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アリス・ゲーム - (2006/04/04 (火) 05:11:39) の編集履歴(バックアップ)


~アリス・ゲーム~

 ここは有栖学園、まだ創立して浅いものの他校と比べればそのいろんな意味で実績は決して劣りはしない。その有栖学園は校長も然ることながら教師陣も決して侮れない個性と言う名のオリジナリティに溢れていた
 今宵、その有栖学園で起きた決して明かされない一つの事件を紹介する・・・・


 時刻は午後9:40本来なら誰も居ない時間であるが今日は数人の教師が残っていた
金糸雀「な・・・なんで・・・こんなことになったのかしら・・・・」
 いつもの元気は無く嗚咽混じりの声で教師の一人金糸雀は呟く・・・
蒼星石「校長が・・・校長がゲームを開始したから・・・だよ・・・」
 その横で冷静に、しかしいつもの凛とした声は無く答える蒼星石
 そう、ゲームは開始された・・・校長の起こすゲームにしては最も残酷で決して開けてはならないゲームが・・・
 そのゲームの名は・・・・ ”アリス・ゲーム”

 20XX年、少子高齢化に悩む日本はある法案を可決する、AG(アリス・ゲーム)法・・・
 その法案は20XX年初頭荒れた日本を直そうと教育委員会は極秘計画を発動させていたことから始まる
 数年後、一人の委員から驚くべき内容の計画書が本部に手渡された、それは子供が真面目に育たないのは教師が原因/95%と言うサーチ結果を元に計画された計画であり・・・教師同士を殺し合わせ一番優秀な教師のみを選抜させ将来の子供の質を向上させようというものであった
 何故殺し合わせる必要があったのか・・・それは20XX初頭、未成年が関与する凶悪事件が多発していた時代教師は無力であった、子供の凶行をとめる術を持たず、ただ言われるままに上から言われた事のみをこなし、時間外の子供の行動には一切興味を持たなかったからである
 その為、教師・親に隠れ凶悪犯罪に発展する事が多発し教育委員会は重い腰を上げたのだ。
 この法案が可決された時は大ニュースになった、当たり前である・・・死刑すら躊躇う国でありながらまっとうな人間を殺し合わせるのだから・・・しかし、この法案が可決された年は運が悪い事に教師による暴行事件・未成年による凶悪犯罪・教師のいじめによる生徒の自殺等が重なった為に反対派は発言力が異常に弱かった
 この影響を受け、各学校では教師が各自各々己を鍛え上げ生徒の行動を常に監視するという従来では考えられないような状態に陥った・・・しかし、これらの事が影響し少年犯罪等が激減、己の子を預ける父兄からは絶大な支持を得た為にこのAG法は以後覆る事が無くなってしまったのである。そして現在の有栖学園惨状に至る・・・・


~序章/奪われた平穏~

 時は遡り時刻は午後8:00、今日の仕事を終えた蒼星石は自宅に戻り一時の休息を楽しんでいた・・・そんな時
「トゥルルルルルル」
 電話が鳴り響き電話に向かう蒼星石、その時は翠星石が食事の誘いでもしてくるのだろうと思っていたが・・・
蒼星石「はい、もしも・・・」
ローゼン「午後9:00までに大至急学校に来て、自分のクラスに行って下さい。ガチャッ」
 蒼星石が喋りきる前に用件のみを伝えて急いで切るローゼン
蒼星石「一体なんだったんだろ・・・・」
 そして何のことだか判らない様子でぼやく蒼星石、この時異変に気づいていればいくらでも対応は出来たのだがそれは最後まで叶わなかった
 午後8:45真っ暗な学校に到着する蒼星石、何故か自宅から学校に行くまでに誰にも合わなかったが気にせず学校に向かう。そして学校に着き教室に向かう蒼星石・・・しかし、教室に入る前に異変に気づく・・・
 蒼星石の足音と寸分狂いなく一緒についてきてる謎の人物が2人・・・いや服装からして明らかにこの国の軍隊の者であるのは明白であった
蒼星石「あ・・・あのー・・・なんでここに居るのでしょうか?」
 恐る恐る聞く蒼星石、しかし軍人2人は無言のまま立ち尽くす・・・・・
 もう全てが異常であった、急な呼び出しに軍服の男2人・・・この場を支配するのは謎と言う名の恐怖であった・・・そんな時
ローゼン「皆さん来てくれたようですね、こんな遅い時間に申し訳ございません」
 この緊張をほぐすようにローゼンの放送が流れる、一瞬ホッとする蒼星石、そして他にも呼び出された人が居る事に気づく
ローゼン「では教室に入ってください」
 そんな放送を聞き男2人を気にしつつも教室に入る蒼星石・・・そしてそこで絶句する
 教室には机と椅子が無かった・・・代わりに中央に同僚ラプラスの首だけが置いてあった
蒼星石「・・・・・・うぅ・・・」
 変わり果てた同僚を直視した蒼星石は手を口にあてる・・・そして何か込み上げてくる物を必死に押さえ込む、遠くでは悲鳴が聞こえた・・・恐らく他の場所でも同じような事が起きてるに違いない・・・
蒼星石「い・・・一体何が起きてるんだ!」
 敵意の混じる声で軍服の男に怒鳴る蒼星石・・・そして男が驚くべき言葉を発した
男1「AG法」
 そうAG法・・・教師なら誰でもわかる法案、そして悪魔のゲーム・・・
 そのゲームに参加させられたら決して逃げられない、そのゲームに参加してしまったら友を殺し生き延びるしか術がない。そして、そのゲームに反対をしたものは先ほど教室でみたばかりのラプラスのようになるのがこのゲームの常識であった
蒼星石「そ・・・そんな・・・な・・・なんで・・・ま・・・まさか」
 カタカタと震えながら必死に否定の言葉を上げる・・・
 しかしそんな蒼星石を全く気にしない様子で軍服の男はリュックを蒼星石に投げつけた・・・そして放送がそれを見ていたかのように流れる
ローゼン「もう皆には至急品は届いたかな?その中にはランダムで武器と水が入ってるよん♪」
 いつものローゼンのような声だが、その声には確かな恐怖と懺悔が混ざっていた・・・・
 あの校長が・・・どんなことがあっても決して生徒と教師を見捨てなかった校長が・・・あのローゼンが折れたのだ
 蒼星石は静かにもう逃げられないのだと悟った・・・


~次章/ゲーム開始~

 時刻は9:00になった・・・そう、つまりゲーム開始の時間である
ローゼン「では予定時刻になりました、皆さん頑張って殺しあってください♪ガチャッ」
 そして放送は切れる・・・・
 蒼星石はすぐさまリュックを奪い体育館の裏へ走り出した・・・数年前の約束が頭に浮かぶ・・・
蒼星石「もしも万が一AG法に触れたらどうしよう・・・」
翠星石「その時は二人で逃げ切ってやるですぅ」
蒼星石「あはは・・・君らしいや」
翠星石「からかうなですぅ!翠星石は本気ですぅ!もしもなったら体育館裏で会うのですぅ!」
蒼星石「大丈夫、僕は誰にも死んで貰いたくないから」
 あの頃はこんな事になるとは思ってもみなかった・・・しかし、確かに翠星石は体育館裏で会うと言ったのだけは覚えていた、その記憶だけが今の蒼星石には頼りだった、彼女の親友であり頼れる友である翠星石と会う・・・それだけで今は満足だった・・・
 そして体育館裏に到着し・・・肩から血を流してる友を見ることになった・・・
蒼星石「翠星石!!!!!」
翠星石「!」
 一瞬の事で我を忘れ叫び駆け寄る蒼星石・・・
 その叫びに驚く翠星石だが声の主が蒼星石で安心し蒼星石にもたれかかる様に泣きつく翠星石
 しかし傷ついた翠星石を優しく抱きしめる蒼星石は複雑な顔をしていた
蒼星石「と・・・とにかく傷の手当てをしなきゃ」
 やっと思考が追いつき手当てを開始しようと声をかけた瞬間
 ドパパパパパパパパパパパパパ!!!!と遠くでマシンガンのような銃声が聞こえ、ハッと顔を上げる2人・・・
 銃声が聞こえたということは少なくとも1人はこのゲームに乗ってしまったのである
 顔を曇らせる蒼星石、それとは相対的に怒りの形相で教室の方を睨む翠星石
 そう平穏な時間はもう戻ってこないのだ・・・


 一方銃声の主水銀燈はアリス・ゲーム最大の敵となるであろう雪華綺晶と対峙していた
 二人の距離はおよそ15m・・・銃での撃ち合いが頃合の距離であろうかなかろうかの距離である
 しかしここは校舎、障害物と曲がり角の多さで相手に命中させるのは至難の業であろう
 無言で手にした銃、ベレッタM92Fを雪華綺晶に構え撃ち込む・・・
 弾倉に15発入る半自動拳銃で安定性のある拳銃である・・・
 だがそれに対する雪華綺晶の獲物はイングラムM10というサブマシンガンで装弾数30発、更に連射のスピードがかなり速い銃である
水銀燈「くぅ・・・」
 水銀燈は己の行動を悔やんだ・・・
 リュックを開けたとき入っていたのは拳銃で、これなら自分が勝ち残れると思ってしまったのが間違いであった
 すぐさま教室を出て遠くに見えた人影に向かって撃ち込んだのが最大の失敗だったのかもしれない・・・
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