anko2186 三匹の子ゆっくり

あるところに、どすまりさと三匹の子ゆっくりがいました。
一番上のお姉さんれいむはとっても賢くおうたが上手でした。
二番目のお姉さんまりさはとっても勇敢で狩りが上手でした。
三番目の妹れいむはとってもゆっくりしていました。
三匹の子ゆっくりはどすまりさに守られながら、ゆっくりと暮らしていました。

そんなある日のこと、どすまりさは三匹の子ゆっくりに向かって言いました。
「ゆっ!これからどすのいうことをよくきいてね!おちびちゃんたちはしょうらいのために
 そろそろじぶんのおうちをもたないといけないよ!ゆっくりりかいしてね!」
どすまりさがそう言うと、子ゆっくりたちは口々に答えました。
「ゆっくりりかいしたよ!」
「まりさにまかせるのぜ!」
「ゆっくちー!」
三匹の子ゆっくりは元気におうちを出て行きました。


「ゆっゆっ ゆゆ~ん♪ れいむはさいっこうっのゆっくりプレイスをつくるよ!」
長女れいむはご機嫌良く飛び跳ねていきました。
すると、道の向こうからワラを抱えた中年の農夫がやってきました。
「ゆゆっ!にんげんさん!れいむのかわいいおうちのためにわらさんをちょうだいね!たくさんでいいよ!」
「…はあ?」
「ゆっ?もしかしておれいがほしいの?にんげんさんはごうよくだね!
 それならきょうはとくべつに、にんげんさんのためにつくったおうたをきかせてあげるね!」

 『ゆっくりはいいもんだ』 作曲 れいむ 作詞・監修 ぱちゅりー

 ゆっくりはいいもんだ みんなをゆっくりさせるんだ
 こまったときは あまあまあげよう たくさんでいいよ
 いつでも どこでも ゆっくりしてるよ
 あいをこころに ゆっくりあるこう 
 みんなはゆっくりのために ゆっくりはゆっくりのために
 みんなはゆっくりのために ゆっくりのために

フルコーラス歌い終えると、れいむはどや顔で言いました。
「……びせいでごめんね!」
ビキビキッ。農夫の中で何かが目覚めてしまいました。
農夫は無言でワラの束をれいむに投げつけると、同時に強烈なサッカーボールキックをお見舞いしました。
「ゆ゛べぇっ!」
れいむはワラの束ごと遠くまで吹っ飛ばされてしまいました。
「ゆ゛ぼぉっ…どっ…どぼじでぇ………で、でも、わらさんがみつかったよ!」
餡子を吐き出しながらも辛うじて命拾いしたれいむは、気を取り直しておうちを作ることにしました。

─10分後

「ゆっへん!れいむのゆっくりプレイスがかんっせいっしたよ!」
木のうろにワラを立てかけた、それはそれはみすぼ…ゆっくりしたおうちでした。
れいむは新しいおうちを見ていると、誰よりもゆっくりした気持ちになれる気がしました。

すると、そこへれみりゃが通りかかりました。
「うー!おなかへったどぉ~!ぷっでぃ~んがたべたいんだどぉ~!」
「ゆっ!れみりゃがいるよ!れいむはおうちのなかでゆっくりやりすごすよ!」
れいむは慌てておうちに駆け込むと、息を潜めました。

「………ひっそーり………ひっそーり………」
「うー?このなかからあまあまのこえがきこえるどぉ~♪」
「どぼじでばれちゃうのおぉぉぉおおお!」
れいむの餡子脳は深刻でした。
「くさがじゃまだどぉ~!」
れみりゃが羽を広げて勢い良く回転すると、
れいむが一生懸命作り上げたワラの「けっかい」は軽く吹き飛ばされてしまいました。
「おいしそうなあまあまはっけんだどぉ~♪ ぢぅぅぅぅ♪」
「ゆ゛んやあぁあぁぁぁあああああぁぁぁ…」


次女まりさは遠くから悲鳴が聴こえたような気がしました。
「ゆっ!れいむがやられたのぜ?しかししょせんれいむはさんしまいのなかでいちばんのこものなのぜ!」
まりさは別れた姉のことなどちっとも気にかけず、ZUNZUNZUNZUN進んでいきました。
すると、道の向こうから木材を運んでいるお兄さんがやってきました。
「ゆゆっ!にんげんさん!まりさのおうちのためにもくざいさんをよこすのぜ!たくさんでいいのぜ!」
お兄さんは突然の厚かましい要求にびっくりしました。
けれど、このお兄さんは作者のSSでは珍しい善良な愛でお兄さんなのでした。
「少しなら分けてあげられるけど…家を作りたいのなら手伝おうか?」
思いもよらぬ親切さにまりさは跳び上がって喜びました。

─30分後

「…こんな感じでいいかな?一応、扉も付けておいたけど。」
お兄さんは驚くほど手際良くゆっくりサイズのログハウスを完成させました。
「ゆっへん!ここをまりさのゆっくりプレイスにするのぜ!!」
まるで自分の手柄のようにまりさは言いました。
「気に入ってくれたかい?俺も嬉しいよ。
 …おっと、こんなとこで時間潰してたら親父にどやされる。じゃあなっ!」
どこまでも爽やかなお兄さんは、残った木材を荷車に載せると足早に去っていきました。
「にんげんさんにしてはなかなかつかえるやつだったのぜ。」

お兄さんが立ち去ってしばらくすると、あのれみりゃがやってきました。
「うー!れみりゃはしょくごのでざーとがたべだいんだどぉ~♪ …うー?あまあまはっけんだどぉ~♪」
れみりゃは上空からまりさのお帽子を確認すると、嬉しそうな顔で降りてきました。
「ゆゆっ!このおうちがさっそくやくにたつのぜ!」
まりさは木のおうちに駆け込みました。
「うー!あけるんだどぉ~!」
れみりゃは戸口に立ってまりさに言いました。
「いやなのぜ!ここはまりさのゆっくりプレイスなのぜ!」
まりさは臆せず答えました。
「うー!それならふきとばしてやるんだどぉ~!」
れみりゃはそう言うと、羽を広げて回転しました。
しかし、まりさのおうちはびくともしません。
れみりゃはもう一度、凄い勢いで回転しましたが、反対にれみりゃの体が弾き飛ばされてしまいました。
いくら体当たりしても木のおうちは壊れません。
「う゛ー!ざぐや゛ー!」
とうとう、れみりゃは諦めて帰ってしまいました。
「ゆっゆっおー!これがまりささまのゆっくりプレイスなのぜ!」

しばらくすると、雨が降ってきました。
「このおうちならあめさんもこわくないのぜ!」
お兄さんが作った木のおうちは雨が降ってもへっちゃらでした。
まりさは雨の音を聞きながらゆっくりと外を眺めていました。
すると、遠くから一匹のゆっくりがやってきました。
「きゅうにあめさんがふってきてゆっくりできないわ。しばらくあまやどりさせてくれない?」
まりさが扉の隙間から覗いてみると、そこには野良ゆっくりとは思えないほど綺麗なありすがいました。
「ゆゆっ!きっ…きれいなのぜ…」
まりさは雨に濡れた金髪の美しさに見とれてしまいました。
ゆっへっへ…と、まりさはほくそ笑みました。
「まってるのぜ!いまあけてやるのぜ!あめがやむまでふたりですーりすーりするのぜ~!」
まりさは入口のつっかえ棒を外してありすを迎え入れました。

「ありす、ゆっくりしていってね!!!」
まりさはぺにぺにを半勃起させながら言いました。
「…うっでぃでとってもとかいはならぶほてるねぇ…」
「ゆ゛ゆ゛っ?」
ありすの端整な顔立ちがみるみるうちに醜悪なものへと変わっていきました。
ありすのぺにぺにがムクムクふくらむと同時に、まりさのぺにぺにはシオシオしぼんでいきます。
「いいわあぁぁ…ゆっくり…すーりすーり…しましょうねぇぇええええ!!」
「れっ…れいぱーだぁぁぁあああぁああ!!!」
このありすは善良種の振りをするのが得意な極悪れいぱーでした。
「んっほおおぉぉぉぉおおおおおおお!!!」
「い゛や゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛ずっぎり゛じだぐな゛い゛い゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛…」
「ていっこうっされるとますっますっもえるわぁぁあぁぁああああ!!!」
「だっ…だでがあ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛だずっ…だずげっ…ずっぎり゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」


降りしきる雨の中、三女れいむは途方に暮れていました。
自分は長女れいむのように上手におうたが歌えない。次女まりさのような勇敢さもない。
そもそもおうちの作り方がわからない。何をどうしたらいいのかわからない。
れいむには悩む時間さえもありませんでした。
このままでは雨に濡れてえいえんにゆっくりしてしまいます。
「…もうやぢゃ!れいみゅおうちかえりゅ!!」
赤ゆ言葉が抜け切らない幼いれいむは、癇癪を起こして来た道を引き返してしまいました。

「ゆゆっ?あそこにゆっくちしたおうちがありゅよ!」
どすのおうちに帰る途中、れいむは道の脇に小さなおうちを見つけました。
周りを見たところ人間の姿はありません。
「ゆっくちあまやどりすりゅよ!」
扉のない開放的な小屋へ入っていくと、中にはもう一つ小さなおうちがありました。
「ゆわぁ~…ゆっくちちたおうちだにぇ~」
それはレンガで作られた立派なおうちでした。
おうちの中はゆっくりがゆっくりするのにちょうどいい大きさで、金属製の扉までついていました。
これなら雨風はもちろん外敵の侵入も完璧に防げます。
「…ここをれいみゅのゆっくちぷれいちゅにしゅりゅよ!!」
れいむは高らかにおうち宣言しました。

それからのれいむは、誰よりもゆっくりとした生活を手に入れました。
ここにはあの恐ろしいれみりゃも、凶悪なれいぱーありすも、なぜかやってきませんでした。
「あんっぜんっすぎていつでもうんうんできりゅよ!でりゅっ!いっぴゃいっ!」
食べる物にも困りませんでした。
小屋を出てすぐそばに、お野菜さんが勝手に生えていたのです。
「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇー♪」
姉妹の中で一番ゆっくりしていた三女れいむは、いつまでも、いつまでも、ゆっくりできましたとさ。


「めでたちめでたちでごめんにぇ~!」


─エピローグ

「これが今度の新作なんですが、なかなかいい形でしょう?」
「へえー、立派なものですね。素人の作品には見えませんよ。」
「趣味が高じて今じゃ休日の日課みたいなものでして。…おーい、マキ頼むわ。」
「あいよー!…あらよっと!」
「ゅ゛」
「…ん?何か言ったか?」
「いや、俺は何も。」
「気のせいでしょう。」
「そうでしたか。では、焼成が終わるまであちらでお茶でも。」
「こっちは俺が見ておくのでゆっくりしていって下さい。」
「頼んだぞ。そうそう、ゆっくりといえば先日いきなりワラをよこせとかいう…」
「ははは…」

ある日の昼下がり。
朝のうんうん体操を終えたれいむは、自慢のゆっくりプレイスで少し早めのお昼寝を取っていた。

パチ…パチッ……
「ゆぅ……ゆぅぅ…ん…」
何かが弾けるような音と、晩秋には不似合いな暖かさを感じたれいむは目を覚ました。
「…どっ…どぼじでええぇぇえぇえええ!」
目を開けると、れいむのゆっくりプレイスは木で埋め尽くされていた。
細い枝から角材に近いものまで様々な木が詰め込まれ、れいむは身動きが取れない。
「れーみゅがきゃわいいきゃらっていじわるすりゅの?ゆっくちやめちぇにぇ!…ゆごほっ」
視界が徐々に曇っていく。
「もーくもーくしゃんはかえっちぇにぇ!ゆ゛ごほっ…れーみゅおこりゅよ!!ぷきゅごぼっ」
れいむは暖かさが暑さに変わるのを感じていた。いや、暑いのではなく、熱かった。
「あ゛っっぢゅいぃぃぃいぃぃい!!」
れいむは下の方から焼け付く痛みを感じた。
「れーみゅのあんよしゃんがぁあぁぁぁああ!!!」
真っ白だった視界はやがて鮮やかな赤色へと変わっていく。
「ゆ゛ぎぃいぃいいいぃいい!!れ゛ーみ゛ゅのびごびごじゃんっ……こっ…こげ…り゛ゅ…」
薄れゆく意識の中、三女れいむはゆっくり昔話にハッピーエンドなど無いことを思い知った。
「…も゛っ……ぢょ…………ゆ゛っ………ぐ………」


「親父ー!壷焼けたぞー!」


おわり


【あとがき】
童話や昔話の淡白な残酷表現はゆ虐SSに通じるところがあるような気がしました。


過去の作品
anko1997 植物ゆっくりオブジェ
anko2006 植物ゆっくりオブジェと愉快な子供達
anko2175 ハッピーエキス注入作戦
最終更新:2010年11月15日 18:58
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