『トンボを捕まえたかっただけなのに・・・』 13KB
不運 自業自得 家族崩壊 野良ゆ 現代 十月だけど別にいいよね?
・公園を題材にしようと近くの公園に行ったら思いついたネタ
・九月の終わりごろの設定です
トンボを捕まえたかっただけなのに・・・
麦茶あき
九月末―
まだ八月の猛暑が続いており、俺たち人類に地獄のような日照りが続いた頃、
俺は近くの公園で休んでいた。
「あちぃ~・・・・」
九月だというのに何だこの暑さは・・・俺たちを殺す気か太陽。
ただ今日は許してやろう、普段より少し涼しいし、俺は今、日陰にいるんだ。
木々の陰のおかげで俺の体の温度を冷やしてくれるありがたい植物たち。
ありがとう、おかげでゆっくりできる。
そんなゆっくりたちも公園内にチラホラ住み着いており、
ダンボールらしきものが置かれていた。
毎回思うのだがあのダンボールはどこから拾ってくるのだ?不思議に思う。
まぁ、いい。所詮はゆっくり。
考えるだけ無駄さ。
「ゆー」
「ん?」
噂をすればヒポポタマス・・・いや違う。
ゆっくりだ。
遠くに見えていたダンボールからゆっくりの家族が出てきた。
野良ゆっくりの風貌、小汚い肌、ボロボロのお飾り。
ああ、十人中、十人が野良だと言い切る姿だ。
家族構成はまりさ、れいむ、子れいむ、子まりさ、まだ小さいから赤まりさと赤れいむが出てきた。
典型的でよく人間にアホみたいに喧嘩売る家族構成ナンバーワンな奴らだ。
「おちびちゃんたち!きょうはたいようさんはそんなにあつくないからひなたぼっこしようね!」
「「ゆっくち~♪」」
「まりしゃぼーるしゃんであしょびちゃいじぇ!」
「れいみゅもー!」
「ゆふん、じゃあおとうさんがみてるからね」
どうやらゲスな家族ではない。
普通のゆっくり、善良といったところか?
出てきた小さいゆっくり共は母れいむと一緒に日向ぼっこしたり、
父まりさに見守られながらボール遊びをしていた。
なんという微笑ましい光景だ。
愛でてお兄さんの気持ちが少しはわかった気がする。
「まりしゃはいちびゃんしゃんなんだじぇ!」
「ゆえ~ん!まっちぇよまりしゃああ!!」
「ゆふふ・・・・・」
微笑ましすぎる、れいむの方は赤ゆっくりたちを日向ぼっこで寝かせながらまりさたちのほうを見ていた。
赤ゆっくりたちがボール遊びに参加しないのはまだ体が小さいからかもしれない。
まりさはれいむの視線に気づきニコリと笑顔で返した。
れいむも笑顔で返したがその時、まりさのお帽子に何かがついた。
遠くにいたれいむはその正体に気づいていた。
トンボである。
近頃この近くでよくトンボを見かけるようにもなり、この公園内でもよく飛んでいる姿が見られた。
そのトンボの一匹がまりさのお帽子の先端にピタリと止まったのだ。
トンボというものは棒の先端に止まる習性があり、よくトンボを捕まえる人はその方法でトンボを捕まえてるって聞いたことがある。
まりさのお帽子に止まったままトンボは動かない。
それを見たれいむは。
「まりさ!そこをうごかないでね!!」
「ゆ?」
れいむは大声を上げてまりさに動かないよう指示した。
いきなりそんなこと言われたまりさはわからないという顔をしている。
「どうしたのれいむ?」
「うごかないでねっていってるでしょおおおおおおおおお!!!」
「ゆっ!!?わ、わかったよ!!」
れいむの大声にビクッとなるまりさだがトンボは動こうとはしなかった。
随分肝があるトンボなのか、それとも警戒心がないだけなのか・・・
恐らくれいむはあのトンボを捕まえようとしているのか、なんとなくそう思った。
まりさはその場を動かず、れいむはまりさの背後に行き慎重にトンボに近づいた。
「そろーりそろーり・・・・・」
距離はほんの数十センチ。
確実に捕まえるため慎重に近づくれいむ。
子ゆっくりたちはそんな行動をとっているれいむを不思議そうに見ていた。
「おきゃーしゃんにゃにしちぇるのじぇ?」
「れいみゅわきゃんにゃーい」
子ゆっくりたちにはトンボは見えていないらしい。
遠くから見ていた俺はその様子をじっと見ていた。
これから始まるであろう、野生(?)の瞬間。
もうトンボが飛んで行きそうなところまで近づいたれいむ。
息を整えリラックスする。
呼吸なんてしてないくせにわざわざそんなことする必要があるのかと突っ込みたくなった。
れいむは覚悟を決めトンボを睨みつけた。
それから数秒、無駄な時間が流れ、ゆっくりからすればまるで時が止まったかのような感覚だが、
遠くから見ていた俺には早くしろと言いたくなった。
そしてれいむはトンボに噛み付こうとする。
口を大きく開け歯をむき出しにしてトンボを噛み付く。
ゆっくりとは思えないスピード。
ブチッ!という音がした後、静寂が訪れた。
「ゆ?れいむなにしたの?」
後ろが見えないためまりさはれいむが何をしたのか見えなかった。
が、子ゆっくりたちにはしっかり見えていたらしい。
その顔はまるで捕食種に会ったかのような絶望的な顔をしているが。
「ゆ?おちびちゃんどうしたの?」
「お・・・お・・・」
「お?」
「おちょうちゃんのおびょうちがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「おぼうし?おとうさんのおぼうしがどうかしたの?」
まりさは子まりさの言葉が気になり、おさげを使ってお帽子がどうなっているか確認した。
自分で見えるところまで置くといつも自分が被っているものとなんか違った。
どこが違うのか考えたところ、さすがは餡子脳、理解するのに十分もかかった。
そう、まりさのお帽子の先のちょんまがった所から頭すれすれまで引きちぎられていた。
それを理解したまりさは絶叫した。
「ばりざのおぼうじがあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!???」
変わり果てたお帽子。
何故こんなことになっていると喚きながらお帽子に泣きつくまりさ。
その犯人はもちろん・・・・
「まりちゃはみちゃよおおお!!はんゆんはおきゃああしゃんだよおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」
「ゆ??!」
「おきゃああしゃんがおちょうしゃんのおびょうしをちゃべちゃったんじゃよおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
「ゆゆ、おちびちゃんそんなばかなこといわないでね。れいむがそんなことするはず・・・・」
まりさは振り向き後ろにいたれいむを見た。
その目に映ったのはトンボを捕まえたかのように口をもごもごさせて、噛み千切ったまりさのお帽子の布を齧っているれいむ。
黒い布が自分のお帽子だと気づくのはそう遅くはなかった。
信じられないものを見たかのように固まるまりさ。
「れ、れいむ・・・・・?」
「ゆ~ん、とんぼさんにがしちゃったよ・・・ゆ?まりさどうかした・・・・・って、おぼうしどうしたのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!???」
夫であるまりさのお帽子がとんでもないことになっていることに気づいたれいむ。
まりさに近づき驚愕の表情のまま固まっているまりさに擦り寄った。
「まりさ!おぼうしどうしたの??!だれにやられたの??!」
れいむが心配そうにまりさにすりよるが一瞬まりさがピクッと反応したのは気のせいか?
「ゆ!わかったよ!きっとあそこにいるにんげんさんのしわざだね!」
え?なんか俺のせいにされているんですけど。
俺なにもしてないよ?むしろれいむ、お前だよね引きちぎったの。
「ゆるさないよ!せいさいしてくるからまりさはまってて・・・・・」
「ふ・・・・・」
「ゆ?」
「ふざけるなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
「ゆべええええええ???!!」
まりさがれいむに体当たりをした。
思いっきりやられたため、れいむは思っていた以上に吹き飛ばされた。
「ば、ばりざああああ!!なにずるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」
「でいぶうううう!!!じぶんがなにじたがもうわすれたのおおおおおおおおおおおおおおお!!!??」
「ゆ?れいむなにかした??」
もう忘れている、いや覚えていないだけか。
「まりざのおぼうしをこんなふうにしたのはだれのせいだあああああああああああああああああああああ!!!!」
「あのにんげんさんでしょ!?」
「ちがううううううううううううううううううう!!!おまえだあああああああああああああああああああああああああああ!!!!」
「ゆええええええええええええ???!!どぼじでえええええええええええええええええええええええええええ!!!??」
犯人が自分だということに驚いているれいむ。
まあ当たり前か、餡子脳だし自分がしたことなんて覚えていないんだろ。
・・・いや違うな、まさかトンボの代わりに帽子を噛み千切ったなんて思ってないんだな。
どのみち噛み千切ったことに代わりはないが。
「ひどいよれいむ・・・!まりさの・・・まりさのおぼうしをこんな、こんなあああああああ!!!!」
「れいむのせいじゃないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお??!あのにんげんさんのせいでしょおおおおおおおおおおおおおお??!!」
お前のせいだって。
「うそいわないでね!あのにんげんさんはなにもしてないでしょ!!」
「しょうじゃよ!こにょうしょちゅき!」
「しょうじゃよ!あんにゃまにゅけがおちょうしゃんのおびょうちやぶけりゅわけないでちょ??!」
ビキィ!!おい、子れいむ・・・。
その言葉はいらないんじゃないかい?
「ゆぅ・・・おちょうしゃんのおびょうちが・・・・」
「・・・・・・・ごめんね、おちびちゃん・・・これじゃあおぼうしでみずのうえをわたることもできないよ・・・いっしょにおしえれなくなってごめんね・・・」
「で、でもおびょうしでたかい、たかいさんは・・・!」
「それもむりみたい・・・すぐはずれちゃいそうだよ・・・」
「「しょんなぁ・・・」」
たかい、たかいさんとはお帽子のつばに赤ゆや子ゆっくりの乗せて、
トランポリンのように自分の子供をジャンプさせるゆっくりの遊びの一種。
ゆっくりは高く持ち上げられたり飛ばされたりすると「おそらとんでるみたい!!」と言う。
その時のゆっくりの表情は無邪気な子供のような顔で本当にお空を飛んでる感覚になるという。
空を飛べないゆっくりにとってこの遊びはとても人気なのだ。
しかし、れいむによって噛み千切られたお帽子は重みを失くし、
ちょっとの衝撃でお帽子が外れてしまう状態になっている。
これではもう直さない限り遊ぶことはできない。
「やじゃあああああ!!!たきゃい、たきゃいちちゃいいいい!!!」
「れいみゅ!まりちゃがおおききゅなっちゃらやっちぇあげりゅじぇ!!」
待て子まりさ、それは無理だ。
その頃にはお前と子れいむは同じ大きさになっている。
そんな状態で高い、高いなんてしてみろ潰されるぞ。
「じぇんぶおきゃーしゃんのしぇいだよ!」
「どぼじでそんなこというのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!??」
「しょうじゃよ!おちょうしゃんのおびょうちをたべちゃおきゃあしゃんにゃんかちね!!」
「ちね!!」
「「ゆっくちちないでちねぇ!!」」
「なんでそんなひどいこというのおおおおおおおおおおおおおおお???!!れいむなにもわるくないのにいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」
「じゃあそのくわえているものはなんなの??!」
「ゆ?・・・・・・・・こ、これはあああああああ!!!??」
ようやくれいむが自分が咥えていたまりさのお帽子の噛み千切ったものに気がついた。
自分のしたことを理解して顔を青ざめるれいむ。
「しんじられないよ・・・・れいむ・・・こんなことするなんて」
「きっちょれいみゅたちもたべりゃれちゃうんだよ!」
「きょわいよおおお!!」
「ちがうよおおおお!!!とんぼさんをつかまえようと・・・」
「いいわけしないでね!!!とんぼさんなんてどこにもいないでしょ??!うそばっかりつかないでね!!」
「もういいよ、おちょうしゃん!こんにゃくじゅにゃんかほっちょいちぇゆっくちできりゅばしょにいきょうよ!」
「そうだね!れいむとはこれでりこんだよ!!」
「そ、そんなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!??」
「いもうちょたちもいきゅよ!」
「ゆ?」
「ゆ~・・・ゆっくち・・・」
寝ていた妹の赤ゆっくりたちを起こし別の場所に向かうまりさたち。
れいむは泣き崩れてその場にいたままだった。
「で、でいぶ・・・・!!なにもわるくないのに・・・・!!なんでこんなごどにぃ・・・・!!!?・・・・・・・・・ゆ?」
その時れいむの前にさっきまりさのお帽子に止まっていたトンボがれいむの目の前に飛んでいた。
泣いているれいむを笑うかのように現れて。
「もとはといえばとんぼさんのせいだよ!」
いや、トンボは悪くない。
絶対悪くない。
「とんぼさんはれいむにせいさいされてね!!!」
れいむは高く飛び上がり、トンボを潰そうとする。
しかしトンボはその身のこなしで簡単にれいむの攻撃をかわした。
「ゆぎいいいいいいい!!!よけるなあああああああああああああああああああ!!!」
何度も何度も踏み潰そうとするれいむだが、
トンボはそんな攻撃に物ともせず避ける。
避けるトンボを追いかけて公園の奥まで行くれいむ。
「ぜぇ・・・・・・・ぜぇ・・・・・・・・・・」
連続でジャンプし、踏み潰そうとしたためれいむの体力はもう無くなっていた。
が、れいむの中ではトンボを追い詰めたと思っているらしい。
飛んでいるトンボを睨みつけ攻撃宣言する。
「つ、ついにおいつめたよ!!!おとなしくれいむに・・・・・・・
せ い さ い さ れ て ね !!!」
ダンッ!!!
「あっ」
れいむは高く飛び、トンボを確実に潰すため力いっぱい飛んだ。
そしてその行き着く先は・・・・
水が溜まっている噴水の中だ。
ドボンッ!!!!
「ゆがばがべばぎば????!!」
飛んだ先が噴水の中とは知らなかったれいむは何もできずに溺れていく。
もとい、ゆっくりが泳げるわけがない。
水を吸い、皮が徐々にふやけていき溶けていくだろう。
「どぼじでぇ!!?でぶぶごんばばっばめびいい!!!」
哀れいむ、トンボを捕りたいためにした行動がこんなことになるなど思っても見なかったろう。
まりさのお帽子を噛み千切り、子供には罵倒され、離婚し、トンボにはバカにされ、そして最後には噴水の中で誰にも助けられずに死んでいく。
俺が知っているゆっくりの哀れな死に方でもそれなりの上位にランクインしたな、おめでとう。
でも俺は最後にあのれいむに言っておきたい一言はある。
噴水に近づきれいむの様子を見る俺。
俺を見て助けに来てくれたのかと思い喜ぶれいむ。
んなわけないだろとにやけながら・・・
「ざまーみろ、バーカ」
「がぼ・・?!」
え?助けると思ったの?ばかなの?死ぬの?
さっき俺を犯人扱いしたのどこぞのゆっくりさんでしたっけ?
そんな奴を俺が助けるわけ無いでしょ?
どんだけ自分中心なんだよ糞饅頭。
「がぼ!ぼばばっば!!!」
助けて、許してくださいってところかな?
まぁ助けないけどね。
俺は噴水から離れて家へと帰る。
やっぱり夏の暑さに勝てるのはエアコンの冷房くらいか、さっきから汗が止まらん。
ああ、不快だ、早くこの汗をどうにかしなければ。
帰る途中「やべでえええええええ!!ばりざのおちびちゃんがああああああああ!!!」という声がして、
見た先には虐待お兄さんらしき人があのまりさと子ゆっくり共を虐待していた。
その手に握られているのは俺を馬鹿にしたあの子れいむ。
それを見た俺は・・・・
「ざまぁ」
と言って家に帰った。
あの親子がどうなったか俺は知らない。
さっきまで飛んでいたトンボは俺の目の前を横切り空へ飛んでいく。
あのゆっくり共、中々あほなことしてくれたよな。
なぁ、トンボ。お前もそう思うだろ?
あとがき
公園に行ったらさ、トンボが飛んでてさ、一瞬で思いついたんだよ
これはいけるってね。
改めて外に行くのっていいよね。
今まで書いた歪み
加工所本部 前編・後編
れいむその後
まりさその後
14番れいむのその後
れみぃと野良豆ゆっくり 前編・後編
あいつらの違い
れいむはいい飼いゆっくりさ
折れた「ぐんぐにる」
ドスれいむ
追われるれいむ
ゆなら
HENTAIお姉さんとクイーンありす
消費期限切れのお菓子を与えてみた
HENTAIたちの無双劇
HENTAIフルコース
小舟のお家
ぷでぃんの真実
最終更新:2010年10月26日 15:47