『ゆっくり電車さんに乗るよ!』 35KB
虐待 制裁 自業自得 野良ゆ 子ゆ ゲス 都会 現代 虐待人間 うんしー ゲス制裁ものです、お願いします
※犯罪行為有り
未だに睡魔との戦いを繰り広げている瞼を人差し指で擦りながら、僕は目先で開かれた扉の中におずおずと重い足取りで入っていく。
疎らな人影が普段通りの指定席に腰掛け、携帯電話と睨めっこしていたり、イヤホンから伸びた音楽プレーヤーに聞き入っていたり、
うつらうつらと小首を揺らして夢の続きを見ていたりしている。
僕も四隅の端の長椅子に腰を降ろし、いつもの場所を陣取ると鞄を抱えて転寝を始める。
『間もなく発車いたします、閉まる扉にご注意下さい』
車掌の低い声がボックス内に響き、プシューっと空気が抜ける音と共に鉄の扉は閉り、ガコンっと一度機体を大きく揺らすと電車は動き始める。
これから街の中心部へ繰り出し多くの乗客を収納する事になるこの列車も、始発駅から2つ先の駅となればまだ人の姿は少ない。
凡そ四半刻後に差し迫る通勤ラッシュを想像しながら、僕は車内を揺らす小刻みな振動を子守唄替わりに浅い眠りに付いた。
ゆっくり電車さんに乗るよ!
「ゆわぁぁっい、でんしゃさんごーりょごーりょしちぇるよ!!」
「ゆふふ、おちびちゃんはしゃぎすぎちゃだめなのぜ」
「ゆゆー、ここはにんげんさんのあしさんがおおすぎてゆっくりできないよ!!」
暫く飛んでいた意識が再び舞い戻った時、僕は妙に不愉快で甲高い声を耳にした。
垂れそうになった涎を左手で拭いて辺りを見れば既に車内は人で埋め尽くされている、
吊り革にしがみ付いた中年のリーマンや単語帳を捲っている眼鏡の女子高生など至って普通の光景が広がっていた。
夢で聞いた幻聴が目覚めの瞬間の曖昧さに便乗して現実味を帯びただけなのかと勝手に解釈し直ぐに思考の外側に置き捨てるも、再度厭らしい声が車内に響いた。
「ゆゆっ、おかーさん、れいみゅおなかぺーこぺーこしちゃったよ!!ごはんさんをちょうだいね!!」
「ゆっ、おちびちゃん、おうちにかえってからむーしゃむーしゃしようね、もうちょっとだからがまんしようね」
まただ、今度は夢じゃない、はっきりと鼓膜が刺激されたのが分かった、しかもかなりの至近距離からだ。
僕は周囲の様子を探っていると手前の乗客の視線が僕の足元を見ているのに気付いて、抱えた鞄をゆっくりと避け見下ろした。
「……っ!」
そこには信じられない事に僕の二の足の内側にゆっくりの一家が居座っていた、親のれいむとまりさ、その子が3匹同じくれいむ種とまりさ種だ。
あまりにも予想外の出来事に思わず出掛かった言葉を強引に飲み込んでしまった。
どうしてゆっくりがここにいる、何故、なにゆえに、なんで、Why is……。
疑問符が頭の天辺をぐるぐると回っている傍ら、僕はゆっくり一家を注意深く観察する。
小汚い体付きに擦り切れた帽子や飾りから見て野良のゆっくりらしい、誰かの飼いという訳じゃなさそうだ。
耳を澄まして彼らの会話を聞いていると、どうやら遊びに出向いていた友人のありすのおうちから帰るところらしく、
無賃乗車で乗り込んでこの電車を移動手段として活用している事が伺えた。
電車を利用する思考から一見すると賢く狡猾なゆっくりに思えたがこんなラッシュ時に乗り込むなんて自殺行為だろう、と無鉄砲な餡子脳を僕は心の内で嘲笑した、
が失笑した後で勘付いた、そうならない為に僕の座った椅子の下に潜り込んでいる事実に、少なくともこのスペースなら僕の足以外に障害になる物はない。
なかなか賢いではないかと関心してみるが、そんな場合じゃない、足元に饅頭の集団がいたのでは落ち着いて座っていられないではないか。
僕は思い切って蹴っ飛ばしてどけてやろうかと考えたが、この満員状態では他の乗客に迷惑が掛かってしまう、暫く唸って思案していると1匹の子れいむが空腹に耐えかねて泣き喚き始めた。
「ゆああぁあああんっ!!おながじゅいだぁよぉおおおおっ!!!!ごはんざんむーじゃむーじゃじだいよおぉおおお!!!!」
遠慮や他者への配慮など全く知らない、ましてや喧しい子ゆっくりの叫び声ともなれば大が付く程の音量だ。
押し黙っていた乗客たちは一斉に僕の方を見ると、眉間に皺を寄せた顔をしてゆっくりたちを睨み付けた。
かくいう僕も足元から響く耳障りな雑音に、こめかみの静脈が浮き上がり青筋が立ち始める、極めて鬱陶しい。
「ゆゆっ、しかたがないおちびちゃんなのぜ!」
泣き叫ぶ子れいむに親まりさは脇に持っていたコンビニのビニール袋から、ありすの家を出る前にお土産として貰った食料を床に投げ出した。
蛾の死骸や色が変色した野菜の残り滓が乱雑に散らばる、こんな所で生ゴミを広げるんじゃねーよ、とビキビキと歪む表情をどうにか抑えつつ僕は静観を続ける。
「さあおちびちゃんこれをたべるのぜ!」
「ゆわぁあい!!おいちそうなごはんさんだよ!!れいみゅのすーぱーむーしゃむーしゃたいむがはじまるよー!!」
まだ子になって日が浅いのか赤ゆ言葉が微かに垣間見える子れいむは嬉しそうにそう宣言すると「むーしゃーむーしゃー」と言いつつモゴモゴと口を動かし始めた。
野良ゆだけあって喰い散らかす様は酷く汚らしい、ボロボロと食べカスを落としているが本ゆんはまったく気に止めていない。
その配慮の無さが僕のストレスを倍々に溜め込んでいく、今すぐにでもこの足で鉄槌を振り翳し永遠にゆっくりさせてしまいたいがそうもいかない、
車内には電車通学の学生が多く、中には赤いランドセルを背負った小学生までいるくらいだ。
そんな無垢な子供の前で害獣とは言えゆっくりを虐殺するのは教育的観点や倫理道徳から見ても宜しくない。
その為もしここで大人気なくヒャッハーなんてしてしまったら他の乗客から睨まれこの時間帯の電車に乗れなくなってしまう、それは非常に困る。
とにかく忍耐だ、忍耐、無視してやり過ごす――。
腹を括って寝た振りを決め込んだ僕は鞄でせめてゆっくりが見えないように視界を遮って目を瞑ると、ギョッとする台詞を聞いてしまい再び身体を跳ね上がらせた。
「れいみゅのぽんぽんさんがぷくっぷくっだよ!!れいみゅのすーぱーうんうんたいみゅがはじまりゅよぉおおお!!」
慌てて鞄を退けると、食べ終わり空腹を満たした子れいむがあろうことか僕の靴に尻を向けてあにゃるから黒いうんうんを捻り出そうとしている最中だった。
(冗談じゃない、そこまで寛大になれる訳がない、断固として阻止だッ!)
僕は右足の爪先で子れいむを蹴っ飛ばすべく振り上げた。
「うんうんさんっ、もりも――ゆぎゅえ”っ!!」
射出中に横っ腹に強い衝撃を受けて吹っ飛ぶ子れいむ、僅かに漏れたうんうんも同じ様に軌道を追って飛んでいき、無様に着地した子れいむの顔にべっとりとくっ付いた。
「いじゃいぃい”い”いぃい”い”いいっ!!!!!!ぐじゃぁい”い”いい”ぃい”い!!!!!!」
全身を駆け巡る痛みとうんうんの強烈な匂いのダブルパンチにゆんゆんと大声で泣き始める子れいむ、
異変を察知した親れいむが大急ぎで駆け寄ると、うんうんを取り除いて泣き叫ぶ我が子にぺーろぺーろと舌を駆使してあやし始める。
当面の危機は去ったと僕はホッと息をついて安心していると親まりさが憎たらしい顔を更に歪め、片目を吊り上げた不細工面を前面に押し出して僕を睨み付けた。
「やいっ、くぞじじい!!まりさのおちびちゃんけったのみてたのぜ!!ふざけるんじゃないのぜ!!ゆっくりしないであやまるのぜ!!」
「ゆわぁああああんっ!!おぎゃぁああざんっ、きゃわいいれいみゅをけったぞのぐぞっじじいをぜいっざいっじでよぉおおお!!!」
「まかせるのぜおちびちゃん、くそじじいはまりささまがじきじきにせいっさいっしてやるのぜ!!」
「まりさ!そのくそじじいはどれいにするよ!れいむのかわいいおちびちゃんをいじめたむくいをさせるんだよ!!」
「ゆへっへっ、わかってるのぜぇー。えいえいんにゆっくりしないようにてかげんしてやるのぜぇ」
ニターっと笑って舌を突き出し挑発を行う親まりさ、あまりのゲスっぷりに僕は頬の肉が無意識にぴくぴくと震える程の怒りが沸き立っていく。
人間様に向かって糞を飛ばそうとしておいてその高圧的な態度をよくもまぁ抜け抜けと向けられるものだ、もう我慢ならん、一発蹴りでも入れて強行的口封じを行うしかあるまい。
意を決して足を振り上げようとした時、周囲の乗客たちがしかめっ面で冷ややかな表情を浮かべこちらを、僕を見ているのに気付いてしまった。
ゆっくり一家ではなく僕に向けられた鋭い視線、吊り革組みのバーコード頭の中年男性と目が合うとその心情が簡単に汲み取れてしまった。
温かみのない薄汚れた瞳が訴えている、「お前のせいだろ、早くこいつら黙らせろよ……」と。
待て、待ってくれ、元はと言えばこんなところで糞を捻り出すのが、いや根本から言えば無賃乗車を許した駅員が悪いわけで、
僕のは不可抗力で正当防衛だ、僕の所為ではない、断じてない。
と静まり返ったボックス内で主張できる訳もなく、ぐうの音も出ないほどに威圧感に完敗した僕は項垂れたまま親まりさと視線を合わせた。
「ご、ごめんね、お兄さん間違えて蹴っちゃったみたいだ、許してな」
「はぁああああっ!?まちがえですめばけいさつさんはいらないでしょぉおおおっ!!ふざけるんじゃぁあないのぜぇえええ!!」
きりきりと黄ばんだ歯を剥き出しにして睨みを利かせる親まりさ、ゆっくり如きに謝罪をしなければならない僕の自尊心は既にずたずただ、
形容詞不可能な程の惨めさが憤怒の感情に変わり、作り笑いという仮面の下を煮えきらせていく。
「ほんとうにもうしわけないとおもうのならどげざするんだよ!いますぐやるのぜ!!そうしたらいのちだけはたすけてやるのぜぇ!!」
「ゆっくりしないでどげざするんだよ!くそじじいはみじめでげすなにんげんです、れいむさまゆるしてくださいっていうんだよ!!ぐずぐずするんじゃないよ!!」
地団駄を踏んで僕に命令する親まりさと親れいむ、こちらが手出し出来ないのをいい事に好き放題捲し立てるゆっくり一家、
膝に添えていた両手がぶるぶると震え抑えていた感情が爆発しそうになった時、ふと心配そうにこちらを見つめている緑髪の女子高生と視線が重なった。
いつも同じ時間に姿を見る、控えめで大人しそうな印象を受ける彼女は他の乗客とは違い僕の不憫さを嘆いた眼をしていた。
彼女のお陰で少し平静を取り戻した、僕は呼吸を整えると打開策を閃き親まりさに提案する。
「お詫びの印にあまあまをあげるよ、これで手打ちにしてくれないか?」
「ゆゆっ!?あまあまさんなのぜ!?」
「おかーさん、まりさあまあまさんたべたいのじぇ!!」
「ゆゆーん、あまあまさんはゆっくりできるよ!ゆっくりしないでよこしてね!!」
野良ゆには相当な幸運がなければ滅多に有りつけないであろうあまあまという単語に喜んで飛び付いたゆっくりたち、
なんとか丸め込めたと苛立ちを隠しながら僕は今朝コンビニで買ったスティック型の10粒入りのど飴を開けると、一家に1匹づつ計5個ののど飴を手渡してやった。
透き通った橙色の飴細工を見るや否や乱暴に口に頬張り歓喜の声をあげるゆっくり一家。
「うめぇっ!!これむっちゃうめぇっ!!!」
「むーしゃむーしゃ、ちあわせぇえええっ!!!!」
「うっめぇえっ!!まじぱねぇっ!!!!」
これで僕の責務は終わった、後は貝の様に閉じ篭って駅に辿り付くかゆっくりが下車するのを待てばいい。
燃え滾る怒りは当分収まる気配がないが、僕はだんまりを決め込んで寝た振りをしようと眼を閉じた、が。
「もっとよこすのぜっ!!こんなりょうでゆるされるとおもったらおおまちがいなのぜ!!」
ドスンっと僕の足に体当たりをする親まりさ、僕は胃に込み上げる何かを感じながら再び視線を下ろした。
「まりさのおちびちゃんのけがはじゅうしょうなのぜ!!まだまだせいいがたりないのぜ!!」
なおも足りないと喚き散らす親まりさ、横の子れいむを見ればあまあまに夢中になって疾うの昔に痛みが吹き飛んでいる。
それはやーさんも舌を巻くほどのあからさまな強請りだった。
どこまで僕を侮蔑すれば気が済むのか、半年分ほどの憤激を引き出してもまだ補完するに価しないらしい。
この糞外道が……と内心で激しく罵りながら僕はひくつかせた笑みを見せる。
「……し、しょうがないな、これが最後だからな」
負の感情が薄っすらと視認できる程に崩れ掛かった表情で僕は残りの5粒を落とした。
僕の労力と120円を台無しにし今一度飴にむしゃぶりつくゆっくり一家、
ぺろぺろとねっとりとした舌をバットの様に振るって飴の感触を堪能している子まりさや、
悪意のある笑みを満面に浮かべ口から涎を垂れ流しちゅぱちゅぱと音を立て飴を嘗め回す親まりさ、
態度と仕草だけでここまで人の感情を逆撫でする事に特化しているのはある意味才能かもしれない。
(限界だ……これ以上の事が起こったら発狂しかねん……)
更に波風が強まらないよう祈っていると、車内に車掌のアナウンスがこだました。
『次は三夜、三夜、お出口は左側です The doors on the left side will open...』
「「「「ゆっ!!」」」」
飴に夢中になっていたゆっくりたちが一斉に顔をあげる、一同はきょろきょろと辺りを見回し始めた。
「みっつさんだよ!!もうすぐおうちだね!!」
「ゆゆー、おうちにかえったらみんなでゆっくりするのぜ!」
数字の3まで数えられるゆっくりたちは、どうやら三夜の三、みっつという頭文字を読み取って降りる駅を把握したようだ、
もしこの駅名が十六夜だったらきっと僕は惨めな思いをしなくて済んだのだろう。
やり場のない怒りを駅名にぶつけて恨み言を胸の内で呟いていると、列車は徐々に減速していった。
今日は仕事帰りに旨い物でも食べてパァッと憂さ晴らしでもしようと現実逃避気味に僕は思考を鈍らせていると、足元から妙な甘い香りが漂い徐に下に視線を移した。
「ゆっしっしっし!!きょうはこれでかんべんしてやるのぜぇ!!このていどですませてあげたまりささまのかんだいさにかんしゃするのぜぇ!!」
「さすがはれいむのだーりんだよ!くそじじいはこれにこりたらちょうしにのるんじゃないよ!!」
「まりしゃのもりもりうんうんさんはじじいにおにあいだじぇ!!」
「ゆゆっ!れいみゅのしーしーさんもくらうんだよ!」
靴に引っ掛けられた特大うんうんと染みついたしーしーから漂う仄かな香り、
ゆっくり達が当て付けに捻り出したそれを見た瞬間僕の中の何かがプッツリと切れた。
駅に到着し開いた扉からゆっくり一家は僕を嘲笑いながら飛び出していき、残された僕は俯いたままガタガタと身体が震えさせる。
異様な動きをして座っている僕を心配したのか先ほどの緑髪の女子高生が歩み寄ってきた。
「あ、あの、災難でしたね……大丈夫ですか?」
身も知らずの人間の、ましてや電車という特殊な空気の中で彼女が尋ねる、それだけでかなりの面倒見の良さが伺えた。
僕はさっと顔を上げると実に晴れ晴れとした爽やかな笑顔を浮かべて言葉を返した。
「あぁ、大丈夫ですよ。ご心配ならさず」
曇り一つないはっきりとした微笑み、あまりのギャップの違いに緑髪の彼女は一瞬呆気に取られ無意識のまま頷いた。
「そ、そうですか、それならいいんですけど……」
「僕この駅で降りるんで、良かったらこの席譲りますよ」
「えっ!?」
そう言い残して立ち上がり肩を揺らして僕は出口に向かう、背後でぽかんと口を開けたまま彼女は立ち尽くし僕の背中を無言のまま見送った。
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まりさたちゆっくり一家は改札をそろーりそろーりと這う様に進んでいた、その背後で僕はこっそりと後をつけ距離を取りながら様子を伺う。
途中、意識をゆっくりに集中するあまり丸刈りの高校生とぶつかってしまったが僕の顔を見た途端男子学生は慌てて走って行ってしまった、
どうやら相当酷い形相をしているらしい、昂る感情を抑えているのが困難だと自覚しているくらいだから仕方ない。
改めてゆっくり一家を鋭い視線で見つめていると、彼らは幾つかの幸運によって守られていた事が分かった。
まずこの駅、構内は平坦な作りで階段さえ見当たらない、あったとしてもバリアフリーの関係でなだらかな坂が別個に用意されているため
一家の通行の妨げにはならない、乗車した友人のありすの家が近い駅もそうだったのだろうか。
更に通行人、皆ゆっくりたちに驚いて目配せしつつ踏みつけないよう注意している、蹴り飛ばして朝も早くから服を餡子で汚したくないのだろう。
そして駅員、窓口に居るのは初老の男性が2名だけでゆっくりには気付いていない、
彼らは年季の入ったベテランの風貌を漂わせているが小部屋の中で新聞を開いて和やかに談話している、職務怠慢もいいとろだ。
僕は尻をぶるぶると振って進む一家を横目に携帯電話で会社に連絡を入れると、適当な仮病を理由に休ませてもらう事にした、
電話に出た上司が荒い息をしているが大丈夫かね、と尋ねられ返って信用されたようだ。
騙す結果になって申し訳ないと感じつつも後方の気兼ねを払った僕はにやりと悪意たっぷりに微笑み一家の背を追い続けた。
「もうちょっとでおうちにつくのぜ!おちびちゃんたち、はぐれないようについてくるんだよ」
「「「ゆっくりりかいしたよ!!」」」
駅を出てロータリーを抜けると僕の視界に田圃で敷き詰められた地平が広がる、かなりの片田舎の風景で建造物がちらほらとお世辞程度に建っているだけだ。
ゆっくり一家は更に歩みを進め電車のレール沿いに聳えた一軒家の門を潜ると、庭に雪崩れ込んだ。
「ゆふー、やっとついたのぜ」
「おかーしゃん、れいみゅのどがかーらかーらだよ!おみずさんごーきゅごーきゅしたいよ!!」
「ゆふふ、まっててね!おみずさんをよういするよ!!」
まさか飼いゆっくりだったのか、と僕はコンクリートブロックの壁に張り付いてゆっくりたちの会話を耳に傾けつつ家を目視した。
古びた木造の一軒家、表札はなく民家の窓にはきっちりと雨戸が張られ人が住んでいる形跡がない、どうやら空家のようだ。
概ね陳腐な餡子脳が例の如く人間のおうちを乗っ取ろうと画策し、この住人のいない家見つけ出したのだろう。
しかし雨戸に妨げられ内部に進入する事は叶わず、仕方なしに縁の下で暮らしているといったところか、
それでもここなら人間は近付かず外敵や雨から身を隠すに十分なゆっくりプレイスとして機能するだろう。
ともかく所在地を確認した僕はゆっくりを甚振ってやる為の虐待グッズを購入するために再び駅に引き返した。
暫く経過した後、安穏とした昼下がりを謳歌していたゆっくり一家に人影が忍び寄る。
「「「ゆっ!?」」」
ガサリと土を踏み躙り、僅かに埃を舞わせた2本の大きな足がゆっくりたちの視界に入る。
徐々に目線をあげていくとニッコリと笑い表情を緩めた男が、僕が立っていた。
「ここはまりさたちのおうちだよ!!にんげんさんはゆっくりしないで……ゆっ!?ゆぷぷっ!!さっきのくそじじいだよ!!」
「ゆゆーん、れいむたちがせっかくみのがしてあげたのにわざわざどれいになりにきたんだね、ばかなくそじじいだよ!!」
「くそじじいはれいみゅのどれい1ごうにしゅるよ!!れいみゅのうんうんをたべるんだよ、ぷりぷりー!」
「どうしたのぜ!?びびってるのぜ!?かかってくるのぜ、くそどっ――」
バァアンッ――!!
巨大な風船を割った様な凄まじい轟音が辺りに響いた、親まりさが一瞬途切れた意識を戻した時、
コンクリートブロックの壁に身体を打ちつけられ、激痛が電流の如く全身を無慈悲に掻き乱していた。
前歯が抜け落ち、小麦粉の肌に色濃い痣を作り、片目を放出し、餡子を吐き出し、おぼろげな視界の向こうに足を突き出した僕を見ている。
親れいむや子供達は、超高速で後方に飛んでいった親まりさに気付かず、何が起こったのか理解できていない。
突き出したまま動かない足の爪先から小さく煙があがる、僕は高笑いをしてゆっくりたちに良く聞こえるよう大声で叫んだ。
「まずは一発だ、この糞饅頭がッ!!!」
「ゆべぇえええっ、いじゃぁあああいいいいいっ!!!いじゃぁあああああいいいいいいいっ!!!!!!」
ひいひいと泣き叫ぶ親まりさの声が後ろから響いてようやく居場所を見つけた一家がまりさに近寄っていく。
たったの一瞬で見るも無残な姿に成り果て困惑気味に泣き声をあげる家族たち。
「まりじゃぁあああああっ!!」
「おちょーしゃぁあんっ!!」
「ゆひぃいいっ!!いじゃぁあいいっ、だじゅげじぇぇえええっ、もうおうぢがえるっううっ!!」
親まりさの飛び出した片目を踏み潰し、僕はゆっくりたちの退路を絶った。
彼らにさっきまでの威勢はなく、眼にも止まらぬ速さで親まりさに重症を負わせた僕に怯え切って恐ろしーしーを漏らしている。
「ご、ごめんなざいっ!!くそじ……にんげんざんっれいぶをゆるじでねっ!!れいぶがわるがっだよ!!」
咄嗟に頭を下げ始めたのは親れいむだった、へらへらと作り笑いを浮かべて意味も理解していないまま謝罪を繰り返す。
何が悪いのかなど無論分かっていない、とにかく頭を下げてその場をやり過ごそうとするその態度が僕の神経を逆撫でさせる。
このゆっくりの鈍重な思考が僕を大勢の乗客の前で恥を掻かされた何よりの原因だ、今更それを矯正する気はない、分からせようとも思わない。
ただ純粋に低俗で下劣で能無しのゆっくりから受けた生涯恥じるべき侮蔑を一方的な暴力行為によって清算したいだけだ。
僕は最初に親まりさがした様にニターっと笑ってポケットから急いで買いに走ったゆ虐用スタンガンを取り出すと親れいむへ無慈悲に押し付けた。
「そんな取って付けた様な謝罪はしなくていいぞ、お兄さんが望むのはお前らの無様な死に様だ、1匹残らず冥土に送ってやるから安心して死ね」
「ゆぎゃぁあ”あ”あ”あ”ああっあぁああ”あ”ぁっあ”あ”あ”ああっ!!!!!!」
スタンガンを押さえ付けた部分を境にくの字に折れ曲がり、小電力モードで抑えられた電流がじわじわと親れいむの身体を襲う。
スイッチを押入して何度も電撃を加え、バチンッと音を立てる度に親れいむの身体は反射的に跳ねあがり穴という穴から砂糖水を垂れ流した。
「やべぇっ!!ゆぎょぉおッ!!いじゃああぁっ!!ゆぶえぇええっ!!!ゆるじでっ!!ゆびょびょおぉおおっ!!」
一度スタンガンを離すと、親れいむは焦点が定まっていない目付きでよろよろとコンクリートの壁にべったりと張り付いて震えている家族の元へ逃げようとする。
僅かに移動したところで僕は再びスタンガンを親れいむにぶち込んで痺れさせる、ジタバタと汚れて擦り切れたあんよを動かすも僕の腕力に抗うだけの力には成りえず、
泣き叫び、助命を請い、開放を嘆願し、徐々に精神を削っていく、じっくりとじわじわと弱火で網の上に乗せられた肉の如く丹念に炙っていく。
一時間ほど遊び尽くしたところでようやく自由にしてやると、無数のコゲで出来た黒い線を刻み付けた身体で家族に寄り掛かった。
「ゆひょぉ……ゆひょぉ……」
「おきゃーしゃぁあんっ!!ひどいのじゅぇえっ!!どうじでごんなごどずるのじぇっ!!まりしゃたちがなにをしたっていうのじぇ!!」
「もうれいみゅおこったよ!!さいきょうのれいみゅがぐぞどれいをせいっさいっする、ゆひょ!?おしょらをとんでるみたいぃいー!!!」
親のあの様を見てもまだ僕に勝つ算段がある子れいむと干乾びた親に寄り添って泣きじゃくっている子まりさの全員の揉み上げを乱暴に掴み取って持ち上げ、
残された親たちにオレンジジュースを吹っ掛けた、こんな簡単に死んでもらっては困るからだ。
「ゆゆっ……」
僕に傷つけられる為だけに再生する親ゆっくりたちの小麦粉の肌、みるみる内に元気を取り戻していくが
微かにダメージは残っているらしく、呂律の回っていない口調で子供を降ろす様に訴えてきた。
「おちびじゃんにひどいごどじないでねっ!!ゆっぐりじないでおろじでねっ!!」
「ゆべへぇ、まりざはどうなっでもいいのぜっ、でぼおじびじゃんだげはだずげであげでねっ!!」
捻じ曲がった性格をしたゲス一家だ、子供を見捨てて逃走するのではないかと思っていたが意外にも我が子を案じて擦り寄ってきた。
これならゆん質として十分な機能を果たすだろう、僕は安心して子ゆっくりたちを振り回すと家の外に出た。
遅れて親まりさたちが後を追ってくる、背後からは「おちびじゃんをもっでがないでえぇえ」と掠れて錆び付いた声が聴こえてくる。
歩調を緩めず構う事無く歩いていくと、僕は電車の遮断機の前で立ち止まった。
丁度電車が通過しようとしていたところで、遮断機の細長い円柱状の遮断桿が降りていた。
僕は親ゆっくりたちが追いつく前に水平状態の遮断桿の先端に1匹の子れいむを紐で縛り付けると、電車が通過するのを待った。
「ゆゆゆっ!?おちょらをちょんでっ!?ゆびょぉおおおっ!!!!たきゃいよぉおおおっ!!!ごわいよぉおおおおっ!!!!」
電車が通り過ぎた後、遮断機の遮断桿は直立状態で空を射した。
その丁度天辺に括られた形になる子れいむがきゃんきゃんと泣き叫んで、降ろしてくれと助けを求めている。
実にいい気味だと、僕はほくそ笑んでいると遅れてやってきた親ゆっくりたちが遥か頭上の彼方でしーしーを漏らしている子れいむを見て顔を青褪めさせた。
「だじゅげじぇぇええええっ!!ごわいよぉおおっ!!!!ゆっぎゅりできないよぉおおおおおお!!!!」
「れいぶのおちびじゃぁああんっ!!くぞじじいっ!!おちびじゃんをたずげろっ!!ゆっぐりずるなっ!!」
「助ける訳ないだろ、次の電車が来るまでせいぜい跳ねてろよ」
言うまでもなく到底届くとは思えない高さの子れいむ目掛けて親ゆっくりたちがぴょんぴょんと跳ね始めた。
大口を開けて泣いている子れいむの砂糖水と恐ろしーしーをシャワーの様に浴びながら親ゆっくりたちは必死の形相で助けようと試みている。
その間に僕は遮断機の中で身を伏せて、焦げ茶色のレールの上にコンビニで買ったガムを転がせガスバーナーで入念に焼き始めた。
しゅわしゅわと蕩けて甘い香りが嗅覚を刺激する、手に持っている子まりさ2匹もあまあまの匂いに釣られ暢気に涎を垂らしている。
「よし、子まりさ。死んで来い」
「ゆひょっ!?ゆ”っ!!!!あじゅいぃいいいいいっ!!!!!やべでぇええっ!!まりしゃのあんよしゃんがぁああっ!!!!」
熱して溶かしたガムは焦げ炙られた砂糖水が僅かに表面に付着する、その漏れた砂糖水は子まりさの小麦粉の肌と良く馴染むであろう。
そのまま勢いに任せて子まりさのあんよを押し付けると、上半身をぶるぶると動かして身悶え金きり声を上げた。
「ゆゆっ!!れいぶのおじびじゃんになにじでるのっ!!ぐぞじじいはゆっぐりじないでじねぇえええっ!!」
新たに上がった悲鳴に反応して親れいむが飛び掛ってくる、身動きの取れない僕はガスバーナーを向かってくる親れいむの眼に捻じ込むと素早く火を灯した。
「そら喰らえよ」
「ゆびゃぁああああああっ!!!あぁああああっああっぅうあうううああぁ!!!」
右目を焼かれごろごろと転がって痛みに打ち付けられる親れいむ、そうこうしている内にバーナーで炙ったガムは固まり、子まりさとレールを見事に接合させた。
子れいむは泣きながら左右に頭を振って脱出を試みようとするも、ガムの粘着性に負けて完全に癒着してしまい身動きが取れなくなってしまった。
「まりしゃのあんよざんっ、うごいでねっ!!ゆっぐりじないでうごぐのじぇ!!どぉおぉおじぃでぇえうごがないのぉおおっ!!
うごいでよぉおっ!!まりざのあんよざんおねがいだがらいうごどをぎぐのじぇっ!!ゆびぇぇえええんっ!!!」
「はははっ、滑稽な様だな。いいかまりさ、よーく前を向いて見ておけよ」
「いいがらゆっぐりじないでまりじゃのあんよざんをなおいじでよぉおおっ!!!」
顔の力を振り絞ってあんよを引っ張ろうとするもガムの収縮性に戻され底部はまるで動かない、
子まりさは恰もコンクリートの地面から顔だけを出しているかの様な鈍い感覚に狼狽し、一向に改善されない現状から涙が溢れ出した。
「どうじでぇえええっ!!まりじゃのあんよざんっきげんなおじでねっ!!!ゆえええええぇえんっ!!」
「そろそろか」
腕時計を確認しつつ街の中心部へと続く方のレールを見ていると、地平線の向こうから鋼鉄の車体が振動音を放ちながらこちらに近付いていた。
程なくして遮断機からけたたましい警告音がテンポの良いリズムで発せられ、遮断桿に吊るされた子れいむが聴覚を酷く引っ掻かれ連動して泣き出した。
親ゆっくりたちも釣られて振動音の方角を向き直ると、爆音を轟かせ迫ってくる電車を視界に捉えた。
「ゆべぇえええええっ!!でんじゃざんぎでるぅうううううっ!!!!!まりじゃのあんよざぁぁああんっ、うごいでねっ!!!うごいでぇええええっ!!!!」
幾ら無知なゆっくりと言えど電車に撥ねられたらどうなるのか想像は付くらしい、
迫り来る鉄のモンスターと自分の底部を交互に見渡して子まりさは必死になって逃げようとしている。
僕はただニヤニヤと微笑んで子まりさの不恰好な様を見て楽しんでいると、親ゆっくりたちが僕の足元に躍り出て一斉に頭を下げた。
「おにーざんっ!!おでがいじまずっ、れいぶのおちびじゃんをだずげでぐだざいっ!!でんじゃざんがぎだらじんじゃいまずううっ!!」
「まりざもあやばりまずっ!!ゆっぐりじないでおちびじゃんをだすげるのぜっ!!おぢびじゃんはゆっぐりじだどっでもいいごなのぜっ!!だがら、だがらぁああ」
「嫌だね、電車に止まってくれとでも頼めば?」
無慈悲に突っ撥ねた僕の言葉を聞いて頭を上げた親まりさと親れいむの表情は、憎悪と絶望が入り混じった何ともし難い顔付きだった。
圧倒的な権力の前に捻じ伏せられた愚民を見下す様な優越感を味わいながら眺めていると、2匹は顔を真っ赤にして振り返り叫び始めた。
「でんじゃざんどまっでねっ!!ゆっぐりじでいっでねぇええ!!!!」
「おちびじゃんをひがないでねっ!!でんじゃさんはゆっぐりずるのぜっ!!」
ここから呼んでどうこうなる訳でもないのに、それを理解していない餡子脳を僕は嘲笑していると、信じられない事が起こった。
「ゆっぐりぃいいっ!!ゆっぐりぃいいいっ!ゆっ!?ゆゆっ!!!と、とまったのぜっ!!!」
「でんじゃざんがとまったよ!!れいぶのねがいがつうじたんだよっ!!おちびじゃんはゆっぐりじないでだずげるよっ!!!」
遮断機と20メートルほど距離を置いて停止する電車、親れいむは満面に笑みを浮かべて遮断桿をくぐって線路内に入ると身動きが取れない子まりさに駆け寄った。
「まっててねっ!!いまずぐれいぶがだずけるよ!!」
「いじゃぁああいっ!!やべでっまりじゃのあたまをひっぱらっ――ッ!!!でんじゃざんがぎでるっ!!おかーしゃんっでんじゃざんがっ!!!!」
一方で親まりさだけは子まりさの救出に向かわず勝ち誇った様な顔をして舌を伸ばし僕を挑発していた。
「ざまーみろなのぜっ!!まりざさまはでんしゃさんをみかたにつけたのぜっ!!おらおらっ!!でんしゃさんはくそじじいをひきころすんだよ!!ぐずぐずするんじゃ――ゆっ!」
親まりさの髪が乱れ、突風が吹いたかと思えば高速で後ろを駆け抜けていく鋼の巨体、
「ゆぴぃ!!」「ゆぎょべぇっ!!」という微かな断末魔を耳にして意気揚々と僕を馬鹿にしていた親まりさはゆっくりと振り返った。
「な、ななな、なんでぇえええええええっ!!!!!」
通り過ぎた後にレールに残された親れいむと子まりさだった塊、小麦粉を掻っ捌き内臓物である餡子を派手に散乱させ物言わぬ骸と化していた。
親まりさは線路内に進入し、無残に飛び散った番と我が子の周りで跳ね回り、ゆんゆんと泣き叫びながら苦悩に満ちた顔を歪めている。
回答を出し得ず疑問を口にする親まりさに僕は現実を突き付けた。
「ばーか、ただの信号待ちに決まってんだろ」
親まりさはひょっと顔を上げ、わなわなと震えながら口を開き涙するかと思えば全身を真っ赤に燃やし凄い形相で僕に体当たりしてきた。
「じねぇえええっ!!!おちびじゃんとまりざのれいむをごろじだげずにんげんはじねぇええええっ!!ゆっぐりじないでじねぇえええっ!!!」
「おいおいまだ終わってないだろ」
飛び掛ってきた親まりさを右足で振り払い、地面に転がって怯んだ隙に足で腹部をぎゅうぎゅうと押し付けた。
唇を噛んで上目に僕を睨み付ける親まりさ、僕は親まりさの残った片目に手に握られた子まりさをまじまじと見せつける。
徐々に握りを強め、面をタコの様に膨らませて子まりさは苦しそうにお下げをピコピコと上下させた。
「ちゅびゅれびゅぅうっ!!ちゅぶれじゃぅううっ!!」
「まりざのおぢびじゃんっ!!!」
「死なせたくなかったついて来い、お前の贖罪は終わってないんだからな」
「ゆぐゅうぅううううっ……」
再び線路沿いを僕は歩き出すと、親まりさは遮断桿の天辺で未だに泣いている子れいむと段々と離れていく僕の背中を交互に見回し、
必ず戻ってくるからゆっくり待っててね!と言葉を残して僕の背を追いかけ走り去ってしまった。
残された子れいむは小さくなる親まりさを必死に呼び止めるべく叫び続けた。
「ゆびぇぇえええんっ!!まっじぇぇええっ!!れいみゅをだずげでよぉおおおっ!!ゆ”ゆ”ゆ”っ!!!まだでんじゃざんがぎでるうぅううううっ!!!いやじゃぁあああぁあっ!!!」
内部のモーターが唸り声を上げて遮断桿がゆっくりと降下し始める。
地上に近付く事よりも宙ぶらりんのまま身体を縛られている事が子れいむのストレスが一層溜め込まれていくのであった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
暫く線路沿いを歩いていると電車が幾つも並べられている場所に辿り付く、山の斜面の一部を削って作られた簡素でこじんまりした車両基地だ。
僕は追ってきた親まりさのお下げを掴んで持ち上げると、そそくさと線路を横断しその車両基地に近付く、
柵で覆われているものの跨げは簡単に通る事の出来る低さであっさりと内部への潜入に成功した。
はっきり言ってしまえば不法侵入だがお構いなしだ、元はと言えばこの運行会社側にも責任があるのだ、
少し協力してもらおうと、自分を納得させると、僕は悪びれた様子も見せず周囲を警戒して一台の列車に近付く、貨物列車だ。
本線に繋がるレールの一番手前で停車しているので、直に動き出すようだ。
「くぞじじい、はなずのぜっ!!おちびじゃんとまりざをかいほうするのぜっ!!」
「五月蝿い、黙ってろ」
右手に持っていた親まりさを貨物列車の側面に振り翳し殴打させ口を黙らせると、伸びた親まりさを貨物列車のジョイント部分に紐で結びつける。
完全に身動きが取れなくなったのを確認すると、僕は口の端を緩め親まりさの髪を空いた手で引き千切った。
「ゆびぇええええっ!!いぃいじゃぁああいいいいっ!!!」
「眼ん玉ひん剥いてよく見ろ」
親まりさの視線の先に僕の手に握られ全身の小麦粉を浮腫ませる子まりさがある、
僕は今まで辛うじて息が出来るほどの握力で弱らせていたが、容赦なく手の力を込め生死の分け目となるデッドラインに近づける。
「ゆびゅべぶっ!!ひゅぶれびゃぶううぅうう!!」
中の餡子が透けて見えるほどに頭の上部は浅黒く変化し、寒天の眼球は今にも飛び出しそうにぎょろりと僕を見つめている。
「やべでぇえええっ!!おちびじゃんにひどいごどずるなっ!!!」
「ほら死ぬぞ死ぬぞ、よーく見とけよ。お前の大切な餓鬼の最期だ」
「ひぃべぇええっ!!!ゆびぇ!!」
キュッと絞ると、まるで糞でも漏らしているかの様に子まりさの口から勢い良く餡子が溢れ出す。
泣き叫んでいる親まりさを横目に僕は子まりさを玩び悦に入っていると、小指の下から出ている子まりさの尻が物凄い高速でぷるんぷるんと振られているのに気付き
右手の人差し指を付きたててあにゃるに大穴を開通してやった、ぼとぼととまるでホイップクリームをデコレーションする見たく餡子を地面に撒き散らした。
「みょっじょ……ゆっぎゅり……」
「できなくて残念だったな、ばいばい。もうお前はいらないよ」
「おちびじゃぁああああんっ!!!どおおじでぇえええええっ!!!!」
下半身から中身をぶちまけた子まりさの死骸をポイッと投げ捨てると、僕は小刻みに震える親まりさを見下し唾を吐いた。
「あははっ、ざまぁねえな。どうだ餓鬼も番も殺された気分は、悔しいか?あぁ!?」
「どおじでごんなごどずるのっ!?まりざだちだっでいぎでるのぜっ!!いぎものさんはだいぜづにしなぐじゃいけないんだよ!!」
ゲスの分際で道徳論を語るか、最後まで偉そうな態度に僕は軽く眉を顰めると親まりさのヨレヨレになった帽子を紐の隙間から抜き取った。
帽子を取られた親まりさは酷く動揺し返還を求めて泣いて懇願したが、気の収まらない僕は全力で引き裂き細切れになるまで破り続けた。
「なにがまりさたちもいきてる、だ。そういえば助けて貰えると思ってるのか?人様の良心に漬け込むゲス饅頭がッ!」
「やべでえ!!まりざのぎれいなおぼうじざんやぶがないでぇえええ!!!」
「人間を勘違いするなよ、人間は腹が減れば豚や牛だって内臓を掻っ捌いて殺して食っちまう、必要なければ猫や犬を神経ガスで苦しませて殺しちまう、
いきてるのが大切なのは同じ人の間だけの話だ。お前ら饅頭の命なんてこれっぽっちの重みも価値も感じちゃいないんだよ」
「ゆぐうううっ!!もどはどいえばくそじじいがおちびじゃんをげったのがいげないのぜぇええええ!?げすはくそじじいだよおぉお!!!ゆっぐりじないでじねっ!!じんじゃえぇえ!!」
「糞を人に向けて捻り出した馬鹿が言えた事か、元よりお前らが人間様に歯向かった時点で詰んでるんだよ」
残った髪とお下げをブチブチと千切りながら僕は口を走らせる、痛みに抗えず反射的に砂糖水の涙と尿道からしーしーを漏らして無様な姿を晒す親まりさ、
このまま中枢餡を叩き割ってやりたくなったが、僕は手を止めて最後にニッコリと微笑んで後ずさった。
「まぁでもな、許してやらない事もないんだよ」
「ゆぅ……?」
「これからこの電車は動き出す、最後まで、最後まで生きていられたら許してやる、だから行って来いよ――ゆっくり不可能な高速列車の旅にさ」
「ゆっくり、できないっ!?いやなのぜっ!!まりざさまをここからだずのぜっ!!くぞじじいぃいい!!ぐぞじじぃいいいい!!!」
くるりと振り返って僕は敷地内から離れるために歩き出す、掠れた親まりさの言葉に僕は一言だけ投げて返事を送る。
「あーそうそう、遮断桿の餓鬼もきっちり潰しておいてやるから安心していいぞ」
「おちびじゃんにてをだすなっ!!!じねぇえええっ!!ぐぞじじいはじねえええええっ!!!!」
全身は痣と傷で塗れ、ブロンドの髪は抜き取られ、肌のあらゆる部分にクレーターを作り、片目を無くし、精神を抉られ、自尊心を躙られ
親まりさは死に体になったその様で視界から僕の姿が消えても、尚も叫び続ける。
しかしその無情な訴えを掻き消す音が親まりさの聴覚を刺激した。
「ゆゆっ!?でんじゃさんっ!?まってねっ!ゆっくりしてね!!まりさがゆっくりにげるまでうごかないでねっ!!」
鋼の長方形に熱が宿る、親まりさの願いも虚しく列車は荒々しくタンク内の圧縮空気を発し呼吸を始める。
親まりさはあんよを動かして身体を捻らせるもしっかりと固定された紐は解ける訳もなく、車掌の笛が鳴り響いて列車は動き始める。
「まっでぇえええっ!!でんじゃざんはまりざをおろずのぜっ!!ゆぐっ!!ゆっぐっう!!もっとゆっぐりっ!!ゆんやぁあああああっ!!!ゆっぐりできないぃいいい!!」
速度を上げてきめぇ丸のそれを遥かに凌駕した速度で列車は走り始める。
片目の視界からとてもゆっくりできない風景を見せ付けられ親まりさは列車と共に彼方へ消えて行った。
遠巻きから僕は列車が親まりさを引っ掛けたまま発車するのを確認すると、口笛を吹きながら先ほどの遮断機へ続く道に引き返した。
遮断桿の子れいむは激しくのた打ち回った結果、紐が緩み地面に落下し拉げて絶命しているのに気付くのはもう少し先の事だ。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
日が沈みかけた頃、車両基地の職員が一日の業務を終えその身を休めている列車の周囲を巡回をしている時に、紐で括られた成体ゆっくりを偶然発見した。
「うわっ、なんだこいつ……」
酷く老け込んだ顔をしたゆっくりを見た時、職員の彼がそれはゆっくりだと気付くのに3分ほど必要だった。
飾りもなく、髪もなく、全身傷だらけで、種別の判断が付かないそのゆっくりはあの親まりさだった。
職員が耳を近づけると辛うじて息をしているのに気付き、急いで紐を切断して詰め所に運んだ。
冷蔵庫から出社する前にコンビニで買ったアップルジュースを掛けると、死んでいた饅頭が僅かに息を吹き返した。
「生憎だが俺はオレンジジュースが好きじゃないからな、これで我慢しろよ。しっかし誰がこんな事を……」
悪戯にしては手が込んでいる、このゆっくりから犯人を聞き出し最悪上層部に報告して法的措置を取らねば、
と眉間に皺を寄せながら職員は考えていると、体力を回復させた親まりさはゆっくりと起き上がった。
「ゆゆっ……」
「おー生き返ったか、後で病院連れてってやるから無理すんな、っておいっ!!」
「ゆがぁあああああああああっ!!ゆっぐりざぜでぇええええええ!!!もっどぉおおゆっぐりいぃいいい!!!!」
目が覚めたかと思えば突然と跳ね回り壁に激突しながら部屋を飛び出す親まりさ、到底ゆっくりとは思えない速さで部屋を抜けた親まりさを呆気に取られた職員も慌てて後を追う。
角を曲がって職員用のトイレに駆け込む親まりさ、あまりの俊敏さに職員の足でも追いつけない程だ。
「どうしたんだ!!待てよ!!」
「でんじゃざんどまっでぇええええっ!!!ゆっぐりぃいいいっ!!!!」
息を切らせてトイレに向かった職員はそこで小便器に顔から突っ込んで餡子を吐き切り死に絶えた親まりさを見つけた。
「……どうなってんだこれ……」
最高速度100km/hというゆっくりを探求するナマモノには想像を絶する程のスピードを日中体感し続けた親まりさは、
中枢餡に深刻な傷を受け、常に超高速で走り続けている幻覚を見るまでに狂ってしまっていた。
親れいむは宛ら大地を駆け抜ける電車の様な勢いで永遠にゆっくりし、その姿を目撃した職員はただただ怪訝な顔をして首を傾げるしかなかった。
END
あとがき
主人公の一連の行いは電汽車往来危険罪が適用されるので犯罪です。絶対に真似しないで下さい
今まで書いたもの:
anko2338 うどんげとPSPと睾丸マッサージ
anko2310 殺ゆん鬼
anko2270 超弩級饅頭ゆっくり赤れいむ
anko2242 ゆっくりのお家を蹂躙してみよう
anko2219 ゆっくり爆発していってね 後編
anko2218 ゆっくり爆発していってね 前編
anko2166 ゆっくり虐殺お兄さんの休日
anko2155 いつか見た赤染め姉妹たちの憧憬
anko2125 ゆっくりおうちせんげんの末路
anko2103 ゆっくり熟年離婚
書いた人:おおかみねこあき
最終更新:2010年10月09日 16:54