anko2593 借金苦

『借金苦』 31KB
いじめ 虐待 野良ゆ 赤ゆ 都会 現代 虐待人間 うんしー 借金怖い。長さの割に、今回も微妙かも?



借金苦  ポマギあき




街の歩道。人が行き交う交差点に、鬼威参は居た。ゆっくりを虐待する為に、散歩をしているのだ。
そうやって道を歩いていると、ゆっくりと出くわした。道端で歌を歌っているのは、れいむ親子。

「ゆっくりのひ~」
「「まっちゃりのひ~」」

親れいむ、赤れいむ、赤まりさの二匹だった。周囲には人はいたが、皆、親子の前を通り過ぎていく。

「ゆゆ! まってね! れいむたちのおうた…ゆぅ…またいっちゃったよ…」
「ゆ…ぢゃれも、れいみゅたちのおうちゃきいちぇにゃいんぢゃにゃい?」
「ゆぅ…まりしゃはきょんなにゆっくちしちぇるにょに…」

三匹は揃って愚痴をこぼした。もっとも、歌声は騒音以外の何物でもないのだが。
鬼威参はそっと親子に近づくと、屈んだ。親子はそれに反応して、騒ぎ出す。

「ゆ! れいむたちのおうたをきいてたんだね! おかねはらってね!」
「はらっちぇにぇ!」
「いっぴゃいぢぇいいよ!」

金を払えと宣う親子に、鬼威参は首を横に振って答えた。

「ダメだね。そんな歌で金はあげられないよ」
「ゆうううううう!!? くそじじいはゆごべっ!」

親れいむは、鬼威参に飛びかかった。しかし、宙を舞った瞬間鬼威参の右手によってはたき落とされた。
親れいむは、地面に突っ伏すとプルプル震えながら起き上がった。

「いだいいいいいいいいいい!! なにずるのおおおおおおおおお!!?」

赤ゆ達も抗議の声を上げる。

「ひぢょいこちょしにゃいぢぇにぇえええええええ!!」
「おきゃにぇはりゃええええええええええ!!」

対して鬼威参は、冷静に言葉を続けた。

「いいか? そんな歌じゃ金は貰えないんだ」
「どぼぢでぞんなごどいうのおおおおおお!!?」

親れいむが鬼威参の言葉に狼狽える。鬼威参は特に気にすることなく、話しを再開した。

「だからな、お前の歌声では人間はゆっくりできないの」
「ゆうううううううううう!!?」
「だから、金は払えない」
「ぞんなあああああああああ!!」

絶望の淵に追いやられる親れいむ。鬼威参はそんな親れいむに優しく言葉を掛けた。

「でもな、貸す事は出来る」
「ゆ?」

目が点になるとはこの事か。親れいむは鬼威参の言葉に目を丸くしていた。

「金を貸す事は出来るんだ。ただし、担保が必要だがね」
「たんぽ…? たんぽってなあに?」

鬼威参は担保の説明を始める。借金をするのに必要なもの。もし、返済できなかった場合はそれらを没収される事。
それらを踏まえた上で、鬼威参は金を借りるかどうかを親れいむに問いかけた。

「どうする? 借りるか?」
「ゆ…で、でも…たんぽなんて…」

鬼威参は親れいむの側で、訳が分からないと云った表情で佇む赤ゆ達を指さした。

「あれを担保にすればいいじゃないか」
「ゆ!?」

驚愕の表情を浮かべる親れいむ。赤ゆ達は自分達が指さされた事に、戸惑っていた。

「ゆぅ? ゆっくちぢぇきるにょ?」
「ゆ? ゆ? なんのこちょ?」

親れいむは狼狽えた。大事な赤ゆを担保にする訳にはいかない。しかし、鬼威参の言葉によってその心は揺らいだ。

「あのな、よく考えてみろ…担保になるって事は、俺の物になるって事だろ?」
「ゆん…」
「俺の物になるって事は、どういう事かよく考えてみろ」

親れいむは目を瞑って考え始める。赤ゆ達が人間の物になるという事。それは、自分の赤ゆを引き渡すという事。
そもそも親れいむはシングルマザーで、育児も大変。そこにゆっくりを担保に金を貸してくれる人間が出てきた。
これは千載一遇のチャンス。人間の物になるという事は、飼われるという事。飼われるという事は、念願の飼いゆっくりになるチャンス。

「ゆ! たんぽにするよ! せめて…おちびちゃんだけでも…ゆ!」
「決まり…だな」

鬼威参はニヤリとした。どうせ、ゆっくりなんて自分にとって都合の良い方向にしか、物事を考えない奴等だ。
騙されたと知った時の絶望した顔。あれは非常にエクスタシーを感じるというもの。
鬼威参は、財布から百円玉を三枚取り出すと、親れいむの目の前に置いた。

「さあ、これが金だ」
「ゆ…お、おかね!」

親れいむは、金をペロペロと舐め始める。そもそも使い方を分かっているのかどうかすら怪しい。
赤ゆ達も目を輝かせながら、百円玉を見ていた。

「ゆわあああああ!! ちょっちぇもゆっくちしちぇるよおおおお!!」
「きょれがありぇば、ゆっくちぢぇきるんぢゃにぇ!」

鬼威参は微笑みながら、それに答えた。

「ああ、でもその代わりお前らは担保として貰っていくからな」
「「ゆ!?」」

赤ゆ達はその餡子の容量のせいか、自分達が担保にされたことを理解していなかったらしい。
鬼威参にとってはそんな物は関係ない。赤ゆ達を引っ掴むと、自分のブルゾンのポケットに仕舞い込んだ。

「ゆ! だしちぇにぇ!」
「くりゃいよ! ゆっくちぢぇきにゃいよ!」

ポケットの中で暴れる赤ゆ達に、鬼威参は親れいむから説明するよう求めた。

「ゆ! あのね! おちびちゃんたちは、たんぽさんになったんだよ!」
「「たんぽっちぇにゃにいいいいいい!!?」」

ポケットの中で狼狽する赤ゆ達に、親れいむは言葉を続ける。

「ゆ! たんぽっていうのはね、とってもゆっくりできるんだよ! かいゆっくりとおなじだよ!」

その言葉を聞いた赤ゆ達は、ピタッと暴れるのを止めた。しばしの沈黙の後、ポケット越しに喋り始める。

「ゆ…やっちゃあああああああ!!」
「ゆわああああああい!!」

喜ぶ赤ゆっくり達に、親れいむも満面の笑顔で答えた。

「よかったねおちびちゃん! これで、ずーっと、いーっぱいゆっくりできるよ!」
「「ゆん!」」

鬼威参はポケットから赤ゆ達が落ちないように、そっと手でポケットを覆った。
そして親れいむに背中を向けて去ろうとした。だが、言い忘れた事があったので迷わず伝えた。

「金を返す気になったら、ここで会おう。利子は一日で、十パーセントだ」
「ゆぅ?」

一体何の事かと訝しげな顔をする親れいむ。

「お前は三百円借りたからな。二十四時間経過する度に、三十円の利子が発生する。明日また、ここにくるから、三百三十円を用意しておけ」
「ゆ? おかねさんかえしたら、おちびちゃんたちどうなるの?」
「勿論、これは担保だ。お前の下に返すさ」

親れいむは全身をブルブルと横に振って、それを否定した。

「だめだよ! おちびちゃんはたんぽなんだよ! おかねはぜったいにかえさないよ!」

その声を聞いて、ポケットの中の赤ゆ達も声を連ねる。

「しょーぢゃしょーぢゃ!」
「まりしゃはたんぽなんぢゃじょー!」

鬼威参はクスッと笑うと、分かったと頷いて家へと帰っていった。
残された親れいむは、満足そうな顔をしていたが、すぐに歌を歌い始めた。

「ゆ~ゆゆ~」




鬼威参は家に帰ると早々に、透明な箱に赤ゆ達を放り込んだ。

「ゆぺっ!」
「ゆべっ!」

透明な箱の底に叩きつけられると、赤ゆ達は奇妙な呻き声を上げた。
そしてムクッと起き上がると、鬼威参に抗議し始めた。

「ゆううううううう!! いちゃいぢぇしょおおおおおお!!」
「もっちょやさしくしちぇにぇええええ!! まりしゃちゃちは、たんぽにゃんぢゃよおおおおおお!!?」

鬼威参はフッと笑うと、担保について説明し始める。

「あのな、担保ってのは俺が好き勝手に出来るって事なんだよ」

人間社会に於いて、実際はそうではない。赤ゆ達は疑問に感じて、問いかけた。

「しゅきかってって…にゃあに?」
「ゆぅ? まりしゃをゆっくちさせちぇくれりゅんぢぇしょ?」

鬼威参は腹を抱えて笑い出した。赤ゆ達はその様子を見て怒り出す。

「ゆううううう!! にゃにがおかちいにょおおおお!!?」
「ゆっくちさせちぇにぇ! いっぴゃいぢぇいいよ! ぷんぷん!」

鬼威参は笑うのを止めると、赤ゆ達に再び説明し始めた。

「あのな、俺はゆっくりさせるなんて一言も言ってない。その上、担保ってのは俺が好き勝手に出来るってことだ。
 それはつまり、お前らを好きなように出来ると言う事。つまり…分かるな?」

鬼威参は赤ゆ達に目を向けた。その冷たい目は、赤ゆ達に状況を理解させた。そしてパニックに陥らせた。

「ゆ…ゆわあああああああああああ!! ゆやぢゃあああああああああああ!!」
「ゆっぐぢぢゃぢぇぢぇぐれるんぢゃにゃいにょおおおおおおおおおお!!?」

鬼威参は鼻で笑って答える。

「そんな訳無いだろう」

赤ゆ達は更に絶叫した。

「ゆやああああああああん! うしょつきいいいいいい!!」
「おきゃあしゃんのばきゃああああああああああ!!!」

鬼威参は泣き叫ぶ赤ゆ達を面白く思った。そして、透明な箱にそっと近づくと、語りかける。

「でも大丈夫だ。お前らのお母さんが、明日金を返してくれれば、お前らはお母さんと、またゆっくりできるぞ」

鬼威参の言葉を聞いて、赤ゆ達は安堵した。

「ゆふぅ…しょれなら…」
「だいじょうびゅ…ぢゃね…」

鬼威参は笑顔のままで言葉を続けた。

「でもなぁ、お前らのお母さんは金を返す気が無いって云ってたしなぁ」
「「ゆ!?」」

驚愕の表情を浮かべる赤ゆ達に、鬼威参は更に言葉を続けた。

「それに、お前らは金を貰ったことが実際にあるのか?」
「「ゆ…」」

歌という名前の騒音で金を貰った事は無かった。親子が貰ったものと云えば、罵声と唾ぐらいな物だ。
さすがに赤ゆ達でも、これがどういう状況か理解できた。赤ゆ達は、しくしくと泣き始める。

「ゆぐ…ゆぐ…どぼぢぢぇ…ごんなごぢょに…」
「ゆぐ…まじじゃ…まじじゃのゆっぐぢ…おぎゃあじゃんのぜいぢぇ…」

赤ゆ達は嘆いていた。鬼威参はそっと透明な箱から離れると、リビングでテレビを見始めていた。
下らないバラエティ番組に、鬼威参は腹を抱えて笑い続けた。



やがて夕方になった。赤ゆ達は腹が減っている。しかし、食事の催促をすれば何をされるか分かったものではない。
赤ゆ達は腹の虫が鳴るのを、ジッと堪えていた。それから少しして、なんだか美味そうな匂いが漂ってきた。

「ゆ…おいちちょうなにおい…」

赤れいむが反応した。赤まりさが赤れいむに近寄って、云った。

「きっちょ…きのせいぢゃよ…じぇったいに、きのせいぢゃよ…」
「ゆ…そうぢゃね…おいちいものにゃんか、にゃいよ…そうぢゃよ…」

赤ゆ達は現実逃避を始めた。腹の虫と、漂う美味い匂いに心が張り裂けそうになる。
泣き喚いて、食事をさせてくれと暴れたくなる。しかし、それでは自らがゆっくりできなくなるだろう。
赤ゆ達はそう考えて、この匂いは偽物だ。嘘っぱちだと思い込む事にした。

やがて、美味そうな匂いは段々と強くなってくる。赤ゆ達の我慢が限界に近づく頃、鬼威参がナポリタンスパゲティを持って、透明な箱に近づいた。

「やあやあ、お腹減ったかい」

鬼威参は赤ゆ達の前でスパゲティをボソボソと食べ始めた。赤ゆ達の我慢の糸が、ついに切れた。

「ゆやあああああああああ!! おにゃかへっちゃああああああああああああ!!」
「ちゃべたいよおおおおおおお!! まりちゃにもたべちゃちぇちぇええええええええええ!!」

泣き喚く赤ゆ達を余所に、鬼威参は舌鼓を打ちながら、スパゲティを平らげた。

「ごちそうさまでした」

空っぽの皿を見つめて、涙を流す赤ゆ達。

「ゆぐ…ゆぐ…ごはんしゃん…」
「まじじゃのぉ…まじじゃのなのぉ…」

鬼威参は腹をさすると、満足した顔でリビングに去った。赤ゆ達は涙を流しながら、呻いていた。









翌朝、赤ゆ達はすっかりと衰弱しきっていた。無理もない。赤ゆはエネルギー変換の効率が、著しく悪いのだ。
それは人間とて同じ事。狩りも満足に出来ない小児を保護するのは、親の役目だ。しかし、肝心要の親は側にいない。
親れいむが、担保について大きく勘違いをしていたのが原因だ。そのしわ寄せは真っ先に、赤ゆ達へと来ている。

「ゆぐ…おにゃがへっぢゃよぉ…」
「まじじゃ…あみゃあみゃ…」

鬼威参は昨日とは違う服装で、湯上がりの顔で出てきた。シャワーを浴びてきたのだ。

「あーあ、すっきりした。さて、返済できるか確かめてこようか」

鬼威参は透明な箱から赤ゆ達を取り出すと、昨日のようにブルゾンのポケットに突っ込んだ。
赤ゆ達が逃げ出さないように、そっと手でポケットを押さえるのも昨日と同じだ。
鬼威参は昨日来た、道端へとやってきた。相変わらず親れいむは下手くそな歌を歌っていた。

「ゆ~ゆゆ~」

鬼威参は、そんな親れいむに声を掛けた。

「やあ、金を返す気になったか?」
「ゆ? おにいさん! やだよ! おかねさんはかえせないよ!」

親れいむは微笑みながら答えた。鬼威参も微笑んで切り返した。

「お前のおチビちゃんが、虐待されてもか?」
「ゆ?」

鬼威参はポケットから赤ゆを取り出して、親れいむに見せつけた。

「ゆやああああああああ!! たしゅけちぇええええええええ!!」
「きょのくしょおやあああああああ! まりしゃをだましちゃにゃああああああ!!」

親れいむはキョトンとした顔をしてから、狼狽えた。

「ど、どういうごどなのおおおおおお!!?」
「昨日は何も食べさせなかったよ」
「ど、どぼぢでえええええええええ!!?」

「だって、こいつらは俺の担保だからな。 俺の物は、俺がどうしようと勝手だろう」
「ゆうううううううううううう!!?」

親れいむはここに来て、ようやく担保の意味を理解した。鬼威参は金の返済を求めた。

「さあ、金を返しておくれ」
「ゆ゙…あ、あまあまにつかっちゃったから…」

言葉に詰まる親れいむ。鬼威参は親れいむに問いかけた。赤ゆ達は体を捻って、掌から抜け出そうと奮闘している。

「甘々? 何に使ったんだ?」
「ゆ…ちょこれーとさん…」

驚く事に、親れいむは金をチョコレートに換えていた。ゆっくりを相手に商品を売りつける人間が居る事に、鬼威参は少々驚いた。
そして、その言葉を聞いた赤ゆ達は激昂した。

「なにやっちぇるにょおおおおおおおおおお!!?」
「おきゃねかえしゃなかっちゃら、まりしゃはいじめられちゃうんぢゃよおおおおおお!!?」

親れいむは更に狼狽えた。

「ど、どぼぢでごんなごどに…おがねざんがえずがら! がえずがら、おぢびぢゃんゆっぐじがえじでね!」

鬼威参は答える。

「それは分かってる。最初からそういう約束だからな。で、金はどこだ?」

親れいむは狼狽しつつ云った。

「ぞ、ぞれはあどでがえずがら!」

鬼威参は首を横に振って、それではダメだと答える。

「ど、どぼじでぇ!?」

当然の事だが、親れいむに信頼はない。赤ゆを先に親れいむに返したとしよう。
すぐに逃げるに決まってる。従って、金と赤ゆは同時交換せねばならない。鬼威参は、そのように説明した。

「じんじでよ! れいぶ、ぢゃんどおがねがえずがら!」
「いいや、ダメだ。現時点で無いなら、赤ゆは返せない」
「ど、どぼずればいいのおおおおおお!!?」
「簡単だ。金を稼いで金を返済すればいい。今日は三百三十円…明日は三百六十円だな」

親れいむは金額を聞いて、涙を浮かべた。そもそも、ゆっくりは三の数までしか数えられない。
それ以上は沢山として認識される。沢山が、もっと沢山になっているのだ。今まで稼いできた金額はタカが知れている。

「れ、れいぶがわるがっだでずうううううう!! あやばりばずがら、おぢびぢゃんがえじでぐだざいいいいいい!!」

親れいむは地面に額を擦りつけて、謝罪した。しかし、鬼威参は首を振ってダメだと答える。
よじる赤ゆ達をポケットに戻すと、鬼威参は云った。

「また、明日来る。三百六十円。雁首揃えて用意しておけ。それが無理なら、お前のおチビちゃんは酷い目に会う」

親れいむは待って下さいと云った。鬼威参はそれを無視して、人混みに消えていった。
赤ゆ達の声は張り裂けんばかりの悲鳴であった。

「ゆやあああああああああ!! ゆっくぢぢゃぢぇぢぇえええええええ!!」
「ゆんやあああああ!! おきゃあしゃんのばきゃああああああああ!!」

親れいむは謝った。何度も何度も、目の前に居ない赤ゆ達に対して、何度も謝った。

「ごべんね…ごべんね…ぜっだいに…ぜっだいにだずげであげるがらね…」

絶対に助ける。親れいむは、強い意志を持った。そして、再び歌い始めた。

「ゆ゙~ゆ゙ゆ゙~」

涙声のそれは、人々の興味を誘った。






「さて、どうしようかな」

家に帰った鬼威参は、震える赤ゆ達を透明な箱に入れた。そして、どうやって虐待をしようか考えていた。
目玉を抉る。あんよを焼いて、動きを封じる。単純に針を刺す。或いは熱湯に浸けてやろうか。
様々な考えが浮かんだ。鬼威参はまず、あんよを焼く事にした。

「お前ら喜べ」
「「ゆ…」」
「これから、あんよを焼いてやる」

その言葉を聞いて、赤ゆ達は一瞬だけ沈黙した。そして、泣き喚く。

「ゆやあああああああああああ!! やべぢぇにぇえええええええええ!!」
「ゆやぢゃああああああ!! まじじゃのしゅんそくしゃんぎゃああああああああ!!」

まだ焼かれていないというのに、赤ゆ達は既に焼かれた様な騒ぎになっていた。
鬼威参は二匹を透明な箱から取り出すと、キッチンまで連れて行った。二匹をシンクの上に置く。

「ゆやあああああああああ!! やぢゃやぢゃああああああああ!!」
「ゆっぐぢにげ…どぼぢでにげらりぇにゃいにょおおおおおおおお!!?」

赤ゆにとって、シンクから床までの高さは致命的に高かった。この高度から落下すれば、命はないだろう。
赤ゆ達の中枢餡が警告を発した。そして、鬼威参はマッチ棒を取り出して、それを擦った。
ボスッという音がすると、マッチの先端から火が出た。失禁しながら、怯える赤ゆ達。

鬼威参は赤れいむを持つと、マッチの先端をあんよに近づけた。火が、あんよを覆った。

「ゆぎゃああああああああああああ!! あぢゅいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「やべぢぇええええええええ!! れいみゅにひぢょいごぢょじにゃいぢぇえええええええ!!」

あれよあれよという間に、赤れいむのあんよは黒こげになっていった。マッチの長さは半分になっていた。
鬼威参は赤れいむをシンクに置くと、再びマッチを擦って火を灯そうとする。

「ゆ゙っ…!ゆ゙っ…!ゆ゙っ…!」
「れいみゅ! れいみゅ!」

痙攣する赤れいむを、赤まりさは舐めて慰めた。鬼威参はというと、マッチに火を灯すのに苦労している。
中々、火が点かない事にイライラしていると、赤まりさはある決断をする。
ここから飛び降りて、一か八か逃げてやろう。そう思うと、赤まりさは赤れいむを置いてシンクから飛び降りた。

「おしょらとんぢぇぶぎゅっ!」

赤まりさは床に着地した。中枢餡の警告を無視して、飛び降りたのだ。当然、無事であるはずがない。
赤まりさの皮が裂け、餡子が大量に漏れ出ていた。鬼威参はそれを見ると慌てて、冷蔵庫からオレンジジュースを取り出した。

「ゆ゙っ…!ゆ゙っ…!ゆ゙っ…!」
「ゆ゙っ…!ゆ゙っ…!ゆ゙っ…!」

姉妹揃って仲良く痙攣している。しかし、とりわけ赤まりさは深刻な事態だ。
今、赤まりさが死んでもつまらない。鬼威参は、そう思った。
赤まりさは側面に大きな亀裂を作っていた。鬼威参は、それを指で閉じるとオレンジジュースをたっぷりと掛けた。
見る見るうちに赤まりさの傷は塞がっていった。やがて、痙攣も収まってくる。

「ゆっ…! ゆっ…! ゆっ… ど、どぼぢぢぇにげらりぇぢぇにゃいにょおおおおおおお!!?」

赤まりさは絶叫した。前後の記憶がないらしい。鬼威参はオレンジジュースを冷蔵庫にしまうと、今度こそマッチ棒に火を灯した。
赤まりさを手に持ち、赤まりさのあんよをマッチの火で焼いていく。

「ゆぎゃああああああああああああああああ!! あぢゅいよおおおおおおおおおおおお!!!」

しばしの絶叫。マッチが一本、燃え尽きる頃に赤まりさのあんよは黒こげになった。
先程のオレンジジュースが関係のないところまで、回復を促しているかと思うと鬼威参は不快に思った。

「まじしゃのあんよぎゃあ…あんよしゃんぎゃあ…しゅんそくしゃんぎゃあ…」

俊足と自称する赤まりさも、このあんよでは歩く事すらままならない。
鬼威参は痙攣する赤れいむと、狼狽える赤まりさを手に持って透明な箱へと戻した。
直後に、赤れいむが目を覚ました。周囲を確認して、自分のあんよが動かない事に気付くと涙を浮かべた。

「どぼぢぢぇ…どぼぢぢぇ…れいみゅのあんよしゃんうごきゃにゃいにょ…?」

赤れいむの嘆きに、赤まりさが呼応した。

「れいみゅぅ…れいみゅぅ…」
「まりしゃぁ…まりしゃぁ…」

二匹の間に開いた微妙な間隔。僅か十センチにも満たないそれは、今の二匹にとって、とても長い距離だった。
二匹は埋められる事のない距離を埋めるが如く、それぞれの名前をか細い声で呼び続けていた。

「れいみゅ…れいみゅぅ…」
「まりしゃぁ…まりしゃぁ…」

それから昼になった。この頃になると、それぞれの名前を呼び合う体力もないらしい。
赤ゆ達はぐったりとしていた。視線は下を向いており、口をあんぐりと開けている。

「ゆぅ…」
「ゆ…」

時たま放つ言葉は、これだけだった。絶望と悲しみに囚われた声は、鬼威参の心をくすぐった。
鬼威参はキッチンへと向かった。そこから人間には刺せない、尖っていない注射針の付いた注射器を取り出した。
そして、オレンジジュースをコップに移す。コップに注がれたオレンジジュースを注射器で吸い上げると、透明な箱へと向かっていった。

「ゆぅ…ゆぅ…」
「ゆ…ゆ…」

鬼威参は衰弱しきった二匹に近づくと、透明な箱の前で語りかける。

「やあ、元気してるか?」

二匹は返事なのか呻きなのか分からない位に、か細い声で答えた。

「ゆ…」
「ゆぅ…」

鬼威参は満面の笑みを浮かべると、オレンジジュースが入った注射器を二匹に注射した。

「ゆぴゃあああああああああああ!!」
「ゆぴいいいいいいいいいいいい!!」

二匹は刺さった針の痛さで絶叫した。オレンジジュースが注射器から無くなると、二匹の体力はみるみる内に回復していった。

「ゆ…だしちぇにぇ! きょきょからだしちぇにぇ!」
「ゆっくちしにゃいぢぇ、たしゅけちぇにぇ!」

助けろと喚く二匹を、鬼威参は無視した。鬼威参は注射器とオレンジジュース、コップを片付けるとリビングへと向かった。
何度も体をよじったが、全く動かなかった。あんよは役立たずで、透明な箱からは出られそうもない。
その事実を知ると、二匹は静かに涙を流した。ただひたすら、親れいむの助けを待つしかないのだ。



「ゆっぐりのひ~! まっだりの゙ひ~!」

その頃、親れいむは相変わらず路上で歌っていた。何としてでも赤ゆを取り返さねばならない。
愛するわが子を取り戻すべく必死で歌うが、思うように上手く歌えない。涙声でしか歌えないが、それでも必死に歌った。
目を瞑り、愛しの我が子とゆっくりしている未来を想像した。とめどなく涙が溢れ出てくる。

「ゆぐっ…ゆぐっ…ゆぐりのひ~!」

滅茶苦茶な歌を歌っていると、カランと、何かが転がる音がした。親れいむが目を開くと、そこには百円玉が転がっていた。
そしてその先にいるのは、見知らぬ男だった。親れいむは額を擦りつけて、感謝の意を表した。

「あじがどうございばず! あじがどうございばず!」


男は答えた。

「いや、泣きながら歌うゆっくりなんて滅多に見ないからな。これぐらいはいいだろ」

男はそういうと、額を擦り続ける親れいむを背に去っていった。
親れいむは、それからも啜り泣きながら歌い続けていた。何だかんだで、金は集まった。




















「それで、たった三百円か?」

翌日になって、鬼威参は赤ゆをポケットに詰めて、親れいむのいる道端までやって来ていた。
親れいむが集めたのはたった三百円。鬼威参が利子とついて、返済を求めているのは三百六十円。
六十円の差は大きかった。親れいむは必死に値切り交渉をした。

「おでがいじばず! これでがんべんじでぐだざい!」

三百円を鬼威参の足下に、舌で押しやって額を擦り続ける親れいむ。鬼威参の手には二匹が握られていた。

「たぢゅげぢぇえええええええええええ!!」
「あんよしゃんうごきゃにゃいにょおおおおおお!!」

親れいむは、そんな赤ゆを眼前に必死に頭を下げ続けていた。

「おでがいじばず! おでがいじばず!」

鬼威参は答える。

「無理だな。三百円を稼いできたのは偉いぞ。しかし、六十円足りない。足りないという事はどういうことか。
 それは、赤ゆを返せないという事だ。お前が返さないなら、赤ゆは俺の物であることに変わりはない」

親れいむは涙声で狼狽した。

「ぞ、ぞんなぁ…どぼぢで…」
「じゃあ、そんな訳で、明日は九十円稼いでこいよ」

鬼威参は赤ゆと小銭をポケットに詰めると、その場を後にした。帰宅すると、透明な箱に赤ゆ達を放り込む。

「ゆぴぇっ!」
「ゆぴっ!」

赤ゆ達は痛がった。焼かれたあんよでは、起きるのもやっとなぐらいだ。
二匹はただただ、痛みと恐怖にブルブルと震えていることしかできなかった。

やがてしばらくすると、鬼威参がマイナスドライバーを片手に透明な箱の前にやってきた。
赤れいむを掴み上げると、その右目に突き立てた。素っ頓狂な悲鳴を、赤れいむは上げた。

「ゆっぴゃあああああああああああああああ!!」

赤まりさが突然起きた出来事に、悲鳴を上げた。

「ゆやああああああああああああああああ!!!」

そのままグリグリとマイナスドライバーを、あちこちの方向に動かし続けていた。
目玉は完全に潰れ、抉り取られた。鬼威参はその目玉を口にした。ゴクンと嚥下する音が響いた。
そして絶叫がこだまする。

「ゆっぎゃああああああああああああ!! れいみゅのおびぇびぇぎゃあああああああああああ!!」
「ゆやあああああああああああ!! 」

鬼威参は赤れいむを透明な箱に投げ入れると、今度は赤まりさを掴み上げた。そして右目にマイナスドライバーを刺した。

「ゆっぎょおおおおおおおおおおお!!!」

赤まりさも、赤れいむ同様に痛みに打ちひしがれた。左目があちこちに動く。
涙が鬼威参の手を伝ったが、鬼威参は気にすることなく作業を続けた。そして赤まりさの目玉を抉り取ると、口に頬張った。

「ゆ゙っ…!ゆ゙っ…!ゆ゙っ…! まじじゃの…まじじゃのおびぇびぇぎゃあああああああああああ!!!」

赤まりさの絶叫の後、赤れいむが再び叫んだ。

「ゆんやああああああああ!! もうやぢゃおうちかえりゅうううううううう!! かえりゅっちゃらかえりゅうううううう!!」

鬼威参はそれに答えるかのように話し始めた。

「いいや、ダメだよ。君達のお母さんがお金を返してくれないとね。九十円だぞ? チョコレート一枚ぐらいの価値があるんだ」

二匹は狼狽えた。

「むりにきまっちぇるううううううううう!!」
「もうやべぢぇえええええええ!! どぼぢぢぇぎょんなひぢょいごぢょじゅるにょおおおおおお!!?」

鬼威参は鼻で笑うと、リビングへと行ってしまった。取り残された二匹はというと、何もする事がなかった。
出来る事も無い。出来ると言えば、文句や歌う事ぐらいだ。しかし、そんな事をする余裕は二匹には残されていなかった。
それに、余裕があっても、叫ぼうものならばすぐさま鬼威参に舌を抜かれるだろう。二匹はゾッとした。

鬼威参はリビングでテレビを見ながら、考えていた。
金を借りずに、そのまま頑張って歌っていれば金を稼げたのにと。担保の意味も分からないまま、易々と赤ゆを差し出した事も。
まったく、自分達にとって都合の良い方にしか考えられない。ゆっくりとはお花畑の塊だ。いざ、自分に危機が迫った時にしか、物事を考えられない。
鬼威参は、いつしか眠りに就いていた。気付いた時には夕方を回っていた。

鬼威参は起き上がると、透明な箱へと近づいた。赤ゆ達はブルブルと怯えていた。

「やめ…やめちぇにぇ…」
「きょわいよぉ…きょわいよぉ…」

怯えながら後ずさりしようとする赤ゆ達。しかし、焼かれたあんよは言う事を聞かない。
鬼威参はそれを見ると微笑んだ。やがてキッチンへ向かうと、料理を作り始めた。
美味そうな匂いが、再び漂ってきた。赤ゆ達はグッと堪えて、その日を過ごした。
夜になる頃には、再びオレンジジュースの注射をされた。赤ゆ達の心は、限界だった。













翌朝を迎えて、鬼威参は赤ゆをポケットに詰めた。そして親れいむのいる道端までやってくる。
親れいむは鬼威参を目の当たりにすると、ボロボロと涙を流し始めた。

「おでがいじばず…おでがいじばず…」

鬼威参はそれを無視して、言葉を発した。

「で、いくら儲けたんだ? 九十円は返して貰うぞ?」

親れいむが舌を使ってお兄さんの前に差し出したのは、五十円玉が一枚だけだった。
鬼威参は鼻で笑うと、ポケットから赤ゆを取り出した。

「おきゃあしゃん…たしゅけちぇぇ…」
「おみぇみぇ…みえにゃいよぉ…まじしゃの…まじしゃの…」

親れいむは、愛する子供達の右目が潰れている事に驚愕した。

「ゆううううううううう!!? どぼぢでおぢびぢゃんのおべべがづぶれでるのおおおおおおお!!?」
「丁寧なご解説をどうも。明日は七十円を用意しておけよ」

鬼威参は茶々を入れると、五十円を拾ってとっとと家に帰った。親れいむは自分の不甲斐なさを嘆くように、シクシクと泣いていた。
お兄さんは帰宅すると、手を洗う事もせずに赤ゆをキッチンへと連れて行った。いつもと違う場所に、あんよを焼かれた場所に赤ゆ達は恐怖していた。

「なに…なにしゅるにょおおおおおおお!!?」
「やめちぇにぇええええええええ!!」

鬼威参は赤ゆの悲鳴などお構いなしに、赤ゆの髪の毛を毟り取り始めた。ビリビリと音がする。
毛穴の辺りからは微量の餡子が滲み出ていた。

「ゆっぴゃああああああああああああ!!」
「ゆぎゃぎいいいいいいいいいいいいいい!!」

二匹の悲鳴が張り裂けんばかりに、キッチンに響いた。鬼威参が一通り毟り終えると、二匹はすっかり丸坊主になっていた。

「れいみゅの…れいみゅのしゃらしゃらへあーじゃんぎゃあああああああああ!!」
「まじじゃの…ぶろんぢょへあーしゃんぎゃあああああああああ!!」

鬼威参は赤れいむにだけ、飾りのリボンを結び直した。それはハチマキのように、某アクション映画の俳優を連想させた。
鬼威参は思わず笑ってしまう。赤ゆ達はそれを見て、怒鳴った。

「にゃにぎゃおかちいにょおおおおおおおお!!?」
「どぼぢぢぇぎょんなごぢょしゅるにょおおおおおおお!!?」

鬼威参は笑いながら答える。

「それはだって、君達は担保だから」

鬼威参は、アハハと笑うと赤ゆ達を透明な箱に投げ入れた。そのままリビングに向かって、テレビを点けるとくつろぎ始めた。
赤ゆ達は透明な箱でプルプルと、ブルブルと震えている。

「まりしゃぁ…どうなっちゃうにょ…」
「わきゃらにゃいよ…きっちょ…きっちょおかあしゃんがたしゅけちぇくれりゅよ…」


その願いが果たして叶うかどうか、総ては親れいむの稼ぎに掛かっていた。


「おでがいじばずううううう!!」

この頃になると、親れいむは歌うのを止めて、金をくれと人々にせがんでいた。
人々が親れいむをチラチラとは見る物の、金をくれる人間はいなかった。

「おでがいじばず! おぢびぢゃんをがえじでもらうのにひづようなんでず!」
「詳しく説明してくれないか?」

通りがかった男が、親れいむに声を掛けた。男は屈んで、親れいむの話しに聞き入った。
それなりにゆっくりしていた事。金貸しに酷い目にあっている事を、親れいむは伝えた。

「ぞういうごどなんでず!」
「そういう事なのか…」

男は顎に手をやって考え始めた。

「幾らか分かるかい?」
「わがじばぜん…おがねざん、いっばいひづようなんでず!」

親れいむが狼狽した。男はまたしばらく、考えに耽った。

「まあ、借りるのはいいけど、返せなきゃダメじゃないか。今回は百円をやるよ。それで解決できたらいいけどな」

男が財布から百円玉を取り出した。親れいむの目の前に置かれる。親れいむは額を擦りつけて、感謝の意を表した。

「あじがどうございばず!」
「まあ、いいんだけどさ。きっと、上手くいかないだろうし」

男はそれだけいうと、去ってしまった。上手くいかないとは一体何の事なのか。
親れいむには今の時点では、分からなかった。それよりも、金が入った事で今度こそ返済できるかも知れない。
親れいむは、心の中で赤ゆ達に詫びると同時に、ようやく救えると安堵した。

「ゆっ! ゆっ! ゆっ!」

百円玉を咥えて、植え込みのダンボールまで持って行く。そこにあるのは、食いかけのチョコレートだけだった。
チョコレートは親れいむが、その甘さ、美味さから殆どを食い尽くしてしまっていた。
親れいむは、赤ゆ達と一緒に食べようと考えていた。しかし、いざ食べてみると止まらない。
食べる事を止められなかった。気付けばチョコレートは殆どが無くなっていた。狩りも全くしていない。
親れいむは歌を歌い続け、赤ゆを取り戻す為だから仕方ないと、自分に言い聞かせた。それは赤ゆ達への言い訳でもあった。








「なるほど、よくやったじゃないか」

鬼威参は親れいむのいる道端まで来ていた。無論、ポケットには赤ゆが詰め込まれている。

「おでがいじばず! おぢびぢゃんがえじでぐだざい!」

親れいむが狼狽えながらも、赤ゆを返すように迫った。鬼威参はポケットから赤ゆを取り出して、親れいむの前に置いた。

「はい、返したっと」

親れいむは、その姿に愕然とした。あれほどゆっくりしていた、赤ゆ達。しかし、今は右目を潰され、あんよを焼かれている。
挙げ句には髪の毛を全て毟られて、飾りが申し訳程度に乗せられているだけ。親れいむは叫んだ。

「ゆんやああああああああああ!! どぼぢでおぢびぢゃんがごんなごどにいいいいいいいいい!!?」

親れいむが叫んでいる間に、鬼威参は金を回収した。過払いの金など、返す気は毛頭無い。

「ゆっ…おきゃあしゃん…たしゅけちぇ…」
「まりしゃを…ゆっくちさせちぇ…」

衰弱しきった赤ゆ達。オレンジジュースの注射から大分時間が経っている。このまま放置しておけば、死ぬ事は確実だろう。

「どぼずればいいのおおおおおお!!?」

ダンボールに僅かに残されたチョコレートの事も忘れて、親れいむは叫んだ。
そこに鬼威参が、良い提案があると言葉にした。

「いいていあん…なんなの!? はやぐおじえでねえええええええ!!」












二日後、親れいむは道端でまりさとすっきりしていた。側には赤ゆはいなかった。

「すっきりぃ!」
「…すっきりぃ…」

親れいむは売春をしていた。ニョキニョキと緑々しい茎が、親れいむの額から生えてくる。

「ゆゆ! それじゃあ、まりさはかえるのぜ!」
「ゆん…」

親れいむはそのまま、鬼威参宅へとやって来た。

「ゆっくりただいまだよ…」

鬼威参が出迎えてくれた。玄関付近の透明な箱に、赤ゆ達は入っていた。

「ゆっくちおきゃえりなしゃい…」
「うぎょけにゃいよぉ…ぽんぽんへっちゃよぉ…」

衰弱した赤ゆ達に、親れいむは少し待ってくれと云った。鬼威参は親れいむに近づくと、額に生えた茎を毟り取った。

「ゆぎっ!」

親れいむの若干の悲鳴の後、茎に実った実ゆっくり達の表情は苦しげになる。
鬼威参はそれを透明な箱に放り込んだ。赤ゆ達は茎を、実ゆごと食べ始める。

「むーちゃむーちゃ…ちあわちぇー…」
「ちあわちぇー…」

鬼威参は、それを見て親れいむに言った。

「じゃあ、俺の分もよろしくな」
「ゆ…はい…」

親れいむはトボトボと玄関を出て行った。再び売春をするのだ。

鬼威参の提案とは、売春だった。家賃代わりとして実ゆっくりを、鬼威参に払うよう持ちかけたのだ。
赤ゆ達の食事も実ゆっくり。それは厳しい都会に於いて、オアシスを提供してくれるようなものだった。
雨風は凌げ、寒い思いもしない。れみりゃに襲われる危険性もない。それは動けぬ赤ゆ達にとっては、生き延びる為に必要な環境だった。

鬼威参はそれを提示した。そして、親れいむはそれを呑んだ。今まで棲んでいたダンボールを引き払い、鬼威参宅で暮らす事になったのだ。
暮らすといっても、許されたスペースは玄関脇だけ。それより奥は、鬼威参に蹴飛ばされてしまう。
あまりに酷いようならば、外に追い出すとも云っている。親れいむは売春を続けるしかない。

一つは赤ゆ達の食事の為。そして二つ目は鬼威参への家賃として。

親れいむには未来がなかった。このまま産む機械同然の働きを行って、赤ゆ達をゆっくりさせるしかない。
赤ゆ達は今はゆっくりしてないが、いつしかゆっくり出来る事だろう。親れいむはそう考えていた。


唯一、自分が死んだ後の事は考えていなかった。親れいむが死んだら、一体誰が赤ゆの世話をするのか。一体、誰が家賃を払うのか。
鬼威参は、親れいむの寿命が迫った時に、その事実を伝えるつもりだった。

なぜならば、騙され、裏切られたと知った時のゆっくりの表情は、とってもゆっくりできるから。








あとがき



最近あったこと。

医者「ウォッカはやめてください」
俺「安定剤もやめていいですか? 眠くて眠くて…」
医者「分かりましたから、ウォッカはやめてください」
俺「じゃあ、ワインはオッケー?」
医者「……じゃあ、まあ、ワインなら…」
俺「ハラショー!! ウラー!」
医者「飲み過ぎないで下さいね」
俺「うん」



独り言

ハードディスクがカッコンするねん。なんなのねん。本当に心臓に悪いからやめてほしいねん。
お前seagateやろ。seagateやったら、海の男いうイメージあるやろ。そんなにカッコンしてどないすんねん。
新しいHDD買わないとあかんなぁ。
最終更新:2010年11月15日 18:49
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