ゆっくりおうちせんげんの末路
短期出張を終え久方振りに我が家へ帰るとそこは、ゆっくりの巣窟になっていた。
親ゆっくりまりさ、その番のれいむ、子まりさ2匹に子れいむ1匹に赤まりさと赤れいむがそれぞれ2匹
計9匹のゆっくりに私邸は物の見事に荒らし尽くされており、散らばり破られた本、カーペットやカーテンは引き千切られ
低い位置に置かれた日用品は散乱し、ベッドの上や床には無数のうんうんとしーしーがぶちまけられている。
「ゆっ!ここはまりさのおうちなのぜ。ゆっくりしないででていってね!」
「ゆゆ、ゆっくりできないにんげんさんはでていってね。ここはれいむたちがさいしょにみつけたおうちだよ!」
あまりにも無残な姿に変わってしまったマイルームと出張の疲れが相俟って僕は呆然と立ち尽くしていると、
親ゆっくりがぷくーっと膨れてぬけぬけとこちらを威嚇している、その隣で、閉まっておいた芋かりんとうを満足そうに平らげ
うんうんを捻り出している子れいむの「きゃわぃぃれいむがうんうんするねー♪」の
反吐が出る台詞に我に返った僕は溢れんばかりの怒りが音もなく爆発した。
「わ~い♪おちょらをちょんでるみちゃ~い♪」
「ゆゆっ!!れいむのかわいいおちびちゃんになにをするの!ゆっくりしないではなしてね!!」
「ゆ!!じじぃ、まりさはつよいのぜ!!せいさいされたくなかったらおちびちゃんをもとにもどすのぜ!」
とりあえず素早い動きでゆっくり回収用の収納ボックスに子と赤ゆっくり計7匹を詰め込む、
泣いている饅頭もいれば怒っていたり喜んでいる饅頭も様々だ。
まずは親ゆっくりに今日の鬱憤を晴らすべく蹴りつける、既に汚された我が家だ、餡子が飛び出したところでどうということはない。
「よくもまぁ、やってくれちゃって……謝罪するまでゆっくり蹴ってあげようね!」
「ゆぐっ!!……やべ、やべて……ぐぇ、ゆぐぇえええええ!!」
まずは親まりさから、蹴る蹴る蹴る、ひたすら蹴る。
箪笥の角を狙って、部屋の木板を狙って、時には天井を狙って、泣こうが喚こうが構わず蹴り続けた結果、
親まりさの顔面は見事にタコのように真っ赤に膨張し常時ぷくーっ状態になってしまった。
「ゆああああああ!!まりさになにをしてるの!!ゆっくりしないでやめてね!!」
「謝るまで蹴るよ、まだまだ蹴るよ!」
「ぐえっ!やめ……ゆげぇ!……やべでぐがさい!!……じぢ、おでぃいざん、やべで!!」
「お兄さんのゆっくりプレイスを乗っ取った悪いゆっくりは蹴り殺されてもしょうがないよね」
収納ボックス越しに親の無残な姿を見た子と赤ゆっくりたちは気付けば隅に身を寄せ合いガタガタと小刻みに震えている。
時折そちらに視線を送ると、目が合っただけで子れいむがしーしーを漏らしてこの上ない恐怖心を剥き出しにしている。
「ばでぃざぁあああああ!!おでぃいざん!!やめでぐだざい!!ばでぃざがしんじゃいまず!!おでぃざん!!!」
真っ赤な状態から中の餡子が透けて見えるほど黒ずんだ辺りで、番の親れいむが蹴るのをやめろと涙ながらに懇願するが僕は構うことなく蹴り続ける。
まだまだこんなことで僕の怒りは収まる訳がない、僕は一度蹴るのをやめるとオレンジジュースを取り出しもはや瀕死状態の親まりさにぶっ掛ける。
「こんなんで死なれちゃ困る、まだまだ続けるぞ!ゲスまりさはもっともっと壊れてから死なすよ!死ねったら死ね!」
「ま、まっでぇ!ゆ、ゆるじで……ぐだざい”……ばでぃざがわるがだってです、やべでぇ……ぐださい”……」
やっと謝罪の意思を見せ始めたのでとりあえず蹴るのをやめる、
全身痣だらけの親まりさはボロボロと眼から涙を流して床に頭を擦り付けた。
「おでぃいざんのゆっぐでぃぶでぃずを……の”っどっでじまっだのぼあやまでぃばず……だがらゆづじでぐだざい……」
蹴った最中に歯が欠けたらしく上手く発音できていないがどうやら謝罪したようだ、
僕は蹴る行為をやめると、身を降ろし親まりさの視線に合わせて満面の笑みを浮かべ
「許す訳ねーだろバーカ、くたばれ糞饅頭」
と、親まりさの願いを一蹴した。
「ぞ、ぞんな……どぼじでごんな”ごどい”う”の”おおおぉぉ」
流石にこれ以上やったら死んでしまう、もとより殺すつもりでいるが
こんな簡単に死んでしまっては面白くない、僕はくるりと身を翻すと軽快なステップで親れいむと対峙した。
「ゆゆっ……お、おでぃざん?」
ただならぬ気配を感じたいのか、ずりずりと後ずさり壁際まで後退するれいむ、良く見ればしーしーを漏らしている。
更に汚れたところでどうということはないと思っていたが、真正面でそれを見せられて僕の鉄さえも溶かす怒りが更に沸騰した。
「れいむもお兄さんのプレイスを乗っ取った悪いれいむだね、おしおきされるべきだーよね?」
「ばでぃざぁあ!だ、だずげで!!おじおぎなんでざれだらゆっぐりでぎないぃぃぃ!!!」
親れいむの右の揉み上げを乱暴に引き千切り、眼を狙って中指と薬指の間に親指を挟んだ痛み倍増の摺り切りパンチ、
横っ腹には全身全霊を込めたミドルキック
身体で表現できるありとあらゆる攻撃を繰り返し、親まりさと同等の状態になったところで僕は痛めつけるのをやめた。
「ゆ”ゆ”っ……までぃざだちはおうぢをあぎらべまぶ、ぼうおうぢにがえじでぐだざい”のぜぇ……」
「ゆぐぇ……で、でいぶも……あやばりばず、だがらおぢびじゃんをがい”ほうじであげでぐだざい”」
僕は笑顔を絶やさず二人の言葉に頷くと、収納ケースに歩み寄り一番奥の赤れいむを取り出し掲げた。
親ゆっくりたちのぶくぶくに膨れ上がった顔が僅かに安堵の表情を浮かべるが、
その淡い期待を踏み躙るかのようにぎゅうぎゅうと拳に力を込めていく。
「ゆぶっ!おきゃあしゃん……だじゅげでぇ!……い”だい”よぉ、ゆっきゅぢでぎにゃい”ぃい”!!!」
下腹部の餡子が僕の力によって押し上げられる。
赤れいむの頭部(?)は押し寄せる餡子がまるで風船のように圧の掛かった顔にさせた。
「ゆ”ゆ”!!おぢびじゃああああああん!!やででぐだざい!!でいぶはどうなっでもい”い”でず、おでがい”でずがら!!」
「僕のお部屋がうんうんとしーしーでぐちゃぐちゃなんだ、片付けてくれるかな?」
「ゆっ!わがでぃばじだ、かだづげまず、だからばでぃざのあがじゃんだけは、あがじゃんだげは!!」
「いいからさっさとやれ、早くやんねーとマジで潰すぞ」
「わ、わがでぃばじだ!や、やでぃばず、やでぃばずがらぁあああ!!」
ずたずたになった身体に鞭を打って親ゆっくりの2匹が散乱したうんうんとしーしーの前で立ち尽くす。
すると親れいむが振り返りこちらを見ると『ぞうきんさんをかしてね』と願い出た。
雑巾を知っていることから元飼いゆっくりなのかもと思いつつも、僕は握り締めた赤れいむをを更に握りを強めて言い放つ。
「食べて片付けてね、遅いと制裁しちゃうよ。主に赤れいむを」
「ゆ”!!でぃぶのあがぢゃんにひどい”ごどじない”でぇえええ!!だべばず、だべでかだづげまずがら!!ゆうっう……」
親ゆっくりたちが苦虫を噛む様な顔で排泄物をぺーろぺーろしている傍ら、
僕は子と赤ゆっくりが詰まった収納ボックスを開け、怯えるゆっくりたちに言い聞かせる。
「よく見ておくけ、きったねぇうんうんを食べてるのがお前らの親だ、人間様に歯向かった馬鹿で愚鈍で愚図で能無しで無能にして軟弱であさましくいやしいゆっくりだ。親があんなだからお前らは酷い目に合わされるんだぞ、ゆっくり理解しろよ」
「ゆゆっ!!おかーさんをわるくいわないでね!わるいのはくそじじぃだよ、ゆっくりしないでしね!!」
果敢にも、この子供らの中で恐らく一番の年長者である子まりさがぷくーっと膨れて僕を威圧している。
親の惨めな姿を見て何も学ばない、やはりゆっくりはゆっくりだ、
低俗で成長しない糞饅頭、決してこれは高貴な知性を持つ生き物なんかではない。
「そんなに親が好きなら真似させてあげようね」
人質ならぬゆっくり質、ゆ質として捉えた赤ゆっくりを持つ反対の左手で、
ぎらぎらとした反抗心を向ける長女の子まりさを摘むと適当にうんうんが広がったエリアに顔面から押さえ付ける。
うんうんをびちゃびちゃと跳ねさせながら、子まりさは息苦しそうに身体を震わせる。
「ほら舐めろよ。お前のかーちゃんがやってんだ、見習わなきゃいけないよね」
「ゆぐぇ!!やべでぇ!!う”んう”んさんとずーりずーりしだぐない”よぉお”お”お”!!!」
姉妹たちはさぞ酷い顔付きでニヤついているであろう僕を見て更に怯え、
子まりさの叫びも疲労困憊で虚ろなままうんうんを食べ続ける親の耳には届かない、
僕は子まりさが全身がうんうん塗れになったところで元のケージに戻してやった。
べちょっと不快な効果音と共に落とされた子まりさはよろよろと隅に固まった姉妹たちにゆっくり近付くが。
「おにぇいちゃんうんうんしゃんぬりぬりされちぇちぇくちゃいよ!ゆっきゅちできにゃいからちかじゅかにゃいでにぇ!!」
「まりしゃおねーちゃんがいりゅとゆっきゅちできにゃいよ!ゆっくちしにゃいできえちぇね!!」
「どぼじでぞうい”うごどい”うのぉ!!」
姉妹たちは子まりさの親の名誉を守ろうとして反抗した姿勢を称える訳もなく、
文字通り糞饅頭になった糞まりさを倦厭しありったけの罵倒を浴びせる。
親の姿を見て学習するという点に置いては糞まりさよりもそこで怯えている姉妹たちの方が賢いと言えるだろう。
そして暫く待っていると親ゆっくりたちが疲れ果て焦点の合わない目付きのまま、うんうんとしーしーの後始末が終わったと言い、
赤れいむの開放を要求してきた。
部屋を見渡すとこびり付いた物を除けば一通り片付いたようだった。
「うんうんざんもしーしーざんもかだづげばじだ……でずがら、でずがらどうがばでぃざのあがじゃんを……」
「分かった」
そう言って僕は右拳の力を込め、赤ゆっくりを――――握り潰した。
「ゆぎょるびょぎゅゆゆゆ……」
内臓物が放出される奇妙な効果音と共に餡子を強制的に吐き出す赤れいむ、
若干握りを弱くしておいたためにまだ意識はある、小刻みに震え最後の踊りをし始めた。
一瞬の出来事に唖然と硬直した親ゆっくりの前に潰れた子饅頭を置いてやると無言のまま縮んだ顎下の、
人間で言う尻の部分をぷるんぷるんと左右に降り実に情けない姿を眼下に晒け出した。
「残念だったね、あと5秒早く片付ければ赤れいむは助かったんだよ……お前たちか愚図だからだよ。ゆっくりりかいしろよ」
言うまでもないがどんなに早くうんうんの処理を終わらせたとしても僕は赤れいむを潰していた。
理不尽な言い分を押し付けるのはとても気持ちがいい、僕は言い知れぬ快感を抱きながら親2匹に向けて不敵に笑う。
「ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”!!!!で、でいぶのあがじゃあ”あ”あ”んがああ”ああ”ああ”ぁああ”ああ!!!!!!!」
「ゆ”あ”あ”あ”!!ばでぃざのあがじゃんをよぐも!!よぐも!!!ぐぞじじい!!ゆっぐりしない”でじね!!じね!!!」
「あ”あ”~?そんなこと言っちゃっていいのかなぁ~?」
赤れいむを潰され激情した親ゆっくりの前で、残された姉妹を収納したボックスを僕は激しく揺さ振る。
ケース内の姉妹たちは圧倒的な脅威に愚図り一斉に泣き始めた、親ゆっくりにはさぞ身に響く音であろう。
怒りの感情に身を任せた二匹の親ゆっくりはみるみる表情が青ざめていく。
まだ残り6匹のゆ質が僕の手中にあると悟ると親ゆっくりは萎縮し、機嫌を伺い腫れ物を触るように痛々しい作り笑いを浮かべる。
「お、おでぃいざん……ば、ばでぃざがわるがっだよ!……ばでぃざのおぢびじゃんにばでをだざないでね!!」
「で、でぶもあやばるよ……ゆっぐりゆるぢでね……」
「駄目だよお兄さん許さないよ、もう1匹殺しちゃにおうね」
まだまだ精神的に追い討ちを掛けなければ気がすまない、僕は収納ボックスの蓋を開けて
先ほど糞塗れになった糞まりさ目掛けてその辺に転がっていたシャーペンを脳天から突き刺した。
「ゆぐえ”っ!!」
「でいぶのおねえじゃあんがああぁ”あああ”!!」
ボックス内は阿鼻叫喚の地獄絵図になった、脳天を突き破られグリグリと中身を掻き混ぜられる糞まりさ、
赤ゆっくりたちは少量の餡子を吐き、残った子まりさと子れいむも大きく口を開けて糞まりさから離れていく。
「ゆふえ!ゆふぇっ!!ゆがゆがが!!!」
ちょっとずつ、僅かに、最大限に痛みを感じさせつつシャーペンを押し込んでいく、
糞まりさも自身の置かれた状況を理解しているらしく大粒の涙を流し何かを訴えている。
糞まりさが言いたい事の察しはつくが、僕はわざと分からない振りをして横暴さを強調してやった。
「やべでぇぇえ”え”え”!!おぢびじゃんをゆっぐりざぜでぇえ”え”え”!!!」
「あははっ、こいつ痙攣してるよ、おい聞こえるかー?お前の頭の中を掻きまーぜまーぜしてやってるよ、おーい聞こえてるかぁ?
「あ”……ッ!ゆ”っ……!ゆ”……も……っど……ゆ”………が……」
「やべでぇえええ!!どぼじでぇ!!どぼじでぇえええ!!おぢびじゃあ”あ”あ”ん!!!」
ぐちゃぐちゃと強引に手首のスナップを効かせて振り回す、今にも飛び出しそうな糞まりさの眼は明後日の方向を見つめている。
もう身体のあらゆる機能の融通が効かなくなったようで、伸びた舌が頬にべったりとくっ付いている。
「はい、おしまい。さっさと死ねてよかったね」
無情な台詞を吐いて僕は全力でシャーペンを突き刺した。
中枢餡を抜けあんよを突き破り糞まりさは息絶え永遠のゆっくりへと旅立った。
「なんでぇ……なんでえ”!!……おぢびじゃぁん……おぢびじゃああん……」
ものの5分足らずで子を2匹も失った親ゆっくりは戯言を繰り返し絶叫している。
一頻り甚振ったことで満足を得た僕は、失意の親ゆっくりをもう一つの収納ボックスに強引に収めると、
今日の虐待をここまでと区切りを付けて汚れた居間を後にした。
部屋を抜けると後ろからすすり泣く様なゆっくりたちの声が響いてくる、実にいい気味だ。
明日はどうやって虐待してやろうかと心を躍らせて僕はいい汗をかいた身体を休めた――。
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翌日の早朝、出張時の代休を使い仕事も休みな僕は元気良く居間に入室すると
収納ボックスで死んだように眠っているゆっくりたちを無理矢理叩き起こした。
一時の安息を妨害され恨めしそうに僕を見つめるゆっくりたち、僕は彼らの期待に添えられるように
『今日の虐待を始めます♪』と高らかに宣言した。
「おでぃざん……もうばでぃざだちをがい”ほうしてくだざい”……ぎのうがらおぢびじゃんだぢはなにもだべでないんでず!!」
「ゆっぐ……ごのままじゃおぢびじゃんだちがじんじゃいまずぅ!!」
親ゆっくりの言うとおり赤まりさと赤れいむはぐったりとしている、食べ盛りの赤ゆっくりにとって
昨日の夜から口移しで物を入れていないのは結構な空腹に当たるらしい。
僕は赤いっくりを消費期限が限られていると考え今日明日中に殺すことを念頭に置き、
親の言い分を華麗にスルーして電気ポットを取り出す。
コンセントを挿し電気ポット内の湯がぐつぐつと煮えたぎったところで、
収納ボックスに入った親まりさと赤まりさ2匹を取り出した。
「お前らよくみておけよ」
そう言い聞かせ僕は持っていた大福を紐で括り泡を吹くポットに浸からせた。
30秒程して引き上げると皮が破れ中の餡をどろりと吐き出した無残な大福がそこにあった。
能天気にその大福を欲しがる赤まりさ2匹を他所に何かを察した親まりさは唾を飲んだ。
「ゆっ……おでぃざん……どういうごどなの?」
「つまり、こういうことだよ」
大福に見惚れている赤まりさ2匹を僕は片手でひょいと摘むと、凧糸をゆっくりの口部に引っ掛ける形で紐を括った。
突然口に紐を通され全身を軽く縛られた赤まりさたちは呂律の回らない口調を更に悪化させて文句を述べている。
電気ポットを壁際に避けて、僕はゆっくり2匹がぶら下がった長い凧糸を壁のカレンダーを掛けるためのU字フックに紐を通す。
丁度湯気の沸き立つ電気ポットの上で赤まりさ2匹が宙吊りになる形だ。
「ゆがっ!……ごごどでぼあぢゅいひょ!!……おぎゃーじゃん!!だじゅげじぇ”!!!」
「ゆあ”あ”あ”!!おぢびじゃぁん!!!」
親まりさの顔が面白いほど強張る。
死の淵に立たされた、この場合吊るされた赤まりさたちを見て慌てふためいている。
僕は紐を引っ張ったり緩めたりして、赤まりさたちが上下するのを親まりさに見せ付けると、
紐の先端を親まりさの口にお構いなしに捻じ込んだ。
そうされてハッとなる親まりさ、もう気付いたようだ。
「まりさの赤ちゃんを助けたかったらずっとそうしていてね、離したらドロッドロッになっちゃうよ」
「ふがが、ふがゅ!……」\
「ゆぇえええん!!あじゅい”よぉ!!あじゅい”ぃいい”!!」
電気ポットの湯気にやられて赤まりさたちが叫び紐が軋む、親まりさは顔面に汗を浮かべ噛んだ紐を決して離さないよう勤める。
これでまりさチームの準備は完了だ、あとは時間が経てば結果が出るだろう。
「僕が帰ってくるまで赤まりさが死んでなかったら開放してやるよ、ずっとゆっくりしててね」
「ゆが……っ!」
「それとこれは餞別だよ、お腹が空いたら食べてね」
僕は見本に使った大福の余りを踏ん張る親まりさの横に4つ、四方を囲い並べた。
一瞬だけチラリと親まりさがそれを見ると、本能には抗えず口から涎が溢れ出て紐が僅かに緩んだ、どうやら滑ってしまったようだ。
「ゆ”ゆ”!!!あぢゅい!!あぢゅいよ!!おがーじゃんにゃにじちぇるにょぉ!!!こにょやきゅちゃちゃじゅ!!!!!」
ギリギリのところで紐を絡み取ったので難を逃れたが、状況は悪化するばかり。
強制的に湯気に近付かされた赤まりさたちは湯気から身を守るために全身を揺らしヒーヒーと荒い息遣いで親まりさを貶した。
「されじゃあ僕らは出掛けて来るよ、まりさはゆっくりがんばってね」
僕は嫌味たっぷりに親まりさを励ますと親れいむ、子れいむを取り出し家を出た。
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東の空が僅かに色付いた早朝の街の風景、まだ人影は見えない。
僕は抱えた親れいむにゆっくり用のリードをきつく装着させ輪を右腕に引っ掛ける、
右手にはゆ質として子れいむを握り締め、残った左手には銀色の浅い輝きを放つジッポライターを装備する。
もし早朝マラソンに勤しむおじさんや新聞配達のお兄さんとすれ違っても
ライターと子れいむを隠せば飼いゆっくりを散歩させる好青年にしか見えないだろう。
「ゆっ?……お、おにいさん……これからどこにいくの?……おぢびじゃんにいたいことしないでね!」
「これかられいむたちのおうちに行こうね、お兄さんをゆっくりしないで案内してね!拒否権はないよ」
「ゆっくりりかいできないよ!れいむはそこにはいきたくないよ!!!」
「そうか、じゃあ子れいむはどうなってもいいね」
「ゆぐっ……おでぃざん、でいぶをづよぐにぎらない”でぇ!!いじゃい”よぉおお!!」
最初に赤れいむを潰した要領で親れいむに命令をすると引き攣った表情を浮かべ親れいむは了承した。
僕は、僕の家をおうち宣言する前にゆっくりたちが住んでいた元ゆっくりプレイスに行くことを思いついた。
子ゆっくりを抱えての移動ならばそう遠くではない、近所の森林公園か神社跡地か、人間の足で1時間弱程度だと睨んでいた。
ちなみに赤ゆっくりを抱えて引越しをするということは特殊な状況下でない限りほぼ有り得ないらしい、
恐らく僕の家で産み落としたのだろう、僕は私邸で親ゆっくりたちの
気持ちの悪いアヘ顔と「すっきりー」と言っている場面を想像し益々不愉快になった。
「ゆぐぇ……おでぃざん、もうむりでず……ぢょっどやずまぜでぐだざい……」
色々と考え込んでいると親れいむがもう弱音を吐き始めた。
腕時計を見てもまだ10分も経っていない、昨日の虐待で受けた傷が疼くのだろうか。
「そうだね、じゃあ休んでもいいよ。休んでる間に子れいむを甚振るけどね」
僕は左手のジッポライターのカバーを開きフリント、発火ドラムを勢い良く回すと軽い火を宿させた。
揺れる小さな火を、握り締めた子れいむのあんよに向けじっくりと炙り始める。
「ゆ”ー!!あ、あぢゅいよ!!なにするのぉ!?でいぶのきゃわいいあんよさんをい”ぢめない”でえ!!」
「ゆううう!!おぢびじゃんにひどいごどじないでええええ!!やずみまぜんがら!!あるぎまずがらぁ!!」
「分かればよろしい、さっさと歩け」
「ゆうっう……ゆゆうっ……」
そうこうしている間にれいむたちの元ゆっくりプレイスに到着した、睨んだ通り近所の森林公園だった。
そういえばこの辺りにゆっくりが生息しているって近所のお喋りなおばさんが言ってたっけ。
僕は勝手に身体を休ませ始めた親れいむを蹴っ飛ばし、尋ねた。
「この付近でれいむの仲のよかったゆっくりはいるかい?」
「ゆ”ゆ”!?そ、そんなゆっぐりはいないよ、ここはでいぶだちだげがずんでだんだよ」
あからさまに嘘だ、眼が泳いでいる。
僕はジッポライターを再び叩こうとすると、その前に親れいむが折れた。
「いまず……ぱちゅりーがおどもだぢでず……いばもぎっどごごにいまず……」
「よし、じゃあ巣から誘き出せ」
「ぞ、ぞんなごどでぎるわげないでしょおぉおお!?おでぃいざん、ぱじゅりーにひどいごどずるぎでしょぉおお!?」
「あっそ、じゃあもう一回火炙りな」
「やでぃまず……でもぱじゅりーにひどいごどじないでね……」
はいはいと適当に相槌を打って、親れいむには「悪い人間が追ってきてる、早く皆で逃げよう」と垂らし込めと強要した。
親れいむの満身創痍な身体なら疑われることなく信用されるだろう。
リードを離し親れいむが古い木の根元に近付くと落ちた枝を漁った、
すると中からカモフラージュしたゆっくりの巣を発見し親れいむはおずおずとその中に入っていく、
その間に右手に持った子れいむを先ほど使った凧糸の余りで括り、近くの木の枝に引っ掛け両手はフリーな状態に、
僕は手頃な木の枝を装備すると巣の近くで身を潜めた。
暫くして――わらわらと飛び出してくるゆっくりぱちゅりー、そして番のゆっくりありす、子ありす子ぱちゅりー、
赤ありす、赤ぱちゅりー、合計12匹もいる、随分な数だ。
「ありす、ゆっくりしないでにげるわよ。おちびちゃんたちもぱちゅりーのあとについてきてね」
「そうね!ゆっくりしているひまはないわ、いなかもののにんげんにつかまったらさいごよ!」
ぱちゅりーの先導で隊列を整える子供たち、いよいよ出発となったところで僕は颯爽と飛び出した。
「おはよう、君たちはゆっくりできるゆっくりかな?」
満面の笑み、だが右手は木の枝を今にも振り下ろそうとしている。
「おちびちゃんたち!!にげてぇえ”え”ええ”ええ”!!!」
ありすが叫ぶ、ぱちゅりーが子を庇おうと前に出る、一斉に散らばろうとする子供たち、
僕はまず逃げ足の速そうな子ありすを枝で突き刺し、次に子ぱちゅりーを二の足で容赦なく踏み潰した。
あっという間に3匹死滅、森林公園に響く悲鳴、轟音、それらを無視して今度は残った赤ゆっくりたちを一匹一匹丁寧に枝で引き裂いていく。
親ありすは決死の覚悟で膨れ上がり僕の足元へ突進するも、ただただ跳ね返るだけで意味を成していない。
親ぱちゅりーが赤ぱちゅりーを口に隠そうとするが寸前のところで僕が赤ぱちゅりーを捕まえると
それを親ありす、親ぱちゅりーに見せ締め上げた。
気付けば残り4匹、怯えてうんうんとしーしーを漏らした田舎者の赤ありすと
僕の手に掴まれ苦しそうに悶える赤ぱちゅりー、そして親の2匹だ。
「むきゅー!!なんでぇえええ、ぱ、ぱちゅりーのおちびちゃんたちをなんでぇえええ!!」
「ありすの……ありすのかわいいおちびちゃんが……よぐもっ!!いなかもののにんげんはゆっくりしないでしねぇ!!しねええ!」
「はいはい落ち着いてね、騒ぐと赤ぱちゅりーを潰しちゃうよー」
「む、むきゅー……っ!?」
ほんの一瞬で家族の大半を殺された親ぱちゅりーと親ありすは
後れて溢れ出した砂糖水の涙にようやく現実を理解したようで嗚咽を漏らしている、
この家族は完全なとばっちりなだけに少々可哀相だと思ったが目的の為には手段を選ぶつもりはないと僕は自分を納得させた。
「おいっ、れいむ出てこいよ、よくやった」
僕の言葉に反応し、ゆっくりと実に申し訳なさそうにぱちゅりーたちの巣穴から出てくる親れいむ、
れいむは無残に転がる死体の山と親友のぱちゅりーが涙する姿を見て思わず顔面を地面に平伏せた。
「ぱ、ぱちゅりー……ご、ごめんなさいっ!でいぶは……でいぶはぁあ!!」
「……れいむ、あなた……ぱちゅりーたちをにんげんにうったのね!?」
流石は森の賢者、賢い分だけ状況を飲み込むのが早い。
「し、しかたなかったんだよ!れいむもかわいいおぢびじゃんをゆじちにとられてるんだよ!!ゆっくりりかいしてね!!」
「ごのぉおおおうらぎりものぉおお!!!でぇええええぇいぃぃぃぶううううう!!」
全ては親れいむの罠だと悟り飛びかかろうとした親ありすを
僕は脳天から枝を突き刺し沈黙させる「ゆ”っ……ゆ”っ……」と中枢餡に傷を追ったありすは
二度と意思の疎通ができないゆっくりに変わり果ててしまった。
これは加工場の職人がやってのける技法だ、僕は勿論そんなスキルを持っていないので偶然の産物だった。
「ありずぅ!!ありずうぅ!!!」
口をあんぐりと開け放ちニタニタと笑うだけの饅頭になってしまったありすに近付き必死に自分をアピールする親ぱちゅりー、
僕はそっと後ろから近付くと、親ぱちゅりーを身動きの取れない程度に踏みつけ、手に持っていた枝を親れいむの前に転がした。
「れいむ、試練だよ。そこの赤ありすをそれでゆっくり殺してね」
「ゆ”ゆ”ゆ”っ!!!!!どうぢでぞごまでしないといげない”のぉ!?おにい”ざんはあぐまだよ!ぜったいにゆっぐりできないよ!!!」
「悪魔でも鬼でも何でも結構、やれるかやれないかハッキリしろ」
「ゆゆっ……うっう……うっ……」
余りにも突然の出来事に、たった一人残された赤ありすは穴という穴から砂糖水を垂れ流し固まっている。
親れいむはぶつくさと何かを囁いている、それが自身を正当化する言葉だと気付いた時、親れいむは僕の放った枝を口に咥えた。
「まって、まっでぐだざい!!ぞのごだげは、ぞのごだけはたずげであげでくだざい!!にんげんのおにいざん、ぱぢゅりーはなんでもじまず!!でも、でもぞのごだけがどうが!!どうが!!」
必死の懇願だった、ぱちゅりーは土を舐めながら踏みつけている僕に願う。
僕は少しだけ考えた後、親れいむに提案した。
「じゃあれいむが赤れいむを見捨てられるならその赤ありすは助けてやろう、れいむお前が選べ、お前の子か他人の子か」
「ゆ”ぐぐ……ぞ、ぞんなの、ぞんなの……でぃぶのあぢびじゃんに……ぎまっでるよぉ……」
やっぱり自分の子の方が可愛いらしい、親れいむはきゅっと口を強く紡ぐともう一歩赤ありすに近付いた。
「むぎゅぅうう!!!!でいぶぇ!やべでぇええ!!!ぱぢゅりーのあがぢゃんだげはだずげであげてぇ!!おねがいだがら!!」
「ぼめんべ……ぼめんべばじゅりー……でぇぶばびぶんぼごががばいいんだひょ……」
「ゆぅあああああん!おきゃーじゃん!!!だじゅげじぇえええ!!!!!」
枝の鋭利な先端がこちらに向けられていることに気付いた赤ありすはよちよち歩きに毛が生えた程度の速さで逃げ出す。
親れいむは助走を付けその枝を躊躇なく赤ありすに背後から突き刺した、
裂かれた小麦粉の肌、溢れ出るカスタード、背中から眼を突き破るように枝が食い込み、
ぴくんと一回脈打ってぱちゅりーの最愛の娘はれいむの手によって死に絶えた。
「ぱぢゅりーのあがじゃんがぁあああああああ!!ゆるざない!!でいぶぅうう!!ゆっしょううらぶよ!!!でぇええいぃいぶはゆっくりしないでじねぇえええええ!!!!」
もういいだろう、頃合だ。
手に持った赤ぱちゅりーを容赦なく握り潰すと恨み言を念仏のように唱える親ぱちゅりーの前に捨て、
赤ぱちゅりーの最期を見送らせた後、僕は足の筋肉を全力で引き締め親ぱちゅりーを踏み潰した。
ひしゃげた親友の死体と広がる生クリームを見て親れいむは虚ろなまま謝罪を続けている。
僕は何気なく周囲を見渡すと、森林公園で暮らす他のゆっくりたちが騒ぎを聞きつけ逃げられるほどの距離を保ちながら
こちらの様子を伺っていることに気付いた、僕の視線と重なるとゆっくりたちは直ぐに姿を隠した。
「それじゃあ帰ろうか、れいむは約束を守ったから子れいむだけは助けてあげるよ」
「ばじゅりー……ごめんね……ごめんねぇえええ……」
まるで聞いちゃいない、とりあえずやれることはやったので小枝に引っ掛けた子れいむを回収し、
親れいむにリードを付け引きずるように帰路に付いた、さあこれで一通りのシナリオは整った、後は適当に苛めるだけでいいだろう。
僕は脳内に描いたストーリーがどのように成就されるか、弾む気持ちを胸に帰宅への道をスキップで歩き始めた。
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自宅に到着した頃には、太陽は高い空の上で日差しが頭上から降り注いでいた。
人間で言う脱水症状のような状態のカサカサになった肌であんぐりと舌を垂らした親れいむに
僕は自販機で買った炭酸入りオレンジジュースを掛け応急処置を施すと、
電気ポットと戯れているであろうまりさチームの結果を確かめるべく家にあがった。
そこに広がった光景は――。
「ばでぃざの……ばでぃざのあがじゃん、ゆっぐりじないでべんじをずるのぜぇ!!おがあざんがべーろべーろしてあげるがらぁあああああ!!!」
電気ポットの中ではなく地面に転がった赤まりさ2匹、その様は高所から落とされ破れた肌から円状に広がるように餡子を放出している、どちらも既に息絶えているようで、傍らで親まりさが涙を流しながら起き上がらせようと必死にぺーろぺーろしている。
どうやら親まりさは『がんばりすぎた』ようだ。
この電気ポット虐待には3パターンの結末がある。
・親まりさが紐を離してしまい電気ポットに赤まりさを落とし茹であげられ死に至らしめてしまうてこと。
・親まりさが紐を離さず、電気ポットの上で宙吊り状態を保持し続けること。
・親まりさが紐を持ったまま下がることで引っ張り続け、凧紐を引っ掛けたU字フックを壊して赤まりさを落下死させてしまうこと。
この場合は言わずとも知れた後者である、赤まりさを引き上げ安全圏に押し上げた発想は良かったが
欲をかいて助けようとしたのがまずかった、親まりさは自らの行為で赤まりさを永遠のゆっくりへと突き落としたのだ。
そもそも想像力があればU字フックの高さを考慮して予知できるであろうが、そこは流石餡子脳というべきだろう。
「だから、ずっとそうしていてね。って言ったのに、あーあ」
嘆き嗚咽を漏らす親まりさの横で収納ボックスに入った残りの姉妹である、
子まりさ、赤れいむの視線が何故か冷たいことに僕は気付いた。
どういうことだ、と首を傾げて親まりさの周囲を見るとある物が無くなっていた。
「おまっ、大福食ってんじゃねーか」
親まりさの周囲に置いた4つの大福が見事に消失していた、僕はわんわんと泣き続ける親まりさの口元をぎゅっと片手で締めると
数字の8を描くようなタコの口を強制的に作られる、口周りを見ると大福の残りカスが付いていた。
「ゆぐっ……ゆぐっ……だいぶぐざん?おいじがっだのぜぇ……」
親まりさが子の亡骸の前で「うめぇ!これめっちゃうめえ!!うめぇ!まじうめぇ!!!」と言っている様を想像して
僕は思わず吹きそうになった、一通り泣き通した後大福を食ったのか、それとも死んだと確認した後、急いで大福を掻き込んだのか
どにちらにしても、収納ボックス内の姉妹には随分と滑稽に見えたことだろう。
「おきゃーしゃんがれいみゅのおにぇえじゃんをみごろじにじであまあまざんをだべだんだひょぉ!!」
「おがーさんがひっばらなげればまりざのいもうどはじななぐでずんだんだよぉ!!おがーざんのぜいだよ!!!」
親れいむが帰ってきたことで収納ボックスの中の姉妹が騒ぎ立てる
大福を食べたことは姉妹の心象を相当悪くしたようで
『助けようとした結果に死んでしまった』ことが『親まりさの所為で死んでしまった』ことにすり替わっていた。
「まりじゃぁああああ!!でいぶは、でいぶはだいべんだっだんだよぉ!!!ぞればのに、まりざはっ!!まりざはっ!!!」
「おじ、おじづんぐだぜ……まりさのせいじゃないのぜぇ!!まりさだってがんばってだのぜぇ!!!」
「うちょだよ!!おきゃーしゃんがおにぇぇーしゃんをごろじだんだよぉ!!こどみょをゆっくちさせにゃいおやはゆっくちちね!!」
「どぉおおじでぞういうごどいうのぉおおお!?ばでぃざだって、ばでぃざだって……だいべんだっだんだよぉお!!いのぢがげだっだんだよぉ!!!」
いつの間にか壮大な家族喧嘩に発展してしまった、これは想定外だと髪をぽりぽりと掻き毟りながら
僕は親まりさを背後から帽子ごと掴み持ち上げる、そのまま成体ゆっくり用の木製の椅子に座らせる。
その椅子は少し変わっており三本のゴム紐が取り付けられている。
「ゆゆっ!おでぃざん?なにずるのぉ?」
「子供を見殺しにしたゲスを制裁しようと思ってね」
てきぱきと作業を進め、親まりさの頭部の帽子を取って頭にヘルメットを被せる。
「お、おでぃざん……ご、ごのいずゆっぐりできないぎがずるのぜ……ゆ、ゆっぐりじないでおろじでね!!」
ただならぬ気配を感じたのだろう、全身をゴム紐で雁字搦めにされた親まりさは頻りに降ろせと要求するが
僕はそれを無視して作業を続行する、親れいむも、子供たちも何事かと黙って様子を伺っている。
この椅子はただの椅子ではない、頭のヘルメットの電極と親まりさのあんよに備えられた電極、
これは電流を放出しゆっくりを死に至らしめる、ゆっくり用の電気椅子である。
先ほど、ぱちゅりー一家を惨殺した帰りに立ち寄ったゆ虐ショップで買ってきたものだ、
僕は理科の実験をする子供のようにわくわくと頬を緩ませながら全ての準備を整えた。
そして備品である操作盤を取り出すとポップな竜宮の使いが描かれたボタンを僕は躊躇なく押し込んだ。
「衣玖さんパワーオンッ!!」
「ゆゆっ?――……ゆー、ゆぎょ、ゆぎょぉお!ゆぎょおお”ぉお”お”お”え”え”え”え”えぇぇぇええ”えええ!!!!」
ゴム紐をはち切らんばかりにのた打ち回り、喉を潰すほどの大絶叫を奏でる親まりさ
小麦粉の肌はばりばりと削れ、眼が白めを向いているがまだ意識はあるようだ。
「ゆがあぁあああ!!ば、ばでぃざあっ!!!!」
「ゆあぁぁっ!!……おがーざんがぁっ!!おがーざんがぁっ!!」
「ゆぎょおぉお!!ゆぎょぎょぼぉお”お”お”ぉおお”お!!!!!!!」
僕はゆっくりが発する声とは思えない程の絹を裂くような悲鳴が実に心地いいと思いつつ
操作盤のボタンの竜宮の使いが頬を染めている『最大放電ボタン』を何気なく押し込んだ。
「ぎょぉお”お”ぉおおお”おお”、ゆぐごぉおお!!!!ゆぎゅお”ぉおお”おお”おおぇぇぇえ”え”ぇええ!!!!!!!」
直ぐに親まりさに異変が発生する、身体の中から青白い光が浮かび、寒天の眼は蒸発しそこから青い炎が勢いよく放出された。
両目と口、あにゃるなど穴という穴から炎が吹き上がる。
それでもまだ親まりさは生きているようで、ゴム紐で縛った身体を乱暴に震わせて脱出を試みようとしている。
今更開放されたところで助かることなど無論ありえないが。
数分して火を宿したまま親まりさはぴくりとも動かなくなった。
「なかなかそそられる最後だったな、お兄さん満足だよ」
ふと収納ボックスを見ると、赤れいむが餡子を吐き切って絶命してしまっていた、どうやら刺激が強すぎたようだ。
親れいむも子まりさも子れいむ固まって微動だにしないので赤れいむが死んだことに気付いていない。
死んでしまったものはしょうがないので拾い上げてゴミ箱に捨てると残された3匹を死なない程度に虐めを繰り返した。
あまりにも惨たらしい死に様を目撃した後の3匹は実に従順でいい響きを何度も何度も聞かせてくれたのだった。
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親まりさを電気椅子で殺してから一ヶ月が経過した。
それからの虐待は死んでいった家族たちのそれと比べるとかなり加減されたものであったが、
日に日に衰弱していく残りの3匹には相当応えるようであった。
最初に死んだ赤ゆっくりがどうやって死んだのか忘れたのを確認すると、僕は今までの虐待がまるでなかったことかのように
残った家族たちに優しく接し、あまあまを与え身体の回復を促した。
どういうことなのかと怯えるゆっくりたちであったが、翌日の日曜の朝に僕が発した言葉にゆっくりたちは思わず怪訝な顔を作った。
「今日でみんなをおうちに帰してあげるよ、今までご苦労だったね」
「ゆ……お、おでぃざん……も、もうでいぶだぢをいじめないの?……」
「そうだよ」
「ぼ、ぼんどうなの?もうなにもじないの?」
「なにもしないよ」
どういう吹き回しなのか、新しい虐めへの布石なのか、とゆっくりならぬ疑心暗鬼に陥っていたが
僕は3匹を車に乗せ、近所の森林公園に行くとそこで何をするでもなく3匹を開放した。
開放されたと分かったゆっくりたちは、ひぃーひぃーと物凄い速さで駆け抜け公園の奥へ進んでいった。
僕との距離を置き、完全に振り切れると確信した位置にくると親れいむは振り返り、僕に向かって最後に叫んだ。
「ぐぞじじいばゆっぐりじないでじねぇ!!!!」
最後の抵抗だったのだろう、僕はにやにやと微笑みつつ逃げていくゆっくり一家の背中を見送った。
GPS対応の携帯ゲーム機で地図を表示しインカム型のイヤホンと望遠鏡を取り出しゆっくりと一家の後を追った。
「もうおうぢがえるぅ!!ゆっぐりでぎないのはいやぁあああ!!!」
親れいむを先頭に、それを追い子れいむ、子まりさが泣きながら約一ヶ月振りとなる我が家を目指していた。
古い大木の根元に掘った巣穴に雪崩込むように入ると、そこには若いゆっくりの夫婦が陣取っていた。
見知らぬ顔のゆっくりまりさとその番のゆっくりありすである。
「ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!!!!ゆっくりしないででていってね!!!!」
「なにいってるのぜ、ここはまりさとありすのぷれいすだよ!あとからきたゆっくりがおうちせんげんしちゃいけないんのぜ」
「あなたたちいなかものまるだしよ、まるでゆっくりできていないわ」
興奮冷めないという形相で怒り狂う親れいむ不、可解に首を傾げるまりさとありす。
すると巣の外がなにやら騒がしいことに気付いて、親れいむとまりさ、ありすは何事かと入り口から様子を伺うと
この集落の長であるゆっくりぱちゅりーと近所のゆっくりたちが集まってきて人だかりができていた。
「ゆ!!おさっ!!れいむだよ、かえってきたんだよ!!くそじじいにひどいめにあわされたんだよぉ!!」
「むきゅー……れいむ……かえってきてしまったのね……」
何故かとても残念そうに溜め息を漏らす長ぱちゅりー、親れいむは不思議そうな顔をして周囲を見渡すと、
ご近所だったゆっくりみょんとゆっくりちぇんがいつの間にか子まりさ、子れいむを捕まえて離さないようにしていた。
「ゆゆ……おかーさん……」
「ゆ!!れいむのおちびちゃんになにをするの!!ゆっくりしないではなしてね!!」
「……ちーんぽ」
ゆっくりみょんの視線は鋭い、いや集落の全員が向ける視線が痛々しいほどに
突き刺さってくることに気付いて親れいむは威圧感に押される形で一歩だけ後ずさった。
「ど、どうしてぞんなごとするの?れ、れいむがなにをしたっていうのぉお!?」
「しね!!ゆっくりしないでしね!!おかーさんをにんげんにうったげすゆっくりはしね!!」
長ぱちゅりーの背中に隠れていたまだ成体になって間もないゆっくりぱちゅりーがひょっと飛び出すと
集落のゆっくりの中で一番鋭利な視線を向け、親れいむにぱちゅりー種ならぬ罵倒を浴びせた。
その容姿に親れいむは面影を見出した、親れいむを呪いながら死んでいった親友のぱちゅりーと瓜二つの顔を。
「ゆがぁ!?……ぱ、ぱちゅりー!?」
親れいむは思い出してしまった。
我が子の命と引き換えにぱちゅりー一家を、ぱちゅりーの大切な赤ありすを殺してしまった事実を。
このぱちゅりーはあの惨殺の日の前日から、独り立ちの日が近いことから
長の家で訓練と心構えを学ぶべく巣を離れており、難を逃れていたゆっくりだった。
しかし、遠くから何も出来ずに両親と姉妹が死んでいく様を目撃しており、
親ぱちゅりーの『ゆっしょううらぶよ!!』という悲痛な叫びも耳にしてしまっていたのだった。
一夜にして大切な家族が一人残らず殺されてしまう、若く幼いぱちゅりーに同情するのは集落のゆっくりのほぼ全てと言ってよかった。
「ゆぐっ……ば、ばじゅりー……ご、ごめんね……で、でいぶが、でいぶがわるがっだんだよ……」
「れいむ……おきてをまもるべきだわ、ゆっくりころしはせいさいをうけなければいけないのよ」
そう長ぱちゅりーが言い放つと、他のゆっくりたちが各々の口に手頃な枝を咥え始める。
その鋭く尖った先が向けられたのは親れいむではなく、子まりさと子れいむだった。
親れいむはハッとなった、本来は自分に向けられるであろう矛先がどうして子ゆっくりたちに向いているのかと。
「むきゅー、れいむのおちびちゃんはなるべくゆっくりしないでえいえんにゆっくりさせるのよ」
「まっで、まっでぇ!!どぉじでおぢびじゃんがせいざいをうげるのぉおお!?
わるいのはでいぶだけだよぉお!!おぢびじゃんばがんげいないよぉおお!!」
長ぱちゅりーは一度だけ泣きじゃくる親れいむを一瞥した。
子ゆっくりたちに本来、罪はない、集落の掟にも親の罪を子が背負う道理などは決まっていないのだ。
だがなぜ親れいむへの制裁が子ゆっくりにも及ぶのか、それは集落の皆がそうするべきだと訴えたからだ。
もし長ぱちゅりーが長の権限で子への制裁を取りやめたら、行き場のない怒りを抱えたぴりぴりとした集落の関係に
埋められない程の深い溝を作ってしまう、それでは集落として機能がなされなくなてしまう。
それほどまでに今回の一件は集落のゆっくりたちに大きな傷跡を残してしまったのだ。
ルールを守るからこそ意味があるので超法規的措置としてそれを反故すれば秩序を保つのは難しくなってしまう。
長ぱちゅりーはそれがとても恐かった、だからこそ死んでいった者たちには悪いと思いつつ
親れいむ一家が帰ってこないことを密かに願っていたのだった。
「ま、まっでぐだざい!!で、でいぶはどうなっでもいいでず!!でもおぢびじゃんだげは!おぢびじゃんだけば
だずげであげでぐだざい!!ずっどぐぞじじいにいじめられでだんでず!!やっどがいほうざれだんです!!ぜめで、ぜめで!!」
「むきゅー……そういってしんでいったぱちゅりーにれいむはなにをしたのかゆっくりおもいだすべきだわ……」
最初に飛び出したのは唯一の被害者家族であるぱちゅりー、身動きが取れず親れいむに助けを求める子まりさの眼を狙って
咥えた枝で襲い掛かる、それはあの日の親れいむと全く同じ光景だった、ただ一つ違うのは獲物を仕留めたぱちゅりーの表情が
とても、とても満足そうにほくそ笑んでいたことだ。
次いで子れいむ、同じように知り合いのゆっくりまりさが力強い一撃を放ち永遠のゆっくりへと誘わせた。
「でいぶのぉおお!!でいぶのぉおおおお!!!!おぢびじゃあぁん!!!!!!」
一体、何故、どうして、何が、分からない、最後に残った親れいむは全ての家族を何もかもを失いただただ嘆くしか出来なかった。
これで何度目の涙だろう、枯れるほどに流した、しかし寒天で作られた眼が乾燥することは最期までなかった。
復讐の鬼と化したぱちゅりーが忍び寄る、何かを言っている、何を言っているのか良く分からない、いや、そうか――。
『でぇええいぃいぶはゆっくりしないでじねぇえええええ!!!!』
親友だった、裏切ってしまった、ぱちゅりーの声が、親れいむには確かに聴こえたのだった。
無数の枝の先が迫ってくる、魂を抜かれたようにぐったりと項垂れた親れいむは、意識が閑散となったことで
遠くでこちらを見ている人影を見たくもない人影を見つけてしまった。
あのくそじじいがこちらを見て笑っている、あいつの所為だ、あの人間の所為なんだ、
そう叫ぶことも叶わず、親れいむは何十の殺意の中で消えていった。
もうれいむはなにもかんじることができない――。
END
※あとがき
本作品が二作目です、長々とした本作にお付き合い下さり最大級の感謝です!
私事で恐縮なうえにここで書くべきことではないと思うのですが
前作のanko2103.ゆっくり熟年離婚の挿絵を描いてくれた方、ありがとうございましたっ
自分の作品如きに挿絵だなんて恐縮というか逆に申し訳なくなりました
どこでお礼を言えばいいのか分からなかったのでここで書いてしまいましたけど
まずいかなぁ、まずかったらごめんなさい……
書いた人:おおかみねこあき
最終更新:2010年10月05日 00:56