ここは、第6学区にあるコンテナターミナル。第6学区を主な活動場所にしている過激派救済委員の溜まり場。

「それにしても、刺界・・・じゃ無かった、その界刺っていう『シンボル』の変人は結局来なかったわね、雅艶?」
「・・・あぁ。俺としても驚いているくらいだ。あの『シンボル』の一員ならば、必ず助けに来ると踏んでいたが・・・」

躯園や雅艶達過激派は、この溜まり場で今後の方針を話し合っていた。
直近では春咲桜へ制裁を与えたことに対する穏健派の出方、中長期的では第6学区をうろついている風紀委員への対策。この2点が主な主題である。

「しばらくは、ここに集らない方がいいのではないでしょうか?一時の間は風紀委員達も第6学区に絞った活動を行うでしょうし。
それに、先程の戦闘にて荒我拳は176支部の風紀委員と繋がりがあることが判明しています。これは、情報の漏洩という観点から見ると大きな問題です。
もっとも、荒我自身も救済委員で『あった』ため、彼等が親しい関係ならば他の風紀委員に私達の情報が漏れる可能性はそこまで高くは無いと思われますが・・・」
「私も七刀君の意見に同意するわ。それに、ここは穏健派にも知られている。もし、今回の制裁に対する報復を彼等が考えているとしたら・・・」
「報復!?・・・雅艶兄ちゃん・・・」
「心配するな、羽香奈。確かに刈野の言っている可能性も十分に考えられる。だが、俺達と全面衝突を果たして穏健派の連中が選択するかどうか・・・可能性は低いと思うがな」
「何弱気になってんのよ、雅艶、羽香奈、刈野。あのクズを助けに来ない時点で、奴等の本音なんて手に取るようにわかるわ。
要するに、私達を敵に回したくないのよ。もし、その覚悟があるなら、あの負け犬や『裏切り者』が来る前に助けに来てもおかしくないわ。
それなのに、連中は私達へ“制裁の中断”というすぐにでもやれる交渉・・・つまり連絡の1つすらよこさなかった。わざわざ、羽香奈からメールを送ったっていうのにね」
「さっすが、躯園姉ちゃん!頼っもしい!!」
「林檎。あなたは私が必ず守るから安心なさい。どう、麻鬼?私の推測は?」
「春咲の言い分はもっともだ。奴等穏健派は総じてレベルが低い、あるいは高くても戦闘に向いていない連中だ。
対して、俺達は皆レベルも高く、戦闘にも通じている。何を企んでいようとも、あんな弱腰の連中に遅れなど取らない。違うか、雅艶?」
「・・・あぁ、そうだな」

躯園や麻鬼の主張は的を射ている。穏健派は自分達過激派との衝突は望んでいないだろう。真実を言えば、自分達過激派も穏健派との衝突は望んではいないのだ。
仮にも、同じ土俵で共に戦う同士である。思考や方針の違いこそあれ、仲間であることには違いない。
今回の春咲桜への制裁は、あくまでも『裏切り者』への制裁と、今後は『裏切り者』を発生させないという強い意思を示したに過ぎない。
ちなみに、荒我と斬山の2人は過激派の中で既に『裏切り者』として扱われている。故に、議題にも上がらない。制裁が決定事項であるからだ。

「だからこそ、奴が・・・あの変人だけは春咲桜を助けに来ると予想していたんだが。どうやら、奴にとって春咲桜とは命を懸けるに値しない存在でしか無かったようだな」
「難しい言葉で言わなくてもいいじゃない、雅艶。つまり、あの出来損ないのクズは一緒に救済委員に入った仲間にも見捨てられたってことよ。ホント、傑作だわ」

躯園の高らかな嘲笑がターミナルに響く。雅艶は、界刺についてこれ以上考える思考を回すことをやめる。今は、それ以上に気を割かなければならない事案がある。

「そうだな。もう終わったことについて議論しても仕方無い。とりあえず、目下の懸案は荒我と斬山、この『裏切り者』達への制裁と穏健派の出方を注視すること。
そして、風紀委員への警戒。以上3点が・・・・・・」
「・・・・・・?どうしたの、雅艶?急に黙りこくって?」

急に黙り込んだ雅艶に怪訝な視線と言葉を発する峠。だが、雅艶は言葉を返さない。その顔には一筋の汗が流れていた。






「な、何だこれは・・・!!?」

雅艶が発した驚愕の声に異変を察知した過激派は、周囲へ気を張り巡らせる。
荒我達『裏切り者』が攻め込んで来たのか。風紀委員に見付かったのか。否、そのどちらでも無い。

「あ・・・あれ・・・。な、何・・・?」

最初“ソレ”に気付いたのは羽香奈。主に、立ち位置的な理由で。
彼女はある方向に向かって指を指す。その方向から聞こえて来たのは・・・轟音。

「あ、あれは・・・!?」

刈野が“ソレ”を見て顔を青ざめる。
“ソレ”は・・・“水”。

「何・・・だと・・・!?」

あの麻鬼すら焦りの色を隠せない。“水”は・・・自分達に向かってくる“水”はただの水じゃ無い。それは、まるで・・・“激流”。
海面に接していないこの場所で起こり得る筈の無い光景。大型のコンテナさえも押し流しながら突き進んで行くその頂上に・・・居る者達。

「峠!!何時でも『暗室移動』で転移できるように構えておけ!!」
「わ、わかった!!」
「おい、雅艶!これは、一体誰の仕業だ!?お前なら、『多角透視』ならその姿を捉えているんだろう!?」

峠に指示を出した雅艶に麻鬼が問い掛ける。そして、雅艶は重い口を開く。
一番可能性が低いと判断した現実が・・・雅艶達過激派に牙を向けるために出現した。

「あぁ・・・。奴等が来た」
「奴等!?それは、一体・・・?」
「穏健派の連中と・・・『シンボル』の変人だ!!」
「何だと!??」

麻鬼は、今度こそ驚愕の声を漏らす。
穏健派は・・・自分達過激派との全面衝突を覚悟してここに現れた。雅艶の言葉からそう察したがために。

「この“激流”を操っているのは、おそらくはあの変人の仲間・・・『シンボル』の一員だろう。それ以外にも・・・風紀委員の腕章を付けている女も居る」
「風紀委員?まさか、穏健派の連中・・・」
「いや、穏健派とて救済委員には変わりない。如何に風紀委員の中に救済委員を認める変わり者が居たとして、それは極一部だ。おそらく、あの変人の伝手か何かだろう」
「・・・確かに。他に俺達の知らない人間は居るのか!?」
「・・・!!いや、他は全員見知った連中だ。だが、これは・・・春咲!!」
「な、何よ!?」

雅艶は麻鬼との会話を中断して、躯園に声を掛ける。
“激流”が差し迫っている恐怖から足が竦んでいる林檎に身を寄せながらも、躯園は雅艶に反応する。

「あの“激流”の頂上に、お前がよく知っている女が居るぞ!!」
「私の知っている?そんな女・・・・・・!!ま、まさか・・・!!」

雅艶の言葉を受け、ある可能性に気付く躯園。
それは、彼女の頭の中から既に消えていた存在。

「あぁ、そのまさかだ!!あの頂上に・・・お前の妹、春咲桜が居る!!!」

顔が驚愕に染まる躯園。それは、林檎や雅艶以外の過激派の者達も同様に。
あれ程の地獄(せいさい)を味わいながら、それでも屈せずに自分達の前に姿を現した春咲桜の『凱旋』に。






「うおおおおおぉぉぉっっ!!!!」
「何を情けない声を挙げているのだ、農条!!だらしがないぞ!!!」
「師匠の言う通り!!これしきのことで・・・ズブズブッッ!!!」
「言ってる傍から沈んでじゃ無ぇよ、ゲコ太!!うおっ!!」
「で、でもこれは・・・。バランスが・・・!!」
「くっ・・・!!あ、あなたと言い、この“激流”と言い、“宙姫”対策で待機しているあの2人と言い、『シンボル』は化物の巣窟か何かですか!?」
「化物呼ばわりは酷いなぁ、リンちゃん。それに・・・君、あのバカ形製を忘れてるよ。そうだ、化物呼ばわりも含めて後でアホ形製にチクっとこう」
「!!そ、それはやめて下さい!!私が形製さんに潰されます!!!」
「にしても涙簾ちゃんの“コレ”・・・久し振りだなぁ。ハハッ、何だかサーフィンで波に乗ってるみたいだ」
「慣れているからって余裕ぶっこいてんじゃ無いですよー!!幾ら作戦だからって、過激過ぎじゃないですかー!?」
「物静かな娘程過激なんじゃないか?さっきのお嬢さんの行動でも思ったけど」
「!!!」
「過激・・・。ポッ!///」
「水楯さん!?別に褒めてなんかいませんからね!?」
「というか、あのことは早く忘れて下さい!!く、くそっ!な、何で私、あんなことを・・・」
「こりゃ、驚いた。お嬢さんの口から『くそっ!』なんて言葉が出るなんて。ってかあれを忘れろって言う方が無理と言うか・・・」
「も、もうー!!!不条理だー!!!!最悪だー!!!!この、バカ界刺ー!!!!」
「春咲先輩・・・逞しくなっちゃって。よーし、だったら私も!この、アホ界刺ー!!!!」
「・・・・・・何だか、形製の言葉が広まりつつある・・・。俺、悲しい」

“激流”の頂上でギャーギャー騒いでいるのは、界刺、春咲、水楯、一厘、農条、花多狩、啄、ゲコ太、仲場。
この“激流”は、水楯の能力『粘水操作』によって操作されている。1000tを軽く超える水量は、近辺にあった幾つかの屋外プールから引っこ抜いてきたもの。
水楯にとって、水とは粒(水滴)の集りという認識である。そう、それはまるで“涙”の如く時には冷たさを、時には激しさを伴って集う集合体。
故に、彼女が操る“激流”とは“激流”にあらず。その姿を見た界刺が思い付きで付けた渾名・・・“激涙の女王”を水楯は気に入っていた。
自分の名前の一部が渾名に入っていることが秘かなお気に入りポイント。但し、恥ずかしくて誰にも言ったことは無いが。
この“激涙”が響き渡らせる轟音こそが、過激派達に告げる反逆の咆哮であった。

「ぶはっ!!ハァ、ハァ。ったく余裕綽々だなぁ、界刺は。俺なんか、サーフィン代わりの小型コンテナの上に乗るのにも一苦労だってね!!」
「こんなもん慣れだ、慣れ。農条も経験を積めばこの乗り心地を楽しめると思うぜ?」
「いやっ、慣れたくなんかないってね!こんなの、今回限りで十分だ!!」

界刺達は“激涙”の上に乗るために、各々に小型コンテナの幾つかが割り当てられていた。
小型コンテナ間は『粘水操作』で固定されているのだが、さすがに水の流れは凄まじく、その上に安定して乗るというのは農条に限らず他のメンバーも四苦八苦していた。
“激涙”の支配者である水楯と、慣れているという界刺は平然と小型コンテナの上に座っている。
何故か啄だけは、農条達のように四苦八苦するどころか不安定な小型コンテナの上に仁王立ちしているが。

「さて、そろそろ向こうさんも気付いた頃合いかな・・・。花多狩姐さん!」
「!!」

界刺が花多狩に問う。

「やれるね?」
「・・・えぇ。やるわ。やり切ってみせる」

花多狩にとって凄まじい覚悟を迫られる“ソレ”を、しかし花多狩は受諾する。その目には、悲愴にも似た決意の光が宿っていた。

「ようし。それじゃあ、皆手筈通りに・・・」
「界刺さん!」
「ん?何だい、リンリン?」

作戦を開始しようとした界刺に一厘が声を掛ける。その手に握られた・・・界刺から預かった“モノ”を胸の前に置きながら。

「春咲先輩のこと・・・よろしくお願いします!!」
「一厘さん・・・」
「うん、お願いされた」

それは、一厘の心の底からの頼み。そこには、嫉妬も何も無い。ただ、純粋に目の前の男を信頼したからこその頼み。
界刺に春咲のことを頼む一厘の顔には、笑みさえ浮かんでいた。それは、彼女の確かな成長。
その一厘の変化に春咲は驚き、界刺は何時も通りの飄々とした態度で応える。

「では、皆さん・・・そして界刺さん。ご武運を・・・!!」
「ありがと、涙簾ちゃん。お前等、絶対にタイミングを外すんじゃねぇぞ!!“燃やされたスーツの敵討ち作戦”開始だぁぁ!!!!」
「「「「「「「「だからそっちいぃぃっっ!!!!????」」」」」」」」

界刺の作戦名に総出でツッコミを入れながらも、“激涙”は勢いを増して突き進んで行く。






「ど、どうするのよ!?私の『暗室移動』で、とっととここから脱出する!?」
「そ、そうだ。あたしの『音響砲弾』であの水を操っている奴に大音量をぶち込めば・・・」
「馬鹿言え!そんなことをすれば、いよいよあの“激流”は操作不能に陥って俺達を飲み込むぞ!?あの勢いだ。まず、逃げられない!!」
「そ、それじゃあ、やっぱり私の能力でさっさと移動するか、奴等の誰かをここへ転移させて・・・。
くそっ!“激流”が不規則に上下するせいで、うまく奴等の座標を計算できない・・・!!」

峠、林檎、麻鬼が怒声を交えながら話し合っているのを余所に、1人雅艶は考え込む。それは、『敵』の襲撃について。

「(あの後、春咲桜は奴等が保護していたのか・・・。そして、『シンボル』の1人であろうあの女の能力を借りてまで俺達に危害を加えようとしている。
つまり、穏健派の連中は俺達と全面衝突する覚悟で来たということ。あの少女に、あの『裏切り者』にそこまでの価値があるのか?理解できん!)」

穏健派の行動原理が読めない雅艶。だが、今はそんなことに時間を割いている余裕は無い。“激流”はいよいよ雅艶達の直近に差し迫って来た。

「峠!!ここは一先ずお前の『暗室移動』で退避する!!連中への対処はそれか・・・」
「キャッ!!?」
「うおっ!!?」
「むっ?どうした、峠!?麻鬼!?」
「空に幾つもの光源が浮かび上がった!!これは・・・」
「・・・駄目!!これだけ明るかったら『暗室移動』が発動できない!!」
「光源・・・!?くっ!!あの『シンボル』の変人の仕業か!!!」

麻鬼と峠の言葉から、光源の存在とそこに込められた意図を理解する雅艶。『敵』は暗闇では絶対的な移動能力を誇る峠の『暗室移動』を封じるつもりなのだ。

「界刺という男の仕業か!!確か光学系能力者だったか!?」
「おそらく。しかし、それ程の光源を生み出せるとは・・・。光学系と言っても既にある光を操るのでは無く、電子制御系能力者のように光を生み出すタイプなのかもしれん!!」

麻鬼の問いに己の推測を交えながら返答する雅艶。実の所、盲目の雅艶には能力で生み出された光源は全く影響が無い。『多角透視』自体も光学系能力は一切無効なのである。
無効・・・すなわち、雅艶には光学系能力で隠されている何かを見付けることができても、光学系能力自体を感知することはできないのだ。
これは、界刺が身を持って体験したことによる推測でもあり、そしてその推測は当っていた。今後この推測に基づくある作戦が行われる予定だが、今の雅艶には知る由も無い。

「ど、どうするのよ!!私の能力は発動できない!!“激流”はもう目の前!!このままじゃあ・・・」
「・・・関係無ぇよ」
「き、金属操作!?」

峠の焦り声に言葉を返したのは、今まで沈黙を守っていた金属操作。その表情には、苛立ちが如実に表れていた。

「あっちが“激流”なら・・・こっちも“激流”をぶつけてやりゃあいい!!!」

前髪で隠れている金属操作の目が見開かれる。その視界に収まる金属―大型コンテナ―が瞬く間に液状化される。高温を伴って。
自ら金属操作と名乗るこの名前は、彼の能力名でもある。厳密に言えば、人名の方は名前の通り金属操作、能力名としては『金属操作<メタルコマンド>』という風に区別しているが。
彼の視界に入る金属は、全て彼の支配化に置かれる。そして、支配下に置いた金属類を自由自在に鋳造する。これが、彼の能力『金属操作』の真髄である。

「ムシャクシャする・・・。イラつきが収まらねぇ・・・。こうなったら、あいつ等をぶっ潰して晴らしてやる!!」

液状化した大量の金属を壁状に集め、“激流”にぶつけようとする金属操作。

「待て、金属操作!!それなら、集めた金属を使って影を作ることで峠の『暗室移動』による脱・・・」
「うらああああああぁぁぁぁぁ!!!!!」

雅艶の制止はイラついている金属操作には届かない。彼の意思により発射される金属の壁が“激流”と衝突する・・・瞬間!!






ザアッ!!!






「!?」

金属操作は意表を突かれる。何故なら、金属の壁と衝突する瞬間、“激流”が中程から真っ二つに裂けたからだ。
まるで、初めからそうするよう構えていたように。でなければ、あれ程の水量を瞬間的に操作することはできない。
金属操作が放った金属の壁との衝突を避け、とてつもない勢いで左右に分かれる“激流”。






プシャアアアアァァァッッッ!!!!






2つに分かれた“激涙”が、更に変化する。それは、まるで水でできた蜘蛛の巣。網目状に張り巡らされた水の道には、等間隔で小型コンテナが設置されていた。

「一厘さん!!」
「わかってますって!!水楯さんもフォローをお願いします!!」

それは、水楯と一厘の能力によってできた、空中を走る水の道。
1個に割ける重量が15kg以下に限られる一厘の『物質操作』によって操作・維持される小型コンテナを、水楯の『粘水操作』にて補助する。
水楯の『粘水操作』では、小型コンテナの正確な設置を行うことができない。そのために、一厘の『物質操作』が設置の役割を負う。
その水の道を、界刺達が駆け抜けていく。各々が小型コンテナに乗った瞬間に『物質操作』は維持できなくなるが、『粘水操作』にて極短時間だけそれを支える。

「(このために、この場所の地図が必要だったんだ)」

一厘は、今更ながら界刺が自分へ依頼して来た件の真意を理解する。水の道を敷くに最適な場所は何処か。
その時に過激派の連中が居る位置次第で最適は変わる。だから、その予測パターンを幾通りも出すために、自分の懺悔すらまともに取り合わずにあくまで地図の伝達を急かしたのか。


『俺って光を操る関係上、周囲の位置取りとかって気にするんだよねぇ』


作戦概要を説明中に界刺が放った言葉を、一厘は身を持って体感していた。だから、この体感を絶対に無駄にはしない。そう、心の中で誓った。
そう思う間に、界刺達は無事コンテナに乗り移った。作戦第1段階がもうすぐ終わる。そして、自分と水楯に割り振られたもう1つの作戦を実行に移す。
それを発動するために少し離れた位置に居る水楯が、水の道を1本の水柱へ変化させる。

「・・・・・・圧縮!!」

突如水の道に敷き詰めた、数多の小型コンテナを取り込んだ水柱が圧縮された。小型コンテナが軋み、あちこちが凹む程に。
その直後、圧縮されて球とも四角とも取れる形になった水の1点に―あえて勢いを付加して―圧縮から開放した水流を集中させる。

「・・・・・・・・・っっ!!!」
「はあああああぁぁぁっっ!!!」


水楯でもコントロールし切れない勢いで、水ごと小型コンテナが放出される時が来た。方向、角度等の微調整は一厘が整える。そして・・・“ソレ等”は解き放たれた。

continue!!

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最終更新:2012年05月19日 18:57