『土に埋めてみた』 13KB
いじめ 小ネタ 実験 思いつきのです
「ゆげっぶ!もうだべらえないのぜぇぇぇ!!」
「やべでぇぇぇ!もうたべだぐないいぃぃぃ!!」
庭で元気に騒いでいるのは、昨日拾ってきたばかりの野良のゆっくり。
野良生活に適応出来なかった、元飼いゆっくりだろう。
捨てられた原因は、多分子供を作ったから。
まあ、そんな事はどうでも良いだろう。
問題なのは、私がこれからやろうとしている事だ。
いきなり道端で、飼いゆっくりにして下さいと迫ってきた野良の家族。
見た目はそれ程汚れてはいなかったが、赤ゆっくりは大分やつれていた。
おちびちゃん達に、お腹いっぱいご飯を食べさせてあげたい。
私はそんな親ゆっくりに心を打たれた。
善良そうなゆっくりだ。
だから実験に付き合って貰う事にしたのだ。
その代わり、食事と住む所を与える。
親達は条件を飲んだ。
まず、連れて帰った野良一家の、親れいむと親まりさの足を焼いた。
庭の花壇の使っていない場所に深く掘った穴の中に、親ゆっくり達を入れる。
それぞれのお飾りを没収し、目の前でちらつかせる。
お飾りを取り返そうと、必死にのーびのーびしている二匹の、口から下を土に埋めた。
念のため、二匹の揉み上げとおさげを切り取って、お飾りを返す。
これで準備完了だ。
三匹居た赤ゆっくり、れいむ種2匹、まりさ種1匹も同様に、植木鉢に植える。
赤ゆっくりは小さいので、室内に入れて置き、普段は五月蝿いので防音加工の透明な箱を被せて置く。
親ゆっくりの花壇にも同様に、大きめの透明な箱を逆さに被せておく。
これで騒音と雨水、捕食種対策も万全だろう。
餌は一日二回与える。
お望み通り、たっぷりとだ。
ゆっくりが一日で消化しきれないであろう大量の残飯を、口の中に無理やり詰め込んでいく。
「ゆげもごぉぉぉぉ!やべろぉぉぉ!ゆげぼぉぉぉ!!」
無理やり口の中に残飯を詰め込まれて、泣き喚く親れいむ。
土の中に隠れていて見えないが、その体は限界まで膨らんでいるだろう。
しばらくすると、土から文字通り顔を覗かせている、体のすべてから大量の汗を流し始める。
「ゆびぃぃぃぃぃ!ぎぎぎぎぎぎ……………」
ガタガタと震え始め、両目はそれぞれが別の生き物のように動き回る。
この辺が限界だろう。
私は事務用の大型クリップで、親れいむの口を閉じる。
その様子を見ていた親まりさ。
私と目があった途端にガタガタと震え始める。
「やめるんだぜ!まりさたちはなにもわるいことしてないんだぜ!おねが……ゆごぼぉぉぉぉ!!」
幸い、友人のバイト先のファミレスで出た残飯を大量に貰ってきているので、餌には困らない。
バイト先には、大学のレポート用の実験に使うといって貰ってある。
まあ、嘘は言っていない。
これは実験と私の個人的趣味を両立した研究なのだ。
二匹に餌を与え終わり、透明な箱を逆さに被せる。
二匹は仲良く白目を剥きながら、痙攣していた。
「ゆげぇぇ!やめちぇぇぇぇ!まりちゃ、もうたべらりぇないのじぇぇぇぇ!」
口に残飯を押し込められながらも、起用に泣き叫ぶ赤まりさ。
必死に身を捩ろうとしているが、土の中に体の半分以上が埋っているため、上手く動けない。
その上今は、体が倍以上に腫れ上がっているのだ。
お腹がいたいだの、あんよが痛いだのと大騒ぎしている。
赤ゆっくりは、成体よりも皮が柔らかいので、見た目以上に沢山残飯を押し込められる。
その上、これから成長していく為に餌を餡に変換する能力は、成体以上に高い。
だが、注意しなければならない事がある。
それは成体以上に辛味や苦味に弱いことだ。
この点には注意して残飯を与えて居たのだが、初日で早速一匹の赤れいむを殺してしまった。
突然動かなくなった赤れいむを解剖してみたが、死因はおそらく卵の殻。
無理やり残飯を押し込めすぎた事により、卵の殻の破片が、中枢餡を傷つけたのだろう。
以後、硬い物を与えるのを極力避け、食欲が進むように、特別に砂糖をかけてやった。
「やめちぇぇぇ!こにょのいもーちょごろしぃぃぃ!!れーみゅはゆちゃにゃ………あみゃあみゃー!しあわしぇぇぇ!!」
やはり砂糖は効果的のようで、赤ゆっくりにとってこの地獄でしかない環境でも、特に病気にもかからない。
ほんの一瞬だけとはいえ、ゆっくり出来る事により、ストレスで死ぬ事もなさそうだ。
そして何より、これが楽しいのだ。
「やべでぇぇぇ!もうたべられにゃいぃぃぃ!!あみゃあみゃしゃん、いじわりゅしにゃいでぇぇぇ!!」
幸せをかみ締める間もなく、苦悶の表情を浮かべる赤れいむ。
先程までは、うれしーしーを漏らさんばかりの極上の笑みを浮かべていたが、今はくるしーしーを撒き散らさんばかりの苦しみっぷりだ。
持ち上げて落とすのは、ゆっくり苛めの基本。
まさか、こんな形でそれが成立する事になるとは、思っていなかった。
この二匹も親同様に、口をクリップで止めておく。
親子、姉妹そろって同じ表情を浮かべて苦しんでいる姿は、何度見ても飽きないものだ。
「ごべんなざい、ごべんなざい、ごべんなざい………」
食事の時間になる度に、謝り続けるようになった親れいむ。
その暗い表情とは対照的に、肌の色艶は良くなっている。
ゆっくりにとって美味しい食材ばかりではないだろうが、栄養のバランスは取れているだろう。
もっとも、なんでも餡子に変えてしまう不思議生物に、栄養バランスなんて気にする必要があるのかは知らないが。
それでも、下手な飼いゆっくりよりは肥え太ってきている。
野良暮らしでは考えられなくらいに、大量にむーしゃむーしゃ出来るのだ。
飢えで苦しんでいる野良からすれば、何と贅沢な苦しみであろう。
「ぽんぽんいだいぃぃぃ!ちぎれるぅぅぅぅ!!」
以前までは、食事が終わると白目を剥いて震えていたが、最近ではただ苦しそうにしているだけだ。
大分余裕が出てきたのかもしれない。
流石はゆっくり、そのいい加減な適応能力と、無駄に高い生命力はゴキブリ並だ。
「ゆわぁぁぁぁ!やめてくだざいぃぃぃ!まりさはごはんざんはいらないですぅぅぅ!!」
食べられないゆっくりからすれば、何とも贅沢な事を口にする親まりさ。
涙を両目いっぱいに溜めて嫌々と身を捩る。
しかしそれは些細な抵抗にしかならず、次から次へと無理やり口の中に残飯をねじ込まれる。
吐き出そうとしても、それを私が許さない。
効率を考えれば、歯を全部抜き取り、パイプでも口にはめ込んでしまえば良いのだろう。
だが、それをしてしまうと、心も折ってしまうかもしれない。
それでは意味がないのだ。
このゆっくり達はただのコンポストではないのだ。
「ゆぅ!ゆっくちできにゃいにんげんしゃんだよ!もうやめちぇにぇ!ゆっくちししゃいよぉぉぉぉ!!」
「まりちゃはゆっくちしちゃいのじぇ!どーしちぇいじわるしゅるのじぇ?なかよくしちぇね!ゆっくちしちぇにぇ!」
私を見ただけで怯える、二匹の鉢植えゆっくり。
以前より大分成長して、子ゆっくりサイズになっただろうか?
ただ、依然赤ゆ言葉が抜け切らない。
成長したというよりは、単純に肥えているだけなのかもしれない。
「ゆげぼぉぉ!あみゃあみゃ…もいやじゃぁぁぁぁ!!」
「ゆんやぁぁぁ!ごはんしゃんも、あまあましゃんも、いらにゃいのじぇぇぇ!!」
元気いっぱいに残飯を飲み込んでいく鉢植えゆっくり達。
こいつ等は、これだけで商品化出来そうな気がしてきた。
面倒なしーしー、うんうんの始末をする手間もないし、死んでしまったら、そのまま花の肥料として利用出来るだろう。
今日もお腹いっぱいに残飯を食べさせられた二匹は、滝のように涙を流して震えている。
野良一家を土に埋めてから一ヶ月たった。
流石に最近では、もうここから出して貰えないのだと理解したようで、親二匹は私を見ても何も言わなくなった。
ただ、私を怯えきった表情で見つめ、ガタガタと震える。
それでも流石に食事の時間になると、ゆんやゆんやと騒ぐのだが、逃げ場のないこの花壇暮らしにも慣れたのか、身を捩って抵抗しようとはしなかった。
親まりさに至っては、何かを悟ったのか、口に残飯を押し込まれる度に、
「ありがとうございます」だの「ゆっくりできまず」だのと涙を流して私に頭を下げた。
別に感謝されるような事はしていない。
あくまで私は趣味と研究をしていただけ。
それも今日で終わり。
私は花壇に埋まっている二匹を、畑の野菜を収穫するがごとく、掘り起こし始める。
「……ゆ…ゆゆ?………ゆー?!!」
「に…にんげんさん?!……まりさたちをゆるしてくれるんだぜ?ここからだしてくれるんだぜ?!」
二匹はお互いを見ると、「ゆっくりしていってね!」と挨拶し、泣いて喜んだ。
掘り出した二匹は埋めた時のおよそ倍ほどに膨れ上がってた。
地上に顔を出していた部分では、それほど成長していないように見えていたが、地下に埋まっていた部分は予想以上に膨らんでいた。
その形状は巨大な瓜か、洋ナシのようになっていた。
いつの間にか、焼いておいた足の焦げ後も消えているのだが、自重で満足に移動する事も出来ないようだ。
元々ゆっくりは、動物と植物の二つの特性を持つ不思議生物だ。
土に埋められた事により、土からも水と養分を吸い上げていたのだろう。
これは皮膚からオレンジジュースや水を吸い上げる事から解っていたのだが、おそらくゆっくり達はそんな事は一切知らないだろう。
ゆっくりは土の中に埋もれて、植物のように生きる事も出来るのだろう。
だが、こいつらには痛覚がある。
その上、中身は糖分の塊。
他の動物や虫達が放って置くはずもない。
土の中で埋まったまま身動きが出来なければ、当然他の生き物の食料にしかならないだろう。
非常に痛がりなゆっくりにとって、土の中で植物のように生きるのは、ゆっくり出来ない事だらけだ。
そんな訳で、自分達に都合の悪い事はすぐ忘れるゆっくり達は、いつの間にか、そんな事は忘れてしまっていたのかもしれない。
ともあれ、実験の成果は上々だ。
私は二匹をゆっくり用洗剤で綺麗に洗った。
二匹に付いていた土や汚れは綺麗に取れて、ペットショップに売られていても可笑しくない位の清潔なゆっくりになった。
「ゆわぁぁぁぁぁ!!さっぱりしたよ!きもちいいよ!ありがとうございます!ありがとうございます!」
「にんげんざん!まりざはうれしいんだぜ!いっしょうかんしゃするんだぜ!」
二匹は泣いて喜び、私に何度も頭を下げて礼を言う。
私は重い二匹を何とか持ち上げて、テーブルの上に並べて乗せた。
二匹は辛い生活から解放された喜びと、これからの希望ある未来を語らい、笑顔で楽しそうにくつろいでいた。
サクッ!
私は満面の笑みを浮かべているれいむのお腹に、包丁を突立てた。
れいむは、何が起きたのか理解出来ていないといった表情で、固まったままだ。
「ゆ?……………ゆっぎゃぁぁぁぁぁ?!いだいぃぃぃぃぃ!!どぼじでぇぇぇぇ?!」
ようやく事態を飲み込めたのか、れいむが動き出す。
もっとも、私が切りつけたお腹の中に、手を突っ込んだせいで痛がっているだけなのかもしれないが。
私は手探りでれいむの中身を掻き回す。
その度にれいむは、悲鳴を上げて身を捩る。
涙としーしーでテーブルはベトベト。
「ゆがぁぁぁぁぁ?!にんげんざん!なにじてるんだぜぇぇぇぇ?!」
ここでまりさも動き出した。
だか、まともに動けないため、痛がるれいむを、ただ見ている事しか出来ない。
泣きながら必死に止めてと悲願するが、初めから止める気などさらさら無い。
その内ようやく私の手が、お目当ての物を見つけ出した。
大きさにして、夏みかんほどだろうか。
他の餡よりも少し固めのそれを、れいむのお腹から取り出す。
「ゆべげびょ?!」
取り出した瞬間に、ビクッとれいむが大きく震える
続いて二度三度痙攣したかと思うと、すぐに動かなくなった。
「れ…れ…れ…れいむぅぅぅぅぅぅ?!」
まりさは、れいむが息絶えたのが分かったのか、大粒の涙をボロボロとこぼして番に呼びかける。
だがれいむは白目を剥いて、だらしなく舌を垂らしているだけだった。
私は大泣きするまりさを他所に、取り出した中枢餡を皿に乗せた。
予想通り、通常の成体の物より大きくなっていた。
その一部を少し崩して口に運ぶ。
成体の餡よりは美味しいが、それでも精々生まれたての赤ゆっくりと同等だろう。
せっかく苦痛を与えながら、肥え太らせたというのに。
そう、私のもう一つの実験は、ゆっくりでの「フォアグラ」の作成だ。
フォアグラと似たような製造工程を、ゆっくりで試したらどうなるだろうか?
単純な好奇心からこの実験を行う事にした。
たが、この程度の味では、生産コストが見合わないだろう。
餌を変えるという手もあるが、学生の資金ではそこまで投資は出来ない。
試しにまりさを解体してみたが、れいむ同様の結果だった。
ちなみにまりさは、中枢餡を取り出される寸前まで、れいむの死体に向かって必死に呼びかけていた。
「ゆんぁぁぁぁ!!いちゃいぃぃぃぃ!!ゆぎょ?!」
赤れいむだった物から、ゆずくらいの大きさの中枢餡を取り出した。
こちらも親と同様に、鉢植えから取り出すと、洋ナシのように肥え太っていた。
大きさは大体、成体のゆっくりくらいだろうか?
鉢の中の土も殆ど残っておらず、この赤ゆっくり達が1ヶ月で吸い尽くしてしまったものと思われる。
「ゆぐっ!ゆぐっ!…なんじぇ?どぼじちぇ?……まりちゃたち、やっとじゆうになれちゃのに………」
動かなくなった赤れいむを見て、悔しそうにポロポロと涙を流す赤まりさ。
私はそんな赤まりさを眺めつつ、赤れいむの中枢餡を試食する。
「ふむ、美味い!」
それが素直な感想だった。
口の中に入れた瞬間に、スッと溶けて消えるほどきめ細かいのに、しっかりとした甘味がある。
それでいて、まったく癖の無い上質な餡。
このまま和菓子として、店に出しても良いくらいだ。
赤ゆっくり位なら、「フォアグラ」ならぬ、「ゆアグラ」として売り出せるかもしれない。
私はそう考えながら、残った中枢餡を赤まりさに食べさせた。
赤まりさはポロポロと涙を流しながら、しあわせーっと呟いた。
赤まりさにとっての、最後の「しあわせ」だ
「で、これがその時の研究成果なのね。確かに美味しいわね」
「でしょ?中々の物でしょ?学生時代に1度やっただけなんだけど、成功みたいね」
私の職場の同僚は、感心したように中枢餡を味わっている。
私の学生時代の実験の産物が偶然商品化されることになった。
しかしそれは、ゆアグラで作った中枢餡ではない。
実際、赤ゆっくりにあの方法で餌を取らせるのは、結構コストがかかるのだ。
例え全工程を機械化してもだ。
だが、これは思わぬ方向で商品化される事が決まったのだ。
これは家庭で作れるゆっくりフォアグラとして、「鉢植えゆっくり」の名前で売り出されるそうだ。
鉢植えに、堆肥とまりさ、れいむ、ありすの内の赤ゆっくり1匹のセット。
赤ゆっくりの声が五月蝿いという人には、プラスで防音加工の透明な箱がついてくるものもある。
本来は、残飯等を大量に食べさせて、肥え太らせ、最後に中枢餡を取り出し、食用にする、という物。
だがこれだと、苦しめる程餌を与えるのが大変なのだ。
餌の量もそうなのだが、加減を間違えると殺しかねない。
なので、実際のターゲットは、鉢植え感覚でゆっくりを育てたい人や、ゆっくりを苛めたい人目当てに販売されるようだ。
食用としての用途は、二の次になってしまっているのが残念だ。
だが、ーしーやうんうんはもちろんの事、涙や涎、汗の類も土に染み込んでしまう為、掃除の手間がないと前評判が良い。
赤ゆっくりも、予め、生まれる前に筒状の型に入れられていた物を同封してある。
赤ゆっくりを植える際に、若干縦長の方が植え易いとの意見が出たため、それ用に加工された赤ゆっくりを用意した。
本来の目的で購入する人はそれほど見込めないが、それでも一度は試したくなるだろうと言う事で、念の為販売前に試食会をする事になったのだ。
「それにしても、貴方は学生時代から鬼だったのね」
私の同僚が笑いながらそう言った。
「そう?フォアグラの方がよっぽど酷いと思うけど?それに相手はゆっくりだしね」
そう言い終ると、まだ解体されてない赤まりさと目が合った。
赤まりさは両目から涙をポロポロとこぼし、解体されている同胞の声を聞く度にしーしーを漏らしていた。
完
徒然あき
最終更新:2010年11月15日 18:51