anko2149 学校のゆっくり

子まりさは心底後悔していた。
母達があんなに外に勝手に出てはいけないと言っていたのに、妹達を連れ出して外に出てしまった事を。
人間達は危険でゆっくり出来ないから、近づいてはいけないと教わっていたのに、興味本位から近づいてしまった事を。

「ごめんなちゃいぃぃ!あやまりましゅから、いもうちょたちをはなしちぇほしいんだじぇー!」

「何言ってんだよ?学校には、かんけいしゃ以外立ち入り禁止なのを知らないのか?」

「そーだ、そーだ!だからお前達には、ばつを与えないとだめなんだよ!ゆっくりりかいしてね!」

少年達は楽しそうにそう言うと、子まりさにでこピンをお見舞いした。
子ゆっくり達は母親が昼寝をしている隙に、探検と称して学校の体育館裏にあったダンボールハウスから、
遊具のあるグラウンドに向かう途中で少年達と遭遇してしまったのだ。
丁度休み時間で、生徒達が居る時間帯に、探検をしていたのが運の尽きだった。
少年達に捕獲された姉妹達は教室に持ち込まれ、それぞれが恐怖に震えていた。

「ゆぴゃい!いちゃいんだじぇー!おとーしゃん、おかーしゃん!たしゅけちぇー!」

「おねーしゃ…やめちぇあげちぇー!いたがっちぇいるのじぇー!ぷきゅー!」

妹のまりさが姉が泣いているのを見て、少年達を威嚇しながら抗議の声を上げる。
だが、そんな物は無意味であると同時に、少年達を不快にするだけであった。

「それがあやまる態度かよ?ったく、ごめんなさいは嘘だったんだな?」

少年はそう言うと膨れ上がった子まりさのお下げを引っ張った。

「ふしゅるるぅぅ!やめちぇー!まりちゃのすてきなおしゃげしゃんがー!いちゃいっていってるのじぇー!」

「にんげんしゃん、やめちぇー!いもうちょをいじめにゃいでぇぇ!」

姉まりさが必死の訴えをするも、少年達はそんな姿を見てただ笑っているだけだった。
一方、もう一匹の子れいむはそんな様子を見てただ震えてしーしーを漏らすだけであった。

「うわ!きったねー!こいつ、ションベンしやがった!!」

「砂糖水だろ?そんなにさわぐなよ」

「でも、きたねー事に変わりはないけどな」

「ゆぐっ…ゆぐっ…きょわいよぉぉぉ…だれかれーみゅをたすけちぇぇぇ」

一応人間達が怖いと理解しているのか、挑発等はしていなかった。
だが、子供にとってゆっくりは、よい玩具である事には変わりなかった。

「なあ、こいつらどうする?このまま潰すか?」

「それも良いけど、きっと何処か近くに巣があるんじゃないのか?」

「あーそうかもね。ひょっとしてこいつの親とかが、花壇荒らしの犯人じゃないの?親も捕まえて遊ぼうか?」

数日前に花壇が荒される事件があった。
少年達は探偵ごっこのつもりで、犯人をゆっくりにして掴まえよう等と話し合っていた。
子ゆっくり達は、少年達の離している事の半分も内容を理解していなかったが、本能的にゆっくり出来ないものだと思っていた。
そんな中、少年の一人がセロテープを持ってきた。

「そんな物どうするんだよ?」

「ちょっと、いい事思いついてね」

そう言うと少年は、セロテープを短く切って姉まりさの口に貼り付けた。
さらに、少し長めにテープを切ると、今度はまむまむとあにゃるを塞ぐような形で貼り付けた。

「むぶぶ!ぐむむ!ぶぼ!」

むず痒そうにしている姉まりさ。
少年はそんなまりさを思いっきり叩いた。

「むびょ!」

声にならない声を上げ、涙を流す姉まりさ。
本来なら、餡を吐き出していただろうが、餡の出る穴を塞がれている為変形するだけに留まっている。
少年達はそんな姉まりさを見て目を輝かせた。

「なるほどー!これなら、汚い中身が出なくてすむんだ!」

少年達は代わる代わる、姉まりさを叩いたり、押しつぶしたりし始めた。
姉まりさはその度に、鈍い悲鳴をあげて泣いていた。
妹達は必死に止めてと悲願したが、そんな姿も少年達には笑いのネタでしかなかった。
行為はどんどんエスカレートしていき、そしてついに、

ぶびょ!

「びゅ!」

押しつぶされすぎた姉まりさの右目が、餡と一緒に飛び出した。
左目は辛うじて飛び出さずにいるものの、大分押し出されてきている。

「うわっ!きったねー!やりすぎだっての!」

「わりーわりー!そっかー、目玉があったんだなー」

赤まりさは飛び出してしまった自分の目を悲しそうな顔で見つめながら泣いている。
少年達はそんな姉まりさを楽しそうに眺めると、飛び出した目玉を面白そうに転がして遊んだ。

「おー!これって結構転がるんだな?この目玉って何で出来てるんだろう?」

「食べてみれば解ると思うけど、汚いから食べたくないな」

そんな少年達のやり取りを見て、残った目で少年達を睨みつける姉まりさ。
それに気がついた少年の一人が、転がっていた目玉を手に取ると、姉まりさの目の前まで持ってきた。

「何だお前?睨んでいるのか?生意気なくそまんじゅうだな!これを返して欲しいのか?なら返して……………やるわけないだろ!」

「むべぇ!」

そう言うと少年は姉まりさを拳で殴った。
穴の開いた右目からさらに餡が漏れ出す。
姉まりさはこれだけの事をされて、何も抵抗できない自分の無力さを嘆いた。
どうしてこんな目に合うのか?
どうしてこんな思いをしなければならないのか?
そう考える度に涙が溢れ、飛び出した餡に混ざっていった。

「おねーしゃ…」

「こわいのじぇ…」

妹達はその様子を震えながら見守るしかなかった。

キーンコーンカーンコーン
始業の鐘が鳴り響く。

「やべ!こんな時間だ!どうするこいつら?」

「とりあえず、口塞いで机の中にでも隠しておけ!授業中にいじっても良いけど、先生に見つからないようにな!」

少年達は、セロテープで子ゆっくりの口を塞ぐと、各自一匹ずつゆっくり姉妹を持って席に着いた。
子ゆっくりを机の中に隠して、授業を受けるようだ。
だが、机の中の子ゆっくりが気になるのか、各自が教師に見つからないように注意しながら、子ゆっくりをいじり倒していた。

取れた目玉に細かく折ったシャープペンの芯を大量に刺され、スパイクボールにされる様を見せ付けられる姉まりさ。
それを右目に戻されて苦しんでいた所に、ホッチキスの芯を体に埋め込まれて装飾されていった。
子れいむは、しーしーを漏らすからという理由で、短くなった鉛筆をあにゃるとまむまむに突っ込まれ、
その状態でボンド付けされてしまっていた。
その後、体中を鉛筆で浅く刺され、穴だらけになった状態の上からセロテープでぐるぐる巻きにされていった。
その間、必死にピコピコを動かしていたが、それが面白かったのか、気に入らなかったのか、
少年がピコピコを両方毟り取ると、子れいむの額に二本突き刺した。
まるで角が生えたかの様な姿になった子れいむは、額から生えるピコピコを見て涙した。
妹まりさは、全身をセロテープでぐるぐる巻きにされていた。
両目もワザとあけた状態でセロテープを張られ、それが終わると定規で叩かれたり、押しつぶされたりして遊ばれていた。
少年も中枢餡を潰さないように注意していたのか、死なない程度に加減されていたものの、
圧迫された行き場のない餡と、加えられる圧力や衝撃で苦しんでいた。

授業も終わり、下校時間になる頃には、子ゆっくり達はすっかり弱り果てていた。
短時間であったが、徹底的にいじり倒されたせいで、一時もゆっくり出来ず、身も心もボロボロであった。

「なんかこいつ等、すっかり元気がなくなったな」

「これじゃ面白くないから、どこかに捨てるか?それとも砂場に生き埋めにするか?もしくは川に流そうか?」

あれやこれやと議論している少年達だったが、その内の一人が思い出した様に一つの案を出した。

「そういえばさ、こいつ等の巣って探さないのか?案外学校内にあるんじゃないの?
こんな鈍間な生き物だから、そう遠くからは来てないだろう?巣を見つけて親ゆっくりで遊ぼうよ」

「おー!そうだったな!場所はこいつ等から聞けば良いしな!」

こうして少年達は、ゆっくりの巣を探す事にした。
まず、ボロボロの姉まりさの口のテープを剥がして、場所を聞き出すことにした。
当然始めは教えたがらなかったが、妹と帽子を潰すと脅された上に、おさげを千切られ、
髪の毛を1/3程毟り取られると、あっさりと自分達の巣まで少年達を案内した。

少年達は、姉まりさの案内を頼りに、少し時間が掛かってしまったが、体育館の裏までやって来た。
姉まりさの分かり難い説明のせいで、腹を立てた少年が、子ゆっくり達に八つ当たりをしたり、
意味もなく子ゆっくりにデコピンやらをしながら、巣として使われているダンボールの前までやって来た。
ダンボールは丁度体育館の屋根に守られる形で、雨を凌いでいるようだった。
ここなら外的にも見つかりにくく、一斉駆除等も逃れやすかったのだろう。
野良ゆっくりの割には比較的安全な生活環境だったのだろうが、それも子ゆっくり達のせいで終わりを迎えようとしていた。

「ゆぅ…おかーしゃん、にげちぇー!」

ダンボールの前まで少年達がやってくると、姉まりさが突然大声を上げた。
母親に危険を知らせようとしたのだろうが、そんな事を察するだけの器量が母ゆっくりには無かったようで、
ダンボールの中から寝ぼけた顔で、植物型妊娠をした成体のれいむが現れた。

「ゆーん、うるさいよ!れいむはおひるねちゅうだったんだよ!さわぐのはだれなの?」

「おかーしゃん、にげるんだじぇー!このにんげんしゃんは、ゆっくちできないんだじぇー!」

「ゆーん?!おちびちゃんたち!それにどうしてにんげんさんがいるのぉぉぉ?!」

突然の事に慌てる親れいむ。
そんな親れいむを見て楽しそうに笑う少年達。

「おい!こいつ、赤ゆっくりが生えてるぞ!こりゃ当たりだな!」

「蹴りがいのありそうなれいむだな。ちっちゃいので遊ぶのはそろそろ飽きてきた頃だったし丁度良いな!」

「にんげんさんがなんのようなの?!はやくここからでていってね!ここはれいむたちのゆっくりぷれいすだよ!
それとおちびちゃんをかえしてね!れいむはおこるとこわいんだよ!」

そう言い終わると、親れいむは大きく膨れ上がった。
それを見た子ゆっくり達は自分達の勝利を確信した。
母れいむが、自分達も震え上がりそうなほどの形相で睨んでいる。
これで人間さんも恐ろしくなって逃げ出すか、自分達に謝るに違いない。
だが、そんな希望も一瞬で砕け散った。

「ゆごぼっ!」

少年の一人が、親れいむに蹴りを入れた。
つま先が親れいむの頬にめり込み、膨れ上がっていた体が一気に萎む。
そしてそのまま転がっていった。

ベキッ!

「ゆん!………いだいいぃぃぃぃ!どぼじでごんなごどする………ゆがぁぁ!!あがちゃんがぁぁぁぁ!!」

親れいむは痛みに涙を流し、抗議の声を上げようとしたが、目の前に転がる実ゆっくり付きの茎を見て騒ぎ出す。
すぐさま茎に近づいて、必死にそれを舐め始めるが、実ゆっくりの表情はだんだん苦しそうになっていく。

「あー!お前!何やってるんだよ!もったいないなー!」

「あー悪い悪い!こいつが蹴ってくれって、膨れ上がってもんだから、つい…」

「ゆわぁぁぁ!あがちゃんがぁぁぁ!ゆっくり、ゆっくりしてぇぇぇぇ!!」

少し黒ずみかかってきた実ゆっくり。
だが、それに気がつかないのか、親れいむは必死に茎を舐め続けた。
そんな中で一人の少年が、何かを思いついた様で、実ゆっくりの茎を拾い上げた。

「ゆがぁぁ!なにじでるのぉぉぉ?!あかちゃんをかえぜぇぇぇ!! 『グシャ!』 ゆんげぇ?!」 

「うっせーよ!黙ってろ!…そんなものどうするんだ?」

「ちょっと、やってみたい事があってね」

騒ぐ親れいむを踏むつけた少年の問い掛けに、茎を持った少年は楽しそうに答えた。
少年は茎を子れいむの頭の天辺に勢い良く突き刺した。
そしてそのまま、茎が抜けない様に深く突き刺していった。

「ゆびゃ!いだだだだ!びゅ!ゆぎ!げっぴょー!」

「この辺かな?これ以上は無理そうだな」

少年は何かを探るように、茎を勧めていき、子れいむの声が変わったあたりで茎を止めた。
おそらく、中枢餡を傷つけない程度に深く茎を刺したのだろう。
子れいむに刺さった茎の実ゆっくりも急に肌色が良くなり、子れいむの体に馴染んだ様だ。
だが、一方で子れいむはガタガタと震えだし、顔色が悪くなっていった。

「いだいぃぃ!やべでぇぇぇ!れーみゅのあんこしゃん、しゅわないでぇぇぇ!!」

「おぉ!なにこれ?!おもしれー!」

「やっぱり、子ゆっくりじゃ、すぐ養分を吸われちゃうんだなー」

茎を刺した少年は、がっかりした様にそう言った。
だが、他の少年達は大いに盛り上がっていた。
子れいむが、震えながら泣いている様が面白かったのだろうか?
楽しそうにその様子を観察していた。

「なにじでるのぉぉぉ!!おちびちゃんがしんじゃうでしょぉぉぉ?!はやくたすけろぉぉぉ!!」

踏みつけられた親れいむは、我が子の異変を見て叫び声を上げた。
踏みつけていた少年は、さらに力を込めて踏みつけようとしたが、茎子れいむを作った少年がそれを止めた。

「助けて欲しいの?助けてあげても良いけど?ちょっと大変だよ?それでもいいの?」

「ゆっがぁぁ!!なんでもいいから、はやくたすけろぉぉぉ!!」

「解った、じゃあやるね」

少年は楽しそうにそう言うと、親れいむの頭の天辺の皮を、髪の毛ごと手で引きちぎり始めた。

「いだいぃぃ!!やべろぉぉぉ!!なにじでるのぉぉぉ?!」

「ん?何って、お前の子供を助けるためにやってるんだよ?お前、何でも良いから助けろって言ったじゃん!」

「だがらって、どぼじでこんなごどずるのぉぉぉ?!いだいでしょぉぉぉ?!」

「うるさい奴だな!ちょっとこいつ押さえていて。あとその子れいむ貸して」

少年は受け取った子れいむのあんよの皮を手でむき始めた。
子れいむは痛みに顔を歪ませ、悲鳴を上げたが、実ゆっくりの方は子れいむの中の甘味が増したせいか、さらに幸せそうな顔で、ゆらゆらと揺れていた。
あんよの皮を剥き終わった少年は、それを先程皮を剥いた親れいむの頭にパイルダーオンした。

「「ゆぎぃ!」」

親子ともに、苦痛に顔を歪ませたが、しばらくすると子れいむの顔色がだんだん戻っていった。

「ゆがぎぃぃ!いだいぃぃぃ!はやくこれをとっでぇぇぇ!!」

「取っても良いけど、そしたらお前の子供が死んじゃうよ?赤ゆの茎も全部枯れちゃうけど、それでも良いの?」

「ゆぎぃぃ!!どぼじでごんなこどずるのぉぉぉぉ!!」

「お前が何でも良いから助けろって言ったでしょ?だから助けたんだよ!」

「はっはっは!お前、チョー外道!面白すぎー!!」

少年達はそのやり取りを見て大笑いしていた。
子まりさ達は、掴まれた少年達の手の中で、恐怖に怯えていた。

「おかーしゃ…まりちゃ…こわいんだじぇ…ゆえーん!」

「お?!あーそういえば、こいつらもいたんだっけな。どーするよ?何か面白いことある?」

「そうだなー?」

少年達は二匹の子まりさを、見比べる様に眺め始めた。
帽子はあるものの、禿げ上がってボロボロの姉まりさと、全身セロテープで包まれた妹まりさ。
少年達は変わり果てた姉まりさより、妹まりさの方を面白そうに見ていた。

「やっぱりこっちの奴って、ボロボロで面白くないじゃん?それより、こっちのセロテープはがしてみようぜ!」

「やっぱり?そのほうが面白そうだよな?はがしたら何して遊ぼうか?」

そう言うと少年は、持っていた姉まりさを興味なさそうに放った。
姉まりさはそのまま地面に顔から着地した。

「おそりゃをとんでぇぇ………ゆんぶぅ?!」

「ゆっがぁぁぁ?!おちびちゃぁぁぁん!!」

着地点が土だったので、それほどダメージは無いものの、必死にあんよをブリブリと動かしてもがく姉まりさ。
親れいむはずーりずーりと痛む体を引きずりながら、姉まりさの元へはっていく。
姉まりさの元にたどり着いた親れいむは、姉まりさの体勢を戻してやると、その体を舐め始めた。

「ゆびぇぇぇん!いちゃいんだじぇぇぇぇぇ!!」

「ぺーろ、ぺーろ、おちびちゃん!ゆっくり、ゆっくりしてねぇぇ!」

そんな様子を一人の少年が面白そうに眺めていた。



「いっちゃいぃぃぃ!!やめりゅのじぇぇぇぇぇ!!」

わざと時間をかけてセロテープを剥がされていく妹まりさ。
セロテープが剥がされた跡が赤く痛々しい。
髪の毛も何本か一緒に剥ぎ取られ、その度に涙を流し痛がった。

「それにしても、良く泣くね。どこにこんな水分があるんだろうね?」

「流石ふしぎまんじゅうだな。そうだ、こいつ、どれだけ水分あるのか、枯れるまで弄ってみようか?」

少年達は、手に木の枝や松の葉っぱを持ってきて、妹まりさを日の当たりの良い場所に置いた。
妹まりさは地面に置かれても逃げ出そうとはせず、その場で痛がって泣いているだけだった。

「なにやってるんだぜ?!にんげんさんが、どうしておちびちゃんといっしょにいるんだぜ?!」

突然の叫び声に、少年達が一斉に振り返った。
そこには帽子と体が薄汚れた成体のまりさが一匹、少年達を睨むように見つめていた。

「おぉ!ゴミまんじゅうの登場だ!かっこいいねぇ!」

「サンドバックが、自分から殴ってくださいって現れたぞ!」

「花壇あらしの犯人登場か?!犯人はお前だ!!なんつって」

険しい表情の親まりさと対照的に、少年達はニヤニヤと笑いながら親まりさを見つめていた。
泣いていた妹まりさも親まりさに気がつき、必死に跳ねながら親まりさの元に向かっていった。
これで助かる、この意地悪な人間達をお父さんが制裁してくれる。
そんな思いが頭の中を駆け巡る。
妹まりさの表情は自然と笑顔になっていくのだった。

「ゆびぇぇぇん!おちょーしゃぁぁぁぁん!」

「ゆゆ?!おちびちゃぁぁぁん!」

感動の再会と言いたいところだが、少年達が見逃すわけが無い。
少年の一人が親まりさに蹴りを入れた。
親まりさは、うめき声を上げながら、コロコロと転がっていく。
ゴミ漁りの帰りだったのか、帽子からは生ゴミや雑草等があふれ出た。
妹まりさは安堵の表情を浮かべたまま、なにが起こったのか解らずに固まった。
強いはずの父が勢い良く飛んで転がっている。
そのスピードは、一緒にかけっこした時よりも速く。
その高さは、一緒にぴょんひょん飛び跳ねた時よりも高かった。

「ゆっ?!………おちょーしゃ?」

「はっはっは!いい感じで転がるなぁ!こいつでサッカーでもするか?」

「うーん、それも良いけど、なんか他に面白い事無いかな?」

「あぁ、それならこいつと、その子供を使って………」

「何だ、お前何処行ってたんだ?ってかそれ面白そうだな!」

「ちょっとね、じゃあ、向こうに連れて行こうか」

少年達は、恐怖に震える妹まりさと、痛みに震える親まりさを持って校庭の方に歩いていった。



「よーし、ちゃんと言う事を聞けよ?じゃないと、このゴミ虫握りつぶすからな!」

「ゆぅ…ゆっくりりかいしたぜ…」

浮かない顔で頷く親まりさ、少年たちを恨めしそうに睨んでいる。
自分だけなら上手く逃げるのだろうが、最愛の子をゆ質に取られていては、少年達の命令を素直に聞くしかない。
もっとも、ゆ質が無くても上手く逃げ出せるかどうかも怪しいが。

「ちょっと反抗的な目つきだけど…まあ、良いか。じゃあ、これに噛み付いてろよ」

「離すなよー、と言っても離したら自分が痛いだけか。まあ、がんばれよ!」

そう言われて親まりさが噛み付いたのは、校庭にある中でも一番背の高い鉄棒。
一番背の高い少年が、手を伸ばしてやっと届くほどだ。
口の中にさびた鉄の味が広がるが、我慢して噛み付いていなければ落下してしまうだろう。
必死に口に力を入れる親まりさ。
少年達はそんな親まりさに向かって、石を投げつけた。

シュ!

小石が親まりさの体を掠める。
たいした痛みは無いものの、親まりさは自分の置かれた状況に恐怖した。

「あー、外した。残念」

「下手くそだなぁ、こうやってぶつけるんだよ、それ!」

ボス!

「ぶぎぃ!」

鈍い音を立てて、親まりさに石が命中した。
思わず叫びそうになる親まりさだったが、何とか堪える。

「おぉ!命中した!でも、結構がんばるな、あのゴミ袋!」

少年はうれしそうに笑うと、更に小石を投げつけた。
2発、3発と石つぶてを喰らう親まりさ。
石が当たった場所は赤く腫れ上がり、涙と汗を滴らせながら、声にならない声で呻いている。
そんな親の姿を、少年の手の中で悲しそうに見つめる妹まりさ。
止めてと叫んでも、少年達は面白そうに笑うだけで止めてはくれなかった。

ザシュ!

「ゆびゃい!」

ついに落下した親まりさ。
石が目に当たり、思わず叫んでしまったのが原因だ。
「おそらをとんでるみたい」と言う間もなく、地面に叩きつけられ、その場で激しく転がりまわる。
帽子が取れたのも気がつかないで、情けない顔で泣き叫んだ。

「いだいぃぃぃぃぃ!!おべべがぁぁぁぁ!からだがぁぁぁぁ!!どぼじでこんなめにぃぃぃぃ!!」

そんな親まりさの姿を見て大笑いする少年達。
笑い終えた少年の一人が、親まりさを抱え、再度鉄棒に噛み付くように命じる。
嫌がる親まりさだったが、少年に握り締められて苦しんでいる妹まりさを見ると、大人しく従った。
再び小石を投げようとする少年達だったが、一人がそれを制止した。

「どうして止めるんだよ!」

「もっと面白い事を思いついたから…」

少年の一人が、妹まりさを持って親まりさに近づいていく。
そして妹まりさのおさげを貫通させるように木の枝を刺し、その枝を更に親まりさの腹(?)に突き刺した。

「ゆっぶぅ?!」

思わず鉄棒を放しそうになる親まりさ。
そんな親まりさに少年は囁いた。

「おっと、落ちるなよ!落ちたらおなかにぶら下がってるお前の子供が、お前の下敷きになって潰れるぞ!」

「ゆびぇぇぇぇぇん!こわいのじぇぇぇぇ!!おとーしゃん、たしゅけちぇぇぇぇ!!」

親まりさは確信した、この人間は悪魔だと。
だが、少年に逆らう事も出来ず、この最悪の事態をどうにか出来る訳でもなく、ただ悔しさを噛締めていた。
泣き叫ぶ我が子を宥める事も出来ず、ただ悔しくて涙を流す親まりさ。
そんな親まりさの元に少年達が集まってきた。
今度は、その手に石ではなく、木の枝や、松葉っぱを持って。

「ぶぇぇ!びぃぃぃぃ!ぶごぉぉぉ!」

情けない声で泣き叫ぶ親まりさ。
それでも必死に鉄棒に噛み付いたまま、痛みに耐えていた。
体に枝や松葉が刺さるたびに、涙が溢れ大声で叫びそうになる。
だが、自分が落ちたら子供も死んでしまうと思い、何とか耐えていた。

「ゆびゃい!いだいぃぃぃぃ!やめちぇよぉぉぉぉ!!どぼしちぇ、おとーしゃんはたしゅけちぇくれないのじぇぇぇぇ!!」

少年達は親まりさだけでなく、妹まりさにも松葉っぱを突き刺していった。
体中に松葉をつけた妹まりさ、ついにはその目にも松葉を刺された。

「まりちゃのおべべがぁぁ!いちゃいのじぇぇぇぇぇ!やめちぇぇぇ!!そこはまむまむなのじぇぇぇぇ!!」

「ぶぇぇ!ぼびびびゃん!ぶっぶびじべぇぇぇぇぇ!!」

あにゃるやまむまむにも松葉を刺される妹まりさ。
何時しか少年達は、叫び声を上げて痛がる妹まりさにばかり攻撃を集中させていた。

「ゆえぇぇぇ…まりちゃのばーじんしゃんが………ひどいのじぇ…きょんなの…どぼしちぇ…」

「やっぱり叫び声を上げる方が面白いな」

「そうだなぁ、でも、こいつ結構がんばるね」

「じゃあ、時間もそろそろだし、終わりにしようか?」

少年の一人がそう言うと、親まりさに刺さった枝を引き抜いた。
枝を引き抜かれた痛みに震えていた親まりさだったが、更なる痛みに思わず身を捩った。
少年が枝が刺さっていた場所に開いた穴に、小石を詰めだしたのだ。
痛みも耐えがたかったが、それよりも自重が増えていくのが親まりさにも解った。

「こいつ、けっこうがんばるね!たいていの野良だと、すぐに自分の子供を見捨てたりするのにね」

確実に口に掛かる重さが増えていく。
親まりさの体もだらしなく伸び始める。

「ぶぼぉぉ!ぼうばべぇぇぇ!!ぼびびびゃんぼべんべぇぇぇ!!」

限界が来たのか、ガチガチと震える親まりさ。
悲しそうに一際大量に涙を流すと、そのまま落下していく。

ドシャ!

「ゆっぎゃぁぁぁぁぁ!!いだいぃぃぃぃ!!ゆがぁぁぁぁぁぁ!!」

ゆっくりらしからぬ音を立てる親まりさ。
妹まりさがぶら下がっていた枝が、体に深く刺さっていたが、幸いな事に中枢餡は避けていた。
痛みに転げ回るかと思いきや、石の重さで上手く動けないようだ。
小刻みに震えて呻き声を上げてる親まりさ。

「ゆびぎぃぃぃ!いぢゃいのじぇぇぇぇぇ!ゆっくぢできにゃいぃぃぃぃぃ!!」

「おぉ!生きてたぞ!運が良かったな!」

親まりさに半分ほど潰されてはいたが、何とか妹まりさは生きていた。
ただ、潰されたときの勢いで片目が飛び出し、餡を目と口から吐き出していた。

「ゆぎぃぃぃ!おちびぢゃぁぁぁん!いぎでだんだぇぇぇぇ!!よだっがよぉぉぉぉぉ!!ゆっくりじでいってねぇぇぇぇ!!」

「ゆぶぅぅぅぅ?!にゃにがよかっだだぁぁぁぁ!!まりちゃをたしゅけながったくしぇにぃぃぃぃ!!このげしゅおやがぁぁぁ!!」

「ゆぅぅぅぅ?!どぼしでそんなごどいうのぉぉぉぉぉ?!」

「ははは!美しき親子愛!じゃあ、そろそろ帰ろうか?」

興味なさそうに背を向ける少年達。
親まりさは彼らの背中を睨みながら叫んだ。

「どぼじでごんなこどするのぉぉぉぉ!!まりさだちだっでひっしでいきでいるんだよぉぉぉぉ!!」

「あぁ、そうだな。確かにさっきのお前は必死だったな。面白かったよ」

「あーそうそう、お前らには解らないと思うけど。必死って字はな、必ず死ぬって書くんだよ。
必ず死ぬから生きているって当たり前だろ?生きていれば何時かは死ぬんだから。えらそうに言うなよ」

親まりさは悔しくて大泣きした。



それから親まりさは、重い体を引きずって巣まで帰った。
妹まりさには吐き出した餡を無理やり食べさせ、何とか一命を取り留めた。
だが、妹まりさは親まりさを激しく罵った。
それでも、何とかそれを宥めて、一緒に巣まで這って行った。
そしてそこで見たものは、変わり果てた親れいむと子供達だった。

「ゆぁぁぁぁぁ!なんなのごれはぁぁぁ!でいぶぅぅぅ!おちびちゃぁぁぁん!」

「ゆびぇぇぇぇん!おかーしゃん!おねーちゃん!ゆんやぁぁぁぁぁ!!」

親れいむは誰かに殴られたのか、顔が赤く腫れ上がっていた。
生きてはいる様だが、大分ぐったりとしており、親まりさ達を見ても特に反応はしなかった。
ピコピコは両方が引きちぎられており、右目には変わり果てた姉まりさが無理やりねじ込まれていた。
少年の一人が、「愛い子供なら目に入れても痛くないよね?」などと言いながら姉まりさを目の中にねじ込んだのだ。
その際にご丁寧に、姉まりさの背中(?)の皮を剥いで目の中に埋め込んだので、姉まりさは親の餡と一部融合していた。
おかげで、埋め込まれた姉まりさは普通に生きており、悲しそうな目で親まりさ達を見つめながら泣いていた。
親れいむの頭上の子れいむも、ゆんゆん泣いてはいたが生きていた。
幸せそうな顔をしているのは、子れいむの頭上から生えた実ゆっくりだけだった。



そして翌日。
昨日の少年達が、野良ゆっくりの巣に現れた。
少年達は野良一家を見て大笑いした。
親れいむは、埋め込まれた子ゆっくり達と上手く融合したようで、それぞれが焦点の合わない目で奇怪な歌を歌っていた。

「「「ゆ~~げろぼっぼび~♪だのじぐゆっぐびべげへへへへ~♪」」」

「やめりょぉぉぉ!うるしゃいんだじぇぇぇぇ!だまるのじぇぇぇぇ!!」

「おちびちゃん…れいむ…ゆっくり…ゆっくりしてぇぇ………」

その親子の大合唱を良く思っていないのか、片目を無くした妹まりさは、しきりに五月蝿いと騒ぎながら、親れいむに体当たりをしていた。
親まりさは、少年達を見ると額を地面に擦り付けて哀願した。

「おねがいでずぅぅ!にんげんざん、まりざだちをころしでくだざいぃぃぃ!まりざのかぞくは、みんなおかじくなっでじまいまじだぁぁぁ!!
もう、まりざだぢはいきていでもしがだありまぜん!どうか、まちざだちを、えいえんにゆっぐりざぜてくだざいぃぃぃ!!」

「えーやだよ!何でそんな事しなきゃならないんだよ!死にたきゃ勝手にのたれ死ね!」

「お前、生きてるって言ってたよな?それって生き物ってことだろ?先生が『生き物をむやみに殺してはいけません』って
言ってたんだよ。だから殺せないよ。たくましく生きてね!」

「ゆ?………………」

少年達は笑顔で野良の巣を去っていった。
その顔は何も知らずに幸せそうに揺れている、実ゆっくりの顔の様に幸せそうであった。





徒然あき
最終更新:2010年10月06日 19:29
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