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anko2044 がっかり

『がっかり』
 D.O



ぷらぷらぷら・・・ぶちっ・・・ひゅーん、ぽてっ!

「きゃわいいれいみゅが、ゆっくちうまれちゃよ!ゆっくちしちぇっちぇにぇ!!」



赤れいむはこの日、母親の額から生えた茎、そこから離れて生まれ落ち、元気いっぱいあいさつした。
自分は世界一ゆっくりしているから、
自分は世界一ゆっくりさせてもらえるに違いないから、
だから、自分には世界一ゆっくりした未来が待っていると信じていたから・・・。



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「がっかりー。」
「ゆぴっ!?」

生まれ落ちた赤れいむの目の前には、両親ではなく、人間さんのお兄さんがいた。
心底がっかりした風な表情をして。

「「がっかりー。」」
「「「がっかちー。」」」

ちなみに両親は、赤れいむより先に産まれた姉れいむ、姉まりさ達と頬を寄せ合いながら、
赤れいむの真後ろに、これまた残念そうな表情で立っていた。
母れいむの額には茎が生えているので、これが両親なのは赤れいむもすぐに理解できた。

「ゆ?ゆゆ?」

赤れいむは、自分みたいなゆっくりしたゆっくりが生まれたというのに、
なんでみんなが残念そうな表情をしているのかわからなかった。



「ゆぅ?おにーしゃん、ゆっくちしちぇにゃいの?ゆっくちしたれいみゅをみちぇ、ゆっくちしちぇにぇ!」

赤れいむは、赤ゆっくりならば全員がそう言うであろう、
自信過剰ながら純真無垢な一言を、お兄さんに投げかけた。

世界一ゆっくりした自分を見れば、ドブの底に溜まった汚物以下のゆっくりしていないお兄さんでも、
とってもゆっくりした気持ちになれるはず。
そうすれば自分の価値が改めて証明され、両親もゆっくりできるに違いない、と。

しかし、それに対する回答は、赤れいむの予想を大きく裏切るものであった。

「れいむ・・・すまん。俺は、お前じゃゆっくりできないんだ・・・。」
「ゆぴ?ゆぅぅううん!?どうしちぇそんなこというにょぉおおお!?」



「・・・れいむ。お前はゆっくりじゃない。『がっかり』だ。」

それは、赤れいむにとって、死刑宣告に等しい言葉だった。



「ゆんやぁぁあああん!?なにいっちぇるのぉぉおお!?れいみゅはゆっくちだよ!ゆっくちぃぃ!?」
「俺は、可愛いゆっくりを見たり、一緒に話したりすると、とってもゆっくりできる人間さんなんだが・・・
まさか、本当に『がっかり』が産まれることがあるとはなぁ・・・。」

もちろん、こんな事をいきなり言われて納得できるはずもない。

「ゆぴぃ、ゆぴゃぁぁん!?にゃんなの?がっかりってなんにゃのぉおおお!?」

しかし、それに対する答えも、赤れいむの望むモノからは程遠かった。

「すまん。俺も『がっかり』に出会ったのは初めてなんだ。
稀に生まれる先天性の奇病らしいが、専門家でもない俺じゃ・・・。」
「れいみゅ・・・びょうきしゃんなの・・・?」
「とにかく、見た生き物全員が、お前を見てがっかりするって事しか・・・。」
「れ、れいみゅをみちぇ・・・みんにゃ、がっがり・・・ゆぅ?」
「・・・治療法も、無いって話だ。・・・本当にすまん!」
「なにいっちぇるのぉおおお!?」



赤れいむは、言ってる事が訳分からないお兄さんから視線を外し、
両親である父まりさと、母れいむの方へと振り向き、必死に叫んだ。

「おとーしゃん!おきゃーしゃん!
れいみゅ、れいみゅ、ゆっくちしちぇるよにぇ!?ゆっくちしちぇるっていっちぇぇぇええ!!」

だが、両親は、先に生まれた赤れいむの姉達とすーりすーりして、
必死に赤れいむを見ないようにしていた。
その家族達の中でも、特に心底残念そうな表情をしていた父まりさは、
不意に振られた質問に、正直に答えてしまう。

「・・・がっかりー。」
「・・・ゆっ!?」

べしっ!!

母れいむは、自分もまた残念そうな表情だったが、父まりさの言葉を聞いた瞬間ハッとし、
父まりさの頬をもみあげで引っ叩いた。

「な、なにするのぜ!?いたいのぜ、れいむ!?」
「まりさこそ、なにいっでるのぉおお!?ゆっくりしてなくても、れいむたちのおちびちゃんでしょ・・・ぉ。」

「・・・・・・おきゃーしゃ。」

「「「ゆぴぃ・・・ゆっくちしちぇぇ・・・」」」

姉れいむ、姉まりさ達も、泣きだしそうになりながら両親の顔を見上げている。
その表情は、なんで可愛い自分達が産まれたのに、こんなに両親がゆっくりしてくれないのだろう、
というつらい心情を示していた。
そして、家族のつらそうな姿は、いじめられたり無視される以上の苦痛を赤れいむに与えた。

「ゆ・・・ゆんやぁ、どうしちぇ、しょんな・・・ゆぴゃぁぁあああん。」



「ゆぴぅ・・・ぐしゅ・・っくち・・」
「なぁ、れいむ。」

ゆんゆん泣き続ける赤れいむに、お兄さんが優しく語りかけ始めた。

「れいむ。安心しろ。俺は、たとえゆっくりしてないゆっくりでも構わず飼っちまう愛でお兄さんなんだぜ。」
「ゆぅ?」
「お前を見てると心底がっかりだが、自分のペットを見捨てるような真似はせん。なあ、まりさ達!」

話を振られた父まりさは、今度こそ間違えず、正しい台詞を選ぶことが出来た。

「そ、そうなのぜ!おちびちゃんは、ちっともゆっくりしてないけど、まりさとれいむのおちびちゃんなのぜ!
ね、おねーさんたちも、おかーさんも、ゆっくりできるよね!」
「「「しょ、しょうだにぇ!れいみゅたち、いもうちょと、ゆっくちできりゅよ!!」」」
「おかーさんも、ゆっくりするよ!よかったね!おちびちゃん!!」

それは、言葉選びがかなりアレではあったものの、赤れいむを家族として受け入れようという、
心からの愛情を伝えようとした、暖かい言葉であった。



・・・ただし、家族全員の視線は、赤れいむから完全に逸れていた。



「ゆ・・・どう、しちぇ・・・ゆぴゃぁぁあああああああん!?ゆぴぃぃいいいいいい!?」



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3日後、赤れいむは一度もゆっくりすることなく、
一度もゆっくりしてもらうこともなく、
ストレスからくる拒食症で、永遠にゆっくりした。

「はぁ・・・がっかり。」
「「「「「がっかりー。」」」」」

飼い主であるお兄さんも、家族達も、その死に顔を見て、心底がっかりしたのであった。
最終更新:2010年10月12日 16:00
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