1月23日、稜と正美の部屋にて…
「稜、起きて?」
「ん~…あと5分…ん!?」
すると正美は、稜の顔の近づいた。
稜は驚いて、目を開けると、正面に正美の顔が現れていた。
「おはよ!」
稜はがばりと、ベットから勢いよく起きた。
「朝からなに考えてんだよ!」
「何って?キスだけど?」
「そういう意味じゃねぇ!なんで朝からそういう考えが浮かぶんだって聞いてんだよ!!」
「だめ?」
正美は、今にも泣きそうな上目遣いで、稜を見つめた。
「…好きにしろ…」
「やった!!…じゃあ、もう一回!今度は稜から!」
「はいはい…ん…」
稜は正美に、優しくキスをした。
「これでいいのか?」
「ありがと!」
1月14日を境に、正美は、稜にキスを求める回数が、頻繁に多くなっていた。
まるで別れていた日の分を埋めるかのように…
しかし、稜自身も、そんな正美を、拒んでは居なかった。
「あ!やべっ!狐月たちとの待ち合わせ時間ギリギリだぞ!!」
「うそ!?あ!早く行かなくちゃ!!」
こうして二人は、慌ただしく部屋を後にした。
「あ、来た来た、おそいよ~二人ともぉ!!」
「悪い、遅れた」
「大丈夫だ。では行きましょう。」
四人は学校に向かって歩き出した。
「ところでよ…この作戦意味あんの?」
「カモフラージュの意味があるだろう?」
「カモフラージュだけ?」
「他になにが?」
「ぱっとしない作戦ねぇ?」
「ぅ…麻美さん…それ言わないで下さい。」
「「「あはははは!!」」」
なんだかんだ言っても作戦が、板についてきている四人であった。
映倫中にて…
五時間目までが終わり、残り一時間前の休み時間のことだった。
「…六時間目なんだっけ…」
「希河先生の科学だ。」
「いやな授業だな…」
「ねぇ稜」
「ん?どうした?」
「この授業でキスしよう?」
「は!?」
「え!?」
クラスにいた生徒、全員が固まった。
ただでさえ授業中に許されない行動を、あのえげつない教師の授業ですると言う、強烈な一言だったからだ。
「お前また別れたいのか?」
「それはだめぇ!!」
正美は、取り乱したように、稜に抱きついた。
「分ったからくっつくな」
「稜のいじわる…」
正美は拗ねたように、そっぽを向いた。
そんな時、授業開始のチャイムが鳴り、鎌が、教室に入ってきた。
「授業を始めます、風川さん」
「はい」
「このページの文を読んで下さい」
「すみません教科書、部屋に忘れてきちゃいました」
「では神谷君が…持ってるはずないでしょうし…「ありますけど何か?」
稜はわざとらしく、音を立てて、教科書を机の上に出した。
「なんですか?その態度は、それでも君は風紀委員なんですか?」
「そう言う先生も、本当に教師なんすか?」
稜は喧嘩を売るように喋った。
「不良風紀委員が…」
「心がないあんたよりは100倍マシだっつの!」
それは正に、一触即発と言っていい雰囲気だった。
「貴様…」
「なんすか?何か言いたいことでもあんなら正々堂々言ってみろよ!!このムッツリ教師!!!!」
稜は鎌に向かって完全に言い切った。
「言い切りやがった…」
「神谷マジ勇者…」
そして、授業終了のチャイムが鳴った。
神谷稜、貴様に点数があると思うな!!」
鎌は、捨て台詞を吐くと、職員室へ向かって行った。
「あ~!すっきりした~!!」
「神谷ナイス!!」
「どうも…て、綺羅川先生!?なんで居んの?」
なぜか雄介が教室に居た。
「いや~なんか通りかかったらさぁ、お前が希河と口喧嘩してたからさ、見物さしてもらったぜ!」
「…いやそこ止めるでしょう、普通…」
「なんで嫌いな教師との喧嘩を止めなきゃいけねぇんだ?」
「え!?」
雄介もまた、なぜ教師になれたのかと疑問を投げたくなるような考えを持った教師だった。
「なんでこのクラスにはまともじゃない教師が二人も担当になってんだ?」
「何言ってんだ?まともだろ?」
「…(ダメだこれ…)」
稜は、呆れたように顔を抑えた。
「ですが教師としては…」
「う…相変わらず斑は厳しいな…」
こうして、帰りのホームルームも、終わり、それぞれ、帰路につき、稜と狐月は176支部に向かい、正美と麻美は、遼に向かった。
正美と麻美の帰路にて…
「なんかあんたたち、前より仲いいんじゃない?」
「そう、かな?」
「うん、あたしはそう見える」
「でも…私は麻美みたいに強くないから…」
正美は落ち込むように答えた。
「え?」
「だって稜にトラウマって言わせるほどの特訓をしてたんでしょ?」
「まあ、そうだけど…なんであんたは強さにこだわるの?稜が『守る』って言ったんでしょ?」
「だけど…わたしが弱いから…稜は思うように動けなくて…」
「だぁんだそんなこと」
「え?」
「あいつって…一旦決めたことは何があっても曲げないし、貫き通すやつなんだよね、だから正美、あんたが無事な姿で稜の前に居ることが、あいつの喜びみたいなものじゃないの?」
「じゃあなおさら…「稜はそれを望んでないと思うよ?」
「え、でも…」
「じゃあ稜に聞いてみたら?」
「そっか…うん!そうだね!」
「ねぇ、そこのキミたち!」
「「?」」
二人は声のしたほうに振り返ると、6人の不良グループが立っていた。
「あたしたちに何か?」
「今から俺たちとお茶しない?」
「いやよ!あたし彼氏が居るの!これから待ち合わせ場所に行くんだから!」
「じゃあそっちの娘は?」
「わ、わたしも!!」
「へ~、どうせお前と同じで、なよなよしたやさ男だろ?」
「違う!」
「…許せない…」
「は?」
「あたしの幼馴染をバカにするな!!」
「うわ!?」
麻美は、ポケットからパチンコ玉を取り出し、男に向かって飛ばした。
「あぶねぇな…」
「きゃ!」
男は、麻美を地面に押し倒した。
「調子に乗ってんじゃねぇぞ?」
二人はピンチに局面した。
「あんたらもな…」
「あぁ?」
「風紀委員だ、暴行罪及び、恐喝罪で拘束する…おとなしく務所に入ってもらうぞ?」
「なんでだ?!お前の巡回ルートに当たらないようにしたはずだ!!」
「あっそ…でも俺は今、ここに居るぞ?」
「クッソ!殺っちまえ!!相手はたった一人だろ!!」
「「「「「おらぁ!!」」」」」
「多勢かよ…ったく」
稜は、次々と不良たちをノックアウトして行った。
「で?どうすんの?」
「自首します!!」
不良のグループは、まとまって手錠を掛けられた。
「大丈夫か?二人とも」
「大丈夫!」
「どこも怪我してないしね!」
「はぁ~…よかった…んじゃ俺、巡回があるから…」
「ねえ、稜…」
「ん?」
「ううん、なんでもない」
「…じゃ、また後で」
「うん!」
「…やっぱり正美には優しすぎるな~…ちょっと妬いちゃうかもな~…」
「でも…誰かに取られたりしてないよね…」
「あ~、それは大丈夫!稜は嘘下手だから」
「え?そうなの?いつもあんなにポーカーフェイスを保ってるのに?」
そんな話をしながら二人は帰って行った。
午後5時、稜と正美の部屋にて…
「ただいま~!!」
「お帰り!」
正美は、キッチンから出て、稜を迎えた。
稜は、自室のベットにカバンを投げ置き、部屋着に着替え、手を洗った。
「正美、今日はなんだ?」
「えっとね…角煮だよ!」
「マジか」
正美は、鍋の火を弱火にすると、エプロンを外し、ソファーに座って、本を読んでいる、稜の隣に座った。
「ねぇ」
「ん?」
「もしもわたしが、稜みたいに強かったら…どう思う?」
「…別に…」
「じゃあ、稜はどうして強くなろうって思ったの?」
「逆に聞くけど、お前はなんでそこまで強さにこだわるんだ?お前は十分強いのに…」
「わたしが?」
「心がな…」
「そっか…じゃあ稜」
「ん?今度はどうした?」
「稜の強さの秘密を教えて!」
「え!?…ちょっと過去の話で、長くなるけど…いいか?」
「うん、いいよ!」
「わかった…そうだな…あれは二年前のことだっけかな…」
稜はゆっくりと語りだした。
END

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最終更新:2012年01月07日 10:20