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真紅と昼寝とイタズラ」を以下のとおり復元します。
真紅「ふぁぁ…流石に、お昼になると眠いわね…」 
翠星石「大丈夫ですかぁ~?そーいう時は、一回昼寝したほうがスッキリするですぅ。」 
ラウンジで食事を取った後、そんな話をする真紅と翠星石。 
真紅「…そうね。少しの間、保健室で昼寝してくるわ。もし、午後の授業の開始前までに起きなかったら、起こしに来て頂戴。」 
「了解ですぅ」と翠星石。 
こうして、重い足取りで保健室に向かった真紅。幸い、保健室には誰もいないようだ。 
真紅「…全く、ここもしばらく見ないうちに、酷い事になってるわね…。」 
見るとそこは、水銀燈の私物で溢れかえっていた。 
いつも昼寝や仮眠の際に使っているうちに、さらに快適な睡眠環境づくりを追求したようで、アロマグッツや、冷温庫、そして、ご丁寧にベッドの上には『予約席』のプレートまで置いてある。 
「…まあいい、後で持って帰らせよう」と思いながら、布団に入る真紅。よほど眠たかったのか、ものの数秒で彼女は眠りに落ちてしまった。 

布団の中で、まどろむ真紅。そこへ突然、「ガラッ」という音が聞こえてきた。 
どうやら、誰かが保健室に入ってきたようだ。 
何か言われれば出て行けばいいと思っていた真紅だったが、その来訪者はいきなり真紅の顔を触りだした。 
真紅「な、何する…痛っ…いだだだだだだ!!」 
突如、目の周りに走る激痛。その痛みのせいで、思うように目も開かない。 
どうやら、メンソレータムか何かを顔中に塗られたらしい。 
うめきながら、手探りで水道の蛇口を探す真紅。 
しかし、やっと目が開けられる状態になったときには、もう犯人の姿はなかった。 

真紅「翠星石ぃ!!」 
怒鳴り声と共に、職員室のドアを開ける真紅。そこにいた全員がすくみあがる。 
翠星石「な、何ですか!?」 
真紅「あなた、また私にくだらない事をしてくれたようね…!おかげでこの通り、目も真っ赤になってしまったわ!!」 
翠星石「お、落ち着くですぅ!!いったい何の話ですか!?」 
真紅「とぼけないで!!あなた、また私にくだらない悪戯を仕掛けたでしょう!?」 
翠星石「ちょ、ちょっと待ちやがれですぅ!翠星石は、あれからずっとチビ共と一緒にいたですよ!?何でもかんでも、翠星石のせいにするなですぅ!!」 
金糸雀「そ、そうかしらー!翠星石は無実かしらー!」 
真紅「じゃあ、水銀燈!あなたの仕業ね!!」 
水銀燈「あらぁ…残念。私もこの3人と一緒にいたのよぉ。水泳部の部室でねぇ…。」 
話を聞くと、どうやら翠星石、金糸雀、雛苺、そして水銀燈の4人は、水銀燈が受け持つ水泳部の部室で一緒に遊んでいたらしい。だから、無実であると主張する。 

真紅「おかしいわね…これじゃあ容疑者がいなくなってしまうわ…。」 
翠星石「どういう意味ですか!?大体、こーいうのは最も犯人じゃないっぽい奴が、犯人ってのがセオリーです!ということは…蒼星石!おめー、なんて事しやがるですか!?」 
蒼星石「ちょ、ちょっと待ってよ!!僕だって、ずっと教室で生徒と話をしてたよ!?」 
翠星石「じゃあ、薔薇水晶!おめーが犯人ですね!?」 
薔薇水晶「わ…私も、放送部の顧問として放送室で生徒と…」 
翠星石「雪華綺晶は!?」 
雪華綺晶「…戦車、整備してた。」 
翠星石「それを証明できる人は!?」 
雪華綺晶「…いない。」 
翠星石「見つけたですぅ!こいつが犯人ですぅ!!」 
そう高らかに宣言し、雪華綺晶を指差す翠星石。言われた雪華綺晶は、「違う…」と泣きそうな目をして訴える。 
翠星石「う…泣くなですぅ…。泣けば許してもらえると思ったら、大間違いですぅ。」 
水銀燈「ちょっとぉ…。雪華綺晶は、本当に無実かもしれないわよぉ…。もしかしたら、ラプラスや校長、それに生徒たちの誰かかも…」 
真紅「…違うわ。犯人は、この中にいる…!!」 
『名探偵くんくん』を毎日欠かさず見る彼女は、そう断言した。 


翠星石「ど…どういうことですぅ?」 
真紅「私の勘だけど、多分犯行に使われたのは『メンソレータム』か『タイガーバーム』みたいな薬品だと思うの。でも、保健室でそれを探してから犯行が起こったわけではなかったから、計画的犯行だと考えられるわ。」 
翠星石「そ、それがどうかしたですか?」 
真紅「…でも、私に隙が出来るまで待つのは、自分で言うのもなんだけど結構骨が折れる事だと思うのよ。 
と言うことは、普段からこれらの薬品を常備しているもの…もしくは、『今日、私が確実に保健室で寝る』という事を知る者でなければ、犯行は不可能…。 
つまり、男がこういうことすると言うのは、まず考えられないと思うの。」 
薔薇水晶「なるほど…」 
真紅「加えて、生徒がこんな事するとは到底考えられない…」 
蒼星石「…確かに、そんな度胸は無いだろうね…」 
真紅「雛苺、あなた達の…」 
雛苺「ヒ、ヒナじゃないもん!!翠星石がごはんに睡眠薬混ぜて、水銀燈が塗りに行っただけだもん!!ヒナと金糸雀はアリバイ作ってくれって言われただけだもん!!」 
何を勘違いしたのか、勝手に犯行の自供を始める雛苺。あまりの展開に、皆言葉も出ない。 
が、次の瞬間、水銀燈、金糸雀、そして翠星石はクモの子を散らすように逃げ出していき、それぞれの『天敵』がそれを追いかける。 
薔薇水晶「銀ちゃん…!」 
真紅「金糸雀!待ちなさい!!」 
蒼星石「翠星石!君って人は!!」 
…結局、勝負は一瞬で決まり、犯人たちはみな職員室に連れ戻されていった。 


翠星石「ひぃぃぃぃぃ…!!他の3人はお説教と反省文だけで済んだのに、こんなの不公平ですぅ!!もうしないから、許しやがれですぅ…!!」 
ヘリから宙吊りにされ泣きわめく、今回の事件の首謀者、翠星石。 
いつも自分だけでやると結局ばれてしまい面白く無いので、今度はみんなで完全犯罪を目論んだというのが、今回仲間を募った理由らしい。 
そんな、一向に反省の見られない行動、そして皆に罪をなすりつけようとしたこと等から判断した結果、情状酌量の余地無しとして、雪華綺晶により今回のお仕置きが実行されたというわけだ。 
宙吊りにされた翠星石の耳に、無線越しに雪華綺晶から温かい激励の言葉が聞こえてくる。 
雪華綺晶「…泣けば許してもらえると思ったら大間違いだって、自分でも言ってたよね…?」 
翠星石「こ、今回は特例ですぅ…!!もう、しませんからぁ…!!」 
雪華綺晶「…じゃあ次は特例で、地上すれすれを飛ぶからね…。足縮めて無いと、大怪我するかもしれないけど…。」 
その言葉に、なおいっそうの悲鳴をあげる翠星石。 
その後、生きて地上に降りられた時は流石に、「もう、イタズラなんかやめようかなぁ…」と思ったそうな。 


おしまい。 

復元してよろしいですか?

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