俺は、それ以上の行為はしようとはしなかった。
やはり、まだ罪悪感というものはある。
そもそも、ルーミアは二回の絶頂だけですっかり疲れてしまったのか、羞恥に顔を真っ赤にして項垂れている。
見た目通り、あまり体力は無いらしい。
ここは一度、休ませてあげるべきだろう。
真っ先に服を着せてやろうと思ったが、ルーミアの下半身は主に俺の唾液で汚れている。このまま下着を穿かせたりするのは、さすがに不味い。
予め用意していたティッシュで綺麗に拭き取る。まさか、他人に付いた自分の唾を自分で拭き取る様な事があるなんて。
二日前までの俺なら、考えもしなかっただろう。
ルーミアの見た目は、幼女のそれそのものだが、服を着せると言うのは中々に難しい。三歳児ならば容易いのだろうが、とりあえず人間の年齢に当て嵌めれば八から十歳といった容姿のルーミアは、何だかんだで服を着させてやる分には体が大きい、少々無理がある作業だ。
「ルーミア、自分で服、着れるか?俺じゃどうも上手く出来そうにないんだけど…」
ルーミアは、小さく頷いて返事をした。
まだほんの少ししか一緒に居ないが、彼女の今までの振る舞いから予想するに、もし無理な状態だったとしても、弱い所は決して見せようとしないだろう。
一応、調教(?)にへとへとになっている様は、もう十分に弱い姿だと思うので、手遅れな感が否めないが。
しかし、別にルーミアは強がりを見せた訳では無い様で、小さく息を吐き出すと、てきぱきとした動作でブラウスを羽織り、ボタンを掛け始めた。それぐらいは手伝っても良かったのだが、今手出しをすると怒られそうなのでやめておく。
こんな少女に怒られるのなら、是非お願いしたいが、あまり関係を悪くする訳にもいかない。
既に嫌われているだろうが、一応。
ルーミアがスカートを穿くと、白い下着も隠れ、直ぐに闇色のベストを着て、ルーミアは此処に来た時と寸分変わらない姿になった。
どうやら、ルーミアもちゃんと服を着て、気分が落ち着いたらしい。表情も、感情の確認し難い澄ましたものになり、俺に嫌悪の眼差しを向けて来た。
「言っておくけど、今日受けた辱めは決して忘れないわよ。明日をあなたの命日にしてあげるから、覚悟していなさい」
そんな言葉、もう説得力の欠片も無い。
寧ろ、必死に強がってみせようとしている様は、欲情の対象だ。
「ははっ、それじゃ、また夜に」
結構に残酷な言葉だろう。まだ、外は明るいのである。
半日休めば、また体力も回復しているだろう。
そう思って、軽々しく言ってみた。
「っ………あなた、夜にも来るつもりなの?」
ルーミアは、心底驚いた顔をしている。さっきまでのポーカーフェイスは既に崩壊していて、素直な彼女の感情が、表情にも表れていた。
大きな赤い目を見開いていて、少し体を震わせている様だ。
それは、恐怖か、嫌悪感か。
どちらにしても、面白い。
「妖怪は、基本夜行性なんだろ?それに、ルーミアは闇の妖怪だって言うし」
前情報は既に入っている。その通りで間違いは無い筈だ。
「……確かに、そうだけど…………本気?」
本気も本気。
「ああ、別に構わないだろ?」
そもそも、拒否権は与えないつもりだ。
もうさっきの行為で、俺に遠慮という感情は、ルーミアの体を触り、快楽を与える行動までならば、発動しない様になった。
さすがにそれよりも踏み込んだ行動には、感情のストッパーが入る……予定だが。
「くっ………まあ、良いわ。確かに私の本分は夜にこそ発揮される。ふん、高をくくっていれば良いわ。後悔する事になるから」
ルーミアは、今から勝ち誇った様子で小さく固めた右拳を口元に当て、微笑した。
どうやら、夜には余程の自信があるらしい。
となると、さっきの様に簡単に行かない事が予想される。
少し、気を引き締める事にした。
「楽しみにしているよ」
ルーミアに背を向け、立ち去った。
最終更新:2009年02月04日 20:30