『家族』トウマ×シリル(シリアス・381氏)

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2007/03/22(木) 12:51:38 ID:bAJ56cs6 シリルが聖剣シャイニングフォースの力で贄神を倒してからもう1ヶ月経った。 あの時、俺とシリルはお互に相手への想いを打ち明けあい、相思相愛になった。 その時のシリルはとてもうれしそうで、幸せそうで…… 俺も、その時ばかりは幸福に満ちた自分を感じていた。 そして、その後は二人っきりで話したり、手をつないで歩いたり……… 俺は目の前の溢れんばかりの幸せな日々に何不自由なく馴染み、浸っていった。 そんな幸せな日々と、そして、シリルを………最愛の人を残して俺は一人でジオフォートを出た。 それが10日前のことだ。 今頃、シリルはどうしているのだろうか? 悲しんでるかな…… 怒ってるかな…… ………何にせよ、シリルには悪いことをした。 転送装置は置いてきたし、アダムのレーダー機能は廃棄されてしまったらしく、 今はシリルにもジオフォートにも俺を探す手段は無い。 それが分かっていて、それでも俺はジオフォートから飛び出した。 どうしてもやらなければならないことがあったから。 どうしても果たさなければならない約束があったから。 そのために、俺はシリルをおいて、地名も分からない、とある場所を目指して歩いていた。 ごめん、シリル。 俺の大切な人、シリル一人じゃないんだ…… そんな、決して届くはずもない謝罪の言葉を何度も心の中で繰り返す。 振り返っても、もうジオフォートは見えない。 もしかしたら、今は見えないがシリルが追ってきてくれるんじゃないか、などと考えるも、 そんなことは有りえるはずもないことは俺自身がよく分かっている。 当然だな、何せ俺がシリルから離れたんだ。 俺の進む道は今は前にしかない。 だから、俺は後ろ髪引かれる想いを振り払いながら歩き続ける。 私が聖剣シャイニングフォースの力で贄神を倒して3週間後、突然トウマが姿を消した。 トウマが何故失踪したのか、理由は私には分からない。 ……いや、理由なんてどうでもいい。 ただ、トウマにおいていかれた、という事実が辛かった。 あんなに私に微笑みかけてくれたトウマが…… あんなに私が愛したトウマが…… ………私を置き去りにした。 何故? 寂しいよ……… 書き置きの1つも残さずにトウマは行ってしまった。 それから10日が過ぎた今になって、トウマがいなくなっただけで自分がどれだけ脆くなったかを思い知った。 朝、起きたら枕が涙を吸って微かに湿っていたこともあった。 それもこれも、私にとってトウマという存在がかけがえのないほど大きなものであるということを証明していた。 そのトウマがいなくなり、私の心には大きな穴が開いてしまった。 その穴を埋めようと、必死になりトウマを探した。 手がかりは何もないが、それならそれで自分の足を使って探し回った。 たとえ今日見つからなかったとしても明日こそは…… そうやって前向きに考えてみる。 むしろ、そうでもしないと気を抜いた途端に私が潰れてしまいそうで…… 不安定な心を望みの薄い希望でかろうじて抑え込みながら、私はトウマを求めた。 今はない幸せな日々をトウマとともに取り戻し、乾いた心をトウマに潤してもらおうとして。 ねえ……… トウマぁ……… お願い……… 帰ってきて……… 貴方と私の、2本の聖剣は1つになったわ……… だから……私たちも……… ジオフォートを出て15日、歩いてくるにはかなり遠かったが、やっと目的地にたどり着くことが出来た。 そこは道らしき道もない山の中で、木々に囲まれており昼間でも樹木の葉と葉の間から僅かに木漏れ日が射すだけで薄暗い。 ここが俺の約束の地…… ここに来るとすぐに、忘れられない過去の記憶が明確に、まるでたった今も見えているかのように思い出されてしまう。 それは、忘れてはならない記憶。 それは、忘れるはずもない記憶。 それは、俺の中に記憶として残ると同時に、この場所に深く刻まれた記録。 俺の記憶とこの場所の記録が混ざり合い、1つになる。 ……………………ただいま……… 無意識のうちに、声に出た記憶。 ……あぁ…涙を流すのなんて久しぶりだ。 ここは俺の人生が変わった場所。 今も耳に残る叫び声。 絶え間なく聞こえた武器と武器がこすれ合う音すら甦る。 ………今、目の前にあるのは、百を超える……………墓。 掘って、埋めて、掘って、埋めて、掘って……… 過去の自分には相当過酷な作業だったろう。 だが、決して手を抜くことなく作り上げた全ての墓の下には俺の家族とも呼ぶべき人たちが眠っている。 ノスワルドとフィアランドの戦いに巻き込まれて命を落とした家族たちが……… 数ある墓の中でも一番大きい墓に歩み寄る。 墓の前まで行って、そこに眠る人に向かってまずは挨拶をした。 ……ただいま…オヤジ……… ウチの決まりじゃ、族長であるオヤジが認めない限り結婚は許されない。 そして、オヤジが認めた婚約者のみが仲間になることを認められるんだ。 だけど、オヤジが死んじまった今はもう誰も認められない。 たとえ、ここにシリルを連れて来たとしても、オヤジはもう喋れないんだから。 だから、俺は最後に皆に言うことがあった。 墓に眠る皆に語りかけるように俺は喋りだす。 (…皆、あの日、絶対に戦争を終わらせるって約束したの覚えてるか? やっと戦争は終わって、もう誰も無駄に死ぬことはないんだ。 俺さ、戦いを止めさせるために聖剣を抜いたんだぜ。 でも、聖剣だけじゃ戦いを止められなくて苦労したんだよ。 いろんな人と出会って、城なんかも手に入れて、人間と魔族の板挟みになったり…… そんななかで……シリルって子と出会ってさ……… ……………… …俺、シリルのこと好きなんだ。 だから……これからはシリルと一緒にいたいんだ。 ………俺、ここから離れるよ。 でも、皆のこと忘れない。 ………今までありがとう、そしてさよなら…皆…そして、オヤジ…) そう言い終え、俺は首に掛けていたもともとオヤジからの預かり物であった首飾りをオヤジの墓に掛けた。 そして、俺は来た道を戻る。 皆とはこれでお別れだ。 帰る途中、来た時は気付かなかったが墓の近くに身に覚えのない小さな石碑があるのに気が付いて、 何だろうと思いのぞいて見ると石碑にはこう書かれていた。 『我々の愚かな過ちにより命を落とした全ての人々へ 許されることでないことは理解している しかし、我々は我々のもてるもの全てを賭して未来に希望の光をもたらすことを誓う ラグナダーム三世 リームシアン・ラ・ヴァース』

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