2、未踏の渓谷に行ってみる
「…ここは川に行くのが賢い選択ですかねぇ」
「すたっ、と。さて、にとりは居ますかね」
「おおっと、文さんじゃあないか。今朝は早いねぇ」
早速出会ったにとりは、先日の惨劇を忘れたかの様にけろっとしていた。
「凄いバイタリティですね。散々やられたんでしょう?あの後」
「ははっ、ちょっとバッドフォーチュンとミスフォーチュンズホイールと大鐘婆の火とペインフローと厄神様のバイオリズムと流刑人形を食らっただけ。全っ然大丈夫だぁね。流石に火は効いたが」
ほぼ全スペルを通しで食らっている。スペルカードルール無しで食らっていれば、間違いなく原型を留めていないだろう。
「それで、雛とは仲直り出来たんですか?私が見た限り、もうあれは修復不可能なぐらいにフラグがばっきばきに折れてた感じですが」
「フラグ?何さそれ。まあ、雛は時々ああだから、ほって置けばその内雛の方から仲直りに来るよ」
楽観的。おぞましいまでに楽観的。
「でも、今回は大丈夫なんですか?神社ににとりが行っている間も、その辺りの天狗相手にかなり絡んでたみたいですけど」
「雛が他人に絡む?ちょっと想像出来ないなぁ」
悲しいが実話である。
部下の椛が現にそうであり、「センパイ~、厄神様にボコられました~」と泣きついて来たのだ。
何事かと雛を訪ねればいつも通りであり、「巫女と間違えたんじゃない?」の一言であしらわれた。
しかしよくよく考えれば、博麗の巫女はここ最近、妖怪の山に入る様な事はしていない。
少し前の天気の異変の時は山に入ろうとした所を自分が止めようとしたものだが。
「とりあえず、知らない所である意味の異変が起きていたのです。あんまり楽観視するのは良くないと思います。ここは順当に、お侘びの品も持って、ですね」
「きゅうりとか」
「即猿田彦の先導」
「ひゅいっ!?」
「残念ながら私にはネタにしか聞こえません。ここはやはり、山では手に入りにくい人間の里の物なんてどうでしょうか」
「でも、最近出費が嵩んで…」
「即天狗道の開風」
「ひゅいっ!?」
「その中でも、上手いことやりくりしてプレゼントを用意したら、どんな物かはさて置き、その気持ちに打たれるのが乙女心ってもんです」
「じゃあ、この際どんな安いものでも…」
「即幻想風靡」
「ひゅいっ!?ひゅいっ!?ひゅいっ!!??」
「とりあえずにとりは、乙女心の何たるかを学ぶ必要がある、これはガチです。真剣にそうしないと、これからの未来、バッドフォーチュンですよ。主にスペル的な意味で」
「うぅ~、でも私、女付き合いがほとんど無くて…雛みたいな繊細なタイプは初めてだし…」
「むぅ、まぁ河童ですからねぇ。発明ばっかりの生活、とりあえず河童以外でそんなのが好きな女性は珍しいですし、仕方が無いと言えば仕方無いのですが…」
「じゃあ、文さんがその辺りをバックアップしてくれれば…」
「雛がどんな反応を寄越すかを予想して、マニュアルを書けとでも言うんですか?それともカンペでも出す?…色々と無いです。プレゼント選びぐらいなら付き合いますが、それ以上は何とかしてもらわないと」
「ぁーぅー」
「何処の神様ですか」
「じゃあとりあえず、プレゼント選びからたのんますよ…」
「それなら全然OKです。えーと、何処に行きますかね」
最終更新:2009年05月19日 22:44