑↓↓←→←→×○――――!!!!!!!」
「やべろおおおおっ!」

 戦闘機がフル装備になるレベルの奇声を口の端から漏らす子ゆっくり。

「おちびちゃんのかもしかのようなあんよさんがあああっ!」

 少女が「もういいんじゃない?」と言うまで、子ゆっくりのあんよはチーズのように穴だらけにされた。


■三、 ゆふん。おちびちゃんのおめめはほうせきみたいだよ!

 ぐったりとした子ゆっくりは、少し風があんよに当たる度に激痛が走っているのか、体をびくびくと
震わせている。まともな子ゆっくりならば、とっくに吐餡で皮だけのぺらぺらになっているが、
たこ糸に縫われた口では餡子を吐きだして死ぬことも出来ずに、目は血走り、頬はこけ、既にして
非ゆっくり症の初期症状を示していた。

「ゆ……ゆふぅ。ごぷっ! せいっさいっ! ゆっくりできないわ……お姉さん?」
 口の端からクリームを垂らすぱちゅりーは、どうせまだまだ制裁為なければならないのだと
悟っていながら、少女にお伺いを立てなければならなかった。

「今思い出したんだけどさ、私、着替えてる所を見られちゃったんだよね。制服からブラとかぱんつとか、
替えてるとこまで全部……無かったことになって欲しいなあ」

 子まりさが侵入してから、おうち宣言を終えてれいむとすっきりーするまで着替えていたことになるが、
そんな些細な違和感を指摘する脳があるなら、ゆっくりに等生まれてくることはない。

「それで……どうする?」
「みょん。おめめを……おちびちゃんのおめめをつぶすのよ」

 白々しい少女の質問に、ぱちゅりーの出した結論はアマギりだった。

「ゆ!? いいのかみょん?」
「しかたないわ。ゆっくりしないで、なるべくはやくやってあげて」
「ン~~……!! ム~~……!!」
「やべるんだぜええっ!」
「じゃあ、アンタがその饅頭の代わりにおめめを潰される? 私はそれでもケジメになるとは思うんだけど」

 透明な箱に腰掛けたままの少女が、ハエ叩きの先を親まりさの眼前2cmにぴたりと止めた。

「ゆ!?」
「……まりさ」

 長ぱちゅりーの視線が、まりさのおめめに注がれる。
 逡巡――おちびちゃんをゆっくりさせてあげたいが、そのために自分の目を差し出すのはゆっくり出来ない!

「どうするの?」
「ゆゆぅ……」

 基本種が子供を可愛がるのは、子のゆっくりしている様子を見て自分がゆっくりするためである。
 つまり、おちびちゃんは"ゆっくりさせてくれる"ものだという思い込みが先にあって、子供のために
我が身を犠牲とする行為は、一般的に母性(笑)の強いれいむ種しか行わない。

 それが、既にあんよを潰されて生存能力を削がれた"ゆっくりできない"子供となれば尚更だ。

「まあでも、それだとアンタがおちびちゃんのために"狩り"が出来なくなるもんねえ?」
「ゆ! そうだよ、まりさが"かり"をするためには、まりさのおめめがだいじだいじだよ!」

 だから、親まりさは少女が巧妙に示した逃げ道に、一も二もなく飛びついた。

「ごふっ! ……いいのね、まりさ?」
「おちびちゃんのおめめがなくなっても、まりさがゆっくりさせてあげるよ! おさはゆっくりりかいしてね!」
「わかったわ……みょん」
「みょーん」
 みょんが一歩、あんよを進める。
 口に咥えた枝の先を凝視する子ゆっくりが、ぶんぶんと首をふった。

「おちびちゃん、うごかないでね! へんなところにささったらえいえんにゆっくりしちゃうよ!」
 左右から押さえつけるれいむも、アマギるのはやり過ぎだと思っているのだろう。
 ひょっとしたら、嬲る事無くに永遠にゆっくりさせてあげた方が、子まりさにとっては幸せかも知れない。
 そう思いつつも、少女を納得させるために、ぱちゅりーは吐き気のする制裁を続けさせた。

「うごくなみょん、たちすじがみだれるみょん。らんっこうっ!」
「んんんん……『ずぶり』……っむんんんん!!!!!」

 みょんは、余計な苦痛を与えないため一息に枝を刺した。
 れいむ達は、少し可哀想になったためか、押さえつける力を緩めてしまった。

 その同情が結局はみょんの狙いを外させて、逆効果になった。
 右目の真ん中に刺さるはずの小枝は、頬に突き刺さって、下の角度から目玉を貫通したのだ。

 子ゆっくりは口の縫い目から液化した餡を吐きだし、膿の様な濁ったしーしーが穴から漏れた。

「おじびじゃあああん! あばれじゃだめえ。あんこさんはいちゃだめえええっ!」

 暴れまくるせいで、刺さった小枝はおめめ周辺の餡子をかき乱し、肌を破壊する。
 それによってさらなる痛みが走り、激痛に飽和した子ゆっくりがなお暴れるという悪循環。

「みょん、ゆっくりぬくみょん!」

 みょんが小枝を引き抜く。
 べちゃ、と。湿った音を立てて白く濁った寒天の玉が転がる。

「ゆぎゃああっ! おちびちゃんの、よぞらにかがやくおほしさまのようなきらきらしたおめめがああっ!
はなせ! おちびちゃんをまりさがぺーろぺーろしてあげるんだああっ! ああああああああ!」

 おやまりさは、押さえつけるみょんとちぇんを振り払った。
 本来ならばぽろりと引き抜ける筈だった目玉は、饅頭皮にぺっとりと餡子を付着させて抜け、
子ゆっくりの顔右側半分に悲惨なクレーターを残している。

「ぺーろぺーろ……おちびちゃんゆっくりしてねええええっ! これめっちゃうめええええっ!」
「あ、少し本音が漏れてる」
「えれえれえれ……さっしてちょうだいおねえさん。ゆっくりのほんのうなのよ……」

 凄惨な状況に、ぱちゅりーはかなりの吐くりーむをしていたが、まだ永遠にゆっくりする程ではなかった。

「でも凄いわね、見なかったことにするだけなのに、目玉くりぬいちゃうなんてさ。
人間だって、アマギり三年焼き八年っていうくらい難しいのに……で、片方だけなの?」
「ゆううっ! みょん、もうかたほうもやりなさい! エレエレエレエレエレ……」
「みょ……みょーん……」

 みょんは、小枝の先についた目玉を、なるべく崩さないように抜いた。
 人間が帰った後でひっつけることが出来るかも知れないからだ。
 オレンジジュース級のあまあまな液体があれば、ゆっくりの肉体修復は比較的楽である。

「みょん……きこえているならいうことをきくみょん。うごかないほうが、おちびちゃんはいたいいたい
しなくてすむみょん。わかったかみょん?」

 みょんがじりじりと近づける小枝の、黒く餡が付いた切っ先に、子ゆっくりは虚ろな視線を向けている。

「ゴクリ……」

 ぱちゅりーが口のクリームを飲むのと、小枝が再び、今度は狙いを間違えず目玉へと突き刺さるのは、
殆ど同時だった。

 今度は、どのゆっくりも悲鳴を上げなかった。


■四、 おちびちゃんはそんざいそのものがゆっくりできるといわざるをえないよっ!

「で……これからどうするの?」
「おちびちゃんはもうぴょんぴょんできないわ! おめめだってなくなったわ!
おねえさんはこれでまんぞくじゃないの?」

 ぴくぴくと小さく身もだえする子ゆっくりの足下には、小さな寒天が二つ転がっている。
 もう、まりさのおちびちゃんはゆっくりした景色を見ることも、美ゆっくりを目にすることも出来ない。
 ぴょんぴょんでゆっくりぷれいすを駆け回ることも、"狩り"でお帽子一坏のごはんを取る事も出来ない。

 よしんば生き残ったとしても、ごはんを食べてうんうんをひりだすだけの、糞袋と化してしまったのだ。

「実は私、もう一個不安な事があるんだよね」
「むきゅううっ! なになのおおおっ!? エレエレエレ……ゴクン」

 クリームを吐く。
 そして飲み込む。
 自分の中身を三回も反すうしたぱちゅりーは、最早恐れる物は何も無いという感じだ。

「それ……そこの饅頭のおちびちゃんのこと」

 ハエ叩きの先端が、子ゆっくりの膨らんだ下腹部に向った。

「私の飼いゆっくりとの子供だからさ、後から"飼いゆっくりにしてくれー"なんて言われるのが怖いのよ」
「お……おちびちゃんはゆっくりできるんだよ!?」
「へえ、そうなのかー。……だったらどうするの?」
「おちびちゃんのおちびちゃんだって、ゆっくりできるにきまってるでしょおおおおおっ!?」

 全然決まっていない。
 "おちびちゃんはゆっくりできる"の思い込みは、飼いゆっくりが野良ゆっくりに転落する原因の、
堂々一位に上げられるほど、拭いがたく厄介なものだ。
 金バッジゆっくりですら、時には思い込みに囚われ、野良との子供を飼い主に見せつけるのである。

「そのゆっくりできるはずのおちびちゃんが、人の家に上がり込んでおうち宣言してくれたんだってば。
ゆっくり理解してね?」
「むきゅ、ゆっくりりかいしたわ。でも、おちびちゃんをちゅうっぜつっ! させたりしたら、
それこそえいえんにゆっくりしちゃうわ。それはゆっくりできないことでしょう?」
「別に、お腹に枝を突っ込むのが中絶方法って分けじゃないでしょ」
「ゆう……」

 長ぱちゅりーは、れいぱー予備軍のありすを呼び出した。

「きずだらけのおちびちゃんですっきりーなんて、とかいはじゃないわあ……」
「むれのためよ、がまんしてすっきりーしてちょうだい」
「にんっしんっしたおじびじゃんでずっぎりーずるなあああっ! このげすれいぱーーーっ!」

 れいぱー気質があるからといって、相手がどんなのでもかまわないというわけではない。
 ぺにぺにはギンギンといかずにちょっと萎え気味だ。
 ありすはあまりゆっくりできないすっきりーに挑んだ。

「ゆう……おちびちゃんのわりにしまりがわるいわあ」
「まりざのおちびじゃんのまむまむにもんぐいうなあああ、このれいぱああがあああ!」

 叫ぶだけの親まりさは無視して、一人すっきりーのごときれいぱー行為を行うありす。
 やがて――

「……すっきりー……。あまりとかいはじゃなかったわね」

 ――ありすがすっきりーを終えて、子ゆっくりの体から身を離す。
 すると、子ゆっくりの緩みきったまむまむから、白い精子餡とともに、まだゆっくりとしての形が
できあがる前の、ぐずぐずにくずれた餡子の塊が出てきた。
 よく見れば、その塊には蔦の様な細い筋が生えている。

「おちびちゃんの……おちびちゃんがあああっ!」

 胎内に居ながらにして精子餡を浴びたために、実ゆっくりがにんっしんっしてしまい、
当然の結果として栄養失調から死産となったのだ。

 代りに、と言うべきか、子ゆっくりの額に蔦が生え始める。
 それがある程度伸びた所で、新しい実ゆっくりが実る前に、みょんが小枝で根本から切ってしまう。
 子ゆっくりには、おちびちゃんを作る体力など残っていないという、長ぱちゅりーの判断だった。


■五、 おちびちゃんのお飾りはかがやいているね!

「さあ、もういいでしょうおねえさん! ぱちゅたちのゆっくりぷれいすからゆっくりでていってね!」
「うん、もう私に不安は無いかな。……それにしても、お父さんまりさは優しいよねえ?」
「ゆん?」
「だって、自分の子供のあんよをつぶしておめめアマギってまむまむも抉って、
なのにお帽子は手を付けてないんだもん。……本当に優しいよね?」
「ゆ……ゆううぅぅぅぅ……」
「で……どうするの?」

 優しい優しいと良いながら、少女は子まりさのお帽子に冷え切った視線を注いでいた。
 同じような視線が、群れ中のゆっくりから、親まりさへと注がれている。
 もう、親まりさの選択肢は残されていなかった。
 親まりさの餡子の真ん中……親としての情をつかさどる大切な部分が、急速に冷え込んで行く。

「おちびちゃん……ごめんね」

 ばしん。
 親まりさは、ゆっくりにとって命の次に大事な物であるお飾り。
 ゆっくりまりさ種の象徴、黒い三角のお帽子を、金髪のおさげではじき飛ばした。

 ひらひらと舞うすべやかなお帽子。
 巻かれた白いリボンがとても綺麗な、ゆっくりとしたお帽子。
 他のまりさのお帽子とは違って、頂点の三角形がぱりっときまった、自慢のお帽子。

 それが、父親の手によってはじき飛ばされ、宙を舞っている。

 ゆっくりはどんな状態になっても、お飾りが体から離れれば、そのゆっくり出来ない感じを覚える。
 いま、肉親の手によってお飾りを奪われたおちびちゃんは、どれほど悲しげな顔をしていることだろう!
 
「……ゆん?」

 その時、特派ゆんが見た物は?

 ――口をたこ糸で厳重に縫われ、
 ――あんよを穴だらけにされ、
 ――両目をアマギられた後も無残であり、
 ――まむまむから死産した残骸を垂れ流す、
 それは、見知らぬゆっくりれいむの姿だった。

「むきゅ…………れいむ?」
「ど……どうしてれいむがおちびちゃんのおぼうしをかぶってたの?」
「だって、私が飼ってるれいむに、おぼうしを被らせてただけだもん。あれえ、ひょっとして気付いてなかった?」

 まりさ種のお帽子が無くなった今、親まりさの目には、そのゆっくりの本当の姿が見えている。
 黄金のようにきらきらしている金髪だと思っていたお下げは、餡子に染まった黒い髪となった。
 親まりさのお帽子で包み込んでしまえそうだと感じた小さな体は、ぶっくりと弛んだ体だった。
 おちびちゃんだと考えていたそのゆっくりは、その実、成体に近い大きさの子ゆっくりだったのだ。

「私、ソレがアンタのおちびちゃんだなんて、一言も口にしてないは・ず・だ・け・ど?」

 白々しい棒読みで、覚えてきたような台詞を吐く少女。

「あ、ちなみにアンタのおちびちゃんはコッチ。無傷だから」

 そう言って、少女は腰掛けていた"透明な箱"から、ゆっくり出来ないゆっくりを取り出した。
 お飾りのないゆっくりは、地面に落ちたお帽子をかぶせられると、まりさ種のおちびちゃんとして認識された。

「おとうしゃああああんっ! まりさは! まりさはゆっくりできないくそばばあにつかまって――!
おぼうしとられて! とじこめられてっ! こわかったのぜえええっ! こころぼそかったのぜえええっ!」
「おちび……ちゃん? ほんとうにほんとうのおちびちゃんなの?」
「そうなのぜ! まりさがゆっくりしてるまりさなのぜええええええっ!」
「お……おちびちゃああん! ごめんね、おとうさんがたよりなくって、ごべんねえええっ!」

 すーりすーりとぺーろぺーろで、たちまちお互いの体を唾液塗れにする。
 うざくもキモイ、親子感動の再会であった。

「じゃあ……ぱちゅりーは」
 とここで、虚脱状態に陥っていた長ぱちゅりーが、自分のしでかした所業に思い至る。
「かんけいないゆっくりにひどいせいっさいっ! を――エレエレエレエレエレ……!」
 餡子とクリームを吐いて現実から逃げ始めたぱちゅりーに、
「はいはい、ゆっくりゆっくり」と、少女はオレンジジュースをかけて賦活させた。

「別に気にしなくてもいいよ?」
「むきゅ?」
「だってコレ、そろそろ捨てようかと思ってた奴だし」

 少女は、瀕死のれいむを乱暴にひっつかむと、透明な箱に放り込んだ。
 口を縫われているために何を言おうとしているかは分からないが、痙攣の様子から、
その台詞は「ゆっ……ゆっ……ゆっ……」という断末魔が近いだろう。

「私におちびちゃんを見せたら、飼いゆっくりから野良に戻らないで済むと思ってたらしいね。
まさに餡子脳! って感じでびっくりしたけど。だから、アレについては気にし無くって良いんだよ?」
「むきゅ……そ、そうなのね。ゆっくりりかいたわ」

 まりさ親子は、目をとろけさせてすーりすーりに興じている。

「まりさも、無傷のおちびちゃんと再開できてよかったね!」
「ゆんっ! おちびちゃんはやっぱりゆっくりできるゆっくりだよ!」
「ゆーん! ゆっくりできないばばあは、はやくあまあまをよこすのぜ! そしたらはやくきえてね!」



「…………で、どうするの?」



「……むきゅ?」
「……ゆっ?」
 
「いや、むきゅ? とかゆっ? とかは何でもいいけど、このまりさのおちびちゃんはどうするの?」
「む、むきゅううっ!」
「どぼじでぞうなるのおおおおおおぉぉぉぉ!? まりさたちは、ちゃんとせいっさいっ! したでしょおおお!?」
「いや、だってさ」

 少女は透明な箱の中のれいむを指差し、

「コレは私の、元飼いゆっくりで……」

 次に、父親側に居る子まりさを指して、

「そのおちびちゃんのしでかしたおうち宣言とは全然関係ないじゃない……ねえ?」

 そう言った。

「おとうさんとむれのみんながくそれいむをせいっさいっ! してくれて、まりさはゆっくりできたのぜ!」
「ほら、おちびちゃんもこう言ってるし。……で、どうするの?」
「くそばばあはだまるのぜ! ばばあのおうちはまりさのゆっくりぷれいすになったでしょおお!
そしたらくそばばあはまりさのどれいでしょおおおっ!? ゆっくりりかいできた?
りかいできたらあまあまよこすのぜええ!」
「おちびちゃんんんっ!? にんげんのおねえさんになにいってるのおおおぉ!?」
「……ね? このおちびちゃん、おうち宣言が成功したと思い込んでるから、私、またこのおちびちゃんに
おうちに入ってこられるんじゃないかと思うと、とっても怖いなあ……」

 防音性のある透明な箱の中に居た子まりさは、会話の流れをつかめていないので、
ずれた台詞を吐いていた。

「制裁して済ませるつもりがあるなら、先刻の"リハーサル"ぐらいで十分だと思うけど、どうする?」
「むきゅ……むむむむむむむむ……きゅう。まりさ、しかたないわ」
「お、おさあああっ!? だけど、おちびちゃんがせっかくむきずでかえってきたんだよ?
ゆっくりしてるんだよ!?」
「ゆーん、そんなにほめられると、まりさゆっくりてれてしまうのぜ、おとうさん!」

 胸を張る子まりさを、長ぱちゅりーは哀れみ半分、侮蔑が半分の目で見つめた。

「……でも、まりさのおちびちゃんは人間のおねえさんのおうちにいってしまったのよ。
おなじことがまたあったら、おちびちゃんをせいっさいっ! するだけではすまないわ……」
「ゆ……ゆう……」

 親まりさは、あの餡子が冷えて行く感触を再び覚えた。
 我が子と再開する喜びに沸いていた目が、焦点を失って死んで行く。

「ゆ……? おとうさん、どうしてまりさからはなれていくのぜ? すーりすーりして、くれないのぜ!?」
「ああ、今からアンタを制裁するつもりなんだって」
「は……はあああああ!? くそばばあが、いったいなにいってるのぜええ!?」

 親まりさと長ぱちゅりーは、子まりさからそっと距離を取った。
 代わりにみょんとれいむが、子まりさにじりじりと近寄って行く。
 彼らの目線は、少女と子まりさと、そして透明な箱の中のれいむを順繰りにみていた。

「具体的にはこのれいむがされたみたいに、
あんよをさして、
おめめをえぐって、
まむまむをつぶして、
おぼうしを取っちゃうんだってよ?
群れの掟を破って、人間の家でおうち宣言しちゃったから、そんな制裁をされなきゃいけないんだって」

「まりさのおとうさんが、ゆっくりしてぷりてぃーできゅあきゅあなまりさを、せいっさい!
するわけないでしょ! ばかなの? しぬ――『パンっ!』――ゆっぎゃあああ! いたいのぜええええ!
おとうさん、ぺーろぺーろを……どぼじでぺーろぺーろしてくれないのぜえええ!?」

「私は"死ね"とか言われたら、せいぜい一発叩くくらいだよ。優しくってほんとうにゴメンね?
でも、ゆっくりのルールって、ケジメがついてて厳しいんだね」

「むきゅ、みんな、おちびちゃんをぜったいににがしたらだめよ。
ゆっくりしないで、あまりじかんがかからないようにせいっさいっ! しましょう」
「おちびちゃん、ていこうしたらだめなのぜ、あのれいむみたいになるのぜ」

 長と父から静かに言い聞かせられて、子まりさは逃げだそうとした。

 右に一歩。だが、其処には既にでいぶ候補のれいむがいる。

 左に一歩。だが、其処には群れの中でも肝っ玉母さんで有名な母性(笑)れいむがいる。

 背後をみる。其処には、れみりゃですっきりーをしたと言われるれいぱー予備軍のありすが居た。

 そして正面には、するどい小枝を咥えたみょんが待ち構えている。

 がっちりとお下げや髪をれいむにつかまれたまりさは、あんよがみょんの方を向くように
仰向けにされた。ゆっくり出来ない予感に、子まりさはカチカチと歯の根が合わない。
 頼みの親まりさは、長ぱちゅりーと一緒に冷め切った目で、子まりさから微妙に目を逸らしていた。

「れ……れいむおねえちゃんたちはまりさをはなすのぜ。れいぱーがうしろにいるとゆっくりできないのぜ。
はなすのぜ! みょんのえださんが、まりさのあんよにささりそうでゆっくりできな――『ブジュリ』――
ゆっがああああああっ! まりさのかもしかのようなあんよさんがああああっ! いたいのぜ! 
おとうさんははやぐまりざをだずげるの――『グサ』――ぎゃあああああっ! れいぶ、はなずのぜえええっ!
まりさはこのくそばばあのおうちを――『ブス』――ぎゃあああっ! まりざの、ゆっぐりぷれいすにしたのぜ、
"えいゆん"なのぜ!? まりざのあんよさんをつぶすのはゆっくりぜんたいのそんっしつっ! なの――
『グシュゥ!』――おとうざ……おざあああっ! まりざをだずげ――『ビシャッ!』――ゆががぎっげげっ!

 ――そうだ、わるいのはあのでいぶなのぜ! あのくそでいぶがおちびじゃんほじいっていうがらまりざば、
まりざばあのおうじに――『ズブリ』――おうじを! ゆっぐりぶれいすに! じだのにいいいいっ!

ゆはああ、ゆはああ。ゆ……ま、まりさのいだいさがわかったのぜ? わかったらまりさのあんよをなお……
ゆん? どうしてみょんはえださんをさげないのぜ? それじゃあまりさのおめめにささってしまうのぜ!
……! まさか、そんなことするわけないのぜ!? おとうしゃん、おしゃああ、おかあしゃああああん!
おとうしゃん、まりちゃがわるかったのじぇ、あやまるのじぇ! ひとりであそびにいっちぇごめんなしゃいなのじぇ!
おわびにまりしゃがくしょばばあからうばいとった、とびっきりのゆっくりぷれいすをあげるのじぇええ!
だきゃら、だきゃら、どうかまりちゃをゆるし

――――――『クチュ』――――――――

……………………ゆっ…………………………。

ゆっげえええええええええええっ! まりちゃのおみぇみぇ――『チュポン』――っぎゃああああっ!
まりちゃのおみぇみぇ…………まりちゃのおみぇみぇ……ゆ――ゆふふふふふ、まりちゃのおみぇみぇ、
とってもゆっくちちてるのじぇ? だから、みょん、しょんなふうにつぶしちゃったら、まりちゃの
おみぇみぇがみえなくなるのじぇ? やめちぇね? ましゃかほんとうにつぶしちゃったりはしにゃいよね?
ゆん? ゆんゆーん! まりしゃのおめめ、『グチャ』ってつぶれちゃったのぜえええい! ゆわーい!
ゆゆゆゆゆゆゆゆ? もうかたっぽのおめめもとっちゃうつもりなのぜ? それってとってもゆっくりでき

…………………………………………いやじゃああああっ!

まりさ、おめめとられるのいやじゃああああっ! やめてよおおおおおおおおおっ! おさ!
おとうさん! まりざあやばりまず! おとうさんにあやばりまず! おさにあやばりまず! おかあざんにもあやばりまず!
まりざはんせいじまじだ、はんぜいじまじだ! はんぜいじまじだ! はんせいじまじだ! はんぜいじまじだ!
はんぜい! ゆっぐり、ゆっぐり、ゆっぐりいいいいいっ! ――」


 ――結局。
 子まりさは"リハーサル"通りの制裁が終わるまで、そして「ゆっ……ゆっ……ゆっ……」という
断末魔を漏らして、直後に少女のオレンジジュースによって命だけを助けられても、とうとう一言も
少女への謝罪という考えには至らなかった。

 だが、長ぱちゅりーの目には、透明な箱を手にゆっくりプレイスを去る少女の顔に、
不満の色は見えなかったようにも思える。
 子まりさへの制裁を目にして、ゆっくりへの加虐心を満足させたのだろうか。
 それとも、群れの掟違反を群れの中で処理した事で、子まりさに関わる動機を無くしたからだろうか。
 群れの賢者(笑)であるぱちゅりーにも、それは分からなかった。

 ただ言えるのは、「このおちびちゃんをどうするの?」と聞かれた親まりさが、傷だらけのゆっくり出来ない
饅頭をおうちに引きずってゆき、それきりおうちにこもったまま、とうとう出てこなくなったことと。

 親まりさの姿を誰も見なくなってから暫くしても、公園のゆっくりぷれいすに加工所職員の姿が見えることもなければ、
一斉駆除の気配もなく、長ぱちゅりーの群れはそれまでどおり、密かに静かに暮らしているということである。

 なお、群れの掟には一つだけ、「人間の家におうち宣言をしたゆっくりは制裁してケジメを付ける」という項目が、
いつの間にか追加されていた。


 おわり。





■オマケ おとうさんとの食事はゆっくりできるね

「ただいまー」
「あら、おねえさんゆっくりおかえりなさい」
「あれ、ありす? ってことはパパが帰ってきてるんだ、早かったね。ママは?」
「きょうはおそくなるそうよ」

 ジャージの少女を出迎えたのは、金バッジをカチューシャに付けたありすであった。
 少女の父親は役場のゆっくり対策課――しかも駆除専門の部署に勤めており、金バッジありすは
少女の家の飼いゆっくりであると同時に、父親の同僚というか相棒というか、変な関係でもある。

「パパー、お帰りただいまー」
「ただいまお帰り。そういえばメールで、群れのはぐれゆっくりが家に入ったらしいけど……」
「あー、あれ? いいのいいの、れいむを入れてた部屋に入ってきただけだし。
ケジメはちゃんとつけてきたもん」

 れいむは、ありすのすっきり用ゆっくりであるが、この家のありすは長さ十三尺のぺにぺにで
相手を貫通してしまうため、大抵のすっきり用ゆっくりは使い捨てである。
 あ、でも。と、少女は顎に指を当てて考えを口にした。

「あのバイトのお兄さんが駆除に来るんなら、群れの場所を案内するよ?」
「バイト……土木君の事かい? かれは一応正式採用されてるけど」
「ううん、ゆうかにゃんスコップの人じゃなくって、いっつも敬語のお兄さん」
「彼はそうそうバイトに呼ばないよ。本気を出されたら、お父さんの仕事が無くなっちゃうレベルだし……」
「そっかあ……じゃあいいや! ところでパパ、晩ご飯はどうするの?」

 娘に聞かれて、父親は中身蠢く麻袋を、テーブルの下から引っ張り出した。

「はっはっは、見てくれコレを! 帰り道の途中でれみりゃとふらんを捕まえたんだ。
今日は肉まんパーティーだぞ!」

 袋の中から「さくやー!」だとか、「もげ、もげええ!」とかきこえてくる麻袋に、
少女は限りなく殺意な目を向けた。

「……所でパパ、私パパの洗濯物のズボンからさ、"クラブ紅魔館"っていうお店の領収書見つけたんだけど」
「やっぱり今晩はファミレスに行こうかい!」
「宛名が"ゆっくり対策課"になってるよね? 会計役の小さいお姉さんに渡しておこうか?」
「焼き肉だな! うん、パパは急に娘と焼き肉に行きたくなった、そうなった!」
「クラブ紅魔館ってどんなお店か、ママにも聞いてみたいなー。それでパパ…………どうする?」
「……君の好きなお店に連れて行くよ。帰りに服も買ってあげるから」

 おわり。






■あとがきさんなんてよみとばしてもいいんだねー。わかるよー。
 誤植はなるべく無くしたつもりなんですが、もし見つけたら教えて下さい。
 "少女のオレンジジュース"という表現だけ抜き出すと、なんか卑猥な事に後で気が付きました。
私にはそういう趣味無いです。
私にはそういう趣味無いです。

■過去作品をゆっくり紹介するよ!

↓↓↓ 以下、wikiのみらー収録 ↓↓↓

anko2016 熱中症には気をつけよう
anko1972 春、その季節は
anko1910 そして何かが動き始めた
anko1835 その台詞は言わせない4
anko1728 そして何かが軽くなった
anko1666 春のとくっばんっ!編
anko1659 越冬のススメ
anko1570 証言ゆ達 ※餡子ンペ10春作品
anko1521 その台詞は言わせない3
anko1508 その台詞は言わせない2
anko1481 その台詞は言わせない
最終更新:2010年10月10日 15:17
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