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実りの秋がまたたく間に過ぎ去り、寒い冬がそこまで来ている。
ある一人の男が、リュックを背負って山の中を黙々と歩いている。
紅葉のピークはとっくに過ぎ、歩く道には黒ずんだ落ち葉が敷き詰められている。
時期はずれの紅葉狩り?とは思えない。
男は辺りを見回し、何かを探しているようである。
ときどき、ゆっくりの巣を発見し、巣の中に向かって

「ゆっくりしていってね!!!」

と、話しかける。すると、それに答えるように

「ゆっくりしていってね!!!」

と、一匹のゆっくりの声が、中から聞こえてくる。
その声を確認し、何もせずにその場を立ち去る。
さらに山の奥のほうへ足を進める。
同様に、ゆっくりの巣に向かって声をかけていく。

山の斜面に、不自然にかき集められている落ち葉の塊があった。
それを少し取り除くと、中に続く空洞が姿を現す。
その空洞に向かって

「ゆっくりしていってね!!!」

と、声をかける。すると中から

「「「ゆっくちしていっちぇね」」」

と、かなり多くの声が返ってくる。
そこにリュックサックを降ろし、かがみこむ男。
リュックサックの中身を点検している間に、空洞の中から一匹のゆっくりれいむが姿を現した。
その頭からは、にょきにょきと3本の茎がはえており、
14個ほどの実ゆっくりがついている。

「ゆ、にんげんさんはゆっくりできるにんげんさん?」

「ああ、ゆっくりしているよ。」

と答える。すると

「ゆっくりー!!!ゆっくりしたにんげんさんはあまあまをくれるよ。
 とっととれいむにあまあまをよこしていってね!!!」

と言い出した。街中でそんなことを言ったら、大体のゆっくりは張り倒される。
だが、そのゆっくりは張り倒されない。

「ああ、甘い食べ物をたくさん持ってきたよ。小さいゆっくりたちを、巣の中から呼び出してね。」

「ゆう!!!わかったよ。おちびちゃんたち、ゆっくりでてきてね!!」

とれいむが言うと、ゆぅーゆぅーという鳴き声が中から聞こえてくる。
すると、中から出るわ出るわ。
穴の中にいる子ゆっくり全員が出てきた。
その数は、合計で25匹。
頭についている実ゆっくりと、れいむを合わせると40匹、大家族のようだ。
子れいむと子まりさしかいないので、このれいむのつがいはまりさのようだ。
この場にいないから、狩りにでも出かけているんだろう。

「おちびちゃん、ここにいるにんげんさんがあまあまさんをみんなにくれるよ!!!
 みんなあつまってね!!!」

「「「ゆぅ!!あまあましゃん!!!」」」

というと、ゆぅゆぅと子ゆっくりが足元に寄ってくる。
はっきり言って、気色悪い。
全員がきっちり整列しているなら、まだなんとか綺麗に見えるが、
25匹それぞれが、もぞもぞと別々にひしめき、
前にいるゆっくりの上に、後ろから別のゆっくりが乗りかかっていく。
乗っかられたゆっくりも負けじと、上へ上へ乗しかかろうとする。
子ゆっくり同士が群がり、ごちゃごちゃとした塊が
両足を覆っていく。
うわぁ、気持ち悪い。たまらず、男は一歩下がる。
下げた足に、子ゆっくりたちが群がろうとするが、
それを手で払いのけて静止する。

ゆぅーん、と地面を転がる子ゆっくりたち、
だが、落ち葉がクッションになっているので、痛みは無いようだ。
再度、懲りずにこちらへ向かってこようとする。

「たしかに俺は甘いものを持ってきた、と言ったが、あげるとは言っていない。」

「ゆ!!!にんげんさんうそついたんだね!!うそつきはせいっさいっするよ!!」
「ゆぅ!!せいちゃいしゅるよ!!!」
「ゆぅーーー!!」
「ぷくーー!!」

ゆっくりたちの動きがとまり、威嚇を始める。
最前列にいる子ゆっくりは、男の腕に体当たりを始める。

「面倒臭いやつらだな。あげるとは言ってないが、あげないとも言ってないだろ。
 あまあまは巣の中の食料と交換だ。とにかく食料を持ってこいよ。」

「ゆ?ばかなの?すのなかのえささんはれいむたちがむしゃむしゃするんだよ!!
 にんげんさんにあげたられいむたちがたべれないでしょ!!」

「分かった分かった。じゃあ、こうしよう。ゆっくりたちの巣の中にある
 ゆっくりとした食料を全部、持ってきて見せてくれ。見せてくれるだけでいい。
 見せてくれたらあまあまをひとつあげるよ。

「ゆ?!えささんをみせるだけでいいの?でもそんなこといって、えささんをかってに
 むしゃむしゃするんでしょ!!!れいむはだまされないよ!!!」

ゆっくりたちの餌なんか食べられるかよ。食べてくれ、とお願いされてもお断りだ。

「それは大丈夫。証拠として、先にあまあまをここに置いておくから、好きに食べてもらって良い。
 それに、俺は十分ゆっくりしているから、れいむたちの餌を食べなくてもゆっくりできるんだ。

「ゆっ、それならだいじょうぶだね!!!おチビちゃんたち、みんなでおうちのなかにある
 えささんをもってきてね!!!」

「ゆぅ!」
「ゆっくちりきゃいしちゃよ!!」

子ゆっくりたちの聞き分けが意外と良い。
ゆっくりたちにとって、巣の中に貯めてある餌を運ぶのは、その餌を食べる時だ。
運び出した餌を食べることができる、と子ゆっくりたちは考えているらしい。
子ゆっくり全員で手分けして餌を運びだす。
バッタや蜘蛛などの昆虫、草の根、木の実などが次々と運ばれていく。
男はリュックの中に入っている小さな飴玉を一粒取り出し、
れいむの前に置いてやる。
その直後、れいむはあまあまに近づき、その上に乗しかかった。
このあまあまは絶対に渡さないぞ、てこでも動かないぞ、という顔をしている。

巣の中の餌が全部運び出されたようだ。
子ゆっくりたちが運んできた餌の総量は、意外と少ない。
ここにいるゆっくり全員が一度、腹いっぱい食べたらそれで無くなる。
晩秋、これだけの数のゆっくりたちが、
これだけの餌で冬を越えようと思ったら、
生きている餌を食べるしかない、つまり共食いだ。
逆にこれだけの数がいれば、同種の餡子で食いつなぎ、1匹はなんとか冬越えすることができるかもしれない。
このゆっくりたちはそれを理解しているのだろうか?
冬が近いと言うのに、やけに能天気だ。世間知らずだ。アホだ。
でもアホだから良い。
このゆっくりたちこそ、今回、俺が探していたものだ。

「ゆっくりえささんをはこびおえたよ!!これであまあまさんはれいむのものなんだよ!!」

律義に、餌を運び終えるまで飴玉を口にしなかったようだ。

「ああどうぞ。ゆっくり食べてくれ。」

「ゆう、いただきま~す。むーしゃむーしゃ、ゆぅ、しあわしぇーーー!!」

「ゆゆ!!おきゃーしゃんだけじゅりゅい!!!」
「れいみゅたちはえさしゃんをはきょんだんだよ!!!」
「まりしゃはこっちのえさしゃんをむしゃむしゃするよ!!」

おっと、それはまずい。

子ゆっくりの届かないところに餌を移動させる。
子ゆっくりたちはゆぅ!!と、こちらをにらむ。

「にんげんしゃん、まりちゃたちのえしゃをとっちゃだめだよ!!!」

「ゆゆ!にんげんさん、さっきとやくそくがちがうよ!!」

「いや、貴重な餌を子ゆっくりたちに食べられないようにしただけだ。
 れいむにとっても、そのほうが都合が良かっただろう?」

「ゆうっ、おチビちゃんはかってにえささんをむしゃむしゃしたらだめだよ!!!」

「ゆぅう!!!おきゃあしゃんだっちぇ、あまあましゃんをむしゃむしゃしちぇるよ!!!」
「にゃんでおきゃーしゃんだけでゆっくちしちゃうの!!れいみゅおきょるよ!!!!」

俺へ感謝の言葉は一言もない。そしてゆっくり一家は餌をめぐって醜く言い争いを始める。
このままでは収拾がつかない。

「おちびちゃんたちもあまあまを食べることができるよ。」

「「「ゆっ!!!!!!」」」

すると、いい争いをしていたゆっくりたち26匹の体がとまり、
一斉にこちらを向く。
こっち見んな!!!

「ただし、条件がある。みんなでゆっくり聞いてくれ。途中でおしゃべりするなよ!」

「「「ゆっ、ゆっくちりきゃいしちゃよ!!」」」

そういうと、子ゆっくりたちは口をムスッと閉じる。
全員が真剣な顔でこちらをジッと見つめてくる。
だからこっち見んな!!!

「そこの母れいむと俺が、一対一で戦うんだ。」

「おきゃーしゃんはちゅよいんだよ!!にんげんしゃんに・・・ゆぎゅ!!」

「黙れって言ったろ。叩き潰すぞ。」

でこぴんをかました子ゆっくりが吹き飛ぶ。顔を歪ませて泣いているが、命に別状はないようだ。

「だが、戦うといっても、殴ったり体当たりする戦いではない。
 簡単に説明すると、俺がコップの中に飴玉を隠す。れいむは、二つあるコップのうち、
 どちらに飴玉が入っているか当てる。そういう戦い、つまりギャンブルだ。分かるか?」

「ゆう、れいむはあまあまさんのあるほうをえらべばいいんだね!!」

「そう、当たれば飴玉をやろう。だが外れた場合、そこに置いてある餌をもらう。
 その量だと・・・そう、全部で飴玉8個分だな。
 飴玉何個分っていうのもわずらわしいから、単位を1あまあまとしようか。
 だから、れいむたちが持ってる8あまあまのうち、1あまあまに相当する餌を俺がもらう。
 つまり、勝てば飴玉をもらえるけど、
 負けたらお前たちの餌が減っていく、ということだ。
 さあどうする?勝負するか?」

「ゆ!!まけたらえささんをもっていくなんてずるいよ!!!
 それにまけたらあまあまさんもたべられないよ!!!」

「そうだな、負けたらそうなるな。だが、お前たちが勝ったらあまあまが食べられるし、
 餌も減らない。俺に勝てば、良いことづくめだ!」

「ゆ!!えささんもあまあまさんもたべれる!!」

「そう。とにかく勝てば良いんだ。嫌なら俺はこのまま帰るが・・・」

「ゆっ、にんげんさんまってね!!れいむ、にんげんさんとたたかうよ!!」

「そうか、戦うか。よし、では早速始めるとするか。」


リュックの中から二つの紙コップを取り出す。
その紙コップは、アウトドア用に準備しておいたもので、
口よりも底のほうが広く、倒れにくい仕組みになっている。
なるべく平らな地面に飴玉を1つ置き、その上からコップを逆さにしてかぶせる。
そして、ゆっくりたちに見えるよう、ゆっくりと2つのコップをシャッフルし始める。
母れいむは、飴玉の入っているコップを必死に目で追う。
子ゆっくりたちも同じように、コップの行方を追っている。

「さて、飴玉はどっちにある?」

そういうと、一斉に子ゆっくりたちがきょっち!きょっち!と叫びだす。
母れいむも同じ意見らしい。

「こっちだと思う紙コップに体当たりしてくれ。」

そう言うと、母れいむは前に出てきて、
頭についた実ゆっくりをつぶさないよう、
飴玉の入った紙コップに体当たりをする。
見事、母れいむは飴玉の入った紙コップを選ぶことができた。

「あたったようだな。飴玉をあげよう。」

袋に入った飴玉を一粒取り出し、
ゆっくりたちの前に投げる。
子ゆっくりたちは、投げられた飴玉に群がり、
れいみゅがたべりゅ、まりちゃがたべりゅ
と、みんなで取り合いを始める。
母れいむは、うらやましそうな目でその様子を見ている。

「ちなみに言っておくが、獲得した飴玉も1あまあまとしてカウントできるから、
 次の勝負にそれを賭けても良いぞ。つまり、その飴玉を残しておけば、
 次の勝負で仮に負けたとしても、その飴玉を俺に返してくれれば、
 ゆっくりたちの餌は残るわけだ。
 もう一度言う。飴玉を残しておくのもありだ。いいな?」

「ゆっ、ゆっくりりかいしたよ!!」

本当に理解したのだろうか・・・・
飴玉に群がり、ペロペロと舐めたくる子ゆっくりたちの舌はとまらない。
まぁ、飴玉を残しておくかどうかは、俺には関係ない。
ただ、そういう手もある、ということだけは伝えた。
後から、そんなの聞いてないとか言われても厄介だからな。

「じゃあ、次の戦いを始めるか。」

「ゆっ、ゆっくり!!!」

2回戦を始める。
1戦目同様に、コップをゆっくりとシャッフルする。
相変わらず、飴玉の入っているコップを目で追うゆっくりたち。
途中でフェイントをかけ、コップの起動を変えてやると、
ゆっ、と、コップの動きを見ていたゆっくりたち全員の体が動く。
体ごとコップを追っていた数匹の子ゆっくりたちは、フェイントにつられて横にこけた。

シャッフルを終えると、すぐさま
きょっちー!!!と子ゆっくりたちがアピールを始める。

「ゆっ、にんげんしゃんばきゃだにぇ、ゆっくちたちにはどっちにあまあましゃんが
 はいっちぇるかわきゃるよ!!!」

という子ゆっくりたち。はっ、とする母れいむ。

「どぼじでおぢびぢゃんぞんな゛ごどい゛い゛うの゛~~~!!!!!
 れ゛いむ゛のひっしょうほうがばれぢゃうでしょぉお゛お゛」

「必勝法?」

と、とぼけてみる。

「ゆっくちちゃちは、めであまあましゃんをおっちぇるきゃらわきゃるんだよ!!!」

「なにをいってるのおちびちゃん!!!どっちにあまあまさんがはいってるかなんて、
 あけてみるまでわからないでしょ!!!」

「母れいむのいうとおりだ。開けてみるまで、どっちに飴玉が入っているかは分からないはず。
 必勝法なんてあるわけがない。母れいむは運であててるんだよ。」

そういうが、納得のいかない様子の子ゆっくりたち。
だが、母れいむだけは、飴玉がどっちに入っているか分からないよと、とぼけてみせる。
本当に、ゆっくりたちは正直だな。
2度目も母れいむは勝った。一粒飴玉をやる。

そして3度目の戦いも母れいむが勝ち、全部で飴玉を3つ勝ち取る。
母れいむの食べかけていた飴玉を含め、4つの飴玉に、25匹の子ゆっくり全員がたかっている。

「ぺりょぺりょ、ちあわちぇーーーー!!!」
「あまあましゃんはとちぇもゆっくちできるよ!!!!」
「ゆっ、おチビちゃんたち、ゆっくり食べていってね。あとでれいむにもたべさせてね!!!」

ゆっくりたちは、負けた時のことを全く考えていない。
この勝負を続ける限り、自分たちが100%勝てると考えているようだ。

「4回目の勝負、といきたいところだが、ここで提案がある。」

「ゆっ?」

「1回の勝負で1個しか飴玉をもらえない、っていうのは時間がかかるだろ?
 だから、1回の勝負でやりとりする量を3あまあまにしないか?勝てば飴玉を3個もらえる。
 まぁでも、負けたときは3あまあまに相当する物をもらうことになるが・・・」

「ゆっ!!わかったよ!!!」

「よし、勝負!!」

その勝負にも母れいむは勝ち、3あまあまを得る。
次に倍の6あまあまをかけることを提案し、母れいむはすぐに承諾する。
その勝負でも母れいむは勝ち、母れいむの勝ちは合計で12あまあまになる。

「れいむは強いなーー!よし、次の勝負はゆっくりたちが12あまあまもってるから、
 20あまあまだ!!ここで勝てばゆっくりたち全員がゆっくりできるぞ!!!!」

「ゆっくりりかいしたよ!!!!」

この瞬間、6あまあまだったレートが、いきなり20あまあまにアップする
だが、母れいむにはピンときていない。
それに、ゆっくりたちが今まで100%勝っているので、負けたら失う、ということなど考えてはいない。

「20あまあまだから、負けたら20あまあまの物をもらうからな。
 もう一度聞くが、それでいいんだな?」

「ゆぅ、にんげんさんばかなの?れいむはりかいしたってさっきいったでしょ!!にんげんさんはばかなの?」

大事なことは2度言う、らしい。さて、そろそろ勝負を始めるかな?
子ゆっくりたちは、母れいむの戦いを見ていない。
飴玉を舐めることに夢中になっている。
13個の飴玉があるから、1個の飴玉に2匹の子ゆっくりが側についている。
ゆっくりが目で追えるよう、ゆっくりとコップをシャッフルする。
母れいむは、目をしっかりこらしている。
ずっと目をこらしていたので、目が餡子でにじみ始めている。
その餡子をぬぐい、再びコップを目で追い始める母れいむ。
本当にゆっくりとシャッフルしているので、
少し目を離していても、どちらが飴玉の入ったコップなのか分かるようだ。

「さて、シャッフルが終わった。ここでもう一度注意しておく。
 この勝負でれいむが負けたら、20あまあまを俺に渡す。その約束は覚えているな?」

「ゆっ、なんどもいわせないでね!!れいむはりかいしたっていってるでしょ!!
 とっととあまあまさんをえらばせてね!!!」

と言い、近づいて紙コップに体当たりをする。

「ゆふふ、これでたくさんのあまあまさんがもらえるよ!!」

紙コップをじわじわとあける。にやにやしながら、その動きを見届ける母れいむ。




その中に飴玉は入っていなかった。


「残念、こっちに入っていたようだ。」

もう一方のコップをあける。中には飴玉が入っている。

「ゆ?ゆっ?ゆゆ?」

コップを見続ける母れいむ。だが、たしかに選んだコップには飴玉が入っていない。

「さて、20あまあまをもらうとするか。さて、何で20あまあまを渡してくれる?餌か?飴玉か?」

「ゆぅうう!!!!!にんげんさんずるしたね!!!あまあまさんはたしかにこっちにはいっていたはずだよ!!!」

「ん?何を言ってるんだ?現にそっちには飴玉が入ってないだろ。
 それにれいむの言うことを聞いていると、どっちの紙コップに飴玉が入っているか、
 事前に知っていたような言い方じゃないか?」

「ゆっ、ゆゆゆゆ・・・」

「だって、紙コップは2つなんだから、飴玉の入っている紙コップをあてる確率は二つに一つ、つまり50%だ。
 れいむはさっきから5回連続で勝っているんだから、そろそろ俺が勝っても良いんじゃないか?
 それを、俺が勝ったらおかしいみたいに・・・おい、もしかしてお前こそ、ずるしてたんじゃないか?」

「ゆゆ!!れいむはずるなんかしてないよ!!」

「そうか?だって、2回の勝負のうち、1回は俺が勝ってもいいはずなのに、5回もれいむが勝ち続けていたんだぞ。
 これっておかしくないか?」

「ゆぅ!!れいむをうたがわないでね!!!れいむはずるなんかしてないよ!!!」

「そうか、そうだよな。れいむがずるなんかする訳ないよな。でも、この戦いは真剣勝負なんだ。
 れいむがずるしてることが分かったら、今まであげた飴玉は全部取り上げる。
 餌も全部持っていくし、お前の子供たちも全員つれていく。いいな!ずるはぜったいするなよ!!」

「ゆ!!!おチビちゃんをつれていかないでね!!!」

「ずるをしなければいい話だろ?それに、今までれいむはずるをせずに勝ち続けたんだ。
 だったら、今までと同じように勝負すればいいだけだろ?」

「ゆ、そうだね。そろそろつぎのしょうぶをしようね!!!」

「えっ?でも、まだ俺は20あまあまをもらってないぞ。勝負はそれからだ。何でくれる?飴?餌?」

「ゆ!にんげんさんはれいむのあまあまさんをもっていかないでね!!」

「・・・・・・・・おい、さっき何度も何度も言っただろ、覚えてないのか?
 負けたら20あまあまをもらうって。ゆっくりりかいしたとか言ってたけど、口先だけだったのか?」

「ゆ、でも、れいむたちは20あまあまなんてもってないよ!!!だから20あまあまなんて
 はらえないんだよ!!!」

「おいおい、冗談はよしてくれよ。れいむが勝った12あまあまと、
 巣の中の餌8あまあまを合計すれば20あまあまに達するぞ。」

「ゆゆ、れいむはれいむたちのえささんをわたしたくないんだよ!!」

「・・・・・俺は負けたら負けた分だけ、今まで飴玉を渡した。
 でも、れいむが負けたら、その分は渡さない・・・・・それっておかしくないか?
 もし、払わないって言うんなら、れいむは、さっき言った『ずる』をすることになる。
 つまり、代償として餌と飴玉、そして子ゆっくりたち全員を問答無用で連れて行く。
 さて、それでも払わないっていうんなら、子ゆっくりたちを連れて行くだけだが、どうする?」

「ゆゆゆっ・・おチビちゃんはだめだよ!!しかたないから、れいむたちのえささんを」

「どうも。さて、餌は・・・っと。」


ゆっくりたちの餌をビニール袋に全部詰めこむ。
汚いから、後でゴミ箱にでも捨てておこう。
これで8あまあまを回収する。そして、

「ほら、チビたちどきな。一つ、っと。」

「ゆ!にんげんしゃん、きゃってにまりしゃのあまあましゃんをとりゃないでね!!」
「やめちぇね!!!」
「ゆぅ!!!」

子供たちの声を無視して飴玉を回収する。子ゆっくりたちが飴玉を舐め続けていたので、
どの飴玉も小さくなっている。飴玉を全部数えてみると・・・9個しかない。

「おい、小さくなった飴玉は多めに見てやることにするけど、
 飴玉を足しても合計で17あまあましかないぞ。あと3あまあま、ちゃんと払えよ。」

「ゆぅ!あまあまさんはおちびちゃんがたべたからもうないんだよ!!!」

「そんなことは見れば分かる。俺はあと3あまあま払えっていってるんだ。」

「ゆっ、だからおチビちゃんがたべたから・・・」

「おい、俺は言ったよな?飴玉を残しておいても良いと。だが、お前たちは残さなかった。
 さっきからいい加減にしてくれよ!俺は事前に全部話しているじゃないか。
 忘れていた、では済まないんだぞ。」

「ゆゆ・・・」


そうこうしていると、一匹のゆっくりまりさがこちらに近づいてきた。
どうやら、このれいむのつがいのようだ。
頬はゲッソリと痩せこけ、十分に餌を食べていない様子が見て分かる。
あれだけ大量のゆっくりたちを養っているんだ、相当な苦労をしているんだろう。
くちにくわえた帽子の中には、小さな木の実が5粒、何か分からない草が一掴み、米粒ほどの芋虫が4匹入っている。
少ないように見えるが、それでも、普段この時期に採れる量にしては、そこそこ多いらしい。
その帽子をれいむの前に置く。

「れいむ、きょうはいもむしさんがとれたんだぜ!!いもむしさんはとてもゆっくりできるよ!!」

「ゆ、にんげんさん、これで3あまあまはらうよ」

まりさには見向きもせず、れいむは帽子の中の餌をひったくる。

「ゆっ、れいむはなにをするんだぜ!!それはまりさがとってきたえささんなんだぜ!!!」

「まりさはだまっててね!!にんげんさん、これでゆるしてね!!!」

事態を把握していないまりさ。
なんで、れいむはせっかく採ってきた餌を、初めて会う人間さんに渡そうとしているのか?

「うーん、それだと1あまあまだな。それはもらうとして、あと2あまあまだ。」

「ゆゆ゛!どぼぢでぞんな゛ごどい゛う゛の゛!!!れいむ゛だちはも゛うあまあまをもってな゛いんだよ!!」

「れいむ、なにいってるんだぜ。まりさたちはあまあまさんをもってるわけないんだぜ。」

「まりさはだまっててね!!」

「ゆっ、れいむいいかげんにしてね!!!せっかくまりさがとってきたえささんがなくなったら、
 おチビちゃんたちがたべるえささんがなくなるんだぜ!!!」

「も゛うぜんぶなくな゛ってるの゛ぉおおお゛!!!!!」

訳のわからないまりさ。れいむの言っていることが分からないので、一応、巣の中の餌を確認しに行く。


「あのまりさも相当苦労してるんだな。でもなんで、冬が来る前にこんなに子供を作ったんだ?」

「ゆっ、まりさのおうちにはえささんがたくさんあったから、
 おチビちゃんたちをたくさんつくったんだよ!!
 おチビちゃんはみんなにとってゆっくりできるんだよ!!!
 そんなこともしらないの?にんげんさんはばかなの?」

巣の中から、実ゆっくりを頭にビッシリつけたれいむが出てきた時点で、分かっていた。
こいつはれいむじゃない。でいぶだ。自分勝手で、そのわりに自分では何もしない。
冬が近いのに子供を作り続ける。つがいとなったまりさは本当に不運だと言わざるを得ない。

「さて、2あまあまが払えないと言うことだが、お前たちにはまだ払えるものがあるよな?」

「ゆゆ?なにいってるの!!れいむたちはもうたべるものなんて・・・」

「違う。俺が言ってるのは子ゆっくりのことだ。」

「ゆっ!!!!!!おちびちゃんたちはだめだよ!!!おちびちゃんたちはつれていかないでね!!!!」

「安心しろ、まだ連れて帰らない。そうだな、子ゆっくり一匹につき、2あまあまだ。
 子ゆっくりを担保にして、れいむに2あまあまを貸す。担保だから、子ゆっくりは殺さない。」

そう言って、適当な子ゆっくりを一匹持ち上げる。

「ゆう!!まりちゃ、おしょらをとんでるみちゃい!!!」

持ち上げた子まりさを、リュックサックの中に放り込む。中でゆぶっと声がして、だちて~とすぐにわめき始める。
子ゆっくりたちは、うらやましそうに子まりさを見送っていた。

「2あまあまを持ってきたら、いつでもこの子を返してやるぞ。
 さぁ、狩りをするなりなんなりして2あまあまを集めることだな。」

言い終えると、巣の中からまりさが怒号をあげて出てくる。

「れいむどういうこと!!!おうちにあったえささんがぜんぶなくなってるんだぜ!!!!」

「ゆっ、それはにんげんさんがもっていったんだよ!!!れいむはわるくないよ!!!」

このままだと俺が悪者になるので、まりさに今までの経緯をゆっくりと説明する。



ひと通り説明すると、まりさが怒り始める。

「なんでだいじなえささんをつかったの!!れいむはしょうぶしなかったらよかったんだぜ!!!」

「どぼぢでそんな゛こどい゛うの゛!!!!れ゛いむはしょうぶにかってあまあまさんをいっぱいとってたんだよ!!」

「でもここにはあまあまさんはないんだぜ!!れいむはしょうぶにまけたからそうなるんだぜ!!」

「おきゃーしゃんちゃち、けんきゃしにゃいでにぇ!!ゆっくちしていっちぇね!!!」

このまりさは聞き分けが良い。なんで、こんなでいぶと一緒になったのだろう?本当に不運としか言えない。
さて、そろそろ話を次の段階に持っていくか。

「子供もそう言ってることだし、喧嘩はよせよ。まりさがあと二回狩りに行ったら子供を取り返せるんだ。
 まだ俺も時間あるし。そうだ、2匹で狩りに行ってきたらどうだ?2あまあまがすぐにたまるぞ!」

「ゆぅ、まりさがかりにいってくるんだぜ!!れいむはここではんせいするんだぜ!!」

「ゆゆっ、ゆっくりりかいしたよ。」

そういうと、まりさは再び狩りに出かける。ろくに餌を食べていない、そのよれよれの体で大丈夫だろうか?

「ところでれいむ、さっき俺は子ゆっくり1匹を2あまあまだと言ったよな?」

「ゆっ、だからまりさが2あまあまぶんのえさをとりにいってるんだよ!!!」

「ということは、そこにいる子ゆっくりたちを使えば、俺と勝負ができるということだ。お分かりかな?
 つまり、子ゆっくりを使って勝負をし、みごと俺に勝てば、この中にいる子ゆっくりを助けられる上に、
 さっきの飴玉や餌を取り返すことができる。勝てばすべてが元通りだ。どうだ?」

「ゆぅ、でもおチビちゃんが・・・」

「れいむはさっきからずっと勝ってるじゃないか!だから次もきっと勝てるさ。」

「ゆゆ、すこしかんがえさせてね!!!」

「ああ、俺はまだ2あまあまもらってないし、ここでゆっくりすることにするよ。」

1分ほどすると、れいむが喋りだす。

「ゆう、にんげんさん、れいむはしょうぶするよ!!」

「そうか、じゃあ最初は2あまあま、つまり、子ゆっくり一匹分といったところか。さて、勝負だ。」

「おきゃーしゃん、がんばっちぇにぇ!!!!」
「かってあまあましゃんをもらってね!!!」
「あまあましゃん!!!」

再び勝負を始める。コップを目で追うれいむは必死だ。無意識にゆふっ、ゆふっと奇妙な声をあげている。
子ゆっくりたちも全員で、飴玉の入ったコップの行方を追う。
シャッフルが終わり、れいむが慎重にコップに体当たりする。中には飴玉が入っていた。

「ほら、当たったじゃないか!れいむはつよいな。さっそく子ゆっくりは返すよ。」

「ゆわーーん、おきゃーしゃーーーーん!!!!」
「ゆう!!おきゃーしゃんかっちゃよ!!!」
「あまあましゃんがたべれりゅよ!!!」
「ゆうううう!!!!!!ゆっくりーーーー!!!!!!!」

勝利したことで、母れいむは雄たけびをあげる。
こんなにもあっさり、まりさの狩り二回分に等しい勝ち分を得たのだ。
まりさの存在価値が希薄になる。

「さて、まだ勝負はできるぞ。俺に勝てば、残りの餌は取り返せる。勝負するか?」

「ゆっくり勝負するよ!!!」
「ゆっくち~!!!!」

れいむはまたも勝ち続けた。
そして、れいむは4連勝した。子ゆっくりと巣の餌を全部取り返し、さらに飴玉30個を手に入れた。
子ゆっくりたちは、みんなそれぞれ飴玉の横につき、狂ったようにその飴玉を舐め続けている。

「れいむはもっとしょうぶするよ!!!にんげんさんはしょうぶをやめちゃだめだよ!!!」

「うう、悔しいが、俺が途中で勝負をやめたら『ずる』だもんな。じゃあ今度は何あまあまで勝負する?
 90あまあま位にするか?それだけ飴玉があれば、みんなで冬を越せるかもしれないぞ!」

「ゆっくり!!!!90あまあまでしょうぶするよ!!!!」

コップに飴玉が入れられる。

「ん?あれは何だ?」

ふと、れいむの後ろを指差す。つられて、れいむは後ろを振り返る。

「ゆ?なんなの?なにがあったの?」

「ああ、さっき大きな飴玉がそこを横切ったんだが、素早かったから逃げてしまったみたいだ。」

「ゆぅ、おおきなあまあまさん・・・みつけたらとっととつかまえてね!!!!」

「おい、無理言うなよ。本当に一瞬で消えたんだから捕まえられないよ。」

そんな雑談を、シャッフルの合間にする。
軽くコップをシャッフルし終えると、れいむは迷うことなくコップに体当たりする。

「先に言っておく。この中に飴玉が入っていなかったら、れいむは90あまあまを払わなければならない。
 それは忘れてないよな?」

「ゆっくりりかいしてるよ!なんどもいわせないでね!!なんどもいわせるばかはきらいだよ!!!」

「そうか、じゃあオープンだ。」

「ゆっくり~~!!!!!!!!」

れいむはすでに勝ったつもりでいるようだ。だが、コップを開けてみるまで勝負は分からない。
紙コップを徐々にあげていくと、れいむの選んだコップの中に何か見える。

「ゆほほーーーーーい!!!!!!」

だが次の瞬間、その塊は石であることが分かった。コップを完全に開けると、
れいむの選んだ反対のコップに、飴玉が入っていた。

「これで俺の90あまあま勝ちだな。」

「どぼぢであ゛まあ゛まさんがぎえじゃうの゛!!!!さっぎまでごっぢにあ゛まあ゛まさんが
 はい゛っでだでしょぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!!!!!!!!!!」

「そう言われても、れいむが選んだほうには飴玉が入ってなかったしなぁ。
 っていうか、中に入ってた石ころと勘違いしたんじゃないか?
 色々つっこみたいことはあるが、そんなことはどうでもいい。90あまあまもらうとするか。」

巣の餌の8あまあま、まりさが持ってきた1あまあまの餌を再びビニール袋に詰める。これで9あまあま。
そして、飴玉30個で合計39あまあま。
飴玉を取られた子ゆっくりたちが、不満そうに見つめてくる。

「ゆぅ!!あまあましゃんきゃえしちぇにぇ!!!」
「まりちゃはまだあまあましゃんをたべてにゃいんだよ!!!」
「ゆうぅぅん!!!」

そして、子ゆっくり25匹×2=50あまあま、

「ゆっ!!おしょりゃをとんでるみちゃい!!!」

子ゆっくり25匹をリュックに放り込む。
リュックの中で、子ゆっくりたちが助けを求める声をあげる。

「ゆぅ、きょきょからだちて!!!!!」
「おきゃーしゃんたすけちぇーー!!!」
「ゆっくちできにゃいよ!!!!!」

全部合計して89あまあま。あと1あまあま足りない。

「あと1あまあま足りないぞ。次は何で払ってくれるんだ??」

「ゆぅ、れいむはもうあまあまをはらえないよ!!!」

「そうか?俺にはそうは思えないがなぁ。鏡を貸すから、ちょっと見てみろよ。」

リュックの横についた袋から鏡を取り出し、れいむの前に出してやる。

「どうだ、何か見えないか?ちょっと上のほうだが・・・」

「ゆ?ゆぅ、ゆゆ!!!!!あかちゃんはやめてね!!!
 あかちゃんをとったらゆっくりできなくなるよ!!!!」

「でも、頭に結構ついてるじゃないか。ちょっとぐらい、もいでも別に問題ないんじゃないか?
 ちなみに、実ゆっくりは小さいから、2匹で1あまあまが相場だな。
 自分じゃとれないだろうから、俺がとってやるよ。えいっ!」

プチっと音がして、2匹の実ゆっくりが強制的にはがされる。
しばらくすると実ゆっくりは目を覚まし、俺の顔を見て
ゆっくちしていっちぇにぇ!!!と喋る。その様子を見届けてから、
別のビニール袋へ丁寧に入れ、袋の口を縛る。殺してしまっては担保にならないからな。
リュックの中をのぞくと、リュックの底をうじゃうじゃとうごめき続ける子ゆっくりたち、
ひたすら光を求めて他の子ゆっくりの上にのしかかり、上へ上へ登ろうとしている。
釣りの餌に使う、青虫を見ているようだ。あまり手を入れたくないな。
まだ全員動いているようだ。弱っている様子もないので、しばらくはそのままにしておいても大丈夫そうだ。

「さて、子ゆっくりを全員失ったれいむさん。感想を一言!!」

「おチビちゃんたちをはやくかえしてね!!おチビちゃんがいないとゆっくりできないんだよ!!!」

「おお、感動の一言をいただきました。れいむさんは90あまあまも失ったようですね。でも、じつは、
 まだみんなを取り返せる可能性があるんですよ。」

「ゆぅ?でもれいむはもうあまあまをもってないよ!あかちゃんは2ひきで1あまあまだから、
 もうしょうぶなんてできないよ!!」

「そんなれいむさんのために、こちらのプランをご用意致しました。
 その内容は、実ゆっくり一匹の命につき、10あまあま!!これは破格です!
 頭についている、残り12匹の実ゆっくりの命をかけ、その勝負で勝つことができれば、
 120あまあま、つまり全てを取り返し、なおかつ飴玉も得ることができます!!」

「ゆ!!!!!あかちゃんのいのちはぜったいにダメなんだよ!!!!」

「問題ありません、とにかく勝てば良いんです。今までれいむさんは2回負けてますが、
 連敗はまだしてません!つまり、負けたあとは必ず勝っているんです!
 全てを取り返す唯一のチャンスです!!さあ、勝負しますか?
 ちなみに勝負しない場合は、こいつら全員持ち帰るだけだからね。
 また、あまあまがたまった頃に来るから、その時にあまあまと引き換えで
 子ゆっくりは返してやるよ。勝負しないなら俺は帰るとするよ。」

「ゆっ!まってね!!しょうぶするよ!!!!」

「おお、良い返事をいただきました!ではさっそく、120あまあまをかけた勝負です!」

飴玉を入れたコップをシャッフルし始める。
だが今回は、ゆっくりが目で追っていけないよう、素早くシャッフルする。

「ゆ!!もっとゆっくりしていってね!!!コップさんがぜんぜんみえないよ!!!!」

「それに関しては問題ないよ。だって、どっちに飴玉が入っているかあてるだけなんだから、
 コップの動きを見る必要性は全然ないぞ。あたる確率は2つに1つ、50%だ。
 さて、そろそろ選んでもらおうか。」

「ゆぅ、どっちにあまあまさんがはいってるかわからないよ!!!」

「ん?れいむは何を言ってるんだ?そんなの当たり前じゃないか。
 どっちに飴玉が入ってるか分かってたら、ギャンブルにならないだろ?
 それとも、どっちに飴玉が入っているか分からないと、れいむは勝負できないの?」

「ゆ、ゆううううう。」

「じゃあ、そんなれいむさんに大サービスだ!!!片方のコップを持ち上げるから、
 それから、どっちに飴玉が入っているか選んでね。それじゃあ上げるよ。はい。」

「ゆうううう!!!!」

上げたコップ側に、飴玉はなかった。

「はい、終わり!さぁ、どっちに飴玉が入っているか選んでね!!」

「れいむはこっちをえらぶよ!!!!」

上げたコップとは反対のコップに体当たりする。
目の前で、片方のコップに飴玉が入っていないことを確認したのだ。
もう一方のコップには、間違いなく飴玉が入っている。

「では、オ~プン♪」




当然、れいむが選んだコップの中には飴玉が入って





いなかった。



「どぼぢであまあまさんがはいってな゛いのぉおおおおおおお!!!」

もう一方を開けると、中にはたしかに飴玉が入っている。

「たしかにさっきみたよ!!にんげんさんはずるしてるんだよ!!!!」

「ん?なに言ってるんだ?俺がずるしたと言うのか?でもそれ以前にお前、

 
 自分の選んだコップに飴玉が入っているのをみたのか?」


「ゆぅううう!もうひとつのこっぷさんにはあまあまさんがはいってなかったから、こっちにはいって・・・」

「だからなんで、そっちに入っていると言い切れるんだ?
 たしかに、コップを上げたとき、飴玉は見えなかった。
 だが、こうしたらどうだ?」

コップを逆さにして地面にかぶせ、そのまま飴玉をこするようにまわす。
それからコップを持ち上げると、先ほどまで中にあった飴玉がなくなっている。
そして、まわすのを止めると、飴玉がコップの中から落ちてきた。
口が小さく底が広いコップは、その形状から、
遠心力を加えると上へ上へと飴玉が上がり、結果として飴玉はコップの中に隠れてしまうのだ。

「ゆっ、ゆゆ・・・・・・・ずるいよ!!!」

「ずるくはない。俺はサービスでコップを上げてやったんだからな。
 それに、その後どっちのコップを選ぶかは、れいむの自由だったわけだしな。
 単純に、何も考えずに選べば、当たる確率は50%だったというわけだ。
 残念だが、実ゆっくりたちの命はもらうよ。いただきます!」

ぷちっと音がして、実ゆっくりが母れいむからはがされる。
その後、ティッシュで汚れを軽くふき取る。

「ゆっくちしていっちぇにぇ!!!」

「ゆゆっ! れいむのあかちゃん、ゆっくりしていってね!!!」

くちゅっ


「うむ、あまあまだな。いや、まあまあだな。」


「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

れいむの絶叫がこだまする。だが、悪夢は止まらない。

「ゆっくちしちぇいってね!!!」

ぷちゅっ    ぴちっ     きゅっ    ぴっ

「うん、これは旨い!こっちもいける。意外と焼酎に合いそうだな。」

「でい゛ぶのあがぢゃん゛をだべないでぇえ゛え゛え゛え゛!!!!!」

れいむの叫びも虚しく、12匹の実ゆっくり全員が食べられてしまった。


「うまかった、ごちそうさま。俺の腹の足しになってくれた実ゆっくりには感謝してるよ!
 ・・・まぁ、そう落ち込むなよ。また今日にでもすっきりっすれば良いじゃないか。」

「でいぶのあがぢゃん゛がぁあ゛あ゛あ゛!!!!!!」

「さぁ、ここまで勝負を続けたれいむのことだ、当然分かってるだろ?
 まだ、れいむにはあまあまが残ってるって事を。」

「ゆあ゛あ゛あ゛もうあまあまはな゛いよ゛お゛お゛ーーー!!」

「まだ、残ってるじゃないか。れいむ、お前本人だ。
 特別にお前一匹の命で100あまあまにしてやるよ。」

「でいぶはだべだよ゛!!!おヂビぢゃんはいい゛げど、でいぶはごろざない゛でね゛!!!!」

「殺すも何も、勝負して負ければ命をとる。
 死にたくなければ勝負をやめるか、ただ勝てばいい。
 勝てば、子ゆっくり全員は帰ってくるし、大量の餌も手に入る。」

「ゆぅ!!ゆゆゆゆゆ!!!!!ゆぅ、でもまけたらでいぶが・・・・」

「それくらいのリスクは負って当然だ。さぁれいむ、やるか?
 正真正銘、勝率50%の勝負を」




まりさが狩りから帰ってきた。
そこには、れいむの姿が・・・・・・





あった。








皮だけの姿が





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※最後の50%の勝負は、実際にサイコロをふって展開を決めましたw
 「でもれいむにまけたらさいごのてんかいが・・・・」
 「それくらいのリスクは負って当然だ。」

過去の作品

anko1922 鉄籠
anko1941 野良まりさたちの行く末
anko1951 ゆっくりの住む牧場
anko1968 正義感
anko1973 あんころ草
最終更新:2010年10月13日 11:35
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