anko2580 愚かなれいむ

『愚かなれいむ』 6KB
自業自得 日常模様 越冬 野良ゆ 赤ゆ 都会 現代 もしかしたらネタがかぶっているかもしれません

もう11月だ。
最近だんだん寒くなってきて、コートを引っ張り出してきたり、ストーブを出したり、冬が近づいてるな、と感じる。
世の受験生も頑張り時だろう。
今は堪える時期だ、頑張れよ、とエールを送りたい。
冬に向けて頑張り時なのは受験生だけではない。
この時期、野生のゆっくりたちは冬ごもりの準備に奔走する。
街に住む野良ゆっくりたちは冬ごもりはしないが、それでも冬はあまり外を駆け回りたくないのか、本能的なものなのか、餌を集めておいておうちに籠もる。

食糧問題以前に冬の寒さはゆっくりに厳しい。
赤ゆっくりなどは暖かくしていなければ簡単に永遠にゆっくりしてしまう。
タオルなどのゴミ、所謂ふわふわさんをゆっくりたちは冬前、奪い合う。
生身ではとても寒さに耐えられないのだ。

野生のゆっくりは冬ごもりに失敗して数を大きく減らすが、野良ゆっくりも寒さに耐え切れず冬に数を減らす。
冬の寒さの中で凍えながら死んでいく。






「にんげんさん………!おねがいします……!かいゆっくりにしてください……!」

生粋の野良や、完全に野良に順応した捨てゆっくりたちはふわふわさんやおうちを確保出来る。
だが、野良に順応できない捨てゆっくりたちは冬への対策をなにもできない。


だから、捨てゆっくりたちは冬前に人間に嘆願する。

飼いゆっくりにしてください。
自分が間違っていました。
おちびちゃんだけでいいです。
このままじゃゆっくりできなくなっちゃうんです。


勿論、その嘆願を聞き入れる人間なんて、まず全くと言っていいほどいない。


「しゃぶいよぉ……ゆっくちしちゃいよぉ………」
「ゆ………しゅーりしゅーりしちぇあっちゃかくしゅりゅよ……」
「ゆぅぅ……おにゃかしゅいちゃよ……」
「おちびちゃん………ごめんね……ごめんね…だめなおかあさんでごめんね……」


俺だって別に飼ったりする気はない。
これからするのはただの暇潰しだ。

「おちびちゃんたち、おかあさんがすーりすーりしてあげるからこっちにきてね……」
「ゆ……」

「なぁ、おまえら」

「ゆ……?おにいさん…?もしかしてれいむたちをかってくれるの……?」

親れいむがなにか言ってるが、無視する。

「おまえら、元飼いゆっくりだな?」

「ゆ……そうだよ……、れいむがおちびちゃんをつくって……それで……」

「ちびたち、おまえら、あまあま食べたことあるか?」

「ゆ……あみゃあみゃしゃん……?」
「ゆぅ……ありゅよ……!おきゃあしゃんがとっちぇきちぇくりぇちゃよ!」
「ぴゃんにょみみしゃんはとっちぇみょゆっくちできちゃにぇ!くさしゃんよりじゅっとゆっくちできちゃにぇ!」
「ゆっ……おもいだしちゃよ!くきしゃんはしょれよりとっっっっちぇもゆっくちじぇきりゅあみゃあみゃしゃんだっちゃよ!」

赤ゆたちに向けて話しかける。
赤ゆたちはあまあまの話になったら急に元気になってきた。
普段は草を食べているのだろう。
パンの耳なんかでもさぞ美味しかったんだろうな。
最初に食べた茎とパンの耳がこいつらの知ってるあまあまだ。
だがそんなのは本当のあまあまじゃない。
本当のあまあまはもっと甘くて美味しいんだ。

野良ゆっくりは自力ではあまあまを食べられない。


「これ食ってみな」

俺はポケットから個別包装のクッキーを取り出して、袋を破り赤ゆたちの前に置いた。

「ゆっ!!あみゃあみゃしゃんにょにおいがしゅるよ!」
「むーちゃむーちゃ……ちちちちちちちちあわちぇー!!!」
「ゆうううぅん!!おいちーちーでりゅよ!!」

「ゆ……!おにいさん、ありがとうございます……!」


赤ゆたちはあまあまを食べて元気になったのか、さっきあまあまの話をしていた時よりもましてはしゃいでいる。




「そのあまあま、うまいか?」

「ゆっ!とっちぇもゆっくちできりゅよ!おにいしゃんゆっくちありがちょー!」
「「ゆっくちありがちょー!」」

「そのあまあまな、本当ならおまえら毎日食べられるんだぞ」
「「「ゆゆ!?」」」

そう、こいつらは本当なら毎日あまあまを食べることが出来たはずだ。
それだけではなく、寒さに震えることもなく、命も危険もなく、存分にゆっくり出来たはずだ。
そのゆっくりを奪ったのは

「おまえらのおかあさんだよ」
「「「ゆ?」」」

「本当ならおまえらは、あまあま食べ放題で、命の危険もなく、暑さに喘ぐことも寒さに震えることもないゆっくりプレイスで好きなだけゆっくりできたはずなんだ」

「「「ゆぅ?」」」
「ゆぐ……ごめんね……ごめんね……だめなおがあざんでごべんね……」
「おきゃあしゃんどうちたにょ?」
「なかにゃいでにぇ!ぺーりょぺーりょ!」
「れいみゅたちにゃんにみょおこっちぇにゃいよ?あやまりゃにゃいでにぇ」



親れいむは俺がなにを言ってるか気付いた様だ。
赤ゆたちに謝りながら泣いている。
当の赤ゆたちは俺の言葉の意味がわかっていない。
泣いている親れいむを慰めようと頑張っている。
善良な家族なんだろう。
仲良く助け合って来たんだろう。


今度は親れいむに話しかける。


「親思いでいいおちびちゃんだな、れいむ。こんなにお前のことを心配してくれてる。親であるお前のことを本当に大好きなんだろうなあ?どうだ、ちびたち、そうだろ?」

「ゆっ!しょうだよ!れいみゅ、おきゃあしゃんにょこちょだーいしゅきだよ!」
「ゆぐっ………」

「おきゃあしゃんはれいみゅちゃちを"とっちぇもゆっくち"させちぇくれりゅんだよ!」
「ッ!……ごべ…ゆぐっ……」

「おきゃあしゃん、いちゅもありがちょう!!」
「ごべっ……ゆぐ……ごべんでっ……でいむがっ………おがあざんでっ…ゆぐ………ごべんでっ………ばかなおかあざんで………ごべんでっ……ぐうううぅぅうう!!」

赤ゆたちの愛情も親れいむにとっては、心を突き刺す針だ。
謝罪の言葉を呟きながら、泣いている。

この家族は多分この冬で死ぬだろう。
人間に何かを要求するのは捨てられてすぐの元飼いゆっくりか、切羽詰まった野良ゆっくりだけだ。
こいつらの見た目は捨てられてすぐの元飼いゆっくりって感じじゃない。
多分、おうちもふわふわさんも用意できてない。
まず、寒さで死ぬだろう。


「れいむ、こんなにいいおちびちゃんたちだ、沢山沢山ゆっくりさせてあげて、立派に育ててあげるんだぞ」

「れいみゅ、りっぱにゃゆっくちににゃるよ!!」
「れいみゅも!!れいみゅ!!しょれでおきゃあしゃんみちゃいにおちびちゃんをゆっくちさせちぇあげりゅよ!!」
「まりしゃはりっぱにゃかりうどになっちぇ、おきゃあしゃんをゆっくちさせちぇあげりゅよ!!」

「ぐうううぅぅうう!!!ぐうううぅぅううううい!!!ゆぐっ…!!ゆぅぅぅ…!ゆうううぅうう!!!」

親れいむはもはや唸る様に泣いている。


親れいむは理解しているんだろう。
このままでは自分たちは死ぬ。
おちびちゃんたちは野良の辛い生活でのほんの小さなゆっくりしか味わえず死ぬ。

大きくはなれない。
立派なゆっくりにはなれない。
なぜなら、寒さの中でゆっくりできなくなって死ぬから。


どうして。


親れいむは理解しているんだろう。
すべて自分が飼い主との約束を破ったからだと。
自分が約束を守っていれば、いずれ飼い主が子作りを許してくれたかもしれない。
そうしたらおちびちゃんたちは、ゆっくり生まれ、ゆっくり暮らし、ゆっくり育ち、好きなだけゆっくりできたはずだ。


すべては愚かな親れいむの所為だ。


「ごべんだざい……ごべんだざい……ごべんだざい……ごべんで……ごべんで……ほんどうにごべんで……ごべんだざい……ごべんで……ごべんだざい……ほんどうにごべんだざい………」

親れいむは謝ることしかできない。
最終更新:2010年11月08日 19:49
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