2007/08/21(火) 17:03:11 ID:gkkrp2o1 「……遅い」 ジオフォートのバルコニー。 トウマの部屋の外にあるその場所に、魔族の女王が一人佇んでいた。 端正に整った顔を僅かにしかめて、待ち人――トウマの到着を待っていた。 聖剣の力を自陣に引き込む。 その重大な目的を果たすため、リームシアンはわざわざ自分でここまで出張ってきていた。 ルルネーゼルいわくの「知恵の足りない」使いを操り、トウマをここに呼び出す算段は整っている。 ふう、と何度目かの溜め息がこぼれる。 トウマの到着が遅いせいもあったが、この交渉を上手く成立させる見込みがあまり無いことも気を滅入らせる。 是が非でも、力を貸してもらう必要があるのだが。 「うおっ!? お、お前、リームシアン!」 「待ちくたびれたぞ」 ようやくきたトウマが、少し大げさな動きで驚いた。 改めて吐きかけるように嘆息する。 気合を入れて少し早く着すぎたリームシアンにも非があるのだが、そんなことは知らない。 身構えるトウマを上から下まで舐めるように眺めてから、ゆっくりと接近する。 「な、なにしにきたんだよ」 「お前と、改めて話をしようと思ってな」 「へっ。どうせまた、聖剣の