・いつも通り過去作品の登場人物が出ますが読んでなくても大丈夫です。
・いいゆっくり、死なないゆっくりがでます。
・また悪いクセが出て無駄に長くなってしまいました。余裕があるときにでもどうぞ。
「ゆあああ!まりさぁああ!おうちにためてあったしょくりょうがごっそりなくなってるよおおおお!」
「ゆげげ!ほんとうなのぜ!さいきんむれでうわさになってるあきすにやられてしまったのぜ!」
とある森の群れの中にて、まりさとれいむのつがいが驚きの声を上げている。
状況はセリフから簡単に推察されるように至極単純で、二匹が狩りを終えておうちに戻ってきたところ、
蓄えてあった食糧が空き巣ゆっくりによって盗まれてしまったというまあ、詳しく語るまでもない内容だ。
だがしかし、今現在この群れではこういったパターンでの盗難の頻度がやたら高まっていることについては説明の必要があるだろう。
さてまずこの群れだが、例の如く人間と協定を結んでいた。
その協定の内容とは、麓のにある村に降りて来ない、決められた数以上ゆっくりの数を増やさないなどの条件をゆっくり側がのむ代わりに、
ゆっくりたち自身に群れの自治権を認めるというものだ。
このこと自体は別段珍しい事ではなく、現存する山などのゆっくりの群れは大体この条件のもと群れを維持している。
問題はこの協定がゆっくりの群れのゆん口グラフに与えた影響であった。
この群れのゆっくりたちは正直あまりおつむがよろしいとは言えず、協定を結んだ後でも、限界規定数まではまだ余裕があるからいいや、
と軽い気持ちで、わりと後先考えずにすっきりして子作りしまくってしまったのだ。
その結果あっという間に規定数ギリギリの数となり、当然群れでは厳重なスッキリ制限が引かれることとなったのだ。
そして、これらの失敗のあおりをもろにくらっているのは協定が結ばれた直後に生まれたゆっくりたちであった。
何せ自分たちの親の代の連中が、余裕を持たずに考えなしに子作りをしまくったおかげで、
いざ自分達が成体になって子作りの時期にさしかかっても、スッキリ制限のおかげで、おちびちゃんを作ることができないのだ。
そんなわけで今、この群れでは、老ゆっくりと、子ゆっくりの数は少ないが、成体ゆっくりの数だけはやたら大勢いるという、
丁度人口グラフで言うところのつぼ型に当たる状況になっていた。
そしてスッキリ制限がなされているためほとんどの成体ゆっくりはつがいを持たない独身か、
あるはつがいはいるが、子どもはいないという構成である。
ちなみに冒頭のれいむとまりさのつがいも子なしのつがいだ。
と、まあ群れはこんな状態なので、昼間はほとんどの若いゆっくりは子育てするために巣に残るでもなく、総出で狩りに出かけていた。
それによって、昼間の群れの居住区ではほとんどのゆっくりが一時的にいなくなるという空洞化現象がおきていたのだ。
当然その時間帯は、おうちの中もスッカラカンである。周りにほかのゆっくりの目もない。
このことに目をつけた悪知恵の働く何匹かのゲスゆっくりは、これはしめたとばかり誰にも見つかることなく盗みをくり返すようになってしまったのだ。
普通のバランスのとれた群れならば、たとえ昼間でも子育てをするゆっくりたちなどがおうちに残っていたり、
居住区をうろついたりしているため、それが抑止力になりおいそれと好き勝手はできない。
だがこの群れではそんなことはなく、盗難行為を働くゲスゆっくりが相次いでしまったと言う訳だ。
「ゆうう!まりさ!もうこうなったらかわりばんこにおうちでおるすばんして、しょくりょうをぬすまれないようにみはってるしかないよ!」
そうまりさに訴えるれいむ。
幸いにして大した量を蓄えていたわけではなかったので、被害はそれ程ではないが、食料を集めるたんびに盗まれるのではたまったものではない。
「ゆむむむむ!でもれいむ、いまのうちにできるだけたくさんしょくりょをあつめておかないと、あとあとふゆさんがきたときにこまるのぜ!」
そう苦しげに答えるまりさ。
「ゆゆゆ!たしかにれいむもそうおもうよ!でもふたりでかりにいっているあいだに、しょくりょをぬすまれちゃったらいみないよ!
ふゆさんがくるまでにはまだそうとうじかんがあるよ!いまならまだこうたいでかりにいってもじゅうぶんまにあうよ!」
「ゆーむ……」
れいむの言葉に唸るまりさ。
変に邪推を抱かせないためにあらかじめ言っておくと、別にれいむは狩りに行くのが嫌でまりさにこんな提案をしているわけではない。
そもそもおうちに留守番を置く場合でも狩りには交代で行くとれいむ自ら言っている。でいぶだったらまずでてこない台詞だ。
まりさが悩んでいるのは、やはり慎重さを考えてのことである。
たしかにれいむの言うとおり、今からなら変わりばんこに狩りに出ても十分冬までには間に合うだろう。
だがしかし何が起こるかわからない普段の生活や、越冬に向けての食料はありすぎて困るということはない。
まりさは出来る事なら今のまま二匹で狩りを続けたかったのだ。
とは言うものの、もし今までどおり二匹で狩りを続け、もうすぐ冬間近となったところを盗難に遭ってしまって全食料を失ったとなれば目も当てられない。
盗難のリスクを負いながらも余裕を持った狩りを続けるか、一匹をおうちに残しギリギリの狩りをするか、判断が難しいところであった。
「ゆむむむむ!やっぱりまりさには、はんだんがつかないのぜ!こうなったらおさにそうだんしてみるのぜ!」
「ゆゆ!そうだね!おさにどうすればいいのかきいてみるのがいいね!」
困ったときには長に相談。まあ、基本ではある。
そう決めた二匹は長のおうちへと跳ねていったのであった。
「もう!またあきすのひがいなの!まったくとかいはじゃいわねえ!」
相談にやってきたれいむとまりさの話を聞き、思わず悪態を吐く長ありす。
長ありすは最近頻発する空き巣被害に頭を悩ませていた。
一時期は群れのゆっくりたちなどで見回りなどをして、何匹のかの空き巣ゆっくりを捕まえることは出来たのだが、
近頃ではそれも警戒されあまり効果がなくなってきた。
そもそも広いこの群れを小数のゆっくりたちだけでいつ盗みに入るかわからない空き巣ゆっくりを捕まえるなど土台無理な話なのだ。
それに見つかる危険があるとはいえ、ちょっとの労力で大量の食料が手に入る空き巣行為はかなりおいしい。
一度味をしめたゆっくりは捕まるまでこの行為をくり返すことになる。
別段この群れに所属するゆっくりにゲスな個体が特別多いというわけではないのだが、
やはり今のこの群れの状況が悪事を行う環境として適しすぎているということなのだろう。
そんなわけで、来る日も来る日も空き巣の報告が続き、長ありすは正直もうどう対応していいかわからない状況だった。
「ゆうう、しょうじきいまのあきすのおおさには、ありすもおてあげのじょうたいよ!
ざんねんだけど、たいせつなしょくりょうをまもるには、かたほうが、つねにおうちにのこっているよりほかにほうほうがないわ!」
「ゆう、やっぱりそれしかないのかぜ」
残念そうにうつむくまりさ。
「しかたがないよまりさ!それにれいむたちはまだましなほうだよ!ほんとうにたいへんなのは、ひとりぐらしのゆっくりだよ!
いっぴきじゃ、かりと、おるすばんをどうじにできないんだから!」
れいむの言ったとおりだった。
これからつがいのゆっくりが片方をおうちに残して狩りに行くようになれば、今後集中的に狙われるのは、つがいを持たな独身ゆだろう。
空き巣たちに、もし自分が独身ゆだとばれてしまえば、事実上おうちを守る手段はなく盗まれ放題だ。
そのときのことを考えると長ありすはいまから頭が痛い。
「ゆう、ほんとにどうしたものかしら……」
目の前の難題に、思わずため息をつく長ありす。
と、その時、
「そこまでよ!!!」
「「「ゆゆ?」」」
突然三匹に声がかけられた。
その声の主は…
「むきゅきゅきゅきゅ!おこまりのようね!」
「「「ゆゆ!ぱちゅりー!」
その声の主は自称、群れ一番のけんじゃであるぱちゅりーのものであった。
「ぱちゅりー、いったいなんのようかしら?まさかぱちゅりーのおうちにもあきすが?」
突如として現れたぱちゅりーに質問をする長ありす。
「むっきゃきゃきゃきゃ!ぱちぇはほかのゆっくりとちがって、あきすにはいられるようなまぬけじゃないわ!
そんなことよりも、このけんっじゃであるぱちぇが、さいきんみんなをこまらしているあきすもんだいを、
かいっけつしてあげようとおもってわざわざやってきたのよ。ありがたくおもいなさい」
偉そうにふんぞり返りながら大仰な口調でいうぱちゅりー。
「ゆゆ!ぱちゅりー!なにかいいがんがえがあるの!」
相談に来ていたれいむが目を輝かせながら尋ねる。
「むきゃきゃきゃきゃ!すべてこのけんっじゃにまかせておけばいいのよ!
おさ!むれのみんなをあつめてちょうだい!みんなにみせたいものがあるのよ!」
「ゆーん、わかったわ。とりあえずはなしだけでもきいてみましょうか」
そう承諾する長ありす。
だが長ありすは、実はそれほど期待はしていなかったりする。
何故ならこのぱちゅりー、確かにほかのゆっくりに比べてそれなり賢いのだが、どこか他人を見下したような感じがあり、
また最近はなんでもガラの悪いゆっくりとの付き合いがあるとの噂もちらほらと聞いており、
群れでの評判はあまりいいとは言えなかったのだ。
が、とは言え、現実問題として長ありすには今打つ手がないわけで、取りあえず話だけでも聞いておいても損はないだろうと長ありすは思ったのだった。
こうして、ぱちゅりーに連れられ、群れの大勢のゆっくりたちは、森のある場所へと向かうことになった。
その後、
ぱちゅりーが群れの多くのゆっくりを率いて、移動したその先には、巨大な洞窟が存在していた。
「こ、こんなところにこんなおおきなどうくつがあったなんて……」
呆然と呟く長ありす。
「むきゅ!こっちのほうがくにはしょくりょうになるようなものがないからね!このあたりにくわしいのは、ぱちぇくらいのものよ!」
そう誇らしげに言うぱちゅりー。
「ゆゆ?でもこのどうくつがどうかしたの?これでどうやってあきすを捕まえるの?」
訳がわからないといった様子でれいむが尋ねる。
それを見てぱちゅりーは、ふう、と呆れたように息を吐くと、れいむにむかって説明を始めた。
「あのねれいむ、べつにあきすをつかまえるひつようはないの!そもそもいまむれでこんなにあきすがおおいのはなぜかしら?
ほとんどのゆっくりが、かりにいっていて、おうちがむぼうびだからでしょ!
だったらそのげんいんを、たってやればいいのよ!りかいできりゅ?」
馬鹿にするような感じでれいむに語るぱちゅりー。
「むきゅ!いいかしら、ここでみんなのしょくりょうや、たいせつなものをいっきょにあずかることにするの!
あずかったしょくりょうや、きちょうひんはぱちぇとそのなかまが、24じかんたいせいでほかんするわ!
こうすればあきすはうかつにてをだせなくなるし、とってもあんぜんよ!」
そうぱちゅりーが説明を続ける。
つまりは食料などを一所に集めて、見張ることで、盗難を防ぐ狙いだ。
「あずかったしょくりょうのりょうにおうじて、ぱちぇがこのはっぱさんをわたすわ!
しょくりょうは、このはっぱさんのまいすうにおうじたりょうを、いつでもひきだせるようにするわ!そしてこのけいやくはぜったいにまもるわ!
ただし!あさはやくと、よるおそくにはてすうりょうとして、ちょっとだけしょくりょうをわけてもらうことになるわ!」
「ゆゆゆ?なんでぱちゅりーたちにしょくりょうをわたさなきゃいけないの!」
集まったゆっくりから不満の声が上がる。
「そのくらいとうぜんでしょ!ぱちぇたちは、あずけられたものをかんりしなきゃいけないから、そのあいだかりにいけないんだから!
それに、てすうりょうといってもほんのちょっぴりよ!それすらいやなら、このぎんっこうにあずけるのをやめて、
ずっとあきすに、いつしょくりょうをぬすまれるか、おびえるせいかつをつづけるといいわ!」
「ゆむむむむ!」
唸るゆっくりたち。
確かにぱちゅりーは特に無茶苦茶な要求をしているわけではない。
みなの食料を管理する代わりに、その分け前を少しずつもらおうというわけなのだ。
「ゆゆ!れいむきめたよ!このぎんっこうにしょくりょうをあずけるよ!」
れいむが名乗りを上げる。
ぱちゅりーの提示した条件はれいむにとってそれ程悪くない物に思えたからだ。
「むきゅ!けんめいなはんだんね!あずけてもらったからには、もちろんせきにんをもってほかんするわ!
さあ!ほかにもあずけるという、かしこいゆっくりはいないのかしら?」
ぱちゅりーが集まった群れのゆっくりたちを見回しながら言う。
「ゆん!そうね!たしかにここにいっきょにあずけておけば、べつべつのおうちにほかんしておくよりもずっとあんぜんかもね!
なにより、ぎんっこうというなまえがとってもとかいはだわ!ありすもここにあずけることにするわ!」
そう言う長ありす。
ぱちゅりーのした提案が、思っていたよりもずっとまともだったので、自分も協力することにしたのだ。
「ゆゆ!まりさもあずけるんだぜ!」
「みょん!みょんもしょくりょをもってくるみょん!」
「わかるよー!これであんしんしてかりにせんねんできるようになるんだねー!」
長が預けたということでみな安心したのか、次々に名乗り出るゆっくりたち。
こうして、その場にいるほとんどのゆっくりたちが、自分の貯蓄している食料をぱちゅりー銀行に預けることとなったのだった。
そしていくらばかりかの月日が経過した。
その間、ぱちゅりー銀行は、なかなかに好評であった。
まずほとんどの子どもなしゆっくりが銀行に食料を預けたので、空き巣の被害はぐっと減った。
その結果を受け、はじめは訝しがって食料を預けていなかったゆっくりも次第に信用し、食料を預けだすようになっていったのだ。
そして当然、銀行がある洞窟はぱちゅりーとその数匹の仲間がいつも見張っていたため、
流石にそこにアタックを仕掛ける空き巣はおらず、銀行は安全だった。
こうして、事実上この群れの空き巣問題は解決することになったのである。
だが不満がないわけでもなかった。手数料がかからずに下ろせる時間帯がとんでもなく短いのだ。
とはいえ、頻繁に貯蔵用の食料を下ろすなんて事態はなかったし、手数料も少なめだった。
そしてなにより、ぱちゅりーたちは銀行管理のために狩りに行けないことを考慮すればそれも止むなしと、みな認めてはた。
そんなわけでぱちゅりー銀行の評判はすこぶるよかった。
そう、今のところは………。
「ゆゆ!いまかえったよ」
ぼうしに食料を積めた一匹のまりさが、狩りを終えておうちへと帰宅する。
「「「「ゆっくりおかえりなちゃい!!!」」」」
「ゆふふ!おかえりなさいまりさ!」
そして、それを出迎えるのは、四匹の赤ゆたち、それにつがいのありすである。
さて、このつがいであるが、別にすっきり制限を破って勝手に子作りをしたわけではない。
いくら群れの規定数が限界ギリギリとはいえ、全く子どもを作らないのでは群れの存続の危機となるため、
クジによって決められた限られた幾つかのつがいは、おちびちゃんをつくることを許されていた。
このまりさとありすのつがいは、そんな幸運にもクジで当たりを引いて、子作りを許されたつがいであった。
ありすが、子育てのために昼間はおうちに残っているために、当然今まで空き巣被害にあったこともない。
可愛いおちびちゃんもいて、空き巣被害とも無縁だった。
しかし、そんな一見順風満帆に見えるまりさたちのゆん生にもそれはそれで問題はあった。
「むーちゃむーちゃ!しあわちぇええ!ゆゆ?もうごはんちゃんがないの?」
「ゆーう!もっとたくちゃんちゃべたいよ!」
「ごはんがすくなくてゆっくちできにゃいいいいい!」
まりさが持ち帰った食料から備蓄にまわす分を差し引いた量をあっというまに平らげた赤ゆたちは、毎度のことのように量が少ないと不満をもらしはじめる。
「ゆあああああん!おちびちゃんごめんねえええええ!まりさがふがいなからああああ!
ゆっ!そうだよ!それならちょっとだけ、ためてあるしょくりょうを……」
赤ゆたちに催促され、ちらりと奥のほうに目をやるまりさ。
「まりさ!いったいなにをいっているの!それはもしものときのだいじなしょくりょうでしょおおおおおお!
おちびちゃんたちも!がんばってかりをしてるおとうさんにそんなこといっちゃだめでしょ!
ひつようなぶんは、きちんとたべてるんだから、ぜいたくいっちゃいけません!」
ありすはキツイ口調でまりさと赤ゆたちをたしなめる。
「ゆう…わかってるよ、でもおちびちゃんたちだけはゆっくりさせてあげたいよ…」
このまりさが普段持ち帰る食料の量は、まりさとありすの二匹だけなら十分すぎる量であったが、
流石に育ち盛りの四匹の食欲旺盛な赤ゆを満足させるのは程遠かった。
とは言え、自然界のゆっくりではこれくらいのことは日常茶飯事であり、赤ゆの食欲が満足しないからといって、
成長に異常が起こるかと言えばそんなことはなく、ちゃんと普通に成長する。
要するに我慢というものを知らない赤ゆたちは、よりゆっくりしたいがためにもっと食べたいと我侭を言っているだけなのだ。
仮にその我侭に応じて成長に必要な分以上の食料をむしゃむしゃさせても、結局はうんうんとして排出されるだけなので、
赤ゆの求めるまま食べさせるのは、結局は無駄以外の何者でもない。
だが、そこは子どもには甘い親ゆっくりのことである。おちびちゃんを少しでもゆっくりさせようと、求められるままに
食料を与えてしまう固体も多々いるのだ。アホなつがいは大体これで失敗して自滅するはめになる。
このまりさもその傾向がある親ゆっくりだったが、つがいのありすが、わりかししっかりしていることと、
現実問題としてそれほど食料がなく、ない袖は振れないという理由からまあ無難に子育てをこなすであろうことが予想された。
と、そこへ
「むきゃっきゃっきゃきゃっきゃ!おこまりのようね!」
「ゆゆっ!ぱちゅりー!」
突如としてまりさたちのおうちに現れたのは、銀行を経営しているぱちゅりーだった。
「ぱちゅりー、いったいなんのようなの?うちはおちびちゃんがいるから、あきすのひがいにはあってないよ!
だからぱちゅりーのぎんっこうにしょくりょをあずけるきはないよ!」
ぱちゅりーが自分の銀行に食料を預けるよう勧誘しに来たのかと思い、そんな面倒なことはゴメンだと少し強い口調で言うまりさ。
「むきゅきゅ!そんなんじゃないわ、まりさ!
きょうは、まりさたちにとってゆっくりできるなはなしをもってきてあげたのよ!」
「ゆゆ?どういうことなの?」
どうやら預金の勧誘ではないようだ。ではいったいなんの用なのかと訝しげに尋ねるまりさ。
「むきゅ!まりさ!ぱちゅりーぎんっこうから、しょくりょうのゆうしをうけるきはないかしら?
しょくりょうのゆうしをうければ、おもうぞんぶんおちびちゃんたちにむしゃむしゃさせて、ゆっくりさせることができるわよ!」
そう提案するぱちゅりー
ぱちゅりーの言うよい話とは、まりさ一家に対しての食料の融資の勧誘だったのだ。
「ゆゆ!ほんとうに!しょくりょうをわけてくれるのぱちゅりー!」
「まりさ!おちついて!そんなうまいはなしがあるわけないわ!」
色めき立つまりさに、冷静な突っ込みを入れるありす。
「むきゅ!もちろんただでしょくりょうをかすというわけにはいかないわね!
かりたら、そのりょうにおおじて、りしをはらってもらうことになるわ!」
「ゆゆ?りし?」
「そうよ!かりたしょくりょうのりょうにおうじて、かえすときにちょっとだけおおくかえしてもらうのよ!
むきゅきゅきゅきゅ!べつにたいしたりょうじゃないわ!とおかでいちわりづつのふくりよ!
これぐらいのりょうにたいしてこれぐらよ!ね!たいしたりょうじゃないでしょ!」
ぱちゅりーは持ってきていた木の実を小さく砕いて、具体的な利子の量を示した。
その量は元の実の大きさに対して十分の一ほど。まりさたちにはとっても少なく見えた。
まあ、元の木の実が小さいんだから、それのさらに十分の一の量が小さく見えるのは当たり前なのだが、
実際に視覚的に見せられると、大したことなく感じてしまうものである。
これが大量の食料の十分の一となると話は大分変わってくるのだが…。
「ゆーん!そんなちょっとでいいの!それなららくしょうだね!」
「だめよまりさ!うちはいまぎりぎりで、たとえちょっとのりょうでもしょくりょうはむだにできないわ!」
乗り気のまりさを、これまた冷静にまりさを押しとどめるありす。
なかなかできたつがいのようだ。
「むきゃっきゃっきゃ!しんぱいすることないわ!おちびちゃんたちがせいちょうすれば、みんなでかりができるようになるから、
こんなのあっといまにへんさいできるようになるわ!
いま、あかちゃんであるおちびちゃんたちに、とってもたくさんたべさせてあげて、さいこうにゆっくりさせてあげるの!
そして、おおきくなったら、いっかみんなできょうりょくして、ゆっくりかえせばいいのよ!ね!いいはなしでしょ!」
ぱちゅりーは赤ゆたちが成長すれば、一緒に借りができるようなるから楽に借金が返せるようになる。
だから、今の赤ゆに沢山食べさせて、ゆっくりさせてやれて主張する。
赤ゆに沢山むしゃむしゃさせてあげられると聞いてますます目を輝かせるまりさ。
「ね!ありす!ぱちゅりーからしょくりょうをかりて、とくべつなおちびちゃんを、とってもゆっくりさせてあげようよ!
このむれには、おちびちゃんのかずはすくないんだよ!
だからまりさはこのとくべつなおちびちゃんをたくさんゆっくりさせてあげたいんだよ!」
特別なおちびちゃん、と思わずビキビキくるようなフレーズでつがいのありすを説得するまりさ。
この群れには赤ゆが少ない関係上、子どもを持つつがいは、必要以上に子ゆっくりを可愛がる傾向が見られたのだ。
「ゆうううん…、しかたないわねえ。おちびちゃんのためだものね…」
そして所詮はありすもゆっくりの親。多少優秀とは言え、おちびちゃんをゆっくりさせるという誘惑には勝てなかった。
「むっきゃっきゃっきゃっきゃ!それじゃあけいやくせいりつね!このはっぱさんにまりさのさいんをしてね!
あとでかかりのものに、さしあたり、おちびちゃんたちがおおきくなれるまでたくさんむしゃむしゃできるだけのりょうの
しょくりょうをはこばせるわ!
もしたりなくなったらまたぱちゅりーぎんっこうまでついかでかりにきてね!」
契約を済ませると、ぱちゅりーは長居は無用とばかり再び来たときと同じように音もなく去っていってしまった。
そしてその日の夜。
「ぱちゅりーぎんっこうのものだぜ!やくそくのしょくりょうをとどけにきたのぜ!」
「みょん!たくさんあるからはこぶのにくろうしたみょん!」
「わかるよー!こんなにたくさんたべられるなんてぜいたくなんだねー!」
ぱちゅりー銀行の社員ゆっくりたちが、まりさのおうちへと食料の山を運んできた。
「ゆわー!ごはんさんがたくさんあるよぉ!」
「ちゅごいちゅごい!」
「ゆっくちー!ゆっくちー!」
ぱちゅりーぎんっこうから運ばれてきた食料の山を前に色めき立つ赤ゆたち。
「ゆゆ!ありがとねみんな!これでとくべつなおちびちゃんたちを、とってもゆっくりさせることができるよ!」
食料を運んできたゆっくりたちに例を言うまりさ。
「べつにれいをいわれることじゃないんだぜ!これはせいとうなけいやくにもとづくこういなのぜ!」
「そうだみょん!ちゃんとけいやくどおりにへんさいてくれればこっちはなんのもんくもないみょん!」
そう冷めた様子で受け答えするぱちゅりー銀行のゆっくりたち。
彼らは運び込みが済むと、次の仕事があると言って、そそくさと去っていってしまった。
後に残されたのは、積み上げられた大量のごはんだ。
「それじゃあおちびちゃんたち!おなかいっぱいむしゃむしゃしようね!」
「「「「ゆわーい!」」」」
早速とばかりの食料に貪りつく赤ゆたち。
「むーちゃむーちゃ!ちあわちぇえええええええ!」
「む~ちゃむ~ちゃ、うっめ!これめっちゃうっめ!」
「びゃあうまいいいいいいいいいいいいい!」
汚らしく食料を食い散らかす赤ゆたち。
「ゆゆーん!おちびちゃんたちがさいっこうにゆっくりしてるよおおおおおおお!」
「ほらほら、たくさんあるからあわてないで!」
その様子を見ながら満足げなまりさと、ありす。
まりさ一家はこの日、いままで生きてきた中で最高のゆっくりを味わった。
………さて、こうしてまりさ一家は安易にぱちゅりーと契約を結んでしまったわけだが、ほとんどの読者はお気づきであろう。
この契約内容が相当にヤヴァイということに……。
ぱちゅりーはこう言った「十日で一割の複利」だと。
これは俗に言うトイチという借金形態のことである。有名なジャンプマンガにも出てきたので知っている人も多いことだろう。
これがどうヤバイのか、わかりやすいように具体的に例で示すと、
たとえばまりさたちが借りたのが100あまあまだったとしよう。
それが十日後には、110あまとなる。と、まあここまでは普通だ。
だが、さらに十日後には110あまあまにさらに利子の利子が11あまあまついて、121あまあまとなってしまうのである。
こうして借金は雪だるま式に増えていき、八十日後にはおよそ倍の214あまあまとなる。
もうこの時点でまともな返済は不可能だと思ったほうがいいだろう。
何せ返している間にも利子が増え続けるのだ。返済額を利子が上まわった時点でアウトである。
当然言うまでもないことだが、人間世界の法律では違法行為である。というかまず利子云々自体の前に複利での借金が基本的に禁止されている。
そう。このトイチの最も恐ろしいところは、利息が指数関数的に増えていくことなのである。
初期の方こそ増加が緩やかだが、ある程度までいくと爆発的に増え、絶対に返済不可能な事態に陥ってしまうのだ。
その点でぱちゅりーのやり方はなかなかに狡猾だった。
無駄に食欲旺盛な時期の赤ゆたちを前にした、親まりさのゆっくりさせてあげたいというアホな親心につけ込み、
さりげなく赤ゆがある程度大きくなるまでという長い期間を借り続けるようにまりさ一家に仕向けている。
さらにこの群れには上記の理由より赤ゆが少なく、おちびちゃんをまりさが特別扱いしていた状況もプラスに働いただろう。
トイチの条件で長期間借りることがどれほど危険かは、ちょっと考えればわかりそうなものだが、
そこは先のことを考えて計画を立てるということがあまり得意ではないゆっくりのことである。
目先のおちびちゃんをゆっくりさせることの捕らわれて、ホイホイと深く考えることをせずに契約を結んでしまったのだ。
そして、この群れでの赤ゆがいるほとんどのつがいは、このまりさ一家の例のようにぱちゅりーに進められるままにぱちゅりー銀行から食料の融資を受ける選択をすることとなる。
それがどういう結果を招くかを考えもせずに…。
そして月日は流れ…。
「おらおら!さっさと、きょうのぶんのしょくりょうをだすんだぜええええええ!」
「またどこかにかくしてるとしょうちしないんだみょん!」
大声で凄みをかけるのは、いい感じに丸く肥え太ったぱちゅりー銀行の社員ゆっくりたち。
「ゆぴぃいい!これでぜんぶですううううう!ほんとにこれだけしかないんですううううう!
もうみっがもなにもたべてないんですううううう!もうほんとにかんべんじでぐだざいいいいいい!」
対してズタボロになりながら、必死に謝っているのは先ほどのまりさ一家だ。
その見た目は酷いものであり、親ゆっくりのまりさとありすはもちろん、いまや子ゆっくりサイズにまでは成長した
子ゆっくりたちも、皆一様に痩せ細って頬がこけており、目に光がない。
連日連夜休むヒマなく、一家総出で出狩りに出かけているため疲れきっており、
なおかつどれだけ沢山とっても生きるための最低限を残してぜんぶ食料は持って行かれてしまうため極端に栄養状態が悪い。
もう最後にゆっくりしたのはいつ以来だろうか?
「ふん!まったくしけてるんだぜ!これじゃ、りしのぶんだけでもぜんっぜんたりないんだぜえ!」
「わかるよー!しゃっきんはふえていくばかりなんねー!」
「そ、そんあああ!どうしてえええええええ!」
どうもこうも、トイチの複利の条件で大量に食料を借りて、長期間放置すればこういうことになる。
いまやまりさ一家の借金は、まともな手段では決して返済できないほどの量に膨れ上がっていた。
「ゆううう!おかしいよこんなの!まりさたちは、はじめにかりたりょうはとっくにかえしてるよ!なのになんでまだかえさないといけないの!」
子まりさが、社員まりさに食ってかかる。
「はあああああああん!なにいってるんだぜええええええ!おまえらが、あかゆのときにさんっざんむしゃむしゃした
しょくりょうのりしがたんまりたまってるんだぜえええええええええ!
おまえのおやとぱちゅりーぎっこうは、しっかりけいやくをかわしてるんだぜええええ!
あんまりなめたこといってると、せいっさいするのぜえええええ!」
そういうと社員まりさは、子まりさを押しつぶすように踏みつける。
「ゆがぎゃあああああ!いだいいだいいいいいいいい!」
毎日働かされてボロボロの子ゆっくりと、大量に食料を食べてブクブク太った社員まりさとでは、体格差は圧倒的だった。
「や、やめてね!まりさのおちびちゃんにらんぼうしないでね!」
「おねがいします!もっとはたらきますから、おちびちゃんにてをあげないで!」
「ありすのいもうとがあああああ!」
口々に叫ぶまりさ一家の面々。
「けっ!やめてほしかったらさっさとりしのぶんだけでもはらうんだぜえええええええ!」
「だからほんとうにもうないんですうううううう!こんなりょう、よういできるわけないってわかってるでしょおおおおおおおお!」
親まりさの悲痛な叫びが辺りに響き渡る。
「ふん!しかたないのぜ!それじゃ、たりないぶんはからだではらってもらるとするのぜ!」
そ言うと、社員まりさは、ちらりと下品な目つきで親ありすをに視線を向ける。
その視線を受けビクリと身を震わせた親ありすは、やがて諦めたようにうつむき。
「……はい、わかりました…、どうぞありすですっきりしていってください…うう」
「ゆああああああ!だめだよおおおおお!ありすうううううううううううううう!」
「おまえらもんくがいえるたちばなのかぜえええええええ!まりささまたちだって、だすものをだせばこんなことしないんだぜえええ!
でもしゃっきんがはらえないいじょう、からだではらってもらよりしかたがないんだぜえええええええええ!」
にやにやといやらしい笑みを浮かべながらまりさがいう。
「まったくほどほどにしておくみょん!」
「わかるよー!こんやはおたのしみなんだねー!」
「ゆっべっべっべっ!こんやもまりささまのものでひいひいよがらせてやるんだぜええええええ!
おらぁあああ!おまえらはさっさとかりにいってくるんだぜええええええええええ!」
「ゆううう!あでぃすうううううう!どうしてこんなこにいいいいいいいい!」
「おかあさあああああん」
嘆く親まりさ。泣く子ゆっくりたち。
もうだめだ!こんなしゃっきん一生かかっても返せっこない!
このままじゃずっとゆっくりできない生活を続ける事になってしまう!
もうこなったら……みんなで逃げるしかないよ!
親まりさはそう固く決心をした。
数日後。
ざわ…ざわ…
群れの広場には、ぱちゅりー銀行から借金をしているゆっくりたちが全て集められていた。
やはりどのゆっくりたちもボロボロで、みな一様に生気がない。
借金が返せないゆっくりたちは、その分を身体で支払うとして、奴隷同然の扱いを強要されていたのだ。
あるゆっくりは、朝から休む間もなく狩りに、またあるゆっくりは、ぱちゅりー銀行のゆっくりたちに一日中犯され、
またあるゆくっりは、銀行を広げるために洞窟で穴を掘る作業を強制されていた。
それだけ働いているのに、借金は全く減らない。いや、むしろ増えているのだ。
どのゆっくりもとうに始めに借りた量程度の食料ならとっくに返済し終わっている。なのにこの地獄は一向に終わる気配がない。
「おまえらしずかにするんだぜえええ!いまからぱちゅりーしゃちょうのおことばがあるんだぜ!みんなしずかにきくんだぜえ!」
まりさが怒鳴り声を上げ、一同を静まらせると、いままで切り株の上でふんぞり返っていたぱちゅりーがゆっくりと話しはじめる。
その姿は、これだけの期間でよくここまで肥えれたものだと感心するくらい醜く太っていた。
「むっきょきょきょきょ!かりたものもかえせないごみくずしょくん!ゆっくりしていってね!
さて、かんっだいなけんじゃであるぱちぇは、そんなごみくずなしょくんらにもじひをあたえて、
こうしてみなに、しゃっきんをかえすきかいをあたえてるわけだけど、
な、な、な、なんとそんなぱちぇのありがたいふるまいを、うらぎるかのような、くずいかのかすゆっくりがでてしまったわ!
おい!つれてこい!」
そうぱちゅりーが促すと、
「ゆひぃ!もうゆるして!いたいのやめてえええええええ!」
全身をボッコボコに打ちのめされたあのまりさ一家が社員ゆっくりによって引きずられてきた。
「むっきゃっきゃっきゃっきゃ!このごみゆどもは、ぱちぇのしゃっきんをふみたおして、よにげしようとしたとんでもないどげすよ!
まったく!こんなおろかなことがにどとおこらないように、いまからみせしめとして、いっかぜんいんにこうっかいせいっさいをすることにするわ!」
そうぱちゅりーが高らかに宣言する。
「ゆひい!やめてねええええ!もうしないからゆるしてねえええええ!」
「おねがいです!こどもたちだけわたすけてくださいいいいい!」
「ゆええええん!もういたいのやだよおおおおおお!」
制裁されると聞いて、叫んだり許しを請うたりするまりさ一家。
「むっきゃっきゃっきゃっきゃ!だめよ!いくらかんっだいなぱちぇでも、しゃっきんをふみたおそうとしたのはゆるせないわ!
これはじゅうだいなけいやくいはんよ!いはんゆには、しがおにあいよ!
さあ!やりなさい!」
「ゆっへっへっ!おまえはなかなかのじょうだまゆでおしいけれど、しかたないんだぜえ!
これもけいやくをまもらないおまえらがわるいんだぜ!」
「みょん!くずにはふさわしい、しにかただみょん!」
「かりたものもかえせないくずに、いきてるかちはないんだねー!それくらいわかれよー!」
そう言いながら、おびえるまりさ一家に向かって木の棒を咥えながらじりじりと近づく社員ゆたち。
と、そこへ、
「あなたたち!いったいなにをやっているの!」
騒ぎを聞きつけた長ありすと数匹のゆっくりが広場へと駆けつけてきた。
「ぱちゅりー!これはいったいなんのさわぎなの!いますぐ、そのばかげたこういをやめなさい!」
長ありすが、はっきりとぱちゅりーに命令する。
「むっひょひょひょひょ!これはこれはおさ!いったいなにをそんなにおこっているのかしら?
ぱちぇはただ、かりたものをかえさないげすをせいっさいしているだけよ!
なんらわるいことはしていないわ!」
余裕のにやにや顔で対応するぱちゅりー。
「ふざけないで!こんなせいっさいなんていなかもののすることよ!
いますぐそのいっかをかいほうしなさい!」
「むぎゅぎゅぎゅ!ふざけているのはそっちじゃないかしら?
さっきからきいていれば、まるでこちらがわがわるいかのいいようね!
でもぱちぇはけいやくにもとづいたせいきゅうをしているだけよ!ほんらいなら、しゃっきんがはらえなくなったじてんで、
せいっさいされてもおかしくないところを、こういではたらかせてあげているのよ!
せいぎはぱちぇのがわにあるってわけ!りかいできゅりゅ?」
ぱちゅりーはお得意の他人を見下したような口調で長ありすに説明をする。
「そ、そんなことって……、こんなのぜったいにおかしいわ!ぜんぜんとかいはじゃないもの!」
対してあくまで反抗の構えをみせる長ありす。
当然であろう。ぱちゅりーは群れの中では長でも何でもないただの一ゆっくりだ。
そのぱちゅりーの私的な制裁など認めてしまったら、群れのルールもクソもあったもんじゃない。
自身の長としての威厳が損なわれてしまい、それは群れの秩序の崩壊に繋がる。
そしてなりより、本能的にこんなとかいはじゃない行為を認めるわけにはいかなかった。
「うるさいわねえ!そこまでいうのなら、あなたが、このまりさたちのしゃっきんをかたがわりするのかしら?
まあ、いまぎんっこうにあずけてあるぶんをぜんぶもらったとしてもぜんぜんたりなから、ぱちぇのどれいになってもらうことになるけどね!」
「ゆへへへ!それはいいのぜ!おさがどれいになったら、まりささまが、まいばんたっぷりすっきりさせてやるのぜ!」
「みょん!もちろんひるまはかりと、どうくつのあなほりのじゅろうどうだみょん!」
「わかるよー!やすむひまなんてないだねー!いったいなんにちもつかなー!」
「むぎゃ!だめよあなたたち!ぱちぇたちのもくてきはあくまでしゃっきんをかえしてもらうことなんだから、
どれいにはゆっくりとながいあいだはたらいてもらわないとね!」
「「「「ゆひゃひゃひゃひゃ!!!!」」」」
まるでそこいらのチンピラのごとく下品な笑い声を上げるぱちゅりー一同。
「くっ………」
何も言い返せずうつむいてしまう長ありす。
「むっひょひょひょひょ!どうやらどっちがせいぎかわかったみたいね!
それじゃあ、くずのせいっさいをおこなうわ!やりなさい!」
ぱちゅりーが社員ゆっくりたちに合図を送る。
「ゆああああああ!いやだああああああ!たすけておさああああああああああ!」
「ゆっへっへっへ!しぬのぜええええええええええええ!」
叫ぶまりさ一家。気の棒を咥えて迫る社員ゆっくりたち。
次の瞬間両者は交錯し、
グサグサ!!!
「「「「「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああ!」」」」」
四方から身体を木の棒で貫かれたまりさ一家は全員永遠にゆっくりした。
ざわ…ざわ…。
その様子をまじまじと見せ付けられ、ざわめく奴隷ゆっくりたち。
「さあ、おまえたち!こうなりたくなかったらさっさともちばにもどってはたらくのよ!」
ぱちゅりーの号令を合図に一斉に散っていく奴隷ゆっくりたち。
それを見ながら長ありすはただうつむいていることしかできなかった。
後編へ続く。
最終更新:2010年10月12日 16:06