前回までのあらすじ
2月14日に上条当麻を襲った大魔術『告白儀式』(ハートトゥハート)の猛威。
その一旦であるチョコレートゴーレムを上条当麻と御坂美琴は辛くも撃破する。
しかしその代償は大きく(自販機一台、広場周辺の公共物多数破損、ベンチの破壊は青髪ピアス)
上条達は逃亡を余儀なくされた。
逃亡にかこつけて美琴の強引スキルが発動しそのまま地下街お買い物ツアーへと移行。
門限が近くなり美琴と分かれた上条が学生寮に付いたとき再び話が始まった。
□とある世界の『告白儀式』(ハートトゥハート) 最終話 とある空白の『告白儀式』(ハートトゥハート)
時刻は14日の7時過ぎ。
上条はようやく自分の部屋がある学生寮まで戻ってこれた。
ここにたどり着くまで美琴と一緒に地下街をうろうろしてたのだがようやく開放されたのだ。
がちゃり、目の前のドアが開いた。 上条が開けたわけでは無い。そもそもドアノブに触れてさえいない。
だとしたら念動力に目覚めたか? 違う上条当麻は正真正銘の無能力者(レベル0)だ。血管が破裂するほど集中しても胃袋が破裂するほどの錠剤を飲んでもスプーン一本曲げることは出来ない。
いぶかしむような目を向ける上条の前に一人に少女が部屋の中から姿を現した。
ショートカットの黒い髪の毛と二重瞼が印象的な細身の女の子。
「い、五和!?」
自分の名前が呼ばれたのでその二重瞼の瞳を大きく輝かせて五和と呼ばれた少女は満面の笑顔で元気よく答えた。
「はい、アナタのスイートエンジェル、天草式の五和です、名前覚えていてくださったんですね、感激ですね」
呆気に取られる上条の後ろに回りこんだ彼女は強引に背中を押して部屋の中へと上条を押し込む。
「ちょ、ちょっと、なんで五和がここに?」
「まぁまぁ、いいじゃないですか、細かい事はどうでも、それより早く中へどうぞ」
「良くないって!? 俺の場合命の危険ってものが伴うんだってば、特に可愛い女の子が関わると特に」
可愛い、という所で「もぅ、やだなぁ」と上条の背中をバンバンと叩く五和。
そして何より驚いたのは上条の部屋だったはずの空間の変わりようだった。
「なんだコレ・・・」
朝出るときには布団すら隅っこに蹴っ飛ばしただけの乱雑な空間だったのだが、キチンと部屋が片付いていた。
そのうえ部屋の中央に置かれたちゃぶ台にはおいしそうな匂いをさせる料理が並べられている。
和風の肉じゃがを中心にした家庭料理。
「これ、五和が?」
料理を指差して後ろで両手を組んでもじもじする彼女へと言葉を投げると少女は、
「ご迷惑でしたか・・・・?」
上目遣いで申し訳無さそうにうつむき、消え入るような言葉を返して来た。
その質問は卑怯だ――。と心の中で叫んだ上条の頭に3つの選択肢が浮かんだ。
1、ほめる
2、頭を撫でる
3、お礼を言う
誰だよ、この選択肢用意したヤツ、っていっつもこんな展開な気がするのは気のせいですね、そうですね、では3番で、と2秒ぐらいで上条は男として重大な選択をした。
「い、いや、ちょっとビックリしただけだ、ありがとうな」
そう告げると少女はびっくりしたような顔をした。 あれ?選択肢間違えたっけ――。
五和はわなわなと全身を震わせた後に突然何も無い虚空から花を降らし、どこからともなく降り注ぐスポットライトの光の中でくるくるとビールマンスピンを披露し全身で喜びを表現した。
どうやら3番でも良かったらしい。
「おかわり」
上条が差し出すお椀を嬉しそうに受け取る五和。 るんるん♪と鼻歌を口ずさんで電子ジャーからご飯をよそう。
(あー、よかった来て本当に良かった! 恋は・・・・積極的に)
上条へお椀を渡した後に隠れて彼女はガッツポーズを繰り出す。 ちゃぶ台で山盛りのご飯を食べる上条の姿を両肘を突いて楽しそうに見守り、にっこりとした笑顔を向けて
「おいしいですか?」
と聞く。
間髪入れずに「うまいぞ」と返してくれるのを期待して目を閉じ、言葉を待つ五和。
「ええ、非常に美味ですね・・・・私にもお代わりをください五和」
はっ? 少女の耳に女性特有の高い声が聞こえた。 その声は口調こそ静かだが目を閉じたままの彼女へビシビシと伝わる気配は、なんていうか敵意? いやもはや殺気に近い。
ああ、なんかいまものすっごく目開けたくない――。
このまま時間が止まってしまえばいいのに――いやマジで。 五和の可愛らしい顔にだらだらと脂汗が流れる。
「か、上条さん、ず、随分と声が高くなりましたね、五和ちょっとびっくりです」
(ちょ、短いな私のイベント! せめて夕食のシーンぐらい)
あくまでも目を閉じたまま側にいるはずの上条当麻へと助けを求める。
「なるほど、そう来ますか・・・・五和、とりあえずご飯のお代わりを所望します」
お願い、上条さんヘルプミー――。 目を閉じたまま耳に手を当てて五和は切実に少年の声を期待する。
「神ざッ痛!?―」
禁止用語を言おうと口を開いた愛しの少年へすばやく取り出した海軍用船上槍(フリウリスピア) の石突の方でごつーん☆と突っ込みを入れてみる。 その言葉は言っちゃ駄目です――。
「大丈夫ですか上条当麻、絵的にすごく痛そうだったのですが、ここですか?」
「ちょっとそこ違う!?」
(ナッ!大誤算ですかー!? 私とした事が・・・・)
このままあの人物を無視し続けると彼とのどきどき夕食イベントが一変してしまうことだけは間違いない! このままいっても鮮血エンドっぽいのも確かではあるが、それでも女教皇ツンデレイベントよりは100倍マシ!と五和は全力で深呼吸して怯える心とくじける精神を必死に奮い立たせた。
(逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ・・・・駄目だッ!!)
ズサッと勢いよく立ち上がりその人物へビシィと指を突きつけ、五和は、
「なんでアナタがここに居られるのですかぁぁ! 今頃、イギリスの必要悪の教会(ネセサリウス)に居るはずでは無いのでしたか!?」
上条当麻の隣で彼の頭を引き寄せてたんこぶを探すポニーテールの美女に激しい疑問に満ちた言葉を投げる。
「五和・・・・・・、まさかアナタがここに居るとは少々意外でしたが、上条当麻のフラグ体質を考慮に入れれば。なるほど、そう不思議なことでも無かったですね。
とりあえず、久しぶりです、こんばんわ、元気にしてましたか?」
おかげ様でこんなに元気いっぱいです!、ええおかげ様でね、っていうか人のイベント中に割り込まないでください――。
その言葉を呑み込んで五和は別の言葉を用意する。
「ご無沙汰しております女教皇(プリエステス)、でも疑問文を疑問文で返さないで欲しかったりもします」
ビィィィ、バチバチバチ――。
五和と神裂火織の間に見えない電撃が奔りその中間で激しいスパークを放った。
山盛りのご飯が盛られた上条当麻がおろおろとして二人の間を右往左往しているのはこの場合何の解決にもなっていない。
「コレは失礼しました。 ですが位が上の私に指を指すのはちょっとした背信行為なのではありませんか?天草式十字清教の五和」
「普段なら確かに許される行為ではないでしょう・・・・しかし今、この空間では私のイベントの優先度の方が上です!」
ジャキン、と長大な海軍用船上槍(フリウリスピア) の穂先を神裂火織へと向けビシッと左半身へと構える。
その二重瞼の奥の瞳は激しく燃え上がる炎の輝きを放っていた。 徹底抗戦だ――、とでも言わんばかりに。
「お、おい五和、神裂に敵うわけないだろ、怪我するからやめとけって」
止めに入る上条を横に立った神裂が右手で制して五和へと向き直った。
「聖人たる私に挑むと言うのですか五和、その度胸は買いますが、いかんせん無謀といわざるをえませんよ」
「この戦い、いずれ避けては通れない道なれば、この身が砕けるまで、この心が折れるまで、この命尽きるまで戦うまでです!女の子には負けると分かっていても逃げちゃいけない時と意地ってものがあるんですッ。」
「ならば、私もそれ相応の力で答えなければ失礼というものですねッ、本当はイギリスで遺跡の調査していただけなのですが」
ポニテのサムライガールは五和と対峙し腰に下げた令刀の柄へ手を掛ける。
じり、時間が引き延ばされるかのように緊張した空気が張り詰めた瞬間、
「はぁ、汗かいたからシャワーでも・・・・・あれ?お湯でない・・・・アンタ!なんでこんなとこに、っていうか見るなァァ」
そんな台詞とともに突然上条の前に現れた素っ裸の茶髪の女の子が現れ、上条の視線に気づいた彼女に思いっきり電撃を喰らって上条が腰を抜かす。
電撃自体は右手で防御できたみたいだがその顔は、なんだかよくわからないんですけど?と言いたそうだ、彼は両手をバタバタとさせ風呂場へ向かいダッシュで大きめのバスタオルを一枚持って部屋に戻ってきて両手で胸とか隠して背を向ける女の子にバスタオルを差し出す。
「(なんか・・・むかつきます、ていうかあの子誰ですか)」
「(五和、アナタもですか。奇遇ですね、私も少々気に入りません)」
その様子の一部始終を見ていた二人は桃色の空気に少し驚きつつ意見の一致を見て、とりあえず腹いせに海軍用船上槍(フリウリスピア)と七天七刀(しちてんしちとう) の鞘で上条の頭にお仕置きしておく。
『せーの』 ゴツーン☆
「痛ッ!?、なに、なんでいきなり仲良くなってんのオマエら?あと美琴、お前なんて格好で―痛ッ!殴んじゃねぇよ、あとなんかお前体濡れてないか」
「部屋のシャワーで汗流してたはずなのに、なんでアンタは! 覗きとかが趣味だったのか、この変態!」
「覗いてネェ!! 大体ここは俺の部屋だっての!」
「責任取れぇぇぇぇ!!うわーん」
彼の質問は黙殺してい2人の視線はバスタオルを胸に巻いて半泣きになっている茶髪の少女へと注がれる。
14歳ぐらいの女の子、まだまだ発展途上の肉体だが切れ長の目とのバランスは充分に危険分子だ。
「貴方はどなたですか?」と二つの口がそう告げようとした瞬間に空間が軋んで一斉に魔方陣が展開し上条当麻の部屋を眩い光が支配した。
一方その頃のステイルと土御門
「それ渡さなくてもよかったのかい?インデックス、ッ!?土御門!あの子が居ない!」
赤い髪の魔術師が傍らを歩くはずの少女へと視線を投げ、驚愕に目を見開く。
「なんだと! まさかどこかの屋台にでも・・・・・迂闊だったぜぃ、どこもかしこもチョコレート系の屋台がひしめくこの時期の学園都市にあの腹ペコシスターを連れてくるのはデンジャーだったな」
喫茶店を出てしばらくは一緒だったというのに、ちょっと目を離した途端まるで神隠しのように彼女の姿が消えてしまった。 ここは学園都市、魔術サイドの秘密兵器ともいえる彼女がうろつくには少々まずい場所だ。
「とにかく探すぞ、僕はこっち、キミはあっちだ」
「おう」
夕日が落ちた街へと再び駆け戻る二人の魔術師の姿が月明かりに照らされた。
一方その頃の常盤台中学女子寮
「御坂は居ないのか? 寮には戻っていると記録されているが、もし無断外出なら連帯責任で減点1とみなすが」
咎めるような口調で寮監が白井黒子へそんなことを告げる。
「いえいえ、きっとお姉様は何か理由がおありなのですわ、本当に急用なら外出届けを書いてる時間など無いはずですもの。私はお姉様を信じてますのでその減点を受け取ることは出来ませんわ」
しかし彼女も負けずと言い返す。 寮監は御坂が戻ってきたら理由を説明するように伝えろ、とだけ告げると一応減点は保留にしてもらえたようだ。
(お姉様、一体どこへいかれたんですの、なんでバスルームのシャワーが出しっぱなしで脱衣所にキチンと畳まれたお姉様の制服が・・・・ミステリーですわ、とりあえず(自主規制)ですわね)
寮監が去ったドアの向こうを見ながら白井黒子は静かにドアを閉めた。
一方その頃の黄泉川愛穂の教員用4LDKマンション
「ねぇねぇ、起きて、起きて、起きて欲しい、とミサカはミサカは懸命にアナタの体を揺さぶってみたり」
「んぁ」
「んぁ、じゃなくて起きて欲しいから早く起きろ、ミサカはミサカはアナタの鼻と口をそっと塞いで見たり」
ぎゅ、ソファーで眠る白い少年の顔色がみるみる悪くなり、10秒程経過した後に彼は飛び起きた。
「わー、任務成功ー、ミサカはミサカは大口を開けたアナタの口にすかさず例のモノを放り込んでみたり」
小さな茶色い物体が高速で白い少年の口に放り込まれ、ごっくん、と少年の喉が動いた。
「テメェ、何しやがる!」
「わーい、ミサカのチョコレートをアナタに食べさせる作戦大成功☆、これで二人は永遠に・・・・ぴと、ミサカはミサカはアナタの右手で癒し系マスコットになってみたり」
少年は無言で[打ち止め](ラストオーダー)がまとわり付いた右手をブンブンと振り回す。
ブンブン、ブンブン。
「激しい上下運動に込められたアナタの愛情の裏返しが・・・はわぁぁ、ミサカはミサカはちょっと気持ち悪くなってきたり」
[打ち止め](ラストオーダー)の言葉を遮る様に一方通行の腕の速度が跳ね上がる。
「フンフンフンフン!!だァァァ!はなれろォォォ!」
「だが断る、ミサカはミサカはァァァァ――」
一方その頃の必要悪の教会(ネセサリウス)女子寮
「シスター・オルソラー、シスター・アニェーゼ、居られませんかー?」
誰も居ない礼拝堂に少女の声が響いた。 そばかすまじりの顔をきょろきょろと動かして礼拝堂を歩く少女。
「シスター・アンジェレネ、お二人は見つかりましたか?」
「いえ、どこにも居られませんね、調査に向かった遺跡から神裂さんの連絡が途絶えたっていうから応援を送ることになってるんですが・・・」
「ステイルと土御門、それに禁書目録も今は日本だから、こういう事態にはあの方たちが打ってつけなんですが、仕方ありません、ロビーで寝転がってるゴスロリをたたき起こして我々だけで向かうとしましょう」
「うぇぇ、せめてもっといっぱいで行きません? 遺跡の調査なんて恐いですよぅ、ほら神裂さんですら」
「まだそうと決まったわけではありません、彼女達の無事は主に祈っておきましょう。 ほら十字を切りなさい」
「やっぱり遺跡とかはいやですぅぅぅぅ!!」
光が収まった後上条当麻の真上からいろいろと降ってきた。 女の子とか女の子とか女の子とか。
「むぎゅ」
あえなく潰れる上条当麻。 横でバスタオルを押さえる美琴、呆れた顔でその光景を見つめる五和&神裂
「ここはどこ。なんか見覚えある」
「上条当麻!貴様、何をしたの!、なんで裸の女の子とかエプロンの子とか諸々いっぱい居るの!」
「おや、ここはどこなのでしょう・・・・・・ミサカは自室のキッチンに居たはずなのですが、とミサカは突如変わった環境にも動じず情報を収集します ムムム、半泣きでバスタオル一枚というお姉様を発見、さらにその横でうろたえる貴方も発見、ミサカは貴方に400字詰め原稿用紙2枚に収まるように纏めた簡潔かつ明瞭な事態の説明を求めます」
「さぁて今日のケーキはおいしく・・・・あら?テーブルがちゃぶ台に・・・・」
「主よ感謝致します、アーメンってここどこ? なんで貴方がイギリスの礼拝堂に!?」
そして最後に一際大きな光が部屋の外に展開しドスンと音をさせる。ベランダの方からだった。
上条が人間タワーから全力で脱出してガラガラッと窓を開けると冷たい夜風が部屋に入ってきた。
ベランダに白いものが引っかかっている、シーツ?「あうー」シーツが喋った。
いやシーツじゃない。
よく見るとベランダの手すりに引っかかった白い服の少女。白い修道服を着た14、5歳ぐらいの女の子だった。その肩口から零れた銀髪が部屋の蛍光灯を反射して輝く。
おっかなびっくりで上条が白い少女に声をかけた。
「おい、大丈夫か?とりあえずベランダで遊ぶのは危ないから一旦こっちに―」
「このシチュエーション・・・・あははは、そっか、なかなか面白い魔術だね『告白儀式』(ハートトゥハート)。 この展開に免じて流されてあげるのもよいかも、想いの籠もった『物』ってのは『者』でも可能なんだね」
訳が分からない――。
白い少女は上条の顔を見ると「じゃあもう一回やろうかトウマ、多分忘れてるんだろうけど」とかいって楽しそうに笑っている。
トウマ・・・・なんだか懐かしい呼び方。 いつだったかこんな風に呼ばれたことがあったような気がする。
「お前、いつだか病院に居た外国の女の子・・・・」
上条当麻が記憶を失った日、最初に会った少女、あれから随分と経ってるが間違いない。 銀髪の少女と自分は一度会っている。
『記憶を失う前の上条当麻』と面識が会ったと少女はあの時言っていた。 命を懸けて自分を助けてくれた、とも。
あの時少女に上条が言えたのは「ごめん」と言う謝罪の言葉と、「覚えていない」という残酷な事実だけ。
部屋の中の五和と神裂とアニェーゼ、オルソラは少女と面識があるらしく事態を見守っている。
吹寄、姫神、美琴、御坂妹の4人はちょっと事態を飲み込みかねるような表情で静観していた。
「トウマ、もう一回声を掛けて欲しいかも、あの時みたいに」
あの時がどの時なのかが上条には分からなかったが言われるままに上条は少女へ声を掛けた。
「おい、大丈夫か―」と。
「ちょっと台詞違うけどまあいいや・・・・おなかへった」
「・・・・・・・・・・」
上条だけではない、部屋に居る全員が同じ顔をしている。
「おなかへった」
構わずに少女は続けた。
「・・・・・・・・・・」
「おなかへった」
何か反応しないと終わらないらしい。
「・・・・・・・・・・」
「おなかへったって言ってるんだよ」
まるで対応に困る上条を見て楽しむように次々と言葉が続く。
といってもさっきから「おなかへった」しか言ってないけど。
「倒れ死にとも言う」
困った上条がとりあえず一番近くに居た五和に視線を向けて助けを求めるが彼女は柔らかそうなほっぺたをぽりぽりと掻いてあさっての方へと向いてしまう。 言葉にするなら、こ、困りましたね――。といったところか。
「お腹いっぱい食べさせてくれるとうれしいな」
上条はとりあえず部屋のちゃぶ台の上に置かれた料理を指し示し、五和が「がーん」と自分の感情をダイレクトに言葉で表現しオルソラは手に持った焼きたてのケーキをちゃぶ台に置いた。
「あははは、今回は用意してあるんだね、じゃあ、お邪魔します、だっけこの国のあいさつって?」
ベランダの手すりに乗った体をひょいっと持ち上げて銀髪の少女は上条の隣まで歩いてきて上条に小さな四角い箱を手渡す。
「なんだこれ?」
「ちょこれーと、イギリスのお土産だよ」
「腹へったんならコレ食えば良かったんじゃ・・・・痛ッ!?いたたたたたた」
「相変わらずトウマは無神経だね、それ以上言うとカミクダクよ」
上条が小さな箱を開けてみると小さなハート型のチョコレートが10個ぐらい。なにげなくつまんで口に運んでみる。
銀髪のシスターがそれを見て、「あっ、やっば」みたいな表情を浮かべる。
「うまいぞ、結構」
「やっぱトウマは変わってないね」
なんだか嬉しそうに笑う上条と銀髪の少女の笑い声が学生寮に響いた。
『告白儀式』(ハートトゥハート) おしまい
ちなみに
10分後――。
笑い声が満ちたほんわか空間を突き破り、チョコレートゴーレムが上条当麻の部屋の冷蔵庫から大量発生する事態が発生。
上条当麻とその部屋に居た全員はそのゴーレムにひたすら追い回され、学園都市の公共物はその日の被害だけでも5万件を越えたとかなんとか。
「あッ!ステイルに土御門! てめえら、何か俺に隠してるだろ! オマエラが揃ってここに居る時ってのは大抵ろくでもない事態が起こるって上条当麻的な相場が決まってるんだよッ!」
「カミや~ん、そいつは言いがかりってもんだぜぃ。この親友を信じられないのかにゃ~? よーく目を見て欲しいにゃ~」
「そう言う台詞はサングラス取ってから言えぇぇ!!」
「わ、わわわ!カミやんこっちくんな(ry」
「まちたま―この(ry」
被害は14日未明まで断続的に発生しており、オレンジ色の光条、ワイヤーのようなもので切断されたポール等一連の事件と関係が深そうな破壊跡も発見されている。
なお事件に巻き込まれたと思われる金髪の少年と赤い髪の少年が何者かに吹っ飛ばされるような映像も記録されているが強力な電磁波の影響で映像に乱れが生じているため人物の判別は難しい。
最終更新:2010年01月17日 13:48