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池沼唯とムギの恋 3

池沼唯とムギの恋(その3)


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月曜日

ガラガラガラ

梓「ふぅ。みんなおはよー。眠い…」

憂「あ、梓ちゃんおはよう。見て見て。今朝学校に来たらね、校舎中にこんなビラが貼ってあったの!」

憂はどこか嫌味な形に口を歪め、梓の肩を抱くと一枚の紙を手渡した。
『桜が丘女子高等学校の音楽教師、山中さわ子は天使の障碍者、平沢唯を虐待・差別したあげく
 琴吹紬と淫行に及ぶ淫売につき即刻解雇すべし! 知的障碍者差別是正運動の会(仮称)一同』
赤いマジックで汚らしく書き殴ってある。
ビラに目を通した梓が絶句すると、勝ち誇るように言った。

憂「一体誰がこんな手の込んだことしたのかしら。やっぱり正義の味方っているのかしらねぇw」

梓「憂…あなた―」

女子A「でもさー山中先生×琴吹先輩ってむしろおいしいよね」

女子B「凛とした山中先生とお嬢様な琴吹先輩の身分を超えた恋!」

女子C「萌えるね」

女子A「でしょ?」

女子C「それにこの天使のしょうとくしゃ?平沢唯ってあの有名な池沼でしょ?ほらあの大ブブブー事件の」

女子B「大ブブブー事件ってまさか…」

女子A「池沼が学校中にうんちをまき散らして一週間学校が休学になったっていうあの…」

女子C「そうそう。私、部活の先輩から聞いたもん。先輩たちの中では池沼の唯豚とかって伝説になってるらしいよ」

女子A「通り名までついちゃってるんだ。しかも豚てw」

女子C「なんか豚みたいな体格してるうえに豚って罵ると大喜びするんだってw」

女子B「話を聞いてるだけだと笑えるけど本物には絶対会いたくないよね」

女子AC「うんうん」

女子B「もちろん知的障害者の人みんなが悪いわけじゃないけど、そこまでいくと差別されても仕方ない気がするな」

女子A「池沼だからうんち漏らしていいってわけじゃないもんねぇ。そもそも不当じゃないのに差別っていうのがおかしいよね」

女子B「豚みたいな池沼でしかも豚が好きなら養豚場で暮らせばいいのに」

女子C「でもお肉は絶対食べたくないw」

女子A「たしかにw」

憂「くっ、本当に馬鹿ばっかりね!」

梓は憂を睨みつけたが、憂は素知らぬ顔で席に座って教科書を開いた。

―――

さわちゃん「失礼します」

教頭「何の話かはわかっているね?」

さわ「はい」

教頭「まったく…。だから私は池沼学校を作るなんて反対だったんだ。
   目先のことしか見えない偽善の狸どものせいで私が尻拭いしなくちゃならん。まぁそれはいい」

教頭は例のビラと紬とさわ子のデート中の写真(職員室の扉に貼られていた)を取り出して机に置いた。

教頭「池沼唯を虐待云々はむしろボーナスをやってもいいくらいだが、淫行はいかんよ山中先生。
   しかもよりによって琴吹家のご令嬢が相手とは…。やるならバレないようにやりたまえ」

さわ子は下品な揶揄には答えず黙っている。

教頭「うちは私立校だ。しかも名門の女子高だ。評判の商売なんだよ。
   きみも社会人ならそれはわかるね。一応聞いておくがここに書いてあることは事実かね?」

教頭はいやらしい笑みを作って言う。

さわ「はい。すべて事実です」

教頭「羨ましい限りだねまったく…。私もおこぼれに与りたいものだな。ひひっ
   しかしだ、しかしこれが琴吹家のご父兄の耳に入ってみろ。くそっ俺がクビになったら責任取ってくれるのかね山中先生!
   まったく…私は個人的に山中先生には目をかけていたというのに…くそっ!
   …だが幸いにも琴吹家はお嬢様の教育を全面的にうちに任せておられる。
   どうかね君の方から紬さんに事を荒立てないよう口添えしてもらえないだろうか。そしたら穏便に辞めさせてあげよう」

さわ「むぎ…琴吹さんも騒ぎにすることは望んでいないはずです。謝罪も私に行かせてください。」

教頭「はっ!それで終わればいいがね!まったく…」

さわ「教頭先生に一つだけお願いがあります。聞いていただけないでしょうか」

教頭「それを聞いたら今晩2人で食事に行けたりするのかな?ふひっ」

さわ「いいえ、それはお断りします」

教頭「まったく、ユーモアも解さないのかね山中先生は!さっさと言って出て行きたまえ。まったく…」


―――

ガラガラガラ

紬「さわちゃん!」

さわ「ムギちゃん…どうして…授業中でしょ?」

紬「そんなことはどうでもいいです!その…偉い人に何か言われたりしたんですか…?」

さわ「まぁ…ね。私も一応社会人だからね、責任は取らないと。」

紬「そんな…!悪いのは私です!私が無理矢理…。さわちゃんは何も悪くないです。ぐすっ」

さわ「そんなこと言わないで。私もムギちゃんに好きって言ってもらえてすごく嬉しかったんだから。でも…ね。
   教師が生徒を傷つけるなんて。ごめんね、ダメだね私。」

紬「ふぐっ私が…私が…」

さわ「ごめんね…。明日、ムギちゃんのご両親にお詫びに行くわ」

紬「お詫びって…何を謝るの?」

さわ「その、色々ご心配をおかけしちゃったから…」

紬「パパもママも関係ないです!私、ほんとにさわちゃんのこと好きだったんだよ?謝ったりしないでよぉ」

さわ「ムギちゃん…」

さわ子は紬の肩を撫でると、背中を向けた。

さわ(最後ぐらい大人で、教師でいないと)

紬「お願い、行かないで、さわちゃん」

紬がさわ子の背中に縋り付いた。

さわ「ごめんね…。これからいい恋をたくさんして、もっともっと綺麗になってね」

さわ子が紬の手を握って言う。

さわ「それと、軽音部は同窓会として存続させてもらえることになったから。
   部費は出なくなっちゃうかもしれないけど、文化祭にも出られるわ。
   いい先生がいたら顧問になってもらってね。それじゃ、さよなら、ムギちゃん」

さわ子は早口に言い終えると、紬の手を離して歩き出した。
もう零れる涙をとどめることはできなかった。

紬「さわちゃん!先生!うわぁぁああん」

紬は顔を覆って号泣した。生まれて初めて味わう喪失だった。

―――

憂「あらあら、フラれちゃたみたいですねぇw」

肩を震わせてしゃくりあげる紬の背後から、いつの間にか現れた憂がさも嬉しそうに言った。

憂「やっぱりあのビラの件ですかぁ?一体誰があんなことしたんですかねぇ。
  でもぉ知的障碍者を差別するような人が教師になるっていうのがぁそもそも間違いですよねぇ~。
  天罰っていうんですかねこういうのw琴吹先輩もォああいう悪い大人と一緒にいたら心が汚れちゃいますよぉ?
  気を付けてくださいねぇ。ハハッ」

憂は拳を握りしめて俯く紬の顔を満面の笑みで覗き込むと、満足げに高笑いして去って行った。

紬は憂が去ってからもその場を動けずにいた。
硬く握りしめた拳からは血がしたたり落ちている。

紬「絶対に許さないッ…!」

紬がそうつぶやいたとき、涙は止まっていた。

―――

一方その頃のなかよし学級では…

唯「あ~う~ぶーぶーいいこいいこれす(^oo^)」

たかし「ゆいぶたがおもちゃもってきてる!」

唯「あう?ゆいおもちゃもってないれすよ('oo')」

たかし「もってるじゃねーか!がっこうにおもちゃもってきちゃいけないんだぞ!」

唯「んひぃっ("oo") ゆいのぶーぶーおともらちれす!たかしくぶーぶーかえす!("oo")」

たかし「うるさい!せんせいのかわりにおしおきする!」

ドカッボキャ

  びぇぇぇーーーん!!ゆいのぶたさーーん!! ("oo")

                  ____
             ,,. :': :´: : : : : : : : :\
          >: : : : : : : : : : : : : : : : : :ハ
        ∠: : : : /: : : i: : : : : i: : : : : :i: : : !
         /: : : :ト ,/l: : : : : |i: : : : :. !: : : !
         .|: : : : .ト.|/ l: : : : :ト\: : : :l: : :: !
         .|/ ,: :|: l. __ ∨\|.___丶i: :.|: : :ハ
        /: : :/: :∨(O)   (O ) |\|ヽ: : ハ
        /_: :.〈: : : 〉〈 〈 (O O)〈 〈 |/|丿:::__l
         〈: 丶:(  〉 〉.i'⌒ヽ 〉 〉': :.ノ: :_|
        _/ \:\_〈_ ゝ_ノ _〈./: : /\/
       /      ',  / l∨l /     \
 グシャ   !_    _',____\/ノl./       \
 ____〈 )/ ̄   \\/          \   
 |\::::::ゞ <>()<>_/      _         ハ  
 \ \ (^oo^)\ に|      /          ハ  
   \ \___:\└--‐‐‐"~\   ┌─┐ /ゝ 
    \|   巛 )___,, -‐┤.    ゝ__ノ/ヽ ゝ 

いつもの日常が繰り返されていた。

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一週間後・平沢家

唯「うんたん♪うんたん♪うーい!ゆいうんたんじょーずでつよ(^q^)/ うんたん♪うんたん♪」

憂「お姉ちゃんうんたん上手ね~♪」

唯「あうあうー!うんたん!うんたん!うんたん!うんたん!ゆいはうんたん♪じょーず!(^q^)」

憂はいつもは軽くあしらう唯のうんたん上手アピールをよいしょした。
すこぶる機嫌がよかったからである。
件のビラ事件の後、音楽教師、山中さわ子は退職した。一身上の都合と説明されたが、だれがどう見ても引責辞職であった。
そしてもう一人の標的である紬も、あれから学校に来ていなかった。
ここまで効果があると思っていなかった憂はほくそ笑む。

憂「さーて、次は何をしようかしらね。梓ちゃんでもいじめようかしらw」

あれ以来、梓は憂に対して露骨に敵意を見せるようになった。
会話はもちろん目を合わせようともしない。
二人の共通の友人である純も梓の側に立ったようで同じ態度を取っている。

憂(ま、いつものことだしどうでもいいけどね)

実際、憂には今まで本当の意味で友人と言える存在は一人もいなかった。
仲良くなっても、すぐに離れていく。
原因はいつも直接的にも間接的にも唯であった。

唯「あうー!あずなん!ゆいあずなんつきでつ!ムチュウ(^ε^) 」

憂「ププッ。そうだ下駄箱にお姉ちゃんのオムツを入れてやろうwあーこれ登校拒否っちゃうかもw」

ピンポーン

?「宅急便でーす!」

憂「あらあら。噂をすればお姉ちゃんのオムツだわ。はーい今行きまーす」ドタドタドタ

いつもの介護用オムツ(特大サイズ)の宅配だと思った憂は何の疑問も抱かずドアを開けた。

ガチャ

バチバチバチッ

ドアの先には二人の男がいた。宅急便って二人で来るものだっけと思ったときにはもう憂の意識は飛んでいた。

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A「お嬢様、準備はすべて終わりました。ご注文の品も揃えてあります」

紬「本当にありがとうございました。私の我がままに付き合わせてしまって…」

A「いえそんな。私はお嬢様に命を救われた身ですから。お嬢様のためならこの身を張る覚悟です。
 それにこの池沼どもはお嬢様にとんでもないご迷惑をかけたとか…。何回殺しても足りないぐらいですよ」

紬「本当にごめんなさい。一生に一度の我がままにします。それでは何かあったらお呼びしますね」

A「はい。それじゃ詰所で待機しとります」

ここは琴吹家の所有する秘密の地下施設である。
学校の教室を一回り大きくしたような正方形で、右側に大きな横長の鏡があるほかは威圧感を感じさせるような暗色の壁があるだけの殺風景な部屋だった。
左右の壁に一つずつドアがついている。

唯「ぐがぁああああぶおもお゛お゛おおおぶすぴー(-q-)」

そこに耳障り極まりないいびきをまき散らす池沼唯とラフな服装をした紬がいた。

紬「さて、まずは憂ちゃんかしらね」

紬は右側の壁についているドアを開けた。

ガチャ

中はちょうど音楽準備室のような縦長のやや手狭な暗い部屋だった。壁際に畳んだパイプ椅子とプラスチックの収納ボックスが置いてある。
先ほどの部屋にあった鏡はマジックミラーになっているようで、こちらからは大の字に寝た唯の姿が見えた。
床には手錠をされ右足に足かせをつけられた憂が転がっている。こちらは麻酔で眠らされていた。

紬「憂ちゃーん起きてー。朝ですよ~」

紬が憂の体を揺する。

憂「う~ん…。あれ…私…な、琴吹先輩!」

目覚めた憂は当然のことながら目の前にいる紬に仰天した。

紬「ふふっ。憂ちゃんおはよー」

憂「何これっ…どっどういうことですか!?こんな、か、監禁?誘拐?こんなことが許されると思ってるんですか!?何をするつもり…?訴えますよ!」

さすがの憂も見知らぬ部屋で拘束され、目の前で紬が不敵な笑みを浮かべているこの状況にパニックになっている。

紬「うーん別に解体して豚の餌にしたりするわけじゃないから安心して。ぶったり蹴ったりしないことも約束するし、遅くても明日中には必ず解放するわ。
  トイレは後ろにあるし、着替えも食糧も水もそこのボックスに入ってる。まぁ貧相な内容で申し訳ないけれど。他にいるものがあれば何でも持ってきてあげる」

憂「そんな…。い、一体何が目的でこんなこと!こ、こんなことして許されるとでも―」

紬「それは自分の胸に聞いてほしいな。まぁそれはともかくあれを見て、憂ちゃん」

紬はそう言ってマジックミラーの先にいる唯を指さす。

憂「お姉ちゃん!?お姉ちゃん!!大丈夫なの!?お姉ちゃん!返事をして!」

紬「鬱陶しいいびきをかいて寝ているだけよ。心配しないで」

壁際にあるボタンを押すと、向こうの部屋の音声がこちらに流れてきた。

唯「ぶんごお゛お゛お゛お゛お゛お゛むふぅゆいはうんたん…ぶたさんんごお゛お゛お(-q-)」

憂「お姉ちゃん…。お姉ちゃんに何かしたら絶対許しませんから。人権擁護委員会に訴えて琴吹グループの地位を失墜させてやります。覚悟してくださいよ」

紬「そんな~。私はただ唯ちゃんと遊ぼうっていうだけよ?憂ちゃんにはそれを見てもらうだけ。解放したら訴訟でも人権擁護でも好きにしていいわ。私は止めないから」

憂「くっ絶対後悔させてやりますからね…」

憂は先ほどのパニックが嘘のように敵意をむき出しにしている。紬はそれを見てほくそ笑んだ。
憂はまだ喧嘩を売る相手を間違えたことに気付いていない。もっとも気付いたところですでに手遅れなのだが…。

紬「あ、そうそう。このボタンを押して話したら私のイヤホンに届くから。何かあったらそれで呼んで頂戴。じゃ、また後でね」

紬はそれだけ言うと小部屋を出て鍵をかけた。


(その4)へ続く
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最終更新:2011年11月02日 19:34
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